IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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漸く福音戦へ・・・入る手前です。

いや、ちょっと色々ありまして・・・・・・

では、二十九話、どうぞ!


STAGE29

ハワイ沖にて停泊していた軍艦の一隻から突如爆発が起きた。爆発が起きたのは開発が秘密裏に行われていた軍用のISの格納庫。そこから飛び出したのは胸部に赤いコアを生やし手足と体を蔦のようなものでつなぐ銀色の異形。赤い額宛から後頭部に流れるような二本の角を持った頭部がある一点を見つめると銀の翼を広げ、ソレは一気に飛翔した。

 

「まったく、体が手に入った途端に暴れ出すなんて」

 

黄金のISを纏い、その場に立つのは亡国機業のスコール。

 

「だから俺は反対したのだ。アレに体をくれてやるなど」

 

ツヴァイザーゲインを纏ったヴィンデルが呆れるようにスコールを見る。

 

「ヴィンデル。貴方も今回の軍用IS強奪には賛成したでしょう?」

「それはいつものように戦力拡大だと思ったからだ。だがお前はアレを使った…お前は知らんのだ。アレの恐ろしさを…」

「それはどうかしらね?まあ、あの子が私たちの思う通りに動いてくれるなんて思ってはいなかったけれどね」

 

スコールが腕を組み、ため息をついた時だった。轟音と共に飛び込んできたものがいた。

 

「スコール!!」

 

水色の装甲を持ち、槍を手に突撃してくる人物。その人物の正体に気が付いたスコールは笑みを浮かべ、ヴィンデルに手を出さないように視線で告げる。

 

「あら?久しぶりね。楯無」

 

その突撃をかわし、炎を纏った鞭“プロミネンス”で攻撃を仕掛けるがそれを楯無は咄嗟に生み出した水の刃で防ぐ。しかしプロミネンスと触れ合った瞬間、水の刃は一瞬にして蒸発した。

 

「相変わらずね。そのISでは私のISを突破できない。それは分かっているでしょ?」

「そうね。今の私のISでは……ね」

「?」

 

楯無の言葉にスコールは疑問符を浮かべる。だが次の瞬間それを理解した。

 

「さあ!今こそ、枷を解き放ちましょう!」

 

大型の槍を払い、構える。

 

「“霧纏の淑女”よ!今こそ“伝説”への道を切り開け!!」

 

楯無の言葉と共に彼女のISが光に包まれ、その姿を変えていく。青い装甲から白い装甲に変化し鋭利な全身装甲へと変わる。青い菱形の結晶がついた肩装甲。青と白の装甲が合わさったサイドスカート、リアアーマー。背中には肩装甲と同じ青い結晶が先端に着いた四つの羽のような翼が現れる。左手には盾と剣が一体化した武装。右手には蒼流旋に似たガンランスが握られている。

 

「それは二次移行した姿…かしら?」

「ふふふ。これが私の真のIS“ミステリアス・ファービュラリス”よ!」

 

楯無がその名を告げた時、あたりを冷気が包み込み始める。

 

「私の凍気は貴方の炎すら氷結させる」

 

スコールのIS“ゴールデン・ドーン”は炎のIS。水を操る楯無のISに有利なISの筈だった。しかし、今、その炎はミステリアス・ファービュラリスの冷気によって抑え込まれていく。

 

「これはちょっとまずいわね」

 

流石のスコールも苦笑するがISの出力を上げ、炎の勢いを増す。それをフェイスバイザーの奥で楯無が笑みを浮かべる。

 

「無駄よ。出力を上げても」

「!!」

 

楯無の言葉の通り出力が上がったにも関わらず、炎は勢いを無くし凍りついていく。そしてハイパーセンサーに表示されたデータを見て楯無のISの能力に気が付く。

 

「まさか…熱を奪っているの?」

「正解♪さて、問題です。奪った熱は何処に行ったでしょう?」

 

楯無の唐突な問いにスコールが少し考えるそぶりを見せたが楯無がガンランスを向けるとその先端に高密度のエネルギーが集束し始める。

 

「ディスチャージ!」

 

解放の言葉と共に熱線が放たれた。それを受けるのは不味いと判断したスコールが回避運動を取り熱線は外れたが、その熱線は既に半壊していた軍艦をさらに破壊する。その威力に驚くスコールに楯無が仕掛ける。

 

「楯無!あなた!?」

「スコール!ここで終わりにして見せる!」

 

炎の鞭と冷気を放出させるランスがぶつかり合う。氷結させた箇所から炎が溶かしていくが溶かされた所から再び氷結していく。相反する属性を持った二体の戦いは白熱していく。

 

ヴィンデルはそんな二人の様子を見ていたがツヴァイザーゲインのセンサーに新たなISの反応が現れそちらへ視線を向ける。

 

「おい!楯無!先に行きやがって!」

「まったく…貴方様が先行しないようにと言っておきながらセリアたちを置いていくなんて」

 

アルブレードに赤く塗られた追加装甲を纏ったカチーナの専用機“アルブレード・カスタム”がブレード・トンファーを構える。その隣に降り立つのは右手にグラビトン・ライフル、左手にフォトン・ライフルSを持ったセリアの専用機となったエクスバイン。

 

「これ以上邪魔をされるのは好かんな」

 

カチーナ、セリアの前に立つヴィンデルが指を鳴らすとその背後に転移してきたのはエルアインスが二十機。

 

「随分、景気がいいじゃねぇか…」

「ええ。学生相手に大勢で、ですが破壊しがいがありますね!」

「はっ!言ってろ!バーサーカーが!」

「クスクス。酷いですね」

 

言い合いながらも武器を構える二人に、ヴィンデルがエルアインスたちへと指示をだす。

 

「片付けろ」

 

二十機のエルアインスがそれぞれ攻撃態勢に入った時だった。

 

「リミッター解除!ビクティム・ビーク!」

 

鈴とした声と共に突撃してきたのはメイが操るビルトビルガー。ジャケットアーマーをパージしテスラドライブウイングを展開した高機動戦モードへとなり、コールドメタルソードを水平に構えエルアインスの軍勢へと向かっていく。

 

「まずはそっちを迎撃しろ!」

 

ビルトビルガーへ向きを変えたエルアインスたちが背中に装備されているツインビームキャノンを斉射しようとする。そこへマズルフラッシュが煌めき、エルアインスたちを足止めする。その一瞬で十分だった。ビクティム・ビークによって一筋の道が出来る。着地と同時にコールドメタルソードを振り抜き、メイはカチーナ達に合流した。

 

「お待たせしました!」

「おうよ!無事で何よりだぜ!」

 

メイはカチーナに頷き、ヴィンデルへと向き直る。その後方ではライフルを構えていた存在が怒気を込めた声を出す。

 

「よくも…よくも!あの子を奪ってくれたわね!!私は、あの子の翼を無理やりもぎ取った貴方たちを許さない!!」

 

量産型ISを纏った金髪の女性が大型のライフルを構え、ヴィンデルたちを睨み続ける。その女性はナターシャ・ファイルス。銀の福音<シルバリオ・ゴスペル>の操縦者だった。亡国機業が艦を襲撃した際に艦の後方にいた為、巻き込まれずに済んだ。しかし、代わりに銀の福音を守ることが出来ず、無残に奪われた。その後、突入してきたメイと合流し、無事だった量産型ISを使い乗組員の救助を行いながらここまで来たのだった。

 

「チッ、これ以上は消耗するだけだな。スコール。ここは引くぞ」

「……今回はここまでね」

「あら?逃げるのかしら?」

「ええ。戦力を無駄に減らしたくないの」

 

スコールを睨む楯無。しかしスコールは気にしていないのか微笑を浮かべている。そしてヴィンデルが再び指を鳴らすと転移ゲートが開き、残った戦力と共に消えていった。

 

「ふう…助かっちゃったわ」

 

楯無がミステリアス・ファービュラリスを解除する。その顔は青ざめ若干息も荒い。ミステリアス・ファービュラリスはミステリアス・レイディの二次移行した姿ではあるがその性能が高くなった分、装着者への負担は高い。その為、普段はリミッターをかけ、わざと一次移行の姿でいる。今回はスコールを倒す為、リミッターを解除したが結果は倒せず、その代償は思っていた以上に高くかなり体力を持って行かれたことに楯無は内心、苦虫を噛み潰した思いだった。

 

「いや、お前なら一人で十分だったんじゃねぇのか?」

 

アルブレード・カスタムを解除しカチーナが呟く。

 

「いやいや、さすがに私一人であの二人を相手にできないわよ」

「ふふふ、そうですわよね。楯無様でも厳しいことはありますよね?」

 

エクスバインを解除したセリアが笑う。それに苦笑しながらもすぐに思考を切り替え。

 

「それよりも亡国機業を逃がしたこともそうだけど、問題は銀の福音ね」

「ここから飛び出したようだけど…あの子は一体どこに?」

 

大型ライフルを担いで合流したナターシャの質問に答えたのは……

 

「銀の福音は今、日本に向かっている」

 

サングラスをかけた男性だった。

 

「貴方は?」

「レーツェルさん!?」

「久し振りだな。メイ」

 

メイに名を呼ばれた男性は頷くと踵を返し。

 

「ついてくるといい。我々も福音を追うつもりだ」

「あら?貴方がたはなんで福音を?」

 

楯無が鋭い目つきで尋ねるがサングラスで隠れたレーツェルの目は見えない。

 

「福音を取り込んだものが我々の知っているものならば放っておくわけにはいかないからだ」

「……今は信じましょう」

「感謝する」

 

レーツェルに続く様にメイ、楯無が歩きだし、カチーナたちも仕方ないと言わんばかりに後を追いかけて行った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

結局、夕飯の味もよく分からなかった。ゆっくり食べている暇などなかったからだ。宴会場へと向かう途中で中居さんに夕飯はお運びしましたよ?と言われ戻ってみれば確かに運び込まれていた。幸いというかメニューは他の生徒たちと同じだったが当たり前というか再び勉強をしながらという効率がいいとは思えないが何故か頭に知識は叩き込まれている為、文句は言えず解放されたのは夜の零時を過ぎた頃だった。風呂も離れの物で済まし、二日目に備えて就寝となった。

 

二日目

 

昨日とは打って変わって生徒たちに緊張が見られていた。何故ならばこの二日目にはIS各種の装備試験運用と各種データ取り、さらに北村さん率いるPT部隊との模擬戦もあるのだから。少し前までISを兵器と思わないでいた呑気な学生などこの場にはいない。クラスマッチでの謎のIS乱入やタッグトーナメントでの戦闘などが生徒たちの気持ちを変え始め、決定的になったのは噂で聞いたことがある程度の存在、世間では一部の女性たちからISの紛い物と言われているPTのデモンストレーションが先ほど終わったことだろう。全身装甲同士のぶつかり合いは俺たちは御馴染みの光景でも他の生徒たちにとっては違ったらしい。特に北村さんが操る量産型ゲシュペンストMk-Ⅱ改の動きは素晴らしかった。柔術の動きを行って見せ、ジェットファントムと呼ばれるモーションの流れるような連撃は姉貴ですら素晴らしいと言わせるほどだった。

 

そして今、俺たちはIS試験用のビーチ-四方を切り取った崖に囲まれている-で各種装備を運んでいた。そんな中、あの人は突然現れた。

 

「いや~やってるねぇ~」

 

この場に不釣り合いなエプロンドレスを纏ったその人は篠ノ之束だった。

 

「…一応、聞くが何しに来た?」

「え?ISとPTの模擬戦を見に?」

 

姉貴の不機嫌オーラをその身に浴びながらもさらりと答えるこの人はやっぱりおかしい。

 

「……すまない。うちの姉が…ご迷惑をおかけして…」

 

そう言って周りに頭を下げる箒が少し不憫だった。ついでに姉貴の不機嫌度がさらに上がった。近くにいた山田先生が後ずさりを始めている。

 

「アハハハ。それも大事な要件なんだけど…実は箒ちゃんにプレゼントがあるんだ」

 

パン!と手と叩きそういう束さん。

 

「ふっふっふ…ハッピーバースデー!箒ちゃん!さあ、愛しい妹の為にこの大天才束さんが作り上げた至高の逸品をご覧あれ!!」

 

そういって何故かフィンガースナップを決める束さん。全員が疑問符を浮かべる中、それはやってきた。上空からこちらに向かって飛んでくる小型のロケット。それはあっという間にビーチへとやってくると反転し着陸した。大きさからIS一体くらいは入っていそうだが?

 

「プレゼント?」

「おおっと!今、開けるからね」

 

近づこうとする箒を止めた束さんが空間投影ディスプレイのコンソールを弄りるとロックが解除されたのかロケットのハッチが開き始める。

 

「括目せよ!ここにあるのは全スペックが現ISを遥かに上回る最高のIS…その名も!」

 

そしてハッチが完全に開き。

 

「紅椿だ!!」

 

胸を張って言い切った束さん。同時に周りに居た全員が息をのんだ。何故ならば

 

「って…何もないじゃん!!」

 

思わずツッコんでしまった俺は悪くないと思う。そうロケットの中には何も入っていなかった。その事実に姉貴ですら唖然としていた。

 

「え?あたりまえじゃん。どこの世界に誕生日プレゼントにISを送る馬鹿が居るっていうのさ?」

 

あっけらかんと言って見せる束さんに姉貴がアイアンクローをかましたのはしょうがない。俺たちもその光景を冷たい目で見ていたのだから。

 

「いやね?最初はそれでもいいかな?って思ったことは確かなんだよ?でもさ、箒ちゃんそういうの嫌がると思って…」

「ま、まあ…そうですね」

「だからね。今回送るのはコレ」

 

と言って自身の豊満な胸の谷間に手を突っ込み一本の日本刀を取り出した。

 

いや、どうやってそこにいれたんだよ!?

 

思わず口に出しそうになったが背後から殺気を飛ばしてきた二名に気が付き口をつぐむ。

 

「箒ちゃんの為だけに作ったというのは本当だよ。ISでも使える武装。その名も護式・斬冠刀・紅」

 

サイズは普通の日本刀で受け取った箒が鞘から刀を抜くとその刀身は赤く透き通っていた。

 

「…綺麗」

 

誰が呟いたか分からないが確かに美しい刀身だった。

 

「ふっふーん。それは待機モードでね。箒ちゃん、柄を引っ張ってみて」

 

言われ、箒が引っ張ると柄と鍔がスライドし刀身が一瞬液状化すると紫電と共に巨大な刀身を形成する。流石に巨大すぎて落としそうになったので孤狼を展開しささえる。

 

「こ、これは?」

「IS用のモードで斬艦刀モードだね。刀身にはゾル・オリハルコニウムっていう特殊液体金属を使っていてね。鍔の中にISコアに似たコアを使ってるんだよ。だからIS同様、箒ちゃんが使えば使うほどその刀は進化する。これから先、多くの形態を発現できるようになるかもね」

「なるほど、戻すには?」

「柄を押し込むといいよ」

 

箒が刀を戻すとそれを鞘に納めて束に一礼する。

 

「姉さん…素晴らしいプレゼントをありがとう」

 

ほほ笑む箒に照れくさそうな束さん。

 

「気にしなさんな!で?ちーちゃん。これから試験運用するんでしょ?専門家いるでしょ?」

 

そうニヤニヤ笑う束に頭痛をこらえるようにこめかみに指を当て姉貴が考えるとため息を一つし、意を決したのか。

 

「生徒たちに適切な助言は出来るのか?」

「モチのロン!」

「勝手に魔改造をしないな?」

「その程度の常識はわきまえているつもりだよ?」

「……お前の常識は当てにならんだろうが!」

「まあまあ」

「くっ……わかった。どうせ断ってもお前の事だ、勝手にやりかねんからな」

「さすが、ちーちゃん!よく分かってる~♪」

 

姉貴から許可を貰った束さんは他の先生たちへ挨拶にいった。それを見てまたため息をつく姉貴。

 

「お前たちもアイツから意見を貰うおうと思うんだったら覚悟しとけ。ことISに関してアイツは私以上に厳しいぞ」

 

そう俺たちに言った。

 

専用機組がISを展開し、それぞれの割り振られた装備を試験するべく動き出した時だった。

 

………ミツケタ

 

「あ?」

「え?」

 

……ワガ“シュシ”ヲウケトッタモノタチヨ

 

「声が?」

「聞こえる?」

 

頭の中に響く声。それが聞こえたのは俺とアリスだけのようだった。周りを見ても俺たちのように気にはしていない。

 

…コレカラ、アイニユコウ

 

「誰だ?」

「嫌な、気配…」

 

互いに顔を見合わせた時だった。

 

「大変です!織斑先生!」

 

山田先生がこちらへ走って向かってきた。

 




楯無さんを強化しようとしたらとんでもないことになってしまいました。原作で学園最強なのに良いとこ無しだよね?なんて思って強化してたらこんなことに…

武装と特徴ははレイディとファービュラリスの両方で単一仕様に加えて熱を奪って氷結からの熱を放出して攻撃という凶悪さ。だ、大丈夫、受け入れてもらえるはず。

次回、大激闘と書いてパワーアップ祭りと読む。お楽しみに!

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