東方小妖録【完結】   作:puc119

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最終話~緑がつなぐ物語~

 

 

 う~む、体が重いし、どうにも調子が悪い。こりゃあ、長期戦は無理かねぇ。

 まぁ、でもどうせ最後なんだ、それなら少しだけ頑張ってみようじゃあないか。

 

 

 

 

 

『つよい ポケモン よわい ポケモン そんなの ひとの かって ほんとうに つよい トレーナーなら すきな ポケモンで かてるように がんばるべき』

 

 なんて有名なセリフがある。

 このセリフを聞いたときの感動は忘れない。

 

 けれども、やっぱり強いポケモンていうのは存在するんだ。相手が出してきた瞬間絶望するような、忘れたくても忘れることのできないポケモンはいる。

 相手と自分の力の差を見せつける。

 初代から変わらず頂点に君臨し続けるポケモン。

 No.150 タイプはエスパー。

 

 一発で終わらせてやんよ。

 

 

 

 ポケモンを頭の中でイメージ。

 髪は白くなり、頭に白い耳がつく。

 紫色の長い尻尾。

 そして白いパーカー。

 

『ミュウツー』

タイプ:エスパー

性別:?

レベル:100

性格:ひかえめ

持ち物:エスパージュエル

とくせい:プレッシャー

HP:354

こうげき:230

ぼうぎょ:279

とくこう:378

とくぼう:216

すばやさ:359

技:サイコブレイク・はどうだん・だいもんじ・シャドーボール

 

 6VでCS全振りのフルアタ型。

 

 おおー、体が軽い。

 ふふっ、今なら何でもできそうだ。

 

「あ、赤様……なのですか?」

 

 藍がこちらを向き、驚いたように尋ねた。そう言えば、藍にポケモンの姿を見せたこととかなかったね。

 

 幼女がこちらに気づいた。

 

「貴様……誰だ?」

 

 とりあえずその幼女と同じ高さまで飛び上がる。

 

「誰だろうと関係ないさ、来なよお嬢ちゃん。力の差を見せつけてあげる」

 

 そして、そんなセリフ。

 これでも一生懸命格好つけてみたつもり。

 

「……誰に口を利いているのかわかっているの? 今日はこんなにも良い月が出ているのだし――本気で殺してあげる」

 

 お嬢ちゃんはそう言って、どこからか槍を取り出し突っ込んできた。

 

 

 アイテム:エスパージュエル発動。

 

 

「『サイコブレイク』!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「起きます」

 

 むぅ、体中がギシギシだ。

 一匹しか使ってないのになぁ……

 

 

 昨晩の勝負は普通に俺が勝った。確一でした。

 勝負が終わるとあの幼女は気絶してしまい、どうすっかなぁとか思っていたら、チャイナ服を着た美人さんが着て引き取ってくれることに。

 

 んで、どうやら吸血鬼がこの幻想郷を支配しようとしていたらしく、その親玉があの幼女だったらしい。つまり俺は知らない内に幻想郷の危機を救ったってことになる。いや~、良いことした後は気持ちいいね。

 

 てか、幻想郷の危機だってのに紫は何をやっていたんだか……

 そろそろ藍に逃げられるぞ。

 

 さて、そろそろ出発しようかね。

 そんなことを思い、出かける支度をして家を出ることに。

 

 この家にも随分とお世話になった。

 ありがとうございました。

 

 向かう先は博麗神社、理由は外の世界に行くため。

 

 どうやら、もう限界らしいのだ。

 

 

 

 

 

 

 1996年2月に『ポケットモンスター 赤・緑』は発売される。

 

 幻想郷と言う場所は、忘れられた者達の集まる場所。

 そんな幻想郷は俺がいて良い場所じゃない。俺がいられるような場所じゃない。

 

 

 博麗神社へと続く長い階段を上りながら、幻想郷での思い出に浸る。う~ん。楽しかった……のかな?

 

 

 

 階段を上り終えると、小さな巫女さんがいた。

 

「あら、参拝客とは珍しいわね」

 

 参拝客じゃないけどね。だいたい博麗神社って何の神様を祀ってあるんだよ。

 

 

 初めましてこんにちは、と言おうと思ったら小さな巫女さんが倒れた。

 

 ええー!?

 い、いや、違うぞ。俺は何もしてないからね。

 

 

 小さな巫女さんを母屋まで運び、布団の上に寝かせた。う~ん、これじゃあ帰りたくても帰れない。

 どうすっかね。できれば早く目を覚ましてほしいのだけど。

 

「あら、赤が博麗神社にいるなんて珍しいわね。って、霊夢! どうしたの!?」

 

 紫が現れたと思ったら、急に騒ぎ出した。全く、大の大人が情けない。少しは落ち着きなさいな。

 

 ん? でも、れいむ? ……ああ、そっか。この子が博麗霊夢か。

 俺の知っている霊夢は、赤色の巫女服を着ていたと思ったけど……まぁきっとこの子があの博麗霊夢なんだろう。

 

「なんか急に倒れたんだけど、風邪とかかねぇ?」

 

 こっからじゃ、お医者さんまで遠いしどうしようか……ああ、紫が連れていけばいいのか。ホント、便利な能力だよねぇ。

 

「これは……」

 

 おや? 紫さんったら随分と真剣な顔をしていますよ?

 

「どうしたのさ? お医者さんの所へ連れて行かなくても良いの?」

 

 ほら、せめて薬くらい飲ませないと。

 

「……病気ではないわ。医者に見せても無駄でしょうね」

 

 ありゃ、そうなの?

 それならなんなのだろうか。雰囲気的に寝不足とかではなさそうだ。

 

「んじゃあ、なんなのさ?」

「この子は歴代の博麗の巫女の中でも、飛び抜けた霊力を持っているわ。だから私もこの子を博麗の巫女に選んだ。でも霊力が多すぎた。一人の人間が抱えられる限界を越しているわ。あと、数日が限界でしょう……」

 

 あらあら……いきなりシリアスな感じになっちゃったな。少しは伏線くらい張っておいてほしかった。

 

「紫の能力でなんとかできないの?」

 

 ほら、良い感じに境界を弄ってさ。

 

「無理よ。流石の私でもこの子の中の世界を広げることはできないわ」

「……そっか」

 

 世界ねぇ。

 世界……か。

 

 

「なぁ、紫。この子の名前ってなんて言うんだ?」

 

 さっき聞いたけど確認のため、ね。

 

「名前? ダメよ。貴方にこれ以上背負わせるわけにはいかないもの」

 

 

「霊夢……この子、博麗霊夢って言うんだよな?」

 

 俺が知っている数少ない東方Projectのキャラの一人。

 確か、この娘が主人公……なんだよな。

 

「っ! どうして名前を?」

 

 いや、あんた自分で言ってたからね? 今はそんなに驚く場面じゃないからね?

 

 

 うん……たぶん、良い機会なんだろう。

 

 さてさて、ちゃんと会うのは何年ぶりだろうか?

 

 

「ねぇ、ちょっと赤。聞いてい――」

 

 紫の声が遠くなり始めたのがわかる。

 

 

 意識を沈め、自分の奥へと進む。奥へ、奥へ、奥へと進み扉の前までたどり着いた。

 

 

 

 

 

 

 扉をゆっくりと開け、中にいる彼女に挨拶。

 

 

 

 やぁ、久しぶりだね。

 

『久しぶりじゃな』

 

 そだね、こうやってちゃんと会うのは一億年ぶり以上になるのかな? んでさ、お願いがあるんだけど……

 

『わかっておる、あの人間の小娘を助ければ良いのじゃろ?』

 

 おお、やたら物分りがいいじゃないか。

 

『そりゃ、お主を通して見ていたからな』

 

 まぁ、そりゃそうか。

 んじゃあ、ちょっと外へ出てきてもらえる?

 

 あ、いきなり暴れたりしないでね。

 

『あい、わかった。久しぶりの娑婆なんじゃ、せいぜい楽しませてもらうよ』

 

 む、娑婆とは失礼な。別に束縛していたわけではだろうに。

 ああでもしなければ、彼女を助けられなかったのだ。

 

『わかっておるよ』

 

 そう言って彼女は笑った。

 

 

 

 

 

「ちょっと! 赤!」

 

 うわっ、何さ? んもう、そんなに叫ばなくてももう聞こえるよ。

 

「紫、ちょっと友達を連れてくるけどいい?」

「は? 何を言って……」

 

 

 

「いよっしゃーーー! 外の世界じゃーーー! 復活なのじゃーーーーー!」

 

 彼女が現れた。

 

 ……あれ? コイツってこんなテンション高かったっけ? 俺の記憶が正しければもっとクールな感じだった気が……

 

「いや、お主の中にずっといたせいじゃな」

 

 ああ、なるほど。まぁ、確かに、俺の中のやつらは皆テンション高いしね。

 そう言った彼女は、一億年以上前に見た姿と全く変わら……あれ?

 

「……お前、なんか縮んでね?」

「だってわしの体はもう無いもん。それでせっかくだから、お主好みの大きさにした」

 

 し、失礼な。俺はもっとグラマラスなお姉さんの方が好みです。

 

「はいはい、そうじゃのー」

 

 ……なんという棒読み。

 棒読みちゃんか、お前は。ゆっくりしていってね!

 

「な、なんなの貴方は? どうしてそんな妖力を……」

 

 うん? 紫の様子がおかしいですぞ。

 俺は元々そういうのを感じないからわからないけれど、彼女の妖力が強すぎるのか。まぁ、一億年以上生きた妖怪だもんね。そりゃあ、それなりの妖力くらいは持っているのだろう。

 

 ほら、もうちょっと力を抑えなさい。

 

「そんなことを言われても、久しぶりなせいで上手く制御できんのじゃ」

 

 “のじゃ”じゃない、“のじゃ”じゃ。ちょっと可愛いと思うけどなんとかしなさいよ。話が進まないでしょうが。

 

「わっかたよ、ほれ、これで良いじゃろう?」

 

 彼女がそう言って暫くすると、漸く紫が落ち着いてきた。何だよできるじゃん。

 

「だって、わし天才じゃし」

「お前、さっきからキャラがぶれすぎだろ……」

 

 扱いに困る。

 

 

 

 

「……それで? 赤は何をしようと言うのかしら?」

 

 ようやっと、紫が喋ってくれた。

 

「俺の世界を霊夢に移す。そうすれば霊夢は助かるだろ?」

 

 なんせ、一万以上の存在を抱えていた世界なんだ。

 

「……確かに霊夢は助かるわ。けれどもそうやって移すの? それに、そんなことをしたら貴方は……」

 

 まぁ、俺の存在は限りなく薄くなるだろうね。

 皆からは見えなくなるだろうし、気配すらほとんど感じなくなるだろう。もしかしたら、そのまま消えるかもしれない。

 

「移すのは、そこの相棒にやってもらう……できるよな?」

「当たり前じゃ」

 

 流石です。

 

「貴方の存在が消えるのよ?」

 

 紫が言った。

 

「わかってるよ、そんくらい。大丈夫だって、ちょっと霊夢が死ぬまで貸しておくだけだし。それに……」

 

 ――外の世界が俺を呼んでいるしね。

 

 そう俺は言った。

 

 たぶん、ちょうど良い機会なんだろう。どうせこの幻想郷には、当分帰って来られないんだ。

 

「俺が消えたあと、お前はどうすんの?」

 

 流石にお前を俺の中に戻すのは厳しいのだけど。そんな余裕なんてないだろうし。

 

「ん? わしか? そうじゃな……お主の住んでいた家を借りることにするよ。この小娘からお主の世界を回収しないといけんしな。それにお主だって数百年もすれば帰って来るのじゃろ? だったら待っているよ」

 

 そっか、そりゃあは助かる。

 でも、あんまり問題とかは起こすなよ?

 

「大丈夫じゃ……たぶん」

 

 ああ、これはダメだろうな。

 

「んじゃあな、紫。今までお世話になった。ま、千年もしないうちに帰ってくるよ」

 

 たった千年。

 そんなのあっと言う間だ。

 

「本気で言っているの?」

「俺はいつだって本気だよ」

 

 

「……どうして、霊夢のためにそこまでするのかしら?」

 

 

 紫が聞いた。

 

 

「だって、俺が一番最初に出会ったキャラだしな」

 

 

 俺は答えた。

 たぶん、今までで一番上手く笑えていたと思う。

 

 つまり俺がこの東方Projectの世界を知ったきっかけ。

 一方的な恩返し。偽善、エゴ。まぁ、何とでも言ってくださいな。

 

「え? どういう……」

 

 紫の声がした。そんな紫の言葉には笑って返事の変わり。

 さてさて、んじゃあ任せたよ相棒。

 

「ん、任されたよ相棒」

 

 そんな言葉を交わした瞬間――俺の体から何かが抜けていくのがわかった。次第に意識は薄れていく。

 

 どうやら今度こそゆっくり寝られそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 雨の日だったと思う。

 もしかしたら晴れていたかもしれない。

 

 不治の病だったかもしれない。

 交通事故だったかもしれない。

 死にかけの女の子を救うためだったかもしれない。

 

 けれども、今となってはどうでもいい。

 

 ただ、確かなことは一人の青年が、この世界から消えたということ。

 

 






はい、最終話でした
どうでしょうか? 一応、彼女の説明やらもあるので、もう一話投稿する予定ですがこれが最終話となります

サブタイトルの~緑がつなぐ物語~の緑は彼女のことです
第2話とは違い、ホットケーキは関係ありません

吸血鬼の幼女はレミリアさんです
戦闘シーン全カットな理由は、そっちの方がカッコイイと思ったからです
けっして面倒だったからではありません
想像できなかったから、とかではありません。

なんちて

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