イナズマイレブン1!2!3!4!? 比企谷 八幡伝説   作:投げやーりー

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こうして、帝国学園と試合する。

「…それで、一週間後の練習試合で帝国学園に勝たないと俺達廃部にされちゃうらしいんだ!」

 

と、円堂は楽しそうに言いやがった。

 

「おい!円堂!笑い事じゃねぇぞ!」

 

そう染岡が怒るのも最もなのだが、円堂は確かめたいのだろう、俺たちの力があの帝国にどの程度通用するのか…

 

だから笑っていられるのだろう。

 

「だってあの帝国と試合できるんだぜ俺達!日頃の練習の成果を思いっきりぶつけて良いんだよ!あの帝国ならきっと俺たちの全力でもまだ足りないくらいさ!」

 

まあ、シュートチェインの実験の反省は大切だよな……

あれからシュートチェイン実験は円堂がキーパーとして立ち会いの元行ってるしな…

 

「それにお前達もおんなじ相手と試合してるばっかりじゃ強くなれないって分かってるんじゃないのか?俺はもっとサッカー皆で上手くなって、そして、フットボールフロンティアで優勝するんだ!」

 

円堂は皆に対してそう言い切った。

 

「…っけ!たくしょうがねぇ!ならこの雷門のエースストライカーであるこの俺!染岡 竜吾がド派手に帝国のキーパーから点数奪ってやるよ!」

 

「俺も帝国と戦うぜ!あのイタリアの白い流星みたいに!……とはいかなくてもさ、俺は俺なりに全力を尽くすぜ!」

 

「俺もやるぞ、そして俺の存在感を見せつけてやる!」

 

「全く、しょうがない人たちですね、この目金 欠流の頭脳とサッカーのテクニックを披露しなければ帝国には逆立ちしても勝てませんよ。」

 

「先輩達がやるならオイラだってやってやるでやんす!」

 

「俺も、こ、怖いけどやるッス!サッカー部潰れるほうが怖いッスから!」

 

「俺もやりますよ!キャプテンや先輩達には敵わなくたって俺にはグレネードショットって言う必殺技があるんだ!」

 

「俺だって!皆と特訓して覚えたクンフーヘッドや竜巻旋風があるんだ!帝国にだって負けるもんか!」

 

 

こうして、全員の士気が上がるのは良いことだ、良いことなのだが……

 

「メンバーひとり足りないんだよなぁ……」

 

俺のツイートに全員が注目する。

 

何だろう、いいねよりうーんを取る自信に満ち溢れるこの感覚……

 

「そ、そうだったーー!!」

 

と、円堂が騒ぎ出し、結局スカウトにて部員を集めることになった。

 

そうして1日で集まった部員は二人、一人はたまに俺たちの練習に参加してくれた円堂の親友で陸上部のイケメン風丸、そしてサッカーに興味を持った松野ことマックス。

 

これで部員どころかベンチ要員までが揃い、俺達は更に6日間の詰め込み練習をした。

 

この詰め込み練習で著しく成長を遂げたのがマックスだった。

 

自分で器用と言っていただけのことはあり、俺の教えた必殺技をまるでスポンジのように覚えていった。

 

風丸も陸上部での速さを生かしたオリジナルの必殺技、疾風ダッシュと言う技と分身ディフェンスと彗星シュートを習得し、何とか試合で活躍出来そうだ。

 

円堂は練習の合間にも去年木戸川清修でエースストライカーをつとめていた転校生、豪炎寺をスカウトしている様子だった。染岡は「ストライカーは俺だけで良い!」と、面白く無さそうにしていたが、入ったら入ったで切磋琢磨してくれそうなので反対はしない。

 

こうして、サッカー部の命運を賭けた試合に向けて、俺達は努力し続けた。

 

 

そして、試合当日である。

 

黒い大型トラックからド派手に登場した帝国の選手達は俺達を値踏みする価値も無いような目で見ていて、正直ムカついたが、侮ってくれるぶん隙が突けるのでありがたい、だがあのドレッドゴーグル、帝国キャプテン、鬼道 有都だけは不敵な笑みを浮かべるもののどうやら油断していないようだった。

 

正直苦手なタイプだ。

 

円堂は帝国選手達に挨拶をすると、帝国選手はこのグラウンドで慣れるためにアップの許可を申し出たようだった。

 

円堂はもちろん断ることなく許可を出した。

 

こうして、帝国選手達はアップを始めた。

 

流石に全国優勝40年連続は伊達では無いらしく、チビのリフティング何かは、とある同世代の選手の動画を見て憧れを抱き、一番リフティングの上手くなった半田と同等の速度でリフティングをしていたし、他の選手のアップもどれも目を見張るものばかりだった。

 

こちらもアップを開始すると、突如ボールが円堂に向かって飛んできた。

 

円堂はそれを危なげなく片手で取ると、「張り切ってるのは分かるけど気をつけて練習してくれよー」と言って、帝国側にボールを投げ渡した。

 

こうして、俺たちのアップは完了し、ポジションに着こうとしたときに思い出す。

 

俺達は錘を着けたままアップしていたことに…、一旦ベンチへ戻り、皆それぞれ錘を外すと再びフィールドに戻り各自のポジションへと着いた。

 

 

FW 染岡 宍戸

 

MF 目金 マックス

少林寺 影野

 

DF 栗松 半田

 

比企谷 壁山

 

GK 円堂

 

 

 

風丸は控えとして待ってもらう。今回は戦力として未知数なマックスが果たしてどれだけ活躍出来るか期待したいし、データが無いから不意が突けると言う意図もありマックスを参加させている。

 

そして、遂に試合開始のホイッスルが鳴り響く。

 

何か同じクラスの角馬が実況してるが、気にしないようにしておこう。

 

 

こちらを嘗めているのか、相手側のFWは染岡にパスを回した。

 

しかもご丁寧に挑発付きで…

 

あー、大丈夫か…染岡キレて前半に必殺技を使う何てヘマやらかさないだろうな……

 

 

………

試合前のミーティングで、俺はある作戦を提案した。

 

「なに!?試合前半に必殺技を使わないって…比企谷、何でまたそんな作戦を…」

 

まあ、真っ向勝負を好む円堂らしい質問である。

 

「多分だが、帝国は今回練習試合そのものが目的じゃないはずだ。そもそもそれ自体が目的ならもっとレベルの高い所と練習試合するはずだからな。」

 

「じゃあ帝国の目的は一体何だって言うんだ?」

 

そうだよな、円堂…そこ気になるよな

 

「恐らくだが豪炎寺だろう、あいつのデータを取りたいんだろうな…」

 

「おいおい何いってんだ?豪炎寺はサッカー部に入部してないし、何より本人がサッカーを辞めたって話じゃねぇか!何だってそんな奴のデータを…」

 

噛みつくなぁ染岡…

確かに雷門の今のエースストライカーはお前だ。

 

だが、

 

「染岡君、それは帝国がそれだけ豪炎寺 修也と言う人物をマークしていると言う証拠に他ならないと言うことですよ。

 

いつ、どのような状況で豪炎寺君がこのサッカー部に入部するのか帝国はおろか僕達にすらわからない状況です。帝国としてはそのような不確定要素を減らしたいのかもしれないですね。

 

つまり、豪炎寺君のデータが入手出来るかも知れない…、帝国から見たらそれだけでも僕達雷門中と練習試合をする価値があるのでしょう。」

 

と、目金の見解だ。

 

ほぼほぼその通りだと思う。

だが、サッカーは俺が言うのもなんだが、チームプレイだ。

 

 

例えば俺の場合は普段は徹底してフォローに回り、不意をついて攻勢に回る。と言う相手の裏を常にかくタイプの選手だ。

 

染岡は普段は攻めの姿勢を全面に出すが、自分以外の味方にチャンスがあれば、絶対に最高のタイミングで最高のパスを出す。

 

サッカーはそんな、個人個人の個性を絡み合わせてひとつの作戦を作り、ひとつのチームとして戦うものであり、誰かひとりが強くてもサッカーでは勝てない。

 

全員の力が噛み合って初めてサッカーで勝つことが出来る。

 

そんなことがわからない程、帝国のレベルが低いと言うことはないと思うんだが……

 

「ま、目金が言った通りの理由で帝国は練習試合をするわけだ。

 

つまり、帝国は豪炎寺以外に本気何て出しはしないだろう。なら、出来る限りこっちの情報を漏らさないように此方を弱く見せようってだけの話だ。

 

どうせフットボールフロンティアに参加するなら同じ地区に帝国がいる限り地区予選と言う早い段階で試合することになるしな。その時にこの試合で情報を渡しすぎて負けました何て笑えないしな。

 

それに早い話、この作戦は相手の油断を誘う作戦と言う側面もある。

 

言っておくが別に無理にこの作戦に乗る必要は無いからな?全力を出すなって言ってるわけでも無いしな。実力差が有りすぎたりで無理があるなら必殺技を使ったって良いわけだし。

 

けどまあ、後半は特にこれと言って言うことは無いな。

 

帝国だろうが何だろうが本気で勝ちに行くし。」

 

 

 

…………

 

あの根拠のほとんど無い俺の強気な姿勢にチームメイトは更に士気を上げたが、何が帝国だろうが何だろうが本気で勝ちに行くって、自分で言って転げ回りたくなるほど恥ずかしいんだけどぉ!?

 

そんな俺の思いなど露知らず、試合は刻一刻と進む。

 

「染岡上がる上がる!相手のスライディングをボールを挟んでジャンプしてかわす!正面のディフェンスもヒールリフトを使ってボールを操り難なく突破!」

 

角馬の実況がかなり上手くてヤバイと思っていたら、染岡は上がってきていた半田にパスをする。

 

半田はドリブルとリフティングを的確にかつ華麗に使い、帝国選手達を抜き去ると、宍戸へパスを回す。

 

染岡や半田ほどでは無いものの、危なげなく帝国のディフェンスを掻い潜った宍戸は、染岡へパスをした。

 

パスを受け取った染岡はゴール前まで行くと、シュートを放った。

 

シュートを受けたキーパーは予想以上の衝撃に驚いたのか表情を崩し、シュートの威力で後ろへ押されつつも何とかシュートを止めていた。

 

「くっ……油断したか!まさかノーマークの弱小校がここまでの威力のシュートを出せる選手を隠し持っていたとはな…鬼道!」

 

帝国のキーパーはそう言うと、鬼道にボールを投げてパスをした。

 

鬼道はボールを受けとると……

 

「弱小校の様子見に来た筈が思わぬ収穫だった。なかなかに良い練習試合が出来そうだ……デスゾーン開始!」

 

鬼道はそう言うと眼帯にボールをパスした。

 

眼帯は先程とは見違えるような動きで攻め上がり、パスをする。

 

いや、眼帯野郎だけでなく帝国全員の動きが先程までと全く違っていた。

 

良く訓練され、統率された軍隊のそれを思わせる見事な連携に次ぐ連携に俺は舌を巻かれた。

 

そして、この連中の動きを掌握し勝利へと導く鬼道の指令が加わると思うと身震いすらする……

 

だが、そんなどうしようもない状況にも関わらず、俺は口角が上がるのが分かった。

 

どうしようもなく、俺はこの試合が楽しくなってきた。

 

やれやれ、俺も円堂のことは言えないな……

 

そう思っていた時だ。目金のディフェンスを破ったチビと眼帯と長身ドレッドがボールと共に飛び上がり、3人が同じタイミング同じ速度で回転し、ボールにパワーを送り出す。

 

そして、同じタイミングで3人がボールをシュートした。

 

「「「デスゾーン!」」」

 

黒いエネルギーに覆われた強力なシュートはゴールに吸い寄せられて行く。

 

だが、円堂は必殺技を使わずに真正面からそれを受け止める。

 

 

「うおおおおお!!!」

 

受け止めはしたが、流石帝国の必殺技、ボールは円堂ごとゴールに押し込んでいく。

 

「ま、け、る、かぁーーー!!!」

 

しかし、円堂は気合いでボールを押さえ前進していく

。すると、ボールの勢いは徐々に失速していき、遂にその勢いを止めたのだ。

 

そう、帝国の必殺技を気合いと根性で円堂は見事防ぎきってしまったのだ。

 

これは下手に必殺技を使うよりも凄い結果になってしまったと言える…な。

 

うん、ヤバイぞこれ、明らかに帝国本気で警戒しちゃうよね?確実にうちを潰しに来ちゃうよね?

 

 

どうするんだよこれ、こんなことになるなんて考えてねぇよ!必殺技封印の舐めプして負けてサッカー部廃部とか洒落になんねぇぞ……

 

「へへ、凄いシュートだぜ!だけど俺達も負けねぇ!みんな!勝つぞ!」

 

「「「「おう!!」」」」

 

円堂の一言で士気を上げた俺達サッカー部のその後の試合展開は俺の予想を大きく越えていた。

 

必殺技を使わずとも、あの帝国に渡り合えていたのだ。

 

しかも、必殺技を使用している帝国に対してだ。

 

これは嬉しい方向で誤算だったと言わざるおえない。

 

これでこの雷門中が全国レベルで通用するサッカーチームであることが証明されたのだから。だが、まずはこの試合に確実に勝つことからだ!

 


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