スパロボ学院 ~ OGだよ、全員集合! ~   作:北洋

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<注・意・事・項>
絶賛、キャラ崩壊中!
ヒリュウ改クルーのイメージとシンデレラのストーリーが好きな人は、イメージが大きく損なわれる可能性があります。
見ない方がいいかもしれません。
それでもいい、という方はどうぞ


OG世界名作劇場 ~蛸とシンデレラ~

 

 それはもう遠い昔のこと、レオナという美しくツンデレな女の子が、それはそれは立派なお屋敷に住んでいました。

 

 

 レオナは裕福な貴族の一人娘でした。

 幼いころから大切に育てられたレオナでしたが、人と接することが得意ではなく、常にツンツンした態度をとってしまう、そんな子どもでした。

 

 しかしある日、レオナの母親は病に倒れて返らぬ人となってしまいました。

 レオナはこのときも、ツンツンしていて涙を見せなかったと言います。

 レオナがあまりにもツンツンするため父親は寂しさに耐えきれなくなってしまいました。

 

 新しい人生の再出発を誓い、新しい女性に愛を誓いました。

 父親の新しい結婚相手は、レフィーナ・エンフィールドと言いました。

 とても聡明で美しく、レオナはすぐに継母のことが大好きになりました。

 しかし、レオナはついツンツンしてしまいます。

 継母レフィーナは自分が嫌われているのではないかと心配しながら共に生活していたある日、今度はレオナの父親がポックリ逝ってしまいました。

 こうして一人残されたレオナは継母レフィーナと、2人の義理の姉カチーナ・タラクスとユン・ヒジョウと生きていくこととなりました。

 

 継母に不満はありませんでした。

 しかし問題なのは2人の姉たちでした。

 長女のカチーナはとてもガサツで乱暴者、事あるごとにレオナに殴る蹴るの暴行を加えてきます。

 綺麗だった髪の毛もストレスで枝毛が目立ちだし、お気に入りの服も徐々に汚れてボロボロになっていきました。

 次女のヤンはと言うと、状況を確認 ・ 空に向かって報告しているだけの電波娘で、DVの解決に一切役に立ちそうにありません。

 継母のレフィーナはというと、

 

「まぁまぁ、カチーナとレオナは、いつもじゃれ合ってて本当に仲がいいわねえ」

 

 と本気で思っていました。

 継母のフィルターを通してしまうと、残酷な事実もマイルドに脚色されてしまうようです。役に立ちません。

 

 一方、カチーナは家のお手伝いを全てレオナに押し付けてきます。

 ある日、暖炉の掃除をしているとき転んでしまい、レオナは灰まみれになってしまいました。

 その様子を見てカチーナは言いました。

 

「灰だらけになっちまってみっともねえなあ」

 

 これだけならまだいいのです。

 この後、カチーナはとんでもない事を言い始めました。

 

「そうだ、お前にあだ名を付けてやろう」

 

 レオナはとても嫌な予感がしました。

 すぐにその場を逃げ出そうとしましたが、カチーナが鍛え抜かれた上腕二頭筋でレオナの首を挟んで離してくれませんでした。

 

「今日からお前は灰かぶり姫(シンデレラ) ── いや、いつもツンツンしてるから、ツンデレラな」

 

 それからというもの、カチーナがツンデレラツンデレラとあまりに呼ぶので、優しい継母も愛称で呼んだ方が懐いてくれると思ったようで、

 

「お母さんも、レオナのことツンデレラって呼んでいいかしら?」

「べ、別によろしくってよ!」

 

 本当は嫌なのに、大好きな継母にそう言われたため、ついツンツンとそう答えてしまいましたとさ。

 こうしてツンデレラは久しく本名を呼ばれることはなくなり、無事に18歳を迎えることができましたとさ。

 めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「めでたくないでしょう!」

 

 ツンデレラは誰にではなく、空に向かって吠えました。

 居間で作務衣を着てまるで召使のように暖炉を掃除するツンデレラ。

 その様子を空と交信しながら見ていたユンが話しかけてきました。

 

「どうしたのツンデレラ?」

「な、なんでもありませんわ!」

 

 もしかして自分のことを心配してくれた? そんな淡い感動を覚えたツンデレラはついツンツンと答えてしまいました。

 すると途端にユンは怪訝な顔を浮かべました。

 機嫌を損ねてしまったかもしれない、そう思ったツンデレラが弁解するよりも先にユンが口を開いていました。

 

「……もしかして、ツンデレラも交信してる?」

「誰とですか!? 私が誰と交信してるって言うの、お姉様!?」

「お空」

 

 ツンデレラは電波なことを言うユンにどう対応していいのか分かりません。

 苦慮している内に、今度は2階からバタバタと品なく階段を駆け下りてくる音が聞こえてきました。

 大きな音を響かせて、居間のドアを開きカチーナが現れました。

 

「おい、聞いたかツンデレラ!」

「な、なにをですか、カチーナお姉様?」

 

 カチーナは今日も愛用の竹刀を片手に登場したため、ツンデレラは思わず体を震わせながら答えました。

 最近カチーナは殴る蹴るの暴行は加えなくなった代わりに、竹刀をビシバシと振るってくるようになりました。

 竹刀は通販で購入した名品らしいです。

 竹刀で脅されるため、悲しい事にツンレデラの家事レベルは軒並み上昇中でした(料理以外)。

 料理だけはツンデレラにやらせないカチーナは、もしかしたら本当は優しいのかもしれません。

 カチーナが竹刀をブンブン振り回しながら言いました。

 

「なんでも、今日お城で舞踏会が開かれるらしいぜ! しかも、そこでタスク王子の花嫁を決めるそうだ!」

「本当ですか、カチーナお姉様!」

 

 ツンデレラは思わず大声を上げてしまいました。

 王子の花嫁ともなれば完全に玉の輿 ── ツンデレラならぬシンデレラストーリーです。

 白馬に乗った王子様、女の子が誰でも見る夢をツンデレラも当然見ていました。

 

「大変、急いで準備しなくちゃ!」

「なに言ってんだツンデレラ!」

 

 カチーナが竹刀をピシィと走らせました。

 ツンデレラの肩がビクンと揺れました。

 

「分かってると思うけど、お前はお留守番だよ」

「そんなお姉様、殺生な。お願いですから、私も連れて行ってください」

「そんなこと言っても、家に送られてきた招待券は2枚しかねえんだよ」

 

 カチーナは懐から2枚の紙切れを取り出すと、ヒラヒラとツンデレラに見せびらかしました。

 

「保護者同伴じゃないと駄目らしいから、レフィーナお母様と私とユン、舞踏会に行くメンバーはこれで決まりだぜ!」

 

 ガッハッハ、と豪快にカチーナ笑いました。

 なんと言うことでしょう。

 舞踏会には誰でも参加できるものだと思っていたツンデレラは衝撃を受けてしまいました。

 しかし少し考えてみれば当たり前のことです。

 大事な王子の御身になにかあっては一大事、身元不明な人間を不特定多数城内に招くなど危険極まりない冒険でしょう。

 ですがなぜ招待券が2枚なのでしょうか?

 なにか巨大な悪意が渦巻いているようにしか、ツンデレラには思えません。

 

「ごめんね、ツンデレラ」

 

 綺麗に着飾った継母のレフィーナが居間に現れました。

 優雅なドレスに身を纏い、柔和な笑みを浮かべています。

 王子だろうが王様だろうが関係なく、男なら誰でもイチコロで悩殺できそうな程の美貌でした。

 もっとも、レフィーナは玉の輿なんて考えていないでしょうが。

 

「本当は連れて行ってあげたいけど、招待券が2枚しかないの。だから今日はお留守番しててもらえないかしら?」

「そ、そんなにお願いされては仕方ありませんわね!」

 

 大好きなレフィーナにお願いされたツンデレラは、顔を真っ赤に染め上げて言いました。

 

「勘違いなさらないで! べ、別にお母様のためじゃありませんからね!」

「ありがとうツンデレラ。やっぱり、あなたは優しい子ですね」

 

 気品溢れる礼をするレフィーナにツンデレラは思わず見とれてしまいました。

 ツンデレラは自分の美しさにそれなりの自信を持っていしたが、この継母には敵わないなと感じていました。

 長女のカチーナも次女のユンも人間性を除けば、それなりに美しいですし、ツンデレラの家族はみんな美人ぞろいです。

 いつの間にか真っ赤なドレスに着替えたカチーナが言いました。

 

「おっしゃあ、赤いドレス着て3倍美しくなったし、しっかり玉の輿狙うぜえ!!」

 

 気合十分、舞踏会をプロレスの試合かなにかと勘違いしているようです。

 

「行ってくるから」

 

 ユンは地味なドレスに着替えて地味に言いました。

 4人の中でツンデレラだけが作務衣です。

 悲しいです。自分だって着飾れば美しいのに。

 悔しいです。そんなツンデレラの想いを余所に、レフィーナたちは舞踏会に出かけて行きました。

 

「私だって舞踏会に行きたいのに……」

 

 ツンデレラの寂しげな独白が、誰もいない居間に静かに浸み渡りました。

 別に泣いてなんかいません。

 泣いたって仕方ないことだと分かっているツンデレラは、黙々と残っている家事を続けましたとさ。

 めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのときでした。

 

── コンコン

 

 誰かが玄関の扉をノックしたのです。

 

「誰かしら?」

 

 ツンデレラは家事をする手を一旦止め、来客の対応をするため玄関を開けました。

 そこに立っていたのは、顔まですっぽり覆い隠せる黒いローブを着た体格のいい男性で、

 

「ハァハァ、じ、自分の名前はラッセル・バーグマン。見ての通りの魔法使い ──」

── バタンッ!

 

 どうやら変態のようでした。

 ツンデレラは勢い良く玄関の扉を閉めました。

 人の家の軒先で息を切らして待ち構えているなんて、気味が悪いことこの上ない奴だととツンデレラは思いました。

 しっかり戸締りをしておかなくては……ツンデレラが玄関の扉に伸ばしました。

 しかし荒い、というよりは弱々しい黒ローブの男 ── ラッセル・バーグマンの声が聞こえてきました。

 

「す、すいません……3日間飲まず食わずなもので……よかったら水を一杯、一杯だけで構いませんから……どうか後生ですから、水を……」

「まったく、仕方ありませんわね!」

 

 軒先でくたばられても困るので、ツンデレラはラッセルを家の中に入れてやることにしました。

 言葉の通りラッセルは弱りきっていて、水一杯を与えただけでは回復しませんでした。

 可哀想になったツンデレラは、ラッセルにおかゆを作ってあげることにしました。

 弱った胃腸にはおかゆなどの消火の良いモノが一番です。

 しかし出来上がったおかゆは塩しか入れていないはずなのに、なぜか赤い色をしていました。

 

「べ、別に貴方のためではありませんが、おかゆを作ったので、良かったらお食べなさいな」

「あ、ありがとうございます、ツンデレラさん」

 

 ラッセルは震える手でおかゆを掬い、口に運びました。

 するとまるで電撃が体に奔ったかのように跳び上がり、口を押さえて涙目を浮かべ始めました。

 3日ぶりの食事の味に感動しているようでした。

 

「お味はどうかしら?」

「き、き付けとしては最高かと……(とても言えない……この世のモノと思えない不味さだなんて……)」

「良かった」

 

 ツンデレラはラッセルにパアッと笑顔を向けました。

 あまりに眩しい笑顔にラッセルは思わず顔を背けてしまいました。罪悪感に駆られた訳では、決してありません。

 

「どんどんお代りしてくださいね」

── ドンッ! 

 

 ツンデレラは鍋一杯に作ったおかゆをラッセルに差し出しました。

 ラッセルは引きつった笑顔を浮かべます。

 

「あ、ありがとうございます(頑張れ自分! ここで食べねば男が廃る!)」

「どういたしまして」

 

 小1時間経過し、なんとかおかゆを食べきったラッセルの表情は、どこか魂が抜けたようだったと、ツンデレラは言っていました。

 家に来た時とは別の意味で弱々しくなったラッセルが言いました。

 

「あ、ありがとうございます……できたらお礼がしたいのですが」

「別にいいですわ」

「そ、そう言わないで……(でなければ、なんのために毒を食べたのか分からない!)」

 

 ラッセルはそう言うと、黒いローブの中から一枚の券を取り出しました。

 それはなんと、お城の舞踏会の招待券ではありませんか。

 ツンデレラの目の色が変わりました。

 

「それ、どうなさったの!?」

「つ、つい先ほど道端で拾いまして……良かったら要りますか?」

「ありがとう、魔法使いさん!」

 

 半ば強引に奪い取るように、ツンデレラはラッセルから招待券を受け取りました。

 これで王子様に会える、ツンデレラの胸は高鳴ります。

 綺麗な服があまりないツンデレラは、継母のドレスとガラスの靴を勝手に借りて行くことにしました。

 しかしサイズが合いません。それも悲しいことに主に胸でした。

 

「魔法使いさん、胸を大きくしてくださいな」

「そ、そういうのはちょっと……代わりに服と靴のサイズを合わせて差し上げます」

 

 ラッセルは懐から小さな木の棒を出して振りました。

 するとどうでしょう、少し大きかったドレスも靴も、ツンデレラに丁度よいサイズに早変わりです。

 

「ありがとう魔法使いさん! お留守番もよろしくね!」

「え? かぼちゃの馬車とかのオプションは? というか自分がお留守番ですか?」

「そんなことより、お城までワープさせて下さらない?」

「は、はい、分かりました」

 

 ラッセルの魔法のステッキから光が迸りました。 

 ツンデレラはお留守番をラッセルに任せて、お城まで瞬間移動で跳んで行きましたとさ。

 しかし視界から居間が消える直前に、ラッセルのこんな言葉聞こえてきました。

 

「24時になると魔法は解けちゃんで、それまでには帰って来てくださいね ──」

「分かりました ──」

 

 ツンデレラはそれを肝に銘じて、舞踏会へと向かいます。

 

 

 

      ●

 

 

 

 一方、舞踏会場では……

 

「ショーン爺よ、中々に可愛い子が集まっているじゃねえか、わははは」

「まったく眼福でございますな、タスク王子様」

 

 舞踏会場を見下ろせる玉座に座っているタスク王子は、眼下で会食を楽しんでいる来客たちに目を馳せていました。

 自分の花嫁候補になりたいと集まって来た娘たちを、隣で待機するショーン・ウェブリーと共にまるで舐めまわすかのように観察しています。

 

「お、あの娘なんて地味だけど結構可愛いと思わないか、爺?」

「ユン様ですな。しかし私としては、その母親のレフィーナ様などが一押しですな。2児の親とは思えぬ若々しさ、さながら19歳のようです」

「おお、確かにいいねー。流石はショーン、お目が高けぇ!」

「恐れ入ります」

「しかもボインちゃんじゃねえか。俺、ボイン大好きなんだよ」

「恥ずかしながら、私もでございます」

「ショーン、いつもの特技見せてくれよ」

 

 タスク王子の一言に、ショーン爺の目つきが変わりました。

 まるで熟練された狩人のような視線でした。

 しばらくしてショーン爺は目を閉じて言いました。

 

「レフェーナ様のサイズは上から82、54、88ですな」

「ひゅー、流石ショーン! いつも思うけど、それってもうほとんど神業の域だぜ!」

「恐れ入ります」

 

 慇懃無礼にショーン爺は、特に頭も下げることなく答えました。

 しかし完全にセクハラです。視姦です。

 

「タスク王子、あの活発そうな娘などはいかかですかな?」

「え、あの娘? パス、絶対にパス!」

 

 ショーン爺が指差した先にいるのは、竹刀片手に飯を食べ続けていたカチーナでした。

 タスク王子は首をブンブン横に振りながら、答えました。

 

「あんなのと結婚したら、毎日タコナグリにされそうだぜ」

「同感でございますな。

では、タスク王子の嫁候補No.1はレフィーナ様ということで……」

「うむ。やはりボインは男のロマンだな!」

「同感でございますな」

「わははは、さーて、そろそろ踊ってやるとするかな ── あっ」

 

 舞踏会はその名の通り、会食後はダンスパーティーを行う予定であったため、タスク王子はそのために玉座から立ち上がりました。

 しかし同時、愛用の緑のバンダナが解けて、階下に落ちて行ってしまいました。

 

「おっと、いけねえいけねえ」

 

 タスク王子は階段を下りて、バンダナを拾いに行きました。

 子どもの頃から使っている愛用の大切なバンダナです。

 慌てて取りに行ったタスク王子でしたが、それを先に拾い上げてくれた人がいました。

 その人は無言のまま、タスク王子にバンダナを手渡しまてくれました。

 

「おっ、ありがとな」

 

 タスク王子は礼を行ってバンダナを受け取りました。

 そしてタスク王子は顔を上げて、バンダナを拾ってくれた人の顔を見上げたのでした。

 

── き、綺麗だ……!

 

 タスク王子は思わず見とれてしまいました。

 その人は美しい金髪をなびかせて、優雅にドレスを着こなし、ガラスの靴を履いていました。

 ボインではありませんでしたが、タスク王子の好みど真ん中の美女でした。

 

「べ、別に ──」

 

 金髪の女性が口を開きました。

 

「あ、貴方のために拾った訳ではありませんからね!」

── ズキューーン!!

「はうっ!!」

 

 彼女のツンツンした態度に胸を打たれて、タスク王子は倒れてしまいました。

 城内がザワメキ立ちました。

 それは世に言う、一目ぼれというものでした。

 

 

 

  

    ●

 

 

 

 憧れの王子様にバンダナを渡せたツンデレラ。

 しかし次の瞬間、王子様は胸を押さえて倒れてしまいました。

 城内がザワメキだします。

 

「お、王子様が倒れられたぞ」

 

 衛兵その1が叫びます。

 

「胸を撃たれたようだ」

 

 衛兵その2が吠えます。

 

「探せー、下手人を探せー!」

 

 衛兵隊長の咆哮が城内に木霊しました。

 

「ま、待つんだ皆!」

 

 城内が騒然とし始めた時、タスク王子は立ち上がりました。

 胸を押さえながらも、騒ぎを止める為に歯を食いしばり声を上げました。

 その様子に、ツンデレラは見とれてしまいます。

 なんて立派なお方なのだろう、と。

 

「だ、大丈夫ですか ──」

 

 と口を開きかけた所で急に恥ずかしくなり、やはりいつも通りのツンツンした態度を取ってしまいます。

 

「── か、勘違いしないでよ……別に、貴方の心配なんてしてないんだから!」

── ズバキューーン!!

「ぐはあっ!!」

 

 少し、上目使いで放たれたツンデレラの言葉に、タスク王子は再び倒れてしまいました。

 鼻血で綺麗な放物線を描きながら、タスク王子は床に後頭部を打ちつけ、白眼を剥いて気絶してしまいました。

 もはや、誰がタスク王子を討ち取ったのかは一目瞭然でした。

 

「奴が下手人だ!」

 

 玉座からショーン爺が衛兵に指示を出しました。

 

「ひっ捕まえて、服を剥ぎ取って、タスク王子のベットに運びこめ!」

「ひぃ!?」

 

 一瞬で周囲を取り囲まれしまったツンデレラ。

 彼女が上げた悲鳴に、ショーン爺が悪党丸出しの悪い笑みを浮かべました。

 

「ふふふ、実に良い。そこのツンツンした貴女、実にタスク王子にお似合いですね」

 

 ショーン爺の目がキラリと光りました。

 その瞬間、ツンデレラは悪寒を感じたので、胸とある部分を手で隠しました。

 それを見たショーン爺はにやりと笑みを浮かべます。

 

「私の特技を見破るとは……やはり貴女こそ、タスク王子に相応しい! 

衛兵たち、早くタスク王子のベッドに運び込みなさい!」

「な、なにをなさるんですか!?」

 

 衛兵に拘束されてしまったツンデレラの問いに、ショーン爺はやはり悪い笑顔を浮かべながらこう答えました。

 

「なーに、ただの婚前交渉という奴ですよ」

「いやーーー!!」

 

 城内にツンデレラの悲鳴が響き渡ります。

 しかし誰も助けの手を差し伸べようとはしてくれませんでした。

 当たり前でしょう、相手は国家権力のトップです。

 手を出せば、例え貴族であろうとも潰されてしまうのがオチでした。

 継母のレフィーナも次女のユンも、驚きのあまりか固まってしまっていました。

 もはや状況は絶望的でした。

 これからツンデレラはベッドに連れ込まれて、あーんなことやこーんなことをされてしまうのだと……覚悟決めた、そのときでした。

 

「待ちやがれ!」

 

 長女のカチーナでした。

 竹刀を振り回しながら、真剣持ちの衛兵をバッタバッタとなぎ倒しながら近づいてきます。

 

「カチーナお姉様!」

「大丈夫か、ツンデレラ!」

 

 真っ赤なドレスをなびかせて、カチーナの剣技が冴えわたります。

 ツンデレラを庇って闘うカチーナの姿は女性なのにとても男前でした。

 全ての衛兵をなぎ倒し、カチーナは竹刀をショーン爺に付き付けて言いました。

 

「やい、シングウジ王国の王子タスクに、その爺やのショーン・ウェブリー!」

 

 驚いているツンデレラを余所に、カチーナは胸元から真っ赤な手帳を取り出しました。

 なんだか○オンの国旗のような紋章のついたそれを、まるでどこかの老人の印籠のようにショーンに付き付けます。

 手帳を見たショーンは驚愕の表情を浮かべました。

 

「そ、それは国際警察の紋章 ──」

「そう! 国際警察『ヒリュウ・カスタムズ』の潜入捜査員、それが私、カチーナ・タラスクさ!」

 

 国際警察……なんだろうそれは? とツンデレラは思いました。

 しかしショーン爺たちは震えあがっていました。

 本当に悪いことをしている人たちが警察に見つかった時にする顔です。

 ドバーン、と押し寄せる津波を背景に召喚しながら、カチーナが吠えました。

 

「周辺諸国および自国内での、美女拉致監禁事件の現行犯で逮捕する!」

「くっ、なんということだ! タスク王子が見境ないから……こうなれば、貴様を消して ── !」

「いいぞいいぞ、そこから一歩でも動いてみやがれ! タコナグリにしてやるど!!」

 

 竹刀を構えるカチーナにショーン爺は、ひいっ、と震え上がりました。

 こうして、タスク王子とショーン爺一味はひっ捕えられました。

 女性の敵が、また一つ世界から消えた瞬間でした。

 

 めでたしめでたし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちょっと、私のシンデレラストーリーはどうなるの!?」

「少し黙ろうかツンデレラ」

 

 納得できずに叫ぶツンデレラに、カチーナは愛用の竹刀をチラつかせました。

 

「そんなことより、お前家事はどうしたんだ、アアーン!?」

「ひ、ひぃーー!」

 

 ブンブン竹刀を振り回すカチーナに追われながら、ツンデレラは家へと走って行きました。

 ツンデレラを追い掛けるカチーナの表情はとても活き活きとしていました。

 

「あらあら、やっぱりカチーナとツンデレラは仲がいいわねえ」

 

 継母のレフィーナがにこやかに言います。

 そんな訳ないだろう! 

 反論をする暇も与えないカチーナの猛追に、ツンデレラは猛スピードで家へと急ぐのでした。

 果たして、ツンデレラに平穏の日々は訪れるのでしょうか?

 本名も忘れられたツンデレラの苦悩の日々は続く。

 

 めでたしめでたし。

 

「めでたくない!」

 

 

 

 

 

 一方、ツンデレラ宅に放置されたラッセルはと言うと……

 

「うーんうーん、痛いよー苦しいよー」

 

 お腹を押さえて、トイレから出れなくなっていましたとさ。

 哀れ。

 頑張れラッセル、負けるなラッセル。 

 明るい未来がきっと君を待っている、はず……。

 

 

 

 

 

 

 

 

      ●

 

 

 

 俺の名前はキョウスケ・ナンブ。

 俺の心には強烈な感動の荒波が押し寄せていた。

 それはなぜか、今から説明することにしようと思う。

 なぜか高校の密集する地域、『エリア』一のマンモス高校 ── OG《オリジナルジェネレーション》高等学院、通称ジェネ高の映写室に今俺たちはいる。

 もしかして、ジェネ高の存在は忘れ去られはいないだろうか?

 まさかな。

 いくらなんでもそれはないと、俺は思っている。

 

「欲に走ったとしても、結局は権力により押しつぶされる ── うむ、欲をかいたり、玉の輿など狙わずに毎日を堅実に過ごしなさい、というテーマが込められているな」

「ギャンブラーの台詞ではないでござりんす」

「それに、シンデレラってこんなお話だったかしらん?」

 

 両隣りの席にいる、エクセレンとラミアが好き勝手に言ってくれている。

 先ほどまで俺たちが見ていた映像は、ジェネ高の第2映像研究部『ヒリュウ・カスタムズ』の作った作品であった。

 しかしシンデレラがどんな話かと訊かれると、俺も答えることはできない、

 他力本願な少女が、動物や人外の力を借りて、運と美貌だけで成功するタナボタストーリーだったきがする……少し、いや大分違うか?

 しかしラミアよ、なぜお前はまたジェネ高にいる?

 お前は影鏡高校の生徒のはずだろう。

 いつもジェネ高にいるのなら、もういっそのこと、こちらに転校してくればよいものを。

 

「私の姉は灰かぶりだったのでやんす」

「意味が分からん」

「女の子は皆シンデレラってことよん♪」

 

 今日も俺たちの楽しい一日は過ぎていく ──

 

 

 

ここはOG高等学院。

『エリア』にある地域最大のマンモス高校だ。

今日も、楽しく愉快な仲間達がアホな事件を巻き起こす。

次はどんな事件が起こるのだろう……それは誰も知らない。

 

 




<キャスト>
ツンデレラ:レオナ・ガーシュタイン
継母:レフィーナ・エンフィールド
長女:カチーナ・タラスク
次女:ユン・ヒジョウ
王子:タスク・シングウジ
爺や:ショーン・ウェブリー
ナレーション:作者

でお送りしました。



<次・回・予・告>

エクセレン「イェーイ、久しぶりに本文に登場のエクセレンちゃんでーす!」

キョウスケ「主役のキョウスケ・ナンブだ」

エクセレン「なんでも今回の話は、レオナをツンデレラって言ってみたかったから書いただけみたいよん」

キョウスケ「……どうしようもない作者だな」

エクセレン「しかも、途中でオチ考えるのが面倒になったんで、カチーナさんに始末をお願いしたそうよ」

キョウスケ「……本当にどうしようもないな。まぁ、いい。次回予告にいくか」


キョウスケ
「俺の名前は ── 以下略 ── だ!
次回もまたしても学園に関係ないぞ!
その男、バイトの達人にして蹴りの達人!
次回、スパロボ学院、「史上最強のフリーター」
どんな相手だろうと、打ち貫くのみ!!」


エクセレン「スパロボTOPもよろしく!」



sibugakiさん、disさん感想ありがとうございます!
こんな思いつきのみの小説読んでくれてありがとう。
これからもチビチビ書いていくので、良かったら読んでくださいね。

これ書いてて、レオナの口調が分からなくなりました。
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