注:この作品はスパロボを題材にした2次小説、学園コメディーものです。
キャラが激しく崩壊している危険があります。
キャラのイメージを崩したくない方は閲覧しない方がよいかもしれません
俺の名前はキョウスケ・ナンブ。
OG《オリジナルジェネレーション》高等学院 ── 通称、ジェネ高とよばれる高校に通っている3年だ。
俺の通うジェネ高の周りには多くの高校が軒を連ねている。
「影鏡(えいきょう)高校」「スクール」「ゼ・バルマリィ学院」……名前を上げたらきりがない。
なぜか高校が密集するこの地域のことを、俺たちは『エリア』と呼んでいた。
その『エリア』の中でもジェネ高は、最大の生徒数を誇り、エスカレーター式で大学まで上がれるというマンモス校だ。
しかも理事長のダイテツ・ミナセ氏の
『若者よ、若いうちに多くを学び、体を鍛えておくのだ!!』
という粋な計らいで、授業料はなんとタダ。
俺のような一人暮らしの学生にはありがたいこと、この上ない。
「おらッ、フォーカードだぜ!」
俺の目の前で、屋上の床に手札を叩きつけながらタスク・シングウジが叫んでいた。
安物のトランプカードを確認する。
Kが4枚そこに確かに並んでいた(ちなみに残り1枚はA)。
俺とタスクと一緒に円陣を組んで、カードをしていたアラド・バランガが嘆いていた。
「げっ、マジかよ。俺は2ペアなのに……タスク、お前なんかズルしてねえか?」
「そんなことしねえよー。はは、ラッキーラッキー、今日は超ラッキーだぜ」
タスクが勝利を確信して笑う。
それもそうだろう、今の奴の手札に勝つにはストレートフラッシュかロイヤルストレートフラッシュしかない。
ちなみに、俺の手札はというと、
「ブタだ」
「キョウスケさん、またっすか? 今日はついてないですね」
なんとでも言うがいい。
ブタ……要するにノーペア、役に絡む手札が入らなかったことを意味する。
これで5回連続だ。
そろそろ勝ちを拾わなければ俺の身が危ない。
「フォーカードだから3回分な」
タスクが手元の紙切れに、鉛筆で正の字で数を記入する。
内訳はタスクが30、アラドが15、俺が5だった。
今更ながら、俺たちが今なにをしているのか説明しておくことにしよう。
俺たちは授業を抜け出して、屋上にて3人でポーカーをしている。
無論、賭けポーカーだ。
賭け金は昼食1回分。
上がりでポイントが1増え、その上がりの手によってはポイントに色が付いてくる。
フラッシュ・フルハウスが2ポイント、フォーカードで3ポイントと言った風にだ。
当然、ジョーカー=ワイルドカードはあり。
切り札がカードの中に仕込まれていないなんて興醒めも良いところだからな。
…………まぁしかし、俺は今負けている。
ポイントは相殺されるので、このままだとタスクに25回分の昼食、アラドには10回分の昼食を奢らなければいけない羽目になる。
ちなみにアラドは「スクール」の生徒で、賭けポーカーが開催されると決まると「スクール」を抜け出してジェネ高にやってくる。
ただ飯に惹かれてやってくる、という訳だ。
しかし他校のアラドに昼食を振る舞う機会は少ないので、金額に換算されるのが俺たちの中のルールだった。
1食=500円。
500円×10食分=5000円……一人暮らしの学生には大金である。
「そろそろ昼休みだなぁ、キョウスケさん」
「ひひひ、御馳になりやす!」
タスクとアラドの目が、時代劇ドラマの悪代官と越後屋のようにいやらしいものになっていた。
ふん、いい度胸だ。
ギャンブルというのは、崖っぷち……踏み外したら即絶命な状況を、たったの一撃でひっくり返すからこそ面白いのだ。
俺は右手の腕時計を見た。
時間は12時を回っている、時間的に勝負できるのはあと1,2回。
25食分の差をひっくり返すには、禁断の‘あの手’を使わねばなるまい。
「2人に話がある」
「なんすか?」
勝ち誇ったタスクが応えた。
見てろ、その顔を歪ませてやる。
「賭けレートを3倍にしてもらいたい」
「「なんだって!?」」
2人の顔は一瞬驚きに染まるが、すぐにキョウスケを嘲笑うような視線を向けた。
「キョウスケさん、本気で言ってるんスか? あなたの今日のツキは最低ですよ、俺たちに喰い物にされるだけですぜ」
「さらに御馳になります、キョウスケさん」
2人とも、好き放題言ってくれる。
確かに今日の俺のツキは最悪だ。
配られる手札は全てブタ、完成する役は1ペアや2ペアが関の山だった。
上がりは全て普通の役だったため、俺の今日のポイントはたったの5ポイント。
はっきり言おう。
俺の今日の運勢は最悪だ。
しかし俺の中で静かに、熱く燃えるモノがあった。
頭が、体が、心が熱を持つ。
それは俺に言っている、行け! 行くんだ、ナンブ・キョウスケ!
「分の悪い賭けは嫌いじゃない」
そう、俺はいつも逆境をものにしてきた。
一発逆転、それが俺のギャンブルだ!
「どうなっても知らないっすよ」
親役を務めるタスクはそう言うと、散らばったカードを集めてシャッフルし始める。
公正を規して念入りに数回シャッフルを繰り返し、シャッフルしたタスクではなく俺がカードの配布を行う。
俺はカードの中身を見ていない。
タスクがなにか仕込んでいても、配るのが俺だから不正はできない。
正真正銘の1発勝負、勝敗は全て自分たちの運が決するのだ。
「これがラストバトルだ」
札を配り終えた俺が言い放ち、残ったカードを伏せて3人の中央に置いた。
タスク、アラドも配られた手札を確認する。
ポーカーフェイス ── 顔色一つ変えずに、彼らは不要なカードを切り捨て、山から取ったカードで役作りを始めた。
ワンテンポ遅れ、俺は祈りを込めながらカードの表を確認した。
── 僥倖ッ!!
俺は声に出しそうになったのを必死で堪え、平静を保っていた。
どうやら、ギャンブルの神は俺に微笑んでくれたようだ。
俺に見えている手札の種類を紹介しよう。
ハートの10、ハートのJ、ハートのQ、ハートのK……そして、ハートのA。
つまりこういうことだ。
ロイヤルストレートフラッシュ!!
出現確立10万分の1越え、必勝の役だ!!
跪けバカどもめ、これで俺の勝ちは不動のものとなった。
この手に勝てる役などほぼ存在しない。
そして、俺たちの賭けポーカーにおけるこの役のポイントは20ポイントだ。
さらに、賭けレートは3倍……20ポイント×3=60ポイント、タスクの25ポイントをひっくり返してお釣りがくる。
これだから、ギャンブルは止められない。
やはり俺は、分の悪い賭けには滅法強いな。
俺はこみ上げてくる笑いを必死に抑えつけながら、タスクたちに言った。
「さあ、ショーダウンといこうか?」
俺の確信を気配で感じ取ったのか2人の表情が変わる。
苦虫を噛み潰したような表情をして、アラドは手札を床に放り出した。
「畜生、これじゃあ、ただ飯は無理だぜ」
「8のスリーカードか……相手がブタなら勝機は十分だったな」
「ちっ……キョウスケさん、あんたはどうなんだよ?」
アラドが手札の開示を求めてくる。
いいだろう、そのドングリまなこにしっかりと焼きつけるといい。
「これが俺の手だ」
ロイヤルストレートフラッシュ。
なんだこりゃあ、綺麗に並べられたカードにアラドは声を上げ、がっくりと項垂れる。
ざわざわざわ、と観衆がいれば間違いなくザワメキが立つだろう俺の役に、馬鹿が1人撃沈した。
さて、次は、
「タスク、お前の番だ」
「………………」
どうやらあまりの出来ごとに声を失っている様だった。
しばらくしてタスクはため息をついた後、自分の手札を見て口端を釣り上げて言った。
「やるなあキョウスケさん、最後の最後にこんな手を引いてくるとは……正直、驚きだぜ」
「ふっ、その言い草、どうやら俺の勝ちのようだな」
勝ちを確信した俺はポイント表を手に取ろうとした。
だが、タスクそれを横からかすめ取る。
「言ったっしょ、今日の俺は超ラッキーだって」
「なに……?」
「切り札は我にあり!」
タスクが手札を屋上に叩きつけた。
瞬間、どばーん、と衝撃波が聞こえてきそうな程の衝撃が俺の中を駆け抜ける。
ハートの7。
ダイヤの7。
クラブの7。
スペードの7。
そして、切り札 ── ワイルドカードのジョーカー!
ファイブカード、それが俺たちの賭けポーカーでは最強の役の名前だった。
ポイントは30……25+90=115……1ポイント500円と考えれば、57500円…………
「巨星、堕つ!」
「御馳になりやす!」
俺の中からなーにかが抜けるのを、俺は確かに感じていた ──
── 昼休み、俺は自分のクラス3年A組にふら付きながら辿りつき、
「エクセレン」
救いの女神に救いの手を借りようと、自分でも気づかぬうちに名前を呼んでいた。
金髪の美女、エクセレン・ブロウニング……俺の、彼女だ。
「金を、貸してくれ……」
「あらー、キョウスケったらどったの? また賭け事でもして負けちゃったのかしらん?」
自分の机でお弁当を頬張るエクセレンに、俺は片手で顔を隠しながら小さく、うん、と答えた。
「エクセ姉様、こんな馬鹿旦那のためにお金を出す必要は、ないと私は思うのでござりまする」
「まーまーラミアちゃん、こんなギャンブル依存症でも、私の彼氏なんだから……お金ぐらい貸してあげるのは当然のことよ」
「そうなのでありんすか?」
「そうよー、相変わらず変な敬語ねぇ」
ケラケラ笑いながら、エクセレンは一緒に食事していたラミアに諭していた。
というか、「影鏡(えいきょう)高校」のお前がここでなぜ飯を食っている?
いつも見かけるのだが、影高の方は大丈夫なのだろうか……などと、突っ込む気力も今はもうない。
エクセレンに金額を伝えると、彼女はポンっと即金で払ってくれ、こう言った。
「これで借金総額345500《・・・・・・・・・・・》円ね★ ちゃんと、体で返してねん♪」
「……はい」
俺が金を返せる日はくるのだろうか?
きっと一生、彼女の尻には敷かれたままなのだろう。
それはそれで、いいのかもしれないが……もしかしたら、俺はM気質なのかもしれないな。
そう、分の悪い賭けは嫌いじゃない。
俺はいつも追い込まれている。
次の勝負こそ、必ず、必ず勝ってみせる……!
ここはOG《オリジナルジェネレーション》高等学院。
『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。
今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。
次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。
≪次・回・予・告≫
エクセレン「さぁキョウスケ、約束通り体で働いて返してもらうわよ」
キョウスケ「…………仕方あるまい……!」
エクセレン「次回予告を、あつーく言ってみよぉー!」
キョウスケ
「俺の名前はキョウスケ・ナンブ、ジェネ高の3年だ。
突然だが、俺の愛機(バイク)のアルトアイゼンが何者かによって盗まれてしまった!
犯人は分かっている、影高の蒼い戦鬼『アクセル・アルマー』だ!
敵に取り囲まれる俺、そんな俺を奴は見下ろしてこう言った『ベーちゃん』と!
次回『ガッカリベーちゃんとうっかりアー君』、どんな相手だろうと、打ち貫くのみ!!」
エクセレン「この次回予告はフィクションです。実在の人物・団体・企業とはなんの関係もございません。予告と次回の話が違ってても怒らないでねん♪」
大感謝!
ネタを提供してくれた「コンペイトウ」さん、ありがとうございました!
ネタは随時募集中!
スパロボ限定で短編ですが、できる限り実現していこうかと思っています!