「そう言えば、さとりちゃんって何をしに地上へ来たの?」
お散歩とかではないと思うけど。
てか今って簡単に地底と地上を行き来できるんだね。昔は封印に近かったと思った。
「その……妹を探しています。すぐ何処かへフラフラと行ってしまって……緑色の髪の毛で帽子を被り、私と同じような第三の目がある子なのですが、見かけませんでしたか?」
やはり目は合わせてもらえないまま、さとりちゃんが言った。
あら、そうだったんだ。いくら狭い幻想郷とは言え、探すのは大変だろうに。
「う~ん、残念だけど俺は見てないかな。巫女さんは?」
「いえ、私も最近は見ていません」
「そうですか……」
俺もアイツをさっさと見つけないとだなぁ。
こちらも人探し。お互いに通ずるところあると思う。
「手伝おうか?」
まぁ、俺の方はまだ放って置いても大丈夫だろうしね。
いや、幽香の言葉を聞く限り、急いだ方が良いのか?
「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」
そう言ってさとりちゃんは頭を下げた。
なんだか申し訳なくなる。
そしてまた俺の中が騒がしくなった。
『み、見られて……ない……だと……?』
『貴方は見られている、が?』
『宗教』
『見られていなくても、が?』
『道徳』
『見られていると興奮するのが?』
『俺たち』
『いえー』
仲良いなお前ら。
そして本当に黙っていてください。
『なんだよー、お前ももっと俺たちを見てもらえるように努力しろよー』
そんなことしたら、またさとりちゃんが倒れちゃうでしょうが。我慢しなさい。
『そんなことより、さっさと迎えに行かなくて良いの? たぶん、そんなに時間ないよ』
大丈夫だよ、そろそろ行くから。
「そっか、それじゃあ俺は行くとするよ。んと、あの穴から行けるんだっけ?」
神社の隣にある、不自然にできた大きな穴を指差しながら聞いた。でもあの穴大丈夫? 間違えて落ちたりしない? 蓋くらいはしておいた方が良いと思う。
「はい、その穴から降りれば旧都へ着きますよ」
巫女さんが言った。
んと、旧都ってのは地底にある都市のことだったよね。
「了解。んじゃあまたね。巫女さん、さとりちゃん」
二人に軽く手を振ってから出発。
幻想郷には結構な時間住んでいたけれど、地底へ行くのは初めて。そこはどんな世界が待っているんでしょうね?
早速、頭の中でポケモンをイメージ。
雲のようにフワフワした帽子。
紫色の髪の毛。
袖の先が黄色く、胸に×印の付いた紫パーカー。
『フワンテ』
タイプ:ゴースト・ひこう
性別:♂
レベル:1
性格:さみしがり
持ち物:きあいのタスキ
とくせい:かるわざ
HP:13
こうげき:6
ぼうぎょ:4
とくこう:6
とくぼう:6
すばやさ:7
技:からみつく・ちいさくなる
6V:HS全振り
『フワンテ』を選んだ理由は、旧地獄だしそれっぽいポケモンが良かったのと、これから落ちるのだから飛行タイプが必要だったから。
そしてフワフワと浮きながら、旧地獄へと続いている穴をゆっくりと落ちていった。
さっさとアイツが見つかってくれれば良いけれど。
かなり長い時間落ち続け、漸く地面が見えてきた。地下なはずなのに地底世界は明るい。どうなっているんだろうね。
どことなく赤みを帯びた地面。遠くには明かりと建物が見えた。これだけ遠くにいても賑やかな雰囲気が伝わってくる。
流石はお祭り好きな鬼たちです。
賑やかな空気に誘われてフラフラと明るい方へ。さてさて、あの相棒は何処にいるんでしょうね。
旧都へ着くと、そこはまさにお祭り状態と言った感じだった。道端には出店が立ち並び、其処彼処からお酒や食べ物の匂い。そして沢山の鬼や妖怪が、食べたり飲んだりと皆さん楽しそう。
なんとなく、いつかの大江山を思いだした。
「おや、もしかして赤かい?」
騒いでいる妖怪たちを横目に歩いていると、そんな声をかけられた。
聞き覚えのある声と懐かしいお酒の香り。
「や、萃香。久しぶり」
俺がそう返事をすると、目の前に萃香が現れた。今は地上じゃなくてこっちにいるんだね。いや、本当に久しぶりだね。昔は毎日のように会っていたのに。
「なんだい、なんだい。本当に久しぶりじゃないか! いや~地獄に幽閉されたって聞いていたけど、もう大丈夫なの?」
いや別に幽閉されていたわけじゃないけど……それに地獄じゃなくて是非曲直庁だよ。
「まあね、最近帰って来たんだ」
「そいつはおめでたいね! とりあえずお酒でも飲むかい?」
そう言って萃香は持っていた瓢箪をこちらへ差し出してきた。
「ん~悪いけどお酒はまた今度ね」
俺がそう言うと、萃香は『なんだよ~お酒飲もうよ~』と言って駄々を捏ねた。君も昔と変わらないねぇ。
「此処へは人探しに来ただけだよ。お酒はその後かな」
どうやらちょいと急がないといけないみたいなんだ。
「人探し……? ああ、もしかしてあの緑の娘のこと?」
あら、随分と察しが良いですね。良かった。どうやらあの相棒は直ぐに見つかりそうだ。
「うん、そうだよ。今どこにいるか萃香は知ってる?」
「あの娘なら最近はずっと都外れの荒地にいるよ。何をしているのかわからないけど。この道を真っ直ぐ進めばいると思う」
都外れですか? そんなところで何やってんだアイツは。
ん~考えてもわからないか。まぁ、いるってわかっただけで御の字です。
「そかそか、それじゃあ迎えに行ってくるよ。あっ、そうだ。勇儀に4人で一緒にお酒を飲もうって言っておいてもらえる?」
せっかく地底まで来たんだもの。会っておきたい。
「おー、そりゃあ楽しみだね。了解、言っておくよ」
少しだけ怖いけれど、これで楽しみが一つ。
そして俺は萃香に手を振り歩き出した。
「ああ、そうだ赤」
歩き出して直ぐ、後ろから萃香に呼び止められた。
「うん?」
「おかえり」
どこか楽しそうに笑いながら萃香が言った。
うん……
――ただいま。
萃香に言われた通り真っ直ぐに進み、鬼達が住んでいる都からだいぶ離れた荒野に彼女はいた。
辺りは薄暗く、お世辞にも良い景色とは言いづらい。
「こんな所で何やってんの?」
彼女に声をかける。
「うん? ああ、おぬしか。なんじゃ漸く帰ってきたのか」
こちらをチラリとだけ見て彼女が言った。いや、質問に答えなさいよ。こちらはせっかく迎えに来てあげたんだ。
「最初は温泉と言うのに入ってみたくて来たんじゃが、もう飽きた」
随分と観光旅行を満喫していたんですね。
てか、俺も誘ってよ。
「探したんだぞ。全く一人だけで楽しみやがって……」
「ははっ、それはすまんかったな……ハッ、もしかしておぬしわしと一緒に温泉に入りたかったのか? さ、流石はロリコンじゃ……」
んなわけないでしょうが! 張り倒すぞ。
……さて。
さてさて、冗談はこの辺にしてそろそろ本題に入りましょうよ。お前だって何の理由もなく、此処にいたわけではないんだろう?
「……んで、こんな場所でどうしたのよ? ただ、ボーっとしていただけではないんだろ?」
「随分と察しが良いんじゃな……」
それくらいはわかる。
何年一緒にいたと思ってるんだよ。
「なあ、もしかしておm「お願いがあるんじゃが」
こちらのかけた声を遮りながら彼女が言った。
どこか遠くを見たまま。
「……どうしたよ?」
「久しぶりに戦ってみないかえ?」
これはまた……随分といきなりですね。
「いきなりどうしたのさ?」
「ここで、色々と考えていた。おぬしと出会ってからのこと。そしてこれからのことを……それに負けたままと言うのは、どうにも気に入らん」
何を考えていたのかは分からないけれど、まぁ、彼女も色々と思うところがあるのかな。
「いいよ。全力で叩き潰してあげる」
周りに人はいないし、俺達が暴れるのにはちょうど良い。
「はっ、おぬしごときがそれを言うか?」
その『おぬしごとき』にお前は負けたでしょうが。
「おぬしの強さは知っている。けれど、あの時に比べてわしはかなり強くなった。流石に種族値や特性までは覚えておらんが、タイプやアイテムは覚えた」
俺だってお前の強さくらい知っている。誰よりも俺がソレを知っている。
それでも負ける気はしない。お前にだけは負けたくない。
「レベルの違いを見せてやんよ妖怪もどき」
「実力の違いを教えてやろう人間もどき」
火蓋は切られた。
さあ、一億年ぶりの闘いだ。
きっと、あと2話ほどで終わるかと思います
次話は久しぶりのポケモンバトルです
東方キャラはほとんど出ないかもしれません
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