IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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タッグ戦前の日常編です。


STAGE18

六月に入って早くも一週間。シャルロットが転入してきたこと以外特に変わったことはなかった。普通に授業をこなし、放課後はいつものメンバーと模擬戦と評価、反省を繰り返す日々。そんな中、俺と一夏は自宅の整理を兼ねて久しぶりに親友と遊ぶために学園を離れていた。

 

「で?どうよ?IS学園は?」

「何が?」

「何が・・・って女の園で二人だけの男子だろ?なんかないのかよ?」

 

そう尋ねてくるのは俺たちの中学時代からの親友で“五反田弾”。俺にとっては鈴と同じくらいに感謝している人物だ。

 

「あ~・・・・・・そうだな。色々幻想を壊されてるな」

 

漫画のページを捲りながら答えると弾は苦笑する。

 

「そういやそんなことメールに書いてあったな」

「それより弾はどうよ?高校」

「あ?普通だな~」

「うらやましい限りだな」

「はぁ~!?何言ってんだよ!!そっちのほうがすんげぇ羨ましいぞ!!」

「「弾・・・・・・お前は何にも分かってない」」

「はぁ?」

 

二人揃って弾の肩に手を置きながら言う。それにしても一夏、格ゲーなのによく画面見ずにプレイできるな?しかもミス無しで・・・・・・なお二人がやっているゲームは『IS/VS(インフェニット・ストラトス/ヴァースト・スカイ)』というゲームで実際のISのデータを使って戦うゲームなのだが開発、発売でかなりもめたらしく(各国のパワーバランス上)一時は発売元が泣きかけたらしい・・・・・・が今はそのあまりの売れ行きに続編を出そうと躍起になっているらしい。あとゲームのデータは第二回モンド・グロッソのものが使われているので姉貴のはない。その代わりゲシュペンストが隠し機体扱いで入っている。なお、俺や一夏のデータを使いたいとIS学園に連絡があったらしい。俺たちは別にかまわないと言ったんだが結局許可は下りなかったそうで……

 

「くそ~!また負けた!!」

「ははは。相当やりこんでるしな。簡単には勝たせねぇよ。秋もやろうぜ?」

「ん~じゃあ俺はゲシュペンストね」

「お前も同じキャラばっかり使わないでたまには違うの選んだらどうだよ?」

「他に近距離特化がいない」

 

などと話しながら一夏と交代。キャラセレクトでゲシュペンストを選択。武器は万能型を選択してと・・・・・・。

 

「そうだ。鈴もIS学園に来てるんだって?」

「ああ。中国の代表候補だ」

「相変わらず鈴に頭が上がらないんだろ?秋」

「それ当たり。鈴相手じゃ秋は勝てないって」

「うるさい。愚兄」

 

笑いながら言ってくる一夏にツッコミながらステージはモンド・グロッソの決勝を選択。

 

「そういや、箒もいるぞ」

「箒?・・・・・・ああ、お前たちのファースト幼馴染だっけ?」

「ああ。そして一夏の嫁だ」

「はぁ!?何を言うんだよ!!秋」

「何言ってやがる。付き合い始めた癖に」

 

俺の一言に慌てる一夏を無視して弾と対戦を始める。弾はイタリアのテンペスタか・・・・・・。む?メガビームライフルの威力低くね?やっぱり男なら拳だよな?という訳でプラズマステークセットっと。

 

「へー。あの一夏がついにね。俺も彼女、欲しいわ」

「お前にも春が来るといいな」

 

弾の呟きに俺はぼそっと返す。よし!コンボ行くぜ!

 

するとドカドカと足音が聞こえてきたかと思うとドアの前で足音が止まる。

 

「お兄!さっきからお昼出来たっていってんじゃん!さっさと食べに―――!」

 

ドカンッ!とドアをけり開けて入ってきたのは弾の妹の五反田蘭。そして入ってくると同時に弾のベッドの上に座っている一夏と俺を見つけると。

 

「一夏さんに秋さん!?」

「お、邪魔してる」

「あ、いえ…お恥ずかしいところをお見せしました」

 

片手を挙げて挨拶する一夏に慌てて頭をさげる蘭。そういや蘭は一夏に惚れてたと思っていたんだが、今はどうなんだろ?

 

そんなことを内心で思いながらも俺も手を上げる。

 

「よ!久しぶり!」

「秋さんもお元気そうですね!鈴さんとはどうなんですか!」

「いきなりだな・・・・・・まあ普通だよ」

「はぁ・・・・・・鈴さんも大変そうだな」

「あ?なんか言った?」

「いえいえ!それよりも・・・・・・」

 

ギンッ!と蘭からの視線一閃。弾がビクリと体をすくませる。この兄妹の力関係も相変わらずだな。

 

「・・・・・・なんで、言わないのよ・・・・・・」

「あ、あははははは・・・・・・言ってなかったか?おかしいな?わ、悪かったな・・・・・・」

 

あー可哀想に・・・・・・きっと今夜辺りに蘭からお話(物理)を受ける羽目になるんだろうな~と他人ごとのように考えている。そして本格的に蘭の視線で殺されそうな弾を救うべく俺は蘭に声をかける。

 

「あー。蘭?俺たちも飯食っていっていいかな?腹ペコでさ~」

「あ、はい。いいですよ。秋さんの分はいつものように大盛りにしておきます」

「サンキュー」

 

そしてペコリと頭を下げて出て行く蘭を見送り。

 

「・・・・・・生きろ」

「・・・・・・ああ」

 

ポンっと弾の肩に手を乗せ慰めておく。

 

「しかし、アレだな?蘭は秋と仲がいいのにどうして俺と話すときは目をそらすんだろ?」

 

そんなことを真顔で呟く一夏に俺たちは揃ってため息をつく。

 

「うちの愚兄は…弾、悪いな」

「気にするな。もう慣れたし、もうそんな心配もいらなさそうだしな。一夏に彼女が出来たんなら」

 

ハハハと笑う弾。本当にいい奴だなコイツ。もしIS学園に呼べる機会があったら呼んでやろうと心の中で誓っておいた。なんとなくそれがコイツに対して一番いいことがありそうな気がする。

 

そんな訳で俺たちは弾の家がやっている『五反田食堂』に降りて来る。弾の部屋を出てから一階におり、裏口からでて正面の食堂入り口に入る。なんでもこういうつくりだと私生活に商売が入ってこないんだとか何とか前に弾が言っていた。

 

「うげ」

「「ん?」」

「・・・・・・・・・・・・」

 

露骨に嫌そうな声を出す弾に怪訝に思いながらも後ろから除いてみるとそこには俺たちの食事が置いてあるテーブルがあり、さらに先客がいた。

 

「なに?何か問題でもあるの?あるんだったらお兄ひとり外で食べてもいいよ?」

「聞いたか?一夏、秋。今の優しさに溢れる言葉。泣けてきちまうぜ」

「まあいいじゃねぇか。それだけ兄妹仲がいいってことだよ」

「そうだぜ?皆で食おうぜ。折角だしよ」

「そうよ。バカ兄。さっさと座れ」

「へいへい・・・・・・」

 

こうして四人そろって席に座り、もちろん一夏は蘭の横に座らせる。弾の無言の抗議を流しながら俺は目の前の定食を眺める。そこにはカレイの煮つけや五反田食堂鉄板メニューの業火野菜炒めなどを乗っけた皿。しかもご飯も大盛りにしてくれている。

 

「厳さん!ゴチになります!」

「おう!しっかり食ってけよ!秋坊!」

 

俺が声を出すと店の奥から出てきたのは五反田厳。五反田食堂を八十歳にして切り盛りしている人だ。昔から五反田食堂で飯を食べると厳さんは大盛りにしてくれる。ちなみにもう一つは鈴の家の食堂で俺は外食といえば大体どちらかの食堂で済ませることが多かった。

 

一先ず冷める前に食べないと。俺は両手を合わせ、食材に感謝を込めていただきます。そして箸を持ち、まずはカレイの煮つけから・・・・・・。

 

うん!美味い!この味付けは俺ではまだ再現できない。厳さん教えてくれないかな~?

 

俺はコクコクと頷きながら味を盗むことに集中しながら飯をかきこんでいると。

 

「IS学園に入る!?」

「はい!一夏さんに秋さんの後輩です!」

 

どうやら蘭にIS学園の話をしていたらしい一夏が声を上げる。

 

「な、何を言ってるんだ!お前!?」

 

弾が勢いよく立ち上がったところにお玉が飛んできた。もちろん弾に交わせるはずもなく頭を押さえる。

 

「でも蘭が行っている学校はエスカレーター式だよな?それなのにうちに来るのか?」

「はい!前々から考えてましたが、今決めました!」

「ってIS学園って筆記が凄い難しいんだろ?」

 

復活した弾が俺のほうに視線を動かし口を挟む。俺はなんとなく弾の気持ちが分かったので一応頷き続ける。

 

「ああ。それに実技もあるしな。そこでISの適正がないと落とされる」

「そ、そうだよな!ウンウン!やっぱり適正がないと・・・・・・」

「はい。秋さん。これ見てください」

「うん?」

 

なにやら頷く弾。だが蘭がポケットから紙を取り出し俺に手渡す。それを受け取り、紙を広げると。

 

「へー。IS簡易適正試験・・・・・・判定Aか。すごいな」

「な、なにーーーーーー!!!」

「問題は既に解決済みです」

「おおー!蘭、かっこいいな」

 

蘭の素敵な言葉に一夏が拍手を送っている。俺は驚愕に固まっている弾の肩を叩き。

 

「諦めろ。多分お前じゃ止められない」

「うおおおおおお!!!!」

 

崩れ落ちる弾に心の中で合掌し、残っている昼飯を片付けることに精を出すことにする。ただ一言注意はしとくが。

 

「だけどな、蘭。ただ一夏や俺の後を追いかけたいとかそんな気持ちだったらやめとけ。あそこには本気でISを勉強したい奴や上を狙うべく頑張っている奴もいる生半可な気持ちなら大怪我じゃすまないぞ?」

「そんなに危険なんですか?ISって」

「ああ。ISに対してお前がどんなイメージを持っているかは分からんけど俺はISを兵器だと思って扱ってる。実際にISでの戦闘で死を感じたこともある」

「…………」

「だからよく考えろ。自分の道を自分で選べるうちはもっと視野を広くしておけ。そうすればどんな道を選んだとしても自信を持って歩けるさ」

「秋さん…ありがとうございます」

「ん。そういう風に素直に人の意見が聞ける子は成長する」

 

どうやら、俺の心配は杞憂に終わりそうかな?ただ弾の望む方へ話は行かなかったけど。

 

「そういえば、一夏。箒の事は蘭に紹介しないのか?」

「もうしたぞ?」

「は?」

「はい。こないだショッピングモールでお会いしたので…びっくりしましたよ。あんなきれいな人が一夏さんの恋人だなんて……」

 

そういう蘭は特に気にしていない様子だ。まあそれならいいんだけどさ。

 

「お兄にも甲斐性があれば箒さんみたいな美人な人が見つかるんですけどね?」

「俺、関係ないじゃん!?」

 

ジト目で弾を睨む蘭。妹の言葉の刃に弾は泣きながら飯を頬張っていた。俺が悪い訳じゃないと思うが・・・・・・なんか悪かった。

 

「そうだ。秋さん!今度は鈴さんと一緒に来てくださいね!」

「ん?分かった。今度連れてくるわ」

「久しぶりに色々話もしたいので」

「あいよ。伝えとく」

 

蘭と約束し飯を食い終わった俺たちは燃え尽きそうな弾を支えながら三人で街へと繰り出しゲーセンで時間を潰し、寮に帰ってきた頃には五時を過ぎていた。自室に戻るとお互いにISのレポートをそれぞれ書き上げて送ったあとは夕飯まで休むことにした。俺はコーヒーを淹れながら。

 

「そういや今月は学年別個人トーナメントがあるんだな」

 

自室の壁にかけられているカレンダーを見て呟く。

 

「確か強制参加の上に一週間掛かるんだよな?」

「ああ。らしいな。まあIS企業のスカウトたちや国のお偉いさんたちも来るらしいから文字通り皆、本気になってるだろうな」

「ホント大変なとこに来ちまったよ」

 

ベッドに転がる一夏を見て苦笑しつつ俺は淹れたてのコーヒーを手に椅子に腰掛ける。

 

「それでも姉貴に恥を欠かせないようにしないとな」

「たりめーだ」

 

俺たち兄弟はニヤリと笑うと学年別トーナメントについて話し合ったのだった。まあ、お互いに誰が相手だろうと全力を出すのみという結論に落ち着いただけだが。

 

コンコン。

 

「はい?」

 

ドアがノックされ、本を読んでいた一夏がドアに向かう。俺は備え付けのキッチンで片づけをしていた。

 

「や。一夏。もう夕飯済ませた?」

「鈴か。いや、これから行こうと思ってたんだ」

「そう。じゃあ一緒に行きましょ。箒たちも一緒だから。中入っていいでしょ?」

「ああ。入ってくれ」

 

そんな会話が聞こえてきたので洗い物を片付け、タオルで手を拭くと鈴が入ってきた。

 

「なんだ?鈴か?どうした?」

「夕飯のお誘い。秋もまだなんでしょ?」

「うし。んじゃ行くか」

 

それに頷き、鈴と部屋を出るとそこには箒、セシリア、ラウラ、更識、布仏、アリス、シャルロットがいた。軽く挨拶を済ませてから九人と大人数で食堂へと向かう。廊下を歩いていると他の寮生たちも夕飯時なのかドアが開き、相変わらず目のやり場に困るラフな姿で出てくる・・・・・・のだが、俺や一夏に気がつくと自分たちの格好を見て慌てて部屋へと戻っていく。

 

「・・・・・・ねえ、あんた達モテるの?」

 

そんな光景を見ていた鈴がジト目で聞いてくる。

 

「知るか。大方、男が二人もいるから恥ずかしいんじゃねぇの」

「だよな。まあ、まだ珍しいだけかもしれないけどな。そろそろ慣れてもらいたいもんだけど」

 

俺と一夏の答えの何が気に食わなかったかは知らないが鈴たちはため息をついていた。

 

「はぁー・・・・・・ライバルが増えないのはありがたいけど・・・・・・」

「ここまで気にされないというのも同じ女性としては辛いものがありますわね」

「まったくだ。一夏ももう少し私との時間を大切にしてくれれば……」

「ふむ?私にはよく分からんが相棒たちに見られて困る服装でいるのは注意が足りないんじゃないのか?」

「いや、裸にならないと寝られないラウラがいっちゃいけないことだと思うよ?」

「まあまあ、皆も色々思うことはあるかもだけど時間はあるんだからゆっくり調教してけばいいんだよ~自分好みに」

「本音の場合は調教じゃなくて洗脳になるからやめたほうが良いと私は思う」

「今さらりととんでもない発言しなかった?本音ちゃんに簪ちゃん・・・・・・」

 

なんか女子がヒソヒソと何か話しているが・・・・・・?まあ妙な感じもしないし、いいか。

 

「それより今日は何食べる?秋」

「う~ん。昼は魚と野菜を食ったからガッツリ肉でいくかな?」

「相変わらず夜も食べるな。お前は」

「今更だろ?」

「そりゃそうだ」

 

そんな話をしながら食堂へと入るとフロアの一角に女子が固まっていた。なにやらかなり盛り上がっているらしく興味を持った布仏が更識を連れて行ってしまった。どうもこういうときの女子は男にはないバイタリティがあるよな。

 

「しかしなんだ?あの人込みは?」

「さあ?トランプでもやってるんじゃないか?」

「いや、一夏、それはないわ」

 

一夏の答えを否定しながらカツ丼、牛丼、親子丼、麻婆丼を頼み、お盆に乗せていく。

 

「アンタ・・・そんな偏っている食事してると早死にするわよ?」

「む?だったら鈴が俺の食事管理してくれ。自分じゃ気になんないからな」

「そ、そう?まったく・・・・・・しょうがないわね~」

 

そういいながら鈴がサラダをボール一つに盛り付けたものを自分の夕食メニューと一緒に持ってきてくれる。もちろん席は俺の隣。

 

「はい。野菜もしっかり取りなさいよ?」

「へいへい」

「返事は一回」

「はい」

 

どこか母親のように鈴が世話してくる。まあ嫌ではないんだが・・・・・・そういやこのやり取りを知っている弾は「お前らもう結婚しろよ」なんて言っていたが・・・・・・一夏と箒のやり取りに比べればマシだぞ?あの二人は言葉にしなくても互いのことを理解してるしな。

 

「なんか疎外感を感じますわ・・・・・・」

「同感。どうしてくっつかないのかな?この二人。そうしてくれれば諦めもつくのに…」

「これがクラリッサの言うバカップルというものか?……なんだか胸の奥がムカムカしてイラっとするんだが?」

「う~ん…これは強敵だね」

 

何故にため息?疑問を感じながらも丼ものを片付けることにせいを出す。と布仏がてってってってと擬音がつきそうな走り方で俺たちのところに戻ってくると。

 

「ねえー!あっきーにいっちー」

「「ん?」」

 

一夏は振り返り、俺も顔を布仏に向けるとなんとなーくいつもと違う笑みの布仏の顔があった。

 

「あの噂「「「「「わぁーーーーーーーー!?!?!!?」」」」」ってーーーーーー????」

 

いきなり五人の女子が布仏の体を拘束すると引っ張っていく。

 

「な、なんだ?どうした?」

「あはははは!なんでもないの!うん!本当!!」

「そうそう!秋君や一夏君に関係ないことだから!」

「いや・・・・・・でものほほんさん、俺たちの名前読んだけど?」

「「気にしないで!!」」

「いや逆に気になるから」

 

俺と一夏のジト目に目の前の女子二人-確か谷本と鷹月だったか?-がハモリながら答える。まあこれ以上追求しても答えなさそうだからいいか。

 

そう結論付けて、残った丼とサラダを食べることを優先した。

 

この時、もっと追究しておけばあの悲劇を止められたのかもしれないと俺は後になって後悔することになる。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

いつものように授業が終わり放課後。アリスに呼ばれて第五アリーナに向かうとそこには一年の専用機持ちが勢ぞろいしていた。いや正確には持っていない奴もいるのだが。

 

「やっと来たわね」

 

既にISスーツに着替えている鈴が笑みを浮かべている。俺はすまんと謝るとアリスが手招きしていた。

 

「はい。秋君。君の相棒だよ」

 

アリスがそういって俺に手渡したのは待機状態の孤狼とIS学園の制服。ただし肩当やネックガードが付いた代物だったが。

 

「孤狼は分かるんだが…この制服は?」

「相棒の新しいISスーツらしい」

「今までのように着替えるタイプだといざって時に孤狼を展開できないから普段から来ていられるようにってマリオン博士が学園の制服風に作ったそうだよ」

 

ラウラとシャルロットが教えてくれた。確かにこれなら制服の改造にしか見えないからいいのか?

 

「じゃあ、着替えてくるわ」

 

受け取った制服兼ISスーツに着替え、専用のブーツとグローブもはめてみたが普通の制服姿にしか見えない。

 

「着替えたんだけどさ、これでいいのか?」

「そしたら上着をしっかり締めて、ネックガードを固定したら右側にあるスイッチ押して」

 

アリスの言うとおりにすると空気が抜けるような音と共に体に密着し前に着ていたのと似たような姿になった。

 

「戻すときは左側のスイッチだよ」

「分かった」

 

他にもアリスの説明によると生身で戦う必要がある場合に備えてISスーツには防刃、防弾加工も施されておりグローブ、ブーツは打撃戦が出来るように改造してあるそうだ。

 

「お、集まってんな」

「皆様、今日はよろしくお願いしますね」

「あれ?カチーナ先輩、セリア先輩?」

 

どこか楽しそうにやってきたのはマオ社で会ったカチーナ・タラスク先輩とセリア・グリムズ先輩だった。

 

「お前たち、専用機持ちの後輩が集まってるってアリスから聞いてな。あたしらも模擬戦に混ぜてくれよ」

「別にかまいませんけど」

「ご安心ください。セリアたちの目的はデータ取りですからあなた方を壊したりはしませんよ」

 

セリア先輩の一言に不安になるがカチーナ先輩が大丈夫と頷いたのを信じる事にする。

 

「皆もいいよな?」

 

他の皆も異論はないようなのでカチーナ先輩とセリア先輩も模擬戦に加わることになった。

 

「というわけで、今日は専用機持ちしかいないのでバトルロイヤルをします!」

 

アリスの宣言に何人かは既に笑みを浮かべている。第五アリーナは結構広いから各々の戦法が勝利の鍵となるだろう。

 

「じゃあ各自ISを展開!」

 

その言葉をきっかけにそれぞれがISを展開した。

 

織斑一夏        使用IS:白式

織斑秋         使用IS:孤狼

篠ノ乃箒        使用IS:グルンガスト零式

セシリア・オルコット  使用IS:ブルー・ティアーズ

凰鈴音         使用IS:甲龍

ラウラ・ボーデヴィッヒ 使用IS:シュヴァルツェア・レイブン

シャルロット・デュノア 使用IS:ヴァイスリッター

アリス・ブロウニング  使用IS:ゲシュペンスト・ファントム

更識簪         使用IS:グルンガスト弐式

布仏本音        使用IS:グルンガスト弐式・改

カチーナ・タラスク   使用IS:アルブレード

セリア・グリムズ    使用IS:エクスバイン

 

総勢十二人がISを展開したわけだが……

 

「ねぇ…セシリア?」

「えぇ、鈴さんのおっしゃりたいことは分かりますわ」

「「いくらなんでも全身装甲多すぎじゃない(ありません)!?」」

 

二人のいう事ももっともだ。十二人中九人は全身装甲型。今時珍しいのではないだろうか?ただ一番威容を放っているのは……

 

「箒が選んだ試作機って……」

 

身の丈ほどもある巨大な出刃包丁もとい片刃の刀を持つのは漆黒の超闘士。

 

「うむ!グルンガストシリーズの元になった機体だ。この零式斬艦刀を使いたくてな。そしたらマリオン博士が用意してくれた」

 

嬉しそうに語る箒だが頭部もグルンガストフェイスになっている為、シュールになっている。

 

「私は絶対それを選ぶと思ったよ」

「あははは。実は僕も」

「そうか?だが、この斬艦刀に出会った時、何故か師匠の事を思い出した……だからだろうな。こいつの担い手にふさわしくなりたいと思ったのだ」

「それで?布仏はいつ専用機を?しかも更識の色違いの機体……でもないな。専用機にするなら俺から奪ったMk-Ⅱ改を使うと思っていたんだけど」

 

俺の問いに布仏は首を横に振り。

 

「ゲシュちゃんのデータは十分取れたからって持ってかれちゃって……」

「そんな時、カザハラ所長から武装を変えた弐式の二号機を使ってほしいってお願いされたから」

「所長がね!私が全力で動かしても大丈夫なように駆動系を弄ったから壊すつもりで使ってくれって!」

 

嬉しそうに言う布仏。さっきも言ったがグルンガストフェイスのまま言われてもシュールだから、まあ全力が出せなくて悩んでたみたいだからいいのか。

 

「それでカチーナ先輩のは?」

「ふふん。いいだろう?この武器、あたし向きだぜ」

 

外見はここにいるメンツの中でも一番シンプルなものになっているが、カチーナ先輩はサイドアーマーに収められている刃のついたトンファーを取って回してみせる。

 

「ブレードトンファー。これでたこ殴りにしてやるよ。まあ他の理由としては動かしてみて機動性もよかったし拡張領域も多めに用意されてたからな。あたしの腕が試されそうな機体だったんだよ」

 

ブレードトンファーを収めてそういうカチーナ先輩に頷いたのはシャルロットだった。

 

「そうですね。アルブレードは一見、接近戦用に見えますが汎用性が高く次期量産型候補の機体でもあります。僕もテストで使ったことがありますが良い機体ですよ」

「お前もそう思うか?後は色を変えられればなおよかったんだけどな~」

「セリア先輩の機体は?」

 

俺がセリア先輩の方を向くと両手に銃身の長さが違う武器を持っていた。俺の視線に気が付くと武器を格納し。

 

「エクスバインというそうですね。機動性に特化した試作機だと伺いました」

「エクスバインは元々ヒュッケバインと呼ばれる機体の後継機用の試作機だね。武装は射撃系がメインだけど確か専用のオートクチュールが製作されているって話だけど?」

「ええ。セリアがエクスバインを上手く扱えればそのオートクチュールもテストする予定です」

 

アリスが補足説明をしセリア先輩は頷いていた。それにしてもマオ社は何でこんなに試作機を作っているんだ?俺がISを兵器だと思っているからだろうか?まるで近い将来、この世界で大規模な戦争でも起きるようなそんな気がしてならなかった。

 




気がつけば普通のISを使っているのは一夏、鈴、セシリアだけになってしまいました。

自分で書いといてなんですが彼らと当たる一般生徒に勝ち目ってあるんですかね?

まあ二年の二人とは違い、一年はISになれるのがメインな時期だと思っているので構わないんですが…トラウマ刻まれる子が続出しそうな戦いになりそうな予感。

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