学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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第二十話

孝達は御別橋に向かって走っていた。

 

「ン? あれ‼ 孝、あれ見て‼」

 

麗が指さした先には俊輔達がこちらへ向かってきているのが視界に入る。

 

一方の鞠川達も孝達を目視していた。

麗は鞠川の許へ駆け寄り抱き着いた。

 

「先生‼」

 

「宮本さん、無事だったのね‼ 小室君も」

 

「はい」

 

鞠川は孝と麗が無事だった事に安堵する。

 

「ヴィータ、どうだった?」

 

「やっぱりどこもかしこも同じ状況だった」

 

「やはりか………これからどうする? 警察署で合流する前に合流したけど、そろそろ日が暮れる。どこかで休める場所があればいいのだが……」

 

俊輔はこれから先の事どうするか全員に尋ねた。

 

「あのう、使える部屋があるんだけど………」

 

『えっ?』

 

鞠川の言葉に全員が振り向く。

 

「歩いてすぐの所にあるの」

 

「カレシの部屋?」

 

「ち、違うわ‼ 女の子の友達の部屋よ‼」

 

沙耶の発言に鞠川は強く否定した。

 

「マンションですか? 見晴らしはどうなのです?」

 

冴子は今から行く先の立地条件を確認する。

 

「あ、うん。川沿いに建っていてメゾネットだし、近くにコンビニもあるのよ。それに戦車みたいな大きな車もあるの‼ それにね、友達の家の近くに大きな家があって、庭に戦車が二台置いてあったのがみえたの」

 

鞠川は大きさを示すためか、手を大きく振る。

 

「移動手段はこれから必要になって来るな………先に行ってくれないか、小室君、山本君、山城君達」

 

「判った。シグナム達は毒島先輩たちを護衛しろ。何かあれば念話する」

 

「承知しました、主」

 

俊輔の言葉にシグナムは頷いた。

 

「先生は孝の後ろに乗って下さい」

 

「あ、うん」

 

空の言葉で孝のバイクの後ろに鞠川が乗り込む。

 

「では、先に行ってきます」

 

俊輔の言葉で四人は先に、鞠川の友達の家へと向かうのでった。

 

 

 

 

残されたシグナム達はデバイスを展開せず、周囲を警戒する。

 

「にしても、あんた達ってなんで山本についてるの? 誰かに指示でもされたの? それとも何か弱みでもにg「黙れよ」ッ⁉」

 

沙耶の言葉にヴィータは怒りを込めた表情で睨む。

 

「ヴィータちゃん、抑えて抑えて。私達は俊輔君についている理由よね………そうね~どう説明したらいいのかしら?」

 

シャマルがヴィータを抑えたので、ヴィータもここで無駄な問題を起こさずに済む。

 

「湖の騎士よ。ここは本当の事を話した方が良いのではないのか?」

 

「だが、それを信じられると思うか? アインス」

 

「絶対に信じないと思うぞ?」

 

「ううぅ」

 

愛すんあ本当の事を説明するか進言したが、シグナムとヴィータに反論されアインスは何も言えなくなる。

 

「だが、いずれバレる事だ。正直に話した方が良いだろう」

 

「だが」

 

「詳しい話は主にして貰えばいいだろ?」

 

「そうだが…………はぁ~一度主と話をする」

 

ザフィーラの言葉にシグナムは俊輔に確認を取る。

 

「(主、聞こえますか?)」

 

『(何か問題でもあったのか?)』

 

シグナムの念話に俊輔は尋ねた。

 

「(問題と言えば問題でしょう)」

 

『(話してくれ)』

 

俊輔に先程の会話を説明した。

 

「(と、いう事なのですがどうするべきでしょうか?)」

 

『(それは難しい話だが………いつまでも隠している事は出来ないだろう。ここは仕方が無い。説明してやれ。だが、詳しい話は落ち着いてからだと言ってくれ)』

 

「(判りました)」

 

『(空にもこっちで説明しておく)』

 

俊輔はそう言うと念話を切った。

 

「シグナム、どうであった?」

 

「説明するのは説明するが、詳しくは主から話してくれると言う事であった。まぁ、落ち着いてから詳しく話すと言われたがな」

 

「だろうな」

 

シグナムの言葉にザフィーラは判っていたかのように頷いた。

 

「主の事についてだが、すまない。大雑把な説明だけだ」

 

シグナムはそう言うと俊輔と空の関係を話し始めた。

 

「と、言う事だ」

 

『…………なに、そのチートキャラ設定』

 

全員が俊輔と空の持つ力に驚いていたのであった。

 

 

 

 

暫らくして俊輔達四人は鞠川の友人の家の前に到着する。

 

「大きい車だな………鞠川先生、大きな家ってあれですか?」

 

孝が指さした先には、一軒家だが庭が広い家を指していた。

 

「そうよ、あの家なの。あれ? 山本君に山城君達? どうかしたの?」

 

鞠川は俊輔と空が顔を白くしているのが判った。

 

「先生、すみません。あの家、俺達なんです」

 

『えっ?』

 

俊輔の言葉に孝と鞠川は驚きを隠せなかったのであった。

 

「ちょっと行って来るので、何かあれば携帯に連絡してください」

 

俊輔はそう言うと簡単なメモに電話番号を記入し鞠川に渡すと、自分達の家へ向かうのであった。

それと入れ替わる形で、シグナム達と合流した。

 

「あれ? 俊輔君と空君は?」

 

「ああ………あの家に帰って行った」

 

「帰った? え?」

 

孝の言葉で麗達が見た先には、大きな家であった。

 

「あの家が俊輔達の家だって」

 

『えぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ‼』

 

孝の説明でシグナム達以外の人間が驚くのであった。

 

 

 

 

一方、俊輔と空は自分達の家の前に来ていた。

 

「ロックは生きているな………侵入者が入った痕跡はなし。良し、行くぞ」

 

「判りました」

 

俊輔と空は自分達の家に入って行く。

 

「先に何から始める?」

 

「先に足を作る事を優先しましょう。あの車だと僕達は乗れないですからね」

 

「そうだな…………戦車を出すか?」

 

俊輔が目線を向けた先には第二次世界大戦で使われていた戦車が二両、止まっていた。

 

「でも、あの戦車だと速力が遅いんじゃ?」

 

「安心しろ、エンジンを改造しているから馬力は普通の車並だ」

 

「あっ(察し)」

 

俊輔が言っている戦車と言うのは、ドイツ軍が配備していた重戦車TigerⅠとアメリカ陸軍が使用していたM26パーシング中戦車であった。

 

「操縦に関しては判るか?」

 

「一応………ちなみに俊輔君はどっちを乗るつもりなんです?」

 

「ティーガー」

 

「あ、はい」

 

空の言葉に即答する俊輔に空は何も言えなくなった。

 

「まぁ、安心しろ。一人で操縦できる設計になっているから」

 

「内部は広いんですね?」

 

「広すぎるぐらいだ。さ、荷物をまとめるぞ」

 

「はい」

 

俊輔達は家の中に入って準備を整えるのであった。


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