スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>
絶賛、キャラ崩壊中!
炎の江戸っ子ファイターがキャラ崩壊しています!
読む方によっては気分を害される可能性があります!
それでもよいという方はどうぞ!

注意:バレンタインネタ。完全にフライングです。
   「俺は~」で始まるパートは1人称。それ以外は3人称で書いています。
   やったらいけないことらしいですが、あえてやりました。
   読みづらかったらすいません!


俺たちゃヴァルストークファミリー5 ~仁義なき戦い! 見よ、ジェネ高は嫉妬に燃えている!~

 ── 聖暦2011年 2月14日 ──

 

 とある少年が言った。

 

「男の価値はハーレムの女の数と貰ったチョコの数で決まるんだ」

 

 彼の周りには3人の美少女がいる。

 

「統夜、私のチョコを受け取ってください!」

「おお、カティア。ありがとう」

「はい、統夜! アタシからもチョコレートだよ!」

「テニア、ありがとう。今日も可愛いよ」

「手作りのチョコを綺麗に包装して好きな人に渡します、とメルアは顔を赤らめながら言いました」

「やぁ、メルア。今日も口調が面白いね。チョコ、ありがとう! みんな、大好きだよ!」

 

 少年は3人の美少女と両手に一杯のチョコレートを持っていた。

 

 

 ── 世界は【ラヴ】の炎に包まれた!! ──

 

 

 2月14日。

 セントバレインタインデー。

 無垢なる乙女たちが好きな男子にチョコを渡し、思いを伝える1年に1回の大切な日。

 義理チョコだとか、最近は友チョコだとかあるらしいが、そんなモノは邪道だ!

 乙女が、本命チョコ1つを胸に抱き、好きな男子にカミカゼアタックする日こそ、セントバレンタインデーなのである!

 

 

 ── 世界が【ラヴ】で溢れかえる日、ジェネ高も【ラブ】で溢れかえっていた ──

 

 

 女子にチョコを渡され、だらしない笑顔を浮かべる男子たち。

 実に幸せそうである。

 

 

 ── だが!! ──

 

 

 光あるところ影あり。

 正義あるところ悪あり。

 天上に昇る気持ちの男子たちがいれば、当然地獄に突き落とされる気分の男子たちもいた!

 

「おいタスク。お前は貰ったか?」

「愚問だなカズマ。当然、ゼロだ」

「裏切ったら許さねえぞ」

「当たり前だカズマ、俺たちは心友(しんゆう)じゃないか?」

「おお、心の友よ!」

 

 何故か高校の密集する地域「エリア」1のマンモス高ジェネ高に通う2年生 ── カズマ・アーディガンが、悪友のタスク・シングウジとガッチリと強い握手を交わしていた。

 カズマは外見も性格も悪くない。

 だが彼女居ない暦=年齢の、彼女が欲しいお年頃の男の子であった。

 そう ──

 

 

 ── 弱者(モテナイオトコ)は死滅していなかった!! ──

 

 

 カズマは血眼になって食料(チョコレート)を探していた!

 靴箱を、机の中を、ロッカーの中を。出てきたのは賞味期限の切れたヨッチャンイカだけだった。

 

「神よ! アンタに慈悲の心があるのなら、俺たち飢えた者たち(ラブ・サバイバー)を救いたまえ!!」

 

 信仰心のないカズマが膝をつき、天に祈るという世に珍しい日がバレンタインデーなのである。

 彼の傍を、3人の美少女をはべらせた美少年が素通りしていく。

 

「いやー、今年もこんなに沢山チョコもらっちゃったよ」

「統夜! 私たち以外から貰わないでと言ったでしょう!?」

「いやだなカティア。コレは義理チョコだよ。後でみんなで食べよう」

 

 殺すッ!!

 紫雲 統夜。面識は無いが、貴様だけは絶対に許さない! 貴様は全人類の敵だ! カズマの眼光は殺意で満ち満ちていた。ファンタジー世界の大魔王でもこうはいかないだろう。

 カズマは立ち上がり、タスクと手を組んだ。

 

「心友(とも)よ! 今こそ立ち上がるとき!」

「応ッ! あのイケ好かねえイケメン野郎に引導を ──」

「あ、居ましたわ! タスク!」

 

 タスクの言葉を遮った少女がいた。

 レオナ・ガーシュタイン。金髪の美少女で、手には大きな箱を持っている。顔を真っ赤にしながら、タスクに箱を突きつけてきた。

 

「べ、別に貴方のために作ったんじゃありませんからね! ほ、本命じゃありませんわよ! 義理ですわ、義理! 超義理チョコですわ!」

「レオナちゎぁーん! 1万年と2000年前から愛してるうぅぅぅぅぅっ!!」

 

 タスクがレオナに抱きついて殴り飛ばされていた。

 裏切り者め!

 この世には神も仏もいないのか!?

 カズマが絶望のあまり、地面に突っ伏して泣き出した。

 そのとき。

 

「待てえええぇぇいッ!!」

 

 頭上から声が聞こえた。

 カズマも統夜もタスクも、声のした方向を見上げる。

 ジェネ高の校舎の屋上に、太陽を背にして立っている男のシルエットがあった。

 

「な、何者だ!?」

 

 統夜が悪役っぽく叫んでいた。

 男のシルエットは良く見ると紅い。

 真紅の鎧を全身に纏った男が、ジェネ高校舎の屋上に立っていた。

 

「テメエらに名乗る名前はねえんでえ!!」

 

 真紅の鎧の男が屋上から跳躍した。

 危ない! 誰もがそう思ったが、男は20m近い高さから問題なく着地する。

 真紅の鎧の男の顔は、人の顔の仮面が被られており青い髪の毛がなびいていた。

 

「遠からん者は音に聞け、近くばよって目にも見よ!!」

 

 鎧の男が急に頭を振って、名乗りを上げた。名乗らないと言っていたのに……そんな突っ込みは通用しそうにない、熱い雰囲気で大声を上げる。

 

「てやんでぇ、べらぼうめ! 喧嘩100段、炎の格闘家コウタ・アズマとは世を忍ぶ仮の姿! その正体は! 嫉妬の炎(ジェラシー・フレイム)より生まれた炎の戦士 ──」

 

 鎧の男が手を振りかざすと拳から炎が舞い上がった。

 男は統夜に向かって拳を放つ。拳から離れた炎が龍の形を成して、統夜の持っていたチョコートを詰めた袋にを貫通する。

 真っ赤砂塵縛(まっかさじんばく)に続く男の奥義、ファイヤードラゴンだ。

 「あぁ、チョコが!」という統夜の悲鳴を残し、チョコレートは蒸発し、統夜は心に熱傷を負った。

 

「── 俺の名前は、しっとファイター・ロア! 待っていろショウコ! お前のチョコを誰にも渡させたりはしないぜ!!」

 

 カズマの前に救世主が舞い降りたのだった。 

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 俺たちゃヴァルストークファミリー5 ~仁義無き戦い! 見よ、ジェネ高は嫉妬に燃えている!~

 

 

 

 救世主の名前は「しっとファイター・ロア」と言った。

 

「しっとファイター・ロアは長くて呼びづらいな! 俺を呼ぶときはしっとファイターでいいぜ!」

「2文字しか略せてねえし!」

 

 カズマは反射的にしっとファイター・ロアにツッコみを入れていた。

 赤き鎧を身に纏い、弱者のために拳を振るう正義の戦士。

 その名は、しっとファイター・ロア!

 しっとファイター・ロア改めしっとファイターの手により、悪の組織【ハーレム】の大幹部「紫雲 統夜」は倒れた。統夜は膝をつき、燃え尽きた手提げ袋を見ている。

 中にはチョコが入っていた。

 お菓子メーカーの陰謀に踊らされた女子たちから統夜への供物である。

 

「よ、よくも、女の子たちの気持ちを踏みにじっ ────ッ!」

「てやんでえ、べらぼうめ!!」

 

 しっとファイターが叫んだ。

 

「他の奴らはだませても、俺の目は誤魔化かせないぜ! カイザースキャンを持ってすれば、お前がまだブツを隠し持っているのは丸見えだ!!」

 

 なんだって!? しっとファイターの言葉にカズマは衝撃を覚えた。

 紫雲 統夜。

 ハーレムを地で作っているモテモテイケメン野郎! ジェネ高全男子の敵は、手提げ袋一杯のチョコレート以外にも隠し持っているというのか!?

 しっとファイターに燃やされたのは板チョコなら50枚は入りそうな手提げ袋だった。はたして、統夜はアレ以上の量を隠し持っているのか?

 結果は、しっとファイターの言葉通りだった。

 統夜は懐からチョコレートの箱を取り出した。いつもはべらせている3人娘からのプレゼントだろう。

 まるで瞬間湯沸し沸騰機のように、カズマの脳細胞は灼熱した。

 

「ゆ、許せねえ!」

 

 独占禁止法を知らんのか!?

 1つ……また1つと、統夜にチョコレートが流れていく度に、カズマに来る可能性のあったチョコたちが減っていくのだ。例えチョコがもらえる可能性がゼロだったとしても、統夜のような男は許せない。カズマは激しい怒りを覚えた。

 何故、統夜ばっかり?

 何故、カズマはモテない?

 何故、カズマはチョコレートをもらえない?

 そのとき、カズマの中で何かが切れた。

 

── コ・ノ・ウ・ラ・ミ! ハラサデオクベキカ!

 

 心に炎が燃え上がる!

 それは、嫉妬、というものであった!

 

「おう、兄ちゃん! 良いモン持ってんじゃねえか!」

 

 しっとファイターがカズマに手を差し伸べていた。

 

「良い嫉妬の炎(ジェラシー・フレイム)だぜ。兄ちゃんなら、きっと、しっとファイターになれるはずだ!」

「しっと、ファイター……?」

「さあ、戦士よ立ち上がれ! 今こそ弱き者のために立ち上がる時だ! とうっ!」

 

 刹那、しっとファイターが真っ赤な体躯を跳躍させた。

 空中高く飛び上がったしっとファイターは、太陽の光を背に受けながら、

 

「しっとキィィィィクッ!!」

 

 渾身の飛び蹴りを繰り出していた。

 悲鳴を上げる間もなく、しっとファイターの蹴りが統夜に ── 統夜の持っていたチョコレートに直撃する。

 

── バキボキッ

 

 快音を上げてチョコは砕け、統夜は蹴り飛ばされて気を失った。「いやー、統夜!」などと口々に叫びながら3人娘が駆け寄って行った。

 

「成敗ッ!! 悪は滅んだぜ、べらんめえ!!」

 

 しっとファイターは、まるで仮○ライダーが怪人を倒したときのようなポーズを決めている。

 

「す、凄い! これがしっとファイターの力!」

「そうだ。兄ちゃんなら、このマスクを被れば、きっと、良いしっとファイターになれるはずだぜ!」

「こ、このマスクは!」

 

 しっとファイターが両手でマスクを差し出した。

 カズマの前にマスクは2枚ある。

 1つは、緑色で木目が入っており、骨董品のように見える。おどろおどろしい雰囲気を纏っており被った者の人格を豹変させそうな、被ると呪われそうなマスクだった。

 もう1つは、何の変哲もない白いマスクだった。

 南米のプロレスラーが好みそうな白いマスクには、怒っているようなツリ目が描かれており、その周囲に炎が象られている。

 見ているだけで腸が煮えくり返りそうな炎! 真っ赤な炎!

 そう。これは嫉妬の炎だ。

 カズマは迷うことなく炎のマスクを手に取った。

 

「流石だ兄ちゃん!」

 

 しっとファイターが緑色のマスクを捨てた。

 捨てられたマスクは大きな石の上に載った。人の顔ぐらいの大きさの石だったため、ちょうど石が緑のマスクを人が被ったように見えた。

 

── ジャキンッ、ズゴッ!!

 

 直後、緑のマスクから骨の針が突き出した。骨針は石を貫通して、風穴を開ける。カズマが被っていれば脳を貫かれていただろう。カズマは冷たいモノが背中を駆け抜けるのを感じていた。

 

「さあ兄ちゃん、マスクを被れ!」

「嫌だ!!」

 

 カズマは即答した。だがしっとファイターは許してくれない。

 

「ええーい、てやんでえ、べらぼうめ!!」

「な、なにしやがる!? 止めろ!! 俺はまだ死にたくねえ!!」

 

 しっとファイターが炎をマスクをカズマに被せてきた。

 凄い力でカズマは抵抗する事ができない。

 

「安心しろ!! しっとだ、お前はしっとファイターになるのだ!!」

「は、離せジョッガーーー?! うおっ、うおおおおおおおおおおおおおぉぉっ!!!」

 

 カズマの顔が完全に炎のマスクで隠された、そのとき。

 

 

 

── 真っ赤な衝撃がカズマの中を駆け抜けていた!

 

 

 

 熱い……熱い衝動が体を包んでいく。体の奥にメルトダウン寸前の溶解炉があるかの如く、血が沸き立つのをカズマは感じていた。

 感情が爆発する。

 

「しぃぃぃぃぃぃぃぃっとッ!!!」

 

 憎い! チョコレートを貰えるモテメンどもが憎い!

 嫉妬の炎がカズマの心を支配した。

 マスクの怒った目を象ったマーキング周辺に炎がメラメラと揺らめいていた。学生服に白い覆面を付け、目の周辺から炎が上がっている。それが今のカズマの様相だ。

 

「お、おいカズマ、大丈夫か?」

 

 タスクが心配して声をかけてきた。

 

「裏切り者には死を!」

「な、なに言ってんだおまえ?」

「しっとッ、顔面ファイヤー!!」

 

 カズマのマスクの目から炎が噴出した。

 タスクが持っていた大きなチョコの箱に直撃する。箱は黒焦げになり、中のチョコは溶けた。

 

「カズマ、てめえ ──」

「しっとパンチ!」

「── うんぎゃー!」

 

 裏切り者タスク・シングウジは元心の友の拳により沈んだ。

 カズマが倒れたタスクの頭を踏みつけて叫ぶ。

 

「しっとファイター2号、爆誕ッ!!」

 

 今、ここに、新たなる炎の戦士が誕生した!

 その名も、しっとファイター2号。

 中身はカズマなしっとファイター2号に、しっとファイター・ロアこと1号が近づいてくる。

 

「2号! 今こそ、弱者のために立ち上がる時!」

「応!」

 

 2人のしっとファイターが力強く握手を交わす。その姿は実に壮観であった。

 この出来事は後世に「ジェネ高の誓い」として語り継がれていく……ことになったり、ならなかったり……? とにかく、戦士は立ち上がった! 弱者の弱者による弱者のための学校を作り上げるために!

 今、世界の悪(モテメン)に立ち向かう弱者(モテナイオトコたち)の味方が手を合わせたのだ。もはや恐れるものなど何処にもない! 泣き寝入りするときは終わったのだ! 

 進め、しっとファイターズ! 

 戦え、しっとファイターズ!!

 弱者(モテナイオトコ)の未来は君たちの双肩にかかっている!!

 弱者(モテナイオトコ)の明日を守るため、しっとファイターズはジェネ高校舎を見上げた。

 

「カイザースキャン!」

 

 一号は指で輪を作り、その間から校舎を見る。

 

「いるぞ、女子からチョコを受け取ろうとする悪(モテメン)が! 待っていろショウコ! お前のチョコは誰にも渡さないぞ!」

「先輩! やりましょう!」

 

 2号の声に1号が頷く。

 しっとファイターズは拳を空に掲げて叫んでいた!

 

「「モテメン全滅大作戦だ!!」」

 

 しっとファイターズは校舎内に突入して行った。

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前はリュウセイ・ダテ。

 

 今日は待ちに待ったバレンタイン・デー。

 ジェネ高内ではチョコの受け渡しをしている男女の姿がチラホラ見受けられた。渡す方も受け取る方も緊張した面持ちをしている。中にはリンゴのように赤面している女子もいた。 

 いいね、青春だぜ!

 俺もア○ロダイAやビーナ○Aみたいな女性型ロボットからチョコレートを貰いたんモンだ!

 

「リュ、リュウ!」

「ん? なんだマイか。どうした?」

 

 俺が廊下を歩いていると、ジェネ高の後輩のマイ・コバヤシが声をかけてきた。

 マイは3年の先輩であるアヤ・コバヤシの妹さんだ。桃色の髪の毛と幼い容姿が特徴的な女の子で、最近、俺たちがやっている映研「SRX団」に入ってきた娘だ。

 俺のロボット談義にも着いて来れる、将来有望な逸材だった。

 そのマイが顔を赤らめてうつむいている。

 

「よお、どうしたマイ。顔が赤いぞ。熱でもあるんじゃねえか?」

「リュウ! 渡したいものがあるんだ!」

 

 マイは大きな声で言うと、手に持っていた小さな箱を俺に突き出してきた。箱を持つ手は震えている。

 何だろう? 箱の大きさは長方形、15cm×20cmぐらい。うーん、マイから渡されるモノって想像つかないぞ。

 ……はっ!

 もしや、中身は超合金のロボットフィギアではあるまいな!? いや、このシュチュエーションで渡すのだからそうに違いない!

 

「サンキュー、マイ! ありがたく頂戴するよ!」

「リュ、リュウ! 聞いて、私、リュウのことが ──」

「「待ていッ!!」」

 

 俺がマイから超合金フィギアの箱を受け取ろうとしたとき、大きな声が廊下に響いてきた。

 声の方を振り返ると、赤い鎧をつけた男と白いマスクを被った学生服の男がいた。

 うん。不審者だ。

 赤い方の不審者が俺に指を突きつけてきた。

 

「純なる子ども(マイ)の心を操り、己が欲望(リュウセイ病)を達しよう(広めよう)とする者よ! 恥を知れ! 人、それを、エゴと言う!!」

「誰だ!?」

 

 不審者の語りに俺は反射的に答えていた。

 なんだか分からないけど熱い奴だ。ここで正体を訊かないのは失礼に値する。アニメやドラマ的に言えば「お約束」という奴だぜ。

 

「てやんでえ! 嫉妬の炎(ジェラシー・フレイム)の戦士、しっとファイター・ロア(1号)!」

 

 赤い方がババーンとポージングする。カ、カッコいい!!

 

「同じく、しっとファイター2号!」

 

 学生服の方も負けじとポージング。くそ、俺だって!

 

「「モテメンめ、覚悟しろ!!」」

「受けて立つぜ!」

「リュ、リュウ?!」

 

 俺だってカッコいいポーズぐらいできるぜ! 見ろ。この華麗なるJJ立ちを! 斜に構えたポーズが最高にカッコイイ。惜しむらくは帽子が無いことぐらいか ──

 

「成敗!! しっとブロー!!」

「げふうっ!?」

 

 ── 赤い方のボディブローが腹に突き刺さった。

 野郎、ポージングや合体中は攻撃しちゃ駄目って知らないのか! 暗黙の了解って言葉を知らんとみえるぜ!

 情けない事に俺は一撃でナックダウン。

 廊下に横たわりながら、学生服の方がマイから箱を奪い取るところを見た。

 学生服は箱を胸に抱き、強くハグをして、

 

「しっとブリーカー! 死ねぇ!!」

 

 箱はグシャグシャに潰された。

 

「よし。2号、次に行くぞ!」

「はい、先輩!」

 

 不審者2人組みは走り去って行った。

 俺の超合金が! 畜生、覚えてろ!

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前はキョウスケ・ナンブ。

 

 今日は待ちに待ったバレンタイン・デー。

 俺にはエクセレンという彼女がいる。エクセレンは俺にチョコをプレゼントしてくれるだろう。俺の場合、チョコなしという悲惨な事態は確実にあり得ない。

 しかし貰えると分かっていても、バレンタインデーに貰うチョコは格別だ。

 

「キョウスケ」

「む、なんだ。アルフィミィではないか」

 

 教室でチョコを待っていた俺の前に現れたのは、恋人のエクセレンではなく、ジェネ高1年生のアインスト・アルフィミィだった。

 彼女はツルペタ寸胴な完璧ロリータ体形をしており、ジェネ高では密かにファンクラブが結成されているとの噂がある程だ。 

 アルフィミィは手の平大の小さな箱を持っていた。

 2月14日という日程から中身は容易に推測できる。

 しかしアルフィミィはアホのアクセルと交際していたはずだ。

 

「はい、キョウスケ。義理チョコですの」

「なんだ……義理か」

 

 俺は、ほっと胸を撫で下ろすような感覚とガッカリと肩を落とすような感覚に見舞われた。

 アルフィミィの声はエクセレンに似ているからな。それで残念だと思ってしまったのだろう。

 本命が貰えなくて残念とかはあり得ない。

 俺はエクセレン一筋なのだ。断じて、ロリコン、ではない。

 ……しかし、義理でもチョコが貰えるのはやぶさかではない。

 

「悪いなアルフィミィ。ありがたく頂戴す ──」

「「待ていッ!!」」

 

 教室の扉が激しく開かれた。

 赤い鎧をつけた男と白い覆面をした学生服男が立っていた。

 なんだコイツラは?

 明らかに不審者だった。

 赤い方が俺に指を突きつけてきた。

 

「己が欲望に忠実なる者よ! 欲望に任せた勝負は何も生まず、いつか身を滅ぼすだろう! 人、それを、博打と言う!」

「誰だ?」

 

 失敬な奴だ。

 俺が欲望に忠実だと。俺はしっかりと節制しているぞ。種銭を作るためにな。

 しかしなんだろうな? 赤い方の文句を聞いていると、俺もこう言った台詞を口にしてみたくなる。まぁ、俺のガラではないのだが……。

 俺の質問に、2人組の不審者が答えた。

 

「べらんめえ! 嫉妬の炎の戦士(ジェラシー・フレイム)、技のしっとファイター・ロア(1号)!」

「同じく、力のしっとファイター2号!」

 

 2人同時にポーズを取る。

 

「「モテメンめ、覚悟しろ!!」」

 

 なんだコイツらは? 馬鹿じゃあるまいか?

 馬鹿はアクセルだけで間に合っている。

 俺は奴らを無視してアルフィミィから義理チョコを貰うことにした。

 

「危ない! しっとフライングドロップキック!!」

「ぐはっ!」

 

 赤い方が飛び蹴りをかましてきて、俺のわき腹に鎧で守られた足が突き刺さった。

 周囲の机を巻き込みながらを吹っ飛ばされる俺。はっきり言って、かなり痛い。

 

「今だ! 必殺、しっとデスク!!」

「ちょま ── ぎゃ!」

 

 学生服の方が学生机を掴んで投げてきて、転んでいた俺が避けられるはずもなかった。

 顔面に机が直撃した。めまいがする。視界がぼやけて俺はその場に倒れた。

 

「よし! チョコは死守したぞ!」

「やりましたね先輩! 弱者に配りましょう!」

「おい、そこのメガネ!」

「ひっ、ボク!?」

 

 クラス委員長のエイタ・ナガタの方にアルフィミィの義理チョコが投げられていた。

 

「モテメンは滅びた! 安心して生きるがいい!」

「あ、ありがとうございます!」

「先輩、次に行きましょう!」

 

 野郎……あの不審者たちめ、人が貰うはずだったチョコを……。

 本命でもないのに、何故、俺がこんな目に合わなければならんのだ……?

 この恨み、忘れんぞ!

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前はブルックリン・ラックフィールド。

 

 今日は待ちに待ったバレンタイン・デー。

 俺はクスハ・ミズハのことが好きだ。

 交際している訳ではないが、彼女は毎日俺に弁当を作ってきてくれる。味は良いし、栄養バランスも取れたクスハの弁当は俺の心のオアシスさ!

 毎日弁当を作ってきてくれるようなクスハだ。

 きっと……きっと、チョコも作ってきてくれるはずだ!

 きっと、たぶん、メイビー……いかんいかん、クスハを信じるんだ!

 クスハは絶対にチョコを俺にくれるはずだと!

 

「ねーねー、ブリット君」

「なんだい、クスハ?」

 

 昼休みの屋上で食事を共にしながら、俺は極めて平静に返答した。

 来たか! ついに来たか!? バレンタインデーだぞ、内心は平静でいられるわけもない!

 

「私、チョコを作ったの~」

「本当かいクスハ? ありがとう!」

 

 やったー! 万歳! ブルックリン・ラックフィールド、高校2年生にして遂に本命チョコをゲットであります!

 嬉しい。クスハからチョコが貰えるのなら死んだって構わない!

 クスハはチョコが入っていると思われる箱の包装を剥いだ。

 箱を開けるとチョコが見えてきた。

 一口大の大きさのチョコが6個可愛らしく並べられている。

 いいなぁ。幸せだなあ…………ただ、一つだけ気になる点があった。

 

── チョコが緑色をしていた

 

 しかも見覚えのある色だ。

 

「……クスハ。これは?」

「えへへ、クスハ汁を混ぜて作った特性チョコレートだよ~。ブリット君の健康のために頑張っちゃった~」

 

 な、なんですと────ッ!!?

 オウッ、マイッ、ガット!! 甘美なスイーツが一瞬で毒物に早変わりだぜ!!

 クスハ。チョコレートってお菓子だから、栄養バランスなんて考えなくていいんんだよ? 菓子の栄養を考えるぐらいなら、3食の栄養バランスを考える方が有意義だし、意味があるんだよ?

 

「はい、ブリット君。あ~ん」

 

 クスハがクスハ汁チョコを一粒取り、俺の方に差し出してきた。

 ……ズルイよクスハ……君の笑顔は天使だよ。

 好きな娘が俺のために作ってくれたチョコ……これを食べずば、まさに男子の名折れ! やってやる! 食べてやる! クスハ汁チョコを!!

 俺は意を決して口を開いた。

 

「あ~ん ──」

「「待てい!!」」

 

 そのとき、屋上の扉が轟音と共に開いた。

 赤い鎧をつけた男と白い覆面をした ── ってあれ? カズマじゃないか? 目から炎が上がっている白い覆面をしたカズマが屋上に乱入してきた。

 覆面を被ったカズマが口上を述べ始めた。

 

「己の力に溺れる者は、より大きな力の持ち主の前に必ず破れ、己の不明を悔いることになる! 人、それを、滅殺と言う!!」

「一応聞いといてやる……誰だ!?」

 

 声を聞いて分かった。覆面の方はカズマだ。

 

「愛と真実の戦士、しっとファイター2号!!」

「同じく、嫉妬の炎(ジェラシー・フレイム)の戦士、しっとファイター・ロア!!」

「ちょっと先輩! 同じく、じゃないですよ! 違うじゃないですか!?」

「てやんでえ! 男はいつでも胸に炎を抱いているもんだ!!」

 

 江戸っ子みたいな口調で赤い方が答えていた。

 ……なんだ、コイツは? カズマも……完全に不審者だ。

 しかし今は好都合だ。

 カズマたちがこの場を乱してくれれば、俺はクスハ汁チョコを食べられない! クスハを傷つけることなく、この状況を抜け出す事が出来る!

 ありがとう、しっとファイターズ。

 君たちは俺の救世主だ!

 

「……先輩」

「あん? どうした2号?」

 

 カズマが赤い方に言った。

 

「奴らは……見逃してやりましょう」

「なんだと!? バーロー、なにを甘っちょろい事言ってやがる!! モテメンたちを駆逐して、弱者(モテナイオトコ)が安心できる高校にするんだろ!?」

「でも! 俺はダチを裏切れない!!」

 

 カズマが友情を発動していた。

 カズマ、お前……俺はカズマの友情に、怒り、覚えた。

 バッキャローッ、お前が状況をかき乱してくれなきゃ、俺はクスハ汁チョコを食べなきゃいけないんだぞ!

 お前は知らないだろうけど、クスハ汁の味は悶絶モンなんだぞ!?

 カズマ、友情の使い時は今じゃないだろ!?

 

「そうか、ダチなのか」

 

 しかし、カズマの言葉に赤い方も心動かされていたようで。

 

「じゃあ、しゃあねえな。おいモテメン、運が良かったな! その子を大切にしてやんな!!」

「ブリット、達者で暮らせよ!!」

 

 待って! しかし俺の横にはクスハがいる。叫ぶわけにはいかない。

 カズマと赤い方は屋上から姿を消した。

 クスハが「じゃあ……」とチョコを再びに手に取った。

 

「ブリット君、あ~ん」

「あ~~~ん」

 

 カズマ。お前の友情の重みを思い知ったぜ。

 覚えてろ!!

 

 

 

      ●

 

 

 

 放課後。

 

 しっとファイターズの戦いは終わった。

 実に多くのモテメンを駆逐し、チョコを強奪し、弱者に配ることでジェネ高は夢と希望に満ちる……ジェネ高は救われたのだ。

 しかし、まだしっとファイターズの戦いは続く!

 しっとファイター・ロア(1号)はある人物を探していた。

 ジェネ高の校庭で大声を張り上げる。

 

「ショウコー。何処だショウコ? お兄ちゃんがお前のチョコを守りに来てやったぞー!」

「あ、先輩! あそこ!」

 

 カズマは気づいた。

 校庭を抜けた先……校門に2人の女生徒が居る事を。

 1人は茶髪の女の子。活発そうな印象受ける少女だ。

 もう1人は青い髪の女の子。髪の毛が跳ねており、前者同様に活発な印象を受ける。

 2人は談笑しながら校門を出ようとしていた。

 

「あれは……アリアじぇねえか!!」

「ショウコー! ショウコー! アズマ・ショウコー!!」

 

 1号がカルト宗教に取り付かれたように絶叫しながら女の子たちの方に突撃して行った。

 カズマ(2号)も1号を追う。

 2号の双子の妹アリア・アーディガンと一緒にいるのが、1号の目的のショウコらしい。

 

「ショウコ!!」

 

 1号はショウコの前に立ちふさがった。

 

「きゃ、お、お兄ちゃん! どうしてジェネ高にいるの? お仕事はどうしたの?」

「バッキャロー! 妹の一大事に、仕事なんかしてられっかい!!」

 

 即答する1号。

 一瞬でショウコの顔が青ざていた。

 

「は!? お兄ちゃんのバカ! まだ間に合うかもしれないから、早く仕事場に戻って謝ってきなさいよ!」

「てやんでえ! こちとら仕事に魂まで売ったつもりはねえんでい!」

「もう、仕事とショウコのどっちが大事なの!?」

「もちろん、ショウコだぜ!」

「バカ ──── ッ!!!」

 

 校門付近でショウコの大声が響いた。

 そして1号とショウコは人目もはばからずに口喧嘩をし始めた。「いつもいつもお兄ちゃんは ──」「ショウコが大切なんだ ──」「妹離れしてよね ──」「ショウコ、チョコは ──」「このバカ兄貴 ──」「フォルカと別れろ ──」……などなど。

 中には聞くに堪えない罵りあいの言葉もあったが、ここではあえて割愛させていただく。

 その様子を見て2号は思った。

 兄弟喧嘩って……醜いなぁ。

 

「アンタ、カズマでしょ?」

 

 アリアが2号の方を見て言った。

 2号は思わず「ギクッ」と声に出してしまう。アリアの瞳を見る。2号がカズマであるということに確信を持っているのが分かる。

 それぐらい真っ直ぐに2号にガンをつけていた。

 

「な、なんのことかな? 俺は愛と真実の戦士、しっとファイター2号だぜ」

 

 2号は、ス○イダーマッ、のようなポーズをして誤魔化してみた。

 

「アンタ、バカァ?」

 

 2号を見るアリアの視線に蔑みに似た光が灯っていたのを、彼は決して忘れないだろう。

 

「バレバレなのよ。授業にも出ずになにやってたのよ、このバカカズマ」

「ふ、聞きたければ教えてやろう。なにを隠そう、俺は強気を挫き、弱きを助けていた!」

「はぁ? 意味不明。超キモイんですけどぉー」

 

 2号のマスクの皺が増えた。

 目の炎の揺らめきが大きくなっている。嫉妬の炎ではない。2号の瞳には怒りの炎がメラメラと上がり始めているようだった。

 現在のカズマはしっとファイターのマスクをつけているため、自分の感情に正直になっている。深層意識からカズマの本音が間欠泉のように溢れ出てきた。

 コイツだきゃー絶対に許さん!

 日頃からアリアに溜まっていた不満が2号の中で爆発しそうになる。

 と ──

 

「はい」

 

 ──アリアがなにかを2号に手渡してきた。

 それは小さな箱だった。お世辞にも綺麗とは言えない包装を施されている。

 

「なんだこれ?」

「はぁ、察しなさいよ。今日がなんの日か分かってるの?」

「……? バレンタインデー?」

「…………あぁ、もう! そういうことよ!」

 

 アリアは顔を赤らめて2号から顔を背けていた。

 2号は手元の箱を見る。乱れた包装紙の端はアリアがよく使っているテープで止められおり、箱も市販されているモノと違い歪だった。

 まさか、箱から手作りしたのか……2号がアリアの方を見たが、アリアは決して視線を合わせようとしなかった。

 

「か、勘違いしないでよ! 家族チョコよ! みんなで作ったんだから感謝しなさいよね!!」

 

 耳まで真っ赤にしたアリアの指には絆創膏がいくつも巻かれてた。

 2号は胸に来るものを感じていた。

 

(か、可愛い。俺の妹ってこんなに可愛かったっけ ── い、いかんいかん! しっかりしろカズマ・アーディガン! アリアは妹だ! 義理じゃない、血の繋がった妹だ! い、妹にドキドキするって俺……シスコンだったのか!?)

 

 2号は首を振って否定する。

 

(俺が女日照りだからそう感じるだけだ! 錯覚だ! 家の妹様は自己チューで人の言う事聞かなくて、妹萌えの小説を書いている変態だ! こんな奴、全然俺の好みじゃないもんね ── でも)

 

 2号はチョコを貰えたことが嬉しかった。

 それが実妹からだとしても。2号はアリアに聞く。

 

「食っていいか?」

「はぁ? アンタ、食い意地張りすぎ。勝手にすれば」

「ではお言葉に甘えて」

 

 2号は包装紙を剥がし、箱を開けた。

 色の違うチョコが4つ入っていた。青色、薄緑色、赤色、黒色……もしかしたら、それぞれを2号の姉妹が作ったチョコなのかもしれない。

 2号は迷うことなく青い色のチョコを手に取った。

 マスクに手を掛け、外した。爽やかな風がカズマの頬を撫でていった。

 それを見た1号が2号 ── カズマ・アーディガンを咎める。

 

「2号! マスクはどうした!? 嫉妬の炎(ジェラシー・フレイム)はどうしたんだべらんめえ!?」

「……先輩。俺、分かったんスよ」

 

 カズマは失笑すると、手に取った青いチョコを見ていた。

 青い色……おそらくアリアが作ってくれたチョコだろう。カズマはチョコの作り方なんて知らない。どうやって色をつけたのかなど見当もつかない。

 しかしアリアが、手の中のチョコを一生懸命作ってくれたというのは分かった。

 彼女の指の絆創膏を見たからではない。

 冷たいチョコから優しい温もりが伝わってくる気がしたからだ。 

 作った人の思いがチョコには詰まっている。

 それを世話になった相手や気になる相手に渡すのがバレンタインデーだ。

 カズマは1号と共にモテメンを叩きのめしてきた。奴らはこの世の女性を独占し、弱者(モテナイオトコ)への女性供給率を減少させている最大悪だ。叩きのめす事になんの躊躇があろうか?

 だから、モテメンを成敗したことを後悔していない。

 だが、チョコに罪はなかったのではないか?

 女の子のチョコまで、潰す必要があったのだろうか?

 

「こんな事は無意味だ! 先輩、こんな事はもう止めよう!」

 

 カズマは瞳を輝かせながら、1号を説得していた。

 

「てやんでぇ! チョコなんてどうでもいいんだよ! 俺はショウコに近づく悪い虫の芽を潰してるだけだぜ!!」

「先輩の馬鹿野郎! そんなだから、妹さんから邪険にされるんですよ!!」

「グハッ ────ッ!!?」

 

 カズマの言葉は1号のハートを抉る。

 

「そうよ! お兄ちゃんなんて大ッ嫌い!!」

「ゲフゥ ────ッ!!?」

 

 ショウコの追撃が1号にトドメを刺した。

 1号……いや、しっとファイター・ロアは倒れる。あまりのショックに気でも失ったのか。真紅の鎧は消え、青い髪の少年がそこに横たわっていた。

 哀れな……嫉妬に狂った炎を戦士は倒れた。武力行使していれば決して勝てなかっただろう強敵(トモ)だ。しかしカズマは勝利した。

 勝利の鍵は「愛」だ。

 カズマは勝ち誇ったように言う。

 

「ふっ、悪は滅びる運命にあるのだ」

「「「ああ、その通りだな!!」」」

 

 幾十にも重なった男の怒声がカズマの耳を劈いた。

 カズマが声の方を振り返ると、

 

「カズマ、よくもやりやがったな!」

 

 タスクが激怒しており、

 

「俺の超合金返せ!!」

 

 リュウセイが吼え、

 

「仕置きが必要だな」

 

 キョウスケが拳を鳴らしており、

 

「カズマ! 俺の友情を受け取れ!!」

 

 血走った目のブリットがいの一番に殴りかかってきた。

 殴り飛ばされたカズマの視界に入ってきたのは、信じられない光景だった。

 

── 見渡す限りの男、男、男ッ!

 

 ブリットらの他にも、カズマたちの被害にあったモテメンたちが鬼気迫る表情で人垣を作っていた。

 無言の連携プレーでカズマを方位し、脱出不可能の状況が出来上がる。

 血の気が引くとはこのことだ。

 カズマは瞬時に脱出法を模索し、脱出不可能という結果を弾き出すと、ブリッドたちに極めて紳士的に提案をした。

 

「まぁ、待て諸君。暴力はいけない。話し合おうじゃないか?」

『問答無用ッ!!』

「ぎゃあああああああぁぁぁぁっ!!!」

 

 モテメンたちがカズマを蹴る。蹴る。蹴る。

 入れ替わり立ち代り制裁が加えられる。

 

「ホント、バカばっか。ショウコちゃん、帰りましょう」

「そうね、アリアちゃん」

 

 人を呪わば穴二つ……カズマへの制裁は終わる気配を見せない。

 アリアとショウコは、兄を置き去りにして家路を急ぐのだった。

 

 

 

 

ここはOG高等学院。

『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 お、俺の名前はカズマ・アーディガン。

 

 今、俺は夜のジェネ高の校庭に横たわっている。

 空を見上げれば、にじんだ星空が目に入る。体中が痛い。ブリッドたちの反逆によって、俺はすぐには起き上がれそうにない位に痛めつけられていた。

 

「へ……へへ……でも、これだけは死守したぜ」

 

 握り続けていた右手を開いた。

 青いチョコが俺の手の中に残っていた。

 アリアの作ったチョコだ。他のチョコたちも何とか無事だ。

 よかったぜ……家族に貰ったチョコをなくしたなんて、カッコつかねえからな……。

 

「しばらく、動けそうにないな……チョコでも食うか」

 

 正直に言うと腹が減った。

 せっかく貰ったのだから食べなくては失礼だろう。

 俺はアリアの青いチョコを口に入れた。

 

「ううーむ、デリシャ ──」

 

 舌の上で2,3回転がしたとき、俺はこの世に生まれてきた事を後悔した。

 

「くぁw背drftgyふじこlp ──── !?”???!!」

 

 声にならない。

 この世のモノと思えない味だった。

 アリアめ……青い色演出するのに……なに入れやがった……まさか染料か……?

 俺は、薄れ行く意識の中で思った……

 

 

 

 ……あ、今日、営業日誌書いてないや……

 

 

 俺の意識は闇に落ちた ──…… 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




<キャラ紹介>
カズマ・アーディガン:ジェネ高2年生、「ヴァルストークファミリー」の長男坊。彼女およびチョコレート絶賛募集中! 男の中の男を目指しているが、妙な経験ばかり経て変な方向に成長中。最近獲得したスキル「燃える闘魂」「チェンジ、しっとファイター!」など。

ファイター・ロア(コウタ・アズマ)
:ジェネ高に通うショウコ・アズマの兄。妹を高校に通わせるため働いており、高校には行っていない。極度のブラコン。フォルカを一方的に毛嫌いし、毎日フォルカ抹殺のための奥義を開発、いつも返り討ちに会っているらしい。

その他大勢のモテメン:今回の被害者。



<次・回・予・告>

エクセレン「はいキョウスケ。チョコレートよ♡」

キョウスケ「すまんなエクセレン。だができれば本編の方で貰いたかったぞ」

エクセレン「ごめんねキョウスケ。でも仕方ないの。ほら、私、アニメに誘拐されちゃったじゃない?」

キョウスケ「知るか」

エクセレン「も・ち・ろ・ん、助けに来てくれるのよね?」

キョウスケ「…………ああ」

エクセレン「うふふ、じゃあ次回予告いってみよー!」


キョウスケ
「アニメではボコボコにされ、この小説ではカグヤにズタズタにされ、最近いいことのないキョウスケ・ナンブだ。
だが遂に俺に出番が回ってきた。
来い、リーゼ! 俺のリーゼが愛と友情の空を切りさく!
そんなわけで(?)、次回は俺の話の予定だ!
内容もタイトルも未定だ! まさに出た所勝負……分の悪い賭けは嫌いじゃない!
アニメも小説もよろしくな!」

エクセレン
「逆襲! パッパラ隊もよろしく!」




バレンタインデーまであと2週間……ゆっくり書くつもりだったのが、あっさり掛けてしまったので更新します。
元ネタは「逆襲! パッパラ隊!」のしっとマスクです!
昔、少年ガンガンで連載していた漫画の続編に当たります。一体、どれだけの人が知っているのでしょうか? 

カズマとコウタのコラボはいつかやりたいと思っていました。
こんな形で実現してしまいました。
アホな話でしたが楽しんでいただければ幸いです。

では、また次回でお会いしましょう!
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