絶賛、キャラ崩壊中!!
今回のパロネタは某超有名ひでぶ漫画です!!
SRXチームが世紀末化しています、キャラのイメージを崩したくない方は閲覧しないことを推奨します!!
それでも良いという方は、キャラクターの眉を濃く、劇画調に想像してお楽しみください!!
── 199X年 ──
「大統領! ロシ○が○メリカに向けて核を発射しました!!」
「おのれ、共産主義者どもめ! やはり核抑止論など幻想だったのだ! 報復だ! 撃ち返せ!!」
「北も核を撃ってきました! 着弾予想地点は日本のトッキョーとここ、ブラックハウスです!!」
「あのデブ将軍めが!! 日本などどうでもいい!! 撃てッ、撃ち返せ!!」
── 世界は核の炎に包まれた!! ──
核の炎が大地を焼く。
海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体が絶滅したかに見えた……だが。
── 人類は死滅していなかった……!! ──
「奪え! 殺せ! Z(ゼ・バルマリィ)に逆らうものは皆殺しにしろ!!」
「ひゃっはー!!」
「ユーゼス様の許しが出たぞ! 奪え奪え! 水も食料も、女も俺たちのものだ、ただし美女に限る!!」
荒れ果てた平原を仮面をつけたバイクの集団が走り回っている。
仮面の額にはZ(ゼ・バルマリィ)の文字。仮面のバイク集団は斧や槍で武装していて、その矛先は眼前を疾走するジープに向けられていた。
ジープには家族と思われる男と女、そして子どもが乗っていて、荷台には複数のポリタンクが乗っている。ギラつく日光でタンクの中身が透けて、揺れて見える。中には水が詰められているようだ。
「た、助けてくれー!!」
ジープを運転する父親が絶叫する。
その父親の頭をZの一人が放った槍が貫いた。運転手が絶命したジープは横転し、妻も子ども下敷きになって息絶える。
追いついたZの一員がジープに積まれていたポリタンクの蓋を外し、中身を頭から被った。透き通る綺麗な水がZの仮面の濡らす。
「ひゃっはー、水だ水だー!」
「食料も沢山もってやがるぜー!」
「金も沢山つんでやがるぜ! 馬鹿が! こんな紙切れ、もうなんの役にもたちゃしねえんだよ!!」
「燃やせ燃やせー!」
核の炎で世界中の国家は滅亡し、荒廃した世は再び暴力が支配する時代となっていた。
力こそが正義。
弱者は強者になぶられ、奪われ、殺される。
力なき者たちは苦悶の声を上げながら願った……!
── 乱世を斬る光……救世主の存在を……!! ──
「ユーゼスさま!!」
「んん、どうした?」
Zのリーダー各と思われる仮面の男 ── ユーゼスの元に、下っ端らしい仮面が駆けてくる。
「大変です! て、偵察隊のやつらが何者かに ──……!!」
「なんだと?」
下っ端の報告を受けたユーゼスはZのメンバーを引き連れて仲間の場所へと駆けつけた。
そこでは、うめき声を上げて横たわる仮面で埋め尽くされていた。
ユーゼスはバイクから降りて、うめいている仮面の1人に近づいて訊いた。
「どうした? 何があった?」
「ろ……」
「ロ? 安心しろ、家のローンなど核の炎で吹き飛んだわ」
「ろぼっと……!」
ユーゼスの抱いていた仮面はそこで意識を失った。ろぼっと、という単語を残して。
「ろぼっと……だと? いや、今の時代にそんな精巧な物が残っているはずはない……ろぼっととは一体なんなのだ……?」
ロボット。一般には人間が活動できない場所で活躍する機械の総称だ。亜種に2足歩行型のスーパーロボットとかが存在するらしいが、それはゲームの中の話である。
核で滅亡した世界にそんな物が存在するはずもない。あるとすれば、超未来からやって来たターミネーター的な何かだろうか? あぁ、怖い怖い。
「まぁ、いいか……皆の者! とりあえず食事だ! バルマー鍋の準備をいたせ!!」
「「「イィーーーー!!」」」
ユーゼスの声に仮面の軍勢(バルシェム)が悪の組織の戦闘員のような声で応える。
その晩……宴会は夜半過ぎまで続けられた。
荒れ果てた荒野で……荒れ果てた荒野ってなんか変だな? ぼーっと見ている傍観者と同じぐらい意味が重複しているが割とどうでもいい。
荒れ果てた世界の中で、今日もユーゼスたちZの愉快な生活は続く ──……
めでたしめでたし
「めでたくねぇよ!」
どっか離れた場所で、1人の男が声を荒げていた。
ボサボサの黒髪、何故か前髪だけ付け毛のように茶色く染まっている。体格は普通、麻布でできたボロボロのマントを羽織っていて、心なしか眉が太かったりモミアゲが自己主張しているのは気のせいかもしれないし、気のせいではないかもしれない。
「み、水……声出したら余計のどが渇いたぜ……」
男の名前はリュウセ……ではなく、リュウシロウ。呼び名が長いので、これからはリュウと呼んでいくことにする。
リュウは「俺より強い奴に会いに行く!」と言って旅に出た訳ではないが、とりあえず荒野をジリジリと焼く太陽に手持ちの水筒の水を使い切り、強い口渇に苦しめられていた。
水分が飛んで頬がこけている。
彼の目の前には陽炎のような町が見えていて、水を恵んでもらうためにそこを目指して歩いていた。砂漠じゃないから大丈夫だろうけど、蜃気楼じゃないと良いけどね ── と。
── バッバババッバッ!
急にリュウの足元が動いて、投網のようなものが飛び出してきた。
リュウは底引き網で釣り上げられた魚のように網に囚われ、空中に浮かされる。
「捕ったどー!」
「Zの奴が罠にかかったぞアヤ!」
のどが乾きすぎて声を出す気力もないリュウの前に、やけに露出度の高い服装の緑髪の女性が現れた。
「私は美しき女リーダー、アミヤ。長いからアヤって呼んでね」
「い、一文字しか略せてねーよ……」
「出番は殆どないけどよろしくね」
「み、水……」
「あ、ちょっと! 聞いてるの、ねぇ ───」
リュウの意識はそこで一度途切れた。
スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~
世紀末救世主伝説OG ~お前は既にタヒている~
「自己紹介中に気絶する失礼な男は、とりあえず、牢屋にぶち込んでおきましょう!」
憤慨したアヤの一言で、リュウは目指していた町の地下牢に叩きこまれることになった。
床に放りだされた衝撃でリュウは目が覚める。
牢屋の中は薄暗く、外の荒野よりは涼しい。しかし気温が低ければ快適という訳でもなく、湿気と埃っぽさに不快指数は絶賛上昇中だ。
「どこかのバカがドジを踏んだようだな」
「うぅ……っ」
牢屋の中には先客がいた。
金髪の美青年が牢屋の隅で座り、リュウのことを見ている。リュウと似たような麻布製のマントを着用し、何故か左手に黒い手袋をしている。
「あ、あんたは……?」
「俺か? 俺の名前はライディース・F・バットシュタイン。フルネームが呼びにくいなら、俺を呼ぶときはライでいいぞ」
「そうか、ライ、あんたは何故捕まっているんだ?」
リュウは不思議に思い訊くことにした。
なぜなら、牢屋の雰囲気にライがあまりにも似合っていなかったからだ。ライは金髪美青年を絵に書いたような外見をしている。対して牢屋は埃っぽく、ジメジメしていて暗い……同じ牢屋の中なのに、ライの周辺だけがキラキラと光っているようにリュウには思えた。
もしかしたら、ライという人物はリュウの見ている錯覚で、本当は牢屋の隅に生えているオロシャヒカリダケの精なのかもしれない。
それぐらい、とにかく、牢屋の中にいるのが似合っていない青年だった。
ライがリュウの問に答える。
「分からん。気が付いたらここにいた」
「気が付いたらって……気絶でもしてたのか?」
「それも分からん。とにかく、気が付いたらここにいた」
世の中には奇妙なこともあるものだ。
詳しく突っ込んでもいいが、あまり興味もないのでリュウはそれで納得することにした。それよりも、
「あぁ……のどが渇いたぜ……」
今は口渇の問題の方が深刻だった。
「なんだ、水が欲しいのか?」
「ああ、ライ、持っているのか?」
「いや」
ライの答えにリュウは肩を落とした。
「なんだよ……期待させやがって」
「それは悪かったな。なら、お詫びに良いこと教えてやる。もうすぐマイが食事を持ってくる時間だぞ」
「食事……? マイ?」
リュウが首を傾げていると、コツッコツッ、と地下牢に足音が響いてきた。リュウたちの方に近づいてくる。
しばらくして、桃色の髪をした少女が、トレイを2つ持ってリュウたちの入れられている牢の前に訪れた。
「…………」
桃髪の少女は無言のまま、トレイを牢の前に置く。トレイの上には500mlペットボトルに入った水とリンゴが1個が乗っていた。
「やった! 水だぜ!!」
リュウは運ばれてきたペットボトルを受け取ると、キャップを外して水を口に流し込んだ。
程よい冷たさが喉をするりと滑り落ちていく。乾いた砂のようだったリュウの体に水がいきわたっていく感覚、五臓六腑に染みわたるとは正にこのことだろう。
「ぷはーっ、美味い! 生き返ったぜ、ありがとうな!! えぇと ──」
「…………」
水を運んできた桃色の髪の女の子。礼を言おうとしたリュウだったが、初対面のため、彼は少女の名前を知らなかった。どこかでよく会っている気がするが、それは、まちがいなく、気のせいであろう。
少女は微笑みを浮かべていたが、リュウに名前を名乗ることはしない。
「その子の名前はマイだ」
代わりにライが答えていた。
「マイはこの牢屋の管理を任されているのだ。囚人に食事を運んだり、世話をするのも彼女の仕事だ」
「そうか、マイっていうのか。ありがとうなマイ! おかげで生き返ったぜ!!」
「…………」
リュウの声かけにマイの頬が赤く染まる。しかし声を上げることはなかった。
彼女が喋らないことにリュウは首を傾げる。
「どうしたんだ? さっきから少しも喋っていないじゃないか? あぁ、そうか! 俺の自己紹介がまだだったな。俺の名前はリュウシロウ、長いならリュウって呼んでもらっても構わないぜ!」
「…………」
しかしマイは答えない。
困った顔をして視線を泳がせている。
「あはは、そうか、マイは恥ずかしがり屋さんなんだな!」
「…………」
マイはやはり答えない。いや、口は動かしている。掠れた音が小さく聞こえてくるが、それは声を成していなかった。
「折角知り合ったんだし、恥ずかしがらずにもっと話そうぜ!」
「やめろ、リュウシロウ」
「なんだよ、ライ? 何をやめろって言うんだよ?」
「喋るのをやめろ。その軽口を止めないと、俺が貴様の口を糸で縫い付けてでも力づくで止めてやるぞ」
ライは牢の隅に座ったままリュウを睨んでいた。
リュウがライに注意されている。しかしリュウには怒られる理由が分からない。リュウの脳みそには怒られる理由は刻まれていなかった……そう、例えるなら、それはもう豆腐のごとき潔白の白である。
ただしすき焼きにすると美味そうな白でも、頭の中身が決して空っぽな訳ではないことは彼の名誉のために補足しておく。
リュウは身に覚えのない叱責に少し戸惑う。
ライはゆっくりと口を開いた。
「その子は ── マイは喋れないのだ」
ライの言葉にリュウは耳を疑った。
「なんだって?」
「何度も言わせるな。その子は耳は聞こえる。しかし喋れないんだ。……だが、無理もない。目の前で野盗たちに親兄弟を殺されてしまったそうだからな……心的外傷後ストレス症候群 ── 俗に言うPTSD、という奴だ」
「ひ、ひでぇ事をしやがる……!」
リュウの拳は怒りに震えていた。
199X年に勃発した核戦争以来、地球は暴力の支配する荒廃した世界へと姿を変えてしまっていた。
力を誇示する強者が弱者から奪っていく。水や食料だけでなく、命や人権ですら理不尽に……弱肉強食こそが、崩壊した世界の理となっていた。
荒廃した大地が、人間らしい感情すら奪っていき、他人の痛みを理解できない輩が横行している……それが今の世界だ。
だから、マイのように身よりを失くして孤独になる子は少なくない。
普通だ。一般的だ。珍しくもない悲劇の1つでしかない ── 誰もが泣き寝入りし、諦めて生きている。
「許せねぇ!」
しかしリュウは違っていた。
「どこのどいつだ? そんな酷い事をしやがったのは!」
「ゼ・バルマリィ……通称『Z』、この近辺を根城にしている野党どもだそうだ。この町には地下の水脈が通っている。水があれば、農作物も作れ食料もある。Zの奴らは生かさず殺さず、定期的にこの町を襲い略奪を繰り返してるようだな」
ライの説明にリュウは激昂する。
「そんな奴らをのさばらせておいて良いのか!? 町の皆で団結して立ち向かうべきだ!!」
「既に自警団は作られているそうだが、Zの奴らは強い。ボスのユーゼスという男は別として、部下の仮面の男(バルシェム)たちは人間離れした身体能力を持っているそうだ」
「だからって ── くそっ、マイ!!」
リュウは牢の鉄格子から手を出して、マイの肩を強く掴んだ。マイは体を小さく震わせる。
「……!?」
「大丈夫だ! そんな理不尽がいつまでも許される筈がねえ! だから諦めちゃダメだぞ、胸の奥に熱い魂が残っていれば何時か必ず奇跡も起きる!! お前も、また喋れるようになる日がやって来るさ!!」
「…………!」
「だから……そんな世界に絶望したような悲しい目をしないでくれ!!」
リュウの大声が牢屋の中に響き渡る。
彼の言葉にマイの目から涙が落ち、頬を濡らしていた。
「つらいな……」
2人の様子を見たライが呟いていた。
いつの間にか牢の隅にはおらず、リュウの背後に立っている。リュウに肩を押さえられているマイを見下ろし、黒い手袋をした左手でそっと彼女の頭を撫でる。
「大丈夫だ。動かないで」
ライは頭を撫でていた左手を後頭部へと移動させる。そして首の付け根辺りを指圧した。ピシィィ、と鋭い音が聞こえた気がしたが、マイは痛みを感じていないようだ。
「? なぁライ、一体、マイに何をしたんだ?」
「なに、喋れるようにおまじないをしただけだ。あとは彼女の心次第だ」
リュウの質問に答えると、ライは牢の隅に移動して腰を下ろしてしまった。
リュウはライの言葉の意味を理解することはできなかったが、彼の行動に悪意がないことは見れば分かる。
おまじないなんて気休めかもしれない。
だが願ってくれた人の優しさがこもっている。
ライは黙っていると冷たい印象を受ける男だが、リュウはライと上手くやっていけそうな気がしていた……もっとも、今はこの牢屋の中でだが ── と。
「た、大変だーー!! Zだ!! Zの奴らが攻めてきたぞーー!!!」
男の絶叫が牢屋の外から響いてきた。切迫した声だ。
多くの靴の音が床を鳴らし始める。慌ただしくなった雰囲気の中で、自警団と思われる男の声がマイに向けられた。
「マイ、何してる! お前も来て、一緒に戦え!!」
「…………!」
男の声に促されたマイがリュウたちの前から走り去ろうとする。
「マイ!」
「……!」
マイは一瞬だけリュウの方を振り返り、彼の顔を見た。マイは寂しげな表情を浮かべていた。別れを惜しむようにリュウの顔を見ていたが、やがて背を向けて走り出す。
「マイ! 行くな! 殺されるぞ!!」
リュウの叫びも空しくマイの姿は見えなくなった。
しばらくして、牢の上 ── 地上から悲鳴が聞こえ始め、その数は少しずつ増えていく。
「Zか。皆殺しにするつもりなら、この町の自警団ではそう長くは持たないだろうな」
「冷静に言ってる場合かよ! 早く助けに行かなくちゃ!」
「そうだな」
ライは淡々と答え、牢の隅から腰を上げた。
リュウは牢の鉄格子を掴んで力を込めた。直径1-2cmはある鋼鉄製の柵だ。
リュウの上腕二頭筋、広背筋、胸筋が躍動する。心臓から送り出された血液が筋肉をパンプアップさせた!
「ほああぁぁぁぁ ────」
するとどうだろう!
囚人を逃がさないように捕えておくための鉄格子が!
「── 痛ったあぁっ!!」
人間の力で開く訳がない!
力の入れすぎで手が滑り、勢い余って後ろに転倒するリュウ。腰を床に打ち付けていて、とても痛そうな上に情けない。
やはり牢を出るとなると鍵が必要になってくるようだ。鉄格子を曲げられるような人材がいるはずもなく……というか、そんな脱獄し放題な人間がいたら、是非とも連れてきてもらいたいものである……
「退け」
と、ライがリュウを押しのけて鉄格子に向かって行った。
黒い手袋をしている左手を構える。
直後、閃光が奔る。
── ジャキン! ガラガラガラッ!!
ライが左手の構えを解いた時、鉄格子は細切れになって崩れ落ちていた。斬られた鉄格子はチャンバラするのに丁度いい長さで、鉄格子の断面はまるで鏡のように輝いている。
鉄格子が無くなった牢は脱獄し放題だ。
リュウは腰を擦りながら立ち上がったが、目の前で起こった現象に驚きを隠せない。
「な、何が起こったんだ……?」
「質問はあとだ。急ぐぞ」
「あ、待てよライ!」
リュウは先に牢から出たライに続いた。
地下牢の通路を2人で走り抜けて行くが、囚人はリュウたち2人だけだったらしく人の姿は見えない。見張りの姿も今は見当たらない。
地下牢の出口を目指しながら、リュウはライに訊いた。
「ライ!」
「なんだ?」
「牢屋の檻を切ったのってライか?」
「ああ、そうだ」
振り向きもせず即答するライ。
「檻を切れたってことは、本当はいつでも脱獄できたってことか?」
「ああ」
「じゃあなんで今まで逃げなかったんだ? ライなら簡単に逃げ出せただろ?」
「俺が逃げたら、牢番をしているマイはどうなる? どんな罰を受けるかは分かったものではない」
「へへ、そうかよ! ライ、お前はやっぱり良い奴みたいだな!」
リュウの声に応えず、ライは先頭を走り続けた。
しばらくすると2人は階段を見つけ、上ると外が見えてくる。同時に悲鳴が大きく鼓膜を震わせてるようになる。
目がくらみそうに眩しい太陽の下に飛び出すと、血を流した町の自警団らしき男たちが倒れていた。仮面を被った男たちが町の人たちを襲い、次々と倒されていく。
「抵抗をやめろ!」
リーダー格らしき3つ目の仮面をつけた男 ── ユーゼスが言った。
「さもなくば、この娘(マイ)を洗脳するぞ!」
「…………!?」
「最終地獄とか痛いこと言ったり、キックで叫んじゃう娘にしてしまうぞ!」
「げ、外道め、なんて恐ろしいことを……!」
ユーゼスの言葉にリュウが声を荒げた。
すぐに洗脳するなんて言葉が出てくるとは、流石は野党たちのボス、ワルである。
「許せねえ! 待ってろマイ、今助けてやるからな!」
「ん? 私の言葉が聞こえなかった輩がいるようだな?」
マントをなびかせて近づいてくるリュウを見たユーゼスが声を上げる。
それもそのはず。町の自警団は既に壊滅状態となり抵抗する気力を失っている。だがリュウの瞳には熱い真っ赤な炎が揺らめいていたからだ!
マイを捕まえているユーゼスに向かって行くリュウ。
しかしユーゼスの部下が彼の歩みを許すはずもない。
「ひゃっはー、ここは通さねえぜ!」
仮面の男の1人がリュウの前に立ち塞がった。
仮面の額の部分にはゼ・バルマリィのメンバーの証として、Zの文字が刻まれている。リュウはその仮面に見覚えがあった。
「なんだ、あの時の野党の仲間か。仲間と同じ目にあいたくなかったら、そこを退けよ!」
「なんだと! さては貴様、偵察隊の奴らをやった男か!?」
仮面の言葉にリュウは笑みを浮かべて応える。
「俺のロボッ斗神拳の錆びにしてやるぜ!」
着込んでいるボロマントの中に両手を納めてリュウが叫ぶ。
その様子を見てユーゼスは、
「ろぼっと……ロボ、ロボッ斗神拳……まさか……!?」
「ユーゼス様、知っているのですか!?」
「いや、まったく知らぬ」
期待外れの返答にユーゼスの取り巻きの仮面はズッコケた。
さっきの知ったかな態度は何なんだよ!?
と仮面はツッコミたかったが、チーム内での序列が違いすぎるため何も言えない。世界が滅んでも、人間がいて集団を形成していれば、下っ端は存在し、そしてその発言力の弱さは変わらないようだ。「遠慮せずに意見言ってよ!」と促されて発言しても、多くの場合はスルーされるのだ……世知辛いね。
と言う訳で、仮面の下っ端は適当に相槌を打ちながら、ユーゼスの言葉を聞くことにした。
「ロボッ斗神拳、昔、私が呼んだ漫画にそんな名前の拳法があった気がするが……」
「ユーゼス様、それってもしかして北○神拳ですか?」
「あ、そうそう。確か人体のツボを突いて、敵を内部から破壊する暗殺拳だったはずだが……」
「ではあの男の拳 ── ロボッ斗神拳もそうだと?」
「HAHAHA、バカを言っちゃいけないぞ、下っ端A。漫画じゃあるまいし。ツボを突いたぐらいで『ひでぶっ』てたら私は指圧マッサージに行けないではないか?」
「ユーゼス様、もうマッサージ店なんてありやしませんよ」
「そうだな下っ端A。力こそ全て、良い世の中になったモノだが、マッサージ店が姿を消したのだけはいただけんと私は思う。ほら、私って仮面被ってるから頭が重くってさー、肩こっちゃうんだよねー」
「あー、仮面あるあるですねー(笑)」
「…………?」
ユーゼスたちの会話に、囚われているマイは付いていけない。
「とにかく現実は漫画ではない。小説は漫画とは違うのだよ、漫画とは ──」
── ズギューンッ!!
「ヒデブッ?!」
ユーゼスと下っ端Aの歓談を、耳をつんざくような轟音と部下の悲鳴が遮った。
音のした方に目を向けると、ユーゼスの部下の仮面が仰向けに倒れていた。仮面の額部分から白煙が上がっていて……同じように、リュウの手に持っている銃口からも煙が上がっていた。
……銃?
「ロボッ斗神拳奥義、イングラム&ベレッタ……天誅」
「天誅、じゃないだろ。銃を使うな、銃を。拳ですらないのに神拳を名乗るな」
「いいだろ別に。俺、公式設定で射撃の名手なんだぜ? 知ってた?」
「…………!」
知らなかった、といった表情でマイが驚いていた。
対してライはため息1つ。
ちなみに倒れたZの仮面をよく見てみると、額の仮面に銃弾を受けて脳震盪を起こしているだけなのが分かる。
「はいはい、メタ発言はやめような」
「なんだよー、ノリが悪いなーライは。とにかく、俺はこのロボッ斗神拳でマイを助けるぜ!」
リュウは両手の自動拳銃 ── イングラムとベレッタを構えて、ユーゼスに近づいていく。ライは呆れ顔でそれに続いた。
しかしリュウが拳銃を持っていると分かった瞬間、Zのメンバーの顔色(全員仮面なのに)が変わった。
マイを捕まえているユーゼスを護るため、リュウたちの進行方向に立ち塞がって壁になる。手には斧や槍が持たれていて、殺気が矢のようにリュウたちの肌を刺さってきた。
ユーゼスが「やぁっておしまい」と指示すると、仮面たちは「イィー」と叫んで武器を構えてにじり寄ってくる。何だかんだで、この仮面たちノリノリである。
「……リュ」
仮面たちが今にも飛びかかろうとしたとき、マイの口から声が漏れた。
「リュウ、来ちゃダメーー!!」
「マ、マイ……! マイが喋ったぞ、ライ! やったな、お前の左手が効いたんだ!」
「……ああ。だが、少々マズイタイミングでな」
突然喋り出したマイにユーゼスの魔の手が伸びる。
「うるさいぞ小娘。洗脳されたくなければ黙っていろ!」
「いや! リュウ、助けて!」
「くっ、待っていろマイ!」
大声で暴れ出したためユーゼスに押さえつけられるマイ。
リュウは慌てて、銃口を構える。狙いはユーゼスの仮面の額部分だ、が ──
「なんだ、このやろー!!」
「素直に撃たせると思ってんのか!?」
「すまらっぱぎー、ってあえがせるぞオラー!!」
ユーゼスの部下の仮面が射線上に障害物として立ち塞がる。それぞれが意味不明な奇声を上げているので、はっきり言ってとても怖い。
奇声の内容を実況してみよう ── 「マミるぞ、オラ!」「ミックミックにしてやんよ!」「ミシェってやんぜ!!」 ── 兎に角、意味不明である。Zは性質の悪い野党だから危ない薬でも極めているのかもしれない。
「邪魔だ、退け!!」
しかしリュウにそんな奇声は通用しなかった。
リュウはユーゼスを狙っていた2丁の銃をブンブンと振り回し始め、立て続けに引き金を引く。
「ロボッ斗神拳奥義、ランダムシューーッ!!」
銃口から雷撃音が連続する。
リュウの正確無比な射撃が仮面たちの額を直撃した。仮面も金属製だから貫通はしない。しかし銃弾の衝撃が仮面を揺らし、反響して仮面たちの脳を揺らす。
脳震盪を起こした仮面たちは次々と地面に体を預けていった。
「な、なんという猛者だ!」
「リュウ、カッコいい!」
ユーゼスが驚愕し、マイが喜々とした声を上げる。
「こうなりゃ、ヤケクソだぜぇーー!!」
生き残っていた仮面が猛然とリュウに飛びかかってきた。武器はもっておらず、拳1つでの突貫だ。
対してリュウは拳銃もち、イングラムの銃口を向けて仮面を迎撃する。リュウは引き金を引いた。
── カチンッ
寂しい音が銃口から木霊する。もう一度トリガーを絞ってみるが、聞こえてくるのは撃鉄の空撃ち音だけだった。
「た、弾切れ!?」
「好機! 死ねぃ!!」
「ちょ、ちょっと待って! 俺のリロードは凄いから! レボリューションだから! だから少し見てってよぉ ──」
仮面が拳が炸裂する。
「── あべし!?」
リュウはあっけなく仮面に殴り倒された。
その様子に気絶していない仮面たちから嘲笑が巻き起こる。
「なんだコイツ、てんで弱いぞ!」
「お返しだ、やっちまえ!」
「ふははは、俺の名を言ってみろい!!」
「や、やめて! 暴力反対、はなしあはわばッ!!」
仮面たちの攻撃がリュウの体に炸裂する。
ボコスカ。仮面の攻撃と逃げようとするリュウの動きで土煙が巻上がり、そんな効果音が巻上がりそうな光景が繰り広げられる。
「リュウ、カッコ悪い」
「なんだ、やはりただのヘタレだったようだな」
マイの言葉に続いて、ユーゼスが追い打ちをかけてきた。リュウがなぶられる光景を遠巻きに見ている様子は、何故か仲が良さそうに見えるから不思議なものだ。
「ふぅ……仕方ない奴だ」
リュウの醜態にため息をつきながらも、ライが動いた!
派手に! 素早く! 動いたりは決してしない!
ゆっくりとリュウを殴っている仮面の1人に近づくと、最後の忠告とばかりに肩を叩く。
「おい、弱い物いじめはそのくらいにしておけ」
「うるせえな、今いいとこなんだから邪魔すんじゃねえよ!」
仮面が肩に触れたライの左手を払いのけた。
── カンッ
仮面の手が触れた瞬間、ライの左手から金属音が聞こえたが、仮面たちは誰もその音に気付かなかった。
ライは2度目のため息をつき、左手を手刀構えで頭上に掲げ、
「ライディーチョップ」
ボソっと呟くと左手を振り下ろした。
狙われたのは先ほどライの手を払いのけた仮面の頭だ。金属製の仮面に小さな衝撃が走り、自分が攻撃されたと気づいた仮面はライの方に振り向いた。
「テメェ! 何しやが、る……?」
仮面は自分の身に起きた異変にすぐ気付いた。
視界が微妙にずれている。視界の中心に1本細い線が走っているように見えた。
「仮面を被った者が仮面を剥がれるのは、死に匹敵する屈辱らしいな?」
ライが言う。
「そういう意味で、貴様は既に死んでいる」
刹那、仮面が真っ二つに割れて、素顔が露わになった。ライの体に隠れて素顔は良く見えない。仮面を割られた仮面(バルシェム)は無言のまま倒れた。
その光景にリュウを殴っていた仮面たちも手を止め、ライに恐怖の視線を向ける。
「な、なんだテメエは!?」
「や、やんのか、こら!」
「い、言っとくがな、俺は強いんだぞ! ほ、本当だぞ!」
怯える仮面たち。彼らに向けてライはただ一言 ──
「俺に出会った不幸を呪え」
──…… その日、ゼ・バルマリィという野盗グループは地上から姿を消したのだった ──……
●
あっと言う間にZの連中は片づけられ、マイも無事に取り戻した後、
「ライ斗聖拳伝承者、ライディース・F・バットシュタイン。それが俺の名だ」
美しき女リーダーアミヤ ── 通称アヤの質問にライはそう応えていた。
「姉さんを拉致したライ斗6聖拳の男を追って旅をしていたのだが、気が付いたらこの町の牢に入れられていてな……正直、どうしたものかと悩んでいた所なのだ」
「私は美しき女リーダーア(略)、ライ様! いいえ救世主様! 是非、この町に滞在して町を守ってください!!」
「……話を聞いていたか? 俺は旅をしているんだ」
眉尻を上げて返答するライに対して、アヤは瞳をキラキラと輝かせながら答える。
「私は美しき女(略)、ありがとうございます救世主様! この町に滞在してくれるのですね!」
「おい」
「私は美し(略)、救世主様万歳!」
町民から救世主コールが沸き起こる。
「救世主様マンセー!」
「救世主! 救世主!」
「ハ・ガ・ネの」
「救世主(メシア)!!」
「メシ屋じゃないぞ!!」
「……勘弁してくれ」
辟易とした表情を浮かべるライ。
そんな彼を、リュウは遠巻きに眺めていた。元々ボロボロだったマントは穴だらけになり、顔面には青あざが幾つも浮かび上がっている。仮面たちに相当こっ酷く暴行を受けた証拠だった。
「ライ、只者ではないと思っていたけど……恐ろしい子」
「顔を劇画調にして言っても駄目だよ、リュウ」
「そうだな、じゃあ少女漫画風に……」
「目を白目にしても駄目だよ」
マイさん、ツッコミありがとうございます。
やはりツッコミは大事だなとリュウは感じていた。
1人旅をしていては決して味わう事のできない快感が、確かにツッコミにはあった。要するに1人でボケとツッコミは成立しないということであり、1人旅を続けてきたリュウもそろそろ他人が恋しくなってきたということでもある。
さて、これからどうしたものかとリュウが悩んでいると、
「リュウ。リュウもこの町で暮らしなよ、水も食料も、拳銃の弾だって少しはあるよ」
「そうなのか? いやー助かるぜ。弾切らしちまったから旅は続けられねぇなって思ってたところなんだ!」
「じゃあ丁度いいね!」
「おう! マイ、これからよろしくな!」
「うん! よろしくねリュウ!」
必死に町民の手から逃れようとするライを尻目に、リュウとマイは微笑ましく笑いあう。
結局、町民の手から逃れられなかったライを加わったこの町は、救世主の住む難攻不落の要塞都市として発展し、豊かな水と食料を得て平和を求める人々が集うようになりましたとさ ──……
めでたしめでたし。
完
●
俺の名前はキョウスケ・ナンブ。
俺の心には今、猛烈な感動のさざ波が押し寄せている。
それはなぜか、今から説明することにしようと思う。
なぜか高校の密集する地域『エリア』における1番のマンモス高校 ── OG《オリジナルジェレーション》高等学院、通称ジェネ高の体育館。
そこに俺は、恋人のエクセレンとなぜかついてきたラミアと共に、先ほどの映画を見ていた。
あの映画は、ジェネ高の映研「SRX団」が作成したものだ。
某有名漫画をモチーフにした実に良い作品に仕上がっていた。
「俺たちにはまだ帰る場所がある、こんなに嬉しいことはない。平和が一番、実に心が休まる良い話だった」
感動のさざなみが押し寄せている俺の心の海岸で、
「お前のようなギャンブル狂いに言われたくない、でござんす」
「家賃払えなくなって、帰る家無くなっても私は知らないからね」
「…………」
ラミアとエクセレンは容赦なくゴミをポイ捨てしていく。
投げ捨てられた空き瓶が割れて、破片で俺は足を切る。痛い。心が。
「エクセ姉さま、このダメ旦那は借金ちゃんと完済したのでございますのことよ?」
「あはは、まっさかー。今の借金の総額は83万765円よ。ちゃんと帳簿つけてるから間違いないわ♡」
ああ、穴があったら入りたいし、その帳簿を燃やしたい。
どうでもいいがラミアよ?
影鏡高校のお前がなぜジェネ高にいる?
お前がいると、アクセルあたりが乱入してきて大騒ぎになりそうで怖い……俺の心の平穏のために、できれば帰ってもらいたい……あと、俺の財布の中身に平和が訪れるのは一体いつになるのだろうか……?
ここはOG高等学院。
『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。
今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。
次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。
<キャラクター紹介>
リュウセイ・ダテ:ジェネ高2年生、映画研究会「SRX団」のリーダーで時々映画を作って体育館で放送している。ロボット大好き! ジェネ高一のロボットヲタクとしても有名である。アニメが放送され始めてから、何故かモミアゲが濃くなってしまった。
ライディース・F・ブランシュタイン:ジェネ高2年生、リュウセイとは腐れ縁の金髪美青年。過去の事故で左手は鋼鉄製の義手になっており、左手で人を叩くときは心の底から怒った時だけである。しかしリュウセイにだけは容赦なく「ライディーチョップ」をかましている。
マイ・コバヤシ:ジェネ高1年生。3年のアヤ・コバヤシの妹で、リュウセイに好意を持っている。彼から教えられるロボオタ知識を着実に吸収していて、アヤに心配されている。
アヤ・コバヤシ:ジェネ高3年生。マイのお姉さん。それ以上でも以下でもない。
ユーゼス・ゴッツォ:元悪の秘密結社の大首領だったが、今は無職のまるで駄目なおっさん(マダオ)。今回は特別に出演している。
<次・回・予・告>
キョウスケ「まず始めに、前回の次回予告をまるで無視したことを謝罪しておく」
エクセレン「前回でクロウが主役の回を書くみたいに予告していたのに、まったく関係な話を書いてしまってごめんなさいね!」
キョウスケ「まぁ、コメディ編は次回予告も存在そのものもギャグみたいなものだ。次回予告で予告しているのは、そういうネタを思いついているというだけで、確実に書く保証はどこにもないかもしれないな」
エクセレン「でもそれだと次回予告する意味ないんじゃないの?」
キョウスケ「そうかもな。だが、俺は予告を止めんぞ」
エクセレン「え、なぜかしら?」
キョウスケ「コメディー編における、俺の数少ないレギュラー枠だからだ!」
エクセレン「わぁお! じゃあ、今日も元気に次回予告いってみよー!!」
キョウスケ
「さぁ、次回予告だ! 言っておくが、予告したからって次回はこの話になる保障はどこにもないからな!! ご了承ください。
ある日の放課後、彼女は教室に忘れ物をしてしまった。
自分の教室に行くための近道で、1年生の教室あるフロアを通っておくことにした彼女だったが、その時彼女は誰もいないはずの教室から響いてくる笑い声を耳にする。
誰かと話して笑っているようだが、声は1人分しか聞こえない。
気になった彼女 ── アイビス・ダグラスは、その1年の教室の中を覗くことにした。
教室では1年生の女の子が1人で空中に向かって話しかけ、笑っていた。
その様子を目撃された1年生ラトゥーニ・スゥボータは言う。
『話していただけ……エア友達と』
次回は未定! スパロボ学院コメディー編「今日のワン子2 ~私の友達は友達が少ない~」をそのうち書くぞ!」
エクセレン「北斗の○もよろしく!!」
いや、コメディはいいですね。すいすい書けます。
今後もネタや要望は絶賛募集中です!
ただしいつ執筆に取り掛かれるかは未定ですので、そこのところはご了承ください
ではではノシ