スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>
絶賛キャラ崩壊中!
ムゲフロキャラのイメージが壊れる可能性があります!
嫌な方は閲覧しないことを推奨しています!
それでも良いという方はどうぞ!

注意:ペットやモノは大切に扱いましょう。ぞんざいに扱うと後でしっぺ返しが来るかも……いやあ、それにしても酷いオチですので注意。


そこが……無限のフロンティア? ~気になるアイツはアインスト?~

 

 俺の名前はハーケン・ブロウニング。

 

 自分で言うのもアレだが、俺は相当のイケメンだ。

 黒いロングコートにテンガロンハット。イケてる俺のファッションはさながら荒野をさすらうガンマンさ。そして俺についた異名は「さすらいの賞金稼ぎ」、どうだ? ハードボイルド極まるとは思わないか?

 そんな俺に落とせない女など存在しない。

 超カッコイイ俺のテンガロンハットからの流し眼で、どんな子猫ちゃんのハートでもゲットだぜ。

 

 そんな俺だが。

 今、何故か高校の密集する地域『エリア』一のマンモス高校というOG高等学院、通称ジェネ高にいる。

 何故かって?

 愚問だな、兄弟。

 イケメンが高校でやる事なんてただ一つだろう?

 

「おいキザっち、早く行こうぜ!」

「OKだ、赤ワカメ」

 

 先日知り合ったばかりのアクセル・アルマーが俺を呼ぶ。

 ちっ、アクセルめ、しつこくその呼称で俺を呼び続けるな。もう一度言う。俺の名はハーケン・ブロウニング、断じれキザなどではない。

 まあいい、俺たちがジェネ高に潜入する理由を説明しよう。

 

── ガールハント!

 

 それが俺たちの目的である。

 英雄色を好むという格言を知っているか?

 英雄は女の子が大好きですとカミングアウトした、実に素晴らしい漢の格言である。

 なんて言っても俺は「世界を創り変えた男」だからな。英雄と言っても過言では……。

 …………ん? なにか思い出しそうになったが……気のせいか。

 そういえば俺は何処から来たのだろうな? まぁ、忘れるくらいなので大したことではないのだろう。

 兎も角、ガールハントだ。

 それこそ俺が『エリア』に来た目的だったはずだからな。

 ならばハントして、アクセルと一緒に子猫ちゃんをダブルにゃんにゃんしている内に思い出すだろう、これがな。

 

「レッツガールハント」

 

 テンガロンハットを斜に構えた俺の台詞は、間違いなくカッコいいに違いない。

 俺たちはジェネ高に潜入した。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 そこが……無限のフロンティア? ~気になるアイツはアインスト?~

 

 

 

 ジェネ高は『エリア』一のマンモス高校である、らしい。

 何でも中高一貫、さらにエスカレーター式に大学まで進学できるそうだ。大学は分校になっておりジェネ高の敷地内にはないが、そう言ったメリットに加えて授業料はなんと無料らしく、異常な程に周辺住民の進学率が高い。

 アクセルの話では、高校だけで1000人は下らないだろう生徒数を誇るとのことだ。

 それはいい。零児の言葉を借りるなら「そいつは重畳」である。

 なぜか分かるか、兄弟?

 分からないだろうから、まずはガールハントの極意を教えてやろう。

 なに? 別にいいだと?

 そう言わずに聞いて行け。なんと言っても俺は超イケメン、ハントの成功率は高いんだぜ。

 

「待ってよー、レオナちゅわーん」

「タスク、付いて来ないで!」

 

 校内に潜入した俺たちの眼前に一組の男女が姿を現した。

 男は緑のバンダナをしたイモ野郎だな。

 しかし女の方は腰まで伸びるブロンドヘアー、そして端正な顔立ちと、間違いなく美少女だ。

 OK、今日はついているぜハーケン・ブロウニング。

 生徒数が多いと言う事はそれだけ美少女が多いということだからな。だから「そいつは重畳」なのさ。ま、美少女率は下がるだろうが人数が多ければ美少女の総数は上がるって寸法だ。

 そしてガールハントの極意は「数撃ちゃ当たる」である。

 最も、俺程のイケメンになれば成功率は限りなく100%に近くなってくるんだがな。女なんて単純なものさ。

 俺、ハーケン・ブロウニングが考える、女が男になびく要素とは。

 第1に顔。

 第2に金。特にこれは実感としてとても大きい。俺の周りの女は守銭奴が多すぎるからな。

 ふふ、後は俺の話術で丸めれば校内でにゃんにゃんに持ち込めるだろう。

 俺は金髪美少女に声をかけた。

 

「お嬢さん、俺と一緒に甘い一時を過ごさないかい?」

「イヤー、不審者ですわ!」

 

 あれ?

 俺が声をかけた途端に金髪美少女は顔色を変えて、バンダナ子憎を引っ張って逃げて行った……うーむ、オカシイな? 

 美少女はなぜ走り去ってしまったのだろう?

 別に気持ち悪い言葉をかけた訳でもないのに……俺と一緒に歩いていたアクセルが俺に向かって言った。

 

「おいおいキザっち、なんだよその格好は?」

「……? 俺のお気に入りのコーディネイトだが? 

アクセル、いくらカッコ良いとは褒めてもお前には貸さんぞ」

「そんなダセえ服要らねえよ」

 

 ……野郎。言うこと欠いてそれか? ジェネ高の勝手が分からんので呼び名は大目に見てやっていたが、もう我慢ならん。

 俺の超カッコイイファッションの何処がダサいと言うのだ!?

 

「OK、ワカメ。まずは論理的に行こうじゃないか。俺の服の何処がダサいというんだ?」

「て言うかよー、ダサい以前に、まず浮いてんぜキザっち」

 

 この俺が浮いてる? この完璧なファッションの何処が浮いているというんだ?

 分からん。

 しかし俺は周りを見渡してアクセルの言葉の意味を理解した。

 

「全員同じ服を着ているな」

「そりゃ学校だかんね」

 

 比べて俺は黒いロングコートにテンガロンハット。かなりナイスガイなカウボーイファッションだ。

 ……うーむ、こういう画一化された服装の世界では、俺のように斬新な格好は異端なのかもしれないな。浮いている、ね。なるほどな、得心した。

 御蔭で金髪美少女にも不審者呼ばわりされたのか。

 いかん。ジェネ高でこの服装をしていては、ガールハントできる娘にも出来なくなってしまうではないか。

 しかしそのとき、金髪でオッドアイの女が、竹刀を振り回しながら迫って来た。

 

「この不審者め!」

 

 鬼気迫る表情だ。相手に暴力を振るう事に一切の躊躇のない顔に見える。

 

「そこで待ってな! タコナグリにしてやるぜ!!」

「やっちまえカチーナ姉さん!」

 

 緑バンダナのイモ野郎が発破をかけていた。

 ちっ、目立ち過ぎだ。ここは一度退かねば、悪い意味で記憶に残され指名手配にされてしまう。「賞金稼ぎ」が手配されてちゃ世話ないぜ。

 

「退くぞ、アクセル!」

「お前のせいだかんな、キザっち!」

 

 カチーナとかいう竹刀女を振り切るため、俺たちは廊下を駆け出した。

 

 

 

      ●

 

 

 

 今日俺は思い知った。女子高生って怖い生き物だということを。

 一匹オオカミの俺には理解できん感性だが、どうして女は群れになりたがる?

 あのカチーナとかいう竹刀女の後に続いて、どんどん群れなして襲ってくる姿は……なんて言おう、まるでバッファローの群れみたいだったぜ。

 こちらの言い分も聞かずに押し通るって感じがまさにそれ。

 俺とアクセルはあっという間に校舎外に追いやられ、恐怖の女子高生軍団の目を巻くために逃げまどった……。

 

 ……そして辿り着いたのが体育用具用の倉庫なわけだ。

 まったく、なんで俺がこんなに目に遭わなければいけないのだ。

 俺はただガールハントをしに来ただけだというのに。

 とにかく俺は体育用具室で一息をついた。

 どうせ追われるなら、ハーケン様ーとか叫んでくれる女子がいい。ふふ、捕まえてごらん。みたいな感じのやり取りを俺だってしたい。

 ……空しい。でもこの想像は男のロマンだろう?

 人切り包丁を振り回されて追いかけられるより、遥かに男にとって潤いのある展開だと思わないか? 

 潤いか……いいね、いい言葉だ。

 俺も潤いが欲しい……。

 ……なあ、兄弟?

 俺は逃げこむ場所を間違えたのかもしれないな……だって。

 

「はいアイ君、ご飯ですのよ」

「キシャアアアアアアアアアッ」

 

 俺の耳にこの世のモノとは思えぬ奇声が届いたんだもの。

 はっきり言おう。俺が逃げこんだ場所はただの体育用具室なので、別に普通の空間と言える。

 だが中に居た人物が普通かと言われると、否と言い切りたい。

 その見覚えのある青髪の少女は、奇妙な植物のような物体に水をあげていたからだ。

 ただの水。

 しかしそれを、鉢に植えられた30cm程度の植物が旨そうに飲んでいるではないか。それこそゴクゴクっといった感じに水分を吸い取る植物はどう見ても生物的である。多数の蔦で形勢された体の中に赤い単眼があり、そこからビームでも撃って来そうな様相を漂わせている、そんな植物だ。

 ……なんだコイツは?

 そんな俺の思考を無視してアクセルが言う。

 

「あれーアルフィミィーちゃん、こんな所でなにしてるのー?」

「あらアクセルですの? こんな所までわざわざ何しに来ましたの?」

 

 謎の植物に水をやっていた少女にアクセルが言った。

 青いロングヘアーで、目元に泣き黒子のような赤い水玉のタトゥーが入っている。

 む……俺はこの少女と何処かで会った事がある気がする……しかし何処でだろう? 思いだせなかった。

 ……俺とアクセルの目的を覚えているか、兄弟?

 ガールハントさ。俺は子猫ちゃんとにゃんにゃんしたいのだ。

 

「もちろん、アルフィミィーちゃんに会いに来たのさ。それ以外ないに決まってるだろー」

 

 しかしアクセルはいけしゃあしゃあと答えていた。

 

「俺はアルフィミィーちゃん一筋なんだな、これが」

「うふふ、アクセルは嬉しい事を言ってくれますですのー」

 

 騙されているぞアルフィミィ。

 しかし俺は間延びした声で嬉しそうに答える彼女になにも言う事はできなかった。

 だって俺も2股したいもん。

 騙す方が悪いんじゃない、騙される方が悪いのさ。

 あれ? なんだか、俺の考え方悪役っぽくないか? いかんなぁ、昔のパーティーの暗黒成分に染められてしまってるようだぜ。

 ……パーティ? ……なんだっただろう。俺の周りには性悪ばかり集まっていた気がするのは、きっと気のせいだと思う。

 兎に角だ。

 アクセルに騙されているアルフィミィは置いといて……彼女が水をやっている植物が気になる。俺はあの植物を見た事があるような気がする……そう、確か名前は……。

 

「キシャアアアアッ」

「あらアイ君。もうお腹一杯ですの?」

「シャア」

「はい、お粗末様でしたの」

 

 アインスト。

 思いだした。名前はアインスト……ただし俺が言っているのはこの植物だけのことではない。確か俺の周りにはこの植物に似た雰囲気を持つ生物がいて、そいつらの総称をアインストと言ったはずだ。 

 俺がなぜこんな事を知っているのかは覚えていない。

 しかし呼び名がアイ君ね……まさかアインストだからアイ君なんて安直な発想じゃああるまいな?

 

「アイ君、お手ですの」

「キシャア」

 

 アルフィミィの指示にアイ君は応えた。本体から伸ばした蔦で彼女の掌をさすっている姿は、飼い慣らされた犬の「お手」にどこか似ていた。

 しかしこのアルフィミィという少女……アインストと会話できるのか? いや、話が理解できる気になっているだけかもな。ペットを溺愛しすぎた飼い主に見られる悪い兆候だぜ。

 OK、不思議ガール。

 この際、君とアイ君の関係はどうでもいい。あと既にアルフィミィはアクセルのお手付きみたいだしな。それにロリータは俺の好みの範疇に含まれていない。

 俺はボインちゃんが好きなんだ。

 取り合えず今は、ほとぼりが冷めるまで休ませてもらうぜ。

 

「アルフィミィーちゃん、その子どうしたんだい?」

「……実はこの子捨てペットですの……」

 

 アクセルの質問にアルフィミィは沈んだ声で答える。

 

「森に捨てられていて、可哀想で見てられませんでしたの……でも私の家はペットは飼えませんの。だから体育用具室で隠れて飼っているんですの……」

 

 アルフィミィは目に涙を浮かべ、アクセルの服を掴みながら上目使いで懇願していた。

 

「アクセル、お願いですの。私がここでアイ君を飼っていることは誰にも言わないで……ここを追われたらアイ君には行き場がないんですの……」

 

 森で光合成して生きていくだろう。という俺の呟きを余所に、

 

「当たり前だろ、アルフィミィーちゃん!」

 

 アクセルは満面の笑みで答えていた。

 

「俺は口の固い男だぜ、これがな!」

「アクセル……ありがとうですの」

 

 アクセルは目尻を拭うアルフィミィの頭を優しくを撫でていた。その光景は仲の良い兄弟に見えたかもしれないし、長年連れ添った恋人同士にも見えたかもしれない。ただ言えるのは、2人の間に心を許し合った者同士特有の心地よい空気が流れているということ。

 いいね。ガールハントによる行きずりの関係、それもいい。俺は大好きだ。

 だが心を許せる相手が傍にいるのも、帰る家はあるようで心地よい。男は船、女は港ってね。正しき男女交際とはこの様にありたいものだ。

 ……ま、アクセルは二股してるがな。

 

「OK、ご両人。俺を無視しないでくれ」

「なんだ、居たのかキザっち」

 

 どうして俺の周りの人間は、こうも俺を邪険に扱うのかね? 好意の裏返しにしたって、野郎からでは嬉しくも何ともない。

 

「OKだ赤ワカメ。お前の言いたいことは良く分かった。

だから言っておいてやる。一人だけ抜け駆けして、美少女とにゃんにゃんなどさせんぞ」

「チィ!」

 

 アホが。悪役丸出しの舌打ちしたって許さんぞ。

 貴様には俺がにゃんにゃんする相手を見つけるまでは付き合ってもらう。

 

「アクセル、この方は誰ですの?」

 

 アルフィミィがアクセルに訊いていた。

 この少女の面影に俺はどこか見覚えがある……しかし思いだせない。だが相手も知らないのであれば俺の勘違いなのであろう。 

 嘘偽りなく純粋に俺のことを尋ねるアルフィミィにアクセルが答える。

 

「こいつはキザっち、ただの不審者さ」

「OK、アホワカメ。面に出ろ、女子高生の前に突き出してやる」

「冗談だってキザっち。ユーモアさユーモア、分かるだろう、これがな」

 

 純度100%の本音のくせに、面の皮だけは厚い奴だ。

 

「それよりもよー、キザっちもこっち来いよ。アイ君、可愛いぜ」

「キシャアア」

「アイ君、アクセルに遊んでもらって喜んでますの」

 

 アクセルは指先でアイ君を撫でていた。

 アイ君は本体から触手を数本だして指に絡ませている。あれは……もしかしてじゃれているのか?

 ハッキリ言おう。

 そんな鉢に入った植物か動物か分からない奇妙な生物に、俺は指一本触れたくないね。俺の指は女の子のためにあるのだ。

 

「そういわずに貴方も触ってみるですの。アイ君、とても軟らかくて気持ちいいですのよ」

「ノーサンキューだ、不思議ガール」

 

 俺はガールハンター、決してモンスターハンターなどではない。

 今すぐにでも飛び出してガールハントに勤しみたい。だが機は熟していない。今出ればあの竹刀女率いる女子高生軍団に八つ裂きにされるだろうからな。

 まだ時間を潰さねばならない。それも事実である。

 

「おいおいキザっち、女の子からの誘いを無下にするのかい?」

「そうですの。軟らかくて気持ちいいから、ぜひ触ってみるですの」

「軟らかくて気持ちいい、ね ── ハッ!?」

 

 そのとき、俺の脳髄を雷鳴が駆け抜けた。

 閃いた。

 俺は閃いてしまったぞ! 俺の灰色の脳細胞が恐ろしい考えに到達してしまったぞ!

 軟らかくて気持ちいい ── あれだ……そうだ、イメージしろハーケン。

 あれはアインストではない。

 オッパイだ!

 

「OK、ボーイアンドガール。そこまで言うなら触らせてもらおうじゃないか?」

「どうぞですの」

 

 俺の言葉に無邪気にアイ君を差し出すアルフィミィ。

 俺はアインストを触りたくはない。

 だがオッパイなら触れる。

 だからアイ君はオッパイだ。うむ、見事な3段論法だ。

 軟らかく気持ち良いモノ……すなわちオッパイをイメージすれば、俺でもアイ君に触ることができるだろう。どうせやるなら軟乳だ。よーし、灰色の脳細胞を総動員して補完してくれる……。

 ……なんだ、兄弟?

 なぜ汚物を見るような目で俺を見ている。

 キモキザ? 

 ふざけるな、俺は最高にカッコいい荒野のガンマンだぜ。

 だって仕方ないだろう? まだ外には出れないし、2人ともアイ君にご執心ときている。ここで触らなければ話題が無くなり話の間が持たん、主に俺がな。

 女の子との会話が続かんなど、俺のプライドが許さないぜ。

 それにこの気味の悪い生物に触るのだから、これぐらい想像せねばやってられんだろう?

 

「カモン、アインスト」

「キシャアアアッ」

 

 恐る恐る差し出す俺の指に、アイ君が触手を伸ばして絡みついて来た。

 

── ムニュウ

「ッ!?」

 

 俺の全身を雷が駆け巡った。

 や、軟らかい。

 俺の人差し指を数本の触手がらせん状に絡め取り、その1本1本が軟らかい。そして適度な力で締め付けと緩めることを繰り返してくる。まるで生まれたての赤子の頬に挟まれているような感覚……ああ、これは気持ち良い。

 新しい快感だ。

 

「これは中々だな」

「そうでしょう。アイ君の魅力は誰もを魅了してしまいますの」

 

 アルフィミィは嬉しそう笑っている。

 確かに……俺の指先を一生懸命ニギニギしてくるアイ君の行動は愛らしい。

 人は外見だが、ペットは外見よりも愛嬌だ。

 やや醜悪な外見はしているが、見慣れてしまえば可愛く思えるのかもな。

 

「でもよかったですの。アイ君をここで飼っているのはずっと秘密で、誰にも話せませんでしたの。秘密を共有する仲間ができたみたいで嬉しいですの」

「おうよ、俺たちは仲間だぜアルフィミィーちゃん!」

 

 アクセルが元気よく叫ぶ。

 秘密の共有か……子ども時代を思い出す。昔はよく秘密基地を作ったものだった。悪友たちと結託し知恵と努力で積み上げた城……いつの間にか忘れてしまったその城は今はどうしているのだろう?

 ……おっと、話がそれてしまったな。

 俺が思うに、きっと今アルフィミィが感じている連帯感は、俺が幼い頃に感じたモノと同じなのだろう。心強くて、楽しくて、わくわくする……そんな感じ。いいね、実に良い。

 だから秘密という響きは、大人になった今でもこんなに魅力的なのだろう……。

 

「OK、赤ワカメに不思議ガール。

俺もこの件に関して絶対に口を割らない。そう、俺たちは仲間さ」

「じゃあさ、今日からアイ君をみんなで育てようぜ!」

「アクセル、それは良いアイデアですの。私も賛成ですの」

「キシャアア」

 

 アクセルの提案にアルフィミィとアイ君が声を同じくする。

 ……ふっ、冗談じゃないな。俺の目的はガールハント。いつもの俺なら見向きもせずに断るだろう。

 だが、まぁ、たまにはこういうのもいいんじゃないか?

 今日のガールハントは出鼻を挫かれた訳だし、ハントはまたいつでもできる。今日のところは、新しくできた友人たちと話に華を咲かせるのも悪くない。

 

「よろしくな、アイ君」

「キシャアアア」

 

 俺はその小さな友人と、触手と指先で握手を交わすのだった。

 

 

 

 

 

 結局、アルフィミィは授業には戻らなかった。

 端から学校をサボっているアクセルも合わせて、俺たちは日がな一日体育用具室で語り合っていた。

 いや語り合うなんて高尚すぎるな。

 他愛ない話を交わし、笑い、アイ君を愛でてその日は更けていった。

 それにしてもアイ君。

 慣れてしまえば中々に可愛い。

 ……などと考える俺の感性は変なのだろうか。

 しかし一生懸命に触手で指に絡みつき水をあげれば喜ぶ様は、きっとどのペットにもある良さだと俺は思う。

 ちなみに砂糖水をやると大いに喜ぶし、酢を混ぜた水をやると嫌がっていた。

 水分でも好みというモノがあるらしい。

 そんなこんなしている内に日が暮れて下校時刻となり、俺たちはジェネ高を後にした。

 もちろん、明日の放課後に体育用具室に集合する約束をしてな。

 OKか、兄弟?

 俺は明日ガールハントはしない。

 ジュースやら青汁やら変な飲み物をアイ君にやってみて、反応を楽しみたいと思う。

 なーに、ただの気まぐれさ。他意はない。

 でもいいだろう? 時にはペットと触れ合うのもいいもんだ。アイ君から伝わって来た感触に俺は不思議と温かさを覚えていたのさ。

 

 

 

 

 

 翌日、放課後のジェネ高。

 俺とアクセルは約束通りに体育用具室へと訪れた。

 そこらの店で仕入れた様々な飲料水が俺の持つ袋には詰められている。アイ君がどんな反応を示すのか非常に楽しみだ。

 俺が用具室の扉を開けると、

 

「はいアイ君、ご飯ですのよ」

「キシャアアアアアアアアアッ」

 

 既視感(デジャヴ)を覚える光景が跳び込んで来た。昨日と同じくアルフィミィがアイ君に餌付けをしている。

 そう、おんなじだ兄弟。

 手に持たれている液体を除いてな。

 

「不思議ガール、その手に持っているのはなんだい?」

「あら、いらっしゃいですの。これは ──」

 

 俺とアクセルに気付いたアルフィミィが振り返る。

 その手には青い水筒と中身が並々注がれたコップが握られている。

 液体の色は緑、しかもテラテラと光っており……なんて言おう。

 飲んだら気絶しそうな程に苦そうだった。

 俺なら飲むのは御免こうむるね。しかしアルフィミィはそれをアイ君に上げるつもりのようだ。

 

「── 私のお友達が家庭科の時間に作ったモノを分けて貰ったんですの。栄養満点らしいですの。いつも水ばかりで、アイ君も可哀想ですので分けてもらったんですの」

 

 にこやかに微笑むアルフィミィ。

 印象通り優しい子なのだろう。しかし俺の背後に立つアクセルの顔色が変わっていた。

 

「ア、アルフィミィーちゃん、それはもしかしておっぱい……じゃなくてクスハ・ミズハに貰ったんじゃ……!?」

「そうですわよ」

 

 豹変。

 それほどに青白くなったアクセルとは対照的に、アルフィミィは天真爛漫な笑顔であった。御馳走をアイ君に与えられるのが嬉しいのだろう。

 アルフィミィはコップの中身をアイ君に注ごうとする。

 

「はいアイ君、ご飯ですのよ」

「や、止めろー、アルフィミィーちゃん!!」

 

 俺の耳元でアクセルが絶叫する。

 喧しい奴だ。耳鳴りがするほどの大声に俺が面喰らっていると。

 

「ギャアアアアアアア ────── !!!!!」

 

 今度は身の毛がよだつ程の断末魔。

 何事だ!?

 耳を切り裂いた絶叫の方向を確認する。発生源はアイ君であった。

 

「ア、アイ君?」

 

 カラーン、と手に持っていたコップを落とすアルフィミィの背中が目に入る。

 その影でアイ君は…………緑色の液体を被り、体が溶けてしまっており……アイ君だったと思しき物体から白煙が上がり、鉢の上にデロデロになった何かが広がっているという惨状だった。

 …………WHAT?

 状況が理解できない。

 俺はテンガロンハットを被り直し状況を整理する。アルフィミィはコップの中身をかけただけ。ただそれだけだ。しかしその後は惨状である。

 

「クスハ汁だ」

 

 顔面蒼白のアクセルが言った。

 

「俺っちは蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術免許皆伝……自分で言うのもなんだが相当の猛者だ。だがクスハ汁の味は天地を引っくり返すが如し……この俺をも一撃で昇天させる、まさ悪魔の飲料水……それがクスハ汁!」

「OK、アクセル。つまりこう言う事だな?」

 

 俺がアクセルの話を総括する。

 

「クスハ汁は毒、だと」

「それも猛毒なんだな、これが」

 

 そんなモノ飲んだのか、お前は?

 よく無事だったと褒めてやりたい所だったが、意気消沈するアルフィミィを前にそんなことを口走れるはずがない。

 

「アイ君………………ごめんですの」

 

 アルフィミィは崩れ落ち、項垂れている。額が地面に触れそうな勢いだ。小さな体が小刻みに震えている、おそらく泣いているのだろう。

 ……無理もない。

 予知能力者でもこんな展開は予想できないだろうからな。

 あの青汁見たいな液体をかけるだけで愛するペットが絶命するとは……誰が想像できようか? クスハ汁恐るべし。しかしアクセルがクスハ汁を飲み生きているのを見る限りでは後遺症はなさそうだな……案外、人体には無害なのかもしれん。

 しかしアインストには文字通り猛毒なのかもしれん。

 ……不謹慎な話だが、兵器としては非常に魅力的だ。クスハ汁量産の暁にはアインストなどあっという間に全滅だぜ。

 だが今、先決なのは……。

 

「おい。慰めてやれ、アクセル」

「キザっち……分かってるさ、これがな」

 

 俺に背を押され、アクセルは彼女の元に駆け寄る。座り込み、肩を抱いて声をかけていた。

 テンガロンハットを深く傾けることで、俺は自身の視界から2人に退場願った。

 帽子の羽を見つめながら背を向けて、体育用具室を後にする。

 アクセルとアルフィミィ。2人は知らぬ仲ではない。

 ならばあの場に俺は似つかわしくない。居るだけ野暮というものだ。

 俺は顔だけなく気配りもできるいい男なのさ。

 外に出た俺が帽子を上げると、日は傾き、空には茜雲が広がっていた。美しいがどこか儚げで物悲しい。茜雲は夕日が沈み切る間の少しの時間しか見る事ができない……儚く、ほんの一瞬で消えてしまう様は……まるで生き物の命のようである。

 夕日で赤く染まる雲が、俺にはアイ君の命のように見えて仕方なかった。

 

「OK、アイ君」

 

 短い時間を一生懸命に生きて燃え尽きた、アイ君の命。

 きっと俺も同じなのだろう。

 命は線香花火と同じ。パッと燃えて、輝き、やがて落ちる。いつか俺にもその時が来るだろう。

 

「その時までお別れだ。また会おう」

 

 俺はテンガロンハットを深く被り、それをアイ君への黙祷とした。

 さらば友よ。再び、地獄で相まみえる……その時まで ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おいキモキザ。それで締めたつもりか?」

 

 黙祷していた俺の耳とハートを、聞き覚えのある毒舌が劈いた。

 声は女性のもので、背後から聞こえてくる。

 しかし現在俺は黙祷中。これが終わるまで振り返るつもりはない。逝った友に失礼に当たるからな。

 

「キモキザ」

 

 振り返らんぞ。

 

「おい、女たらしの勘違いカウボーイ野郎。まるで不審者のような格好でイキがるな、貴様の居場所はここじゃない。便所だ」

「OK、ポンコツロボ。お出迎え御苦労さん」

 

 ああ、キレそうだ!

 この聞き覚えのある毒舌のせいで忘れていたことを思い出したぞ。俺はエンドレス・フロンティアから、この世界のことを調査兼ガールハントに来たんだったな。

 記憶のリカバーに貢献してくれたことは礼を言おう。しかし便所はないだろう、便所は。

 振り返ると、そこには見慣れた俺のお付きのアンドロイドが立っていた。

 彼女の名前はアシェン・無礼です。

 ……間違えた、アシェン・ブレイデルだ。

 

「探したぞ艦長。その年で迷子とはな、捜す方の身にもなってみろ。御蔭で便所という便所を探しまわってしまったぞ」

 

 ああ、そうかい。

 お前の中での俺の立ち位置がよーく分かったよ。帰ったら調整槽にぶち込んでやるから覚えていろ。

 まったく、悪辣(あくらつ)という言葉はコイツのためにあるようなもんだ。

 しかし俺を一人で俺を迎えに来たのか? ナハトやアーベントを連れていない。

 

「アシェン。他に誰か来ていないのか?」

「残念ながら突入時にバラバラに逸れてしまった」

「そうか……もしやカグヤもか?」

「ああ、牛乳(うしちち)もバラけた」

 

 牛乳、ね……ま、否定はせん。

 しかし全員行方不明か。この世界のことはあまり調査出来ていないし、調査ついでに仲間を探す羽目になりそうだな。まぁ、問題はそこではないが。

 ……チッ、カグヤが来ちゃガールハントは出来んな。まだ1回もにゃんにゃんしていないのに…………合流する前にハントするか? いや、アシェンの奴が黙っているとは考えにくいな……どうする? アシェンを撒くか? しかし折角出会った仲間だし ──

 

「おいキザスケ」

 

 うるさい、俺の崇高な思考を邪魔するな。

 

「ゲシュペンストは何処だ?」

「む……いかん、俺としたことが……」

 

 街の酒場の前に置いて来てしまった。

 あの後記憶が不確かだったから、すっかり存在を忘れてしまっていた。ゲシュペンストにはクロスゲートなんたらが装備されているからな、紛失すればこの世界から帰れなくなる。

 

「無くしたのか、この愚図が」

「……ソーリー」

 

 く……こちらに非がある以上はなにも言い返せん。

 まあいい。ゲシュペンストは俺が一声かければすぐに駆けつける忠犬のような奴だから特に問題ないだろう。

 

「とにかく一度召集しておくか。コール、ゲシュペンスト!」

 

 空に手をかかげてゲシュペンストを呼ぶ。

 

── シーン

 

 しかし反応はなかった。

 

「……コール、ゲシュペンスト!」

「……………もしや、愛想付かされたのではないか?」

「そんなはずはない。あのゲシュペンストだぞ?」

 

 俺の相棒、物言わぬ黒き巨人 ── ゲシュペンスト・ファントム。

 俺に従うようにプログラミングされた機人は、何時いかなる時も俺に忠実だったはずだ。戦闘時も呼べば颯爽と参上し、敵を八つ裂きにしてくれる頼もしい戦闘兵器だ。

 呼べば来る。

 それが当然なのだ。

 俺が怪我をして歩けなくなった時も、俺が飲み過ぎて帰れなくなった時も、トイレに入ってからペーパーがないと気づいた時も呼べば登場し、俺を助けてくれた。

 そういえば……こちらの世界ではバイクに変化していたな。

 その影響なのだろうか?

 その時である。

 

「ゴーゴー、ゲッシーちゃん♪ 行け行け、ゲッシーちゃん♪」

「Yes,my master」

 

 電子音の声を俺の耳に届かせ、そいつは俺の前に現れた。

 ゲシュペンストだ。

 その名残を残した黒いフォルムでバイク化しており、その座席には俺ではない人間が腰かけて校庭を走っていた。

 金髪の外人女性……なんだか、小牟に似ている気がするのは俺だけだろうか? 兎に角、人様のモノを勝手に使うとは不届き千判である。

 

「おい、あんた。そこでストップだ」

「ハァイ、私の名前はエクセレン・ブロウニング。色男さん、なにか御用?」

 

 正当に俺を評価した金髪女性はエクセレンと言うらしい。

 

「OK、エクセレン。そのバイクは俺のモノなんだ。返してくれないか?」

「やぁーよー」

 

 このアマ、即答しやがった。

 ちなみに彼女の理屈はこうだ。

 

「拾った物は私の物、私の物も私の物。だからゲッシーちゃんは私の物よん♪」

「なんだと?」

「それにゲッシーちゃんも私と居る方がいいものねー?」

 

 はっ、この女は一体何を言っている。

 ゲシュペンストの思考パターンはAIに制御されているのだ。

 入力されたプログラムに逆らうはずが ──

 

「Yes,my master」

 

 ── 馬鹿な……ああ、頭が痛くなって来た。マスターという言葉が俺を指していると思いたいが、さっきの文脈ではおそらくエクセレンを指している様に感じる。

 まったく、この世界に来てからロクなことがないな。

 早くエンドレス・フロンティアに帰りたいぜ。

 

「おい、アシェン。ゲシュペンストの言葉を通訳できるか?」

「合点承知のすけ」

 

 アシェンがゲシュペンストの電子音声を翻訳する。

 

「She is my master,and Wife」

「俺のマスターはエクセレン、そしてエクセレンは俺の嫁」

「KIMOKIZA,go home!」

「失せろ、キモキザ!」

「OKだ、アシェン。もういい」

 

 ……なんてこったい。

 ゲシュペンストの野郎、この世界に来た時は寡黙だったのに……何故、俺と離れてから饒舌になってんの?

 しかも寝返ってやがる……俺の周りの機械はポンコツだらけか?

 

「ゲシュペンスト、どうやらお仕置きが必要なようだな?」

「まぁ、怖い。ゲッシーちゃん、やっちゃいなさいな」

「Yes,my master」

 

 ゲシュペンストめ、どうやら俺とやり合うつもりらしい。

 バイクになっている分際で生意気な、キツイお灸を据えてやらねばな。

 

「Neutron Blaster,Stand by!」

 

 ゲシュペンストの電子音声と共に、バイクの先端部分にあるヘッドライトに光が収束されていく。

 ……まさか……アレを使うつもりか! エンドレス・フロンティアで機人だった時の最強攻撃で、必殺の連撃の締めで使われていたビーム砲。

 バイクのくせに生意気な! そんな攻撃できるはずがない。

 しかし俺の思いと裏腹に、ヘッドライトの光は更に強くなっていく。

 

「ニュートロンブラスターで消し炭にしてやるぜ!」

「もう訳さんでいい! あのポンコツめ、もう容赦せんぞ!」

 

 チッ、もはや殺られる前に殺れ状態だ。

 関係ないエクセレンが巻き添えになろうと知ったことではない。

 俺の切り札、長銃身の大出力リボルバーキャノン「ロングトゥーム・スペシャル」で蒸発させてやるぜ!

 俺は○び太もびビックリの早業で銃を抜き放ち、容赦なく引き金を引いた。

 

── ジッポッ

 

 銃口から可愛らしい火が灯される。

 いかーーん、忘れていた! 俺の切り札はライターになっていたんだった!

 ゲシュペンストの声が聞こえたのはそのときだった。

 

「Go to Hell,KIMOKIZA!(地獄へ落ちなキモキザ!)」

「ちょま ── 」

「何故私まで ──」

 

 ゲシュペンストのヘッドライトから極太の光線が発射される。

 俺とアシェンは声を上げたが、巻き込まれた衝撃でかき消された。

 

── ズギャアアアンッ!!

 

 見事な爆音を轟かせて、俺たちは天空高く巻き上げられ、何処かに吹き飛ばれる。 

 畜生、また爆発オチか? いい加減、飽き飽きだぜ。

 薄れゆく意識の中で思う……今度は何処に落ちるのだろう?

 どうせなら、ガールハントできる所がいいな ──

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      ●

 

 

 

 My name is Phantom.

 I hate KIMOKIZA. So l shoot him…………Do you understand my language?

 ……………………Wait a moment, please.

 …………………………………………………(日本語変換中)。

 

 待たせたな。

 俺の名前はゲシュペンスト・ファントム。

 見ての通り、かなりイケててカッコいいバイクさ。元々は巨大ロボットだったんだが、この世界に来てから何故かバイクになってしまった。理由は分からない。だが俺は自分を取り巻く現状に不満はない。

 なぜなら……。

 

「ワーオ、あの色男さんたち派手に飛んでいったわねえ」

 

 俺の座席に股がる主人 ── エクセレン・ブロウニングが呟いた。

 エクセレンは俺の嫁!

 やはりマスターは女性に限るぜ!

 前々からあのキモキザの野郎は気に食わなかったからな、今日は胸に仕えた小骨が取れたにみたいにスッとしたぜ。

 大体、俺が喋れねえからっていつもこき使いやがって……戦闘に、飲み会の足代わり、さらには小間使い……俺をなんだと思ってやがる?

 

 OKかい? 俺はとっても優しいイケてるバイク、そこに異論は認めない。

 だが俺があのキモキザが大嫌いだ。なにより一番許せない理由が、つい最近の出来事ことに起因していると言っても過言ではない。

 

 洗脳されたナハトとアーベントにハッキング掛けさせやがった……あの時、あいつ等のAIの中身が俺の中に流れ込んできやがってな…………俺は喋れなかったから無言で仕事をこなしたが、正直発狂しそうになったよ。

 ナハトはガチホモ、アーベントに至っては女のくせに男同士の絡みが大好きという腐ったAI(のうみそ)の持ち主だからだ。なにが夜と夕方だ、格好付けた名前しやがって。サブと腐蘭健に改名するといいと思う。

 だって同性の相手同士がくんずほぐれず絡み合っている映像がAIに流れ込んで来たんだぜ? ウィルスを送信して奴らの腐ったAIを炎上させなかった俺は、とても大人であったと断言するね。

 

「じゃあゲッシーちゃん、学校も終わったし帰りましょうか?」

「Yes,my master(ああ、俺たちの愛の巣へ帰るとしよう)」

 

 エクセレンは俺の嫁、ここに異論は認めんぞ。

 今日も帰って体を綺麗に磨いてもらうんだ。ああ、楽しみだ。

 ……しかしエクセレンは胸が大き過ぎるな。そこだけが俺の不満の種だった。

 

── やはり女性の胸は控えめに限るぜ!

 

 そのとき、俺のヘッドライトの前を一組の男女が横切る。

 

「アルフィミィーちゃん、元気出せよ。せめてお墓作ってやろうぜ、これがな」

 

 一人は赤いモジャモジャヘアーの男。男に興味はない。俺の視界から消えろボケ。

 だがもう一人の人間に俺は目を奪われた。

 

「アイ君……安らかに眠るですの……」

「Oh……!(す、素晴らしい!)」

 

 俺は感嘆の声を上げていた。

 ツルッ、ペタッ、ストーンッ。と擬音が響いてきそうな程の素晴らしい寸胴体型! アルフィミィと呼ばれた青髪の少女……その外見はまさしくザ・幼女! 彼女こそ、彼女こそ俺の探し求めていた逸材だ!

 俺は興奮して、アクセルを全開に吹かしていた。

 

「I love you! I will kill him!(OK、惚れたぜ! 邪魔者は排除する!)」

「む……なんだ? グワッ!?」

 

 俺は赤モジャワカメに全速力で突撃をかまし、奴は悲鳴を上げて上空へ吹き飛んだ。そしてキラーンと一番星のように光って見えなくなる。OK、これで邪魔者はお空のお星様、アルフィミィは俺の物だぜ。

 

「あらあら、アルフィミィちゃんじゃない。どったの?」

「あ、エクセレンですの……」

 

 全速力の俺から振り落とされずにいたエクセレンが、俺の幼女に訊いた。

 

「実はカクカクシカジカで、アイ君が死んでしまいましたの」

「まぁ、それは可愛そうね。せめてお墓を作ってあげましょう」

「Just a moment,please!(ちょっと待ちな! 良いもん出してやるぜ!)」

 

 アルフィミィは俺の嫁! 嫁に涙を流させるなど、男にあってはならない失態だ!

 アルフィミィは俺の嫁! 待っていてくれアルフィミィ、すぐに君の涙を止めてみせるよ。

 アルフィミィは俺の嫁! 異論は認めん、俺は彼女の涙を止めるためにエクセレンに指示を出して、俺の座席の中にある収納スペースからあるモノを取り出させた。

 そのアイテムの名前は「ソーマ」。

 くたばった仲間だろうがゾンビだろうが、問答無用で復活させる超神水さ。

 

「Use(遠慮はいらねえ、使いな)」

「これを……使うですの?」

「Yes(そうだ)」

 

 俺の言葉に戸惑いながらも、アルフィミィは「ソーマ」を持っていた鉢にかける。

 鉢の上でドロドロに溶けた物体に液体が上乗せされ、さらに混じり合い、もはやアイ君がどれなのか判別不可能になる。

 しかし変化は起きた。

 

「キシャア」

「ア、アイ君……よかったですの」

 

 「ソーマ」と混じり合った物体をかき分けて、下から小さな芽のような植物が顔を出す。既に死亡した以前の体のDNAと「ソーマ」が合体し、死体を養分として新たな命が誕生した……んじゃないか? 原理は良く分からん。とにかく「ソーマ」凄い、それでいいだろう。

 

「バイクさん、アイ君を助けてくれてありがとうですの」

 

 アルフィミィが俺に礼を言ってくる。

 礼には及ばん。俺は男として惚れた女のために行動した、ただそれだけさ。

 

「まぁまぁ、ゲッシーちゃんたら凄いのねえ」

「本当にありがとうですの」

「キシャアアアアッ」

「HAHAHAHAHA、no problem!(OK、嫁ッ子。俺にかかればこの程度朝飯前だぜ!)」

 

 太陽が山の背に隠れようとし、もうすぐ夕暮れ時も終わるだろう。

 一瞬の輝きを見せる茜雲はさながら生物の命のようだ。パッと燃えて、そして消える。儚く美しい。

 だから命は尊いのだ。

 けどな物も大切にしたやらねえと、後で手痛いしっぺ返しがくるんだぜ?

 何にせよ、これで万事解決。

 とにかくこれで、めでたしめでたしだ。

 

 人気のなくなった校庭に、俺たちの笑い声が木霊する。

 

 OKか、兄弟? 舞台の幕引き(ショーダウン)だ。今日からは俺が主役だからな。

 こうしてアルフィミィを籠絡させるため、俺の素敵な毎日が始まったのさ。

 

 

 

 

ここはOG高等学院。

『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




<キャラ紹介>
ハーケン・ブロウニング:エンドレス・フロンティアからやってきたキザカウボーイ。女の子大好き。でもガールハントが中々できないのが悩み。イケメンなのに性格が全てを台無しにしている好例。

ゲシュペンスト・ファントム:この話の真打ち。元々3mクラスの機体だったが、「エリア」に来たらなぜかバイクになっていた。ハーケンに苛立ちが募っていたらしく、今回反旗を翻す。ロリコン。

アクセル・アルマー:影高3年、恐怖の特攻隊長。女の子大好き。ハーケンとはガールハント仲間。レモンとアルフィミィに2股中。

アインスト・アルフィミィ:ジェネ高1年生の不思議っ子。語尾はたいてい「~ですの」。アイ君を体育用具室で飼育していたが……。

アイ君:アルフィミィのペット。アインスト・グリートを小型化したような
外見をしている。弱点はクスハ汁。

エクセレン・ブロウニング:ジェネ高3年、高校生に見えない高校生。今日もアウトぎりぎりのネタが飛ぶ。ゲシュペンストの現マスター。

アシェン・ブレイデル:エンドレス・フロンティアから来たハーケン付きのアンドロイド。非常に毒舌。主人だろうと手心は一切加えないので注意。



<次・回・予・告>

エクセレン「ワーオ、エクセレン・ブロウニング、満を持して本編に再登場よん♪」

キョウスケ「……俺は?」

エクセレン「さあ?」

キョウスケ「…………グレテやる」

エクセレン「その外見でグレテも可愛げなんか感じないわよん」

キョウスケ「チッ、さっさと予告を済ませて、タスクからカードでの負け分を巻き上げてやる」


キョウスケ
「俺の名前を忘れないでくれ!
たまにはマジメな話を書いちゃうぜ!
テーマは「家族愛?」、スパロボ史上最大級の合体ロボットに乗る奴らが『エリア』にやって来るぜ!
奴らの名前は、そう「俺たちゃヴァルストークファミリー」!
どんな相手だろうと、打ち貫くのみ!!」

エクセレン「無限のフロンティアEXCEEDもよろしく!」




sibugakiさん、三国同盟さん、ケルンバイターさん、ヴィーアスさん感想ありがとうございます!
ムゲフロ回はここでいったん終了です。
ネタを思いついたらまたムゲフロ書きます。
次はカグヤあたりですかね? ヤンデレにしてやりたいと思います。
ではでは、よろしければ次回も読んでみてくださいね。
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