学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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第三十六話

ショッピングセンターから出た俊輔と空の二人は、俊輔の愛車、ティーガーに乗り込み血清を取りに行っていた。

 

「次の角を右です」

 

「オーライ」

 

空のナビゲーションで、俊輔はティーガーの操縦桿を動かす。

 

「今更だけど………武器はどうしたんだ?」

 

「僕達にいりますか?」

 

「そうだったな………」

 

「次の角を左で、病院です」

 

「オッケー」

 

病院前に到着した二人は、ティーガーから降りなかった。

 

「さて、やりますか。フォートジック、サーチャー展開」

 

『Aii right My Master』

 

俊輔の言葉に反応し、フォートレス・シントミュージックはサーチャーを飛翔させ、病院の周りを探索する。

 

『マスター、病院内には夥しい数の奴らが居ます』

 

「やっぱりね………空。一気に攻めるか?」

 

「その方が良いと思いますよ。簡単ですし」

 

フォートレス・シントミュージックの報告に、俊輔と空の意見は一致する。

 

「さて、血清がある場所はどこだ?」

 

『暫しお待ちを………見付けました。入ってすぐにある診察室です』

 

「オーライ。空」

 

「はい‼」

 

「「Set up」」

 

俊輔と空は、バリアジャケットを身に着ける。

 

「フォートジック、神楽モード」

 

『Aii right My Master』

 

俊輔は神楽モードに切り替えると、フォートジックは居合刀へ変形する。

 

「行くぞ‼」

 

俊輔がそう言うと、二人は、病院内へ突入するのであった。

 

 

 

 

その頃、ショッピングセンターでは、孝と永が相談をしていた。

 

「どうする? 孝」

 

「永はどうしたいんだ?」

 

永の質問に孝は質問返しをする。

 

「……………判らない。だが、空が、俊輔は一人で動くぞと………俺は、それに対して何も答えられなかったんだ…」

 

「なぁ、永。俊輔が一人で動くと聞いたとき、何も答えられなかったと言ったな」

 

孝の言葉に永は頷く。

 

「それで良いんじゃないのか?」

 

「えっ?」

 

「俺たち人間は、一人で出来る事は限られてるけどさ、誰かといれば、自ずと出来るだろ? それに、今のチームだってそうだ。俺や永の一人だけだったら、学校から脱出もできなかった。だけど、いつの間にか、チームが出来て、俺たちの出来る事が増えたんだ。それに俊輔は一人で行ったって言ったけど、それは間違いだ」

 

「どう言う事だ?」

 

孝の言葉に永は尋ねる。

 

「空も行っていると言う事だよ」

 

「…………確かに。俺の横を通り過ぎるとき『頼みます』って言ってたな」

 

「だろ? だから、あいつ等は一人で行動してるんじゃなくて、二人で行動しているということだ。だったら………答えは出たな?」

 

「ああ‼ 行くぞ、孝‼」

 

「合点承知‼」

 

二人は俊輔達を追いかけようと、行動を開始しようとした。だが、その時、待ったを掛ける者達が居た。

 

「二人とも、どこに行くつもり?」

 

「俺だって、役に立つんだぜ?」

 

「ここは、本官の出番であります‼」

 

あさみ、コータ、山田の三人であった。

 

「僕達も一緒に行くよ」

 

「俺だって、高校生だけに行かせる訳にはいかないしな」

 

「警察官の力を舐めないで下さい‼」

 

三人の言葉に孝、永の二人は言葉を失う。

 

「良いのか? 命の危険だってあるんだぞ‼」

 

「僕は、二人に恩返しがしたいんだよ」

 

「俺は、まだ詳しい事は知らないが、それでも、あの二人の事は信用できると思ってるぜ」

 

「私もです‼ あさみは、出来ない事をして下さった二人に感謝しているんです‼」

 

コータ、山田、あさみは、それぞれの思いを孝と永にぶつける。だが、永と孝は納得がいかなかった。

だが、そんなときに三人の援護するかのように沙耶が発した。

 

「二人共。なに、考えてるのよ? 私だって俊輔の後を追いたいと思ってるのよ………でも、私だと足手纏いになっちゃうから、行けない。だけど、この三人とあんた達二人なら、可能でしょ?」

 

沙耶の言葉を受け、二人は漸く納得した。

 

「判った、だけどこれだけは約束してくれ」

 

「決して、無茶はしないでくれ」

 

二人の言葉に三人は強く頷くのであった。

 

 

 

 

その頃、俊輔と空たちは、病院内へ突入していた。

 

「静かだな………」

 

「不気味な程にですね………」

 

二人は病院内に奴らの発する独特の声が聞こえず、また、病院内からは生存者がいる気配すらなかった。

 

「サーチャーで調べてるが、どうもおかしいな………診察室に入ってすぐに出よう」

 

「そうですね……ッ⁉ 俊輔君‼」

 

「チッ‼ そう言う事かよ‼」

 

二人が診察室へ入った瞬間、診察室の扉は閉まり、鍵がかけられた。

 

「何者かがここにいると言う事ですかね…………」

 

「可能性は高いな………オイ‼ 出て来い‼」

 

俊輔は大声で叫ぶが、答えは返って来なかった。

 

「どう言う事だ? 鍵が勝手に閉まるとか………幽霊の仕業か?」

 

「奴らが居る時点で、幽霊とかいそうですね………」

 

その時であった。二人は病院が微かに揺れている事に気付いた。

 

「空………」

 

「揺れてますね…………まさか‼」

 

空が何かを感じ取り、床を見た瞬間、二人の目の前にあった床が何者かによって突き上げられ、何かが飛び出してきた。

 

「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ⁉」

 

「でけぇ…………」

 

二人の前に現れたのは、体長3mもあるではないかと思われる、大男であった。だが、その男にはある筈の物が無かった。

 

「頭が無い⁉」

 

「弱点が無い………だと…………」

 

そう、大男には頭部と言うものが存在しなかった。

 

「なんなんだよ………コイツ…………」

 

「体も硬い鎧の様な物を纏ってるね…………」

 

「どうするよ、空?」

 

「一撃必中と行きますか?」

 

「だな‼ フォートジック‼ ファイナルモード‼」

 

「ディバイダー、最終モード‼」

 

俊輔と空は、それぞれの最終形態で大男に挑むつもりであった。

 

「行くぞ‼」

 

二人は大男に斬りかかって行くのであった。




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