学園への登校中に塔城に足を踏まれたりなどしたが無事に俺たちは学園へとたどり着き、今は自らの所属するクラスでホームルームが始まるのを待っていた。ちなみに兵藤はどっかに行った。まぁ、大方朝練終わりの女子の着替えでも覗きに行ったんだろう。俺はいつも通りイヤホンを付け寝たふりに入ろうとする。しかし……
「あら? 比企谷じゃない、何? 今日もムラサメちゃんと夫婦仲良く登校してきたの?」
「誰が夫婦だ……」
「そ、そうだぞ! ……夫婦……なんて……」
今しがた登校してきた眼鏡に三つ編みの女子生徒が俺とムラサメにからかいの言葉を掛けてきたため寝たふりに入れなかった。この女子生徒は桐生藍華といい、変態三人組の事を嫌っていないこの学園でも稀有な存在であり、目が腐っている俺にも話し掛けてくる。と言っても内容はほとんどがからかいのそれだが……。それに、ムラサメの事も気にかけてくれている。正直、俺はムラサメが学園でやっていけるか少し心配していたのだが、そんな心配など無意味だったようで今や学園のマスコットの一人として愛されている。それでも最初は日本人離れした可憐な容姿からか話しかける者はいなかった。そこで最初にムラサメに話しかけたのが彼女だ。そこからは他の生徒達も段々とムラサメに話しかけるようになり今にいたる。ちなみに俺に話しかけてきたのは兵藤達変態三人組だけ……。
「でも、一緒に住んでて毎晩合体してるんでしょ?」
「んなわけねーだろ……」
「なッ」
桐生には感謝しているのだがこういうのは勘弁してほしい。純粋なムラサメなんて顔がトマトのように真っ赤だぞ。そんなやり取りをしていると廊下の方から騒がしい足音が三つ分近づいてきた。
「おい⁈ 比企谷、親戚同士だからってムラサメちゃんと毎日一緒に登校なんてうらやましいぞ! コノヤロー!」
「そうだ! そうだ! うらやましいぞ!」
「爆発しろ!」
その騒がしい足音の正体はボロボロになった兵藤含めた変態三人組だ。ボロボロなのは覗きが女子にばれてやられたのだろう。こいつらも、こりないな……。変態三人組は兵藤の他に丸刈り頭でセクハラパパラッチの異名を持つ松田と眼鏡を通して女子のスリーサイズを知る事ができるという元浜がいる。中でも元浜はロリコンでムラサメとよく一緒にいる俺によく突っかかってくる。ちなみに、ムラサメは俺の親戚という事になっている。なぜなら前に同じ家から出てくるのを此処の生徒が目撃しそれが学園に広まりちょっとした騒ぎになったことがあった。その時に俺たちは騒ぎを広めないために遠い親戚ということにしたのだが……。あの時はやばかった……。何がやばいってほとんどの生徒が血走り殺意の籠った目で俺を問い詰めてくるんだぞ……。本当に生きた心地がしなかった……。そんな事を考えていると三人組がこちらに突っ込んでくる。
「「「モテない男の恨み思い知れ!!!」」」
勢い的にタックル的な事でもしたいのだろう。なので、俺は止まれなくなる距離まで引き付け静かに机から離れた。
「「「グヘェ!!!」」」
案の定三人は机に突っ込み大きな音をたてながら盛大に倒れこんだ。そんなバカな事をやっているうちにホームルームの時間が近づいてきたのか担任の先生が教室のドアを開け入ってきた。そして、俺たちの方を見て呆れたというような表情で一言
「お前ら~もうすぐホームルーム始まるからそろそろ席につけよ~」
これである。もはや教師すら呆れるほどにこのような事が繰り返されていて注意すらされなくなった。そんな感じで俺の朝の時間は過ぎていく。
「八幡! 約束通り、ぱふぇを食べに行くぞ!」
「その前にあそこに報告に行ったらな」
「む~、仕方ない…早く済ませるのだぞ」
特筆すべき事もなくいつも通りに時は経ち放課後。本来ならすぐ帰宅するのだが今日はムラサメにパフェを買ってやる約束をしている。そのため、ファミレスにでも行こうかとも思うのだが、もう一か所行かなければならないところがある。昨日、というか今日? に滅したはぐれ悪魔についての報告をこの学園にいる上級悪魔の所にしに行かなければならない。
「ああ、俺も早く帰りたいしな」
「うむ! それならばよい!」
本当に早く帰りたい……。ムラサメとそんな話をしていると兵藤達三人組も帰る準備が終わったのかカバンを持ちながらこちらにやって来た。
「比企谷とムラサメちゃんはもう家に帰るのか?」
「いや、少し寄るところがある」
「そっか、俺たちはこれから女子達の部活動を見に行ってくるぜ!」
「はぁ……ほどほどにしとけよ……」
「おう! じゃあな二人とも!」
そういい兵藤達は急いで教室から出て行った。こりないな、あいつらも……。
「俺たちもそろそろ行くか」
「うむ」
そして、俺とムラサメも兵藤達のあとを追うように教室をあとにした。
俺とムラサメは現在、この駒王学園にある旧校舎に続く道を歩いる。この学園にいる上級悪魔の二人のうち片方は生徒会の会長をしていて、もう片方はオカルト研究部という部活の部長をしている。基本的にはぐれ悪魔の討伐報告などは、オカルト研究部の部長をしている方におこなうようになっている。そのオカルト研究部の部室が旧校舎にあるのだ。というか、悪魔がオカルト研究ってどうなんだ?
「あれ? 比企谷君たちは今日は部室にくるのかい?」
旧校舎へと続く道を歩いていると不意に声を掛けられた。その声のした方を向けば、さわやかな顔をした金髪のイケメンが立っていた。木場裕斗、駒王学園の王子様。文武両道で多く女子生徒から絶大の人気を誇っており、兵藤達変態三人組や腐った目をして避けられている俺とは対局に位置するような奴だ。イケメンでも葉山のようにそりがあわないというわけではないがぶっちゃけ、俺はこいつの事が苦手だ。理由としては
「比企谷君、よかったら、後で手合わせしてくれないかな?」
「……嫌に決まってんだろ……面倒くさい……」
このように、俺に会うたびに手合わせを申し込んでくるからだ。俺としては部活仲間とでも手合わせしてくれよと常々思う。
「今日は夜に滅したはぐれ悪魔の報告をしに行くだけだ……」
「相変わらず、凄い気配察知だね……僕たちは全く気付かなかったよ……」
今日の訪問の理由を話せば木場は申し訳なさそうにこちらを見てくる。
「はぁ……気にするなって前にも言ったろ?ただ単に俺が気配に敏感すぎるだけなんだから…お前らは良くやってると思うぞ」
「でも……」
「だから、その顔やめろって……お前みたいなイケメンにそんな顔させてるなんて女子に知られたら俺が何されるかわかんねーだろうが……」
「ふふッ」
「……何が可笑しいんだよ?」
「いや、比企谷君はやっぱり優しいなと思って」
「……そうかよ」
木場との会話もそこそこに俺たちはオカルト研究部の部室前に到着した。そこの部員である木場が扉を開けば中には三人の美少女がいた。一人は朝にも会った塔城。もう一人は黒髪をポニーテールにしている大和撫子を髣髴とさせるような人。最後に燃えるような紅髪が特徴的な人。その三人がこちらを視認する。
「あら? 今日はどうしたの? ハチマン」
「あらあら、二人が来るんでしたらお茶請けを用意しておくんでしたわ」
「……」
まず、俺にどんな用なのか尋ねてきた紅髪の人が、この学園にいる二人の上級悪魔の内の一人リアス・グレモリー先輩。そして、困ったような笑みを浮かべてお茶請けを用意しておけばよかったと言っているのが姫島朱乃先輩。この二人はこの学園の二大お姉さまとして人気を博している。さっきからこちらを無視している塔城や木場を含め人気者だらけの部活だ。というか何故俺は塔城に無視されているのだろうか? 周囲の人間に無視される事の多い俺も地味に傷つくんだが……。
「どうしたの? 小猫」
「……別になんでもありません」
塔城の俺に対する反応が気になったのか、グレモリー先輩が塔城に尋ねるが依然、塔城は俺を無視している。まぁ、塔城の事は後にして、先に本題を済ませるとしますか。
「グレモリー先輩、今日は昨日滅したはぐれの報告にきました…」
「……昨日も出たの?」
「はい、まぁ……」
「そう……ごめんなさいね、私たちは気づけなかったから……」
この先輩も木場と同様に申し訳なさそうな顔を向けてくる。本当にこういう顔をされると対応に困る……。
「木場にもさっき言いましたが気にしないでくださいよ……」
「そういうわけにもいかないわよ……私はこの土地を任されてるんだから」
グレモリー先輩は余程気にしてるのか俯いてしまう。こんな時、リア充なら甘い言葉でも掛けれるんだろうが、生憎俺にはそんな事はできない。だから俺にできる限りの言葉で伝えようと思う。
「俺だって仕事でやってるんで、さぼってるのが師匠に知られたら後が怖いですし……本当は働きたくないですけど……」
「ハチマン?」
「それにグレモリー先輩達は契約の方も取らなきゃいけないじゃないですか……なら、討伐の方は俺がやるのが妥当でしょう?」
グレモリー先輩は俺の言葉を聞いて少しの間呆けていたが、次第に笑みを浮かべるようになった。
「ふふッ……ありがとうね、ハチマン」
「……何のことですか?」
俺は正面からお礼を言われ気恥ずかしくなり顔を背けた。こうやって正面からお礼を言われるのには慣れてないんだっての……。
「ご主人~まだ終わらぬのかー吾輩は早くぱふぇが食べたいぞ~」
「……パフェ?」
俺がグレモリー先輩と話しているとついに我慢の限界が来たのかムラサメが騒ぎだした。ちなみに何故か塔城もピクッと反応している。
「ああ、分かってるよ、グレモリー先輩俺達はそろそろ失礼します……」
「もっと此処にいてもいいのよ? って言ってもそうも行かないみたいね」
「ええ、こいつ最近好物のパフェを食べれてませんでしたから…今日した約束を余程楽しみにしていたみたいですし……」
実際にムラサメは今日、放課後に近づくにつれテンションが上がっていた。それは、周りの生徒が見ても一目瞭然なほど。というか、パフェという単語が出てから俺を無視していた塔城がずっとこっちを見てきてるんだが……。はぁ……しかたねぇか
「……塔城もパフェ食いに行くか?」
「……部長」
「いいわよ、いってらっしゃい」
「…………先輩のおごりなら行きます」
塔城はグレモリー先輩から許可を取った後俺にそんな言葉を投げかけてきた。まぁ、何か怒らせちまったみたいだしそのくらいならいいか……。
「分かったよ……」
こうして塔城も一緒にパフェを食べに行くことになり三人で部室を出ようとしたところで呼び止められた。
「そうだ、ハチマンそろそろ名前で呼んでくれてもいいのよ?」
「私もですわ」
「二人を名前呼びとか俺にはハードル高すぎるんで勘弁してくださいよ……」
ホントに勘弁してほしい、この学園の生徒というか兵藤達に何されるかわかったもんじゃない……。
オカルト研究部の部室を後にした俺達はファミレスに向かうべく学園を出ようとしていたのだが、学園の校門付近で変なものを見つけた。
「ぐすッ……くそ~なんで一誠の奴が~」
「裏切りもの~」
変態三人組の内、松田と元浜の二人が泣き崩れていた。兵藤は見当たないが何があったんだ?まぁ、面倒事に巻き込まれたくないしさっさと行くか……。
「ん?」
あ、気づかれた。
「「比企谷~一誠が~」」
「……取り合えず落ち着けよ」
結局、その後二人から何があったのか聞いたのだが、何やら兵藤が他校の女子生徒から告白されたらしい。なんでも、校門前を通った時にいきなり告られたのだとか。しかも、面識のない相手から。そんで、デートをするときた。怪しすぎだろ……。兵藤はいいところもあるにはあるがいかんせん覗き魔などの悪評のほうが多い。そんな奴に他校の見知らぬ奴が告白。何かある可能性が高いかもな……。ついさっき、この辺りに堕天使の気配を感じたし、たぶん兵藤の神器を狙ってるとかそのへんだろ。
「というか、比企谷……ムラサメちゃんはまだ分かるが何で塔上小猫ちゃんと一緒にいるんだ?」
あー、まずいなこりゃ……。仕方がない俺に怒りの矛先が変わる前に
「そんな事より兵藤の事はどうするんだ? このまま見守るのか?」
「んぐッ……まぁ、あいつもいい奴だし彼女ができるのは俺達も喜んでやるけど……」
「「それでも、一発くらい殴らなきゃ気がすまねぇ!」」
よし、話は逸らせたな。その分、兵藤が殴られるのが決定したが……。まぁ、大丈夫だろ。兵藤よ、俺のために犠牲になってくれ。
「じゃあ、俺はお前たちの事、応援してやるよ」
「「ひ、比企谷!」」
二人は感動したように俺を見てきている。今がチャンスだな……。
「そんじゃ、俺達はこの辺で……」
「「ああ、またな!!」」
何とか無事に突破できたな。兵藤……。お前の犠牲は忘れない。三分くらい……。
そんでもって、ようやくファミレスにたどり着くことができた俺達三人は席につきそれぞれ注文を済ませる。俺はドリンクをムラサメと塔城はパフェをそれぞれ注文した。
「やっと、ぱふぇが食べれるぞ!」
「……良かったな」
「……パフェ」
ムラサメはかなり上機嫌になっている。塔城のほうも心なしか機嫌がよさそうだ。そして、注文した物が届き手を付け始める。その中で、パフェを口にした瞬間ムラサメの瞳は輝きだした。
「甘い、甘くて美味しいぞ、ご主人!」
「美味いのは分かったから今はご主人はやめてくれ……」
よほどおいしかったのか俺の呼び方まで戻ってしまっていた。勘弁してくれよ……。ほら、近くの客なんかこっち見てひそひそと話しだしてるし……。そりゃぁ、目の腐った男が美少女二人を連れてしかも、ご主人なんて呼ばれてりゃ、怪しさ満点だろうが……。通報だけは勘弁してください……。
「……塔城も美味いか?」
「……はい」
そうか、それは何よりで。塔城は朝の不機嫌さと感じさせることなく一心不乱にパフェを食べ進めている。こうしてみてると二人とも小動物みたいで駒王学園のマスコットと言われるのも理解できる。そんな事を考えている内に二人は食べ終わっており、また、パフェを注文していた。って、あれ?
「……一つだけじゃないんですか?」
「しばらく食べてなかったんじゃ、ひとつで足りるわけなかろう?」
「……比企谷先輩はひとつだけとは言いませんでした」
いや、確かに一つだけとは言ってないけども……。というか塔城さん? 貴方やけに楽しそうじゃありません?
「おかわり、おかわり!」
「……パフェのおかわりお願いします」
そんな感じで二人はパフェを食べていき俺はそこそこの額を支払うことになった。次からはちゃんと個数の指定もしよう……。
2話目です。ムラサメちゃんの口調に不安を感じているので、おかしなところがあれば指摘してください。
次回も読んでいただければ幸いです。