ティーガーが放たれた砲弾は、奴らが固まっていた所に着弾する。着弾した所には、地面が抉られそこにいた奴らが肉片へと変貌していた。
「すっきりした~」
「目の前が真っ暗だよ‼」
「見ちゃダメ」
俊輔はすっきりとした表情になっており、コータは肉片へと変貌した奴らを見せない様にありすの目を覆った。
「山本君、やり過ぎじゃないかな? それに音に敏感な奴らがここに集まってくるよ」
「うん? まぁ確かにそうだがティーガー……いや、戦車に通れない道など存在しない。奴らは轢き殺してやる」
「いや、既に死んでるから」
「あっそっか‼」
俊輔とコータは高らかに笑う。その姿にありすはなぜ二人が笑っているのかが判らなかった。
「ん?」
俊輔は目の前にワイヤーで作られたトラップの存在に気付いた。
「やべっ‼」
すぐに急ブレーキを掛け、トラップの直前に停車した。だが、後方に付いて来ていた車両はティーガーが急ブレーキを掛けた影響で、ハンヴィーの上に乗っていた麗が、地面へ墜ちる。
「麗‼」
永がベレッタを持ち麗の元へ駆け寄る。だが、奴らが近づいていた。
「空‼ 機関砲で援護しろ‼」
「了解です‼」
俊輔はキューポラから顔を出して最後尾にいるパーシングに指示を出した。
空は俊輔の指示でパーシングに装備されている7.62㎜機関砲で近づいて来る奴らをミンチにする。しかし、麗と永に近すぎる奴らには発砲できなかった。
「俊輔君‼ 近すぎて撃てないです‼」
「チッ‼」
俊輔はティーガーから降りると神楽とフォーカをセットアップする。
「神楽、フォーカ‼ セットアップ‼」
『『Aii right My Master Stand by Ready? Set up‼』』
俊輔はバリアジャケットを着用して、奴らを殲滅する。
「ディバイン・バスター‼」
フォーカから放たれた法撃は永と麗の近くにいた奴らを消し炭にする。
「シグナム、ヴィータ‼ 殲滅しろ‼ アインス、ユニゾンするぞ‼」
「「「了解」」」
俊輔に指示されシグナムとヴィータは自身のデバイスを展開し奴らを殲滅していく。アインスは俊輔の傍に行き、ユニゾンする。
「「ユニゾン・イン‼」」
「序だ‼ 喰霊、解放‼ 白叡‼」
俊輔は印を結び白叡を出す。
「喰い散らかせ‼」
俊輔によって出された白叡は、近寄って来ていた奴らを喰い千切って逝く。
「空‼ 護衛についてくれ‼」
「了解です」
空はパーシングから降り、レイラとリアクト・エンゲージする。
「やられて奴から来な」
空の手にはディバイダー996が握られている。
「シルバーバレット‼」
空の近くを浮遊していた本《銀十字の書》から銀色の魔力弾が奴らの体を貫き身動きさせなくさせた。
その時、ワイヤートラップの向こうから女性の声が響く。
「全員、そこに伏せなさい‼」
女性の声に、全員が止まるがすぐに指示に従った。
「車は後で回収します。先にこちらに逃げ込んでください」
女性の指示でハンヴィーに乗っていた冴子や沙耶、鞠川、孝がワイヤーの向こうへ行き、永は麗を肩に抱いてワイヤーの向こうへと行く。
「君たちも早く‼」
「空‼ ヴォルケンリッターは行け‼ 俺も続く」
『了解‼』
俊輔を殿に全員がワイヤーの向こうへと避難する事が出来た。
「危ない所を助けて頂きありがとうございます」
冴子は顔が見えない女性に頭を下げた。
「当然の事をしたまでの事です。頭を上げて下さい」
そう言うと女性は顔に被っていたヘルメットを外した。
「娘とその友人を助けてもらったのですから」
「ママ‼」
女性は沙耶の母親であった。沙耶はすぐに母親の元へ駆け寄り抱きしめる。
その後、俊輔達は沙耶の実家に通されその日は、沙耶の実家で過ごす事になった。
翌日、麗は個室で永に体を抑え込まれ、鞠川が手にローションの様な薬を手にして、笑った表情で近づいて行く。
「ひ、ひさしぃ~」
「れ、麗。が、我慢だ。我慢」
「痛いのはやぁー‼」
「行くわよ~」
沙耶の実家の七不思議として、女性の悲鳴が聞こえたと言う珍事件が起きるのであった。
「判ったわよ‼ いつもママは正しいのよ‼」
沙耶は部屋の中で母親と口論の末に、部屋を出て行く。
「高城……」
それと丁度通りかかった孝と遭遇した。
「名前で呼んでって言ってるでしょ‼」
「あ…えと……ゴメン」
「男のクセにホイホイ、頭を下げないでよ‼」
沙耶は孝に八つ当たりしてしまう。
「ご、ゴメン………でも、男ならすぐに謝らない方が良いわよ」
沙耶はそう言うと階段を下って行くのであった。
一方、俊輔達二人は、家から持ってきた車両の点検を行っていた。
「空、キャリアーの方は対策されているのか?」
「いえ、されていません。他の車両は対策されているのに、どうしてコイツだけが………」
二人は家から持って来た車両は一部を除き、EMP対策が施されていた。しかし、運搬用としてのキャリアーだけは対策が成されていなかったのだ。
「さぁな。だが、何処かしらで分岐点があると言う事だろう………空、俺は原作の知識が薄くなってきている。この後に起きる展開が、要所要所でしか思い出せないんだ」
「………仕方が無いですよ俊輔君。君は神なんかじゃ無いんですから。知識が薄くなっていても、思いは忘れてないでしょ?」
「ああ」
「なら、大丈夫です」
空の励ましで俊輔は何とか持ち堪える事が出来た。
「そうだな。知識が無くったってやれるんだからな‼」
「そうです。さぁ、車両を点検しましょう」
「おう‼」
二人はキャリアーの事を忘れて、他の車両の点検を行うのであった。
「楽しそうね、アンタ」
「え? あっ高城さん‼」
倉庫の一部を借り、コータは銃の点検を行っていた。
「ま、今を楽しみなさい」
「はぁ~」
コータは沙耶が言っている意味を理解できなかった。
「でもどうしてですか? こんな要塞みたいな屋敷だったら、籠城とかしたら良いんじゃないんですか?」
「あんた、軍ヲタなら判っているでしょ? 水や電力はどうやって確保するの? もし生存者の一部がここを襲撃した時、一番最初に狙われるのは誰? 今の状況で安全な場所なんて物は存在しないのよ」
「…………そうですね」
コータは沙耶の言葉を頭の隅に入れながら銃の点検をしていた。
「良し。これで大丈夫だ」
「オイオイ、兄ちゃんそれ本物だろ? 子供が弄っていいもんじゃ無いぞ?」
「松戸さん、用件はそれだけ?」
「沙耶お嬢様‼ 乗って来られた車の整備が終わりました。それと………」
「何?」
松戸と呼ばれた男は、ハンヴィーの整備をしてくれた男だったが、何か言葉を濁していた。
「戦車二両、スポーツカー一台、バン二台の整備をしようとしたんですが………」
「あの二人に止められたの?」
「はい………」
松戸は申し訳無さそうに返事する。
「仕方が無いわよ。あの車両は特別だったらしいしね。何かの役に立つかも知れないから、様子観察ね」
「判りました」
そう言うと松戸は下がって行く。
「平野、アンタはその銃で何をしたいの?」
「小室達と話し合ってみます」
そう言うとコータは荷物をまとめて沙耶と一緒に孝達と合流するのであった。
話数を間違えていました。