赤が旅立ったあの日、ここ守矢の神社は正に戦場だった。
勝手に旅立ってしまった赤に対して、諏訪子の怒りが爆発。
それもなんとか抑えることはできたが、あの時の諏訪子は昔の大戦のときよりも強かった気がする。いや、絶対あのときよりも強かった。第二次諏訪大戦と呼んでもおかしくはない。あんなことになるのなら、ホント、無理やりにでも赤を止めておけば良かったよ。
そんな大戦から千年ほどが経った。
賽銭箱に石を入れるという馬鹿者がいて、ちょっと懲らしめてやろうかと思ったら、なんと赤だった。
そんな赤は私と少しだけ会話をすると、さっさと帰ろうとした。絶対に逃がすかぁ!
このまま赤が帰ってしまい、そのことを諏訪子が知ってしまったら、また諏訪大戦が始まってしまう。大惨事諏訪大戦だ。
お、今、私上手いことを言ったな。後で赤にも言ってやろう。
ものすごく嫌そうな顔をする赤をなんとか引き止めていると、本殿から轟音がした。赤の顔は真っ青になっていた。
申し訳ないが私だって、諏訪子が怖いのだ。いくら神だろうと怖いものは怖い。
その後、諏訪子の体当たりを受けた赤は気絶。そして本殿に運んだところなわけだが……
「久しぶり! もう、ホント、久しぶりだね赤! わぁ~赤の匂いがする。ねえねえねえねえ、あの時はどうして黙って行っちゃったのかなぁ? 私がどれだけ会いたかったかわかる? 私がどれだけ待っていたかわかる? 私がどんな思いをしていたかわかる? わかんないよね~だって赤いなかったもん。私に何も言わずに行っちゃったもんね~神奈子にだけ挨拶して勝手に行っちゃったもんね~千年も何処かに行っちゃってもんね~もう勝手に出て行っちゃダメだよ。う~ん、でも赤のことだしまた勝手に出て行っちゃうよね? いけないことなのにね。いけないことをする赤にはオシオk……」
気絶している赤の腹に乗って諏訪子がブツブツと言い続けている。
おい、誰かあの神をとめてくれ。ほら、祝子だって怯えてるじゃないか。
……はぁ、仕方ない。
とりあえず諏訪子を落ち着かせないと。
「なぁ、諏訪子」
「なあに? 私に何も言わずに赤を行かせた神奈子」
「あ、いや……なんでも、ない……」
……いや、無理だよ、無理だって。明らかに目とかおかしかったし。神にだってできないことはある。
祝子は今にも泣き出しそうだ。私だって泣きそうだよ。
もう、やだ、この神社。
「ねぇ、神奈子」
「な、なんだい?」
赤に向かって喋っていた諏訪子が私に言ってきた。やだ、この神様マジ怖い。
「私は赤と遊んでくるね」
「……わかった」
諏訪子の口は笑っていた。目は見ていない。
ゴメン、赤。私じゃ止められなかったよ……
そして諏訪子は未だ気絶したままの赤を連れて出て行ってしまった。連れて行くというよりも、引きずってだけど。せめて手を持ってあげればいいのに……
はぁ、とても疲れた。
「あ、あの神奈子様。あのお方は諏訪子様とどのような関係なのでしょうか?」
さっきまで泣きそうだった祝子が聞いてきた。まぁ、やっぱり気になるよね。
「ん? ああ、そうだねぇ。アイツは諏訪子にとって初めての友人ってところかな」
明らかに友人の域を超えているけど。
赤にとって諏訪子は……まぁ、ただの友人なんだろう。本人も諏訪子の感情には気づいているはずだが……たぶん気づいているからだろうなぁ。
「そうだったのですか……初めて知りました。あのお方の年齢は私と同じくらいに見えましたが」
「ああ、そりゃあ知らないはずだよ。だってアイツがこの神社にいたのは1000年くらい前のことだから」
懐かしいなぁ。あの頃も、あの頃で楽しかった。
「へっ……せ、千年ですか? では、あのお方は人間ではないのでしょうか? 妖力や神力、霊力すらも感じませんでしたが」
まぁ、赤の見た目はただの男の子だ。そう思うのが普通なのだろう。それに今は能力も使っていないし。
「赤は自分のことをポケモンって言っていたかな。人間でも妖怪でも神でもないそうだよ。年齢は一億を超えていて普段は力を一切感じないのに、本気を出せば私よりも強い。ホント不思議な奴だよ」
「一億歳……す、すごいお方だったのですね」
すごい奴なはずなんだけどねぇ。運がないと言うか、不器用と言うか……まぁ、良い奴ではあることには違いないのだけど。
――――――――――
「起きます」
ここは……ああ、諏訪子の部屋か。いや、もうなんか慣れましyた。
手は後ろで組まされて鉄輪で拘束。それは懐かしい感覚。
うん、つまりいつも通りだね。
「あはっ! やっと起きてくれた。おはよう赤」
んで、目の前には諏訪子。とてもいい笑顔だ。見ていて此方も嬉しくなってしまう。
「おはよう諏訪子」
今は何時だろうか? 今回は何時になったら解放してくれるのだろうか?
「こうやって、赤と遊ぶのも久しぶりだね~もう、赤ったらなかなか帰ってきてくれないんだもん」
そうだね~久しぶりだね~
頬を少し膨らませている姿は可愛らしいのだけど、なんだろう震えが止まらない。
「今日はね、いつかまた赤と遊べる日が来ると思って用意していたものがあるんだよ!」
そう言って諏訪子は懐から小瓶を取り出した。
えっ、えと……なんですか、それ?
「赤はこれがなんだかわかる?」
いや、わからんよ。
アコニチンとかですか? それなら一瞬で楽になれそうだ。不老ではあるけれど不死ではないから優しくしてくださいね。
「いやわからんけど……何さそれ」
「媚薬」
――えへへ~、一生懸命作ったんだ。
と諏訪子は笑った。
……わ、笑えない。えと、つまり……そういうことなんですよね?
何故か幽香の顔が頭に浮かんだ。だ、大丈夫だろ。きっと正直に話せば幽香なら笑いながら……笑いながら……ああ、ダメだ。俺殺されるわ。
「え~と……で、その薬をど、どうするのかな?」
幽香の前に諏訪子をどうにかしないと。
「だからね。この媚薬を……」
と諏訪子は言って小瓶の蓋を開けた。
「私が飲む」
お 前 が 飲 む の か よ ! !
ビックリしたわ。今日一番ビックリしたわ。
そして諏訪子は小瓶の中身を一気に飲んだ。暫くすると顔が赤くなり息も荒くなってきている。ああ、いや、息は元々荒かったけどさ……
はぁ、なんかもう疲れたわ。もういいや。
はい、遊びはここまでね~
頭の中でポケモンをイメージ。
先端が緑の白い尻尾。
首に白いマフラー。
緑のパーカーで頭に2つ赤のバッチみたいなやつがついた。
『キノガッサ』
タイプ:くさ/かくとう
性別:♂
レベル:50
性格:いじっぱり
持ち物:いのちのたま
とくせい:テクニシャン
HP:136
こうげき:200
ぼうぎょ:100
とくこう:72
とくぼう:80
すばやさ:122
技:タネマシンガン・マッハパンチ・ストーンエッジ・キノコのほうし
6VでAS全振り
テクニマッパン型
とりあえず鉄輪が邪魔だから破壊。
「ふぇ……赤なにしてるの~?」
はいはい、良い子は寝る時間ですよ。
「『キノコのほうし』」
おやすみ、諏訪子。
寝かせた諏訪子を布団へ移し諏訪子の部屋を出る。外を見ると日はまだ高かった。何と言うか……なんだろうね? 別に諏訪子も悪い奴ではないから何とも難しいところ。
そして、神奈子の所へ行こうとしたら、巫女さんに出会ってやたらと褒められた。えとえと、君は君でなんだったんだい?
それから神奈子の所へ行くと神奈子は驚き、心配そうに聞いてきた。
「今回は早かったじゃないか。何もされなかったかい?」
「……うん、なにも、なにもされなかったよ」
ギリギリだったけど。アレは悲しい事件だった。
「そうか、それなら良かった。それで諏訪子はどうしたのさ?」
「俺の能力を使って眠らせてきたよ。まぁ、薬が抜けるまでは起こさない方がいいかもね」
――薬?
と神奈子は首を傾げたが、それ以上は聞いてこなかった。俺も答えたくないし。元々、怖かったけど諏訪子さんったらもっと怖くなっちゃったね。
……どうなってんだよ。
「それにしても能力ねぇ……赤の能力って便利すぎないか? なんでもできるじゃない」
いや、なんでもってわけじゃないよ。けど、まぁ、一対一なら強いはわな。一対四以上だと、たぶんボコボコにされる。
神奈子の能力だって充分すごいと思うけど……隣の芝生はいつだって青いのだ。
そんな感じで神奈子と喋ってその後は過ごした。なんか神奈子が、ドヤ顔で仕様もない洒落を連呼していたけど……
こっちが恥ずかしくなるからやめてほしい。
「赤、あんたはいつまでここに居るんだい? 私たちはいつまで居てもかまわないけど」
「う~ん、まぁ、暫くは住まわせてもらうよ。また諏訪子に黙って出て行ったら、今度こそ危ないだろうし」
また、バナナでも売りに行こうかね。久しぶりに諏訪の国を見てみたい。
「そうか、それは良かった。諏訪子もきっと喜ぶよ。それに……」
――私も嬉しいしね。
なんてテレながら神奈子は笑った。
「……恥ずかしいなら言わなきゃいいのn「ちょっと諏訪子を起こしてくる」ごめん! 俺が悪かった! 俺も神奈子とまた一緒に生活できて嬉しいな!!」
「ん、それなら良し」
そう神奈子は笑って言った。
その顔はまだ赤かった。
明日の天気は晴れるだろうし、うん、良い日になりそうだ。
『キノガッサ』ですがポイヒ型と迷いました
エッジとローキックも迷いましたが、なんとなくエッジを選択
持ち物は無難に珠を選択
ポケモンを登場させるつもりはありませんでしたが、まぁ、ガッサさん好きですし登場させました
感想・質問何でもお待ちしております