東方小妖録【完結】   作:puc119

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第閑話~わかってた~

 

 

「そう言えば、さとりちゃんって何をしに地上へ来たの?」

 

 お散歩とかではないと思うけど。

 てか今って簡単に地底と地上を行き来できるんだね。昔は封印に近かったと思った。

 

「その……妹を探しています。すぐ何処かへフラフラと行ってしまって……緑色の髪の毛で帽子を被り、私と同じような第三の目がある子なのですが、見かけませんでしたか?」

 

 やはり目は合わせてもらえないまま、さとりちゃんが言った。

 あら、そうだったんだ。いくら狭い幻想郷とは言え、探すのは大変だろうに。

 

「う~ん、残念だけど俺は見てないかな。巫女さんは?」

「いえ、私も最近は見ていません」

「そうですか……」

 

 俺もアイツをさっさと見つけないとだなぁ。

 こちらも人探し。お互いに通ずるところあると思う。

 

「手伝おうか?」

 

 まぁ、俺の方はまだ放って置いても大丈夫だろうしね。

 いや、幽香の言葉を聞く限り、急いだ方が良いのか?

 

「いえ、大丈夫です。お気遣いありがとうございます」

 

 そう言ってさとりちゃんは頭を下げた。

 なんだか申し訳なくなる。

 

 そしてまた俺の中が騒がしくなった。

 

『み、見られて……ない……だと……?』

『貴方は見られている、が?』

『宗教』

『見られていなくても、が?』

『道徳』

『見られていると興奮するのが?』

『俺たち』

『いえー』

 

 仲良いなお前ら。

 そして本当に黙っていてください。

 

『なんだよー、お前ももっと俺たちを見てもらえるように努力しろよー』

 

 そんなことしたら、またさとりちゃんが倒れちゃうでしょうが。我慢しなさい。

 

『そんなことより、さっさと迎えに行かなくて良いの? たぶん、そんなに時間ないよ』

 

 大丈夫だよ、そろそろ行くから。

 

「そっか、それじゃあ俺は行くとするよ。んと、あの穴から行けるんだっけ?」

 

 神社の隣にある、不自然にできた大きな穴を指差しながら聞いた。でもあの穴大丈夫? 間違えて落ちたりしない? 蓋くらいはしておいた方が良いと思う。

 

「はい、その穴から降りれば旧都へ着きますよ」

 

 巫女さんが言った。

 んと、旧都ってのは地底にある都市のことだったよね。

 

「了解。んじゃあまたね。巫女さん、さとりちゃん」

 

 二人に軽く手を振ってから出発。

 

 幻想郷には結構な時間住んでいたけれど、地底へ行くのは初めて。そこはどんな世界が待っているんでしょうね?

 

 

 早速、頭の中でポケモンをイメージ。

 

 雲のようにフワフワした帽子。

 紫色の髪の毛。

 袖の先が黄色く、胸に×印の付いた紫パーカー。

 

『フワンテ』

タイプ:ゴースト・ひこう

性別:♂

レベル:1

性格:さみしがり

持ち物:きあいのタスキ

とくせい:かるわざ

HP:13

こうげき:6

ぼうぎょ:4

とくこう:6

とくぼう:6

すばやさ:7

技:からみつく・ちいさくなる

 6V:HS全振り

 

 『フワンテ』を選んだ理由は、旧地獄だしそれっぽいポケモンが良かったのと、これから落ちるのだから飛行タイプが必要だったから。

 

 そしてフワフワと浮きながら、旧地獄へと続いている穴をゆっくりと落ちていった。

 さっさとアイツが見つかってくれれば良いけれど。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 かなり長い時間落ち続け、漸く地面が見えてきた。地下なはずなのに地底世界は明るい。どうなっているんだろうね。

 

 どことなく赤みを帯びた地面。遠くには明かりと建物が見えた。これだけ遠くにいても賑やかな雰囲気が伝わってくる。

 

 流石はお祭り好きな鬼たちです。

 

 賑やかな空気に誘われてフラフラと明るい方へ。さてさて、あの相棒は何処にいるんでしょうね。

 

 

 旧都へ着くと、そこはまさにお祭り状態と言った感じだった。道端には出店が立ち並び、其処彼処からお酒や食べ物の匂い。そして沢山の鬼や妖怪が、食べたり飲んだりと皆さん楽しそう。

 

 なんとなく、いつかの大江山を思いだした。

 

「おや、もしかして赤かい?」

 

 騒いでいる妖怪たちを横目に歩いていると、そんな声をかけられた。

 聞き覚えのある声と懐かしいお酒の香り。

 

「や、萃香。久しぶり」

 

 俺がそう返事をすると、目の前に萃香が現れた。今は地上じゃなくてこっちにいるんだね。いや、本当に久しぶりだね。昔は毎日のように会っていたのに。

 

「なんだい、なんだい。本当に久しぶりじゃないか! いや~地獄に幽閉されたって聞いていたけど、もう大丈夫なの?」

 

 いや別に幽閉されていたわけじゃないけど……それに地獄じゃなくて是非曲直庁だよ。

 

「まあね、最近帰って来たんだ」

「そいつはおめでたいね! とりあえずお酒でも飲むかい?」

 

 そう言って萃香は持っていた瓢箪をこちらへ差し出してきた。

 

「ん~悪いけどお酒はまた今度ね」

 

 俺がそう言うと、萃香は『なんだよ~お酒飲もうよ~』と言って駄々を捏ねた。君も昔と変わらないねぇ。

 

「此処へは人探しに来ただけだよ。お酒はその後かな」

 

 どうやらちょいと急がないといけないみたいなんだ。

 

「人探し……? ああ、もしかしてあの緑の娘のこと?」

 

 あら、随分と察しが良いですね。良かった。どうやらあの相棒は直ぐに見つかりそうだ。

 

「うん、そうだよ。今どこにいるか萃香は知ってる?」

「あの娘なら最近はずっと都外れの荒地にいるよ。何をしているのかわからないけど。この道を真っ直ぐ進めばいると思う」

 

 都外れですか? そんなところで何やってんだアイツは。

 ん~考えてもわからないか。まぁ、いるってわかっただけで御の字です。

 

「そかそか、それじゃあ迎えに行ってくるよ。あっ、そうだ。勇儀に4人で一緒にお酒を飲もうって言っておいてもらえる?」

 

 せっかく地底まで来たんだもの。会っておきたい。

 

「おー、そりゃあ楽しみだね。了解、言っておくよ」

 

 少しだけ怖いけれど、これで楽しみが一つ。

 そして俺は萃香に手を振り歩き出した。

 

「ああ、そうだ赤」

 

 歩き出して直ぐ、後ろから萃香に呼び止められた。

 

「うん?」

「おかえり」

 

 どこか楽しそうに笑いながら萃香が言った。

 

 うん……

 

 

 ――ただいま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 萃香に言われた通り真っ直ぐに進み、鬼達が住んでいる都からだいぶ離れた荒野に彼女はいた。

 辺りは薄暗く、お世辞にも良い景色とは言いづらい。

 

「こんな所で何やってんの?」

 

 彼女に声をかける。

 

「うん? ああ、おぬしか。なんじゃ漸く帰ってきたのか」

 

 こちらをチラリとだけ見て彼女が言った。いや、質問に答えなさいよ。こちらはせっかく迎えに来てあげたんだ。

 

「最初は温泉と言うのに入ってみたくて来たんじゃが、もう飽きた」

 

 随分と観光旅行を満喫していたんですね。

 てか、俺も誘ってよ。

 

「探したんだぞ。全く一人だけで楽しみやがって……」

「ははっ、それはすまんかったな……ハッ、もしかしておぬしわしと一緒に温泉に入りたかったのか? さ、流石はロリコンじゃ……」

 

 んなわけないでしょうが! 張り倒すぞ。

 

 

 

 ……さて。

 

 さてさて、冗談はこの辺にしてそろそろ本題に入りましょうよ。お前だって何の理由もなく、此処にいたわけではないんだろう?

 

「……んで、こんな場所でどうしたのよ? ただ、ボーっとしていただけではないんだろ?」

「随分と察しが良いんじゃな……」

 

 それくらいはわかる。

 何年一緒にいたと思ってるんだよ。

 

「なあ、もしかしておm「お願いがあるんじゃが」

 

 こちらのかけた声を遮りながら彼女が言った。

 どこか遠くを見たまま。

 

「……どうしたよ?」

「久しぶりに戦ってみないかえ?」

 

 これはまた……随分といきなりですね。

 

「いきなりどうしたのさ?」

「ここで、色々と考えていた。おぬしと出会ってからのこと。そしてこれからのことを……それに負けたままと言うのは、どうにも気に入らん」

 

 何を考えていたのかは分からないけれど、まぁ、彼女も色々と思うところがあるのかな。

 

「いいよ。全力で叩き潰してあげる」

 

 周りに人はいないし、俺達が暴れるのにはちょうど良い。

 

「はっ、おぬしごときがそれを言うか?」

 

 その『おぬしごとき』にお前は負けたでしょうが。

 

「おぬしの強さは知っている。けれど、あの時に比べてわしはかなり強くなった。流石に種族値や特性までは覚えておらんが、タイプやアイテムは覚えた」

 

 俺だってお前の強さくらい知っている。誰よりも俺がソレを知っている。

 それでも負ける気はしない。お前にだけは負けたくない。

 

「レベルの違いを見せてやんよ妖怪もどき」

「実力の違いを教えてやろう人間もどき」

 

 火蓋は切られた。

 さあ、一億年ぶりの闘いだ。

 

 

 






きっと、あと2話ほどで終わるかと思います

次話は久しぶりのポケモンバトルです
東方キャラはほとんど出ないかもしれません

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