スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>
絶賛キャラ崩壊中!
テンガロンハットのカウボーイが崩壊しています。
読む方によっては不快感を覚えるかもしれませんので注意してください!
それでも良いという方はどうぞ!


ここは……無限のフロンティア? ~閉じた地域にいらっしゃーい~

 

 俺の名前はハーケン・ブロウニング。

 

 かつて数多(あまた)の世界が入り混じっていた楽園 ── エンドレス・フロンティア。

 その世界は例えるならカオス、色は黒だろう。しかし真っ白なキャンパスに絵の具をぶちまけたように混じり合っていた世界でも、自らの世界の輪郭を保つある一定の境界線を持っていた。 

 その境界線を穿ち、トンネルを作るモノ ── それがクロスゲート。

 クロスゲートを介して様々な世界が交わっていた世界。

 それがエンドレス・フロンティアだった。

 クロスゲートで結ばれたその世界の壁をぶち壊し、世界を一つにした男。

 それが俺、ハーケン・ブロウニングさ。文字通り「世界を創り変えた男」。

 ま、他意はない。

 惚れた女を護るために行動した結果というだけだ、これがな。

 

 しかし、融合したエンドレス・フロンティアはなにかと不安定でな。

 つい最近も、修羅とかいう物騒な戦闘民族が越してきたりして一悶着あったんだが、それはまた別の話だ。

 超イケててカッチョいい俺の手にかかれば、あんな奴ら一掃するのは朝飯食うよりも容易い事なのさ。

 異世界からの協力者たちも無事に元の世界に戻る事ができたし、万事丸く収まり、めでたしめでたしの大団円。

 我ながらいい仕事をしたと思っているぜ。ただ働きなのが惜しいところなのだが……。

 

「うーむ」

 

 そんなイケメンの俺が、カッコいい声で何故こうやって唸っているのかというとだな。

 ……なんだお前ら、知りたいのか?

 そうか。今なら、オッパイ一回揉ませてくれれば教えてやらん事もない。

 なに? 男? 

 チッ、俺のパーティに男は零児以外いらんぞ。世界を救う救世主の周りは常に華がなければならん。おっと、勘違いするなよ。俺が華で好きなのはユリだけだからな、零児との関係も男の友情という奴で、決してモーホー的な意味では ──

 

「ハーケンさん」

 

 近くに控えていた超絶巨乳美女 ── ナンブ・カグヤ(漢字は難しいので忘れた)が青筋を立てていた。思考が脱線していることを読まれたか? カグヤの奴は時々勘がいいから困るぜ。

 まあいい紹介も兼ねて、カグヤの容姿を一言で説明してみようと思う。

 ザ・おっぱい。

 これで十分だろう。あのぎっくり腰鬼と合わせて、俺のパーティーの凸凹コンビである。もちろんオッパイ的な意味でだ。

 む? 胸を押さえて、顔を赤らめ始めたな。実にエロくて結構だ、目の保養には持ってこいだぜ。

 

「ハ、ハーケンさん、卑猥な想像してません?」

「フ、ま・さ・か」

 

 俺は愛用のテンガロンハットを指で弾いて、愛しのカグヤにウィンクをしてやった。

 決まった……近年稀に見るカッコよさだ。

 

「やめろ、キモキザ」

 

 ワーオ、容赦ない毒舌が俺のガラスのハートを砕きに来やがった。

 日本刀ばりの切れ味を持つ一言を放ってくれたのは、俺の部下でお付きのアンドロイド、アシェン・ブレイデル。

 この全身凶器まみれのスパッツ小娘ロボは、ことあるごとに俺に毒舌を吐いてくる。一応、俺はお前の上司だよ。艦長だよ。その辺分かってる?

 

「理解したうえで言わしてもらうでありんす」

 

 その前振りを止めろ。

 

「ウザイ。いい加減本題に入れキザカウボーイ」

「OK、ポンコツロボ。後で覚えてろ」

 

 まったく、どいつもこいつも年長者への配慮の気持ちを持っていない。あと突っ込みメンバーが足りないな。帰って来てくれ、零児。

 

閑話休題。

 

 脱線してしまったが、冒頭で俺が唸っていた理由は俺の眼前に広がっている光景にある。

 

── また、新しい世界が越してきました。

 

 前述した通り、エンドレス・フロンティアは不安定なため、実に節操無く異世界を呼び込み、合体してしまう。

 

 まったく、とんだビッチワールドだな。そうやって修羅たち呼びよせやがって、事後処理に追われた俺たちの身にもなってみろ。堪らないっての。

 で、だ。

 俺の眼前には、白いドーム状の光で覆われた世界が広がっている。

 大きさは……そうだな、街一つ分……地域1個分ぐらいだな。普通の転移者は風景が変わった事に驚き、自らエンドレス・フロンティアの探索に乗り出してくるもんだが、この世界の住民は引き籠って一向に出てくる気配がない。

 そこで、だ。

 中にどんな住民が住んでいるのか気になるじゃん?

 友好的なら友達になればいいし、修羅みたいな戦闘民族ならとっとの頭潰して屈服させればいい。

 なんにせよ、一度中の探索は必要不可欠だった。

 

「ハーケンさん、本当にお独りで行かれるのですか?」

「OK、カグヤ。お前が俺を心配してくれるのは分かったが、離れてみて初めて分かる愛ってあると思うぜ」

「キモ」

 

 アシェンの言葉は一々傷つくなぁ……しかしカグヤの心配も最もだろう。

 未知の世界に一人で跳びこむのは確かに危険極まりない。しかし俺の異名は「さすらいの賞金稼ぎ」。危険な地に飛び込むのは慣れっこさ。

 それに危険を冒して初めて掴める者だってあるんだぜ。

 例えば、女の子とかな。

 いやあ、自慢じゃないが俺の周りって可愛い子が多いのさ。でもな、正直時々息が詰まるんだよね。たまにはおもっきり自由に、ガールハントしてにゃんにゃんしたりしたい訳さ、これがな。

 俺の賞金稼ぎ(エロハンター)としての勘が告げている。

 あの中は桃源郷に違いない、と。

 ならお邪魔虫を連れていく理由なんてないだろう?

 

「コール、ゲシュペンスト!!」

 

 俺は天上に手を掲げ、相棒の名前を唱えた。

 すると光と共に3m級の黒い巨人、ゲシュペンスト・ファントムが現れる。今までの激戦を潜り抜けて来た俺の相棒、鋼の巨人だ。

 

「マリオン博士に付けてもらったクロスゲートパラ……なんとかさえあれば、世界の境界なんて余裕で超えられるぜ」

「ハーケンさん……やっぱり私も……」

「ストップだカグヤ」

 

 俺はゲシュペンストに抱きあげられて新世界に突入しようとしたが、カグヤが本当に心配で堪らないと言った弱気な表情を向けて来た。

 

「愛する者を危険に曝す訳にはいかない」

 

 だってカグヤ着いてきたら桃源郷に行く意味なくなるしー。女の子とにゃんにゃんしてるところ見られたら、絶対に「悪を断つ剣ですッ!!」とか叫んで人切り包丁で斬りかかって来るだろうしー。

 いい機会だから教えておいてやる(心の中で)。

 世の中には知らない方がいいことだってあるんだぜ。OKかい、オッパイ姫?

 

「だからここで待っていてくれ」

「ハーケンさん……」

 

 頬を染めて俺に見とれるカグヤとは対照的に。

 

「キモ、キモ」

 

 アシェンの奴、2回も言いやがった……終いにゃ泣くぞコラ。

 とにかく、桃源郷にいざ行かん!

 

「行くぞ、ゲシュペンスト!」

「…………」

 

 物言わぬ相棒はブースターを吹かして飛翔し、新世界 ── 光のドームへと突入する。

 ……そこで俺の意識は途絶えた。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 ここは……無限のフロンティア? ~閉じた地域(エリア)へいらっしゃーい~

  

 

 

「やめろ零児、スパンキングだけは ── ハッ!?」

 

 次に俺が目を覚ました時、辺りは既にとっぷりと闇に包まれていた。

 俺は公園に横たわっており、光源になるものは街頭の電球だけだ。夜だからだろう、公園には誰もいない。

 …………それにしても零児の野郎、勝手に人様の夢に出て来たと思ったらケツ引っぱたきやがって……次にあったら覚えていやがれ。

 俺は周囲を見渡した。

 ゲシュペンストがいない。代わりに黒いバイクが横たわっていた。

 

「ゲシュペンスト……どこに行った?」

 

 確か一緒に桃源郷に突入したはずだ。 

 しかしいない……なんだかあのバイクが気になるな。鋭角なフォルムで非常に頑丈そうだし、なんだが雰囲気がゲシュペンストにそっくりだ。

 まあいい。取り合えずもう一度召集だ。

 俺は夜天高くに手を伸ばして叫ぶ。

 

「コール、ゲシュペンスト!」

「Yes,My Master」

「ひぃ!」

 

 突如聞こえた機械音声に思わず悲鳴を上げてしまった。

 い、いかん、イケメン感が台無しだ。しかしあの声は一体何処から……?

 なぜか俺の目の前には横たわっていたはずの黒いバイクが起き上がり、エンジンを吹かせていた。

 ハンドルを押さえている訳でもないのに独りでにバランスを取り、倒れない。

 まさか……俺はもう一度あの文句を唱える。

 

「コール、ゲシュペンスト!」

「Yes,My Master」

「……OK、ゲシュペンスト。理由は不明だが、お前はバイクになっちまったようだな」

 

 どうやら目の前の黒いバイクは、俺の相棒ゲシュペンスト・ファントムで間違いないようだ。

 ……見知らぬ異世界だからな。多少の不具合が生じても仕方はない……ここから出れば元に戻ることを祈るしかないだろう。

 

「やれやれだ。しかしこの世界は一体……?」

 

 見た所、エンドレス・フロンティアに多数存在するような奇妙な国々に比べれば、平々凡々とした住宅街しか見えない。生活臭が凄くする、そんな世界だった。

 それが俺の感想。そんなとき、

 

「じぃぃぃぃぃぃ」

 

 物凄く見られている擬音を感じて、足元を見下ろした。

 すると足元に全長20cm程で、明らかに2頭身の小人がいた。なんだこれは? 獣羅か?

 とにかく危険かもしれない。

 俺は懐に隠した愛用の武器「ナイトファイル」を取り出そうとした。ナイトファウルはブラスティング・ステークにフェイクリッパーを装備した遠近両方に対応できる複合マシンガンだ。今までの戦いを共に潜り抜けて来たもう一つの相棒、それがナイトファウルさ。

 俺はナイトファウルを手に謎生物から後ろ飛びで距離を取り、突き付けた。

 ……しかし、引き金がない。

 

「あ、あれ?」

 

 しかもブラスティング・ステークもフェイクリッパーもない。

 それどころかナイトファウルは手のひら大の小物に変化していた。……ゲシュペンストに続いて、お前もか? ん? なにか書いてあるな。なになに?

 

『3徳ナイフ ないとふぁうる』

 

 いかん、頭痛くなってきた。

 ナイトファウルが何故ナイフに? しかも10徳ですらないよ。

 

「にょ」

「ちぃ!」

 

 謎生物が声を上げた。

 まさかコイツの仕業か!? くそ、こうなったら切り札の長銃身リボルバーキャノン「ロングトゥーム・スペシャル」で消し炭にしてくれるぜ!

 俺はドラ・○・キッドも真っ青の早さで、懐から「ロングトゥーム・スペシャル」の抜き撃ちを披露した。

 

── ジッポッ

 

 あれ、擬音がオカシイな?

 何時もはドカーンだとかズギャーンとか轟音を響かせてくれるはずなのに……俺は恐る恐る「ロングトゥーム・スペシャル」に目をやった。

 銃口からは控え目な火柱が立っている。

 銃身が短くなった愛銃にはこう書かれていた。

 

『拳銃型ジッポライター ろんぐとぅーむ・すぺしゃる』

「なんじゃ、こりゃあ!?」

 

 お、俺の切り札がライターになってしまった!

 予想外だ。なんだこの世界は? ヤバイんじゃないのか……俺の額を冷たい汗が濡らす。

 くそっ、この調子では持ちこんだ回復アイテムの類も役に立ちそうにないな。「またたびエキス」とかただのまたたびになっていそうだ。どうする? どうやってこの局面を乗り切るハーケン?

 

「ようこちょ」

 

 俺の危機感を余所に、いつの間にか足元に移動してきた謎生物が言った。

 

「『エリア』へようこちょ」

「エリア……この世界の名前か?」

「そうだにょ」

 

 なんだこいつは?

 俺に気配を感じさせずに近づくとは……相当の使い手のようだな。

 しかし殺気も敵意も感じない。

 こちらに敵対する意志はなし、か。

 

「OKだ、チビスケ。1つ質問したい。お前は何者だ?」

「わたちのなまえはおーちゃむ・ふぉー、このせかいのかみにょ!」

「……GOD?」

「まーず」

 

 喧(やかま)しい!

 零児、すぐに帰って来てくれ!

 突っ込みどころが多すぎて俺では対処不能だ。

 

「……OK、ゴッドガール。とにかく確認したい。どうしてエンドレス・フロンティアに来た? そして俺たちに敵対の意志はあるのか?」

「にょ?」

「……俺たちと友好関係を築く気はあるか?」

「にょ? チーカマくれたらかんがえてもいいにょ」

 

 駄目だ、話にならない。

 このオータムとかいう謎生物と語り合うよりも、他の人間を探して情報を収集した方が良さそうだ。

 それに、どうやらこの世界の住民は攻撃的ではないようだしな。

 俺の住んでいるエンドレス・フロンティアの方が数倍デンジャラスなようだぜ。武器がなくても安心して世界を廻れそうだ。

 

「OK、チーカマレディ。所でもう一つ訊きたいのだが、街はどっちだ」

「あっちにょ」

「サンキュー」

 

 俺はテンガロンハットを被り直し、バイクと化してしまったゲシュペンストに跨った。

 ふふふ、突然のイベントで忘れかけていたが、俺はこの世界にガールハントをしに来たのだ。この世界の女性が全て謎生物のような2頭身とは考えたくない。きっとバラの様に美しい女性がこの世界にはいるはずである。

 俺の嗅覚を甘く見るなよ。

 取り合えずは街、それも酒場だな。RPGでは情報を収集しつつ、子猫ちゃんを引っ掛けるのにベストな場所だ。

 

「ゲシュペンスト。ピンクシティに出発だ」

「Yes,My Master」

 

 俺たちは公園を後にし、謎生物のさした方向へ車を走らせた。

 公園にはあの謎生物だけが残された訳だ。別にどうだっていいね。ヾ(*・ω・)ノ゜(こんな)顔した人形みたいな奴。

 だから俺は奴の呟きを聞いていなかった。

 

「もうだしてあげないにょ」

 

 俺たちは闇夜を切り裂いて疾走する ──

 

 

 

      ●

 

 

 

 ── 繁華街、その一角にある店に俺は辿り着いた。

 赤レンガの壁と黒い扉がいい味を出している。いいね、いい女が居そうな空気がぷんぷん漂ってくるぜ。

 店の名前は「シュ・ラ・バー」か。いかにも恋人たちの憩いの場っという感じの名前だ。なんなら超カッコイイ俺が、他人の恋人を奪ってにゃんにゃんしてやってもいい気分だ。

 

 超・解・放・感!

 

 カグヤたちがいないだけでこんなに違うのか。

 いいね。男はたまに一人で街に繰り出す必要があるな。夜の街は男にとって正にオアシスと言ってもいいね、断言する。

 

「ゲシュペンスト、ここで待ってろ」

「Yes,My Master」

 

 お前は、さっきから同じことしか言わんな。前から思っていたがまるで忠犬だぜ。バイク形態の間は忠犬ゲッシー号とでも呼んでみようか?

 俺はゲシュペンストを置いて、店内に入る。

 扉に付けられた鐘の音が俺を入店を告げ、銀髪のマスターが俺に会釈をして迎え入れてくれた。

 店内はうす暗く、滑らかな指使いで演奏するピアノ弾きの女性の姿が目に入って来た。金髪をセミロングに切りそろえた美女であった。

 やったね、大当たり!

 しかしすぐに手は出さない。

 まずは酒と音楽を楽しみ、彼女の伴奏が終了したところで声をかける事にしよう。

 

「マスター、なんでもいい。おすすめをくれ」

「かしこまりました」

 

 銀髪の美男子。

 そう表現するに相応しいマスターがシェイカーでカクテルを作り、俺に差し出してくる。

 

「X・Y・Z《エックス・ワイ・ズィー》でございます」

「もう後がない、ね。洒落た名前だな」

「恐れ入ります」

 

 俺は手にカクテル ── X・Y・Zを愉しむことにした。

 アルコール度数は20-30%というところだな。しかし俺にはこれくらいが丁度いい。薄い酒など腹が張るだけで他のモノが愉しめなくなるからな。

 旨い酒に目の保養になる美女、そして音楽。

 いいじゃないか。この世界にわざわざ一人で来たかいがあるというものだ。

 しかし俺の幸せな時間に水を注す者がいた。

 

「レモンねーーさーーん」

 

 聞き覚えのある声だ。

 確か最近耳にした事がある……この声の主は赤くてモジャモジャした髪の持ち主だったはず……。

 

「しくしく、なんでデートすっぽかすんだよー……」

「お前はアクセル・アルマー!?」

 

 俺が座っているのはカウンター。

 そのカウンターの俺の隣の席で、机に突っ伏してその男は泣いていた。赤くてモジャモジャ髪の毛が鬱陶しい事この上ない。

 だが、一緒に闘った仲間を見間違えたりするものか。

 この赤いワカメヘアーの男の名前はアクセル・アルマー……つい先日、修羅の転移に端を発する事件で共に闘った仲間で、異世界から転移してきた協力者だった。

 アクセルはあの事件の後、無事に自分の世界に帰ったはずだ。

 ということは、ここはアクセルの世界なのか?

 俺の声に気付いたアクセルが泣きはらした目を俺に向けてくる。

 

「誰、あんた?」

「なに……?」

 

 アクセルは俺の事を覚えていないようだった。

 ……そういえばこの男、エンドレス・フロンティアに来た当初は記憶喪失になっていたな。まさか、元の世界に帰った衝撃でまた記憶が抜け落ちているのか。

 ザルみたいな脳味噌の男である。

 

「OKだ、赤ワカメ。忘れたのなら教えてやる。

俺の名前はハーケン・ブロウニング。人は俺の事をこう呼ぶ、『さすらいの賞金稼ぎ』と」

「うわ、キモ。いやキモキザだな」

 

 くぅ……! アシェンでなく、赤ワカメに言われるとイラつき具合が3倍だ。

 しかし、アクセルは自己紹介しても思い出す気配が一切ない。

 駄目だなコイツ。アホだ。

 

「それよりよー、俺っちの話聞いてくれよーキモキザ」

 

 うっ……酒臭い。

 アクセルめ相当飲んでいやがる……それより、その呼称で俺を呼ぶな!

 俺が怒鳴りつけてやるとアクセルは不快感を露わにし、代わりとばかりにこう言った。

 

「じゃあキザっちな!」

 

 キザから離れるつもりはないらしい。

 まあいい。キモが付かないだけ幾分か改善されている。黙って聞く俺にアクセルは続ける。

 

「デートの約束してたのによー、レモン姉さんがすっぽかしたんだよー。どう思うキザっちー? 俺は怒ってもいいのよなー?」

「……ああ、そこは怒っていいと思うぞ」

「だよなー。

アルフィミィーちゃんと腕組んで歩いてる所見られたぐらいで、約束してたデートすっぽかす事ねーやんなー」

 

 ……返答しかねるな。

 アルフィミィ。あの時アクセルとコンビを組んでいた少女か。

 ドジめ。2股は男のロマンだが、その関係は決してバレテはいけないのだ。その罪状が表面化した時、男は死よりも辛い地獄絵図の中でのた打ち回ることになる。

 もし俺がバレれば、カグヤになます斬りにされるだろう……おお、怖い怖い。

 しかし興味深い単語が出て来たな。俺はX・Y・Zを口に含みながら考える。

 レモン……たしかWナンバーズの ──

 

「メイシスゥゥゥッ!!」

── バコーーン!!

「ブフゥ!」

 

 何者かが酒場のドアを蹴り破り侵入して来て、俺は驚いて口の中のモノを噴き出してしまった。

 目の前には話を傾聴していたアクセル。

 ……すまん。でも水分だし、ワカメだから吸って増えるだろう。なっ?

 思いがけず口論が始まりそうだったが、そこは絶叫する青年に注意が行ったので無言の内に流れてしまう。

 

「好きだあああぁ、メイシス!!」

「ア、アリオン……! また貴方なの!?」

 

 乱入してきた青年はアリオンというらしい。メイシスというピアニストに人目も憚(はばか)らずに告白する姿は実に男らしいな。あっぱれだ。

 だが、メイシスは俺が目を付けていたので、もしくっ付きそうになったとしても叩きのめしてやろうと思う。

 しかしこれは面白い見世物だ。

 アクセルはにやにやとイヤらしい笑顔を浮かべながら見物していた。実に気持ち悪い。

 

「見てくれメイシス!」

 

 アリオンは自身の服を指差した。

 スーツを着ている。ピシッと新調されたスーツだ。就活にも使えそうである。

 

「俺はお前のために修羅を捨てた!」

「修羅? あいつ修羅なのか?」

 

 聞きなれた単語に俺は思わず反応してしまう。

 なにせ、俺の知り合いにも修羅がいるからだ。

 アレディ・ナアシュというクソ真面目な修業フェチ、要するにドMだな。修羅というのは「弱肉強食」な生き様を誇りとする戦闘民族で、エンドレス・フロンティに転移した途端に喧嘩を吹っ掛けてくるような血の気の多い厄介な連中だ。

 しかしアリオンからは修羅独特の覇気が感じられない。

 

「この自由戦士アリオン、君のために自由を捨てた! 

今の俺は『マオインダストリー』に務める、企業戦士アリオンだ!」

「ふーん、年収は?」

「月収は10万だ」

「帰れ!」

 

 アホだな。

 10万という金額がどれだけの価値があるか分からんが、この様子では女1人満足に養える額ではないのだろう。ざまあ見ろ。

 ……やはり妙だな。覇気がない修羅など存在するのか?

 俺は懐からある物を取り出した。それは某漫画の○カウターのように見える。

 

「キザっち、なんだそれ?」

「これか? これはな……」

 

 興味ありと顔を近づけてくるアクセル、ワカメがウザイことこの上なし。

 

「これは覇気センサーというものだ」

「覇気センサー?」

「うむ。

実績と信頼の覇気センサーことアレディ・ナアシュが作り上げた、修羅でなくても相手の覇気の強さが計れる機械だ」

 

 俺は○カウターのような覇気センサーを顔に装着する。

 オペラグラスのように片目だけ覆うフィルターを通して、俺にもアリオンの覇気が見えた。

 揺らぎもしない。

 本当に覇気の欠片もなかった。

 覇気が数値化されてフィルターに表示される。確か、アレディの覇気力は1万だといっていたから……

 

「覇気力たったの1、ゴミか」

「好きだああああぁ、メイシス!!」

 

 我慢できなくなったのか、辛抱溜まらんといった形相でアリオンがメイシスに飛びかかった。

 しまった! 観戦モードになっていたので出遅れた。このままでは先ににゃんにゃんされてしまうではないか!

 仕方ない。この際、ロングトゥーム・スペシャルでアリオンを消し炭にしてやる!

 

── ジッポ

 

 銃口からささやかな火柱が上がった。

 しまった! ライターになっていたのを忘れていた!

 飢えた狼のようにメイシスの胸に飛来するアリオン。やめろ、そのおっぱいは俺の物だ!

 

「失せなさい!」

 

 だが俺の喪失感を杞憂とばかりにメイシスの平手打ちが炸裂する。

 ズバコーーン、とアリオンはいとも容易く吹き飛ばされ、酒場の壁に叩きつけられていた……え、なにこの馬鹿力?

 あの細腕で大の男が軽々と弾かれた?

 おかしい……このメイシスという女はなにかがおかしい。

 俺は嫌な予感に駆られて覇気センサーをメイシスに向ける。

 

「は、覇気力25万だと! ええーい、化け物め!!」

「失礼なお客ね!」

 

 可愛らしく怒って見せるメイシスだが、もはや俺は彼女を落とす気にはなれなかった。

 覇気力が表示されている。ということは修羅だろ。でもってアレディの覇気力が1万だから…………25倍かぁ。ん? このセンサー、アレディみたいに相手の性質を見抜いて表示できるみたいだな。

 メイシスの覇気の性質は「触ると凍傷」だって。

 こりゃあ、駄目だ。にゃんにゃんしたら殺されるな。

 

「なあなあキザっち、俺っちにも使わせてくれよ」

 

 玩具をせがむガキみたいにアクセルが寄って来る。

 髪が鬱陶しい……と、覇気センサーにアクセルのデータが表示された。

 覇気力0、性質「エロス」。

 アホみたいな笑顔にはまったく覇気がないな。

 駄目だコイツ。話にならない。

 

「メイシスゥゥ!!」

「お、立ったぞ」

 

 アリオンはふら付きながらも起き上がった。大したものだ。

 しかし覇気力は0.5なので瀕死なのだろう。もう一度メイシスの掌打を受けると死ぬな、コイツ。

 止めておけばいいのに、懲りずにアリオンはメイシスに向かっていく。

 

「人はお金故に苦しまねばならぬ ──」

 

 そうか? 

 エンドレス・フロンティアで金稼ぐ時に苦しむのは、大概ボコられる敵側なんだがな……ん? 覇気センサーに反応が。

 数値が上昇して行く。

 

「── こんなに苦しいのなら ──」

 

 千……五千……1万、ま、まだまだ上がっているだと!?

 空気が震動し、センサーなしでもアリオンの覇気が高まって行くのが分かる。

 覇気の高まりと共の彼が着ていたスーツがビリビリと爆ぜていく。

 最初は上着、筋肉が盛り上がって行き覇気力は10万に達した。

 次にシャツ、まるで枷を解かれる獣のように覇気力の上昇が止むことはない。

 そして最後に……ズボン。

 

「── 俺はお金など要らぬ! 俺は愛と自由の使者、自由戦士アリオン!!」

「きゃあーーー、この変態!!」

 

 パンツ一丁、かなりフリーダムとなった彼の格好にメイシスが黄色い悲鳴を上げる。

 アリオンはふはははは、と高らかに笑いながらメイシスの腰に手を回し、力任せに引き寄せる。

 メイシスは小さな悲鳴を上げて、

 

「離してよ、この変態!!」

「ふはははは、退かぬ、媚びぬ、省みぬ!! 

俺は修羅、自由戦士アリオン!! 自由戦士に後退の二文字はない、欲しい者は力づくで手に入れるのだ!!」

 

 抵抗するが、先ほどとは打って変わって彼女の攻撃はアリオンには通用しない。

 まるで見た目通りの非力な女性のようだ。

 俺が覇気センサーでアリオンを見ると、数値は35万、性質は「雲」だった。

 

「その位にしておけ、アリオン」

 

 銀髪のマスターから静かな、しかし強烈な威圧感の籠った声が上がった。

 静かに燃えている。

 比喩じゃなく、覇気に火が付いて彼の背景は燃えていた。

 くっ、こいつも修羅か! なんだこの酒場は!? アインスト空間ばりの危険地帯じゃないか!!

 

「貴様も修羅なら拳で語れ、閃光のアルティス!」

「ならば語ろう」

 

 アルティスと呼ばれた銀髪マスターが拳を構える。

 ちなみに数値は36万、性質は「静かなる巨人」だ。

 アリオンもメイシスを離して、構えを取る。一触即発の空気が両者の間に流れたそのとき。

 

── ズガアアァンッ!!

 という轟音と共に壁を破壊して、これまた異様な大男が現れた。赤い鎧を付けている。

 

 ……もう分かってるさ。どうせコイツも修羅なんだろ? 

 数値は……5、53万だと!? 俺たちの修羅(アレディ)は1万だぞ。なんていうインフレ、まるで宇宙の帝王だ。ちなみに性質は「世紀末覇者」だった。

 しかし俺、目立ってないなぁ。やはりカグヤとアシェンがいないと駄目なのかな?

 赤い修羅が吼える。

 

「うぬら、我の店でなにを騒いでおる?」

「「修羅王ナー(オーナー)、アルカイド・ナアシュ!!」」

 

 アリオンとアルティスが同時に叫んでいた。

 メイシスの声は聞こえない。と思ったらあのアマ、裏口から逃げ出そうとしてやがる。状況の収集が不可能と判断しやがったな。

 

「修羅王、例え貴様と言えどメイシスは渡さん!!」

「ほう、面白い。やって見せよ、アリオン!!」

「参る……!!」

 

 メイシスは既に裏口から逃げ出していた。

 

「よー、キザっち。なんかヤバくね?」

「OKだ、赤ワカメ。危機感の欠如したお前に教えてやろう、これが……修羅場というやつだ」

 

 俺はテンガロンハットを深くかぶり直し、顔に影を作って教えてやった。

 どうだ? 顔に影が注すと、重い台詞に聞こえるだろう? 俺は台詞回しだけでなく喋るスタイルにもこだわる男なのさ。

 散り際こそ美しく……

 だから、俺は超カッコよく決め台詞決めるのさ。

 

「地獄で逢おうぜ、友よ」

 

 次の瞬間、3人の修羅が動く。

 

「魔朧幻千殺(まろうげんせんさつ)!!」

「覇皇魔滅拳(はおうまめつけん)!!」

「奥義(おうぎ)ッ、紅蓮魔炎陣(ぐれんまえんじん)!!」

 

 視界を覆う光。声にならないアクセルの悲鳴。そして俺の意識はそこで途切れた ──

 

 

 

 

 

      ●

 

 

 

 

 

 目が覚めると、俺はゴミ捨て場に横たわっていた。

 夜の喧騒も消え失せ、街は静まり返っている。深夜というやつだ。

 

「くっ、ここは何処だ? 一体何をしている?」

 

 思い出せない。

 なぜこんな所で寝ているのか? そして俺はなにをしていたのか、自分が何処から来たのかも思い出せない……思い出そうとすると体が震えだし止まらなくなる。

 辛うじて名前だけは覚えていた。俺の名前は ──

 

「キザっち!」

 

 ── そう、キザっち。って違うわ! 俺の名前はハーケン・ブロウニングだ。

 俺をキザっちと呼んだ赤いモジャモジャ頭の男が缶コーヒーを差し出してきた。訳も分からず俺はそれを受け取る。しかしこの男、一体何者だ……

 

「お前、何者だ?」

「なーにボケてんだよキザっち! 俺の名前はアクセル・アルマー! なんだったら、極道みたく親父と呼んでもらって構わないぜ!」

「OK、親父……」

 

 なんだろう、このアクセルと言う男には強烈な親近感を抱く。

 ともかく悪い奴じゃなさそうだ。

 俺はアクセルに手を引かれて起き上がった。

 

「じゃあ行くか、キザっち!」

「……? どこへだ?」

「ああーん、決まってんだろ! ガールハントだよ!」

 

 ガールハント!

 そうだ、思い出したぞ。俺は街にガールハントをしに来たんだった。いかんなぁ、当初の目的を忘れるとは。しっかりせねば。

 ……あれ? 俺、どこから来たんだっけ? ……まぁ、いいか。

 俺とアクセルは夜空に高らかと叫ぶのだった。

 

「「レッツ、ガールハント!!」」

 

 こうして、俺の毎日が始まった ──

 

 

 

 

 

ここは高校がなぜか密集する土地『エリア』。

『エリア』には個性豊かな人間が沢山いる。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ここは無限のフロンティア《エンドレス・フロンティア》。

 白い光の半球を前に、カグヤがぶつぶつと呟き、

 

「感じます。

きっとハーケンさんはあの中で困っています……いいえ、きっと私を求めているに違いないわ。……でも浮気してたらどうしましょう……そのときはハーケンさんを殺して、私も死ぬわ、うふふふ」

「ヤンデレめ」

 

 アシェンはカグヤに毒を吐いていた。

 ハーケンによる新世界への突入。あれから既に1週間が経過していた。

 

「いくらあのキモキザ艦長とは言え遅すぎる。なにかあったと考えるのが妥当だな」

「そんな、どうしましょうどうしましょうどうしましょう!」

「黙れ」

 

 軽く混乱したカグヤをアシェンは制止する。

 そしてしばらく考え込み、一つの結論を導き出した。

 

「よし、我々も中に突入するぞ」

「は、はい、行きましょう! ハーケンさんが私を待っています!」

「コール、アーベント!」

 

 アシェンの声に応じて夕日のような赤さを持つ機体が現れた。

 

「コール、ナハト!」

 

 カグヤの呼び出しによって夜のように青いロボットが出現する。

 2人はそれぞれそのロボットに抱かれて、光の半球の中へと突入していった。

 ……それから、彼女たちの消息を知る者はいない……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 一方、「シュ・ラ・バー」前に置き去りにされた忠犬ゲッシー号はというと、

 

「わーお、いいもん見っけ」

 

 金髪でグラマラスな女性 ── エクセレン・ブロウニングによって拾われていた。

 

「私の名前はエクセレン・ブロウニング、拾ったモノは私のモノよん♪」

「Yes,My Master」

 

 どうやらゲッシー号が「ブロウニング」という名前だけで、エクセレンをハーケンと誤認したようだ。

 

「まぁまぁ、お喋りできるのー。お利口さんねー。帰ったらピカピカに磨いて上げますからね♡」

「Thank You, My Master」

 

 キザっぽい男より優しい美女の方がいいなあ、と思うゲッシー号であった。

 

 

 

 

 

 

 

 




<キャラ紹介>

ハーケン・ブロウニング:みんなご存じカウボーイ姿のキザ野郎。女の子大好き!! 今日もカグヤの目の届かないところで、レッツガールハント!

アクセル・アルマー:影高3年、素手ゴロ最強の異名を取るアホ。女の子大好き!! 今日もレモンとアルフィミィに二股中。

アリオン・ルガダ:修羅。メイシスのことが好きで求婚するために修羅を捨て就職する。しかし自由を感じないと戦闘力激減、逆に自由になればなる程強くなる。最後の砦はパンツ。

メイシス・マルク:女修羅。修羅界の紅一点で、色んな修羅から求婚されているが、アルティス・タールのことが好き。ピアニストをしている。

アルティス・タール:修羅。寡黙だが、内には熱い情熱を秘めた男。メイシスとは幼馴染でじつはメイシスのことが好き。バーのマスターをしている。

アルカイド・ナアシュ:修羅王。バーのオーナーをしている。誰かに雰囲気が似ている。

ナンブ・カグヤ:巨乳。エンドレス・フロンティアの住民。ハーケンとは恋人関係? ただ彼女はハーケンにゾッコンであり、ややヤンデレ気味。

アシェン・ブレイデル:毒舌。ハーケンのお付きのアンドロイドだが、彼にも容赦なく毒を吐く。下手に近づくと吐かれた毒で再起不能にされるため注意。

オータム・フォー:『エリア』の神様。チーカマ大好き。



<次・回・予・告>

エクセレン「さあさあ、寄ってらっしゃい見てらっしゃい! ハーケン劇場の開幕よーん!」

キョウスケ「そんな訳で次回もムゲフロだ……とりあえずキャラは壊れるので注意しろ」

エクセレン「じゃあ、元気よくいってみよー!」

キョウスケ
「俺のはキョウスケ・ナンブ!
エリアに来てそうそう災難にあったハーケン、しかし彼は諦めない!
女の子とにゃんにゃんするんだ! その一念で彼はジェネ高に足を運ぶ!
果たしてハーケンはガールハントを成功させられるのか!?
次回、スパロボ学院「そこが……無限のフロンティア?」
どんな相手だろうと、撃ち貫くのみ!」

エクセレン「無限のフロンティアもよろしく!」




今回はムゲフロでお送りいたしました。
作者はムゲフロ未プレイです。ネットでプレイムービーを見ただけなので、キャラの話方に自信がないです。
特にアシェン。ラミアと被って妙に書きににくい。
まあ、作中での毒舌っぷりには舌を巻き程楽しませてもらいましたが。

sibugakiさん、ロボッツさん、三国同盟さん、暗黒ミカンさん、ヴィーアスさん、月光閃火さん感想ありがとうございます!
モチベーション上がって楽しく文章書かせて頂いています!
さて次回もムゲフロ回、もっとハーケンとアクセルを絡ませてやりたいです。
ではでは。
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