ショッピングセンターから出た俊輔と空の二人は、俊輔の愛車、ティーガーに乗り込み血清を取りに行っていた。
「次の角を右です」
「オーライ」
空のナビゲーションで、俊輔はティーガーの操縦桿を動かす。
「今更だけど………武器はどうしたんだ?」
「僕達にいりますか?」
「そうだったな………」
「次の角を左で、病院です」
「オッケー」
病院前に到着した二人は、ティーガーから降りなかった。
「さて、やりますか。フォートジック、サーチャー展開」
『Aii right My Master』
俊輔の言葉に反応し、フォートレス・シントミュージックはサーチャーを飛翔させ、病院の周りを探索する。
『マスター、病院内には夥しい数の奴らが居ます』
「やっぱりね………空。一気に攻めるか?」
「その方が良いと思いますよ。簡単ですし」
フォートレス・シントミュージックの報告に、俊輔と空の意見は一致する。
「さて、血清がある場所はどこだ?」
『暫しお待ちを………見付けました。入ってすぐにある診察室です』
「オーライ。空」
「はい‼」
「「Set up」」
俊輔と空は、バリアジャケットを身に着ける。
「フォートジック、神楽モード」
『Aii right My Master』
俊輔は神楽モードに切り替えると、フォートジックは居合刀へ変形する。
「行くぞ‼」
俊輔がそう言うと、二人は、病院内へ突入するのであった。
その頃、ショッピングセンターでは、孝と永が相談をしていた。
「どうする? 孝」
「永はどうしたいんだ?」
永の質問に孝は質問返しをする。
「……………判らない。だが、空が、俊輔は一人で動くぞと………俺は、それに対して何も答えられなかったんだ…」
「なぁ、永。俊輔が一人で動くと聞いたとき、何も答えられなかったと言ったな」
孝の言葉に永は頷く。
「それで良いんじゃないのか?」
「えっ?」
「俺たち人間は、一人で出来る事は限られてるけどさ、誰かといれば、自ずと出来るだろ? それに、今のチームだってそうだ。俺や永の一人だけだったら、学校から脱出もできなかった。だけど、いつの間にか、チームが出来て、俺たちの出来る事が増えたんだ。それに俊輔は一人で行ったって言ったけど、それは間違いだ」
「どう言う事だ?」
孝の言葉に永は尋ねる。
「空も行っていると言う事だよ」
「…………確かに。俺の横を通り過ぎるとき『頼みます』って言ってたな」
「だろ? だから、あいつ等は一人で行動してるんじゃなくて、二人で行動しているということだ。だったら………答えは出たな?」
「ああ‼ 行くぞ、孝‼」
「合点承知‼」
二人は俊輔達を追いかけようと、行動を開始しようとした。だが、その時、待ったを掛ける者達が居た。
「二人とも、どこに行くつもり?」
「俺だって、役に立つんだぜ?」
「ここは、本官の出番であります‼」
あさみ、コータ、山田の三人であった。
「僕達も一緒に行くよ」
「俺だって、高校生だけに行かせる訳にはいかないしな」
「警察官の力を舐めないで下さい‼」
三人の言葉に孝、永の二人は言葉を失う。
「良いのか? 命の危険だってあるんだぞ‼」
「僕は、二人に恩返しがしたいんだよ」
「俺は、まだ詳しい事は知らないが、それでも、あの二人の事は信用できると思ってるぜ」
「私もです‼ あさみは、出来ない事をして下さった二人に感謝しているんです‼」
コータ、山田、あさみは、それぞれの思いを孝と永にぶつける。だが、永と孝は納得がいかなかった。
だが、そんなときに三人の援護するかのように沙耶が発した。
「二人共。なに、考えてるのよ? 私だって俊輔の後を追いたいと思ってるのよ………でも、私だと足手纏いになっちゃうから、行けない。だけど、この三人とあんた達二人なら、可能でしょ?」
沙耶の言葉を受け、二人は漸く納得した。
「判った、だけどこれだけは約束してくれ」
「決して、無茶はしないでくれ」
二人の言葉に三人は強く頷くのであった。
その頃、俊輔と空たちは、病院内へ突入していた。
「静かだな………」
「不気味な程にですね………」
二人は病院内に奴らの発する独特の声が聞こえず、また、病院内からは生存者がいる気配すらなかった。
「サーチャーで調べてるが、どうもおかしいな………診察室に入ってすぐに出よう」
「そうですね……ッ⁉ 俊輔君‼」
「チッ‼ そう言う事かよ‼」
二人が診察室へ入った瞬間、診察室の扉は閉まり、鍵がかけられた。
「何者かがここにいると言う事ですかね…………」
「可能性は高いな………オイ‼ 出て来い‼」
俊輔は大声で叫ぶが、答えは返って来なかった。
「どう言う事だ? 鍵が勝手に閉まるとか………幽霊の仕業か?」
「奴らが居る時点で、幽霊とかいそうですね………」
その時であった。二人は病院が微かに揺れている事に気付いた。
「空………」
「揺れてますね…………まさか‼」
空が何かを感じ取り、床を見た瞬間、二人の目の前にあった床が何者かによって突き上げられ、何かが飛び出してきた。
「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁ⁉」
「でけぇ…………」
二人の前に現れたのは、体長3mもあるではないかと思われる、大男であった。だが、その男にはある筈の物が無かった。
「頭が無い⁉」
「弱点が無い………だと…………」
そう、大男には頭部と言うものが存在しなかった。
「なんなんだよ………コイツ…………」
「体も硬い鎧の様な物を纏ってるね…………」
「どうするよ、空?」
「一撃必中と行きますか?」
「だな‼ フォートジック‼ ファイナルモード‼」
「ディバイダー、最終モード‼」
俊輔と空は、それぞれの最終形態で大男に挑むつもりであった。
「行くぞ‼」
二人は大男に斬りかかって行くのであった。
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