スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>

絶賛、キャラ崩壊中!
スパロボOG1のゴスロリキャラがキャラ崩壊起こしています!
「はがない」のパロディだけど、小鳩やマリアみたいにはなりません。
それでもいいという方はどうぞ!

「僕は友達が少ない」よろしく!


今日のワンコ3 ~私の友達は友達が少ない~

 

 ここはなぜか高校の密集する地域エリア。

 

 その日、私 ── アイビス・ダグラスは、忘れた体操服を教室に取りに行くため、廊下を1人寂しく歩いていた。

 下校時刻はとうに過ぎ、廊下に人の気配は感じられない。夏も終わりに近づき、日が落ちるのが早くなった。夏の終わりを告げるヒグラシの鳴き声が、人気のない校舎を不気味に怪しく彩っている。

 こんな時間まで学校にいるつもりはなかったのになぁ。本来なら、今頃家に帰ってスイーツをつまみながら、人気のテレビドラマ「ラブキ」を見る筈だったのに……。

 授業終了の鐘と同時にフィリオたちに拉致られて、部活で課外活動をする羽目になって……気づけばこんな時間になっていた。

 

「近道しよっと」

 

 私は普段通らない1年生の校舎を通り、2年の校舎までショートカットすることにした。私の通うOG高等学院 ── 通称ジェネ高はエリア1のマンモス高校だ。生徒数があまりに多いため、普通の学校と違い学年ごとに校舎が割り振られていた。

 実を言うと、あまり知られていないが1年生校舎を突っ切った方が、2年生校舎につく時間は短くなる。最近の遅刻騒動後、試してみたら私の統計でそのような結果が出た。

 私の所属する2年A組を目指して歩いていると、1年生の教室から楽しそうな話声が聞こえてきた。

 

「そう。ふふ、からかわないで、そんなことはない」

「あれ? まだ誰か残っているのかな?」

 

 聞こえてくるのは女の子の声だ。それも透き通った可愛らしいアニメ声。喋っている子はきっと美少女だろう。 

 ととっ、こんな事考えている場合じゃなかったや。

 早く教室に体操服を取りにいかなくっちゃ。

 

「え? 彼とは、進展したのかって……もぅ、シャイン王女のイジワル」

「王女様? 知らなかった、ジェネ高に王女様なんて居たんだ」

 

 王女。このキーワードが好奇心という名の見えない鎖となって、私の足の歩みを止めた。

 気になる。中の様子がとても気になる。やっちゃいけないことなんだろうけど、私は好奇心を押さえられなくなって、1年の教室のドアをこっそりと開けるのだった。

 そのことを今でも少しだけ後悔している。割とトンデモナイものを見たからだ。

 

「あ……ありのままに今見ているものを話すよ。

 私は教室の扉を開けて中の2人(・・)を見ようとしたのだけど、中に人は1人(・・)しかいなかったんだ。

 な……なにを言っているのか分からないと思うけど、私もなにを見ているのか分からなかった。頭がどうにかなりそうだった……催眠術とか幻覚とか、そんなチャチなもんじゃ断じてないよ。

 もっと恐ろしいものの片鱗を見た気がしたんだ……」

 

 教室の中を見た私は軽い錯乱状態になってしまったようで、こんなことを頭の中で考えていた。俗に言う「アイビスパニック」というヤツだよね? え、なに? 違うって?

 ……ま、まぁ、とにかく、私が見ているものをありのままに話すよ……あれ? 既視感(デジャヴ)がする……もしかして、これって無限ループの入り口かな? 

 怖いのでこのセリフは封印しようと思う。

 とにかく、私の覗いた1年生の教室からは「女の子が誰かと会話してる」と思しき声が聞こえてきていた。

 王女様と言っていたし、当然中には女の子が2人いて、おしゃべりに花を咲かせているんだろうなぁと思って覗いてみたんだけど……。

 

 教室には1人の女子生徒(・・・・・・・)しかいなかった。

 

 窓際の机にちょこんと腰かけた紫髪のメガネっ娘が、夕日をメガネで反射させながら談笑していた。ジェネ高の制服を着た小柄な女の子で、分厚すぎるメガネのためどんな瞳をしているのかは分からない。

 その子は微笑を浮かべて、話しかけている。

 

「シャイン王女の方はどう? ……そう、この間、遊園地でデートしたの。いいなぁ、羨ましい」

 

 誰もいない虚空に向かって。

 

「え? 本当? うふふ、だったら嬉しいな ──」

 

 彼女たち(?)の会話は楽しそうにヒートアップしていく。

 もちろん、私にはシャイン王女の姿は見えないし、声も聞こえない。そしてここは夜に沈む直前の学校である。

 私は見てはいけないものを見ているんじゃないだろうか? 「この世ならざるもの」とか「触れ得ざる者」とか「アカシックレコード」とか……目の前の光景は、そういった類のモノなんじゃなかろうか?

 一滴の冷や汗が頬を伝い落ちた。

 この場は退散した方がよさそうだ。客観的に見ても、覗き見というシュチュエーションはマズイ。もし見つかったら、なにを言われるか分かったものじゃないし。

 私は教室のドアを閉めて、2年生の教室へと急ぐことにした。

 でも……あれ? この扉動かない。ジェネ高もいい加減古いし、そろそろ建てつけも悪くなってのかも。扉の持ち手に込める力を少し強くする。でも動かない。

 えい! この、動け! 動け動け! 動いてよぉ!

 

 

── がたがたっ

「誰?」 ── メガネ少女の視線が私の方に向いていた。

 

 し、しまった! アイビス・ダグラス、一生の不覚!

 ドアなんて閉めずにさっさと教室に向かえば良かったのに……はぁ、なにやってんだろ、私。

 メガネ少女の視線は完全に私をロックオンしていた。

 仕方ないので教室に入って弁明することにした。入るときは扉はあっさりと道を開く、この野郎。

 

「あ、あははー、ごめんね。声がしてたから、なんだろうと思って、つい……」

「…………」

 

 メガネ少女からの返事はなく、小さな手をぎゅっと握りしてめて私を睨んできた。完全に警戒されてしまったようだ。彼女からしたら私は不審者なんだから仕方ないよね。

 

「あ、えと、そのー……」

 

 無言で近づいても怖がらせるだけだよね? 取り合えずなにか言おうと思ったけど、うまく言葉が出てこなかった。

 

「……なに?」

 

 でもメガネ少女からはリアクションがあった。

 今が好機。これを逃せば空気が悪くなり、会話という名の牙城を切り崩すことは難しくなるだろう。なんでもいい、なんでもいいから話題を ──

 

「えぇと……もしかして、霊が見えたりする人?」

 

 ── あぁぁぁぁぁっ、な、なにを言っているんだ! 私は!?

 初対面の会話の掴みは「いい天気ですね?」か「いやぁ、ミストさんは強敵でしたね?」だと相場が決まっているのに、こんな電波な人と勘違いされそうな質問をしてどうするんだ?

 十中八九馬鹿にされる。

 案の定、メガネ少女は「はぁ」と首を傾げて応えた。

 

「幽霊なんて非科学的。いるはずがない」

「え? でも、さっきまで誰かと喋っていたよね?」

「…………やっぱり、見ていた」

 

 かあぁぁぁと、メガネ少女の顔が赤くなる。

 

「あれは友達と話していただけ。エ、エア友達と……!」

 

 ………………え?

 メガネ少女がなにを言っているのか、私はしばらく理解できなかった。

 エアギター、という言葉がある。実際にはギターを持たずに、さながらギターを演奏しているように見せる高等技術だ。少なくとも私にはできない。

 エア友達とは、エアギターの友達版なのだろうか……?

 メガネ少女は口元を綻ばせながら言った。

 

「シャイン王女と話していると楽しい。いつも時間が経つのを忘れてしまう。

 友達ってとてもいいもの。シャイン王女はリクセント公国の王女様で私の親友、今日はお忍びでエリアに遊びに来たっていう設定」

「設定! 今、設定って言った!」

「言ってない。私たちの友情は真実だもの。まさにエターナルフォースフレンドリー」

 

 メガネ少女はない胸を張って、誇らしげに答えた。

 い、痛い! なんて言うか痛い。どうやらメガネ少女には妄想癖があるらしい。

 痛さに思考が停滞していると、気づけば頼んでもいないのに、メガネ少女は淡々と自己紹介を始めていた。

 

「私は、L5星域から地球の監査にやって来た『無限力』の対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース。対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースとは、人型機動兵器の概念をバイオロイド化し、ダウンサイジングしたもの。得意技はキック。地球の文明レベルを査定し、レベル5を超え、他星への侵攻の意志が確認された場合にのみ交戦が許可されている。『無限力』とは宇宙を統括する複数の意志の集合体であり、宇宙の存在を維持してきた絶対的な存在。アカシックレコードや至高天、テラダ、漆黒の叡智とも呼ばれ ──」

「す、ストップ! ストップ!」

 

 専門用語が多すぎて、メガネ少女がなにを言っているのか私には分からなかった。じわじわと痛みが全身を浸食していくような錯覚すら覚える。

 

「結局、君はなにが言いたいの? 簡潔に言ってもらえると助かるんだけど……」

「理解した。私の名前はラトゥーニ・スゥボータ ──」

 

 私は耳を塞いでおけば良かったと後悔する。

 

「── いわゆる1つの宇宙人です」

 

 それが私とラトゥーニの初めての出会いだった。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 今日のワンコ3 ~私の友達は友達が少ない~

 

 

 

 そんなこんなで翌日。ジェネ高の屋上。

 

 あの日から、私はラトゥーニに付きまとわれるようになった。

 休み時間、気が付けば教室の外でラトゥーニが待っていたり、トイレに行くにも一緒に付いてきたりする。こちらから一緒に居て欲しいとお願いしたことはないのだが、すべての休み時間開始時にはラトゥーニは教室入り口に待機していた。

 ちなみに今は、屋上の貯水塔の縁に腰かけ、私が手作り弁当の卵焼きを箸で突っつく横で、ラトゥーニは購買で買ったメロンパンにかぶり付いている。

 

「栄養補給中。有機体の脳には糖分が必要不可欠。私の味覚センサーも喜んでいる」

「あはは、要するに美味しいってことだよね?」

「……うん」

 

 頬を少しだけ赤く染め、ラトゥーニは無表情のままで頷いた。

 ラトゥーニに付きまとわれて既に半日。太ったゲーマーにストーキングされるのは勘弁だけど、可愛らしいメガネ娘に付きまとわれる分には別に気にならない。でもラトゥーニがどんな子なのか、私なりに興味が出てクラスの友達から情報収集してみた。

 

 ラトゥーニ・スゥボータ、ジェネ高1年生。

 1年次開始からジェネ高に居た訳ではなく、途中にスクールから転校してきた女の子。

 メガネっ娘、分厚いメガネの下の瞳に憧れた隠れ男子ファンがいるくらいには、美少女美少女している女の子だそうだ。

 しかしクラスの女子連合から孤立しているらしい。

 男子生徒の人気の高いラトゥーニへの嫉妬と、訳ありの孤児が集められる「スクール」から転校生ということもあり、大分時間の経った今でさえクラスに馴染めずにいるそうだ。

 彼女をクラスから孤立させる原因は、まだ1つある。

 

「宇宙から『無限力』の通信を受信。……地球の文明レベルは現在2。アイビス、攻撃対象レベルにはまだ達していない、だから安心していい」

 

 痛いよぉ。青空を見上げて呟くラトゥーニと、私は目を合わせられなかった。

 ラトゥーニの孤立の原因の1つはおそらく……いや間違いなく、この電波な言動だろう。宇宙から毒電波かなにかを受信しているのかもしれない。

 

「シャイン王女も安心してね。私たちのエターナルフォースフレンドリーは永遠だから」

 

 さらに凄い良い微笑みを浮かべて空中に話しかける……エア友達のシャイン王女に。電波に加えて中二病にも罹患しているらしい。さらに自称宇宙人。

 私、アイビス・ダグラスが客観的にラトゥーニ・スゥボータを評価し、表現するとこうなる。

 

 

ロリのメガネ美少女だけど、超電波で絶賛中二病中の痛いざんねん美少女自称宇宙人。

 

 

 冷静に考えて、エア友達がス○ンドの類だとしても私を含む一般人には見えないので、評価点をプラスにすることはできない。

 外見の多大なプラスポイントを、内面の圧倒的マイナスポイントで泥沼に引きずりこんでいる少女 ── それがラトゥーニ・スゥボータだった。

 だからだろうか、クラスで孤立しているらしい。

 ……失礼だとは思うんだけどね。やっぱり聞いてみたいので、聞いてみることにした。

 

「ねえラトゥーニ」

「なに、アイビス?」

 

 口の中のメロンパンを紙パックのイチゴミルクで洗い流しながら、彼女は答えた。私同様、甘い物好きだなぁ、と思う。

 

「友達……もしかして、いないの?」

「……いる」

 

 お、良い返事だ。

 

「シャイン王女がいる」

 

 えぇー、そっち? 私が聞きたいのは人間のお友達のことなんだけどなぁ。

 

「私たちの友情はエターナルフォースフレンドリー」

「いや、あのね。シャイン王女は置いといて、ラトゥーニはそれ以外に友達はいるか聞きたかったんだけど……?」

「…………」

 

 ラトゥーニは食事の手を止め、私たちの間には気まずい沈黙が走る。

 やっぱり、聞いたらまずかったかな? ラトゥーニの返事を待ち、長い沈黙をお弁当を食べながら耐えた。残念なことに、まったく美味しくない。

 1分が過ぎ、流石にキツいので私から話題を振ろうとしたとき、ラトゥーニが答えた。

 

「…………いる、スクールには」

 

 短い言葉がすべてを物語っていた。ラトゥーニは悲しそうに続ける。

 

「アラド、ゼオラ、オウカ姉さま…………でもジェネ高のみんなは私を相手にしてくれない」

「……そのさ、友達が欲しいならジェネ高でも作ったらいいんじゃない? エア友達なんかじゃなくて、現実の友達をさ……」

 

 的確な問題解決法を提示できたと自分でも思う。

 

「それができたら苦労しない。皆、私が宇宙人だからと言って相手にしてくれないから」

 

 でもごもっともすぎる言葉で返されてしまった。まぁ、彼女が言うとおりなんだけどさ。宇宙人言動止めれば、少しはいやかなり光明が見える気がしないでもない。

 

「じゃあさ、思い切って近くの人に友達になってくださいって、言ってみたらどう?」

「私に近づいてくるのは男子ばかり。彼らは劣情に支配された生き物。言ったことはあるけど、そんなことより恋人になってくださいと告白される。不潔」

 

 だ、男子ぃー……!

 思春期なのは分かるけど、恋人作りが大切なのも分かるけど……自己中心的じゃない他人を気遣う優しい心を育てることが、恋人を作るのに一番の近道だと私は思うんだけどなぁ……ま、私も恋人いないけど。

 

「じゃ、じゃあさ、女子に言ってみればいいんじゃない? 女の子なら告白はされないだろうし」

「言った。でも『あんた、男子に人気あるんだから男子と友達になれば!』とか『近づくな、宇宙放射線病になるじゃない!』とか『リア充爆発しろ!』とか言われた」

 

 ラトゥーニの周りの空気が心なしか重くなったように感じる。なんとなく分かっていたけど、やはり友達関係の話題は地雷らしい。

 そういえば、あんまりモテすぎたり優秀すぎる女は同性に疎まれるってたまに聞くなぁ。友達に聞いた話だと、ラトゥーニの成績は1年生の中では常に上位を維持しているらしい。

 ちなみに私は中の中。女の子に疎まれた経験は1度もない。

 

「男子は『ロリっ娘サイコー!』とか『メガネっ娘サイコー!』とか『蹴ってください、女王様、はぁはぁ……!』とかいう男子ばかり。こいつらは『無限力』に報告して、消えてもらうべきだろうか?」

 

 どうやらラトゥーニはクラスの男子にモテまくっているようだ。それで女子から迫害されているのか、不憫な。

 彼女に友達ができないのは彼女のせいだけじゃなく、周囲の環境も悪いのかもしれないね。ラトゥーニには話を聞いてくれる、同じ趣味の人間が必要なのかもしれない。

 

「インターネットで同じ趣味の友達を探すのはどう?」

「趣味? なんのこと?」

「え? だから、ラトゥーニの宇宙人趣味と同じ人を探して、その人と友達になってもらえばいいじゃん」

「アイビス、私は宇宙人。趣味じゃない。『無限力』から派遣された対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェース……それが私」

「えぇー……?」

 

 ラトゥーニ、君はどっからどう見ても、ロリメガネ美少女だよ。

 でも彼女は自分が宇宙人という主張を、断じて曲げるつもりはなさそうだ。まさか本当に宇宙人……? まさかね。ツグミと同じ自称未来人に決まっている。

 さらにラトゥーニはこう続けた。

 

「それに私の超異空間経由通信機能は『無限力』との通信にのみ使用が許可される。基地に有線通信装置を備えるには資金が不足している。そんなものは必要ない理由もある。

ほら、私がいるから友達はいなくても大丈夫だと、シャイン王女も言っている」

「そんなわけないよ?!」

 

 ……駄目だこの娘……早く、なんとかしないと……。

 友達はいなくても大丈夫と、ラトゥーニは言う。けれど彼女の行動は矛盾していると思うんだ。

 ラトゥーニはエア友達との会話を見た私を、午前中いっぱい付け回した。

 友達がいらないというのなら、図書館で静かに読書でもしていた方が、他人に干渉されず自分の時間を持てていいのではないか? でもラトゥーニはそうはしなかった。

 エア友達という秘密を知った私のあとを付け回した。

 まるで秘密を共有できる友達が欲しい……とでも言っているかのように、だ。

 

「ねえ、ラトゥーニ」

「なに、アイビス?」

 

 メロンパンの捕食を再開していた彼女が私の方に視線を向けた。

 分厚いメガネで隠されて、彼女がどんな瞳で私を見ているのかは分からない。

 でも今日のラトゥーニの行動を見ていて、私は確信したんだ。

 やっぱり、彼女は友達が欲しいんだ、と。

 だから私はこう言うの。

 少し照れくさいけどさ。

 

「私と友達になってくれませんか?」

「え ────」

 

 ラトゥーニが食べかけのメロンパンを手から落とした。私の言葉がよほど衝撃的だったのかもしれない。メロンパンは屋上の床に落ちて、割れてしまった。

 しばらく口を開けて呆けていたが、直後、ラトゥーニは顔を真っ赤にして顔を背けてしまった。

 

「え? え、ええ、で、でも……わた、わたち」

 

 噛んでる噛んでる。言ったことはあっても、言われたことはないのかもしれない。

 私の友達になって宣言にラトゥーニは大いに狼狽していた。

 でもこれでいい。こういう経験も乗り越えて、誰かと友達になることが、今のラトゥーニにはきっと必要なんだと思う。

 もう1回、私は言った。

 

「ラトゥーニ、私と友達になってくれないかな? もしかして、嫌?」

「え! …………嫌、じゃ、ないです……」

「じゃあ友達になろう! はい、友情の印の握手!」

 

 私は右手を彼女に差し出した。

 でも自分から彼女の手を握ることはしない。

 ラトゥーニが自分で、私の手を握ってくれなければ意味がないからだ。

 多分、慣れない事なのだろう。ラトゥーニの手は震えていた。震えていたが、少しずつ手を前にだし、自分の意志で私の手を握り返した。

 

「ラトゥーニ、これで私たちは友達だね!」

「……友達」

「そうだよ! もう私たちは友達なんだよ!」

「友達……私とアイビスは友達……!」

 

 ラトゥーニは顔を真っ赤にして破顔していた。

 分厚いメガネのせいで彼女がどんな瞳をしているのかは分からない。けれど、瞳に映っているのが悲しみではない事だけは分かった。

 

「ラトゥーニ。放課後、私たちの部活にきなよ。皆に紹介してあげる」

「うん。ありがとう、アイビス!」

 

 笑顔でラトゥーニは応えてくれた。

 これでいいんだ、きっと。

 ラトゥーニには友達が必要なんだ。それが同じような趣味を持つ仲間なら申し分ない。私はラトゥーニをプロジェクトT(テレキネシス)D(ドリーム)に連れて行くつもりだった。

 

 こうして、私とラトゥーニは友達になった。

 お世辞にも、ラトゥーニに友達は多いとは言えないけど、これから少しずつ増やしていけばいいと思う。

 私の友達の友達は、まだ、少ない。

 でもいいんだ。これから増やしていくのだから ──……

 

 

 

 

 

ここはOG《オリジナルジェネレーション》高等学院。

『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

友達100人できるかな? ついでにアイビスに恋人も……それは誰も分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

 放課後、プロジェクトTDの部室にて。

 

「宇宙人、ゲットだぜ!!」

 

 部長のフィリオ・プレスティが、自称宇宙人のラトゥーニ・スゥボータを捕まえて叫んでいた。

 ラトゥーニの傍には部員のツグミ・タカクラとスレイ・プレスティもいる。

 

「ほほう、これが宇宙人か。兄様、グレイ式に記念撮影をしましょう」

「おお! いいねえ!」

「うふふ、ラトゥーニちゃんってゴスロリの衣装が似合いそうね。私、今度縫ってくるわ」

「さすがはツグミ! よろしく頼むよ!」

「あ、あの……」

 

 フィリオを始めとした部員たちに圧倒されるラトゥーニがおずおずと口を開いた。

 

「私は『無限力』に作られた対有機生命体コンタクト用ヒューマノイド・インターフェースだけど、乱暴にされると壊れちゃ ──」

「むむぅ! こ、これは!」

「あっ……!」

 

 フィリオがラトゥーニの分厚いメガネをひょいと奪い取った。

 メガネで隠されていたラトゥーニの可愛いくりくりお目目が露わになるが、当然、フィリオはそんなものに興味は示さない。

 

「これが宇宙メガネか。ラトゥーニ君、入部の記念に、この宇宙メガネを僕のメガネとトレードしてくれたまえ!」

「え? でも私、まだ入部するとは ──」

「ラトゥーニ君!」

 

 フィリオがイケメンスマイルを浮かべながら、外した彼のフレームレスメガネをラトゥーニの顔にかける。

 先ほどまでの分厚いメガネと違い、透明なガラスでラトゥーニの綺麗な瞳もしっかりと見えた。正真正銘のロリメガネ美少女自称宇宙人だ。

 

「僕たちはもう仲間じゃないか!」

「仲間……私たちが……」

「そう! この僕が、貴重な宇宙人枠を逃すわけないだろう? 既に入部手続きはツグミとスレイが完了させてくれたよ!」

「え?」

「ようこそ、プロジェクトTDへ」

「兄様に手を出すと殺すぞ、微少女」

 

 こうして、プロジェクトTDのメンバーが1人増えましたとさ。

 ちなみにアイビスはと言うと、彼らの様子をツグミ特製チーズケーキを食べながら眺めていた。

 

「モグモグ……今日も平和だなぁ」

 

 こうして、彼女たちの放課後は過ぎていくのだった ──……

 

 

 




<キャラ紹介>

アイビス・ダグラス:ジェネ高2年、夢に夢見る女の子。ジェネ高は比較的胸が大きい人が多いので、1・2を争うペチャパイぶり。いつもスレイに苛められている。でもTDのみんなは好き。今回はひょんなことからラトゥーニに付きまとわれる。負け犬は悪口ではなく愛称。

ラトゥーニ・スゥボータ:ジェネ高1年、脅威の人気を誇るロリネガネ美少女。元々スクールに通っていたが諸事情によりジェネ高に転向してきた。メガネが太いが完璧すぎる美少女美少女ぶりでクラスの男子には大人気、女子の反感を買っている。でも内面は電波・中二病の自称宇宙人。好きな先輩に近寄る同期を抹殺するべく「教導隊」の一員になり、「裏キック界の死神」の通称をもらっていたりする。

その他:メガネなど


<次回予告>

キョウスケ「次回予告だと、馬鹿め、そんなものはない!」

エクセレン「どったのキョウスケ? 機嫌悪いわね?」

キョウスケ「最近、コメディー編で主役をまったく張れていないんだ。いちおう主人公なのにどういうことだ?」

エクセレン「あわてなーい、あわてなーい、一休み一休み」

キョウスケ「イッキューか!? ふざけるな、覚醒するぞ!」

エクセレン「いやーん。キョウスケったらケダモノー、マイッチング♡」

キョウスケ「ええーい、やってられん! 読者のみんな、俺が主役になれそうなネタを考えてくれ! いつ、話にできるかは不明だがな!」

エクセレン「じゃーねー! 『僕は友達が少ない』は2011年秋からアニメ化されるからよろしく! 本作以上にパロディ全開だから、パロディ嫌いじゃない人は読んでみてね!」



今回は「僕は友達が少ない」ネタで書いてみました。
今季からアニメ始まりますね。
最近シリアス方向に持っていって面白いと思える作品が個人的に少ないので、パロディ全開のこの作品は好きです(というか、よく出版できたなというレベル。太陽族はヒュッケバイン問題よりこちらを取り締まった方がいいんじゃないかと思えるぐらいに酷い[まぁ、コメディだからOKなのか?])

ちなみに今回の元ネタは「僕は友達が少ない」「涼宮ハルヒの憂鬱」「ジョジョの奇妙な冒険」でした。
分かるかな?
ではでは、また次回でお会いしましょうノシ
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