スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注意事項>
絶賛、キャラ崩壊中です!
原作のキャラのイメージとは違います!
キャラのイメージが壊れるのが嫌だという方はご遠慮ください!
第2次OGシリーズになりますが、それでは、どうぞ!


イング君の奇妙な生活 ~僕とバイト先の日常~

 僕の名前はイング。

 なぜか高校が密集する地域『エリア』1のマンモス校「OG(オリジナルジェネレーション)高等学院」、通称ジェネ高に通っているごく普通の高校1年生だ。

 趣味は特になし。

 性格もごく普通。

 普通が服を着て生活しているような子、よくそう言われます。華奢な外見で時々女の子に間違えられるが、特徴と言えば、記憶喪失だってことぐらいだろうか?

 そんなことはさておき、僕は今、お金を稼ぐために労働に汗を流している最中だ。

 

「あ、イング君。商品並べ終わったら、お店の前を掃き掃除してくれるかな?」

「分かりました、リョウト店長」

 

 僕がバイトしているパン屋「ヒカワ屋」の店長 ── リョウト・ヒカワさんが次の仕事を僕に与えてくれる。リョウト店長は人の良さそうな、まさにお人よしと言った風貌の人物だ。

 「ヒカワ屋」は商店街の一角に店を構えている。猫の額ほどの店内スペースには、リョウト店長と先輩店員が焼いたパンが所狭しと並べられていた。香ばしい匂いが店の奥の工房から香ってくる。

 

「おーい、イング! 次の焼き上がったから並べといてくれよ!」

「はい、トウマさん」

 

 先輩店員 ── トウマ・カノウが工房から顔を出して僕に言った。格闘技を嗜んでいるらしく引き締まった体つきのトウマさんは、必要以上にパワーアンクルを付け、「100のバイトの経験者」「バイトの達人」自称している人だ。

 彼が看板娘のミナキ・トオミネさん目当てでバイトをしているのは、僕だけが気づいている秘密だ。

 僕はトウマさんが焼き上げた「踊る大フランスパン」を店内に並べた。

 店先に積もった埃を竹ぼうきで掃き掃除する。

 埃と枯葉が竹ぼうきに巻き上げられ、明後日の方向に飛んでいく。ポカポカ陽気が気持ちいい。もう昼時だというのに、今日も平和に「ヒカワ屋」は寂れていた。

 原因は一目瞭然だ。

 道路を挟んで対面にあるチェーン店「マオ屋」のキャンペーンが原因だった。

 

 

『期間限定! 炊き込みご飯のおにぎりセット、100円!』

 

 

 デカデカと暖簾が掲げられている。マオ・インダストリーの資金に物を言わせた経営戦略に、本来「ヒカワ屋」に足をを運ぶはずのお客も「マオ屋」の方に奪われていた。

 今日も「ヒカワ屋」は平和です。

 

 

── リョウト君のバカッ!!

 

 

 なんだか声が聞こえる。ついでに視線も感じる。

 場所は「マオ屋」の方角。

 僕は記憶喪失だからよく分からないのだけど、時々、他人の声が聞こえることがある。そんな特殊能力が僕にあるかは分からないが、対して役に立っていないので気にもしていない。

 でも肌を刺すような視線は気になって仕方なかった。

 

 

── 私というものがありながら、あんな娘を雇って!

       困らせてやる! 徹底的に困らせてあげるわ! ハァハァ……!

 

 

 あんな娘……看板娘のトオミネさんのことだろうか? 声の主は確か「マオ屋」の雇われ店長リオ・メイロン。視線の主も一緒のはずだ。

 僕は店先の枯葉を渦巻かせながら呟いた。

 

「今日も平和ですね」

 

 冬のからっ風が頬を掠めて飛んで行く。

 

 

 

 スパロボ学院 ~OGだよ、全員集合!~

 イング君の奇妙な生活 ~僕とバイト先の日常~

 

 

 

「おのれデコ娘! おかげ様で、こっちは通算36回目の倒産の危機だぜ!」

 

 閉店後、開かれた経営会議で先輩のトウマさんが熱血よろしく叫んでいた。

 家事のあるトオミネさんを除いた3人が「ヒカワ屋」の面接室に集合していた。

 

「ま、まぁまぁトウマ君。少し落ち着いて」

「これが落ち着いてられますか! あのデコ娘、まーた馬鹿の一つ覚えの100円セールっすよ! タイソーかっての!」

「タイソーってなんですか?」

「あぁ、それはね、全国チェーンの100円均一店のことだよ」

 

 僕の疑問に律儀にリョウト店長が応えてくれた。

 

 

「えぇい! ここで日和っちゃ駄目っすよッ、こっちも反撃です!」

 

 トウマさんが鼻息荒く、椅子から立ち上がり宣言した。

 面接室の定員は2名だ。元々狭い部屋に寿司詰め状態だから、トウマさんの熱血が暑苦しくてたまらない。

 新米店員の僕としては肩身の狭い思いである(物理的にも)。

 

「で、でもトウマ君、反撃って具体的にはどうするんだい?」

「そ、それは……」

 

 リョウト店長の質問に口ごもるトウマさん。勢いだけで策は特に用意していなかったらしい。

 と思いきや、握り拳を作り、またもや大仰に宣言した。

 

「そうだ! 名物パンを作ればいいですよ! この店でしか売っていない名物パン、そうすればリピーターが増えるに違いないですよ!」

「名物パンねぇ……で、トウマ君は具体的にどんなパンを考えているの?」

 

 リョウト店長が問う。トウマさんが答える。

 

「パン屋の大正義、アンパンマンパンなんてどうですか!?」

「アンパンって……君ねぇ」

「それなら見たことがあります。確か、駅前のパン屋で売ってました」

「なんだって!? 俺の渾身のアイディアが……じゃあ、カレーパンマンパンでどうだ!?」

「トウマ君、それじゃあ、ただのカレーパンだよ」

「それも駅前のパン屋で売ってました」

「ぐぬ」

 

 打ちひしがれるトウマさん。

 でも名物パンを作るってアイディアは悪くないように思えた。

 以前この店で売っていたが、1個も売れず廃版になったという「ガイオウ様のホットドック」は、売れこそしなかったものの話題性で見物客は増えたというし、集客のために名物パンの1つや2つあってもいいのかもしれない。

 その考えはリョウト店長も同じだったようで、

 

「でも名物パンってのは良いアイディアだと思うよ。皆でアイディアを出し合って、新しいパンを作るのも悪くないよね。他にアイディアある人いない?」

「はい! 逆転の発想でバイキンマンパンってどうっすか!?」

「却下。キャラパンなんて何処にでもあるよ」

「それも駅前のパン屋で ──(以下略)

「ぐぬぬ」

 

 トウマ・カノウ、本日2度目のへの字口。

 しかしアイディアは出し合うことに意味があると思う。

 と言うことで、僕たちは思いつく限りのアイディアを出し合うことにした。

 トウマさんが言う。

 

「じゃあヤキソパン」

「金色のガッシュベリーパンは?」

「では、ブリを使ってみたブリオッシュは?」

「マヨネーズをたっぷり乗せたコッペパン」

「却下だぜ、イング。コッペパンなんか名物になるかよ。それでいいなら、パンの神、ジャムおじさんパンのが絶対売れるね」

「それじゃあ、ただのジャムパンでしょ。却下」

「ぐぬぬぬ」

 

 リョウト店長に言われトウマさんが唸る。コッペパン好きなのにあっさり却下されしまった。

 こうして、僕たちはしばらく意見を言い合い、僕はそれをノートにメモしていった。

 十数分後。

 3人でノートに書かれた内容を読み返す。

 

「なになに……おにぎりぱん、サラリーパン、ぱいぱん……おい、これ出したの誰だ? 店長ですか?」

「ぼ、僕じゃないよ。それより他には……」

 

 リョウト店長が書かれた内容を読み上げていく。

 チーカマパンやらガルパンやらコッペパンを要求する、やらよくもまぁ、ここまで意味不明なアイディアを出したなぁ、と呆れ返るような内容のしかノートには書かれていなかった。

 当然、全て却下となる。

 

「やはり、ここは真コッペーパンで……」

「イング君、君もいい加減それから離れなよ」

「むぅ……」

「くそぉ! どうすりゃッ、どうすりゃいいんだよ!?」

「どうしよう、今度こそ潰れちゃうのかな……?」

 

 万策尽きて、トウマさんが叫び、リョウト店長が悲観にくれる。

 「ガイオウ様のホットドック」を超える名物パンを作れないとなると、金と物量に物を言わせた「マオ屋」の経営戦略に屈するしかない。

 どうすればいいのだろう?

 このままでは、僕も貴重な収入源を失ってしまうことになる。そうなると、今、僕がお世話になっている家にお金を入れる事ができなくなってしまう。

 こいつは困った。

 

 

── ドンドンドンッ

 

 

 面接室の扉が外から誰かに叩かれている。

 知ったことか。

 問題なのは、このままでは閉店に追い込まれるという現実と、僕の財布にバイト代が入らないかもしれないという事実なのだ。

 3人とも眉尻を下げて、打開策を考えるが良い考えが沸いてこない。

 

 

── ドゴドゴドゴッ

 

 

 面接室の扉が外から誰かに殴られている。

 五月蠅いなぁ、もう。

 

 

── ズンッズンドコッズンドコッズン

 

「うるせぇ!! 何だってんだ、もう閉店してんだぞ!?」

「あ、トウマ君がキレた」

 

 吼えるトウマさん、呟くリョウト店長。割と見慣れた光景だけれど、五月蠅いのは間違いない。

 がるるる、と唸るトウマさんを見ていると、中からも扉を蹴り破ってしまいそうに見えた。

 

「ドア、どうします?」

「このままだと破られそうだし、開けようか」

「そ、そうですね」

 

 僕は叩かれ続けている扉のノブに手をかけた。

 回す。

 すると、するっと外からの圧力に押されて彼女が入ってきた。

 突入してきたのはリオ・ミンメイ ── 「マオ屋」の店長にして広い額が特徴的な、リョウト店長の幼馴染だった。

 手には木製の巨大ハンマーをに握っている。それで面接室の扉を叩いていたのは明白だ。息は切らしている。相当無理して扉を壊そうとしていたのだろう。  

 そんな彼女の口から飛び出した言葉は、こうだ。

 

「はぁはぁ……! ちょっとリョウト君ッ、私と言うものがありながら! 若い娘を密室に連れ込んでどういことよ!?」

 

 彼女の言葉に時が止まる。一瞬止まる。

 そして時は動き出す。

 

「ちょっと待ってよリオ。若い子って、もしかしてイング君のこと?」

「そうよ! 店先に立っているだけの看板娘ならともかく、厨房まで引っ込んでその娘よなにしてるのよ!?」

「え? 新人だからパンの焼き方をだね ── ッ」

「嘘おっしゃい!?」

 

 「マオ屋」の店長リオの剣幕にリョウト店長は押されていた。

 

 「あの時そうよ ──」「何のことだよ ──」「パン工房『ラ・ギアス』の店長と良い仲になっていたでしょう ──」「良い仲って ──」「嘘ばっかり ── 」「ち、ちがうよ ──」「セニアと色々話してたでしょ ──── 」「あ、あれはパンの話をだね ──」「モニカ ────」「し、知らな ────」

 

 もはや、聞き耳立てるのも面倒くさい。

 僕とトウマ先輩は、一方的な言い争いと続ける両店長を見て、今回のキャンペ-ンの裏にあるものをそこはかとなく察してしまっていた。

 要するに、リオが僕 ── イングを遠目に見て、女の子だと思い込んだ嫉妬から今回のキャンペーンを行ったように思える。

 

「ねぇ、トウマさん?」

「なんだ、イング?」

 

 拳も交えた言い合いを続ける両店長を尻目に、トウマさんは僕の質問に気だるげに答えた。

 

「帰ってもいいですかね?」

「おお、帰るか。夫婦喧嘩は犬も食わねえってな」

「あ、僕、美味いラーメン屋知っているんですけど、一緒に行きません?」

「それってもしかして、ラーメン「竜巻」っていう店か?」

「そうですよ、黒い馬がマスコットの ────」

 

 

 戦々恐々とした面接室を後にし、僕はトウマさんと店を後にした。

 外はすっかり日が落ち、商店街の外灯が僕たちを照らし出す。周りを見渡しても、人っ子一人いやしない。黒ネコと白ネコが「なーお」と鳴きながら通り過ぎるが、僕にとっては割とよくある平和な日常風景だ。

 

「今日も平和……だったような気がするなぁ」

 

 トウマさんとラーメン「竜巻」で「トロンベラーメン」を食べながら、僕 ── イングは、今日も平和な日常を生きている……そんな当たり前のことを実感するのだった ──……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…… ── そして、僕の下宿先へと僕は帰ってくる。

 

 OG高等学院があるエリア。

 その住宅街にある貧相な貧乏アパートに僕は厄介になっている。

 僕は記憶喪失だが、下宿先の住民は縁があるという理由で住まわせてくれていた。

 

「おぉ、おかえりイング」

 

 下宿先の住民の筆頭 ── と、いうか、アパートの形式上の契約者が、僕が返ってきたことに気づき声を掛けてきた。

 6畳程度の居間でテレビを見ながら、横目で僕に視線を向けていた。見慣れたカッターシャツは着崩していたが、鍛えられた胸元がチラリと覗いている(僕はまったく嬉しくないが)。

 癖のある青い髪をした男だ。

 記憶喪失の僕は、今現在、この男の世話になっている。

 靴を脱いで、今に上がり、その男の名を呼ぶ。

 

「ただいま。プリスケ叔父さん」

「プリスケではない、プリスケン(・・・・・)だ」

 

 まったくなんど言えば覚えるのだ、叔父さんの口から愚痴が漏れる。

 僕 ── イングは、イングラム・プリスケンの家に厄介になっている ── ちなみに、他に住んでいるメンツは「ヴィレッタ・バディム」に「クォボレー・ゴートン」に「マダオ」です。

 

 何故、僕がこの家に厄介になっているのか……その理由はまた今度言うことにするよ。

 今日は、リョウト店長たちとの色々で疲れちゃったからね。

 また会うことがあれば合いましょう。

 では、またね。

 

 

 

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