ウルトラマンティガ シンデレラギャラクシー 作:ヴェルミナティー
今回から第2話です
ごめんなさい、見捨てないでくだ「お前は謹慎だ」
・・・
都内某所 346プロ
「あっ、響子ちゃん」
「おはようございます。早苗さん」
エレベーターを待っていた響子に声をかけたのは事務所の先輩アイドル【片桐 早苗】だ。
「災難だったわね。2週間前、新宿にいたってあなたのプロデューサーくんから聞いたわ。怪我とか本当にしてないのよね?」
「はいっ、大丈夫です!ご心配おかけしました」
笑顔で答える響子に早苗も微笑む。
そこにエレベーターが到着、2人も乗り込みそれぞれの行き先のボタンを響子が押す。
「ありがと。ところで響子ちゃん」
「はい?」
早苗が何かを尋ねてくる。
その顔は少しニヤリとしている。
「その日新宿にいたのは、憧れの幼馴染とのデートだって聞いたけど?」
「デデデっ、デートってアキくんとはそんなっ!」
「へぇ、アキくんねぇ」
慌て過ぎて墓穴を掘ったことに気づいた響子は顔を真っ赤にする。
そこまでからかってから早苗は、
「あははっ、ごめんごめん」
からからと笑い出した。
「うー、早苗さん...」
「もぅ、そんな顔しなさんなって」
流石は元婦警。
「でも私、仮にもアイドルですし...」
そう言って俯く響子に早苗は。
「確かにね、でもね響子ちゃん。人生は一度っきりなのよ。後悔したまま終わるより今を精一杯、全力で生きることが大切だと思はない?」
「今を精一杯...」
思わず反芻する響子。
そこでエレベーターが早苗の目的地に着いた。
「まっ、バレなきゃいいのよバレなきゃ。それじゃあね」
そう言ってエレベーターを降りる早苗。
「ちょっ、早苗さんがそんなこと言っていいんですか!?」
あははー、と笑って立ち去る早苗に突っ込む響子。
「はぁ」
1人っきりになったエレベーターでため息をもらす。
「そういえば、アキくんは今日からあたらしい学校かぁ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
都内 とある公立高校2年1組教室前
「えー、今日は転校生を紹介します」
教室内から先生の声が聞こえる、ざわつくクラスの声も。
うん、何度も経験していること。
伊達に世界中の国々を転々とした訳じゃ無い。
「では、入って来てください」
先生に促され教室内に入る。
落ち着けおちつけもちつけ、違う。
黒板の前に立ち、そこに名前を書く。
そして、
「円 明人です。両親の都合で6年間海外を転々としていました。趣味は読書と映画観賞です。本日よりよろしくお願いします」
ありきたりと言われればそれまでだがシンプルな自己紹介をする。
新しいクラスメイト達も拍手で迎えてくれた、よかったぁ。
「えー、では円君は新城くんの後ろの席に」
「はい」
そして先生に指示された教室の一番奥、窓際の席に向かう。
「よろしくな、円」
前の席の新城くんが声をかけてくれた。
「よろしく」
僕も笑顔で返した
「では、授業を...あー多田さん?」
教卓で授業開始を宣言しようとした先生が1人の生徒の名を出す。
そして僕と反対の一番奥の席に座る、というか寝てる1人の女子生徒に近づく。
「多田さん、起きなさい」
「えへへ、みくちゃんもうすこしー」
クラス中で小さな笑いが起こる。
すると多田さん?が目を覚まし。
「ふぁー、お母さん?」
流石に僕も吹いた。
クラスメイトは大爆笑だ。
失言に気づいたのか顔を真っ赤にする多田さんに先生は。
「多田、私はみくちゃんでもお母さんでもありませんよ?」
「あわわ、すいません!」
謝る多田さんに口々に声をかけるクラスメイト達。
でもそこに嫌味はない。
「面白いクラスだろ?」
新城くんがこっちに声をかける。
「確かにね」
いいクラスに来れたようだ。
「それにしてもこんな時期に転校ってなぁ」
授業の合間の休憩時間。
何人かのクラスメイトに囲まれた僕に新城くんが声をかける。
「ほんまやなぁ、もう5月の後半やで」
新城くんの言葉に同意する、えぇーと?
「あぁごめんな、ウチは
堀井さんか。
「よろしくね、堀井さん」
「おっと、俺も名乗ってなかったな。俺は
改めてよろしくなっ、円」
「こちらこそ」
早速クラスメイト2人の名前を知れた!
「んで、もうリーナ、いつまで拗ねてんの〜?」
堀井さんが声をかけたのは先ほどの、
「うぅー、だってぇ〜」
そう言いつつこっちにくる女子生徒、確か、
「えっと、多田さんだっけ」
「あぁ、うん。多田 李衣菜だよ、よろしくね。えーと」
「円くん、円 明人くん」
堀井さんがフォローする。
「あぁごめんね、円くん」
「ううん、気にしないで多田さん」
僕がそこまでいうと今度は新城くんが。
「円、多田はこんなんでも実はアイドルなんだぜ」
と言った。
「アイドル?」
えぇ、マジで?
「もぉ、新城くん。これでもって何さ」
多田さんが文句を言う。
「それに私はただのアイドルじゃないよ。ロックなアイドルなんだから!」
ロック?岩?あぁ
「ロックってジャンル?クイーンとかボン・ジョヴィとか?」
そう言うと何故かみんな俯いてる、いや笑いを噛み殺してる?
「あれ?違った?」
慌てる僕に新城くんが笑いをこらえながら首を横に振る。
そして多田さんの方を指差す。
で、その多田さんは、
「え、あ、う、ん、うん」
すごく目が泳いでた。
「あの、多田さん?僕何か間違ってた?」
すると今度は堀井さんが。
「やっ、やめ、たげて円くん。リーナはっ、ふふふ」
すんごく笑いをこらえながらそう言ってきた。
で、やっと多田さんが。
「もっ、もちろん知ってるよ?知ってるからね!
ヴィクトリアとかっ!」
クラスが再び爆笑に包まれた。
後から教えてもらったが、
多田さん自身は真面目にロックなアイドルを目指しているらしいけど。
元の性格が真面目過ぎて色々
まぁそこが愛される理由らしいけどね。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
『へぇ、李衣菜さんとおんなじクラスになったんだ』
その日の夜、僕は自室で響子からかかってきた電話に応答している。
「うん、やっぱり知ってるんだ」
『何度かお話したことがあってね。李衣菜さんってお料理も得意なんだよ』
ますますロックから遠ざかってるな。
「それに、多田さんだけじゃなくて、クラスメイトもみんな良い人たちでね」
『ふふっ、よかったね、アキくん』
電話の向こうの響子が嬉しそうに笑う。
「そっちはどう?」
『今日はレッスンだよ、ダンスレッスン。大変だったけど私も卯月ちゃんと美穂ちゃんのおかげで頑張れたんだ』
「卯月さんと美穂さん?」
僕が尋ねる。
「うん、島村 卯月ちゃんと小日向 美穂ちゃん。2人とも歳上だけどとっても優しくて可愛いんだよ』
そっか、
「良い友達なんだね」
『うん!アキくんも沢山お友達が出来るといいね』
響子の言うとおり、これから卒業まであの高校の一員なんだから、友達が多いな越したことはない。単純に楽しいしね。
『あっ、もうこんな時間』
電話の向こうの響子が言う。
確かに30分くらい話してたみたいだ。
『それじゃあまたね、アキくん』
「うん。またね響子」
電話を切ると僕は背伸びをしてテレビをつける。
夜の報道番組で光の巨人特集をやっていた。
まぁつまり僕の特集ってことで、そう思うと恥ずかしいな。
僕はふと机の上に置いた
事情を知る人たち−僕の両親など−から【スパークレンス】と呼ばれるようになったそれに。
「光の巨人...か...」
光の巨人、ティガについて意見を交わすアナウンサーとコメンテーター。
街の人のインタビューも肯定的な意見、否定的な意見、結果はばらばらだ。
「...」
僕はチャンネルを適当にいじる、やってたのはバラエティ番組。
『闇に飲まれよ!』
やけに物騒なことを言う女の子が映っていた。
周りはうけてるし本人も悪意が無さそうなのでそう言うキャラなのかもしれない。
その番組をつけながら僕は明日の用意を始める。
ティガになったことも、怪獣と戦ったことも後悔は無い。
それにいつもいつもあんな事が起こるわけでも無いんだ。
変に悩むより僕は僕の日常を大切にしよう。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
都内某所 ビルの屋上
「えぇ、素晴らしかったですよ。お二人共」
電話の向こうの相手にそう言うのは2週間前、あの事件の発端となった白髪の青年だ。
「それでは、また明日。おやすみなさい」
電話を切る青年。
その顔には笑顔が浮かんでいる。
「えぇ、素晴らしかったですとも」
ゾッとするくらい邪悪な笑顔が...
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「人為的?」
コンパクト情報端末【GUTSCOM】からの通信に答えるのは片桐 早苗。
『あぁ、それがラボの見解だ』
通信からは深妙な男の声が聞こえる。
「あれだけのことをどうして...まさかテロ?」
早苗の声はいつもより冷静に、しかし怒りを隠しきれない様子だ。
『まだそこまではわからない、とにかく一度ダイブハンガーに』
「ふぅ、了解です。隊長」
自分を落ち着けて応答する早苗。
そのまま通信を切り歩き出そうとしたところで。
「あら、早苗ちゃん。いま上がり?」
同期の友人【川島 端樹】に声をかけられた。
「えぇ、そのはずだったけどね」
そう答える早苗に。
「なるほど...大変ね」
と何かを察する様に言う端樹。
「それじゃあまたね」
立ち去ろうとする早苗だったがその背を、
「早苗ちゃん」
端樹が呼び止める。
そして振り向いた早苗に一言。
「みんなの世界をよろしくね」
微笑みを浮かべ、今度こそ立ち去る早苗。
その後ろ姿は強い覚悟を秘めた背中だ。
彼女【片桐 早苗】は元婦警のアイドルである。
しかしそれは表の顔、特捜チームGUTSの現役副隊長。
それが彼女のもう1つの顔である。
「もう誰も、失うもんか」
誰にも聞こえない小さな声で早苗は呟いた。
現状、早苗さんと楓さん、晶葉ちゃんが防衛チームです