スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>

絶賛、キャラ崩壊中です!
ブリット、クスハ、アクセルのイメージを崩したくない方は見ない方がいいかもしれません。
それでもよい、という方はどうぞ!

本当に注意:誘拐は犯罪です。


我ニ敵ナシ? ~おっぱいを廻るセイセン!の巻~

 

 俺の名前は、アクセル・アルマー。

 

 なぜか高校の密集する地域『エリア』で悪の巣窟と揶揄される高校、影鏡高校の3年生だ。

 自分で言うのもアレだが、俺は相当の悪だ。

 目的のためには人さらいだって平気でやるため、近所の奥様方に恐れられるぐらいに悪だ。

 そんな俺だが、悩みがある。

 

 ベーオウルフ……生まれてこの方、喧嘩に滅法自信がある俺だが、コイツにだけは勝てた事がない。

 以前も廃工場跡に呼び出したが、バイクを叩きつけられてあっさりやられてしまった。

 ちなみに俺は「蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術」免許皆伝!

 そんな俺を負かし続けるベーオウルフの実力は推して知って貰いたい。

 しかし負けっぱなしでは俺の腹の虫が収まらない。

 次はどんな手でベーオウルフをおびき寄せてやろうか……?

 そんなことを考えていた矢先だった。

 俺の携帯にメール着信が入ったのだ。着信音は「限りなく遠く、果てしなく遠い世界」。え? 知らない、そんなこと知るか。

 

「お、エーちゃんからか」

 

 俺の作戦参謀、メル友のエーちゃんから作戦提示のメールだった。

 俺は声に出して読み上げる。

 

「えーと……最近、ヒロインばっかりさらってマンネリなので、彼の舎弟の彼女でもさらって彼をおびき寄せてはどうでしょうか? ……」

 

 俺は言葉を失った。

 

「流石、エーちゃん、冴えてるぜ!」

 

 この作戦参謀兼メル友は、本当に頼りになる。

 俺は早速作戦のためにベーオウルフの舎弟の名前を調べる事にした。

 奴の関係者の写真と情報は一通り集めてある。

 情報用のファイルを捲るうちに、真面目そうな顔をした金髪の少年が目に入って来た。

 

「ブルックリン・ラックフィールド、か……ククク、待っているがいい」

 

 俺は悪そうな笑顔を浮かべながら作戦を開始した。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 我ニ敵ナシ? ~おっぱいを廻るセイセン!の巻~

 

 

 

 俺の名前はブルックリン・ラックフィールド。

 なぜか高校が密集する地域『エリア』1のマンモス高校、OG高等学院 ── 通称ジェネ高に通う高校2年生だ。

 自分で言うのもなんだが、俺は品性彷徨かつ成績優秀、しかも運動神経抜群で教師受けもよく顔もいいという中々にリアルが充実した人間だと思う。

 しかし、そんな俺にも悩みがある。

 俺が惚れている、同じクラスの女子の事だ。

 

「ねーねー、ブリットくん」

 

 俺の名前は長ったらしいので、よくブリットと略される。

 俺が惚れている女子 ── クスハ・ミズハが天真爛漫な笑みを浮かべて俺に訊いてきた。

 

「なんで、雲は流れていくのかな?」

 

 水蒸気で出来てる雲だから、気流に流されているだけだろう?

 なんでいつも俺にそんなことばかりを聞いてくる?

 いや、話しかけてくれるのはとてもうれしいのだが、その内容がどうしてもいつもこんなに訳のわからない、というか脈絡のないどうでもいい話題なのだろう?

 

── クスハ・ミズハは天然だ。

 

 しかも超のつく天然少女だった。

 当然、俺の思いに気付いてくれるはずがなかった。

 傍から見ていると危なっかしい……それが、俺が彼女に抱いた最初の印象だった。

 いつも失敗しそうになっている所を手助けしている内に、いつの間にか俺は彼女に惹かれていた。

 天然って別に悪い事じゃない、と思う。

 純粋なのだ、クスハ・ミズハは。

 どんくさい、とも言うかもしれない。

 だがそこがいい。そう思っているのは俺だけかもしれない。

 どうも優秀すぎると、自分が求めてなくても俗物的な輩がどんどん近付いてくる。

 正直、嫌になる。

 でも彼女は純粋な善意と好意で俺と接してくれるのだ。

 

「ねーねー、ブリット君。お弁当作りすぎちゃったから食べない?」 

「あ、ああ、ありがとうクスハ!」

 

 俺たちのお決まりの場所は屋上。

 時々、走り屋の先輩「キョウスケ・ナンブ」が賭けポーカーを開催しているが、いつも負けている曰く付きの場所だ。

 でも俺たちにとっては、吹き抜ける風が気持ち良いお気に入りの場所である。

 

「気持ち良いねー」

「そ、そうだな、クスハ!」

 

 俺はクスハの作ったお弁当の唐揚げを摘まむ。

 ああ、俺は幸せだ。

 これ以上の幸せがあってたまるものか!

 好きな子が作ってくれた弁当を、好きな子と一緒に食べることができるのだから。

 他人から見たら、俺たちは付き合っている様に見えるらしい。

 しかし俺たちは付き合っていない。

 多分、お互いに好き合っているとは思う。

 でも俺に度胸がないばかりに、告白もせぬままなあなあの関係が続いていた。

 

 しかし俺はこの関係に不満を持っていない。

 そのことを以前に同期である他のクラスの友人、タスク・シングウジに漏らした事がある。

 そのときタスクは俺を馬鹿にするような顔でこう言った。

 

「おめえ、あのおっぱいを見てムラムラしねえのかよ?」

「お、おっぱい!?」

 

 タスクはジャスチャーで胸を描きながら言った。

 はっきり言おう。タスクはスケベだ。周囲にエロ仙人と呼ばれるレベルのスケベだ。

 彼の大胆かつストレートすぎる言動に俺は驚きを隠すことができなかった。

 

「いいか、おっぱいは母性の象徴だ。男がおっぱいに惹かれても誰が咎めることができようか」

「あ、ああ……」

「お前だって惹かれてんだろぉー、揉みしだきたいんだろー、このスケベ!」

 

 俺はその時のタスクの嫌らしいを顔を忘れることができない。

 ああ、神様、嫌な記憶を忘れる事ができる能力を俺にくださいと願える程に、タスクの顔は下劣であった。

 しかし……タスクの言葉が真を得ているのも事実。

 俺だって男だ。

 クスハの胸に興味ない訳ではない。

 目測だがおそらくDは下らないだろう胸のサイズは、全ての男の目を引くには十分すぎる。

 だがそれを揉め、だと!

 キョウスケ先輩に代わって俺がタスクに天誅を加えてやろうか。

 そう思った時、俺たちの目の前を金髪の美人、レオナ・ガーシュタインが通ったのを覚えている。

 その時のタスクの行動の早い事ったらなかった。

 

「レオナちゃーん、今日も胸揉ませてくれよー!」

「失せなさい、下郎!」

 

 跳びかかって来るタスクをレオナは殴り飛ばして、さっさと去ってしまった。

 殴られた頬を腫らしながらタスクを悦った表情で呟いていた。

 

「もう、レオナちゃんったら恥ずかしがり屋なんだから」

「俺は、お前の自信が時々怖いぞ」

 

 この2人は恋人同士という噂を耳にしたことがあるが、本当なのだろうか?

 俺にはタスクが一方的に流したデマのような気がしてならない。

 それにしてもおっぱいか。

 おっぱいおっぱい、語源はなんだろう?

 それよりも今俺の横で弁当を啄ばむおっぱいの方が問題だ。

 

「美味しいねー」

「あ、ああ、流石クスハの料理だ!」

「もうブリット君ったら、上手なんだからー」

 

 にっこり微笑みながらクスハが俺の肩を叩いてきた。

 全然痛くない。俺はMじゃないが、むしろ断然気持ち良い。

 俺は叫びたかった。

 屋上ではなく、世界の中心で。

 

「俺はおっぱいがすきだぁああああああっ!!」

 

 間違えた、俺はクスハ・ミズハが好きだ。

 できることなら、今すぐ告白したい。

 でも断られるのが怖くて言えない自分は意気地なしだとは分かっている。

 

「美味しかったねー」

「ああ、最高だ!」

 

 俺はこの関係を崩したくなかった。

 こんな俺は意気地なしだろうか?

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前は、アクセル・アルマー。

 ベーオウルフ誘き出し作戦のため、現在ジェネ高に潜入中である。

 ちゃんと誘き出し用の手紙も書いてきた。

 あとはブルックリンの恋人を誘拐すればすべて完了だ。

 当然、奴の恋人の写真もゲットしてある。

 青い髪の中々の美人だ。最近、レモン姉さん構ってくれないし、ちょっと悪戯してみたくなるレベルには十分すぎるぐらいの美人だった。

 その少女が、待ち受ける俺の目の前を今通り過ぎようとしていた。

 しかし、そのとき俺はとんでもないモノを目にする。

 

「なんと言うおっぱいだ、これがな!」

 

 俺は驚愕した。 

 俺のターゲットであるブルックリンの恋人のクスハ・ミズハの胸に!

 なんという戦闘力を誇る胸だ!

 少なく見積もってもD以上は間違いなくあるぞ、これがな。

 レモン姉さんに構ってもらえず、最近はアルフィミィちゃんからも連絡がない俺には、十二分すぎる程に魅力的である。 

 

「ベーオウルフへの撒餌(まきえ)にするだけではもったいない、これがな」

 

 まあいい、とりあえず拉致ることにしよう。

 俺は悪だから、人さらいぐらいなんともないぜ。

 俺はクスハ・ミズハに話しかける。

 

「おっぱい……じゃなかった、お譲ちゃん。俺っちとお茶しなーい?」

「えー、でも知らない人に付いて行っちゃいけないって、ブリット君が言ってたよ」

 

 ちっ、ブルックリンめ、妙な入れ知恵しやがって……ならば。

 

「ブルックリンの奴も先に行って待ってるさ」

「そうなんですかー、じゃあ行きます」

 

 クスハ・ミズハは俺のことをあっさり信用した。

 よし、おっぱいゲットだぜ!

 それにしもクスハ・ミズハよ、そんなことじゃ悪い男に騙されちゃうぞ。俺みたいなな、うひひひ。

 俺とクスハ・ミズハは校門から外に出る。

 その際すれ違った緑色のバンダナを巻いたジェネ高生に、ベーオウルフ宛ての手紙を押しつけることにした。

 

「おい小憎、これをベーオウルフかブルックリンに渡しておけ」

「ブルック ── ああ、ブリットっスか。別にいいっスよ」

 

 緑バンダナ小憎は手紙を受け取ると、校舎の方に歩いて行った。

 よしよし、これで後はベーオウルフを待ち受けるだけだ。

 俺はクスハ・ミズハと一緒にジェネ高を後にした。

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前はブルックリン・ラックフィールド。

 あだ名でよくブリットと呼ばれる俺は剣道部に所属しているが、今日は部活が休みの日のため下足場でクスハと待ち合わせて、帰宅する予定であった。

 しかし今日は日直だったため、クスハには先に下足場で待っていてもらうようにしている。

 少し業務に手間取ったため時間を喰ってしまった。

 クスハの事だから怒ってはいないと思うが、あまり待たせる訳にはいかないので急ぐ事にしよう。

 だが、駆け足で到着した下足場にはクスハの姿はなかった。

 もしかしたら、間違えて校門で待っているのかもしれない。よくある話だ。

 

「よーブリット」

「タスクか。どうした?」

 

 エロ仙人こと、タスク・シングウジが俺の前に現れた。

 

「ほい」

 

 タスクが俺に茶色い封筒に入った手紙を俺に押し付けてきた。

 俺はそれを受け取りながら、

 

「なんだこの手紙は?」

「なんか、お前に渡してくれって校門で頼まれたんだよ。赤くてモジャモジャした頭の男だったぞ」

 

 俺は強烈に嫌な予感に心を苛まれた。

 赤くてモジャモジャした頭の男……もしかして、その男はアクセル・アルマーではあるまいか?

 よく走り屋の先輩「キョウスケ・ナンブ」に絡んでくる、影高の蒼い戦鬼。

 どうやっているのかは知らないが、毎回キョウスケ先輩はアクセルをケチョンケチョンにしてやっているという風の噂が俺の耳には届いていた。 

 しかし暴走族「シャドウミラー」で特攻隊長を勤めている名実ともに凶悪な男、それがアクセル・アルマーだった。

 

「あの赤モジャ男、クスハちゃんと一緒にいたぞ。お前と待ち合わせしてたんじゃねえの?」

「クスハと? 確かに俺はクスハとここで待ち合わせていたが……」

「……あー、じゃあクスハちゃん付いて行っちゃたんだな。

ちゃんと面倒見てやらないと駄目じゃねえかブリット。クスハちゃんはおめえの彼女だろ」

 

 何度も言うようだが、別に俺とクスハは交際などしていない。

 しかしこのタスクの言葉は、俺たちの関係を見た周囲が一様に見せる反応であった。

 ……俺は手元の茶封筒に視線を落とした。

 嫌な予感がする。出来る事なら開けたくはない。

 だが目を背けることは叶わないだろうと、俺は茶封筒を開け、中の手紙に目を通した。

 

  『はいけい、ベーちゃんへ。

  貴様の後はいの彼女は預かりました。

  返して欲しければ○○工場跡地にまで来なさい。

  来ないと、クスハ・ミズハに嫌がらせをしちゃいますよ。

                   しんあいなるアクセル・アルマーより』

 

 中に入っていたのはただのA4用紙で、ミミズが這ったような鉛筆の字で文句が書かれていた。 

 所々、消しゴムで誤字を消した後があり難しい漢字はひらがなだったが、「彼女に嫌がらせ」という文面は見過ごすことができない。

 アクセル・アルマー、クスハになにをするつもりだ!?

 手紙を持つを俺の手が小刻みに震える。

 そのとき俺の目の前に、この事件の渦中の人物キョウスケ・ナンブが彼女のエクセレン・ブロウニングと連れだって、下足場に現れた。

 

「キョウスケさん!」

「なんだブリット? 俺は忙しいんだ」

 

 そう言うキョウスケさんの右耳には赤鉛筆、右手にはなにやら新聞のようなモノが持たれていた。

 まるで競馬場へ出陣する男の正装である。

 キョウスケさんの左腕に抱きついているエクセ姉さんが言った。

 

「そうよブリット君。これから私たち、動物園でデートするんだから」

 

 動物園? 

 まさか娘を動物園に行こうと言って、馬を見せに行く競馬スキーなお父さんじゃあるまいし……と思いつつ、俺は訊いた。

 

「え? も、もしやそれはお馬さんが沢山闊歩するという……」

「ワーオ、凄いじゃない! ブリット君が知っているなんてきっと有名な所なのね! 楽しみね、キョウスケ!」

「ああ、実に楽しみだ」

 

 キョウスケさんの瞳は、夜空に輝く金星(一番星)のように輝いていた。

 駄目だ。

 この人「分の悪い賭け」をしに行くつもりだ、エクセ姉さん、あなた騙されてますよ!

 だが今日は行ってもらっては困る。

 クスハが誘拐された原因は全てキョウスケさんにあるんだから。

 俺は手紙をバッと広げて、キョウスケさんの顔に突き付けてやった。

 それを一瞥するとキョウスケさんが口を開いた。

 

「クスハ・ミズハ? それは何レースに出走する馬だ?」

 

 俺は耳を疑った。

 

「悪いなブリッド。今日の俺は7レースの『コテツ・リーゼ』一点張りだからな。単勝大穴、分の悪い賭けは嫌いじゃない」

「ワーオ、なになに、その動物園ってお馬さんを駆けっこさせるアトラクションやってるの? ますます楽しみねん!」

「そういう訳だ。ではな、ブリット」

 

 口元から覗く白い歯がキラリと輝いている。

 とても爽やかな笑顔を残して、キョウスケさんとエクセ姉さんは下足場去ってしまった。

 

 …………………………うそーん。

 嘘ですよねキョウスケさん? 他の文面全て無視して、クスハの名前にしか目が行きませんでしたってか!?

 しかもクスハ・ミズハって全然馬の名前に思えないし!

 なにが「コテツ・リーゼ」だ、あのギャンブル狂いめ! 二度と金なんか貸してやらないぞ!

 

「タスク」

「なんでい?」

 

 俺はこの光景を見守っていた友人のタスクをすがる様に見つめた。

 

「一緒に来てくれるよな?」

「ヤダ」

 

 即答。

 それはとても歯切れよく、気持ちいい返答がコンマ一秒で返って来た。

 タスク、俺たち友達だよな? そういう俺の言葉にエロ仙人はこう答えた。

 

「俺っち、今日レオナちゃんの家にお呼ばれしてんだよね。

前に『下郎』呼ばわりしたお詫びに料理作ってくれんだってさ。いやー、モテル男は辛いねー。

しかし千載一遇のこのチャンスを逃すつもりはねえ! 今日こそ、レオナちゃんのおっぱいゲットだぜ!!」

 

 殺されてしまえ。

 それが俺の率直な感想だった。

 

「じゃ、そういうことだから。悪いなブリット!」

「ちょっと待て! いや、お願い待って!」

「すまん!」

 

 俺の懇願にタスクはあっさり背を向ける。

 そしてタスクは、それこそ風のように去って行ってしまった。

 なんという友達がいのない奴だ。所詮はキョウスケ先輩の賭け仲間と言った所だろうか。

 ギャンブル好きな奴なんか、もう皆死ねばいいと思う。

 しかし困った。

 クスハはアクセル・アルマーに連れて行かれたままだが、頼りのキョウスケは去ってしまったし、他に付いて来てくれるような奴はいない。

 一人で、あの影高の戦鬼と一戦交えなければならないのか?

 断言しよう。

 確実にぶっ殺される。

 暴走族「シャドウミラー」の幹部級の戦闘能力は異常だった。

 風の噂には、幹部の一人は単身で悪の秘密結社に乗り込み、あっさり壊滅させてしまったという都市伝説まがいのモノまであるぐらいだ。

 そんな異常人相手に、成績表の体育5とは言え、所詮は一般人の域を出ない俺が敵う訳がない。

 しかし、しかし……

 

「クスハを見捨てる訳にはいかない!」

 

 俺は自分の部活である、剣道部の部室へと駆け込んだ。

 せめて武器を持って闘いの場に臨んでやる。

 俺は愛用の木刀「斬神陸甲剣(ざんしんりっこうけん)」を手に取った。

 

「おっぱい! じゃなかった、クスハは渡さないぞアクセル・アルマー!」

 

 俺は、木刀片手に○○工場へと急いだ。

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前は、アクセル・アルマー。

 今、俺の目の前には素晴らしい光景が広がっている。

 

「ねーねー、なんで私は柱に括りつけられているの?」

 

 おっぱい、じゃなくてクスハ・ミズハが訊いてきた。

 工場跡地の柱に括りつけてやったクスハ・ミズハ。

 両手を後ろに回して括りつけているので、その豊満な胸が強調されてズバーンと大砲の弾のように迫り出していた。

 素晴らしい、実に素晴らしいおっぱいだ。

 

「それはね ──」

 

 俺はクスハ・ミズハの質問に応えてやる。

 

「── 俺っちが、クスハちゃんを喰っちゃうためだよ」

「食べる? 私を? 変なのー、私別に食べる所なんてないよー」

「そこにスイカが2つあるじゃないか、これがな」

 

 俺はクスハ・ミズハの双子山に視線を向けて言った。

 

「スイカ? おかしいなー、スイカなんてないけどなー?」

 

 クスハ・ミズハは本気で信じているようで、周囲の工場跡地に目を這わせていた。

 くくく、いいねーこの娘、実にいい。

 自分が男にとって最高の食い物だってことに一切気づいていない。

 擦れてないだよねー、いいねー、逆に新鮮で。

 こんな可愛い娘を拉致して、ベーオウルフを待っているだけなんて男が廃るね。

 いや、逆に失礼に当たるだろう?

 

「さーてと」

 

 その凶暴なまでの双竜以外にも食べるところは沢山あるんだよ、と今日教えてやることにしよう。

 最近レモン姉さんも冷たいし、アルフィミィちゃんからも℡がないんだよね。

 …………もしかして、二股掛けてたのがばれたか?

 まさかね!

 俺っち頭悪いけど、その辺のカモフラージュは完璧だからな。バレル訳がない。

 もしバレテたら、俺はレモン姉さんの人体実験の餌食になって、今頃ひき肉だ。

 

「美味しそうな前菜だぜ」

「前菜? ねーねー、なにそれ? 美味しいの?」

「ああ、美味しいよ。とってもね」

 

 クスハ・ミズハは、今から自分の身に降りかかる不幸に知らずに天真爛漫な笑みを浮かべていた。

 俺っちは悪だからな、罪悪感なんてこれっぽっちも感じていないぜ!

 レモン姉さんがメインディッシュで、アルフィミィちゃんがデザートだから、クスハ・ミズハは前菜に決定だ。

 「蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術」奥義、究極の指テク「舞朱雀(まいすざく)」で昇天させてやるぜ! 

 俺は指をウネウネと動かして、解しながら呟いた。

 

「俺の指テクで、クスハ汁を流させてあげるからね♡」

「クスハ汁?」

 

 なぜか、目の前の子羊ちゃんはクスハ汁という単語に反応した。

 俺の言ってるクスハ汁がなんなのか、聡明な皆には分かると思う。

 ○○だよ、○○。あれ? なんで伏字されてんの? オカシイな。

 そんな俺の思考を余所に、クスハが朗らかに笑いながら言った。

 

「クスハ汁なら私持ってるよ! 今日の家庭科の時間に頑張って作ったの、今かばんの中に入ってる!」

「ふーん」

 

 別に興味ないや。

 そんなことより、俺は早くドッグファイトを始めたい。

 しかしクスハは俺をじっと見つめながら、

 

「飲んでいいよ」

「はぁ?」

「本当はブリット君のために作ったんだけど、あなたなら飲んでもいいよ」

 

 別に飲みたくないし。

 今のこの状況で飲むモノなんて「赤マムシ」くらいだろう?

 しかしクスハは俺を見て、返答がないことがショックだったのか、目じりには大粒の涙が浮き上がって来た。

 

「飲んでくれないの?」

「うっ、ぐ……!」

 

 や、やめろ、そんな目で俺を見るな!

 クスハ・ミズハの瞳からは今にも涙が零れ落ちそうだった。

 まるで、借金してでも買って欲しいと見つめてくる、某金貸しメーカーのCMの犬のような目だ。

 卑怯だぞ! そんな目をされては飲むしかないじゃないか!

 

「分かった、飲むよ」

「わーい」

 

 俺がそう答えた瞬間、クスハ・ミズハからはケロッと涙が消えて、気持ち良く破顔していた。

 あれ、涙は?

 もしかして俺、騙されたんかな……と思いつつも、俺はクスハ・ミズハの学生かばんの中身を覗き込んだ。

 勉強道具以外に青い水筒が1つあった。

 取り出すとチャポンと中に液体が入っている感覚が伝わって来る。

 

「飲んでー、早く飲んでー、一気に飲んでー」

「分かった分かった」

「一気ッ、一気ッ、一気ッ」

「わーたから黙れ!」

 

 無暗に煽って来るクスハを怒鳴りつけると、俺は水筒の中身をコップに注いだ。

 深緑色の液体が俺の目の中に飛び込んできた。

 なんだか青汁みたいだな。こんなのブルックリンは飲むのか?

 

「飲んでー、飲んで飲んで、飲んでー、飲んで飲んで」

「シャラップ!」

 

 意味不明なテンションではしゃぐクスハ・ミズハに口止めして、俺はコップに口を付けた。

 クスハ汁は見るからに不味そうだった。

 不味いものって一気に飲み下すに限るよな。

 こう、グイッと ────────

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前は、ブリット!

 今まさに○○工場跡地の前に来ている。

 ここにクスハとアクセル・アルマーがいるはずだ。

 アクセル・アルマー、影高の蒼き戦鬼と恐れられる素手ゴロ最強の漢。

 俺はその漢と喧嘩しなければならない。

 愛用の木刀「斬神陸甲剣(ざんしんりっこうけん)」の柄を握る手が緊張からか汗ばんでいた。

 おそらく俺は負けるだろう。

 それもメッタメッタのボッコボッコにされて病院送りにされるだろう。

 しかし俺は逃げる訳にはいかない!

 クスハを助ける為に、俺は逃げる訳にはいかなかった。

 

「覚悟しろ、アクセル・アルマー!!」

 

 俺は上段に構えて、工場内に突入した。

 すぐに柱に括りつけられたクスハの姿が目に入る。

 しかし近くにアクセルの姿は見えなかった。

 どこかに隠れているのか!?

 

「卑怯だぞ、出て来いアクセル・アルマー!!」

「ブリット君」

 

 クスハが話しかけてきた。

 

「そこに倒れてるよ」

「へ……?」

 

 クスハの視線の先にソイツはいた。

 この赤いモジャモジャワカメヘアーは忘れたくても忘れられない。

 アクセル・アルマーが青いコップを右手に握りしめたまま倒れていた。

 白眼を剥いている。外傷はないが、一体誰がアクセル程の猛者を倒したというのだろう。

 しかし俺は気がついた。

 アクセルの左手に握られている水筒……そしてその中身に。

 

「あ、あれはクスハ汁……アクセル・アルマー、愚かな」

 

 あれを、飲んだのか?

 何度も飲んで耐性のできている俺でさえ意識を持って行かれそうな毒物を、一気飲みしたようであった。

 救いようのないアホである。

 しかし同情する気にもなれない。

 アホは放置することにして、俺は水筒とクスハの学生かばんを拾い、クスハを拘束していた紐をほどいてやる。

 

「無事か、クスハ」

「ありがとーブリッド君」

 

 クスハの間延びした声からは危機感を感じる事ができなかった。

 

── クスハ・ミズハは天然だ。

  

 それも『超』が付くほどのである。

 おそらく、本当に恐怖は感じていなかったのだろう、素直な笑顔をクスハは浮かべていた。

 だけど心配なんだ。

 天然だから悪い虫でも付きやしないか、トラブルに巻き込まれたりしないかとても心配なんだ。

 しかし無事でよかった、俺は胸を撫で下ろす。

 こんな所からは早く去ってしまうに限る、俺はクスハの手を取った。

 

「か、帰ろうかクスハ!」

「うん、ブリット君」

 

 手を引いて工場の外へとクスハを導く。

 顔が熱い。

 俺はクスハの前を歩いているから、赤面しているかもしれない顔を見られないのは救いであった。

 恥ずかしいからな。

 

「そうだ、ブリット君」

 

 急に立ち止まったクスハ、俺が振り返ると彼女は学生かばんの中から青い水筒を取り出していた。

 そ、それは……クスハ汁!?

 クスハはそれをコップに並々注いで俺に差し出してきた。

 

「家庭科の時間にブリット君のために作ったの」

「お、俺のために……!」

 

 ありがたい。目から汗が流れおちそうな感動的な台詞である。

 例え、作られたのが毒物であったとしてもだ。

 

「どうぞ召し上がれ」

 

 天使のような悪魔の笑顔。

 死刑宣告にも似たクスハの言葉に、俺は覚悟を決めた。

 ここで飲まねば男が廃る!

 好きな女の子が作ってくれたモノを飲めないなんて、そんなことをする奴は男じゃない!

 俺はクスハ汁の入ったコップを受け取った。

 そして一気に口に流し込む。

 

「──── ッ!?」

 

 苦い、なんて表現は生ぬるい。

 強烈な炭酸のような刺激が口内に、硫黄のような刺激臭が鼻を突き刺し、人間の持つ五味の内の苦みだけを極限まで進化させたような味が俺を襲った。

 ……………要するに、この世のモノとは思えない味だった。

 持って行かれそうになる意識を俺はなんとか繋ぎ止め、クスハのために笑顔を作る。

 

「う、うまい、もう一杯……!」

「はい、どうぞ召し上がれ♪」

 

 クスハは容赦なく、コップにクスハ汁を注いできた。

 俺はこれを煽り続けるしかないだろう……それがこの世で一番の艱難辛苦であったとしてもだ。

 だって俺は好きだったから。

 心の底から浮かべるクスハの笑顔が、世界中のなにより好きだった。

 俺は世界の中心で叫びたかった。

 

「俺はクスハが好きだぁああああああっ!!」

 

 勿論、声には出せない……今の俺たちの関係が、音を立てて崩れ去ってしまいそうだったから。

 俺はクスハ汁を飲む。

 苦い、それでもクスハの作ってくれたと思うと飲むことができた。

 クスハ汁を飲み干した俺は再びクスハの手を取って、

 

「か、帰ろうか、クスハ!」

「うん、ブリット君」

 

 いつもの帰路に付いた。

 繋いだ手からクスハの温もりが伝わって来る。

 体だけでなく、心まで温かくなってきた。

 手を繋いだ俺たちは、他人から見れば恋人同士に見えるだろう。

 だが俺たちは付き合っていない。

 お互い好き合っているとは思うが、俺はこの関係を崩したくはなかった。

 こんな俺は意気地なしだろうか?

 

 今日もクスハとの一日が過ぎていく ──

 

 

 

ここはOG高等学院。

『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 競馬場。

 それは男の魂が交叉する闘いの場所である。

 場内に熱いアナウンサーの声が響きわたる。

 

『── おーとっ、ここでコテツ・リーゼ転倒!! 

後続を次々と巻き込んで行きま ── ああ、しかしここでトロンベの登場だ!! 

倒れた馬群をひとっ飛びで跳びこして、一瞬でゴボウ抜きです!! 早い、まるで黒い竜巻だ ──!!!』

 

 レーツェル・ファインシュメッカーという騎手が駆るトロンベが1着でゲートを潜った。

 紙切れとなった馬券が舞いあがり紙吹雪となって舞い散る競馬場で、エクセレン・ブロウニングの携帯にメールの着信があった。着信音は「白銀の堕天使」だ。

 メール送信者はアクセル・アルマー。

 

 『拝啓エーちゃんへ。

  今日はベーオウルフが来てもくれませんでした。

  しかもさらった彼女さんに毒物を飲まされて気絶してしまいました。

  とても悔しいです(^-^)/』

 

 文面に似合わない絵文字で書かれたメールに苦笑を浮かべ、エクセレンは神業的なタイピング速度で返信した。

 

 『拝啓アー君へ。

  マンネリ化したとは言え、

  やはりヒロインをさらわないとベーオウルフは来てくれないのかもしれませんね。

  それよりもアー君、敵の出した飲み物に口をつけるのはどうかと思いますよ。

  次回から気をつけましょう(^-^*)/』

 

 30秒ほどで着信音、エクセレンは開いて確認する。

 

  『いやー、うっかりうっかり(・ε・)/』

 

 エクセレンは携帯を閉じて、隣で固まっている男に語りかけた。

 

「帰るわよ、キョウスケ」

「…………」

 

 キョウスケは項垂れたまま、ピクリとも動かない。

 

「もう……」

 

 まったくしょうがないな……とエクセレンはため息をつき、体をキョウスケに預けて目を瞑った。

 彼が復活するまでこうしていよう、とエクセレンは微笑を浮かべる。

 温かい気持ちになることができた。

 

 ちなみに、優勝したレーツェルとかいうグラサン男が表彰台に上っていたと言う……

 

 

 

 

 

 




<キャラ紹介>
ブルックリン・ラックフィールド:ジェネ高2年生のイケメン。剣道部に所属し、文武両道の成績を誇る優等生。クスハ大好き、頑張れブリット君。

クスハ・ミズハ:ジェネ高2年生の超天然娘。ブリットとは同じクラス。多分ブリットとは相思相愛のはず?

アクセル・アルマー:影高3年生、恐怖の特攻隊長。素手ゴロ最強を誇るが、スケベでアホ。現在、レモンとアルフィミィに二股中。ボインも無い胸も大好き!

キョウスケ・ナンブ:ジェネ高3年生の走り屋。ベーオウルフの異名を持ち、分の悪い賭けが大好き。借金返済できる日は来るのか?

エクセレン・ブロウニング:ジェネ高3年生でキョウスケの彼女。高校生には見えないが、誰がなんと言おうと高校生。いろんな人から姉さんと呼ばれている。

タスク・シングウジ:ジェネ高2年のラッキースケベ。エロ仙人とも呼ばれており、その知識は男子生徒の尊敬を集めている。賭けごとがものすごく強い。




<次・回・予・告>

キョウスケ「久しぶりの出番だと思えば、なんだこの扱いは?」

エクセレン「ねー? でもいつも賭けごとばっかりしてるから仕方ないんじゃなーい。て言うかー、今日は幾ら負けたの? はい、カミングアウッ!」

キョウスケ「…………5万円」

エクセレン「それもぜーんぶ人から借りた金よね?」

キョウスケ「…………うん」

エクセレン「テレビ(?)の前はこんな大人になっちゃダメダメよん! じゃあ、次回予告、シャウトナウ!」


キョウスケ
「ええーい(やけくそ)!
次回のスパロボ学院はパンだ!! でも作者はごはん派!!
次回スパロボ学院『リョウトのパン』
どんなパンだろうと、焼き上げるのみ!!」

エクセレン
「スーパーロボット大戦Lもよろしく(好評発売中)!!」



sibugakiさん、暗黒ミカンさん、Disさん改めヴィーアスさん、感想ありがとうございます!
最近アクセルのアホセル化が酷いです。若干、クレーム来ないか少し不安ですが……書いてて楽しい。
次回の題名は「○斗の拳」みたいな発音をイメージしてもらいたいです。
勿論、元ネタはあの作品からのつもり。
パロディってことで許してください。

では作者の北洋でした。
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