スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

26 / 40
<注・意・事・項>
絶賛、キャラ崩壊中!
次回予告を無視しました。すいません。
キャラ崩壊という言葉はこの話のために存在します!
そのくらいキャラが崩壊しています。
キャラ崩壊レベルMAX&スプラッタなシーンがあるので苦手な方はご注意ください。

元ネタはあの小説です。
擬音の発音はアニメをご参照下さい。
ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ~。


鋼鉄の駄狼4 ~斬殺天女だよ! カグヤちゃん!~

 俺の名前はキョウスケ・ナンブ。

 

 何故か高校が密集する地域「エリア」一のマンモス高校、OG高等学院 ── 通称「ジェネ高」に通うごく普通の高校3年生だ。

 

 趣味は「分の悪い賭け」。特技は「分の悪い賭け」。得意技は「分の悪い賭け」だ。

 崖っぷちはいい。

 生きている事を実感できる最高のスパイスだからだ。

 そんな天衣無縫な生き方をしている俺であるが、恋人と連れ添って自宅へと向かう平和な下校風景が嫌いというわけではない。

 どちらかと言えば、恋人 ── エクセレン・ブロウニングと2人きりで過ごせるこの時間を、俺は愛していると言ってもいい。決して口には出さないし、顔にも出さない。ポーカーフェイスはギャンブルの基本だからな。

 

「じゃーねー、キョウスケ。また明日、学校でねん」

「ああ、ではな」

 

 俺は自宅前でエクセレンに手を振る。

 エクセレンは最近手に入れたという「喋る黒いバイク」に跨り、颯爽と俺の視界から姿を消した。

 

「さて、競馬新聞でも読むか」

 

 風呂便所付き、キッチン付きの格安賃貸のボロアパートが俺の根城だ。壁の塗装は剥げ金属がむき出しになっており、1歩踏み出すごとに軋む階段は赤錆だらけで手すりに触ると手が汚れる。

 はっきり言って生活環境はよろしくない。しかし住めば都とは本当で、俺はこの住処にすっかり馴染んでいた。

 階段を上がり、鍵を開けると、見慣れた畳部屋が目に入ってくる。

 

「ただいまー」

「えっ、パパ ── ッ?」

 

 誰も居ないはずの我が城から聞きなれない女の声が聞こえた。

 聞きなれない、は正確ではないな。

 まだ(・・)、聞きなれていない女の声だ。 

 どうもその女性は風呂上りだったようで、牛のように豊満な胸と女の秘部を手で隠し、立ち込める湯気とシャープな括れが成熟した女性の色香を演出していた。

 

「うおわぁっ?!」

「── イヤアアアアアアァァァッ!!」

 

 途端に、俺の口からは嬉しい悲鳴、女性の口からは黄色い悲鳴が上がり ──

 

「パパのエッチ ────ッ!!」

「ま、まま、待て ──── カグヤちゃん! お前は、全然着痩せしないんだな──あっ────」

 

 ── 小さな断末魔を残し。

 俺のちっぽけな命は。

 唐突に、

 理不尽に、

 終焉を迎えた。

 

 俺、キョウスケ・ナンブ。享年、高校3年生。

 

── ずばばばばあああんっ!!

 

 俺の頭は爽快な音と共に、胴体から斬り離され空中高くに放り出された。

 あぁ……首から下の感覚がないな。切り裂かれた首の頚動脈から鮮血が噴出しているのが、今の俺にはしっかり見える。

 

 そして、俺の命を奪った、巨大な大太刀の姿も見えた。

 

 護式(ごしき)・斬冠刀(ざんかんとう)。

 身の丈2mはあろうかという巨大な人斬り包丁は、黄色い悲鳴を上げていた裸の女性の華奢な腕に握られている。

 既に5回目となる走馬灯が俺の頭を駆け巡り、俺の体が崩れ落ちる姿を目にしながら、遠のいていく意識の中で女性の声が聞こえた。

 

「あっ、ごめんさないパパ!」

 

 謝って済むなら警察は必要ない!

 この突っ込みに残る生命力を全て注ぎ込み、俺の命は終焉を向かえ──

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 ── なかった。

 「奇妙な擬音」が聞こえた。

 その後、カグヤちゃんの背後に3m程のロボットのようなシルエットが浮かび、手に持っていた長銃からの鉛球で、泣き別れした俺の胴体を蜂の巣にする。ロボットの名前は「クイーンダイヤモンド・オブ・ヴァイスリッター・アーベント」──ス○ンドだ。一瞬にして俺の体は肉団子に早変わり。

 泣きっ面に蜂とはまさにこの事である。

 

「おい、斬殺しないと今朝約束したばかりだろう?」

「パパがいきなり入ってくるのが悪いこと極まりないです! ノックぐらいしてよ?」

「それとこれとは関係ない。それにここは俺の家だ」

 

 モザイクで隠されるような惨状から、あっという間に、俺の体は元通りに復元していた ──……

 

 

 彼女の名前はカグヤちゃん。

 異世界(・・・)からやって来た天女(・・)(!?)らしい。

 何故か、突然俺の家に住み着くことになった。

 信じられるか? 俺は未だに信じられん。俺は理解の範疇からは既に逸脱した存在を、今日も必死に隠し続けるのだった。

 

 ……エクセレンにバレないようにな。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 鋼鉄の駄狼4 ~斬殺天女(ざんさつてんにょ)だよ! カグヤちゃん!~ 

 

 

 

 カグヤちゃんとの出会いは3日前に遡る。

 

「月が出ているな」

 

 俺は耳に赤鉛筆を挟み、アパートの窓を開けて夜空を見上げていた。

 天空から黄色い真円が優しい光で闇を照らしていた。雲ひとつ無い空に浮かぶ満月は本当に美しい。俺の心の中に浮かぶちっぽけな迷いなど吹き飛ばすには十分すぎる程に魅力的だった。

 俺は赤鉛筆で手元の新聞にマルを描く。

 

「明日の第7レースは『サテライト・キャノン』に全額一点賭けに決まりだ」

 

 単賞一点賭け。同レースにトロンベが出走するため倍率は77倍。

 無謀? 馬鹿め。俺は「分の悪い賭け」には滅法強いのだ。一発逆転こそ、漢のロマン ── と。

 空で何か光った。

 

「なんだ? 勝利の女神が俺に微笑んだのか?」

 

 その光は影となり、黄色い月に黒点を描いていた。

 だが黒点は徐々に大きくなっていく。やがて月を全て多い尽くす……いや、俺の方に近づいてきて、俺の視界を覆い尽くした。

 

── どんがらがっしゃーんっ!!

 

 何かが、俺を突き飛ばして、窓から自宅に飛び込んできた。悲鳴を上げる間もなく、俺は部屋の壁に叩きつけられた。痛い。

 背中を摩りながら起き上がると、白い装束に身を包んだ美女が畳の上で気絶していた。

 

「勝利の女神が……降ってきた?」

 

 まさか、な。

 メルヘンチックな妄想が頭によぎったが、生憎と俺はリアリストだ。勝負だって勝ち目ゼロの勝負には手を出さない。

 落ちてきたのは豊満な胸と端正な顔立ちをした美女だったが、こんな漫画みたいな状況を俺は受け入れる事はできなかった。

 

「う、うぅーん」

 

 女性が目を覚ました。

 

「此処は誰? 私は何処?」

「落ち着け。古典的なボケをかます前に言うことがあるだろう?」

「ほぇ? 貴方はどちら様ですか?」

 

 女性は間の抜けた声を上げ、とろぉーんとした瞳を俺に向けていた。

 服装もかなり際どく、落ちたのが俺の所でなければ押し倒されても文句を言えない格好をしている。

 

「俺の名前はキョウスケ・ナンブ。いきなりで申し訳ないが、割れた窓ガラスを弁償してくれ」

 

 女性が落下した衝撃で窓ガラスは粉微塵になっていた。

 明日は勝負に出るため余計な出費は抑えなければならない。不躾を承知の俺の申し出に女性は目を、カッと、見開いた。

 

「ナンブ!!」

「? そうだが、それがどうした?」

「パパァ!!」

「な、なにっ?」

 

 女性は満面の笑みを浮かべて俺に抱きついてきた。

 パ、パパだと? 馬鹿な。俺に子どもはいない。高校3年で定職にもついていない俺が子どもなど作れるものか!

 それに女性は明らかに成長しきっているし、こんな……こんな、けしからん胸に見覚えはないぞ!

 冤罪だ! 俺は再審を要求する!

 

「待て待て! 何故俺がお前の父親なのだ? お前のような大きい子どもなど身に覚えがないぞ!」

「酷いパパ! カグヤですよ! カグヤとの日々は遊びだったの!?」

「知るか! 離せ!」

 

 どうもカグヤというらしい女性を、俺は引き剥がそうと手を突き出した。

 

「あっ……!」

 

 その手がカグヤの胸に触れてしまった。

 あまりに突然の出来事だったため、カグヤを女性として認識する時間が足りなかった。男でも突き飛ばすように強く手を出したため、カグヤの胸を鷲掴みする形になる。

 

「パパのエッチ ── ッ!!」

「ま、待て、今のは不可抗力 ──── おぎゃあああっ!!」

 

 俺の言葉は、激痛と反射的な悲鳴によってかき消された。

 

── 俺の体が腹を境にして、上下に斬り離されていたからだ?!

 

 カグヤの手には、いつ何処から取り出したのか分からない巨大な刀が握られていた。

 血が付着している。巨大な刀で俺を斬ったのは間違いないように思えるが、2m超の大刀を一瞬で振りぬくとは、この女の腕力は化け物か!?

 その思考を最後に、俺の思考は遠のいていく。

 エクセレンとの日々が蘇る……あぁ、俺はこれから死ぬのだ……直感した。

 

「あぁっ、ごめんなさいパパ!!」

 

 カグヤの声がこの世の聞き納めになるのだ、と、

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 聞きなれない擬音が耳に届いた。

 途端に傷の痛みが消失し、霧がかかったような意識が急に清明になる。

 

「な……んだと?」

 

 切り離されたはずの下半身があった。繋がっていた。思うとおりに足は動くし、痛みも無い。

 俺は生きていた……

 

 ……これが俺とカグヤちゃんの出会い。

 カグヤちゃんが俺に説明してくれた内容はこうだ。

 彼女は異世界(・・・)からやって来た天女で、俺の娘(・・・)らしい。

 娘。という点は断固として否定したい。身に覚えが無いし、彼女の気のせいで間違いないと思う。

 俺を斬り捨てた巨大な人斬り包丁の名前は護式・斬冠刀。どんなモノでも切断する切れ味があり、軽い金属でできているためカグヤちゃんでも簡単に振るうことができるらしい。

 護式・斬冠刀で斬殺された俺が生きていた理由はこうだ。

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 「奇妙な擬音」と共に合わせて、彼女の背後に3m程の巨大なロボットが浮かび上がる。存在感は希薄だが確かにそこにいる。不気味に浮き出るロボットの名前は「クイーンダイヤモンド・オブ・ヴァイスリッター・アーベント」。

 護式・斬冠刀で斬られたモノを再生させる能力を持つ。

 再生させる際には、手持ちのパルチザンランチャーという長銃で対象を打ち抜かなければならないという……なんとも矛盾した存在であった。

 

「パパ! カグヤはどうしてこの世界に来たのか、覚えてないこと極まりないです。だから思い出すまでこの家に置いてね!」

 

 こうして、カグヤちゃんは俺の城に勝手に住みついた。

 際どい服装の巨乳美女と一つ屋根の下。しかも記憶喪失。見方によれば世の男たちから羨望の眼差しを向けられても不思議ではないシュチュエーションではある。

 どうだ? 羨ましいか?

 だが俺はまったく嬉しくないね。

 相手は俺を殺した超危険人物だからな。

 確かに、俺は再生され生きている。

 だからどうした? 外見が美しかろうと、カグヤちゃんの本質は電波な危険人物でしかない。

 俺は携帯電話を取り出し、迷うことなくあの番号を押した。

 

「もしもし警察ですか? 刃物を持った不審者がいるんで ──」

「もー、パパの意地悪!」

 

── ズバババババッ、ブッシャアアアアァァ!!

脳天から肛門にかけて護式・斬冠刀で真っ二つにされた。

 

「ぎゃあああああああぁ ── ッッ!!」

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 アーベントの銃弾にミンチにされて再生する俺。

 

「これからよろしくね、パパ!」

 

 斬殺に怯える、恐怖の同棲生活が始まった。

 

 

 

   ●

 

 

 

 これが、俺とカグヤちゃんが出会った経緯である……。

 

 同情を感じざるを得ない不幸の境地に俺は立たされている。

 斬殺。文字通り、斬って惨たらしく殺す事。

 俺はカグヤちゃんと出会ってから僅か3日で5回も斬殺された。5回死んで、生き返ったのだ。命は一つしかない。だから尊いし素晴らしい。

 ……そんな感性は麻痺した。

 5回だぞ。不老不死になったわけじゃないのだが、斬殺されることに慣れてしまうには十分な回数だ。

 抵抗など無意味。

 一瞬で命を刈り取る護式・斬冠刀を前に俺は諦めの境地に立たされ、早くカグヤちゃんの記憶が戻ることを切に願うに至った。

 人間、諦めも肝心である。

 

「パパ、一緒に寝ましょう!」

「ああ、そうだな」

「パパ、カグヤの事好きですか?」

「ああ、そうだな」

「パパ、カグヤの話聞いてます?」

「ああ、そうだな」

 

── ザシュ! ゴトンッ……。

 俺の頭が床に落ちた。

 

 

── どららどらどらどららら~!!

 

 

 健康体に戻った俺の布団にカグヤちゃんが侵入してくる。

 柔らかな膨らみが肩に当たるが少しも興奮しなかった。

 勘違いしないで貰いたいのは、俺はEDと言うわけではない。ただ単に俺の目が、死んだ魚のようになっている。それだけの事だ。

 諦めようぜ。

 人、それを、泣き寝入りと言う。知っているさ。だからどうしろと言うのだ?

 傍らにはカグヤちゃんの暖かな温もりがあったが、さっさと夜が明けないものかと願いながら眠りに落ちていったのだった ──……

 

 

 

 

 翌日。

 

 特に何事もなくジェネ高に登校した俺は、教室にてエクセレンと話をしていた。

 

「ねね、キョウスケ。あの噂聞いた~?」

「何のことだ?」

 

 エクセレンとの会話はやはりいい。

 突拍子も無い非日常など必要ない。そう、つくづく感じさせられる。

 エクセレンは能天気な笑みを浮かべながら、俺に耳打ちしてくる。

 

「今日、このクラスに転校生が来るんですって。しかも女の子らしいのよ」

「そうか」

「もし可愛くっても浮気しちゃやーよ。そんなことされたら私泣いちゃうから、しくしく」

「そうか。それより早く席に戻ったらどうだ? もうすぐホームルームだぞ」

「キョウスケったらノリわるーい。でも、そんな所もス・テ・キ」

 

 コロコロと変わるエクセレンの表情はまるで好奇心旺盛な子どものようだ。

 時刻は8時30分。

 俺たちの教室に担任であるヴィレッタ・パディム教諭が入ってきた。

 

「席に着け。ショートホームルームを始めるぞ」

 

 エクセレンも席に戻り、つつがなくホームルームは進行する。

 これが俺の日常。ギャンブルによる刺激も無く、変哲も無い、続くだけの毎日だ。しかしこれはこれでいいものだと、カグヤちゃんが来てから思えるようになった。

 切り裂き巨乳娘に感謝するべきなのだろうか?

 

「今日は転校生を紹介するぞ。おい、入れ」

 

 ヴィレッタ教諭が促すと、転校生が教室に入ってきた。

 おずおずと教壇の上へ進む転校生は女性で、見慣れたジェネ高の制服にはち切れんばかりに豊満な胸を詰め込んでいる。

 短いスカートの裾から見える太ももは艶やかで、はっきり言って見覚えのある御み足だった。

 

「初めまして、ナンブ・カグヤです。遠い所からやって来ました。優しくしてくれると嬉しい事極まりないですぅ」

「「「「うおおおおおおおぉぉぉっ!!!!」」」」

 

 教室内の飢え男子生徒たちから歓声が上がった。

 「春だ! 遂に春が来たぞ!」「胸でけえ!」「その足で踏みつけてください、ハァハァ」など各々が好き勝手に口走っているが、俺は気が気ではなかった。

 教室では大人しいことに定評のある俺も我慢できない。

 

「カグヤちゃん、家から出るなと言っておいたはずだぞ。言いつけを破って何をしている?」

「あ、パパだ! カグヤ、パパに会いたくって転校してきちゃいました!」

「「「「パパだぁ~!?」」」」

 

 男子生徒たちの声にドスが篭る。

 教室中の視線が俺に集中していた。なんだお前ら、こっちを見るな。

 

「帰れ」

「そんなパパったらぁ、カグヤの制服姿がいくら可愛いからって、家に帰って布団しいて待ってろだなんて。カグヤ、恥ずかしいこと極まりないですぅ」

 

 カグヤは顔を赤らめて体をくねらせていた。

 俺の言葉を曲解するな!

 たった3文字からこれだけ誤解できるとはある意味才能だ。俺の言葉にそんな意味は含まれていないし、行為に及んだ事実も無い。

 あるのは6回も「斬殺」されたという痛い記憶だけだ。

 だがクラスの反応は冷たかった。

 女生徒は性犯罪者でも見るような視線で俺を見てくる。男共は嫉妬と憎悪と殺意がミキシングされた怨念を俺に向けてきていた。

 「ちょっと、コレどういうことよ?」と、エクセレンも視線で俺に訴えかけてきている。

 知るか。どうしろというのだ……?

 

「カグヤ、パパの隣の席がいいです」

「任せるわ、転校生」

 

 ヴィレッタ教諭の悪い癖、放任主義が発動した。彼女は事ある毎に決定権や仕事を生徒に押し付けてくる。しかも責任もすべて添加する始末で、名前だけのクラス担任と化していた。

 ホームルームの終了を宣言しさっさと職員室に帰る彼女を尻目に、カグヤちゃんは足取り軽く俺に向かってくる

 

「パパ! これからは学校でも一緒だよ!」

 

 「学校でも!?」と教室中から好奇に満ちた声が上がった。

 厄介な。エクセレンの居る時の危険発言は避けてもらいたい。

 だが今は直面している問題に対処しなくては……

 

「待てカグヤちゃん。残念なことに、俺の隣の席は既に満席だ。なぁ? ラッセル・バーグマン ── って、いない?」

「ラッセル? 誰だそれ?」

「なぁ、お前知ってるか?」

「知らねえ。影が薄すぎて消えたんじゃねえか」

 

 周囲の男子生徒どもが好き放題言っていた。

 馬鹿な。昨日まで確かここにいたぞ。何故、みんな忘れているのだ。

 カグヤちゃんの瞳が怪しく光っていた。

 

「カグヤちゃん、なにかしたのか?」

「えー、カグヤよく分かんなーい」

 

 ペ○ちゃん人形のように舌を出して知らばっくれるカグヤちゃん。

 犯人はコイツだな。なにをしたか不明だが確信犯であるのは間違いない。

 ならばと ──

 

「転校生の面倒を見るのは、クラス委員長の仕事だと思うぞ」

 

 ── 俺は、新たな生贄の羊(スケープゴート)を用意するだけだ。

 俺が指差した先には、毎学期クラス委員長を押し付けられているメガネの男子生徒、エイタ・ナガタの姿があった。

 エイタは嬉々として立ち上がる。

 

「お任せ下さい! 不詳このエイタ・ナガタ、手取り足取り腰取り、なんでも教えて差し上げましょう!!」

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 擬音が聞こえた。

 振り向くとカグヤちゃんの○タンド ── アーベントが長銃を構えていた。生徒たちは気づいていない。俺にしか見えないようだ。

 アーベントが見えない一発の銃弾を発射する。それがエイタのメガネを吹き飛ばし、粉々に粉砕した。グラスの破片がキレイに光る。

 

「エイタ! エイター! 大変だ、みんな! エイタが倒れたぞ!」

「しっかりしろ傷は深いぞ!」

「担架だ! 早く保健室へ ──」

 

 砕けたメガネに駆け寄る友達がいのある生徒たちが数人いる。

 

「ちょっと待てぇぇぇぇ! それ、メガネだよね! ボクじゃないよね! どうしてメガネがボクの本体みたいな扱いを受けている訳!?」

 

 くぅ……エイタ、済まない。

 俺が生贄の羊(スケープゴート)にしたばっかりに……アーベントに撃たれ瀕死の重態となったエイタを、みんなが保健室に連れて行く。その後を、影のようなものが追って行ったがおそらく気のせいだろう。

 

「クラス委員長さんいなくなりましたね?」

 

 下手人は天使のような笑顔を浮かべていた。外道め!

 

「パパの隣には私が座ります。いいですよね?」

「……好きにしろ……」

 

 第3、第4の被害者を出すわけにもいかず、俺は頭を抱えてカグヤちゃんを迎え入れるしかないのだった。

 エクセレンから「ちょっとキョウスケ、後で話があるからね」とアイコンタクトが送られてきた。はい……分かってます。

 来る時が来てしまった。

 カグヤちゃんの存在がエクセレンに発覚してしまった。

 俺は覚悟を決め、普段と違いやけに短く感じる授業を受けるのだった ──……

 

 

 

 昼休み、ジェネ高校舎屋上にて。

 

「ちょっとキョウスケ! どういうことよ!?」

 

 エクセレンに俺は問い詰められていた。

 俺とタスクたちの賭けポーカーの定位置で正座させられ、エクセレンが鬼のような形相で俺を見下ろしていた。

 

「私という者がおりながら、誰なのよあの子!」

「カ、カグヤちゃん……?」

「疑問系で言っても駄目よ! いつから、2番さんを養えるほど金持ちになったのかしら? さっさと借金返しなさいよ、このギャンブル狂!!」

 

 エクセレンは激しく誤解していた。

 俺はエクセレンが好きだ。愛している。ギャンブルはするが、決して浮気はしない。

 現に俺とカグヤちゃんの関係はとっても血生臭い関係なのだ。

 

「誤解だエクセレン。カグヤちゃんの事はなんとも思っていない。あんな奴はただの厄介者だ。確かに、俺とカグヤちゃんは一つ屋根の下で暮らしているが、決してその様な関係では ── はっ!!」

 

 エクセレン・ブロウニングは「戦慄」を覚えて、使用した。

 し、しまった ── 墓穴を掘るとはこのことだ! エクセレンに黒いオーラが立ち上り、俺は戦慄を覚えた。背筋がピンとなり身が縮む。

 

「ち、違うぞエクセレン! 今のは決して違う! お前の考えているような意味ではない!!」

「じゃあどんな意味があるってのよ!?」

 

 血走った目でエクセレンが問い詰めてくる。

 修羅場だ。こんな浮気の現場を見つかった主人のような修羅場を、俺が迎えることになろうとは……夢にも思っていなかった。

 誰か助けてくれ、天に願ったそのとき。

 

── ピンポーンパンポーン

 

 学内放送を告げるアナウンスが敷地内に響き渡った。

 

『あーあー、本日も蒼天なり本日も蒼天に願え』

 

 アナウンスの声に乗ってカグヤちゃんの声が聞こえてきた。

 どうやら放送部の部室から全校放送をしているようだ。

 

『パパァー、どこに行ったのー? 自宅からお越しのナンブ・キョウスケさん、お子さんがお待ちです。至急、放送部部室まで来てください』

「お子さんって……キョウスケ、そんな……」

 

 エクセレンが崩れ落ちた。

 口元を押さえ、体を小刻みに震わせて涙ぐんでいた。

 

「もう子どもまで……負けたわ。私の完敗よ……」

「誤解だエクセレン。子どもというのはカグヤちゃんのことでだな ──」

「あんな大きな子どもいる訳ないじゃない!?」

 

 ご尤もです。涙ながらのエクセレンの叫びを説得する自信が俺にはない。

 

『早く来て。今すぐ来て。カグヤは寂しいと死んじゃう生き物なんですよ? 早く来てくれないと~、パパの秘密を一つずつ公表しちゃうこと極まりないです』

「なんだと?」

『ではパパの秘密その1 ──』

 

 背中に寒気を覚える。

 

『──エッチな本の隠し場所は押入れの隅にあるダンボール箱の中ですぅ~』

「や、止めろ! 鬼か貴様は!?」

「やっぱり……隠し場所を知っているなんて、一緒に住んでいる証拠だわ!!」

 

 エクセレンが激昂していた。

 ええーい、コレが若さ故の過ちというものか! カグヤちゃんを自宅で一人にするべきではなかった。隅から隅まで家捜しされていたようだ。

 よよよ、と泣き崩れるエクセレンも手に負えん。

 神よ、何故俺にかような艱難辛苦を与えるのか?

 正直、勘弁してもらいたい。

 

『パパの秘密その2 ──』

 

 間髪居れずにカグヤちゃんの一人暴露大会が続く。この声が全校生徒の耳に届いているとしたらゾッとするぜ。

 

「なんとぉー! やらせはせん、やらせはせんぞぉぉ! エクセレン、お前も一緒に来て、カグヤちゃんを止めてくれ!」

「いや!」

「来い! 止めた後、全部話すから!」

 

 俺は嫌がるエクセレンの手を引いて駆け出した。温もりとじっとりとした汗が手のひらから伝わってくる。俺はエクセレンの手を離したくなかった。

 だからカグヤちゃんを交えて、こじれた話に決着をつけるのだ!

 俺はエクセレンと屋上の階段を勢い良く下る。

 

『── パパは最近お○の×を使ったプレイに興味が沸いていますぅ~』

 

 耳を覆いたくなる放送を止めるため、急ぎ廊下を駆け、放送室へと向かう ──

 

 

 

      ●

 

 

 

 ── 私の名前は、アシェン・ブレイデル。

 

 極めて近く果てしなく遠い世界「エンドレス・フロンティア」からやって来た近接戦闘タイプの女性型アンドロイドだ。

 

 私は今、何故か高校の密集する地域「エリア」一のマンモス高校、ジェネ高の内部に潜入している。

 

 それは何故か? 説明してやろう。

 私は「エリア」へと突入したキモキザこと艦長である「ハーケン・ブロウニング」の探索のために「エリア」へとやって来た異邦者だ。

 共に「エリア」に突入した仲間とは逸れた。

 ウスノロどもめ。

 あの出来損ないの愚図どもは、いつも完璧かつビューティフルである私に迷惑をかける。私が居なければ、キモキザも駄乳姫もなにもできんのだ。私こそ裏のヒロインと言って過言ではないだろう。

 ヒロインには仲間の面倒を見てやる義務がある。

 現在は、はぐれた仲間の探索にジェネ高にやって来ている、といったところか。

 

「しかし、妙な場所だな」

 

 すれ違う人間たちは皆同じ服装をしていた。

 

「無個性か……それとも……」

 

 軍隊のように規律を教え込む場所なのか?

 しかしどいつもこいつも同じようにしか見えん。Wシリーズの量産型のようにだ。センスがイモだな。

 

『パパの秘密その2 ──』

「む、この声は牛乳か。この施設内のどこかにいるようだな」

 

 どうやらジェネ高に来て正解だったようだ。

 聴覚センサーの出力を上げ、音声の発信源を探る。

 場所の特定には少し時間がかかりそうだ、とそのとき。

 

「放送室に急ぐぞ、エクセレン!」

「もう、待ってよキョウスケったら」

 

 階段を下り、通路を私の方向へ走って来る影があった。

 一つは髪の一部が茶色の男性。もう一つは金髪の女性だ。

 ……あれは、アリス・レイジとシャオムゥか?

 かつての戦乱を共に駆け向けた2人が目の前に居た。戦いの後、自分の世界に戻ったはずだが……とすれば「エリア」が彼らの世界になるのか……いや、違う。

 なんだ、この違和感ワワワワワワワワワ ──

 

── WARNING!! WARNING!!

 

 私のAI内にアラートが響き渡る。

 

── DANGER!! DANGER!! 策敵。対象を視認……認証完了。対象をベーオウルフと断定する。直ちに迎撃、殲滅を実行せよ。

 

 奴の顔が見えた。

 レイジではない。

 奴は敵だ!!

 

 

── コードDTD、強制発動!!

 

 

 敵は殺す。我らの世界のために奴を殺す。

 ターミネイトだ! ヒューマンなぞ、ターミネイトせよ!!

 コードDTDは強制的にオーバーヒート状態を誘発する事で戦闘能力を飛躍的に上昇させる機能だが、上昇した出力から発生する余熱を逃がすため、スーツの一部が露出し、バイザーが後頭部に移動する。

 副作用の熱上昇でAIが加熱され、人間で言えば「高揚」した気分になったりもする。

 あはははははっ、あー、楽しい。

 

「テンション上がってキアアアァァッ!!」

 

 ボクはレイジもどきに突撃した。 

 

「うおっ、なんだ!」

 

 走っていたレイジもどきは、ボクの美しさに足を止めてしまったよ。

 

「キラ☆ 初めまして? それとも久しぶりと言えばいいのかな?」

「邪魔だ。どけ」

「そうはいかないよ。だってボクは ──」

 

 ボクの名前はアシェン・ブレイデル。

 このお話の真のヒロインさ☆

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前はキョウスケ・ナンブ。

 

 放送室に向かう俺たちの前に奇妙な女が立ちふさがっていた。

 露出度の高い服装で明らかにジェネ高生ではない。怪しさ120%の不審者だった。

 

「だってボクはキミを殺したくって仕方なんだもん♪」

 

 発言も狂っていた。

 不審者は手をグルグル回しながら、何が面白いのか「あはははははっ」と笑いながら上体をグラグラっせている。

 ラップのつもりなのか、妙な言葉を口ずさんでいた。

 

「キキルキルキルキキルユ~、キキルキルキルキKILL YOU!!」

 

 危ない!

 こいつ、アブナイ奴だ! 

 不審者の双眸には怪しい光宿っており、不思議な踊りを披露しながら俺たちに近づいてくる。

 

「撲殺機械(ぼくさつマシーン)アシェンちゃーん。キキルキルキルキKILL YOU~、あはっ☆」

『パパのぉー、秘密そのさぁーん ──』

 

 天井のスピーカーからカグヤちゃんの声。

 

「ええーい、厄介ごとばかりだ! とにかく、放送室へ急ぐぞエクセレン!」

「え、ええ……って、危ないキョウスケ!!」

 

 不審者を無視しようとした俺の手を急にエクセレンが引いた。

 意表を付かれたため少し体制が崩れる。仰け反るような姿勢になってしまった。

 その俺の鼻っ面を何かが掠めていた。

 轟音を共に何かは壁を突き破っていた。コンクリの厚い壁が発泡スチロールのように砕かれ、風通しの良くなった教室の中が見えている。

 一瞬遅れて、鼻に灼熱感が……触れると、手には温かい血がべったりと付いていた。

 

「キキルキルキルキKILL YOU~、な・ん・で・も砕けるパンチ~、ゲンブスパ~イク~♪」

 

 なんと、壁を叩き割ったのは不審者の鉄拳だった。

 しかしそれは不審者の手には付いていない。不審者の手を離れて壁の瓦礫の中に埋もれていた!

 ぎゅるるるるるーがしゃん。と拳に繋がっていたワイヤーが引き戻され、不審者の腕に接続される。

 コイツ、人間じゃないぞ!?

 不審者は小刻みにステップを踏みながら。

 ラップ調の調べに乗って拳を向けてきた。

 

「憎き仇敵ベーオウルフ♪ ここで会ったが百年目♪ 今日こそ、お前をターミネイト♪ キラ☆」

「逃げるぞ、エクセレン!」

「逃がすかYO♪ あはははははっ」

 

 不審者が再び拳を飛ばしてきた。

 幸運にも拳は外れた。俺が崖っぷちに強いからなのかは分からない。

 しかしT-千みたいな走り方で不審者が追いかけてきた。超怖い!

 

「どうするのよ、キョウスケ?」

「放送室だ。あそこにはカグヤちゃんがいる!」

「だからどうしたってのよ!」

 

 がなりたてるエクセレンが喧しくてしょうがない。

 兎に角、放送室だ。

 カグヤちゃんの護式・斬冠刀なら、あのターミネーターみたいな不審者も倒せるはずだ。

 俺は斬冠刀の切れ味を、文字通りその身を持って知っているからな。

 放送室の扉が見えてきた。

 慌てて中に飛び込み、扉を閉め鍵をかける。

 

「パパはぁ、カグヤの事が好きなんですぅー」

 

 カグヤちゃんはまだ全校放送で(俺の)恥の上塗りを続けていた。

 

「助けてくれカグヤちゃん! 変な奴に追われているんだ!」

「あ、パパ! 来るのが遅い事極まりないッデス!!」

 

── ズバンッ!! ブュシャアアアアアッ!!!

 

 出会い頭に、何処からともなく取り出した斬冠刀で首を刎ねられた。

 ぽーん、と首が宙を舞う。

 

「いやああああああああああぁ ── ぁ……」

 

 俺の斬殺現場を目の当たりにしたエクセレンが絶叫を上げて気絶した。 

 無理もない。出来れば記憶も失って貰いたいもん、だ ──

 

 

── どららどらどらどららら~!!

 

 

 意識が完全に途切れる前に、アーベントの銃弾でただの肉塊にされ、俺の体は元に戻る。

 

「酷いぞカグヤちゃん。いきなり斬殺はないだろう?」

「遅かったこと極まりなかった罰です。まったくしょうがないパパなのです」

「なんでやねん。いや、それよりも今は ── ッ!」

 

 刹那、扉が弾け飛んだ。

 頑丈な木製の扉がただの木屑に成り果てる瞬間を目撃する。破片の雨の向こう側には、あの不審者がいる。恐怖の鉄拳 ── ゲンブスパイクを片手に俺ににじり寄ってくる。

 

「キキルキルキルキKILL YOU~♪ 尻の穴から手を突っ込まれて奥歯ガタガタ言わされて死ぬのと、砕いた肋骨が肺に突き刺さって窒息死するのとどっちがいい? 選ばせてあげるってヴァ♡」

「残酷すぎるわ! どっちも断る!」

「もぅ我侭さんだなぁ! じゃ、アシェンちゃんがハグしてあげる♡」

「ハグ?」

「胸の感触に酔いしれながら、脊椎をへし折られて死ぬといいよ♡」

「なるほど、最後の慈悲という訳か。ありがたい限りだ。

だが断る!」

 

 どれを選択しても最終的には死ぬわけだ。

 やってられんわ! 俺は恥も外聞も捨ててカグヤちゃんにすがりついた。

 

「助けてカグヤちゃん! 無敵の護式・斬冠刀で何とかして下さいよ~!!」

「もー、本当にしょうがないな~パパは」

 

 カグヤちゃんが斬冠刀を構えた。切っ先はもちろんアシェンとか言う不審者だ。

 斬冠刀は自分に向けられると絶望感しか感じない凶器だが、味方になるとこれ程頼りがいのあるモノも珍しい。

 アシェンの敗北を確信し、俺は安心して見ていられる。

 

「あれ、牛乳じゃん?」

 

 しかしアシェンの言葉で、俺は絶望のどん底に突き落とされた。

 

「ひっさしぶりー!」

「あ、あれ……ううーん、えーと……そうだ! アシェンさん! アシェンさんじゃないですか!」

 

 カグヤちゃんが剣を下げた。

 どうやら、この2人は知り合いらしい。

 ……なんてことだ。この世には夢も希望も存在しないらしい。

 と、その時。

 

『Hey!(テメエら、俺のマスターに何してやがる!?)』

 

 エクセレンの「喋る黒いバイク」が放送室の入り口に立っていた(?)。どうやって構内に侵入したのか不明だが、主人の悲鳴を聞きつけてやって来たのだろうか?

 だとすれば大した忠犬っぷりだ。

 

『FUCK YOU!!(エクセレンに乱暴働きやがって! テメエら、まとめてニュートロンブラスターでブッ飛ばしてやるぜ!!)』

「あ、ゲシュペンストだ! やっふー、久しぶり!」

『Die!!(死にさらせぇ!!)』

 

 バイクまでアシェンたちの知り合いだったらしい。

 だがバイクのヘッドライト部分には光が収束していく。仲間らしいがアシェンの事を忘れているのだろうか? それとも仲間割れか?

 兎に角、助かった!

 バイクだろうがなんだろうが、アシェンをやっつけてくれ!

 黒バイクのヘッドライトは放送室の中に向けられている。

 ヘッドライトに集まっている光はおそらくビームかなにかだろう。アシェンが人間で無かろうとひとたまりもない、はずだ…………待てよ。

 ヘッドライトの先は放送室の中に向けられていた。

 アシェンもカグヤちゃんも、俺も、放送室の中にいる。

 ということは……

 

『Fire!!(消し炭にしてやるぜ!!)』

「ま、待て ── ッ!!」

 

 俺の言葉は目が眩む光の奔流にかき消された。

 

── ズガガガアアアアアアァァンッ!!

 

 黒バイクのヘッドライトから図太いビームが発射され、放送室を消滅させ、俺たちは天空高くに吹っ飛ばされた。器用に立っていた面々だけを攻撃し、床に倒れていたエクセレンだけ無事に残してだ。

 

「アイルビーバァァァクッ!!」

「酷い事極まりないですぅーー!!」

「なんで俺まで ────っ!?」

 

 あまりの熱量に俺の体は空中で蒸発し、星となった。

 その刹那、俺はあの音を聞く……あの擬音を、だ。

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 体の無事を確認する間もなく、俺の意識は闇に飲み込まれていく ──……

 

 

 

 

 

      ●

 

 

 目に飛び込んで来たのは見慣れた天井だった。

 

「た、助けてくれぇええっ!!」

 

 意識が戻ると同時に俺は起き上がった。

 俺が目覚めた場所は、畳の上に敷かれた布団の中。見慣れた古い和室は俺が借りている格安賃貸住宅の自室であった。

 息が苦しい。体が熱い。全身汗だくで、寝ていた布団も熱気と湿り気を帯びていた。

 外はまだ明るく、いつ自宅に戻ったのかも覚えていない。

 ただ覚えているのは、俺が黒バイクの放った閃光に巻き込まれて死んだという事実のみ。だが俺は息をしているし、手も動く。生きていた。

 

「夢、だったのか?」

 

 だとしたら悪い夢だ。

 黒バイクの所業しかり。撲殺機械(ぼくさつマシーン)を名乗った不審者しかり。俺を斬殺しまくったカグヤちゃんしかりだ。

 ハチャメチャが押し寄せて来るような非日常だった。 

 生きているのが不思議なぐらいだ。生きている。死んでいないという事実を噛み締める。

 やはり平和な日常が一番だな。そしてギャンブル程度の刺激とエクセレンがいれば、俺は満足して人生を謳歌できる。

 

「ふぅ」

 

 安堵のため息が漏れる。

 もう少し休もうと、掛け布団を手で探した。

 

── むにゅっ

「あん……!」

 

 柔らかな触感と女の声が聞こえた。

 もう、聞きなれた女性の声だ。

 脂汗が全身から湧き出すのを感じながらも、手を動かせず、声の方に視線をむける。

 顔を赤くしたカグヤちゃんが、俺と同じ布団の中で寝ていた。

 俺の片手に握られているのは……言うまでもないだろう? カグヤちゃんの双子山だった。

 血の気が引く。数秒後には文字通り、血の気が引くだろう。

 

「いやぁぁ、パパのエッチ──── ッ!!」

「夢じゃなかった ──── ぐぇっ!?」

 

── ズバババババババッ、バシュ、ドシュ、ジャキーンッ!!

 

 俺の体は護式・斬冠刀によって切り刻まれた。

 頭部を残して胴体が刺身のようにバラされる。そう、俺は斬殺されたのだ。

 斬殺天女(ざんさつてんにょ)だよ! カグヤちゃん!

 俺は心の中で夢であって欲しいと適わぬ願いを唱えるのだった。

 

 

── どららどらどらどらららぁ~!!

 

 

 今日もアーベントの銃声が響き渡る ──……

 

 

 

 

 

ここは高校がなぜか密集する土地『エリア』。

『エリア』には個性豊かな学生が沢山いる。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




<キャラ紹介>
キョウスケ・ナンブ:最近出番の少ないジェネ高3年生。ギャンブル狂いは直らない。競馬の予想をしていたら、天から女神、いや天女が降ってきた。不審者に因縁をつけられるし踏んだり蹴ったりな主人公。今日もカグヤちゃんに斬殺される……。

ナンブ・カグヤ:エンドレス・フロンティアからハーケンを探しにやって来た女性。しかし突入の衝撃で仲間と離れ離れ&記憶喪失に! 愛刀(護式・斬冠刀)を振り回し、今日もパパと勘違いしたキョウスケを滅多切り! 死んでも、相手を治療できるス○ンド「アーベント」がいるから大丈夫(元ネタはもちろんジョジョ)! 我こそは、と言う方はどうぞ斬られてみてください!

エクセレン・ブロウニング:キョウスケの恋人で、高校生に見えないジェネ高3年生。今回は珍しく嫉妬する。あの後、ちゃんとゲシュペンストに回収されて無事でした。

アシェン・ブレイデル:エンドレス・フロンティアからやって来たアンドロイド娘。記憶喪失ではなく、逸れた仲間を探してジェネ高に侵入しキョウスケと対面する。キョウスケをベーオウルフと認識し、システムが暴走、コードDTDが勝手に発動し彼を殺しにかかる。「アイルビバック」と言っていたので、また戻ってくるかもしれない。



<次・回・予・告>

キョウスケ
「お詫び。前回の次回予告を無視して私の話を書いてしまったことをここに深くお詫び申し上げます。作者がテレビアニメで最近出番の少ない私を傷買ってくれた結果とのことです。今後はこのような事がないよう尽力していくつもりであります」

エクセレン「嘘だッ!!」

キョウスケ「ああ、嘘だな。それより誰か、俺がカッコよく活躍できるようなお話のネタをくれ! 頼んだぞ!」

エクセレン「では、また次回でお会いしましょう!」

キョウスケ「キミの感想・ネタを待っているぞ!」





擬音、超連発!

今回の話の元ネタは「撲殺天使ドクロちゃん」です。
ちなみに私は読んだことはありません。
凄く擬音だらけらしいですね。
小説のネタはアニメの一話を参考にしました。笑っていただけたなら幸いです。

暗黒ミカンさん、sibugakiさん、ケルンバイターさん、平沢 唯さん感想ありがとうございます。
特にsibugakiさん。セツコの登場を期待してくれてたみたいだったのにすいません。
猛烈にアホな話を書きたくなりまして(笑)。

次回はあの子が登場? 予定は未定です!
ではでは、次回もよろしくお願いします。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。