東方小妖録【完結】   作:puc119

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第20話~変わりもの~

 

 

 ヒマワリ手土産にルンルン気分で帰宅。自分でも頑張ったつもりだから、胸張って帰ってくることができる。だって課題をクリアできたわけですし。

 

 そして、約一週間ぶりにかぐや姫の屋敷へ帰ってきた。これで笑いものにならなくてすむ。

 

「ただいムグァッ!!」

 

 痛い。

 かぐや姫に帰ってきたことを報告しようとしたら蹴られた。何すんだコンニャロー。

 

「バカッ! 八日間も連絡をしないで何してたのよ!」

 

 何って……普通に生活してただけだよ。や、やましいことなんて何もしてないですよー

 

 とは言え、正直に話しても信じてもらえないよなぁ。

 どうすっかね、おい。

 

『正直に話せばいいだろ?』

 

 それができないから困っているんだよ。

 

『ゆうかりんとのキャッキャウフフライフ楽しかったね~』

 

 そうだね~お前らは何の被害も受けてないしね~

 

『自分で考えろよ』

 

 だから自分に聞いているんでしょ?

 

『で、でたー! そうやってすぐ屁理屈こねやつー』

 

 いや、一緒に考えてくれてもいいじゃんか……

 

『ま~た、そうやって、うだうだと考える。彼女に言っちゃうぞ?』

 

 こら! さらりと物語の核心を衝くこと言わない。

 

『道に迷ったとかでいいんじゃねーの? 実際お前って方向音痴だし』

 

 いや、お前も俺なんだけどね。

 ふむ……まぁ、言い訳はそんな感じでいいか。どうせ何言っても変わらんだろうし。

 

「いやぁ、道に迷っちゃってね」

「……そんな理由で納得すると思う?」

 

 いんや、思わない。

 でもさ――

 

「ま、こうやって無事に帰って来られたんだからいいじゃん。ね?」

 

 俺がそう言うとかぐや姫はフンって感じにそっぽを向いた。あ~あ、また拗ねちゃったよ。けれども、たぶん納得はしてくれたと思う。それくらいにはこの姫様だって大人なのだから。

 

 

 持ってきたヒマワリは翁夫婦に渡すと、物珍しさもあってか喜んでいた。どうやら、ちゃんと飾ってくれるようだ。

 そして、その飾られたヒマワリを見て、貴族さんたちは信じられないような物を見た顔をしていた。ふふん、どんなもんだい。

 

 中ぐらいの人だけは俺のことを褒めてくれ『どうやってあの花を取って来たのよ?』みたいなことを聞いていたから。

 

「運が悪かったので3本も取ってくることができました」

 

 と俺が言うと『なんだそれは』と言って笑ってくれた。

 

 そう言えば、俺はこうやって課題をクリアすることができたわけだけど、もし俺がかぐや姫に求婚していれば……ああ、うん。そんなこと考えたってしょうがないか。

 

 

 

 止まることなく時間は流れる。

 

 そして、5人の貴族たちは少しずつ脱落していった。

 

 最初にただの鉢も持ってきた石の人が。次に偽物を作らせて持ってきた車の人が。次に焼けてしまう裘を持ってきた右の人が。次はなんだか知らんけど、大きい人が脱落した。

 最後は中ぐらいの人だった。

 

 中ぐらいの人があまりにも可哀想に思えたのか、かぐや姫は見舞いの歌を送っていた。俺もお見舞いくらいは行こうと思ったが、やめておいた。たぶん、もう間に合わないだろうし。

 

 そんな5人の貴族が脱落しようやっと帝がかぐや姫に対し本格的にアプローチを仕掛けてきた。意外と賢いのね。

 かぐや姫は面倒くさがりながらも、律儀に帝と和歌の遣り取りをしているみたい。

 

 

 

 

 

 

 そんなことから2年と数ヶ月。

 かぐや姫の様子が少しずつおかしくなり始めた。つまり、そろそろ帰る時間が来たってことだろう。

 

 俺が登場する以外、ここまではきっと物語通り。そしてここからは――

 

 

 

 とある夜のこと。

 

「ねぇ、赤。ちょっとお話をしましょう?」

 

 なんてかぐや姫が縁側に腰掛け月を見ていた俺に言った。いつものかぐや姫ならこんなこと言わないのに、珍しいね。はてさて、どうしたのやら。

 

 ああ、今日の月も綺麗だ。今日はきっと満月なんだろう。

 かぐや姫は、そんな真ん丸綺麗な月を見つめたまま俺に言った。

 

「私ってさ地球人じゃなくて、あの空で輝いている月から来た月人なんだよね。信じられないかもしれないけどさ」

 

 いや、うん、知ってた。

 

 

「へ~、そうだったのか。俺も一歩間違えなければ月人だったよ」

「……巫山戯ないで。空気くらいよみなさいよ」

 

 

 巫山戯てないのに、本当のことなのに……理不尽だ。

 まぁ、流石に信じられんか。だって、それはもう一億年以上も前の事なんだ。ホント、懐かしいねぇ。えーりんも元気に過ごしていてくれればいいけど。

 

「はぁ……まぁ、赤らしいっちゃ赤らしいか。とりあえず最後まで私の話をちゃんと聞きなさい」

 

 俺の話もちゃんと聞いて欲しいですね。でも、此処は大人な俺が我慢するのです。

 

「私は月で生まれて育ったわ。月の文明は地球なんかとは比べ物にならないくらい進んでいるの。でもね、すごく退屈だったわ……」

 

 と、そこまで言ってかぐや姫は話を一旦止めた。月の文明ねぇ。まぁ、月に行った時点……一億年前ですらあの文明の進みようだしね。そりゃあ、今の地球なんかとは比べ物にならんでしょ。

 でも、それが退屈だったのかはわからない。

 

「毎日毎日同じことの繰り返し、本当に退屈だった。そんな私は地球の生活に憧れたわ。だから禁忌を犯したの」

 

 あれ? 竹取物語ってこんな話だったっけ?

 

 てか――

 

「禁忌を犯したって何したのさ?」

 

 俺が聞いた。

 

「蓬莱の薬を飲んだのよ」

 

 かぐや姫は答えた。

 

 いやいや、蓬莱の薬って何だよ……蓬莱の玉の枝と関係あるんかね? なんて俺が聞こうとしたら、かぐや姫が答えてくれた。

 

 

「私さ。……不老不死なんだ」

「は? …………ホ、ホントですか?」

 

 

 いやはや、何でもありですね、この世界って……

 

「嘘だったら良かったのにね」

 

 なんて言ったかぐや姫の横顔は寂しそうに笑っているように見えた。不老不死、か……

 そっか、あんたもこっちの世界の生き物なんだったんだね。

 

 

 その後、もう少しだけ輝夜と会話を続けてわかったのだけど、次の満月の晩に月からお迎えが来るらしい。その日で刑期が終わるんだと。

 もっと早く言えよ! なんて思ったけれど、まあ、物語通りですね。

 

 けれども輝夜は月に帰りたくないみたい。それで、迎えに来る月人の中に知り合いがいるだろうから、その知り合いと力を合わせて逃げるんだってさ。ま、頑張ってくれ。

 

「赤、逃げるとき一緒に来ない? なんなら蓬莱の薬もあげるわよ」

 

 輝夜はそんなことも言ってきた。

 

「ん~、俺はいいや、遠慮する。あと蓬莱の薬もいらないよ」

 

 幽香の所へも帰らないとだしね。それに不老不死は興味ないし、これ以上自分の体をいじめたくもない。

 

 そんな俺の返事を聞き、輝夜は

 

「そう」

 

 とだけ言った。

 俺と輝夜の関係なんて、こんなもんだ。

 

 

 

 輝夜はあの夜、俺に話したことを翁夫婦にも伝えたらしい。さらに、輝夜が月に帰るということは都中に広まり、もちろん帝の元へも届いた。

 帝は輝夜を月に行かせないよう頑張るっぽい。

 

 俺はいつも通り適当に過ごした。俺は俺で、勝手にやらせてもらう。似合わないことはしたくないのです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 夏。満月の晩。月は今日も綺麗だった。

 雨降らなくて良かったね。もし降ったら雰囲気台無しだもんね。

 

 屋敷の内外には屈強な男たちが沢山。ホント、暑苦しいったらありゃしない。

 そんな中、俺と輝夜は部屋の中で待機していた。

 

 

 ……さて、そろそろかね。

 静かにポケモンをイメージ。

 

 6本の尻尾。

 頭には狐耳。

 少し長い髪を後ろで縛ってパーカーの色は茶色。

 

『ロコン』

タイプ:ほのお

性別:♂

レベル:1

性格:きまぐれ

持ち物:なし

とくせい:もらいび

HP:12

こうげき:6

ぼうぎょ:6

とくこう:6

とくぼう:6

すばやさ:6

技:ひのこ・しんぴのまもり

 

「え、え? あ、赤なの?」

 

 隣にいた輝夜が滅茶苦茶驚いている。はい、そうです。赤です。ん~、ああそっか。そう言えばポケモンになるの初めてだったね。そりゃ驚いちゃうか。

 

「『しんぴのまもり』」

 

 俺がそう言うと神秘のベールが俺と輝夜を包み込んだ。

 

「えっ? なに? なんなのこれ?」

 

 保険、かな。たぶんこれで色々と防げるとは思う。

 そして俺は人間の姿に戻ってから輝夜に言った。

 

「ほい、輝夜。これあげるよ」

 

「あ、戻った。なんだって言うのよ……で、これは何?」

「『けむりだま』まぁ、持っていてくださいな。きっと良いことがあるだろうから」

「ホント、さっきから何なのよ……」

 

 と輝夜が言った瞬間、外が一気に明るくなった。

 タイミングはバッチシ。どうやらお迎えが来たみたいです。

 

 

 さて、と。

 本日2体目のポケモンをイメージ。

 

 髪の毛の色は紫色。

 パーカーの色は紫で、深く被ったフード。

 ま、この姿でいられるのも一瞬だけどさ。

 

『メタモン』

タイプ:ノーマル

性別:?

レベル:50

性格:ゆうかん

持ち物:レッドカード

とくせい:かわりもの

HP:155

こうげき:74

ぼうぎょ:68

とくこう:68

とくぼう:100

すばやさ:47

技:へんしん

 HABCD:VでS:逆VのHD全振り

 

 特性:『かわりもの』発動。

 

 そして、輝夜と全く同じ姿へ。

 うおっ、この服歩きにくいな。

 

「あ、私だ、じゃなくて。赤……なのよね?」

 

 さっきから驚いてばかりの輝夜さんです。コロコロと変わる輝夜の表情は見ていて面白い。

 

「うん、そうだよ」

 

 うっわ、声が超高い。

 自分の声と全然違うからすっごく変な感じがする。

 

「それで赤は、何をしようって言うのよ?」

「ちょこっとだけ輝夜の逃亡を手伝ってあげるのさ」

 

 う~む、声が変わると違和感がヤバイな。

 

「……邪魔だけはしないでね」

 

 しないって。それだけは安心しといてくださいな。

 そんな話を輝夜としていると、部屋の中に女性が入ってきた。

 

 

 えーりんだった。

 

 

 …………は?

 

 

「えっ? どうして姫様が二人いるの?」

 

 惚けたようなえーりんの声。あ~なるほど。輝夜の知り合いってえーりんのことだったのね。納得です。

 少しだけパニックになった頭を整理していると、輝夜はえーりんに近づいていき言った。

 

「お願い、永琳! 私は月に帰りたくないの。だから一緒に逃げて」

 

 その言葉が聞こえたと思ったら、輝夜を中心に白い煙が吹き出た。輝夜に持たせた『けむりだま』が発動したのだろう。おおー、こんな風になるのか。

 

 さて、これで少なくとも輝夜は絶対に逃げられることができるはず。

 ん? これなら俺、輝夜に変身する必要なかったんじゃ……まぁ、そんなこともあるか。

 んじゃあ、俺も逃げるとしようかね。

 

 なんて思ったときだった。

 

「くそっ! 前が全然見えねぇ!」

「なんだって言うんだ! こんなの聞いてないぞ」

「いた! 見つけたぞ。捕えろ!」

 

 なんて声が聞こえてきたと思ったら、網のような物が上から降ってきた。

 

 おろ、なに? 何事ですか? てか……えっ? やばくないですか? この網みたいやつのせいで動けないのですが。

 

 そして電流が俺の体に流れた。

 アババババババ、し、しびれりゅぅ……

 

 その後、訳も分からないまま袋に詰め込まれた。抵抗なんてできるわけがない。

 

「副長! 蓬莱山輝夜様を捕らえました」

「いよーし!! よくやった。さっさと戻るぞ。このままいたら穢れちまう」

「はいっ!!」

 

 おい、待て、バカ! よく確認しろって、何が『はいっ』だ。全然よくやってないからっ。

 

 あ、ちょ、痛いです。もうちょっと丁寧に扱ってください。頭がガスガス当たっ……あ~もう、だから痛いって!

 

 

 ……あの電流のせいか、俺の意識は直ぐに途切れた。

 そして袋に入れられたまま俺は拉致されたのだと思う。

 

 後になって思ったけど、コイツらえーりん忘れてるよね。月人って実はバカなんじゃないだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 起きます。

 

「依姫様、蓬莱山輝夜様を連れてきました」

 

 そんな声がしたので起きた。あーうー、体中が痛い。

 早く袋を開けてくれ、息苦しくてたまらん。

 

「ご苦労でしたね。もう行っていいですよ」

「はっ」

 

 と言う声が聞こえ、何人かの立ち去る音が聞こえた。

 むぐー、はよ袋を開けてくれ。

 

 そんな願いが通じたのか袋の口が緩んだ。

 

 プハッなんて言って顔だけ出すことに成功。

 そして目の前には知らない美人さん。

 

 あ、ども。はじめまして。

 

 

「えと……貴方だれですか?」

 

 

 どうすっかね、おい。

 

 






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