IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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本日はもう一話投稿します。


STAGE02

さて、怒涛の一日目を終えた俺たちは家に帰ろうとしたのだが山田先生から部屋が決まったというので、急遽、寮へと向かうことになった。

 

「・・・・・・分かっちゃいたんだけどな」

「ああ・・・・・・予想できたことだな」

 

二人揃って中に入ればやはり寮にも女子しかいないわけで・・・・・・

 

「俺たちって男と思われてないのかな?」

「いくらなんでも・・・・・・ないと思いたい」

 

部屋にたどり着くまでの間に何度か寮生に会ったのだが皆ラフすぎる服装だったのだ。タンクトップやキャミソールとかは当たり前、下手すればノーブラや下着が露出していても気にしないという現実(流石に俺たちに気付くと隠そうとはするが)に俺たちは女性に持っていた幻想をことごとく粉砕されていた。家の姉貴が特別で他の女の子は違うと信じていた分ダメージが大きかった。

 

ダメだ。こいつら・・・・・・早く何とかしないと。

 

こちとら思春期真っ盛りの男の子。襲われるとか考えないのだろうか?もちろんそんなことしないと自信もあるし言い切れる。とういうかそんなことをしたら姉貴に殺される!まあ、殺されなかったとしてもやらないけどな!それは人として当たり前だろ?

 

「荷物は届いてるって姉貴が言ってたけど」

「あ、秋・・・・・・これじゃないか?」

 

一夏の声に振り返るとベッドの上に乗っている色違いのボストンバックが二つ。中を開けてみると変えの下着や衣服、日常品にスマホの充電器。それ以外には一切なし。ゲーム機とかの嗜好品は一つも入ってなかった。

 

「「・・・・・・・・・・・・」」

 

そのあまりにもな状態に互いに顔を見合わせ、軽く首を振る。

 

やっぱり姉貴(千冬姉)にやらせたらダメだ。

 

そんなことを再確認しつつ今週末にも荷物を取りに家に帰ると誓った俺たちだった。ついでに掃除もしておこう。軽く食事を済ませ、明日に備えて早めに就寝するのだった。

 

そしてようやく波乱の一日は終わりを告げた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ピピピピピ・・・・・・

 

「・・・・・・朝か?」

 

枕元に置いてある目覚ましの代わりにしてあるスマホを取り、止めると時刻を確認する。

 

朝五時。俺にとってこの時間に起きるのはもう習慣なようなものだ。となりのベッドを見るとまだ一夏は寝ているようだ。それを確認してからベッドを出ると洗面などを済ましてからジャージに着替え始める。後は両手足に十キロの重りが入ったバンドをして自室を後にする。毎朝のトレーニングであるジョギングだ。ちなみに中学時代は朝刊配りをやりながらしていた。

 

向かう場所はグラウンド。あそこは広いので実に走りがいがある。グラウンドについてから軽く走り、体が温まってきたところから全力疾走に切り替え、下半身の強化に努める。それが終わると今度はシャドーを始める。昔、姉貴から剣術を教えてもらったのだが俺は剣の才能がなかった。剣の腕は全くだったので今はボクシングを中心として格闘技を我流でしている。まあ、逆に一夏は剣の才能があったようで今も続けている。何度も何度も一心不乱に拳を振るい続けた後は蹴りなどの技も練習しておく。これからは特に必要になるだろうしな。余談だがISの試験の時、一夏は回避で合格したが俺は向かってきた試験官をカウンターで殴った後、思いっきり蹴り飛ばしてしまった。

 

まあ、そんなことはどうでもいい。今、重要な問題は。

 

「俺のISだよな・・・・・・」

 

今、IS学園に配備されているISの殆どは純国産ISの打鉄だ。もちろん違うのも置かれているらしいがそれでも一年では一番扱いやすい打鉄がメインだ。

 

「もし使えるISが選べるなら・・・・・・やっぱりマオ社製の量産型Mk-Ⅱがいいな」

 

頭に浮かぶのは頑丈さが売りのマオ・インダストリー社製の量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ通称“Mk-Ⅱ”。ちなみに量産型なんて名称についているのはマオ・インダストリー社製のISだけらしい。なんでもマオ・インダストリー社は必ずオリジナルと呼ばれるものを製作。テストを重ねてから量産を始めるらしい。故に性能がよく、世界各国十八カ国以上で使用されている。世界シェアは第一位。

 

「あのメカっぽいデザインと言い、格闘戦もこなせる頑丈さといい。使ってみたいよな!!」

 

呟きながらも拳を振るう。最初はゆっくりだった動きを少しずつ速めて行き、最後は体を左右に振りながらラッシュへと繋げる。ちなみに俺がISでMk-Ⅱを希望しているのは先ほども挙げた頑丈さゆえだ。ぶっちゃけた話。俺のスタイルでやりやすいのはMk-Ⅱだったりする。これは量産型ゲシュペンストMk-Ⅱのトライアルテストの時、武器を失った後、当時、第二世代とはいえ初期型しかも全身装甲のISで柔道の一本背負いを使ったらしいのだ。

 

いや、別に普通のISでも出来なくはないのだが手足のリーチや武装オプションによっては態々格闘技を使わなくてもいいと考えるのだろう。つか普通そう考える。マニピュレーターとかイカれるし……さらに驚くべきことにISの制御に使われているPICをカットして細かな動作をほとんどマニュアルで処理しながら行っていたそうで余程、操縦技術に自信を持った人でもこんな事をやろうとは考えないらしい。それはISが宇宙空間で使うことを前提に作られている為、基本ISは空中に浮かぶ。その為か脚部に関してはフレームが細かったり、ランディングギアの延長線として考えられて作られている。といっても最近はそうでもないけど……しかし、マオ・インダストリー社はどんな状況下でも使用できてこそのマルチフォームスーツということで全身装甲でありながらも可動域の向上に加え機体と操縦者のリンクがスムーズに行われるようにサポートOSが組み込まれている。操縦経験が未熟でも扱いやすくはなっているそうだが熟練操縦者になればとてつもない機動性に加え操縦性を見せることがある。その為、評価的には他社のISに比べるとやや上級向けになるそうなんだが、それでもパーツコストも安いというのも魅力の一つらしい。

 

「さて・・・・・・そろそろ上がるか」

 

グラウンドにある時計を見れば六時半を回っていた。さすがにこれ以上やっていると遅刻してしまう。

 

部屋に戻ると一夏もどうやらトレーニングに出かけているらしく先にシャワーを使わせてもらう。そして制服に袖を通し着替えを完了するのと同時に部屋のドアが開き、ジャージ姿の一夏が入ってくる。

 

「お?秋もトレーニングだったのか?」

「ああ。こればっかりは習慣だしな」

 

違いないと苦笑しつつ、シャワールームに向かう一夏。

 

「一夏。先飯くいに行くから」

「おおー!席取っといてー!」

「あいよ」

 

シャワールームから聞こえる一夏の声に返事を返し、食堂へと向かう。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

周りがやたらと俺に視線をやる。そんなに珍しいか?男の食事が?

 

「いや、お前の食べる量だと思うぞ?」

「相変わらずたくさん食べるんだな・・・・・・秋」

 

そうか?俺的には普通なんだが・・・・・・?

 

と目の前には和食セットが五つ。既に三つを完食している。ちなみに今は四つ目を半分まで食べ終えている。

 

「それにしても一夏は剣道を続けているみたいだが秋も格闘技を続けているのか?」

 

和食セットAの鮭の塩焼きの身を解しながら食べていた箒がふと思い出したように尋ねてくる。

 

「ああ。我流だけどな。箒や一夏にだって負ける気はしないぜ?」

 

軽く拳を握りながら笑みを浮かべる。

 

「そうか。二人とも努力はしていたんだな」

「お前だってそうだろ?去年、剣道の大会で優勝だしな。名前が違っても写真で直ぐに分かったぞ」

「なっ!お前も知っていたのか?」

 

顔を赤らめる箒に頷く。そして一夏の顔を見て互いに頷く。箒も変わってないなと。

 

「な?言ったろ?気付くもんだって」

「ふ、ふん」

 

一夏の言葉に顔を赤らめそっぽを向く箒。やっぱりツンデレなのか?そして一夏にはツンなのか?

 

「ねえねえ、彼らが噂の男子たちだって~」

「なんでも千冬お姉さまの弟らしいわよ」

「えー、姉弟揃ってIS操縦者かぁ。やっぱりあの二人も強いのかな?」

 

そして昨日と変わらず一定の距離を保ったまま『興味津々ですよ。でもがっつきませんよ』というむず痒い包囲網。やっぱり慣れないというか慣れたらきっとダメな気がする。

 

気にしながらも最後の和食セットの攻略に取り掛かる。

 

「お、織斑くん、隣いいかなっ?」

「ん?どっちの?」

 

声をかけられたので振り返ってみると朝食のトレーを持ったクラスメイトの三人が立っていた。ちなみに俺たちはカウンターのような席に座っており俺、箒、一夏といった順番に並んで座っている。

 

「ど、どっちって?」

「いや、俺なのか一夏なのかと思って」

 

そう返すと女子たちは顔を見合わせ、相談する。

 

「あと苗字で呼ばなくていいぞ?一夏と被るし名前で読んでくれ」

 

後、双子ではあるが外見で俺たちは判断しやすい。俺は左耳に銀色のピアスをつけているし髪も短くしている。まぁ昔色々あったのでこうなったのだが……

 

「えっと・・・・・・あ、秋くんの隣で」

「おう。座ってくれ」

 

そういうと三人は安堵のため息をつきながら椅子に腰掛ける。そしてテーブルの上の置いてある完食済みの食器を見て。

 

「「「・・・・・・・・・・・・いっぱい食べるんだね。秋くんって」」」

 

三人が口をそろえて言う。やっぱりおかしいのか?俺の食事量は??

 

首をかしげながら俺は残りの食事を食べることを再開する。食事を残したらバチが当たるからな。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

二、三時間目の授業が終わり、俺は姉貴から借りたIS機動マニュアルを読んでいた。何せ一夏との勝負まで時間があまりない。そして未だに訓練機が用意されない以上、最低限でも自分で知識は入れておかなければならない。といってもマニュアル本じゃあ流石に感覚がつかめないからイマイチ分かりにくい。

 

「(ISには意識に似たようなものがあり、操縦時間に比例してIS側も操縦者を理解しようとする・・・・・・か)」

 

なるほど。だからISは操縦時間がものを言うのか。まあ、それでも勝利条件が“勝つ”だけならいくらでもやり方はあるんだけどな。

 

マニュアルを読み続けて一人納得していると、人の気配を感じマニュアル本から視線を外すと姉貴が立っていた。

 

「一夏、秋。お前たちに言っておくことがある」

「姉貴?」

 

もうこう呼ぶのは反射みたいなもんだね。意識してないと直らないわ。

 

パカンッ!

 

「馬鹿者。学校では織斑先生と呼べ。学習能力がないのか?」

「はい。すいませんでした。織斑先生」

「よろしい」

 

満足そうに言う姉貴に俺は頭をかきながら言う。姉貴・・・・・・出席簿は殴る為にあるんじゃないと思います。

 

「で?言っておくことというのは何なんですか?」

「ああ。お前たちのISだが準備まで時間が掛かる」

「へ?」

「はい?」

「予備機がない。だから、少し待て。学園とある企業がお前たちの専用機を用意しているそうだ」

「!!!」

「???」

 

姉貴の言葉に俺は驚き、一夏は意味が分からないのかやはり首を傾げていた。

 

「せ、専用機!?一年のしかもこの時期に!?」

「つまりそれって政府からの支援が出てるって事で・・・・・・」

「ああ~。いいなぁ・・・・・・。私も早く専用機欲しいな」

「???」

 

クラスメイトの話を聞いても分かっていない一夏に思わずため息をつく。

 

「・・・・・・教科書六ページを読めって」

「六ページ?・・・・・・えっと・・・・・・」

 

ちなみに内容を要約するとISに使われるコアは全部で467個。全てのコアは篠ノ乃束博士が作成しており、コアは完全なブラックボックスとなっている。そして何故か篠ノ乃束博士は467個以上のコアの製作をやめており、各国企業は割り振られたコアでISの生産開発を行うしかない。さらにコアの取引も条約によって禁じられている。

 

「つまり専用機っていうのは国家や企業に所属する人間しか渡されない。けど俺たちは世界で僅少な男でISを使用できる存在だ。だからこの際にデータを取るために俺たちの専用機が用意されるということだ」

「・・・・・・簡単に言うと実験体?」

「いやな言い方をするな」

 

一夏のあまりの言い方に俺は肩を落とす。

 

「あの先生・・・・・・篠ノ乃さんって、もしかして篠ノ乃博士の関係者ですか?」

 

女子の一人が手を上げる。まあ織斑も珍しいが篠ノ乃はもっと珍しいからな。何れは気がつくかもとは思っていたが。

 

篠ノ乃束。たった一人でISを作成、完成させた稀代の天才。姉貴やハウ姉の同級生でそして箒の実姉。俺たち兄弟も何度か会っているのだが・・・・・・なんというか『天災』なんだ。しかも性格にかなり問題がある。

 

「そうだ。篠ノ乃はあいつの妹だ」

 

あっさり頷く姉貴。いいのかそれで?一応、篠ノ乃博士は国際指名手配犯だぞ?まあ犯罪者ではないが、それでも一人でISを作り上げる人間を放置しておくのは心底不安なんだろ。

 

「(まあ、それであの人が簡単に出てくるとは思わないけどな)」

 

あの人を食ったような笑顔を思い浮かべるたびに胃がキリキリと痛み出す。ぶっちゃけ、俺はあの人が苦手だった。

 

衝撃の事実にクラス中が大騒ぎになる。そして箒に詰め寄り、質問攻め。そこに嘗ての自分を重ねてしまう。織斑千冬の弟。その肩書きは一時期の俺にとって重荷だった。だから俺は動く。拳を振り上げ思いっきり机に叩き下す。

 

ガアンッ!!

 

突然の音に全員が音の発生源である俺に顔を向ける。

 

「騒ぐんじゃねぇよ。箒は箒だ。束さんじゃない!」

「秋・・・・・・」

「いきなり大きな音を出して悪かった・・・・・・だけどな・・・・・・興味本位で騒ぐのはやめてくれないか?当事者にとっては苦痛なんだよ」

 

盛り上がりに冷や水を浴びせられた女子たちはいい顔をしていなかった。しかし姉貴や一夏は俺の気持ちを・・・・・・荒れていた当時を知っているのでバツが悪そうにしていたが・・・・・・。

 

「さて、授業を始めるぞ。山田先生、号令」

「は、はいっ!」

 

少し嫌な気分を残しながらも俺は教科書開くのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「安心しましたわ。まさか訓練機で対戦しようと思っていませんでしたけど」

 

休み時間になったとたんにオルコットが俺たちの席にやってきて手を腰に当ててそういった。

 

「いや、俺らの試合だからお前関係ないだろ?」

「そうだな。秋との試合だしな・・・・・・」

 

顔を見合わせる俺ら。何か間違ってるか?

 

「あ、貴方たちまさか・・・・・・わたくしとの決闘をお忘れで?」

「「あ!」」

 

わなわなと震えるオルコットに思わず申し訳ないと思いながら。

 

「「すっかり忘れてた」」

「ば、馬鹿にしてますの!!このわたくし、セシリア・オルコットはイギリスの代表候補生・・・・・・つまり、現時点で専用機をもっていますの」

「「へー」」

「やっぱり馬鹿にしてますのね!!」

「「いやそんなことはない」」

「・・・・・・だったらなぜ揃って棒読みなのかしら?」

 

特に意味はないよ?っと鐘がなった。

 

「さて、昼飯食いにいくか」

「ああ」

「ちょ、ちょっと!?おまちになって!!」

 

後ろで喚くオルコットをほったらかし、一夏と一緒に学食まで行こうとして、一人席に座っていた箒にも声をかける。

 

「箒も行くだろ?」

「あ、ああ・・・・・・秋。さっきはすまなかったな」

「別に。お前の気持ちは理解できるしな」

 

それはさておきやっぱり飯は人数が多いほうが楽しいし美味いよな。うん。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「・・・・・・やっぱり昼も食べるんだな」

「コイツの食欲が落ちるところを見たことがないよ」

 

箒と一夏が相変わらず人の昼食を呆れながら見ている。

 

「いいじゃないか。食べられることはいいことだ」

 

二人に言い返しながら俺は日替わり定食Bを食べる。ちなみにこれで三つ目の定食だったりする。まだまだ行けるぜ!

 

「まあいいや。ところで箒。ISの操縦を教えてくれないか?このままだとコイツに負けそうだ」

 

箸で人を指すな。行儀が悪いぞ。一夏。

 

「いや、秋より代表候補生との試合を心配しないのか?」

「する必要あるのか?」

「・・・・・・・・・・・・」

 

一夏の言葉に何故かため息を吐く箒。そんな二人を見ながら味噌汁を啜る俺。うん。美味いね。この味噌汁。

 

「ねえ、君たちが噂の子?」

 

いきなり声をかけてきた女子に振り返る。見ればその女子は三年生のようだ。このIS学園はリボンの色で学年が分かる。一年は青色、二年は黄色、三年は赤色だ。そして目の前の・・・・・・というかいつの間にか俺の横の席に腰掛け、テーブルの上に組んだ腕を乗せ、俺と一夏の顔を見る。

 

「代表校候補生のコと勝負するって言ったけどホント?」

「はい、そうですけど・・・・・・な?秋」

 

ちらっと俺の方を見たので頷いておく。

 

「でも君たち、素人だよね?IS稼働時間って幾つくらい?」

「いくつって・・・・・・20分くらいだと思いますけど」

「それじゃあムリよ。ISって稼働時間が物を言うの。その対戦相手、代表候補生なんでしょ?だったら300時間はやってるわよ」

 

ふむ。確かにIS戦で重要なのは稼働時間だ。けど・・・・・・。

 

「まあ、こればっかりはやってみないと分からないけどな」

「そんなわけないじゃない。素人じゃどんなに頑張っても勝てないわよ」

 

明らかにこれだから男はって顔をしている先輩にあえて挑発するような表情を作り。

 

「どうかな?確かに稼働時間は覆せないけど・・・・・・こっちには切り札がある」

「「「!!!」」」

 

俺の言葉に三人が驚きに目を見開く。

 

「(秋!そんなのがあるのか?)」

「(そうだ!そんな話は聞いてないぞ!)」

 

俺の言葉に以外だったのか二人揃って顔を近づけてくる。

 

まあ、言ってないしな。言う必要性もない。というか一夏。先にお前と戦うんだから言う訳ないだろう?

 

「(まあ、簡単に切れるカードじゃないしね)」

 

不敵に笑ってみせる。そもそも簡単にそんな手札が手に入るわけじゃない。ぶっちゃけ俺の切り札は今までやってきた喧嘩で養った勘くらいなもんだが意外とこういうのは馬鹿にならない。

 

結局、先輩は諦めたのか頑張ってとだけ言って去っていった。

 

「で?一夏は箒にIS教わるのか?」

「ああ。そうするよ。少なくとも俺よりは詳しいだろうし」

 

そう言う一夏に箒もまんざらでもなさそうに笑みを浮かべている。

 

「秋はどうするのだ?」

「俺は剣道できないしな。まあ自分に出来そうなことを一通りやってみるわ」

「そうか・・・・・・うむ。秋ならきっと大丈夫だ」

 

いい笑顔で太鼓判してくれる箒を可愛いと思いつつ頬をかく。というか一夏にそういう顔をしてやれよ。

 

その後、一夏と箒は揃って学食を出ていった。ただ一人残された俺は静かに食事を済ませ、食器を片付け、午後の授業へと向かおうと席を立った時だった。

 

「織斑秋くん」

「ん?」

 

呼ばれて振り返るとそこにはブロンドの髪をツインテールにした女子が立っていた。

 

「IS、動かしてみない?」

 

女子は笑みを浮かべてそう言った。

 

 

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