スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>

絶賛、キャラ崩壊中!
コメディー編、久しぶりの更新です!
しかも短めのSSです!
閲覧すると、守銭奴キャラのイメージが崩れる恐れがあります。
それでも良いという方はどうぞ!


苦労人、世にはばかる ~ふぅ、たまんねぇな、こいつは! の巻~

 

 

 俺の名前はクロウ ── クロウ・ブルースト。

 

 唐突だとは分かっているが俺の仕事を紹介しよう。

 俺の仕事は珍獣ハンター。

 世にも珍しい生き物や人物を捜し歩き、その写真や映像データを撮影して売りさばく。専ら買い手は特定の人物に限られているのだが、そうして日銭を稼ぎながら各地を転々とするのが俺の仕事だ。 

 珍獣を捕獲して売りさばけば、きっと結構な額になるには違いないが、真っ当でない手段で金を稼ぐのは俺の主義に反する。

 だから俺は風来坊としてさすらいながら、今日も珍獣を探しているのだ。

 

 ……なんだって?

 何故、普通の仕事につかないのか、だと?

 よくぞ聞いてくれたご客人。

 実は……俺は珍獣データを買い取ってくれる買い手に結構な弱みを握られていてな。俺の立場では彼女の指示には逆らえないのさ。

 断っておくが、弱みと言っても、汚職やら云々かんぬんの日の光が当たらないような類のものではない。

 その弱みはしっかりと数をカウントできるし、汗水たらして働けば……きっと、いつかきっと返済できるはずのモノだ。

 ……OK。この説明で、分かってくれたかい?

 分からないのなら、端的に誤解しようがないように言っておいてやる。

 

 

── 俺、クロウ・ブルーストは莫大な借金を抱えているのだ!

 

 

 それも、ポックリと逝きやがったクソ親父の残したものだった。

 俺はその借金を肩代わりし、その返済のために、珍獣データが大好きな奇天烈女科学者に雇われて珍獣ハンターをしているってわけさ。

 ……ちなみに金額はだな……ユキチ様が余裕で1000人斬りされる……と言えば分ってもらえるだろうか ──

 

「……ふぅ、たまんねぇなこいつは」

 

 ── 俺の気持ちを分かると思う。

 まったく、世知辛いねぇ、この世の中はさ。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 苦労人、世にはばかる ~ふぅ、たまんねぇな、こいつは! の巻~

 

 

 

 珍獣ハンターにだって休息は必要だ。

 

 俺は今、「エリア」と呼ばれる地域にある1件の銭湯に足を運んでいた。

 「エリア」と言うのは、理由は定かではないが何故か高校が密集する地域らしく、在校生1000人オーバーのOG高等学院や不良の吹き溜まりの影鏡高校など多くの高校が存在していた。

 俺は珍獣ハンターとして放浪するうちに、この「エリア」に足を踏み入れていたという訳さ。

 別に俺の仕事は場所を選ばない。

 珍獣(別に世にも珍しい特技を持つ人間でも可)の写真、肉声、映像が採取できるなら何処でもいいのだ。

 俺は愛用のリュックサック「ブラスタ」に映像機器や旅道具を詰め込んで旅を続けているのさ。スタッフは俺1人。機材運ぶだけでも重労働であるのに、逃げ回る珍獣を追いかけまわし、自分1人でその映像を撮影するのは非常に疲れるのものだ。

 大事なことだ。

 だからもう1度言う。

 ひじょ~~~に疲れるのだ。

 

「たまんねぇなぁ……こいつは」

 

 大きな浴槽で足を延ばして、俺は至福の時を過ごしていた。

 風呂はいい。人類の生み出した文化の極みだよ。

 鬼の居ぬ間に(珍獣映像を欲する雇い主から催促の電話がないうちに)命の洗濯をしている気分である。適温に保たれた湯が俺の皮膚を温め、歩き通しで棒のようになった足の血流を脈動し始める。

 源泉かけ流し……なんて大層なモノじゃなくても、風呂は人の疲れを癒し、心を癒し、活力を漲らせてくれるのだ。この湯が「飲めば若返る神秘のお湯」とかなら申し分ないし、持って帰って売りさばくのだが……そんなお宝があったら、是非俺の前に現れてもらいたいものだ。

 手で湯をすくい、顔に浴びせてみた。

 気持ちいい。ついでに疲れ切った足を手で揉み解すと、これがまた気持ち良くて、このまま長く浸かっていると体が溶けていくのではとさえ錯覚する快感だった。

 

「ふぅ、たまんねぇなこいつは」

 

 ハンドタオルは四つ折りにして頭に載せてある。これが紳士の正しい銭湯スタイルだ。

 俺のいる銭湯の壁には風流にもフジヤマの絵が描かれている。陳腐とも表現できるだろうが、これはこれで雰囲気が出ていてオツなものである。

 ……しかし、この銭湯……人が少ないな。

 俺以外に人影は見当たらない。

 時間帯によるものかもしれないが、俺が今は大きな浴槽を独り占めにしている。小さな子どもならバタ足運動を始めてしまいそうなシュチュエーションだが、俺は紳士だ。そんなことはしないのさ。

 と、そのとき。

 

 

── ガラガラッ

 

 

 入り口の引き戸が開いて客が入ってきた。

 1人は筋骨隆々の大男。鋭角に鍛え上げられた筋肉は程よく日焼けしており、伸ばしっぱなしの髪の毛が男のワイルドさを助長していた。

 

「おいカズマ、早く来ねえか!」

「待ってくれよ、ランドの兄貴!」

 

 ランドと呼ばれた大男の後ろを、カズマと呼ばれた普通の少年が付いて入ってくる。

 カズマの外見は実に普通だ。体は鍛えこまれてはいるがランドと違い細身で、左頬に絆創膏、伸びた後ろ髪をくくって短い尻尾が肩にかかっている。

 

「悪いなカズマ。仕事を手伝って、その礼が銭湯だなんてよ」

「よしてくれよ兄貴。俺、兄貴の手伝いなら喜んでやるぜ!」

「がはは、悪いな!」

 

 ランドがカズマの肩を叩いた。

 バチィーン、と銭湯内に反響音がする。とても痛そうで、カズマの顔は歪んでいたが笑っていた。深い信頼関係のある間柄だからできるスキンシップ、と言ったところだろう。

 

「たまんねぇな、こいつは」

 

 そういえば、俺ってそんな知り合い居たっけな?

 昔は居たような気がするが、親父の借金騒動で務めていた会社を辞め、今の雇い主の元で働き始めてから親友と呼べる人間は居なくなったような気がする。

 薄情なことに、昔の仕事仲間からの連絡は1本もない。

 金の切れ目が縁の切れ目、ってか?

 実感が沸く言葉であることが尚更腹立つぜ。

 ランドとカズマはと言うと、紳士のルールを心得ているのか、浴槽に入る前にキレイに体を洗い流していた。仲良く背中の流しっこしている様は、何だか、カズマには彼女なんて居そうにねぇなぁと思うのには十分で、構図がなんだかシュールである。

 体を洗い清めた2人が俺の浴槽の方に向かってきた。

 

「垂れ目の兄ちゃん、隣、空いてるかい?」

 

 誰が垂れ目だ。

 不躾なのだがランドが言うとあまり勘には触らない。

 俺は頷いて隣を空けてやった。

 ランドとカズマが浸かると浴槽から湯をが大量に流れ出す。ランドの体積、推して知るべしである。

 

「がはは、やっぱ仕事あがりの風呂は最高だな!」

「出た! 銭湯で見るヒートスマイルは一際暑苦しいっす!」

「がはは、ぬかせ!」

 

 ヒートスマイル……?

 聞きなれない単語に、俺はマナー違反だとは分かっていたが、ランドの方を向いてみた。

 ランドは親指を立てて、片目をつむり(ウィンクして)、白い歯を豪快に覗かせながら強烈な笑顔を振りまいていた。

 

「……たまんねぁな、こいつぁ」

 

 暑苦しいぜ!

 その程度がどの位かと言えば、サウナで脱水症状が出る直前まで頑張った後に飲む冷水の気持ち良さを、一瞬で吹き飛ばすだろうレベルの暑苦しさだった。

 ……凄いモノ見ちまったな。

 ヒートスマイルは間違いなく珍獣レベルのレア度はあるだろう。カメラを持ち込んでいないのが悔やまれた。

 

 ヒートスマイルと銭湯の湯で体の芯まで温まったので、浴槽から上がることにした。

 

 

      ●

 

 

 至福の時は永遠ではない。俺は仕事に戻らなければならなかった。

 

 珍獣ハンター……きっと誰にも理解してもらえないだろう職種だ。

 だがしかし、まだ、俺にはやることが残っていた!

 

 体を拭いたバスタオルを腰に巻き、銭湯お決まりのショーケースに陳列された濁った薄茶色の至高の飲料に手を伸ばしたのだ。

 そう!

 その飲み物とはコーヒー牛乳である。

 しかも紙パック入りではなく、しっかり瓶詰というのが銭湯らしくで実に良い。

 俺はビンの蓋をキュポンと外すと、片手にビンを高く持ち、もう片手を腰に据えた。

 そしてコーヒー牛乳を一気に煽る。

 火照った喉を冷たい液体が流れ落ちていく。

 快感だった。銭湯の後で飲む1杯は、世界三大珍味など目じゃない贅沢に違いない。断然するぜ。珍獣レベルの美味しさだ。

 

「たまんねぁなぁ、こいつは」

 

 口元に残ったコーヒー牛乳を振り取ると、俺は服に袖を通した。

 至福の時は終わりを迎える。

 俺は借金返済のために身を粉にして働かねばならないのだ。何故か高校の密集する地域「エリア」……この土地でどんな珍獣が俺を待っているのだろうか?

 

「てやんでぇ! 520円になるぜ!」

 

 番頭をしていた青髪の少年が江戸っ子口調で叫んだ。

 520円、ね。

 俺の借金の総額に比べれば雀の涙程の額である。それでこの至福を味わえたのだ。銭湯は庶民の強い味方であるのは間違いない。

 俺はリュックサック「ブラスタ」から財布を取り出した。

 天秤の絵の入った小さなガマグチだ。長い間使い続けている、愛着のあるガマグチ財布である。

 蓋を開けて、金を取り出した。

 

 

── チャリンチャリンッ!

 

 

 手のひらに、100円玉2つと10円玉4つ……あと五円玉が1つ転がり落ちてきた。

 ……あれ?

 オカシイな? ガマグチを逆さにして振りくってみた。

 ジャラジャラという音は聞こえてこない。落ちてくるのは埃だけだった。

 

「……ふっ、たまんねぇな、こいつは」

 

 そうだった。借金返済のために金は全て雇い主にむしり取られているのだったぜ。

 245円。

 それが俺の所持金総額であった。

 江戸っ子の兄ちゃんの顔色が豹変する。

 

「おう兄ちゃん、金もねえのに風呂に入ろうたぁ太ぇ野郎だな。他の者の目は誤魔化せても、このコウタ様の目は誤魔化せねぇぜ!

 カイザースキャン!!」

 

 コウタという少年は指で輪っかを作り、その中を通して俺を見た。

 

「てやんでぇ! 現金がもうねぇじゃねえか! 足りねえ分は体で返しやがれ!!」

「…………たまんねぇなぁ……こいつは……」

 

 ……

 ………

 …………こうして。

 俺は、コウタがバイトする銭湯でただ働きをする羽目になったのだった。

 珍獣ハンターはしばらく休業。

 ただ働き中に雇い主からの連絡が入らない事を切に願う……

 

 

 

 

 ……俺の借金、返せる日は本当にくるのだろうか……?

 

 

 

 

 

 

 

ここはOG高等学院。

『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。

 

 

 

 

 




<登場キャラ紹介>

クロウ・ブルースト:珍獣ハンター。雇い主(女)の命令で世にも珍しい珍獣(人間でも可)のデータを探して「エリア」にやってきた。借金の総額はユキチさん1000人でも勝てない額らしい。口癖は「たまんねぇなこいつは」。実に貧乏くじな男である。

ランド・トラビス:「エリア」で修理屋「ビーターサービス」を営む快男児。彼のヒートスマイルは暑苦しいことで評判。クロウに珍獣認定されていた。

カズマ・アーディガン:エリア1のマンモス校「OG高等学院」の2年生。家族を守れる「男の中の男」を目指していて、ランドの漢っぷりに惚れて兄貴と呼び慕っている。絶賛、彼女募集中!

コウタ・アズマ:銭湯で番台をしている。妹を高校に通わせるため多くのバイトを掛け持ちしている。番台もその一つ。超シスコン。



コメディー編、久しぶりに更新しました。
他の短編の違ってかなり短いですが、その分起承転結に気を配っています。
あとクロウのセリフに縛りをつけて遊んでみましたが、ゲームの彼は色々としゃべってくれますのでご心配なく。
ただセリフが全部微妙ですけどね……ただの貧乏くじ、この表現が一番しっくりくる。
後編で「スフィア」の覚醒に期待したいです。

ではでは。
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