学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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ストックがあるので、週一更新で行きたいと思っています。


第四十一話

その頃、俊輔達は戦車二両で街中を疾走していたのである。

 

「ヒャッハー‼ サイコーだぜ‼」

 

「なんでアンタはパンツァー・ハイになってるのよ‼」

 

「決まってるじゃないか‼ 街中を疾走しているんだぞ‼ これでパンツァー・ハイになるなって言われても、無理な話だぜ‼」

 

ティーガー1に乗る俊輔と沙耶、孝、冴子の四人である。因みにだが、パーシングではコータがパンツァー・ハイになっていたらしい。

 

「俊輔‼ 前方に奴らよ‼」

 

「いっちょ、ぶちかましてやらぁ‼」

 

「良い加減にしなさい‼」

 

「ギャフン⁉」

 

俊輔は沙耶にどこから出して来たのか不明な、ハリセンで頭を叩かれ操縦席に頭を打ち付け、正気に戻る。

 

「すまねぇ、久々にティーガーを動かしていたら、ついな」

 

「ついじゃないわよ‼ まぁ、良いわ。リーダー? どうする?」

 

沙耶は正気に戻った俊輔に呆れつつ、孝に尋ねる。奴らを殲滅させるのかこのまま突っ切るのか。

孝は少しだけ考えたが、弾薬の事も考え、この場は撃たずに突っ切る選択をする。

 

「弾薬が勿体無いから、このまま突っ切るぞ‼」

 

「了解だぜ、リーダー‼ 空‼ 聞こえてるな‼」

 

『聞こえてますよ、俊輔君………』

 

「どうかしたのか? なんか疲れているぞ?」

 

『………俊輔君同様にコータさんもパンツァー・ハイになってたんですけど………』

 

「なにがあった?」

 

『………言わせないで下さい』

 

「……何と無く察した。あさみさんが何とかしたんだろ?」

 

『その通りです。それじゃ、行きますよ‼』

 

「行くぞ‼」

 

俊輔と空は戦車のアクセルを踏み込む。アクセルを踏まれた戦車二両は、速度を上げ奴らを轢きミンチにしていく。

 

 

 

 

パーシング内で由香里は思い出したかのように声を急に上げた。

 

「ああ‼ 思い出したわ‼」

 

「びっくりした……何を思いだしたんですか?」

 

操縦席に座る空がびっくりしてアクセルを踏む力を一瞬だけだが、緩めてしまう。だが、直ぐに持ち直しアクセルを全開に踏み込ませる。

 

「J-ALERTが生きている筈だわ‼ 警察署全部にEMP対策されている筈だから‼」

 

「判りました。俊輔君に伝えます。俊輔君、聞こえますか?」

 

『聞こえていた。孝、良いな?』

 

『ああ、一つでも情報は欲しい』

 

無線機先では孝と俊輔が相談していたが、いまは情報不足である。救援の見込みの無い警察署でも情報が一つでもあると判れば、話は別である。

 

『先にシグナム達に確認させる。シグナム、頼めるか?』

 

『判りました。ヴォルケンズ全員で向かいます。リインフォースは主の元に』

 

『了解した。烈火の将』

 

早々に作戦が決まると、上空で飛行していたヴォルケンリッター達は一足先に東署へと向かう。

 

『俺達はこのまま進む。事故が無い様にな』

 

「了解です」

 

戦車二両は東署に向けて、静かな街中を疾走するのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃、避難所となっている床主第三小学校では生存者達を受け入れていた。しかし、ある一団を受け入れてからは、とある問題が蔓延り始めていたのである。

 

「皆さん‼ 良いですか……我々はこう言う時だからこそ一致団結しなければなりません‼ いまや警察や自衛隊は存在していないのと同じような物です‼ 我々が一致団結すれば、いまの世の中を変えて行くのも容易くもありません‼」

 

一人の男が避難してきた人々に説法を説いていた。男の説法を聞いていた人々は、神を崇めるかのような目をしていた。床主第三小学校に避難してきた人々は、今の生活に不満を抱いていたのである。

だが、この男が現れてからと言うもの、人々の多くが信者になって行ったのである。

 

「良いですか、皆さん‼ 我々が一致団結すればこの学校で一つの国が出来上がるのです‼ 今こそ、立ち上がる時です‼」

 

この男の説法は効果覿面であった。しかし、男は行動は今と言っておきながら矛盾な言葉を放つ。

 

「ですが、皆さん。我々は武器を持たない一般人です………だからこそ、武器を集めましょう。まず始めは、近くにある民家で工具類を集めましょう」

 

男はそう言うと、とある道具を持ちだした。それは日曜大工をしている旦那がいる家庭では、ごく当たり前に存在する道具であった。

 

「ハンマー、レンチ、包丁、皆さんが思い浮かべる武器をありったけ集めて下さい。そして、武器が揃い次第…………我々は動くときなのです‼」

 

男の言葉に、聞き入っていた人々は夜な夜な、静かに行動に移すのであった。

 

 

「紫藤先生? 私達はどうすればいいですか?」

 

「皆さんは、我々に協力してくれる人々を集めて下さい。出来れば、この学校にいるすべての人々が良いですね」

 

「判りましたわ、先生」

 

生徒達は密かに動き出す。

そして、後にこの学校は戦場と化すのだが、この時、紫藤にはそんな事は思いもしていなかったのであった。

 

「さぁ、始めましょう。私の、私だけの国を‼」

 

一人になった紫藤はそう呟き、静かに嗤うのであった。


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