絶賛キャラ崩壊中です!
キョウスケとアクセルのイメージを崩したくという方は閲覧しない方がいいかもしれません。
それでも良いという方はどうぞ
俺の名前はキョウスケ・ナンブ。
なぜか高校が密集する地域『エリア』1のマンモス校「OG《オリジナルジェネレーション》高等学院」、通称ジェネ高の3年をしている、ごく普通の1人暮らしの1生徒だ。
そんな俺にも実は趣味がある。
ギャンブル……ではない。賭け事を趣味だとは公言はしたくない。断じて違うと言わせてもらおう。
では、俺の趣味がなんなのかと言うと……
「キョウスケさん、今日もかなりキテますね!」
夜の峠にて、俺の隣をバイクで追走する後輩ブルックリン・ラックフィールドが、ヘルメットに装着されたマイク越しに叫んでいた。
そう、俺のひそかな趣味、それはバイクだ。
夜の峠のヘアピンカーブを直線で限界まで加速し、ガードレールに接触寸前に車体を傾けてコーナリングする。
コーナーを抜けてまた加速、そしてヘアピン。
背筋を、ぞくり、と冷たいものが奔るがそれがまた良い。コーナーを曲がりきったときの快感は、崖っぷちのギャンブルに勝ったときの快感に似ているし。
今日も赤い愛機アルトアイゼン号は絶好調である。
「コーナーなら私も負けないわよん!」
コーナーで減速する俺の横を、白いバイク ── ヴァイスリッター号に跨ったエクセレンが走り抜けていく。
コーナーリングはエクセレンの十八番(おはこ)だ。
「だが、直線なら負けん!」
「うふふー、捕まえてごらんなさーい、おほほほ」
「待ってくださいよ、2人共ー!」
直線で加速し並ぶ俺とエクセレンの後ろを、ブリットが黒いバイク ── ヒュッケバイン号に乗って追いかける。
そう、バイクは俺の密かな趣味だ。
風を切って駆け抜ける快感とコーナーギリギリの限界感が堪らない。
俺たち「ベーオウルブズ」は峠をシマにしている走り屋集団だ。
人数はたったの3人だがな。
●
俺の名前はアクセル・アルマー。
なぜか高校の密集する地域『エリア』で恐怖の代名詞になっている悪の巣窟、影鏡(えいきょう)高校に通う極悪な3年生だ。
自分で言うのもアレだが、俺は相当の悪だ。
影高を仕切る番長「ヴィンデル・マウザー」の右腕をしており、暴走族グループ「シャドウミラー」では特攻隊長をしている。付近の奥様方を震え上がらせている程の悪だ。
喧嘩にだって自信はある。
昔から「蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術」を習っており、腕前は免許皆伝。
誰も腕っぷしでは勝てないんだな、これが。
「…………」
しかしこんな俺だが一度も勝ったことない相手がいる。
ジェネ高の三年生キョウスケ・ナンブ、走り屋集団「ベーオウルブズ」のリーダーで異名は鋼鉄の孤狼(ベーオウルフ)だ。
奴の走りは恐ろしい。
壁に激突する寸前まで加速を続ける様に、俺と俺の愛機「ソウルゲイン」は白旗を上げっぱなしだ。
無論、喧嘩においても勝ったことは一度もない。
しかしそろそろ白星をあげておかないと不味いんだな、これが。
「ん……」
ポケットに捩じりこんでいた携帯が鳴っていた、着信音は「DARK KNIGHT」、渋いだろう?
「メール……エーちゃんか」
メル友のエーちゃんから、ベーオウルフの誘い出し方がメールで送られてきた。
えー、なになに、奴を誘き出すには奴の大切なモノをさらってあげるとよい。
ふむふむなるほど、いつも的確なアドバイスで非常に助かるぜ、エーちゃん。
「待ってろよ、ベーちゃん」
俺は悪だから誘拐や窃盗など、なんとも思わないぜ。
待ってろよベーオウルフ、今度こそ貴様に引導を渡してやるんだな、これが。
スパロボ学院 OGだよ全員集合!
その2 鋼鉄の駄狼 ~ガッカリベーちゃんとうっかりアー君~
俺の名前はキョウスケ・ナンブ、朝のトーストとコーヒーを誰よりも愛する男だ。
コーヒーはやはりブラックに限る。ごくり、うむ旨い。
朝食を取り血糖が上がった俺は、覚醒し始めた頭で目前の問題に取り組むことにした。
「またか……」
1枚の手紙を手に俺は深いため息をついた。
朝起きて新聞を取りに行くと、入り口のドアに貼りつけられていたモノだ。
昨日は夜遅くまで走っていたので非常に眠い。
それに帰って来たときにこんな手紙は張られていなかった。
つまり下手人は、俺が帰って来て寝ている間にこの紙を張り付けたことになる。
下手くそな字で文句が書かれていた。
「なになに、『お前の大切なモノは預かった。返してほしくば○○工場跡地に来い。もちろん一人でだ』だって」
気が重くなる文面だ、正直、ウンザリする。
まあ、いつものことだ。
差出人の名前など見るまでもあるまい。
「アクセル・アルマー、また貴様か」
念のために名前を確認しておいた。
ああ、予想通りだ。影高の「蒼い戦鬼」、アクセル・アルマー。
悪名ばかり先行する、なんて言おうか、一応俺の幼馴染(・・・)だ。
男の幼馴染など欲しくもなかったがな。
俺は携帯を操作してメモリーを呼び出し、電話をかける。
『はいはーい、アクセルでーす。今頃お目覚めかい、ベーちゃん』
「……貴様、その呼び方は止めろと言ってるだろう。今度はなんだ?」
まったく馴れ馴れしい。
以前聞いたときには、俺の異名が鋼鉄の孤狼(ベーオウルフ)だからベーちゃん、だと奴は答えていたな。
けしからん、まったくけしからん。俺の名前はキョウスケ・ナンブだ。
「下らん用だったら切るぞ」
『まーまー、待てって、せっかちだなぁベーちゃんは』
電話の向こうのアクセルの陽気な声が一転して重くなる。
なんというか、こう悪そうな感じに。
『貴様の大切なものは預かった。返して欲しくば○○工場まで ──』
── ピッ!
付き合いきれん。
俺は迷うことなく携帯を切った。
そして新聞を広げる。さて、今日はどの馬にしようか?
そろそろ家計が厳しく……俺の壮大な思考を携帯の着信音が妨げる。
相手は言わなくても分かると思う。
「なんだ?」
『幾らなんでもいきなり切るのはねえんじゃねえの?』
立腹したアクセルが俺に抗議してくる。
『人には最低限守らないといけない礼儀ってもんがあるんだぜ、分かるだろう、これがな』
どの口がほざく。普段悪ぶってるくせに、変な所で律義な奴だ。
「なんの用だ、手短に話せ(オッ、3レースのトロンベはいけるな)」
俺が赤鉛筆で線を引くのに忙しいというのに、アクセルはアホな発言を続ける。
『だから早く○○工場跡地に来いって。ボコってやっから』
「断る」
『おっと、電話切るなよ。テレフォンだ』
「意味が分からん」
仕方がないので話ぐらい聞いてやることにする。
しばらく電話の向こう側でガタガタと言う音が聞こえていたが、再びアクセルの陽気な声が俺の耳に届く。
『ジャーン、今日は特別ゲストに来てもらっていまーす』
『ああーん、キョウスケー助けてー。私、捕まっちゃたの。愛しのお姫様を助 ──』
── ピッ!
俺は携帯を切った。無論、迷いなどあろうはずもない。
さてと、今日はやはり単勝狙いで手堅くトロンべに賭けるとするか。流石にこの間タスクにオケラにされたせいで資金は残り少ないからな。
俺は耳に赤鉛筆をかけ、財布に金を入れて新聞片手に外に出た。
駐輪場に止めている愛機アルトアイゼンの元に向かう。
昨日のアルトアイゼンの調子は最高だった。
古鉄などとは呼ばせないし、俺の前は誰も走らせはしない。
「ん?」
おかしいな、確かこの辺りに置いておいたはずだが?
しっかりとチェーンを2個もかけたはずだ。
しかし見当たらない。
アルトアイゼンがあるはずの場所に、切られたチェーンが2つ転がっているのが、俺の不安に拍車をかける。
ピピピピ、そのとき携帯に再び着信音、相手は言う必要はないだろう。
『ハロハロ、あなたのアクセルちゃんですよ』
「……アクセル、貴様、まさか……!」
俺の不安が確信に変わる。
俺の握った拳が振るう相手がいないためプルプルと振るえており、嫌な汗が止まらない。
この野郎、やりやがった!
『ピンポーンッ、愛しの古鉄はここにあるぜ。早く来ないと解体しちゃうんだな、これが』
「貴様ああああああああぁっ! 待ってろ、3分で行ってやる! 首を洗って待っていろ!」
携帯を切ると、俺は血相を変えて走り出した。
アルトアイゼンのチューンに幾ら掛かったと思っている!?
装甲値、運動性はMAX、軽く2ケタは余裕で超えている愛機に、手垢の一つでも付けてみろ!
絶対に許さん!
俺は○○工場に急ぐのだった。
●
「ベーちゃん、来るってさー」
「ああん、キョウスケったら、私のために危険を冒さないでー! キャー、私ったら本当に捕らわれのお姫様みたいじゃない?」
○○工場の天井の鉄骨から、ロープで吊るされたままのエクセレンのテンションが高まっていた。
Mか? Mなんだな、こいつは?
しかしどちらかと言えば、鞭を持たせれば「お嬢様とお呼び!」と鞭を走らせそうな外見をしているが、きっとMなんだなこいつは、ということにしておく。
俺は奪ってきたアルトアイゼン号を品定めするように見た。
良い品だ。
できれば、ばらしてパーツをソウルゲイン号に組み込みたいが、ベーオウルフがこの餌に釣られてやって来ている以上弄るわけにはいかない。
「ねーねー、アー君ってさー、なんでキョウスケにそんな突っかかるの?」
宙づりのエクセレンが友人に声でも駆ける様に聞いてきた。
このベーオウルフの女、今まで何回かさらっていたら、馴れ馴れしく俺のことを「アー君」と呼ぶようになりやがった。
こんなの全然悪っぽくないじゃないか。
まあいい、俺とアイツの馴れ初めぐらい話してやらんこともない、これがな。
「最初に負けたのは6歳の頃だった」
俺の語り出しをエクセレンは興味津津といった具合に聞いている。
「同じ蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術の道場に通っていた俺たちは良きライバルだった。
しかしある日あいつは人が変わったように暴れまわり、俺をボコボコにしやがった。そして道場を辞めた。勝ち逃げなんて俺は絶対許せないんだな」
「で、再戦するたびに黒星増やしてるのねー、大変ねー、アー君も」
「…………うっせ」
まったく話すんじゃなかった。
勝負が始まる前から気落ちしてしまうじゃないか。
「アクセルーー!!」
息を切らせたベーオウルフが向上の入り口に立っていた。
本当にきっかり3分で来やがった。
ここまで結構遠いのに御苦労なことだ。
「待ってぜ、ベーちゃん」
俺の口の端は自然に上がっていた。
●
アクセルの奴が不敵な笑みを浮かべている。
工場の中にはアクセルの他には誰もいない、1人だ。まあタイマン好きな奴のことだから、いつものことだ。
「キャー、キョウスケー、助けに来てくれたのねー」
宙刷りにされたエクセレンが叫んでいるが、とにかく今はバイクを探すのが先決だ。
工場内を見渡すと隅に停められていた。
よかったまだ無傷だ。
「待ってたぜぇ、ベーちゃん」
悪党よろしく、悪そうな雰囲気を醸し出すアクセル。
奴のことだ、気分は主役を追い詰めたライバルキャラといったところだろう。
しかしバイクが無事だったとしても、俺の中に煮えたぎる炎がその程度のことで消えることはない。
「貴様……よくもやってくれたな」
「ククク、ここまで走って来て御苦労なことだ。ま、どうぜバイクがあったら競馬にでも行ってただろうから、健康的な運動ができたことにむしろ感謝してもらいたいな」
「むぅ……」
これだから幼馴染は嫌なのだ。
不必要なところでも勘が鋭くて非常に困る。
「さあ、大切なモノを取り返したいなら、俺を倒してみるんだな」
「断る」
「なに!?」
当たり前だ。
アクセルは「蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術」の免許皆伝持ち、対して俺は、ごく普通の一般的な貧乏学生だ。
分の悪い賭けは嫌いじゃないが、勝ち目のない勝負は嫌いである。
やってもボコボコにされてKOされるのがオチだしな。
「アクセル……お前が幾ら悪ぶってても法律の前じゃ無力なんだぞ」
取り合えず、国家権力を盾にしてみることにする。
「俺たちももう高校3年だ。物を取ったり、人に危害を加えたりすれば、それなりに罰せられる歳なんだぞ」
「…………」
「それにいつまでも高校生でいられる訳じゃないんだ」
「…………」
「いつまでも悪ぶってなんていられないんだぞ」
「…………チィッ!」
俺の説教にアクセルが悪党丸出しの舌打ちをする。チィッって……。
とにかく、これで丸めこめただろうか?
俺の言ってること間違えてないし、正義は我にありだ。
「じゃあ、バイクは返してもらう」
「ちょっとキョウスケー、私よりもバイクの方が大切なの? ああ、悲しーわー、可愛そうなエクセレンちゃん、めそめそ」
空中のエクセレンが、俺の同情を引こうとなにか喚いてるが聞こえない振りをした。
どうせ彼女の頭の中では、「助けに来たぞ、我が愛しのエクセレン」「ああキョウスケ、やっぱりあなたは私を愛してくれていたのね、うれぴー♡」なんて、三流恋愛ドラマのような情景が展開されているに違いからだ。
放っておけば、その内飽きて降りてくるだろう。
そんな事より我が愛機は無事なようだ。
手垢が付いている気がするな、後でアクセルは殴っておこう。
今はトロンべの応援に行くのが先決だ……
「待てや、コラ」
喧嘩上等、を売り文句にしているチンピラのように、アクセルが俺にメンチを切っていた。
顔が近い、モジャモジャのワカメヘアーが鬱陶しいことこの上なかった。
「なんだアクセル。まるで不良みたいな顔してどうした?」
「みたいじゃなくて、俺は不良なんだよ。それも札付きなのさ、これがな」
アクセルが俺の襟首をねじあげ、片手で俺の体を持ち上げた。
凄い力だ、これでも俺は筋肉質で結構重いはずなのだが……あ、耳に挟んでいた赤鉛筆を落としてしまった。
ベギャア!
アクセルが赤鉛筆を踏み折りながら凄む。
「俺っちよー、ベーちゃんと違って頭悪いからよー、あんま難しいこと言われてもよく分かんないんだよなー」
「おい、アクセル」
「だから俺ってさ、こういうときは取り合えずこうすることに決めてるんだ ──」
あ、ヤバイ。
眼が座っているアクセルに恐怖を感じる俺を無視して、アクセルは大声で叫んでいた。
「── 難しいことは、取り合えずぶん殴ってから考えるんだな、これが!!」
「ちょっと待て、アクセ ── ゴフゥ!」
アクセルの強烈なボディブローが俺の腹に決まり、背中まで打ちぬけるような衝撃が俺を襲った。
痛い、非常に痛い。
俺は今アクセルに持ちあげられているが、地に足を付けていたら膝が笑っていたことだろう。
なんなら地面をもんどりうって転げ回ってもいいが、アクセルが俺を離してくれなかった。
はっきり言おう。
俺は一般人だ、格闘家の拳の1撃に耐えただけでも褒めてもらいたい。
「早く本気だせよ、ベーちゃん」
殺気の込められた双眸が俺に向けられていた。
本気を出すもなにも、これが俺の精いっぱいだ。
くそう、なぜ折角の休日にこんな目に合わなくてはいけないのだ。
俺の今日の予定は、動物園でトロンべを愛でて、平和に入場チケットを金に変えるはずだったのに。
確か騎手の名前は、レーツェル・ファインシュメッカーだったか?
胡散臭いグラサン野郎だ……しかしなぜ、俺はこんなことを考えている?
激痛で思考が回らなかった。
「出さねえんなら、遠慮しないぜ」
アクセルが右を大きく構えた。
なんだか闘気的なものが拳で燃え上がっているように見える。
マジですか、勘弁してもらいたい。
「玄武剛弾(ゲンブゴウダン)ッ!!」
「いやー、キョウスケー!」
エクセレンの黄色い悲鳴が聞こえた刹那、俺の頭は強烈な打撃でシェイクされていた。
「ゲフウッ!!」
痛い、どころではない。
もう訳が分からない。
アクセルの拳に吹き飛ばされた俺は、愛機アルトアイゼンを巻き込みながら、工場の端まで吹き飛ばされていた。
衝撃音が大きく工場内に響く。
── ア、アルトアイゼン……!
俺の隣に横たわる愛機に俺は手を伸ばした。
バイクを取り返しに来ただけで、なぜこんな目に逢わなければいけないんだ!
「ッ!?」
そのとき、俺は眼を疑った。
傷が、俺のアルトアイゼンに傷が、擦り傷が付いているではないか。
俺が巻き込んでしまったときに付けてしまったのか!
装甲値MAX、運動性MAX、改造費は軽く2ケタ超えの俺の愛機が!
俺の愛機が!
── ブチンッ
なにかが俺の中で確かにキレた。
俺の意識は闇の中に沈んでいく ──
●
「やっと、おいでなすったぜ」
玄武剛弾(ゲンブゴウダン)で殴り飛ばしたベーオウルフが立ち上がるのを確認し、俺は呟いた。
奴の気配は明らかに変貌していた。
蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術免許皆伝の俺には分かる。
今、奴からは黒いオーラが立ち上っていた。
眼はランランと輝き、口は三日月のような形に歪ませて笑っている。
眼の下にはなぜか赤い水玉のようなタトゥーが浮かんでいるし、異様な、なにか人外の者のような雰囲気すら感じ取ってしまいそうだった。
そう、こいつはベーちゃんじゃない。
「久しぶりだな、ベーオウルフ」
「アクセルか……なんの用だ?」
6歳のとき、道場で大暴れして大人まで病院送りにし、俺のトラウマになった悪魔が俺の目の前にいる。
俺に黒星を付け続けたこの化け物に勝つために、俺は日々鍛錬してきたのだ。
「ベーオウルフ、今日こそ貴様を倒す!」
「あん?」
奴の返事を待つ前に俺は行動していた。
俺は闘気を全て開放し全身に纏う。
蒼髭流(ソウシリュウ)格闘術の極意は肘にあり!
人体の中でもっとも凶器となる部位に渾身の闘気を込めて俺は叫んだ。
「奥義、麒麟(キリン)ッ!!」
必ず殺すと書いて、必殺!
確実にぶっ殺してやるという意思を込めて、俺はベーオウルフの体に奥義を叩きこむ。
── グガグシャア!!
なにかが砕けるような音が響き、
「ギャーーーーッッ!!」
直後、この世のものとは思えない断末魔が捻り出されていた……俺の口から。
ベーオウルフの野郎、片手でアルトアイゼン号持ち上げて、俺に叩き付けてきやがった。
幾ら鍛えても、人体が金属の塊に勝てるはずがない。
それも異常にチューンされたエンジンのせいで、ものすごい重量とかしたアルトアイゼン号……俺の肘はものの見事に敗北し、俺はバイクの下敷きにされてしまっていた。
「ペッ」
野郎、唾吐きやがった。
畜生、意識が遠のく……このままじゃ、また黒星追加だ。
立て、立つんだ、アクセル・アルマー!
奮起しようとする俺の耳に、ベーオウルフの声が聞こえてきた。
「おい、大丈夫かエクセレン?」
「キャー、流石キョウスケ、強いわねー。惚れ直しちゃうん」
「ふ、当然だ。それよりどうだ、これから俺の部屋に来ねえか?」
ちょっと待て、コラ!
人のこと無視してなんてことほざいてやがるんだ、この駄狼!
エクセレン、断れ! 断っちまえ!
「いやん、こんな真昼間からなのー、キョウスケのけ・だ・も・の♪」
「ふふ、可愛いやつめ ── ん、なんだテメエ、なに見てやがんだ!」
エクセレンをお姫様だっこしたベーオウルフと眼が合うと、奴は俺に向かってそう吐き捨て、思い切り俺の頭を踏みつけてきた。
悲鳴を上げる暇もなく、俺は脳を激しく揺らされ、意識が遠のいていく……
「ぺっ!」
……野郎、また唾吐き付けやがった……
覚えてろ、この野郎……!
俺は薄れゆく意識の中で、ベーオウルフに復讐を誓うのだった……
しかし次の作戦はどうしよう……また、エーちゃんにでも聞いてみるとしよう、これがな……
●
「うおおおおっ!!」
次に俺が目覚めたのは自室の布団の中だった。
悲鳴を上げて起き上がった俺の体は汗だくで、なぜか着ているのは下着1枚だった。
「あらん、キョウスケ起きたの?」
なぜかエプロンを付けて台所に立っていたエクセレンが俺に気付いた。
「待ってて、もうすぐエクセレン特製の夕食ができあがるからね」
「夕食……ということは俺はそんなに長い間気を失っていたのか?」
「ん? なーに言ってるのよ。1時間ぐらい横になってただけじゃないの。変なキョウスケー」
コロコロと笑うエクセレンに、俺は「そうなのか?」と答えた。
時計で時間を確認すると18時を回っており、既に外はうす暗い。
「エクセ姉様の手料理、楽しみなのでございまする」
「うふふふ、もうすぐ特製のスープができあがるから待っててね、ラミアちゃん」
食卓には変な敬語を吐くセクシーダイナマイツこと、ラミア・ラブレスが既についており、両手にフォークとナイフを持ち料理を待っていた。
なぜ、影高のお前が俺の部屋にいる?
お前の所の特攻隊長に、俺はひどい目に遭わされたというのに。
それとスープ飲むのに必要なのはスプーンだ。
「むッ」
心で突っ込みを入れていると、俺は非常に大事なことを失念していたことを思い出す。
俺の愛機、アルトアイゼンはどうなった?
「それなら外に停めてるわよ。チェーンはつけてないから」
エクセレンの返事を聞いた俺は、すぐさま外へと飛び出した。
駐輪場には確かに俺の愛機は存在した。
ボロボロの傷まみれになって。
「おのれ、アクセル・アルマー! この借りは必ず返すぞ!」
俺はわなわな震える手を振り上げながら、夜空に浮かぶ満月に向かって吠えていた。
涙で満月が歪んでいたのは俺だけの秘密だ。
●
一方、キョウスケ宅にて夕食を作るエクセレンはというと。
携帯の着信を受けて、片手間でスープの作成に勤しんでいた。ちなみに着信音は「白銀の堕天使」だ。
「あら、アー君からメールね」
文面を確認する。
『拝啓エーちゃんへ、今日もまたベーオウルフに負けてしまいました。
とても悔しいです。
つきましては、またあいつを陥れる妙案を教えてくれないでしょうか(^-^)/』
絵文字まで使って可愛らしいことと、エクセレンは微笑を浮かべる。
高速の指使いで文章を入力し、すぐに返信した。
『拝啓アー君へ。
今日の大切な人を誘拐するというのは、今後もとても効果的だと思います。
今後もドンドン恋人を誘拐して、ベーオウルフを誘き出しましょう。
しかしバイクまで盗むのは良くなかったですね。
大切なを盗るのは1回に1個にしましょう(‘-^*)/』
送信してから30秒ほどで返信が返って来た。
『いやー、うっかりうっかり(・ε・)/』
「エクセ姉様、誰とメールしているのでやんす?」
ラミアが携帯をしまったエクセレンに質問した。
「ひ・み・つ♪」
台所には美味しそうなスープの匂いが立ち込めていた。
項垂れたキョウスケが部屋に戻ってくる。
夜も更け、3人は食事を楽しみながら時間を過ごすのだった。
ここは高校がなぜか密集する土地『エリア』。
『エリア』には個性豊かな学生が沢山いる。
今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。
次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。
<次・回・予・告>
エクセレン「さーて、次回のスパロボ学院はー、キョウスケちん、借金返済のために今日も次回予告、よろしくねん!」
キョウスケ「仕方あるまい、ではいくぞ!」
キョウスケ
「俺の名前はキョウスケ・ナンブ、ジェネ高に通う3年だ!
…………おい、エクセレン、俺はなにを言えばいい?」
エクセレン「そういえば、作者が次回のネタがまだ思いついてないって言ってたわね」
キョウスケ「では予告もできんな(笑)」
エクセレン「なんでそんなに嬉しそうなのよ。ネタがなくても予告はしてもらうわよ!」
キョウスケ「そんな無茶な……」
エクセレン「チラッ(借金の明細)」
キョウスケ
「次回、『絶賛ネタ募集中』! どんな相手だろうと、打ち貫くのみ!」
エクセレン「この次回予告はフィクションです。実在の人物・団体・企業とはなんの関係もございません。予告と次回の話が違ってても怒らないでねん♪」
キョウスケ「……予告にはなっていないがな」
エクセレン「あん、キョウスケのいけずー」