学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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今回は少し短めです‼


第二十八話

とある海域に一隻の潜水艦が航行していた。

 

「艦長‼ 新たな緊急命令を受信‼ コード6-6-6-デルタ‼ 北朝ならびに中共に対する全面核攻撃です‼」

 

「そうか………とうとう核攻撃までする羽目になってしまうとは………アメリカもそこまで追い詰められたと言う訳か」

 

艦長と呼ばれた男は、自国がそこまで追い詰められていた事に嘆いていた。

 

「緊急命令だ………従う他無いだろう」

 

艦長はマイクを取り出すと、潜水艦クルーに通達をした。

 

「艦長より達する。大統領命令は最終的に確認された。これより本艦は北鮮ならびに中共の人口密集地に対する核攻撃を実施する」

 

艦長の言葉に誰もが言葉を失った。核を使う。即ち、第三次世界大戦の幕開けを意味していた。

 

「天にまします我が父よ。我らの罪を許したまえ………一番、二番ファイヤー‼」

 

潜水艦上部ハッチが開き、二発のミサイルが打ち上げられるのであった。

 

 

 

 

高城家の前にある大通りの一角にはコンクリートで造られた、車止めでバリケードを作り、奴らを食い止めていた。

その時、一台のバスが猛スピードでバリケードに向かって来ていた。

 

「スピードの出し過ぎだ‼ ぶつかるぞ⁉」

 

バリケードを護っている二人は、バスがバリケードを突き破るつもりではないかと内心考え、本部へ警報を出そうとした。しかし、バスはバリケードの直前で急ブレーキを掛け、バリケードと何センチしかない所で停車した。

 

「冷や冷やさせやがって、誰が運転してるんだ‼」

 

一人がバスの運転手に問いただそうとした時、窓から一人の少女が胸部を突き出す形で助けを求めて来た。

 

「おねが~い‼ 助けて下さい。私達、学校から命辛々、逃げて来たんです~」

 

二人の男性は、生徒の胸を凝視していた。

 

「ま、待ってろ‼ すぐに通らせてやるから‼」

 

一人が我に返ると、傍に置いていたフォークリフトに乗り込み、バリケードを退かそうとする。

 

「頼むぞ、俺は化け物が入ってこない様に見張っているから‼」

 

その声を聞きながら、バスの運転手である紫藤は顔を歪ませるのであった。

 

 

その頃、孝達は出発の準備に追われていた。

 

「永、孝、準備は出来た?」

 

「俺は出来たぜ。孝、どうだ?」

 

「俺も大丈夫だ。麗、体は大丈夫なのか?」

 

孝達二人は、既に準備が整っていたらしく、肩には荷物を掛け、背中には武器を背負っていた。

 

「私も痛い所はないわ。心配かけてごめんね?」

 

「まぁ、麗が無事ならいいけど………俊輔達はどうなんだろうか?」

 

「行って見るか?」

 

孝達が思い浮かべる二人が、今何をしているのかが判らなかった。だが、二人がいるであろう場所へ向かう事にした。

 

 

孝達が俊輔と空が居るであろう場所に着くと、そこにはハンヴィー、ティーガー、パーシング、ハイエース、ヴェルファイア、スカイラインを整備している俊輔達の姿があった。

 

「空、やっぱりキャリアーは置いて行く必要があるな」

 

「そうですね。流石にあの大きさの物を持って行く必要性も無いですからね」

 

「じゃぁ、俺達の戦車とハンヴィーを持って行くか………」

 

「じゃぁ、この三台はどうするんですか?」

 

空が指差す先にはスカイラインとハイエース、ヴェルファイアがあった。

 

「この三台は置いて行く。もしかしたら必要になる可能性があるからな…………バスは無かったのが痛手だったな」

 

「そうですね。マイクロバスぐらいの物があれば、移動が簡単に出来たんですけどね~」

 

二人は雑談をしながら整備していた。

 

「これはまた、大変な事をしているな、二人とも」

 

「ん? 孝達か………まぁな。俺達の物は俺達で整備する。それが俺達の考えだからな」

 

「それに、いつ魔法が使えなくなるか判らないからね」

 

二人は既に先の事を読みながら行動をしていた。

 

「主‼ どこも異常は見当たりません」

 

「こっちもだ」

 

すると、スカイラインとハイエースをチェックしていたザフィーラとシグナムが運転席から顔を出しながら、俊輔に報告をする。

 

「判った‼ 二人はそのまま待機だ‼ シャマル、どうだ‼」

 

「こっちも大丈夫よ~」

 

「なら、シャマルも待機だ」

 

俊輔は素早く指示を出していく。

 

「さて、俺達もキリが良い所だし外へ出るか」

 

「そうですね」

 

俊輔達は孝達を連れて外へ出た。その時、麗の表情が変わり、孝達も目線を追う先には、会いたくも無いし、顔も見たくも無い人物が乗る車が、高城家へ入ってくるのを目の当たりにした。

 

「麗‼ あれはッ⁉」

 

麗は銃を片手に飛び出すと運転席から降りた男に銃口を向ける。

 

「随分と立派な事を言う様になりましたよね、紫藤せ・ん・せ・い?」

 

「ッ⁉ み、宮本さんもご無事で………」

 

「黙れ、その薄汚い顔を見たくないのよ、こっちは…………それを………ノコノコと現れて、しかも? 良い先生ぶりを見せてくれるじゃないですか? 私達が乗っていた時とは違いますよね?」

 

麗の口調は荒々しくなっており、誰も止めようとはしなかった。否、出来なかった。麗から放たれるオーラに誰もが声を掛ける事を忘れてしまったからである。

 

「殺人を犯すつもりですか? 警察官の娘の貴女が……」

 

「アンタなんかに言われたくないのよ‼」

 

紫藤の言葉に麗は短剣を突き刺す前で踏み止まる。

 

「ならば、殺せばいい‼」

 

「ッ⁉」

 

「………」

 

後から来た壮一郎が麗に向かってそう言う。

 

「私はその男の父親とは関わりがある。だが、今はそんな事は関係ない」

 

その言葉にやじ馬たちが反論しようとしたが、壮一郎の睨みで黙らせた。

 

「無論、私も必要があればそうする」

 

その言葉に、誰もが言葉を失った。

 

「………良いでしょう。私を殺しなさい。私を殺して、一生その罪と向き合って苦しみなさい」

 

紫藤は自分が殺されようとしているのにも関わらず、自分を殺せと麗に囁いた。

麗は少しの間、銃口を紫藤へ向けていたが、徐に銃を下へ下げ、孝達の許へ向かって行く。

 

「それが君の答えなのか?」

 

「ええ、私には………いや、誰もがこの男を殺したところで何も得な事もありませんし、殺す価値も無い人間です」

 

その言葉に壮一郎は高らかに笑いだした。

 

「ハッハッハッ‼‼ それもまた、良し‼」

 

だが、紫藤は違った。自分が殺される価値も無い人間だと、年下の生徒であり女子に言われたのだ。紫藤は怒り心頭であった。

 

「私がどんな思いで生きて来たのか知らない、雌ガキが‼」

 

「貴様らはここを去れ。ここにいる価値はどない。本来であれば、鍛え直したいところだが、そんな猶予はない。乗ってきたバスでここから立ち去れ‼」

 

壮一郎の言葉に反論できなかった紫藤教のメンバーは、大人しくバスに乗り込み高城家から立ち去って行くのであった。

 

 

だが、ここからが本当の悪夢の始まりだった事に、誰もが気付けなかったのであった。




次回はとうとう、あれが来ますね。それと同時に、前々から出していた後書きのキャラ達も参加する予定です‼

「やっと我らの出番が来たのか………」

「王よ、もう少しの辛抱です」

「そうだよ、王サマ」

「貴様は何を食べているんだ‼」

「作者からもらった飴。美味しいよ。まだまだあるから王様も一緒に食べよ?」

「う、ウム。そうだな。我も頂こう………って、んなわけあるか‼」


誤字脱字、感想、指摘等ありましたらよろしくお願いします‼


「勝手に閉めるな‼」

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