来年も続きが頑張って書けるようにしていきます。
さて今話から銀の福音戦もとい臨海学校が始まります。
タッグトーナメントも無事に終わり七月に入った。IS学園では中間テストがないので期末に赤点を取らないように気を付けなければならないが、俺も一夏も周りに優秀な教師役が居るのでいざとなったら頼るとしてまずは目前に迫っている臨海学校と……
「デート…ねぇ?」
先日、鈴から誘いを受けた俺は特に断る理由もなかったので承諾したのだが……
「“デート”と“一緒に出かける”の違いってなんなんだろうな?アルト」
《AIでしかない私に相談している時点でもしかしなくてもテンパってますか?》
「そんなことはないと思うんだがな?」
《ならば一夏に聞いてみればいいのでは?彼は彼女持ちでしょう?》
「……そうしてみるか」
あまり気が乗らないけどな。
「隙あり!」
「隙なし」
相川がプラズマカッターを振りかぶって突っ込んできたのでカウンターで放ったバンカーが相川の腹へと直撃し崩れ落ちる。あまりにもあっさりと決まってしまい少し虚しい。
「…虚しい勝利だ」
「お、女の子のお腹にバンカーって……」
「引き金を引かなかっただけ優しさを感じてほしいね」
「うぅぅ」
今はISを使った実習の時間。いつものようにグループに分かれて行っていた。今日は武装を使っての格闘戦を行っていたのだが、なんというか集中できないでいる。これではいかんとは思っているのだが。結局この時間中はどこか上の空になっていた。そして、それを見抜いた姉貴から出席簿の教育的指導を何度も受けることになった。
「で?どうしたんだよ?」
「あ?」
一夏から屋上で飯を食おうぜと誘われ、購買でパンを購入し行って見ると同じように購買でパンを買った一夏が待っていた。他のメンツが居ないようなので聞けばお前が何か悩んでいそうだから他の奴らには遠慮してもらったとのことだった。こういう時の一夏の観察眼というか気配りは凄いと思うし有難い。
「……実はな、鈴に今週末デートに誘われたんだけどさ」
「へぇ~!鈴、やるじゃん!」
「で、いく事にはしたんだけどさ……デートって何をするんだ?」
「……いや、え~…?まさかそれで悩んでたのか?」
何処となく、いや完全に呆れた眼でこちらを見る一夏。そう言われても昔は一緒に遊ぶくらいだったし?デートとか意識したことないし?
「普通に昔の感覚でいいんじゃね?鈴だって、そんなに深く考えてないって」
「そうかね?」
「そうさ」
「…ちなみに、お前は箒とどこに行ったんだ?」
「俺?…普通に買い物とか映画とか行ったぞ?」
「いやいや、ちょっとまて。そんな時間合ったか?」
最近の記憶では二次移行したこともあってISを使っての訓練に時間を割いていた筈だが?
「え?普通に日曜日にだけど?」
「え?」
何それ?俺、先週もアリーナに居たけど?アリスたちとIS戦してたけど!?
意外な事で兄弟の差を見せられた気がした。少しばかり負けた気がしたのはなんでだ?
「いや、お前は頑張りすぎだろ?たまには休まないと」
「俺がおかしいのかな?」
新たな疑問が生まれてしまったがとにかく日曜は変に気にせず行くとしよう。
そしてやってきた日曜日。天気は快晴。俺はいつもの制服姿ではなく黒を基調とした私服姿で寮の入り口にいた。
「あれ?秋も出かけるの?」
声をかけられ視線をそちらにやると白い半そでのブラウスにライトグレーのティアードスカートと言った私服姿のシャルと……。
「む?相棒か…どうだ?この服は?」
何処か自慢げに問うラウラの格好は白い半そでのワイシャツに黒のキュロットパンツ。アクセントに赤いリボンタイを着けている。
「シャルのコーデか?」
「…フン。そういうと思った」
不機嫌そうにそっぽを向くラウラ。いや、だってな…?
「秋!いくらなんでも失礼だよ!ちゃんとラウラが選んで着たんだから」
「ごめん。俺が悪かった。にしてもラウラ似合ってるじゃないか」
「今更お世辞か?」
睨むように言われてしまい、頬をかきながらどう言うか悩んでいると。
「秋はそんなお世辞言わないわよ」
第三者の声に揃ってそちらを見ると鈴が立っていた。鈴の服装はショートパンツにTシャツにキャミソールと活動的な格好をしている。しかし何故足元はアーミーブーツですか?
「何故って頑丈だから?」
さいですか。
「そうなのか?…お世辞じゃないのか?」
ちらっと俺を見るラウラ。俺は肯定として頷く。
「あと覚えとくといいわよ。コイツ、嘘つく時は少しだけど右の口角がピクって引きつるから」
「それってすぐに分かる事なの?」
「あたしは割とすぐに分かったわよ?たぶん一夏や千冬さんも知ってると思うわよ?あと箒も分かりそうね」
シャルの疑問に当たり前だと言わんばかりの鈴。俺ってそんな癖あったんだ…自分の事なのに知らなかったわ。
「くっ!これが幼馴染の力量という事か!」
ラウラが悔しそうに言うがそんなのしらんがな。
「で?あんたたちも買い物?」
「うん。臨海学校の準備でね。鈴も?」
「そうよ。秋とデート!」
そう言って人の腕に自分の腕をからませる鈴。間違ってはいないので否定はしない、否定はしないが……なんだろう?何かが引っ掛かる。
「「ふーん」」
シャルとラウラの瞳から一瞬、光が消えたような気がする。
「安心してよ。付き合ってるわけじゃないから。秋との賭けに勝ったからね」
「「あ、なるほど!」」
今度は俺を生暖かい目で見てくる二人。一体なんだってんだよ?
「じゃあね!二人とも!」
「またな」
「ほら!行くわよ!」
「引っ張るなよ…」
何が嬉しいのやら満面な笑顔の鈴に引っ張られながら、向かうのは駅前のショッピングモール『レゾナンス』。駅前となっているが実際はレゾナンスの中に駅があるような構造で一年前に大幅な改装を経てこうなった。ここで揃わなければ市内の店では揃わないと言われるほどの品ぞろえが豊富で客足もおおい。まあアクセスが良いというのが最大の特徴でもあるんだろうけどな。
「さて、臨海学校の準備と言っても俺は買うものがないんだが?」
「アンタはね。あたしは新しい水着を買いたいのよ」
「お前、去年のだって着れるだろ?」
体型変わってなさそうだし。
刹那、空気が斬れるような音と共に俺の腹に鈴の蹴りが突き刺さっていた。
「…ぶっ殺すわよ?」
「……すいませんでした」
ホント、余計なこと言ってすいませんでした。
「……これでも成長してるんだから……」
自身の一部を見ながら呟く鈴。そのつぶやきがばっちり聞こえてしまい、痛みとは別に涙が出そうになった。
「あ~…鈴。今日は俺がプレゼントするわ」
「へ?」
「いや、水着さ。詫びの印として選ばせてほしい」
「ん。ならお任せするわ」
「任された。んじゃ行くか」
そういって俺は鈴の手を取る。
「え!?」
「なんだよ?」
「だって…急に手を握るから」
「デートなんだろ?ほれ、いくぞ」
「う、うん」
昔はこれくらい普通にしていただろうに……変に顔を赤くするなや。こっちまで緊張するだろうに……
そんなことを思いながら案内板で水着売り場に向かう。
「さすがに時期なだけあって多いな」
「はぁ~…本当ね」
テナントに飾られている水着を見て回る。さて、鈴に似合いそうな水着ね~?
「やっぱり活動的な物か?いや、あえて逆に行くのもありかもな」
送る以上は喜んでもらいたいのでしっかりと選びたい。選びたいのだが……
「なんか不審者を見る目で見られている気がするな」
「そう?」
鈴は気にならないようだが俺は気になる。かといって逃げ出すのはダメだ。そんな葛藤をしながら手に取ったのは……黒とオレンジのタンクトップビキニと呼ばれている物だ。
「これはどうだ?」
「ふ~ん……ちょっと試着してみる」
「ん。してみてくれ」
水着を持って試着室へと向かう鈴を見送り気が付く。
あれ?ここに一人って不味くね?
女性の水着売り場に野郎が一人……とんでもない状況になってしまった。冷や汗が頬を伝い、鈴に早く出てきてほしいと思いながら待っていると。
「「あ」」
そんな声が聞こえ、振り返ると両脇に荷物を抱えた一夏と弾がいた。
「なにしてんだ?お前ら?」
「「それはこっちのセリフだ」」
いや、一夏はなんとなく分かる箒と来たんだろう。弾は蘭にでも連れてこられたか?
「お前は鈴と来てるんだろう?」
「マジか!?秋も遂に……」
「いや、なんで泣きそうになってんだよ?弾」
一夏の説明に泣きそうになる弾に突っ込みをしつつ、話を聞くとやっぱり一夏は箒と弾は蘭にここまで連れてこられたようだ。
「蘭の学校も臨海学校があるのか?」
「ああ。見せる相手もいないのにな」
「お前…あとで殴られるぞ?」
ハハハと笑う弾に一夏が呆れたように呟く。
「しかし、ここに三人で揃うとあの時みたいだよな」
「あ~…そうだな」
「う……」
弾の言葉に思い出すのは中学時代。このレゾナンスが改装される前の話。俺と弾と一夏…そしてもう一人。“道明寺 薫”この四人でつるんでいた時の事だ。
「いや、俺はストッパーだからな!?」
「何言ってんだよ?切り込み隊長だった癖に」
「お前たちが突っ込んでいくから自然とそうなっちまったんだろうに!!」
そんなこともあったなぁ~と思い出に浸る。まぁ黒歴史なんだけどさ。
「そういや道明寺はどうしてるんだ?」
「アイツ?高校に行かず実家の工務店で働いてるぞ?」
「え!?あの“壊し屋”が!?」
「一夏の気持ちも分かる。俺も実際に現場で会わなかったら信じなかった」
「はぁー、マジか。俺たちが言うのもなんだけど一番社会に似合わなそうなのに」
誰かの下に付くなど我慢できねぇ!とかいって暴れていたのに……
「「いや、社会になじめないのはお前と道明寺だけだから」」
そろって否定された。解せぬ。
「何、バカ話してんのよ」
シャッと試着室のカーテンが開き、鈴が姿を見せた。オレンジが基調となり黒いラインが入った水着は鈴の活発さを引き出しつつも魅力も引き上げている。
「「おおっ!!」」
一夏と弾が驚く。
「俺の目に狂いはなかったな」
「どう?」
「凄く可愛いと思う」
鈴の場合、変に露出が多いよりはこういう方が似合うと思ったが、よく似合っている。
「そ、そう?じゃあこれにしようかな」
照れながら再びカーテンを閉める鈴。カーテンの向こう側で布が擦れる音が聞こえたので。
「で?お前らいつまでここにいるんだ?」
俺は二人にそう尋ねた。
「あ!箒の所に戻らないと」
「俺も蘭が怒り狂ったら困る」
どこか慌てたように踵を返した二人。と同時に箒と蘭の声が聞こえ、二人は戻っていった。
「お待たせ」
それから少しして出てきた鈴から水着を受け取りレジへ。金額は予想よりも高かったが金はあるのでさっさと払うと店をでた。流石にこれ以上いても俺の精神上よろしくない。
「で?これからどうするの?」
目的の物は買ったし、久しぶりに何処かをうろつくのも悪くはない。しかし、どこへ行くのがいいのか……
「鈴さ~ん!」
「蘭?」
声の方を向くと蘭が手を振っていた。俺たちは互いに頷くと今後の予定を決めた。
「悪いな~荷物持ち手伝ってもらってよ」
「気にすんな」
「そうそう。女子の買い物は長いからな」
結局、一夏たちも加わり行動している。少し先に箒、鈴、蘭と並んで歩いている。三人とも、笑顔で話をしていて、そんな光景を眺めていると平和だなと思う。
「どうだ?秋、たまにはいいもんだろ?」
「そうだな。気分転換できたわ」
一夏の言葉に頷く。
「む?秋、どうした?」
「どうせ、また小難しい事考えてたんでしょ?」
「秋さんらしいですね~」
お前ら人をなんだと思ってるんだ?
三人娘の御言葉に苦笑しながら久々の休日を楽しんだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
「海っ!見えたぁっ!!」
トンネルを抜けた一組を乗せたバスの中、女子のはしゃぐ声が響く。今日は臨海学校初日。天気も無事に晴れ、俺も久しぶりの海に心が躍る。
ただ一人を除いて……
「あ、あの~一夏さん?秋さんは大丈夫なのですか?」
隣に座っているセシリアが後ろを振り返っては俺に確認する。
「あ~大丈夫だよ……多分」
「多分っ?!」
俺の言葉にセシリアが驚くが俺と箒、千冬姉とバスが違うが鈴も予想していたことだ。
「お、お水飲む?秋?」
「よ、酔い止めが必要か?」
オロオロとシャルとラウラが秋に声を変えるがその肝心の秋というと。
「海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ海コワイ」
シートの上で器用に膝を抱え壊れた機械のように呟き続けている。
「秋の奴、まだ克服できなかったんだな…」
前の席に座っていた箒がこちらを向きそう呟く。
「ああ…鈴や弾とも頑張ったんだけどな……」
そう、秋は泳げない上に水辺では“まるでダメな男”略してマダオと化す。
そんな感じで一名に暗雲しかない臨海学校が始まった。
私にイチャイチャなんて書けませんよ!?
と心の叫びは置いといて臨海学校冒頭ですね。
秋の弱点が明らかに!そして銀の福音戦はまともに戦えるのか!?そしてたぶん皆さんも気になるであろう原作でもお披露目回である箒の専用機の存在。
さてどうなるのか…では!次回!!