東方小妖録【完結】   作:puc119

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第5話~いただきました~

 

 

 朝起きると外から人の気配がした。

 

「お? なんだ、これか? これが欲しいのか? ふふん。ま、あげないけどね」

 

 そんな声が聞こえてきて、何をしているのか気になり外へ。

 

「はい、食べちゃった~……あ痛ぁ! 痛い。ちょ、嘴でつつくのやめて。痛い、痛いって……野郎、ぶっ殺してやらぁ!」

 

 少年とも青年とも言える人間が、烏と全力で喧嘩をしていた。

 何をやっているんだろうか……

 

 

 そして、その少年が私に気づいた。

 

「あ、見たことある顔だ」

 

 ぽそりとつぶやいた声が私まで届く。

 そりゃあ、私だってこの諏訪国の王にして、ミシャグジ信仰を束ねる立派……かどうかはわからないけど、神なんだ。知っていてもおかしくない。

 

 

「貴様は何者dあーうー。帽子返してよー」

 

 いきなり帽子を取られた。

 

「昔から気になってたけど、このヘンテコな帽子って何で目がついてんの?」

 

 ヘンテコとは失礼な。気に入ってるのだから放っておいてもらいたい。

 帽子は返してもらえた。

 あーあ、ちょっとシワができちゃったじゃないか。なんなんだ、この失礼すぎる人間は。

 

 

「……もう一度聞く。貴様はなn「ほら、飴をあげるよ」あーうー。甘くて美味しいよー」

 

 

 蹴った。

 

 つま先で奴の脛を。

 

「あ痛っ!」

 

 ホント、なんなんだコイツは……

 

 

 もらった飴は……うん、まぁ、美味しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 一人旅を始めてかなりの時間がたった。

 

 

 ホント、どれくらいたったのだろうね……久しぶりに人間を見たときは感動した。

 

 まぁ、会話にならなかったんだけどさ。

 だって奇声を発しながら追いかけてくるし。あんな奴ら人間じゃねぇ。しばらく人間不信になりました。

 

 そこから何年もして漸く会話ができるようになった。意外と普通に会話ができる。古語っぽさなど微塵もない。

 俺の中の歴史知識がまた一つ崩壊。

 

 そして漸く稲作が始まり色々な場所に国ができた。

 

 フラフラと一人旅を続けながらも、色々と思うところもあって信州へ。

 なんか大きな神社があって、場所的にはこれ諏訪大社だよなぁ。とか思いつつ参拝。どうか、良いことありますように神様へお願い。

 

 そして烏との熱戦を繰り広げていると、ヘンテコな帽子を被った女の子が登場。

 

 おお、東方Projectのキャラだ!

 でも名前がわかんない。はてさて、なんて名前のキャラだろうか。

 

 昔から気になっていた帽子を取ったり、飴をやったりして遊んであげると「あーうー」とか言って喜んでいた。その娘も喜んでくれたみたいで、俺も嬉しいよ。

 

 けれども、何故か蹴られた。

 

 理不尽だ……

 

 

 その後、会話をしてわかったけど、どうやら彼女の名前は『洩矢諏訪子』と言い、王で神らしい。

 

 すごく偉そうにしながら言われた。

 

 ……うん、とても想像力の豊かな女の子だってことはわかった。

 さて、あちらの自己紹介が終わったのだから、次はこちらの番だ。

 

 

「我はルシフェラーゼ。光という名の道標を司る神だ」

 

 

 殴られた。

 

 顔面にいいのが入った。

 

 理不尽だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 殴った。

 

 顔面を。

 

 

「真面目に答えろ」

「……名前は赤、種族はポケモン」

 

 うん? ぽけもん? そんな種族は聞いたことがないのだけど……

 あと、流れっぱなしになっている鼻血はどうにかしてもらいたい。

 

 いや、私のせいだけどさ。

 

 

「人間ではないのか?」

「まぁ、種族的には妖怪かな」

 

 妖怪だと……?

 その言葉を聞き、抑えていた神力を一気に開放した。

 

 

「妖怪が諏訪の地に何の用だ……」

「いや、特に用事はなかったけど……強いて言うなら観光かな」

 

 あ、あれ? 私の神力を受けて何の反応もない……? 中級程度の妖怪なら私が神力を開放するだけで、倒れるというのに……

 

 コイツ、何者だ?

 

 そして焦った私は、神力を込めた弾を慌てたようにその妖怪に放った。

 

 

「オゥッ……」

 

 

 妖怪は倒れた。

 

 

 ……えっ?

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

「起きます」

 

 布団の上で目を覚ます。

 あら? 布団? どこでしょうね、ここ。

 

 特に何かをしたわけでもないのに、蹴られて、殴られて、弾をぶつけられた。

 やはり、理不尽だ。東方のキャラって皆暴力的なのかな……それじゃあ先が思いやられる。

 

 布団は畳んで部屋の隅へ。

 お世話になりました。

 

 ここがどこか知りたくなって外へ出ようとしたら、諏訪子と出会った。やぁ、奇遇だね。

 

「いきなり攻撃して悪かったね……」

 

 蹴ったこと、殴ったこと、弾のことどれだろうね。

 まぁ、たぶん最後の一発なんだろう。

 

「ん~、まぁいいよ。気にしてないし」

「調べてみたけど、あんたから力は全く感じなかったし、悪意もない。ごめんね」

 

 と言って諏訪子は謝った。

 あれ? あの喋り方はやめちゃったんだ。飽きちゃったのかな? まぁ、似合ってなかったもんね。俺も今の喋り方の方が良いと思うよ。

 

「お詫びも兼ねて、昼餉の準備をさせている。受け取ってもらいたいのだけど……」

 

 ――どうかな?

 

 なんてこてりと首を傾げ、諏訪子は言った。

 

 う~ん、本当に気にしてないんだけどなぁ。それにお腹が空いているわけでもないし。

 まぁ、ここは素直に受け取るのが正解なんだろうね。

 

「有り難くいただくよ」

「そっか、それなら良かった」

 

 と言って諏訪子は笑った。

 うん、いい笑顔だ。

 

「失礼します。御食事の準備が整いました」

 

 知らない女性が諏訪子に報告。

 

「わかった。ご苦労」

「はい。失礼します」

 

 

 おやおや? もしかして諏訪子ってホントに偉い人なの?

 

 

「ようこそ、諏訪の地へ。妖怪よ歓迎してやろう」

 

 

 え……マジで?

 

 

 

 

 せっかく用意してもらった昼飯の味はよくわからなかった。

 

 






短かいような気がしますけれど、きっと気のせいですね

最近はトリックアートとか流行ってますし

タイトルの『いただきました』っていうのは
長野県の中部~南部で使われている方言です

意味は『ごちそうさまでした』

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