IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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お待たせしました。なんとか形になりました…今回はスパロボと言えば!的なものを入れてみました!




STAGE10

ステークを突き出すと黒いISは雪片モドキでそれを払い、五連チェーンガンを至近距離で撃てば半身をずらしかわす。こちらの攻撃は悉くかわされるだけでなく黒いISが踏み込み、振るってくる雪片モドキを俺はステークで防ぐのに手一杯という状態になっていた。

 

「ちっ!なんなんだよ!?このISは!!」

 

舌打ちしながらもギリギリのところで刃を防ぐ。正直言って何時、致命的な一撃が来るのかそこに集中している為、俺自身かなり疲弊してきていた。少しでも逃げの一手を打てばあちらは間違いなく必殺の一撃を繰り出してくることだろう。何故かそれをイメージ出来る自分がいる。

 

『聞こえているか?秋』

 

このくそ忙しい時にどいつだ?そう吐きたくなったがそれすらも隙になる。なので簡潔に返す。

 

「なんだよ!?」

『今の状況を簡単に説明する。良く聞け。お前が相手にしているのは“織斑千冬”の戦闘データを元に再現できるよう変貌したシュヴァルツェア・レーゲンだ。織斑千冬そのものと思って戦え!』

「姉貴の?」

 

一瞬聞こえた姉貴の名前に思わず反応してしまう。その隙を見逃すほど敵は甘くなかった。俺が気づいた時には既に空いていた距離を一瞬で詰め、刃を振り抜いていた。

 

「こいつは飾りじゃないんだよ!!」

 

間一髪、頭部のヒートホーンで受け止めそらす。それでも首にかなりの負荷がかかった。正直、これで受け止めるのはやめよう。だが今の一撃で分かったこともある。

 

「…姉貴のデータを使って、こんな紛い物しかできねぇんだな…」

『ん?』

「今の一撃、姉貴のだったら俺の首は折れてた筈だ」

 

俺のつぶやきが意外だったのか声の主が聞き返してきた。内側からどんどん黒い感情が溢れてくる。それを止める気がない俺は黒いISにステークを突き付け。

 

「おい。お前はやっぱりモドキだわ。織斑千冬の太刀筋はもっと早くて重いんだよ!その程度で姉貴を語るな!」

 

胸の奥に溜まっていた物を吐き出した。ああ、どうやら俺は相当怒りで頭がいっぱいになっていたみたいだ。当たり前の事に気が付いていなかった。敵が持っている雪片モドキ。自分でそう言っていても俺はまだ姉貴の刀に執着していたのかもしれない。俺じゃああの刀を受け継ぐことは出来ないって理解していたのに……

 

「ったく。俺は相当、未練が残っていたみたいだ。偽物に心を惑わされてこの様だ……」

 

絶好のチャンスなのに襲ってこない黒いIS。そいつを俺はバイザー越しに睨み付け。

 

「なあ?お前はどんな気分だよ?ラウラ・ボーデヴィッヒ」

 

あの中にいる存在に問いかけた。

 

「システムなんかに飲み込まれてお前が尊敬する織斑千冬の技を汚している気分は!」

 

そうだ。思い返せ。俺、いや俺たちが見てきた織斑千冬の技はあんなものだったか?

 

否!否!否!否!否!否!

 

その姿、太刀筋、そして圧倒的な強者足りうる気迫。その全てを併せ持ち、それを体現してきたからこその天下無双、最強無敗の剣姫。それが俺たち兄弟の自慢の姉貴だったはずだ。それを再現する?どこのどいつだ?そんなふざけたもんを作った奴は!!それだけじゃねぇ同じようにあの背中を追いかけた癖に紛い物に簡単に手を出したアイツは姉貴を裏切った!思いを踏みにじった!!これ以上、姉貴を、織斑千冬を汚すんじゃねぇ!!!

 

俺の内なる叫びを感じたのか一瞬、ビクッと震えたような気がした黒いISは迷いを振り払うかのように刀を構え踏み込む。

 

「遅ぇ」

 

気づけば眼前に居た敵を俺はステークで殴り飛ばしていた。そのままブーストを使い距離を詰め、今度は蹴り上げる。さらにブーストし上昇。追い抜くとステークの撃鉄を起こし。

 

「御託はいらねぇ!」

 

無防備な背中にステークを叩き込み轟音と共に地面へと叩き付けられたISを見下ろしながら俺はステークを構える。

 

「おい。何をしている?早く立てよ。このクソ野郎」

 

そのどてっぱらに風穴開けてやるよ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「あれ?もしかしなくても秋君キレてる?」

 

アリスの呟きに答える者はいない。モニター越しとはいえ孤狼からにじみ出る殺気は本物だ。もしこの場に鈴が居ればこういっていただろう。

 

『中学時代の秋が戻ってきた』と。

 

「まずいな。私は余計な事を言ったのかもしれん。アリス。念のためピットへ迎え。最悪の事態を防ぐためにな」

「分かりました!」

 

驚くアリスに指示を出すとハウはある人物へ問いかけた。

 

「そこの君。ラージ君といったか?ボーデヴィッヒを助けるにはどうすればいい?」

 

ハウの言葉にラージと呼ばれた青年は少し考えた後。

 

「もしボーデヴィッヒ少佐がシステムに取り込まれてなお意識を保てていると仮定した場合ですが精神的なゆさぶりをかければシステムを一時的に切り離すことが可能かもしれません」

「具体的には?」

「そうですね。簡単に言えば感情の起伏。それも怒りなどの感情は精神への干渉を促すシステムを打破するには都合がいいですね」

「ということだ。秋やれるな?」

 

マイクをつなげていたのだろうハウが確認すると。

 

『あぁ?なんで敵を助けなきゃいけないんだよ?こいつは潰す。もう二度と姉貴の面を拝めないように徹底的にな!』

 

返ってきたのは来たのは敵意にあふれた拒絶だった。それを聞きハウの頬を冷たい汗が伝う。

 

「(まさかここまで容赦しなくなるとは……)」

 

だがここで秋を説得しなければ、そう決意し声をかけようとした時だった。

 

「落ち着かんか!馬鹿者が!それこそ千冬を悲しませるぞ!」

 

そう叫んだのはハウからマイクを奪ったグレッグだった。

 

『……どういう意味だ?』

「少しは聞く耳を持ったか。お前たちは聞かされていないのだろうがな。千冬はお前たちにいつかボーデヴィッヒを合わせたいと常々言っていたんだぞ」

『……なんで??』

「千冬にとってこのドイツの一年間は教官として振る舞っていたが特にボーデヴィッヒを妹のように気にかけていた。当時の彼女はそれこそ廃人寸前まで追い込まれ、酷いありさまだった。そんな中、織斑千冬が差し出した手は彼女にとってはまさしく救いの神だったのだろう。なんだかんだいいながらも千冬は彼女と一番多くの時間を過ごしていたからな。それがボーデヴィッヒにとっては初めて受けた愛だったのかもしれん。お前たち兄弟ならボーデヴィッヒの気持ちも分かるんじゃないのか?」

『……マスター。彼女を助けましょう』

『アルト?』

『ここで彼女を怒りから見捨てるのは簡単です。ですが、マスター。誰かを許すというのも強さの一つですよ?彼女を救って彼女にこういう強さというものがあると教えてあげましょう』

『お前、本当にAIか?』

『はい。私は貴方をサポートする為だけに存在します』

『ああもう!まったく、鈴といいアルトといい。俺の周りにいる奴はどうしてこうも強いかね?……わかった』

 

秋は頭を振るうとようやくいつもの彼らしくなっていた。

 

『で?まずはアイツを怒らせればいいのか?』

「え、ええ。感情を揺さぶる中で怒りが一番手っとりやすいだけですが、少佐の感情を大きく揺さぶってください。そうすればこちらで緊急解除コードを入力します」

『分かった。……グレッグさん。すいません。俺……』

「分かればいい。すまんな。ボーデヴィッヒを……娘を助けてくれ」

「織斑秋!都合がいいことは分かっている。だが隊長を頼む!!」

「「「「「「お願いします!」」」」」」

 

クラリッサに続くように黒ウサギ隊の面々を頭を下げる。それを見て秋は頷くと。

 

『ああ。ここが勝負所だぜ』

 

そう啖呵を切った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

暗い闇の中、ラウラは微睡む様な状態にいた。自分が自分でなくなるような感覚。まるでコーヒーに入れたミルクのようにゆっくりと何かに混ざっていく感覚。

 

どうでもいい。

 

全てが気にならなくなる。私は今、教官と一緒にいるのだから。教官さえいれば私は……私は……?どうなるんだ?

 

どうでもいい。

 

そうだな。私がなんなのかなんて些細なことだ。もうそんなこと気にする必要はない。

 

もう考える事すら放棄しようとしていたその時だった。

 

『なあ?お前はどんな気分だよ?ラウラ・ボーデヴィッヒ』

 

声が聞こえた。その声の主は誰だか分からない。ただ酷く冷たい声だった。

 

ラウラとは誰だ?私は……そんな弱い者ではない。私は……。

 

『システムなんかに飲み込まれてお前が尊敬する織斑千冬の技を汚している気分は!』

 

汚している?私が……?違う。私は汚してなんかいない。この私こそが教官なのだから。

 

『遅ぇ』

 

その時、衝撃が襲った。それが続けざまに二度。合計三回の衝撃で微睡みから一気に覚醒する。

 

「私は…?そうだ。確かあの男に敗れて……」

 

そして、教官が手を差し伸べてくれた。そこからどうなった?

 

意識が少しずつはっきりしていくと共に自身の異常に気が付く。全身に鉛を巻き付けられたかのように重い。息も苦しい。一体何が?

 

それらはVTシステムによって無理やり織斑千冬の動きをさせられたことによるダメージが蓄積していたせいだった。だがラウラは自身が取り込まれたことに気が付かない。情報を得ようとするが何も聞こえない。声を上げても答えが返ってこない。そんな中暗闇を照らすようにラウラの眼前が開け、その先には敵対していた全身装甲の赤いISが立っていた。

 

『お前、俺より強いなんて言ってたけどさ。無様すぎ』

 

フルフェイスな為、表情は見えないが私をバカにしているような顔をしている気がする。

 

『何、システム如きに乗っ取られてんだよ?アレか?姉貴にでもしてやるって言われたのか?バカじゃねぇの?姉貴になんてなれる訳ねぇだろ?』

 

態々指を突き付け、さらに人を馬鹿にしてくる。なんでこいつにいいように言われなきゃならないのか。今の私はお前よりも強くなっている!

 

そう思うのと同時に勝手に体が動く。私から見える光景では近接ブレードを振るっているようだが敵はステークを振るって捌くと蹴りを叩き込んできた。前にクラリッサが遊んでいたゲームで見たような蹴りだ。確かヤクザキックと言ったか?そんなどうでもいいことが浮かんだが。

 

「うぐっ?!」

 

衝撃はしっかりと伝わってきた。だがこれでも軍人として訓練を積んできたのだこの程度では!

 

再び、近接ブレードを構えフェイントを加えて斬りかかる。しかしそれすらも対処され再び蹴り飛ばされる。

 

「な、何故だ?何故、教官の技が通じない?」

 

今のはまぐれだ!こんな筈は!何度も攻撃をしているのにそれをアイツは軽くあしらい、その度に蹴りを叩き込んでくる。

 

「どうして……?」

 

分からない。なんでこうなっているのか私には分からない。

 

『いい加減理解しやがれ!他人の技で、他人になろうとしている奴の技で、俺が倒せるか!』

 

衝撃。

 

『お前がそんなシステムに頼っている限り、お前はどんどん弱くなるぞ!』

 

衝撃。

 

『どうした?もう言い返す気もなくなったか?ボディががら空きだぞ!』

 

衝撃。

 

『よく聞きやがれ!お前が追い焦がれた織斑千冬は俺たちが思っている以上に高みにいるんだよ!あの人は守るものが、守りたいものがあったからあそこまで強くなったんだ!』

 

衝撃。

 

『お前が強くなるために必要なのは姉貴じゃねぇ!ラウラ・ボーデヴィッヒを支えてくれている仲間を信じて向き合えーー!!!』

 

衝撃。

 

全ての衝撃が私を貫く。仲間を信じる?向き合う?何を言っている?私に仲間など……

 

『ああ、ボッチなお前には難しかったか?仲間がいるならそんなモドキに取り込まれたりしねぇもんな?ということは取り込まれたのはお前自身の心の弱さが原因だったっていうわけだ。いいか?姉貴に憧れるなとはいわねぇ。だけどな。いつまでも姉貴に依存してんじゃねぇよ!甘えんな!!』

 

男の言葉に私は……

 

「ふ、ふふふふふ……黙って聞いていれば、私が教官に依存しているだと?私の心が弱い?私が甘えているだと?それと誰がボッチだ!!」

 

何故か分からないがイライラしてきた。さっきから殴られて体が痛い。少しは手加減をしろと言いたい。あいつはなんだ?私を助けたいのか?殺したいのか?どっちなんだ??

 

立ち上がろうとする私を黒い手が抑えようとする。払いのけようとすると何処からか現れた無数の黒い手が私の体を掴んで放そうとしない。それがひどく鬱陶しい。

 

「邪魔だ!あの男、織斑秋にこれ以上好き勝手言わせん!!私の邪魔をするなら例え教官だろうと許さん!!」

 

心から思いっきり叫んだ。すると黒い手の拘束が緩み、目の前の空間にだんだんと罅が入り広がっていく。私はそこへ思いっきり拳を叩き付ける。叩き付けた箇所からさらに罅が広がっていく。私は何度も何度も罅を殴り続けついにそれが壊れた。そこは見慣れた演習場。ふらついた体を支えてくれたのは。

 

「やっと帰ってきたか。お帰り。ボーデヴィッヒ」

 

そういう秋に小さく笑みを浮かべ。

 

「まったく。他に方法はなかったのか?」

「なんだ?優しくしてほしかったのか?」

「いや、いい。それはそれで腹が立つ」

「そうかい」

 

色々言いたいがきっと私を助ける為の行動だったのだろう。その為にあそこまで殴る必要があったのか問い詰めたいが今は……

 

「おい。織斑秋」

「なんだよ?」

 

体に力を入れ振り返った先にあるのは私が外に出たことで人の形を保てなくなった相棒の姿。弱い自分が産んだ犠牲者。

 

「相棒を取り返したい。お前の力を貸せ」

 

そうは言うもののこいつは手を貸してくれるのだろうか?不安もある。さんざん、見下してきた相手に協力しろと言われて協力してくれるだろうか?自分だったら……貸さないな。不安になりつい隣の男を見る。

 

「当たり前だ。取り戻すぞ。お前の相棒を」

 

そう言って秋は左腕を上げる。私は。

 

「礼を言う」

「まだはえーだろ」

「そうだな。なら行くぞ」

「おうよ」

 

秋の左腕に右腕を軽くぶつけた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

さて無事に(?)ボーデヴィッヒを救出できたわけだが。問題はまだ残っていた。ボーデヴィッヒが出てきた後の黒いISは泥のように形を保てなくなり人の形に戻ろうとしては崩れていく。それを繰り返していた。

 

『よくやった。秋。今、ピットに救護班が向かっている。ボーデヴィッヒを連れて戻れ』

「ああ……それよりアレなんなんだ?まるで生きてるみたいなんだけど?」

『今は気にするな。おそらくだが装着者を失ったことによりシステムが暴走しているのだろう。こちらで強制停止コードを入力したが停止ができない。アリスもそこに向かっているから合流したのち破壊命令がドイツ軍から下るはずだ』

 

破壊命令か。

 

「なあ?頼みがあるんだけど?」

『なんだ?』

「シュヴァルツェア・レーゲンを取り戻したいんだけどどうにかできないか?」

『お前ならそういうと思ったよ。今、こちらでもそれが可能かどうか解析している。完了次第連絡する』

「了解」

 

通信を切るとボーデヴィッヒが俺を見上げていた。

 

「……指令たちは何と言っていた?」

「お前のISを取り戻せるか解析しているとさ。とにかくピットに戻るぞ」

「ああ」

 

ボーデヴィッヒと共にピットへ戻ろうとした時だった。

 

『秋!今すぐそこから離れろ!!』

「は?」

《マスター!後ろです!!》

 

アルトの声の後、ハイパーセンサーにも反応があった。後ろから何かが襲ってきていた。振り返ればそこには俺に覆いかぶさろうとしている泥の塊だった。

 

今度は俺が標的か!?

 

そうはさせるか!とステークを構えるのと同時に青白い閃光が泥を薙ぎ払っていった。

 

「間に合った!」

 

そう叫んだのは腕に装着するタイプの武器”レクタングル・ランチャー・B”を構えていたファントムだった。

 

「アリス!」

「お疲れ!秋君。そしてお帰り。ラウラちゃん」

 

全身装甲を解除したアリスがボーデヴィッヒを抱きしめる。そんなアリスにボーデヴィッヒは顔を赤くしながらも特に抵抗しなかった。

 

「アリス。頼みがある。私はシュヴァルツェア・レーゲンを……私の相棒を取り戻したい。だが今使えるISはお前が使っていたラーズアングリフだけだ。貸してくれないか?」

 

真摯に頼み込むラウラにアリスは。

 

「ごめんね。今、一号機を動かすことは出来ないの。さっきの模擬戦で弾丸もエネルギーも使い切っちゃってて補給もされていないし。ラウラちゃんが乗っても満足に戦えない」

「そ…うか…」

 

無情な現実にラウラは打ちひしがれる。その小さな拳は震えていた。肝心な時に無力な自分に怒りを感じているのかもしれない。しかしそんなラウラに救いの手が伸ばされた。

 

「だから私のファントムを貸してあげる!」

「「はい?」」

「ラーズアングリフは無理だけどファントムなら使っていいよ?」

 

いやいや、どこの世界に自分の専用機を貸し出す奴がいる?

 

「ここにいるよ?」

「そうじゃねーよ」

「もう!秋君は固いな!大丈夫!!私以外の人間が動かすのもそれをサポートするのもファントムのいい経験になるよ!!」

 

そう笑顔で答えるアリスに俺は唖然としてしまう。だって……あれ?そういえばそれって何か問題があるのか?

 

《いえ、操縦者の癖を持ってしまっている為、扱いにくさはありますでしょうが私も孤狼もマスターの手に渡る前に色々な方々が搭乗しましたので。本人と上の方々が許可を出せばよいのでは?》

「そうそう。社長には許可貰ってるから!」

 

そういうとファントムを待機状態にしたアリスはボーデヴィッヒにそれを渡す。

 

「取り返してきて、貴方の大切な相棒を!」

「アリス…感謝する!」

「ハーケン。ラウラちゃんをよろしくね」

《OK!サポートは任せな!ラビットガール!》

「頼りにしている」

 

そしてボーデヴィッヒはファントムを展開し纏った。既に全身装甲で身を固めたボーデヴィッヒが隣に立つ。そこへ通信が入った。

 

『準備は出来たようだな。作戦を説明する。シュヴァルツェア・レーゲンを取り戻すにはVTシステムを破壊しなければならない。幸いこのシステムはISコアに接続されていないことが分かった。そこでお前たちにやってもらうことはただ一つ。強力な一撃を叩き込み確実にシステムを破壊することだ』

「それって普通に倒すのと何が違うんだ?」

『解析で分かったのだがあのVTシステムはマシンセルを使ってISを変貌させている。このマシンセルの特徴の一つに自己修復能力がある。これが厄介でな。生半可な攻撃では再生能力の方が上回り、いつまでたっても破壊できん。だから強力な一撃を叩き込む必要がある』

 

なるほど。よく分かった。

 

「んじゃ、即席コンビだけど行くぜ。ボーデヴィッヒ」

 

ボーデヴィッヒにそういうと。

 

「ふん。せいぜい私の邪魔になるなよ」

「お前こそ、俺と孤狼の動きに送れるなよ?」

「それこそ心配ない。我が左目“ヴォーダン・オージュ”に捉えられないものはない」

「じゃあ」

「ああ」

 

俺とボーデヴィッヒは人型を取り戻しつつある黒いISへ向かって。

 

「「行くぞ!!」」

 

突撃した。

 

「まずは俺からだ!」

 

左腕の五連チェーンガンを撃ちながらブースト。動きを牽制され鈍った黒いISに接敵すると加速したまま回し蹴りを叩き込む。

 

「!?!?」

 

吹き飛ばされた黒いISに追従するように飛ぶのはボーデヴィッヒが駈るファントム。二本のプラズマサイズを抜くと両手に持ち。

 

「いいところに蹴り飛ばしてくれた。今度は私の番だ。何、遠慮するな。今回は私の奢りだ!」

 

プラズマサイズを背中に突き立て無理やり軌道を変え上空へと放り投げる。そして右手に粒子が集まり一つの銃を作り出した。その銃は銃身下部に杭打機を搭載し銃床に折りたたみ式ブレードを搭載した複合武器“ナイトファウル”。ハーケンがボーデヴィッヒに提供した武器だった。

 

「秋!合わせろ!」

「応よ!」

 

ボーデヴィッヒがナイトファウルを俺が五連チェーンガンを打ち上げられた黒いISに向けて撃ちながら追いかける。体制を整える暇も反撃する暇も与えない。俺たちの連続攻撃はまだ終わらない。距離が近くなるとボーデヴィッヒはナイトファウルのリッパーを展開し俺はヒートホーンを起動させる。

 

「アリスはどうやってこんな武器を使っているんだ?」

《片手で器用に回して使ってるぜ?》

 

ボーデヴィッヒとハーケンはそんなやり取りをしながらもリッパーで黒いISを斬り上げ続ける。その隙に俺は演習場のシールドバリアーが張られている上空ギリギリまで昇ると反転。こちらに向かって上がってくる黒いISに向かって。

 

「伊達や酔狂でこんな頭をしてるわけじゃない!」

 

ブーストしそのままヒートホーンで突き刺しボーデヴィッヒと入れ替わる様に急降下。地面まで数メートルの距離まで来たところで体全体を使って黒いISを投げつけ地面へと叩き付ける。そこへ追いついたボーデヴィッヒと共に追い打ちをかける。

 

「ニュートロン・ブラスター!」

「クレイモア!」

「「喰らえ!!」」

 

 

ファントムの胸部装甲が開き、孤狼の両肩のハッチが開く。そこから放たれるベアリング弾とビームが黒いISへ叩き込まれる。それでもまだ攻撃の手をやめない。俺たちの最後のカードを切る。

 

「「ステークセット!」」

 

撃鉄が上がったリボルビングステークとナイトファウルを構えた俺たちはそろって自己再生を行っている黒いISにトドメを指す。

 

「こいつで……」

「終わりだーーーーーー!!!」

 

その手に雪片モドキを作り上げた黒いISだったがそのモドキを砕いて胸部中央にリボルビングステークが、頭部にナイトファウルのブラスティング・ステークが同時に突き立てられ、全弾叩き込み終えると弾切れになったステークを引き抜き、距離を取る。その場に残された黒いISはその身を粉々に砕かれ、爆発と共に散っていった。

 

「確かに返してもらったぞ」

 

ナイトファウルを肩に担ぎ立ちあがるゲシュペンスト・ファントム。

 

「ボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンをな」

 

右手にISコアを持って立ち上がった孤狼。

 

互いに一瞥すると拳をぶつけ合い。

 

「「任務完了」」

 

こうしてドイツで起こったVTシステムの暴走事件は主犯のハンス・ヴィーパーの逮捕と二人のIS操縦者の手によって解決となった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ドイツ軍の独房の中で今回の事件の主犯として逮捕された男-ハンス・ヴィーパー-は苛立ちを隠せずにいた。

 

「クソ!無能どもが!何故私がこんな目にあわなければならないんだ!!」

 

独房の壁を蹴りつけながらハンスはどうやってここから出るかを必死に考えていた。

 

「せっかく見つけて完成した新型のVTシステムに加えて意思など存在しない完璧な強化人間を作り出す技術。これらを手土産にしてあの女に協力させてドイツ軍とIS部隊を私のモノにする計画だったのに!!」

「なんだ?割と元気じゃないか。でも、そんなことは気にしなくていいんだぜ?」

「だ、誰だ?!」

 

ハンスが入る独房は隔離されており少なくとも簡単に出入りできるような場所ではない。しかし現にハンスの独房の前から声が聞こえた。

 

「あんたがハンス・ヴィーパーで間違ってないよな?」

 

声の主に返す前に独房の重厚な扉はグシャリと音を立てて開かれる。もう扉として機能しなくなったものの前に立っていたのは。

 

「な、なんでお前がここに?」

 

その人物にハンスは声を震わせる。なぜならこの人物がここにいるはずがない、いやここまで来ることができないといったほうが正しい。

 

「ご挨拶だな。頼まれて来てやったのに・・・・・・」

「そ、そうか!私を助けてくれるのか!!」

 

思いもしなかった言葉にハンスが立っている人物に近づく。

 

「いいや?人を人とも思わないクソヤロウを始末して来いってさ」

「な、に・・・・・・?」

 

人物の言葉にハンスはそれ以上言うことはできなかった。なぜならその人物の右腕は部分展開された“リボルビングステーク”があり。

 

「まあ、あの世で詫びてこいよ。……被験体の子たちにな」

「や、やめ…」

「今更何言ってんだ?クソ野郎が」

 

下から振り抜くように突き出されたステークはハンスの体を貫いていた。ハンスの体を蹴りステークを引き抜くとハンスの体が崩れ落ちる。

 

「さて、戻るか。ったく・・・・・・めんどくせぇったらねぇぜ」

 

そして、人物は部分展開していた腕を戻すと独房から去っていった。しかし、まだハンスは生きていた。必死に出口に向かって手を伸ばし。

 

「ぁ・・・・・・はぁ・・・・・・織、斑・・・・・・秋ぃ・・・・・・」

 

自分を殺しに来た人物の名を叫びながら冷たい床の上で力尽きた。それがハンス・ヴィーパーの最後だった。

 

それから数十分後。見回りで来た兵士がハンス・ヴィーパーの死亡に気がつき、ドイツ軍が調査を行ったのだが犯人は結局見つからなかったという報告書が二週間後グレッグ・パストラルの元に届いた。

 




はい!スパロボと言えばユニット乗せ替えと合体攻撃ですね!
いえ、実際にISで乗り換えができるかと言えばできるかと私は考えています。まあロックとかはありそうですけど…解除さえ出来れば乗り換えもできると思うんです。じゃないとサイレントゼフィルスとか奪われすぎでしょ?まあ今回はアリスと社長が許可を出したため出来たと思ってください。

次回、ドイツ編完!できるといいな~

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