IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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週末に風邪をひいてしまいました。ようやく完治したので投稿です。

けっこうやらかした感がすごいですが……ウン、キニシチャダメ








PC版ISアーキタイプ・ブレイカー始めました。



STAGE24

テスラ研から数キロ離れた場所でバイクに跨ったSが右腕にある黒い腕輪に触れながら呟く。

 

「で?俺はいつまでここで待機していればいいんだ?」

『もう少し待っていて欲しいな。これからソウルゲインの最終調整に入るんだから』

「そうか。まあいい。タイミングはお前に任せる」

『りょ~かい!』

 

ウィンディとプライベートチャンネルを使っての通信を終え、まだ待機していなければならないことに舌打ちすると。

 

「Wから待機と言われたか?」

「Mか…」

 

声が聞こえたほうへ視線を向けると一部景色が歪むと滲みだすようにMが現れた。

 

「光学迷彩か?」

「ああ、あの篠ノ之束がヴァイスセイヴァーに取り付けていった装備だ」

「便利だな」

 

SがそういうとMは苦々しそうにつぶやく。

 

「おかげで上から押し付けられる仕事が増えた。くそ…」

「そうか。それは災難だな」

 

くっくっと笑うSにMは鼻を鳴らしながら。

 

「そういうお前はどうなんだ?“天災”がその場で改良したISは?」

「最悪だよ。動力が安定しない」

「動力?ISコア以外に取り付けられたのか?」

「ああ、それが曲者でな。調子がいい時は構わないんだが調子が悪い時は性能が格段に下がる」

 

黒の腕輪を睨むように見ながらため息をつく。

 

「Wに調整はしてもらったのか?」

「してもらってはいるが、動力に使われているコアの調整が上手くできないんだそうだ」

「?」

「……ファウ・ケルン」

「ん?」

「それが俺のISに使われた新型の動力だ。Wが言うには……」

「ああ、もういい。どうせ私に言われても分からんからな」

 

もう興味がないと言わんばかりなMにSは内心でこれだから脳筋は……と思っていた。

 

「(それにしても博士は未完成な動力なんてどこから手に入れてきたんだ?)」

 

Wは言っていた。

 

『この“ファウ・ケルン”は本来なら搭載する器があって初めて完成する物みたいだね。動力炉としての特性は機体周囲のあらゆるエネルギーを制御・使用できるようだけど、今のままだと十分に機能は生かせないようだね。まあ、完成させる気はないけど』

『理由は?』

『ちょっと調べてみてだけどウチの趣味じゃないしね。それに“あの人”の作品じゃないなら興味ないよ。でも最低限の調整だけはしてあげるよ』

 

そう肩をすくめてそれ以上調べるのをやめてしまった。

 

「(まあいいさ。少なくともゲシュテルベンは前よりも性能は上がった)」

 

これから行われる作戦に支障がなければそれでいい。Sがそう思っていると。

 

『お待たせ!S、M準備はいいかな?』

「「ああ」」

『じゃあ、プレゼントを貰いに行こうか』

 

ウィンディからの通信が切れ二人はそれぞれISを纏いテスラ研へ向かって移動を開始した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『所長!二時方向にISの反応を確認!データ照合……一機はイギリスから奪取されたサイレントゼフィルスのコアと一致!もう一機はデータありません!』

「なに!?」

 

テスラ研内に響く警報音と共にもたらされた職員からの報告にソウルゲインの最終調整を終えたジョナサンたちは驚く。

 

「所長。もしかして……」

「ああ。このタイミングということはソウルゲインが目的だろうな」

 

フィリオの問いに頷くジョナサン。

 

「(しかし、何故、参式の裏で開発を進めていたソウルゲインがバレた?)」

 

元々、ソウルゲインはとある人物の依頼で製作を始めた物であり公には出していない物だった。しかし秘密裏にとはいっても完全に隠し通せるものではない。なので簪や本音に譲渡した弐式を元に開発していた参式の情報は公開していたのだが……

 

「内部に情報を渡した者がいる……ということかな?ウィンディ君?」

 

ジョナサンがそういうとウィンディは驚きもせず肩を竦め。

 

「どうしてそう思われたのか聞いても?」

「何、単純な事だ。ソウルゲインの開発に係っていてかつこのテスラ研で一番新しく入ったのは君だ。それに君が入ってきてすぐに提出してきた技術はソウルゲインにはおあつらえ向きの物ばかり、つまりソウルゲインの完成を急ぐ必要があった可能性が高い。それは何故か。簡単だ。君、もしくは君が所属している組織がソウルゲインを欲しがっているということだ」

「さすが所長。お見事な推理です。ならどうして私を採用されたのですか?」

「決まっているさ。女性に秘密は付き物。まぁ単純に君の知識、技術は素晴らしいものだったからね」

「なるほど。ウチを利用したということかな?」

 

メガネを外し笑うウィンディにジョナサンも笑う。

 

「ハハハ。そういうことだ」

「なら退職金代わりにソウルゲインを貰って行ってもいいよね?」

「それは出来ん相談だな」

「なら力づくで貰うだけだよ」

「ふむ?意外と短慮というか野蛮だね」

「行くよ。ラピエサージュ」

 

笑みを止めそう言って展開したのは漆黒のIS。大型のウイングバインダーに肥大した両肩と脚部。右腕は三本の鉤爪の様なマグナム・ビーク、左腕には五連チェーンガンを装備しどことなく孤狼やビルトビルガーなどの姿を真似たようなISだった。

 

「ほぉ?それは君の作品か?」

「ちょっと違うね。あの人が途中で作るのをやめてしまった機体をウチが完成させたものだよ」

「なるほど」

「ISを前にしてもその態度……所長は大物だね。でもここで消えてもらうよ!」

 

五連チェーンガンをジョナサンに向けた時だった。ジョナサンの後方にいるフィリオの傍にいた職員が動き出した。

 

「所長はやらせませんよ」

 

振り抜いた右拳から放たれた拳圧でラピエサージュの左腕が弾かれる。それだけでなくシールドエネルギーも減っている。つまりISが今の一撃を攻撃と判断した。

 

「へ?」

 

その情報にウィンディが呆けた声を出す。その間に職員はラピエサージュに接近し。

 

「如月流古武術、機神連拳!」

 

瞬息で繰り出される四連撃の裏拳から左、右のアッパーから連続蹴り、そして止めとばかりの右ストレートを受けラピエサージュは壁へと叩き付けられた。

 

「生身で……ISを?」

「流石はナズナの息子だ」

 

驚くフィリオに笑うジョナサン。そしてISを生身で吹き飛ばした青年は髪を掻き上げると白衣を脱ぎ棄てる。

 

「貴方の事は最初からマークさせて頂いてましてね。僕が所長たちの護衛として派遣されたということです」

 

一見、優男に見える青年だったがウィンディをしっかりと敵と見なして拳を構える。

 

「ナズナ…?そ、うか、お前があの修羅姫の……」

「ええ。如月薺の息子、如月幸人です。お見知りおきを」

 

呟くウィンディに返す幸人は構えたまま油断なくウィンディを睨む。

 

「まったく…まさか息子までこんなバケモノなんて……(嘘でしょ?!今の攻撃で絶対防御が発動した!?)」

「外から向かっているという二体のISについて貴方のお仲間のようですし、詳しくお話を聞かせて頂きたい」

「冗談ッ!」

 

そう吐き捨てるように言うと壁をマグナム・ビークで撃ち抜き破壊。離脱していった。しかし幸人は追いかけない。

 

「これで良かったのですね?」

「ああ、構わんよ。元からこの襲撃も想定内だからね」

「なるほど、ソウルゲインはエサですか……」

「襲撃されないほうが良いんだが、何分相手が相手だからな」

「亡国機業……未だに全体が見えませんからね」

「そういうことだ。私たちは管理室の方へ戻る」

「なら護衛として僕も行きましょう」

「頼めるかな?」

「もちろん」

 

そしてジョナサンたちは管理室へと向かった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

『ごめん!ちょっと厄介な奴が紛れ込んでた!』

「分かった。お前はそこから離脱しろ」

『言われずとも、あんなバケモノと戦えないよ!!』

 

通信で聞こえてくるウィンディの切迫した声にそう返したSは自身の足元に転がっている量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを一瞥。

 

「そっちは終わったか?」

「ああ。この程度軽いものだ」

 

Mもレーザーブレードで止めをさした量産型ゲシュペンストMk-Ⅱをそのままにする。これでテスラ研に配備されていたIS三体を制圧、無力化。二人は堂々と内部へと突入していった。内部のマップはウィンディから渡されていたので迷うことなくソウルゲインの場所まで向かっていく。

 

「警備が薄いな」

「ああ。この研究所の規模や作っている物を考えればIS三体は少なすぎる」

 

Mの漏らした声に同意しつつハイパーセンサーで索敵を行っていたSだったがついにソウルゲインが置かれているハンガーへとたどり着いた。

 

「こいつが……」

「ソウルゲインか?」

 

青色の全身装甲。完全に接近戦特化の機体だと分かる外見。ウィンディから渡されていた情報通りの機体がそこに鎮座していた。しかしこのハンガーにもトラップらしきものはない。Sは警戒を解かないままソウルゲインに近づく。

 

「まあいい。こいつを入手するのが俺の目的だ」

 

そしてISを解除し、ハンガー近くの端末からソウルゲインを起動させる。だが、起動直前まで言ったところで。

 

「S!来るぞ!!」

 

Mの声に瞬時にISを展開。構えるとそこへ飛び込んできたのは一体の赤いIS。ハイパーセンサーに表示されたのは“ビルトキルシュ”というネームだった。

 

「ちっ!」

 

Sがステークを構えるのと同時に振り抜かれたビルトキルシュのコールドメタルソード。

 

「ソウルゲインを渡すわけにはいきません!」

「そいつは聞けないな」

 

ビルトキルシュのパイロットの問いにSはそう返すとステークでコールドメタルソードを払い、三連マシンキャノンを撃つ。しかしビルトキルシュは瞬時加速で一気に上空へ舞い上がるとその左手にライフルを呼び出し握られていた。

 

「ならば倒させてもらいます。オクスタンライフル!」

「いや、お前が落ちろ!」

「!?」

 

ビルトキルシュに迫るMがレーザーブレードを抜き、斬りかかる。対しビルトキルシュは右手に持ったままのコールドメタルソードでその刃を受け止めた。最初は加速分を乗せたヴァイスセイヴァーの方が押していたがすぐにビルトキルシュが押し返し始める。それも余裕そうに。

 

「この程度ですか?」

「ヴァイスセイヴァーがパワー負けしている?!」

「当たり前です。このビルトキルシュは私の弟が扱っていた機体を元に改修したもの。故に私は負けるわけにはいかないのです!」

「弟だと?!」

 

Mへそれ以上返さず、蹴りを叩き込み強引に間合いを開けるとMへオクスタンライフルを突き付け、トリガーを引く。マズルフラッシュと共に叩き込まれた弾丸で腹部にダメージを受けたMがフェイス内部で苦痛に歪むがすぐに切り替えるとO.O.ランチャーを構える。

 

「S!こいつは私がやる!お前は今のうちにソウルゲインを!」

「M、任せた」

「ああ、任されてやる」

「くっ!そうは…」

「お前の相手は私だ!」

 

ビルトキルシュとヴァイスセイヴァーが空中戦を初め、その間に起動準備が完了したソウルゲインに再び近づこうとした時、ハイパーセンサーに反応があった。それを確認するとすぐにハイパーセンサーに情報が表示された。

 

「ISネーム“アークゲイン”?」

「ゲシュテルベン?いや、その姿は……まあいい」

 

ソウルゲインに酷似したISが現れた瞬間。Sの背中に悪寒が奔る。

 

「っ!」

「ソウルゲインをくれてやるわけにはいかん、これがな!」

 

瞬時加速を使った様子を見られないのに一瞬に距離を詰め、拳を放ってきたアークゲインにSは紙一重でかわしたものの冷や汗が流れ、本能的に察していた。

 

「(こいつ…俺よりも遥かに強い!)」

「どうした?動きが鈍っているぞ!」

 

放たれる拳の連撃をかわしながらもSはアークゲインの隙を探る。そしてアークゲインが拳を引いた瞬間。

 

「ここだ!」

 

ステークを突き出す。しかし。

 

「甘いぞ!」

 

突き出されたステークをアークゲインは半身をずらしかわすと、右掌にエネルギーを纏い。

 

「白虎咬!」

 

カウンター気味にSの頭部へと叩き込んだ。そのまま吹き飛ばされたSは壁に激突し崩れ落ちる。

 

「どうした?お前の力はこの程度なのか?」

「く…う、うるさい…」

 

アークゲインの言葉に言い返しながら立ち上がり右腕を引き構えるS。

 

「どうしてソウルゲインを狙う?」

「俺に必要だからな」

「必要?」

「ああ、アイツを、織斑秋を倒すために!」

「織斑秋……Mk-Ⅲ、いやアルトアイゼンを使っている男、だったな…」

「そうだ。俺は、俺である為にアイツを倒す!そしてその為にソウルゲインを奪う!!」

 

スラスターを全開にし突っ込むS。それに対しアークゲインは。

 

「いいだろう。ならお前がソウルゲインを扱うにたるか俺が試してやる!!」

 

突き出すタイミングに合わせるように膝蹴りを叩き込み、ステークを弾くとそのまま、回し蹴りを叩き込むと脹脛に当たる部分にあるリボルバーが回転し衝撃がSを襲う。

 

「玄武剛脚!」

「ガハッ?!」

 

再び壁に激突したSにアークゲインは告げる。

 

「貴様のIS…貰い受けるぞ」

 

そういうとアークゲインはSの展開しているISを解除し待機状態である腕輪を外す。

 

「な、何を?」

「このISは代わりだ」

 

何を言っているのか分からないという顔をしているSにアークゲインは早くソウルゲインに乗れと言う。

 

「いいのか?俺は敵だぞ?」

「奴を倒したいという気持ち……分からんでもないが、ソウルゲインは俺の戦友とも呼べる存在だ。只でくれてやるわけにはいかん。だからお前の目的が達成されるまで貸しておいてやる。このISはその代りだ」

「……」

 

Sは頷くとソウルゲインへと乗り込み、フォーマットとフィッティングを開始する。それが終わるまでの間、アークゲインは未だに上で戦闘を続けている二人へと視線をやる。

 

「その辺でいいだろう。オウカ・ナギサ」

 

アークゲインの声にビルトキルシュが動きを止める。それを見てMも動きを止めた。

 

「何故ですか?私たちはソウルゲインの奪取を阻止する為に来たのですよ?」

「ソウルゲインは俺が開発を頼んだものだ。それをどう扱おうと俺の自由な筈だ。それにお前のビルトキルシュはまだ改修途中だった筈だ。なら引き際をわきまえろ」

「…貴方はどうするのですか?アクセル・アルマー」

「俺にはやるべきことがある、これがな」

「それは侵入者に新型を渡す事なのですか?」

「俺は、俺たちがこの世界に転移してきた理由を知りたい。それに…いや、なんでもない」

「……分かりました。今の貴方は信用できると判断します」

 

そういうとオウカは踵を返し離脱した。以外にもMは追いかけない。ただアクセルを上から見下ろす。

 

「そこのお前も撤退しろ」

「……敵の言葉を簡単に信じると思うか?」

「倒すつもりなら言葉などかわさん」

「Sをどうするつもりだ」

「俺の代わりにソウルゲインに乗るんだ。最低限、物になるまで叩き込むだけだ」

「……チッ」

 

舌打ちし降り立つとヴァイスセイヴァーを解除し腕を組んで壁に寄りかかる。

 

「そいつを置いて帰れん。邪魔はしない」

「好きにしろ」

 

そっけなくアクセルが答えた時だった。研究所内に響く警報。そしてハイパーセンサーに表示された反応にアクセルは目を見開き、驚いた。

 

「転移、反応だと?!」

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「一体、何が起こっている?」

「分かりません。突然約五十体もののIS反応が研究所周辺を囲むように現れました!」

 

管理室でそれを聞いたジョナサンが顔をしかめる。まず一度にISの反応が五十も確認されることが異常だ。それはISコアを作れるのが篠ノ之束以外にいない事というのがあるからなのだが……

 

「まさか疑似IS?いや、今の名称はPTか?だが、ハウ君が係っているとは思えん。すると…?」

「あれは無人機ですよ。カザハラ所長」

 

管理室の扉が開くと共に入ってきた女性の声に管理室にいた全員が振り返る。そこにはウェーブのかかった金髪の女性が立っていた。さらに重火器で武装した兵士たちが数名入ってくる。幸人が動こうとするがジョナサンはそれを手で制する。彼ならば職員に被害を出さずに敵だけをかたずけるのは簡単だろう。しかしジョナサンはそれをさせない。

 

「初めまして、カザハラ所長。私は亡国機業の実働部隊を任されているスコールといいます」

「これはご丁寧に。それで何の御用かな?」

「あら?知られていないとでも?こちらに異世界からの来客がいらっしゃる筈なんですけど?」

「さて……あいにく彼らならとっくにここを出て行っていますよ」

「そう…ならここのデータと開発されている特機を頂いていきましょうか」

「ハハハ。そう簡単に渡すとでも?」

「あら?この状況で何が出来るとでも?」

 

スコールの声に兵士たちが銃器を構える。

 

「まあ待ちたまえ。聞きたいことがある」

「それを答えるとでも?」

 

勝ち誇ったように優雅に笑うスコールにジョナサンが幸人へ視線だけやり。

 

「頼んだ」

「任されました」

 

そう声が聞こえた瞬間に銃器を構えていた兵士が一掃される。

 

「なっ!?」

 

スコールが認識できたのは幸人の両手がブレた瞬間、無数の龍の形をした何かが兵士たちを一瞬で貫いていった所だった。動くどころか反応すらできなかった。

 

「機神乱獣撃…我が覇龍止められると思わない事です」

「機神?まさか…修羅姫の関係者?」

「ええ。息子です」

 

ニコリと笑う幸人に対してスコールの顔色が悪くなる。

 

「なるほど。そちらも切り札を用意していたという訳ね」

「さて、話を聞かせてもらえるかね?あの数をどうやってここへ?」

「…異世界からの来訪者は貴方たちのところだけではないわ。こちらの思想に賛同してくれる者もいる」

「そうか。それで十分だ」

「なら、今回は引かせてもらうわ。それじゃあね。カザハラ所長、修羅姫の息子さん」

「逃がしませんよ!」

「いいえ。逃がしてもらうわ」

 

スコールが指を鳴らすと突如、閃光が一面を照らし、幸人は目をそらしてしまう。そして閃光が消えると既にスコールはいなくなっていた。

 

「逃がしてしまいましたね」

「いや、いいさ。こちらに被害はないしね」

『いえ、ソウルゲインが敵の手に渡ったようですわよ』

 

管理室のモニターに映し出された人物はマリオンだった。

 

「何?」

『どうもオウカの報告ですとアクセルが渡したようですわね』

「なるほど……まあソウルゲインは彼の物だしなぁ……彼が良いと言うなら構わんでしょう」

『それは肝心な物が奪われなかったからという事ですわね?』

「ええ。同時作業はきつかったですがね。既に彼らはアレを持ってここを発っています」

 

そういうジョナサンだったが、相変わらずテスラ研は包囲されたまま。周りの職員も不安げにしているが、そこへ通信がつながる。

 

『所長。俺とアルフィミィが迎撃に出る……そうだな。シュンヤ、マドカ、マキお前たちも出られるな?』

『ようやく……私の出番ですの』

『ああ。俺はあいつらの仲間じゃないからな。ソウルゲインの肩慣らしついでに倒すさ』

『邪魔なナノマシンを取り除いてくれた礼だ。今回は手伝ってやる』

『はいはい。ウチも協力しますよっと』

『というわけだ。これがな』

 

アクセルの言葉に頷いたのは水色の髪をした少女とS、M、ウィンディの三人。

 

「うん?マキ?」

『あ~……ウチの本名。今は気にしないでよ』

 

ジョナサンの問いにウィンディ、否、マキはそう答える。

 

「なら僕も出ましょう」

『私も出ます。ビルトキルシュも装備の取り付けが終わりましたから』

 

幸人、オウカが続き。

 

『所長。俺も出よう』

「君もか!?」

 

ジョナサンは声の主に驚く。だがジョナサンだけではなかった。

 

『その声……お前、生きていたのか!?』

『そうですか…貴方もこちらに?』

『ああ。話は後だ。所長たちが我が剣を直してくれた今、恩を返すとき!』

『……なら共に来てもらうぞ』

『承知』

 

そして通信が切れるのと同時に今度は別の相手がモニターに表示された。

 

『おーおー、随分粋がってんじゃねェか?ああ?』

「ふむ?今度は品がない御嬢さんが来たもんだ」

『おい!ジジィ!テメェ、状況が理解できてねェようだな?そこで待ってろよ?テメェら皆とっつ構えて脳髄引きずり出して有効活用してやるからよぉ!!』

 

アヒャヒャヒャ!と笑う女性に対しやれやれと首を振るうジョナサン。

 

「御嬢さん」

『あん?』

 

ジョナサンのわずかにトーンが下がった声に訝しげに尋ねる女性。それと同時にテスラ研の一部の地面がスライドしそこから六体の人型が地上へと出てくる。

 

『な!戦力を隠してたのかよ!?』

「こういう研究所の地下には秘密兵器がつきものでね。気づかなかった君たちが悪いのさ」

『こんの…クソジジィ!!!Mの奴も騙しやがったなぁぁぁぁぁ!!!!』

 

ニヤリと笑うジョナサンに悪態をつく女性。地上へと完全に出てきた六体は自分たちを囲む敵たちを見すえ。

 

「物事はスマートに、な」

 

拳を打ち付けるアクセル・アルマーのアークゲインが。

 

「やさしく……やさしく……致しますの」

 

赤い鬼の仮面を両脇に従えた異形の赤い鬼武者から発せられるのは少女の声。アクセルにアルフィミィと呼ばれた少女は自身の半身とも呼べる存在であるぺルゼイン・リヒカイトへと姿を変えている。

 

「全システム問題なし、スタッグビートルブレイカー、五連ビームキャノン、パルチザンライフル…ビルトキルシュの本領見せてあげましょう(アラド、ゼオラ、ラトゥーニ…私に力を貸して頂戴)」

 

背後の四枚のTDウイングを広げ本来の装備を搭載し完成となった赤いIS“ビルトキルシュ”と共にオウカ・ナギサは再び立つ。

 

「行くぞ。ソウルゲイン!全部、叩き潰す!」

 

ソウルゲインという新しい相棒を手に入れたSこと織斑シュンヤが一歩前に出る。

 

「今までこき使われた分、お前たちで憂さ晴らしさせてもらおう!」

 

ヴァイスセイヴァーを纏ったMこと織斑マドカがテスラ研にて出撃前に手に入れたグラビトン・ランチャーを構える。

 

「あ~…戻ってこなきゃよかったかな?まあいいやラピエサージュのデータ取りと思えば」

 

ウィンディこと篠ノ之マキは言葉とは裏腹に笑みを浮かべている。

 

「久し振りにアルクオンを纏いましたが、どうやら……手加減は出来そうにありませんね」

 

そんな六体の横に降り立ったのは後頭部から白い髪を伸ばした力強い重厚な鎧姿の黒い機体。如月幸人が纏うアルクオンだった。

 

「ハ!たった七機でこの数を相手にするだと?笑わせるな!まあいいぜぇ。やるだけやってみろよ。このオータム様が徹底的にいたぶって遊んでやるよぉ!」

 

無人機を率いるのは亡国機業の実働部隊の一人にしてスコールからこの襲撃作戦を任されている女性“オータム”。オータムは蜘蛛型のIS“アラクネ”を展開し、そのマスク内で舌舐めずりをし無人機たちに指示を出そうとした。だが突如、その一部が爆発音と共に吹き飛んだ。

 

「な、なんだぁ?!」

 

オータムがその地点をハイパーセンサーで拡大し見るとそこには巨大な剣を肩に担ぎ、背中には巨大な二本のドリルを、突き出した赤い角を頭部に持つ一機のISがいた。

 

「俺の名はウォーダン…ウォーダン・ユミル!貴様ら亡国機業を我が斬艦刀で断つ!」

 

その声が戦場に響いた。




というわけで本編からアクセル、アルフィミィ、ウォーダン、オウカを引っ張ってきちゃいました。

一応、これでOGシリーズから出てくる味方は後一つ(?)です。あとは出て来てもIS世界の人物ということになります。前回の話と今回の話で敵の影もちらちらと出てきますので…パワーバランスは取れるかと……たぶん

で、ではまた次回!

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