東方小妖録【完結】   作:puc119

2 / 36
第1話~土下座から始まる物語~

 

 

「ご、ごめんなさい」

 

 さあ、困ったぞ。今の俺には謝ることしかできやしない。

 そんな今こそ鍛え抜いた土下座の力を見せるとき。

 

「……とりあえず、台の上から下りてもらえるかしら」

「はい!!」

 

 台から下りた。それで、正座。

 

「それで貴方は何者で、どうやってここに来たの?」

「は、はい!! 僕は、僕は……」

 

 誰、だっけ?

 あれ? 自分の名前が思い出せない。どういうことだ? え、え~と、どうしよ。

 

 う、う~ん、しょうがない適当に名前を決めるか。でも、サトシはちょっと嫌だなぁ。

 

『僕はピカチュウです』

 

 とか言ってたら絶対怒られるよね。明らかに頭おかしい人だもん。

 

 ん~……よし、決めた。決めました。

 

 

「僕は『赤』と言います。ここには神様に蹴り落とされて来ました」

「神に蹴り落とされて?」

「はい、蹴り落とされました」

 

 これでも、明らかに俺って頭がおかしい人だよね。

 な~んて思いながらも、他に説明のしようもないし。仕方ないね。

 

「それで、ここには何をしに来たのかしら?」

「第二の人生を謳歌しに?」

「いや、知らないわよ」

 

 ここで、俺が正直に徹マンしてた神々のせいで転生することになった。なんて言っても信じてもらえないんだろうなぁ。

 だから誤魔化すしかないのです。伝われ俺の思い。

 

 

「なるほど、だいたいわかったわ」

 

 

 どうやら俺の気持ちは無事に伝わってくれたらしい。

 

「監獄と精神病院どっちがいい?」

 

 伝わっていなかった。難しいね、思いを伝えるのって。そして、その対応間違ってないと思います。

 

「さて、冗談はここまでにしてちょっと着替えてくるわ。だいぶ汚れてしまったしね」

 

 ああ、良かった。物語は始まったばかりだと言うのにいきなり酷い状況になるかと思っていた。

 はてさて、出口はどちらかな?

 

「ああ、逃げられるだなんて思わないでね」

 

 ……そ、そんなこと、お、思っていませんよ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 正座で待機すること15分。足痛い。漸くえーりんが戻ってきた。

 

 あれ? さっきと同じ服じゃないですか。それしかないのだろうか。

 タンスを開けるとあの青赤の服でいっぱいなの? そりゃあ、あれですね。シュールだ……

 な、なかなか独特なセンスをお持ちのようで……いや、まぁ、他人の趣味に色々言うようなことはしないけどさ。

 

 因みに飛び散った食べ物はル○バみたいなお掃除ロボが片付けてくれた。あいつは家出なんてしなさそうだとか、くだらないことを思った。

 

 でも、な~んか東方Projectのイメージと違うよね。科学技術とは無縁なイメージだったんだけどなぁ。東方って聞くと、もっとこう田舎なイメージなんだけど。神社とかそう言うイメージ。

 

「そう言えば、まだ私の名前を言っていなかったわね。八意××、研究者のような者よ。永琳とも呼ばれているわね」

 

 うん? 八意なんだって?

 あと、えーりんって医者だったと思うけど……あれ? 違ったっけ? なんとも、知識が曖昧だからその辺のことはわからない。

 

 まぁ、いっか。気にしたってしかたのないことだってあるのだから。

 

「僕は、赤。ポケモンです」

「ぽけもん? 初めて聞く単語だけど……えと、まぁつまり貴方は人間ではないってことかしら? かと言って妖怪でもないわよね。穢れが見えないもの」

 

 はて、穢れってなんぞ?

 まぁ、人間よりは妖怪に近い気がするけど、今はポケモンになってないし見た目だけなら人間だよなぁ。

 

「ポケモンになる。それが僕の能力だそうです。口で説明するよりも実際に見てもらった方が早いんですけど。能力を使ってみてもいいでしょうか?」

 

 まぁ、一度も使ったことないから成功するかもわかんないけどね。此処で失敗したらかっこ悪いな~

 

「『ポケモンになる程度の能力』ってとこかしら。貴方も能力持ちなのね。いいわよ。実際に見てみたいし」

 

 程度? 貴方も?

 色々と引っかかるけれど、それよりも今はどのポケモンになるかだ。どうしようかな~ミュウツーといっちゃう? いきなり伝説ポケやっちゃう?

 

 ……うん、まぁ、ここは無難に御三家あたりにでもしようかね。

 

 そして、頭の中でそのポケモンをイメージ。

 すると自分の体が変化したのを感じた。

 

 具体的には先端から炎のでる尻尾が。

 具体的には手足から鋭い爪が。

 具体的にはオレンジのパーカーが。

 

 あら? 最後おかしくないですか? パーカー?

 

 

「……どうしてこうなった」

 

 変化した自分の姿を見て、ぽそりと言葉が落ちた。

 

 違う。もっとこう、可愛さとワイルドさを持つポケモンになる予定だったんだ。こんな少しばかりクオリティの高いコスプレをしたかったわけじゃ……

 てかこれ、動きにくいぞ。立ったら足しびれるし。

 

「…………」

 

 ほら、えーりん黙ちゃったよ。どうすんだよこれ。責任者呼んでこい。

 

 そうやって、あたふたしていると頭の中に文字が浮かんできた。

 

『ヒトカゲ』

タイプ:ほのお

性別:♂

レベル:1

性格:おくびょう

とくせい:サンパワー

HP:12

こうげき:5

ぼうぎょ:6

とくこう:6

とくぼう:6

すばやさ:6

技:ひっかく・なきごえ

 

 ふむ、個体値はわからないけど、努力値は無振りかな。

 てかなんで、特性が夢特性なのさ。それに、性格がおくびょうって、おくびょうって……ゆうかんとかにしてくださいよ。

 

 

「それで、貴方は何ができるのかしら?」

 

 やあっとえーりんが口を開いた。

 

「『ひっかく』と『なきごえ』ができます」

「ふざけないで、真面目に答えなさい」

 

 ふざけてないのに、真面目に答えたのに……本当に今はそれしかできないんです。

 

 さてさて、どうしたものか、『ひのこ』でも出せればいいのだけどレベルが足りないしなぁ。

 うん? ああ、そっか技マシンを使えばいいのか。

 

 そんななわけで、技マシン38『だいもんじ』起動。そして、技に『だいもんじ』を追加。

 

「えと、炎が出せるようになりましたけど、見せますか?」

「出せるようになったって何よ……それで、炎ねぇ。ここじゃ少し危ないからついて来て」

 

 いくら『だいもんじ』とは言えレベル1のヒトカゲだし大丈夫だと思うけど。まぁ、ご期待に応えられるよう頑張ってみましょうか。

 

 

 

 

 珍妙な格好をしてえーりんのあとをついていく。ペタペタ、パタパタと歩きづらいことこの上ない。

 おいコラ、何を笑っているんだえーりん。こちとら必死なんだぞ。まだこの姿に慣れていないだけです。

 

 

 それでなんかガラス張りの部屋に入れられた。実験動物ってこんな感じなんだろうなぁ。なんてことを思ってみたり。

 

 そして、スピーカー越しにえーりんの声が届いた。

 

「今から出てくる壁に向かって、炎を出してみて」

 

 壁かぁ。そんな大層なものじゃなくてもいいのに、タバコの火種になるかも怪しいレベルだと思うけど。

 

「ま、頑張りますか」

 

 とはいえ、どうせやるなら頑張ってみたい。だから、一つ声を出して気合を入れてみた。

 

 そして目の前には厚さ3cmほどの木壁。黒くするくらいはできたらいいなぁとか思いながら、すぅーっと大きく息を吸ってから、また声を出す。

 

「いったれー『だいもんじ』!!」

 

 口から炎が出ているのを感じた。

 なにこれ、新感覚。それで、俺の口から吐き出された大の字の形をした炎は木壁へ直撃。

 

 

 ……その結果としては木の壁に多少の焦げ目がついただけだった。

 

 わかってはいたけど――なんか悔しい。こんなもんだってことくらいわかっていたはず。それでも……

 

「お疲れ様。もういいわよ」

 

 えーりんの声がした。

 

 

 なんか悔しい。

 

 

「……もう一度やってみてもいいですか?」

 

 

 プライドなんて捨ててきた。

 けれでもきっと、張れる意地くらいは残ってる。

 

 

「……ええ」

「ありがとう」

 

 さあて、やるからにはできる限りのことはしてやろうじゃあないか。

 

 

 性格を『おくびょう』から『いじっぱり』に変更。

 持ち物を新しく『ほのおのジュエル』に。

 技マシンから『にほんばれ』を選択。

 卵技から『はらだいこ』・『フレアドライブ』を追加。

 最後に攻撃の努力値へ252をぶち込んだ。

 

 

 

 まずは『にほんばれ』室内でなぜできるかわからないけれど、強くなる日差し。そして特性『サンパワー』発動。最大HPの1/8が削られるが、そんなもん知るか。

 

 次に『はらだいこ』ポコポコ、ポコポコと周りから見ればさぞ滑稽だろう。しかもやっている本人の最大HPの半分は無くなってるし。

 ここで特性を『サンパワー』から『もうか』に変更。

 

 実際の対戦じゃ、こんなことはできないだろうな。でも、今はそんなこと気にせずできる限りのことをやりたいんだ。

 

 そしてラスト。

 

 

「『フレアドライブ』!!」

 

 

 炎を纏った体で木壁へ突進。

 

 

 結果――木壁が吹っ飛んだ。

 

 

 おまけで俺の意識も吹っ飛んだ。

 

 

「ああ、反動忘れてたわ……」

 

 

 かっこつかんね。ホント。

 

 

 






因みに、主人公の最後にやった技の威力は急所に当たれば――
パラス:レベル58・特性:乾燥肌・性格マイナス補正・H・B逆V・努力値無しだと一発で倒せる可能性があります
低乱ですけど

レベル59以上は確2となります

つまり、パラスだとレベル59以上を一発で倒すことはできません

まぁ、そんなものかもしれませんね

因みに、因みに
ヒトカゲ:レベル1 A極振り AV もうか ほのおのジュエル 晴れ フラワーギフト 手助け 腹太鼓 急所フレアドライブ だと

パラセクト:レベル100 HB逆V 無振り 性格マイナス補正 乾燥肌 B:ランクマイナス3 を31%で一発です

つまり、レベル1のヒトカゲが、レベル100のパラセクトを一発で倒せる可能性があるということになります

まあ、シングルバトルではできませんし、かなり非現実的ですが……
そして反動で死にます

感想・質問何でもお待ちしております



~単語説明~

『サンパワー』:天気が「ひざしがつよい」だと「とくこう」が1.5倍になり、毎ターン最大HPの1/8ずつ減る
夢特性という普通のヒトカゲなら持っていない特性

『もうか』:「HP」が1/3以下のときに「ほのお」タイプの技の威力が1.5倍になる

『だいもんじ』 威力:120・命中:85・PP:5 特殊 10%の確率で相手を「やけど」状態にする

『にほんばれ』 PP:5 変化 5ターンの間天気を「ひざしがつよい」にする。炎タイプの技の威力が1.5倍になります

『はらだいこ』 PP:10 変化 自分の最大HPの半分を失う代わりに自分の「こうげき」ランクを最大まで上げる。

『フレアドライブ』 威力:120 命中:100 PP:15 物理 相手に与えたダメージの1/3を自分も受ける。10%の確率で相手を「やけど」状態にする。自分が「こおり」状態の時にも使用でき、使用すると「こおり」状態が治る。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。