朝起きると外から人の気配がした。
「お? なんだ、これか? これが欲しいのか? ふふん。ま、あげないけどね」
そんな声が聞こえてきて、何をしているのか気になり外へ。
「はい、食べちゃった~……あ痛ぁ! 痛い。ちょ、嘴でつつくのやめて。痛い、痛いって……野郎、ぶっ殺してやらぁ!」
少年とも青年とも言える人間が、烏と全力で喧嘩をしていた。
何をやっているんだろうか……
そして、その少年が私に気づいた。
「あ、見たことある顔だ」
ぽそりとつぶやいた声が私まで届く。
そりゃあ、私だってこの諏訪国の王にして、ミシャグジ信仰を束ねる立派……かどうかはわからないけど、神なんだ。知っていてもおかしくない。
「貴様は何者dあーうー。帽子返してよー」
いきなり帽子を取られた。
「昔から気になってたけど、このヘンテコな帽子って何で目がついてんの?」
ヘンテコとは失礼な。気に入ってるのだから放っておいてもらいたい。
帽子は返してもらえた。
あーあ、ちょっとシワができちゃったじゃないか。なんなんだ、この失礼すぎる人間は。
「……もう一度聞く。貴様はなn「ほら、飴をあげるよ」あーうー。甘くて美味しいよー」
蹴った。
つま先で奴の脛を。
「あ痛っ!」
ホント、なんなんだコイツは……
もらった飴は……うん、まぁ、美味しかった。
――――――――――
一人旅を始めてかなりの時間がたった。
ホント、どれくらいたったのだろうね……久しぶりに人間を見たときは感動した。
まぁ、会話にならなかったんだけどさ。
だって奇声を発しながら追いかけてくるし。あんな奴ら人間じゃねぇ。しばらく人間不信になりました。
そこから何年もして漸く会話ができるようになった。意外と普通に会話ができる。古語っぽさなど微塵もない。
俺の中の歴史知識がまた一つ崩壊。
そして漸く稲作が始まり色々な場所に国ができた。
フラフラと一人旅を続けながらも、色々と思うところもあって信州へ。
なんか大きな神社があって、場所的にはこれ諏訪大社だよなぁ。とか思いつつ参拝。どうか、良いことありますように神様へお願い。
そして烏との熱戦を繰り広げていると、ヘンテコな帽子を被った女の子が登場。
おお、東方Projectのキャラだ!
でも名前がわかんない。はてさて、なんて名前のキャラだろうか。
昔から気になっていた帽子を取ったり、飴をやったりして遊んであげると「あーうー」とか言って喜んでいた。その娘も喜んでくれたみたいで、俺も嬉しいよ。
けれども、何故か蹴られた。
理不尽だ……
その後、会話をしてわかったけど、どうやら彼女の名前は『洩矢諏訪子』と言い、王で神らしい。
すごく偉そうにしながら言われた。
……うん、とても想像力の豊かな女の子だってことはわかった。
さて、あちらの自己紹介が終わったのだから、次はこちらの番だ。
「我はルシフェラーゼ。光という名の道標を司る神だ」
殴られた。
顔面にいいのが入った。
理不尽だ。
――――――――――
殴った。
顔面を。
「真面目に答えろ」
「……名前は赤、種族はポケモン」
うん? ぽけもん? そんな種族は聞いたことがないのだけど……
あと、流れっぱなしになっている鼻血はどうにかしてもらいたい。
いや、私のせいだけどさ。
「人間ではないのか?」
「まぁ、種族的には妖怪かな」
妖怪だと……?
その言葉を聞き、抑えていた神力を一気に開放した。
「妖怪が諏訪の地に何の用だ……」
「いや、特に用事はなかったけど……強いて言うなら観光かな」
あ、あれ? 私の神力を受けて何の反応もない……? 中級程度の妖怪なら私が神力を開放するだけで、倒れるというのに……
コイツ、何者だ?
そして焦った私は、神力を込めた弾を慌てたようにその妖怪に放った。
「オゥッ……」
妖怪は倒れた。
……えっ?
――――――――――
「起きます」
布団の上で目を覚ます。
あら? 布団? どこでしょうね、ここ。
特に何かをしたわけでもないのに、蹴られて、殴られて、弾をぶつけられた。
やはり、理不尽だ。東方のキャラって皆暴力的なのかな……それじゃあ先が思いやられる。
布団は畳んで部屋の隅へ。
お世話になりました。
ここがどこか知りたくなって外へ出ようとしたら、諏訪子と出会った。やぁ、奇遇だね。
「いきなり攻撃して悪かったね……」
蹴ったこと、殴ったこと、弾のことどれだろうね。
まぁ、たぶん最後の一発なんだろう。
「ん~、まぁいいよ。気にしてないし」
「調べてみたけど、あんたから力は全く感じなかったし、悪意もない。ごめんね」
と言って諏訪子は謝った。
あれ? あの喋り方はやめちゃったんだ。飽きちゃったのかな? まぁ、似合ってなかったもんね。俺も今の喋り方の方が良いと思うよ。
「お詫びも兼ねて、昼餉の準備をさせている。受け取ってもらいたいのだけど……」
――どうかな?
なんてこてりと首を傾げ、諏訪子は言った。
う~ん、本当に気にしてないんだけどなぁ。それにお腹が空いているわけでもないし。
まぁ、ここは素直に受け取るのが正解なんだろうね。
「有り難くいただくよ」
「そっか、それなら良かった」
と言って諏訪子は笑った。
うん、いい笑顔だ。
「失礼します。御食事の準備が整いました」
知らない女性が諏訪子に報告。
「わかった。ご苦労」
「はい。失礼します」
おやおや? もしかして諏訪子ってホントに偉い人なの?
「ようこそ、諏訪の地へ。妖怪よ歓迎してやろう」
え……マジで?
せっかく用意してもらった昼飯の味はよくわからなかった。
短かいような気がしますけれど、きっと気のせいですね
最近はトリックアートとか流行ってますし
タイトルの『いただきました』っていうのは
長野県の中部~南部で使われている方言です
意味は『ごちそうさまでした』
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