学園黙示録~魔法を持って行く物語   作:武御雷参型

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第四十二話

シグナム達は、東署内部に入っていた。

 

「シグナム、どうするんだ?」

 

「我らの役目は主が安心して入れるようにするだけだ………だから、紫電一閃‼」

 

シグナムはレヴァンティンを横振りする。すると、お手洗いから出ようとしていたカップルだった奴らが、首と体が離れ首が廊下へ転がる。

 

「今は、東署内部に蔓延る奴らを駆除するぞ‼」

 

「ああ‼ グラーフ・アイゼンの錆にしてやるぜ‼」

 

「クラールヴィントで縛るわよ」

 

「シュッツ・シルトで護る」

 

シグナム達は動き出した。階段から銃を指に引っ掛けたまま降りて来る元警官だった奴らは、シグナムの攻撃によって駆逐され、牢屋に収容されていたであろう犯罪者だった奴らは、ヴィータのアイゼンによってミンチとなる。

すると、シャマルはクラールヴィントを使い、建物内部を調べる。だが、内部を調べると言っても武器では無い。動く者が居るかどうかの確認である。

 

「数階に何体か奴らの反応があるわ………」

 

「そうか、シャマルは残って指示をくれ。ザフィーラは護衛だ」

 

「判った」

 

シグナムはヴィータを連れて階段を上がって行く。その度に、遭遇する奴らには容赦のない攻撃で殲滅するのであった。

 

≪シグナム、聞こえる?≫

 

「聞こえるぞ」

 

≪東署に動く物体は私達だけしかないわ………お疲れ様。戻って来て頂戴≫

 

「判った。ヴィータ、戻るぞ」

 

「と言う事は、ここには奴らはいないと言う事か?」

 

「ああ」

 

二人はシャマルの通信で、玄関まで戻るのであった。

 

それから数分後、俊輔達が乗るティーガー1とパーシングが到着する。

 

「遅れた。内部はどうなっている?」

 

「シグナム達によって殲滅されています」

 

「そうか………そう言っていると戻って来たな」

 

俊輔はシャマルからの報告を聞いていると、階段からシグナムとヴィータが降りて来る。

 

「主、内部にいる奴らは我々で殲滅しました」

 

「助かる。さて、じっくりと内部探検でもしますか‼」

 

俊輔はそう言うと、他の面々もノリノリで手を上げて答える。

 

「先にけん銃保管所に行きましょう。もしかしたら銃弾や銃が残っているかも知れません」

 

「それはあり得ません」

 

「どうしてそう言いきれるの‼」

 

由香里の提案にコータが否定すると、由香里は感情的にコータを叱り付ける様に声を荒げる。

 

「今の警察は一つでも武器が多く必要です。では、どこから真っ先に手を出しますか?」

 

「それはけん銃保管所……あっ‼」

 

「そう言う事です」

 

コータの言葉に由香里は自分が先ほど、コータに怒ったのは間違いだと思い、コータに謝る。

 

「ごめんなさい。私は警察官であれあ当たり前の事を忘れていたわ………」

 

「大丈夫です。皆も思っていたと思いますし」

 

そう言うとコータはみんなを見渡す。俊輔と空は、既に判っていた様子であったが、孝を始め永、麗、沙耶は顔を背けた。

 

「だが、証拠品には手を出していないだろう?」

 

「そうか‼ 証拠品は使ってはいけない事になっているんだった‼ だったら、麗‼」

 

「な、なに⁉」

 

永に声を掛けられた麗は驚き、肩を震わせた。

 

「さ、3階よ‼ 3階にあるわ‼ 小学生の頃に見せて貰った記憶があるから‼」

 

「そう言う事なら話は早い‼ 俺と空が先行する‼ ついてこい‼」

 

そう言うと俊輔は空と一緒に階段を駆け上がって行く。孝達も着いて行き、殿としてシグナム達が就いていた。

なんの障害も無く、俊輔達は証拠品保管庫の前に来る。

 

「さて、時間を掛けても良いんだけど………待つ気になれないから、ここは一気にやらせてもらう‼ みんなは下がれ」

 

俊輔が指示を出すと、孝達は後ろへ下がり、入れ替わる様にシグナム達が前に立つ。そして、シールドを展開させる。俊輔が何をやろうとしているのか判っているかのようであった。

 

「判っているな、シグナム達は………フォートジック‼ フォートレスモード‼」

 

《Yes My Master‼》

 

フォートレス・シントミュージックは二つある形態の一つである“フォートレスモード”に変形する。

 

「ディバインバスター‼」

 

漆黒の魔力による法撃により、証拠品保管庫の扉は呆気なく吹き飛んだ。

 

「すっきり、すっきり」

 

俊輔は一仕事を終わらせたかの様に、汗も掻いていない額を袖で拭う。

 

「何言ってるのよ……入るわよ」

 

「へいへい」

 

沙耶の言葉で全員が証拠品保管庫内部に入る。すると、コータが何かを見付けた。

 

「これは‼」

 

コータが手に取ったアタッシュケースの中には一丁のショットガンが収納されていた。

 

「M1014JSCS――ベネリM4スーパー90だ‼ アメリカ海兵隊やイギリス陸軍も使っている戦闘用ショットガンだよ‼ 小室、今度からこれを使いなよ‼」

 

コータはそう言うと、慣れた手つきでベネリM4スーパー90に弾を込め、孝に手渡す。

 

「重いな……イカサよりも重い」

 

孝は手慣れて来たイカサからベネリに変える事に抵抗があったが、コータはベネリの利点を伝える。

 

「でも、そっちの方が戦うには向いているよ。ガス圧利用でセミオートだから楽だよ‼ それに、ドア・ブリーチャーもついているから槍代わりにもなる」

 

「そう言う事なら、変えるか………でも他の銃はどうなんだ?」

 

孝はイカサからベネリに変える事を決心する。だが、保管庫内には多くの銃が残されていた。

 

「今の銃の方がマシだよ……でも、弾はあるよ」

 

コータが言う様に、机の上には様々な銃が置かれ、傍らには弾の入っている箱が幾つも積みあげられていたのである。

 

「良し、情報を手に入れに行くぞ」

 

俊輔は保管庫内の捜索も粗方、終わらせたところで、次の所に向かう様に急かす。

 

「そうね……平野。けん銃だけで良いから、バックに詰め込みなさい」

 

「…………判りました」

 

沙耶の指示を受け、コータはハンドガンのみをバックに積み込み、弾の入った箱も同様に詰め込んで行く。

 

「どうして、そんなに銃が必要になるんだ?」

 

「…………みんな、自分の事は自分で決められるようにだよ………」

 

「安心しろ。もし、お前達の中で奴らに噛まれたりでもした時は………俺が介錯してやる」

 

コータの言葉に俊輔はフォートレス・シントミュージックを撫でた。

 

「それじゃ、行くぞ‼」

 

暗くなった雰囲気を払拭するかの様に、俊輔は声を張り上げた。

そして、保管庫を後にする時、孝はいままでお世話になったイカサに敬礼を送るのであった。


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