IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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今回も重い話になります。

もしかしたら修正するかもです。



※話は変わっていませんが戦闘など物足りなさを感じて大幅に加筆しました。


STAGE33

新たに現れた二人のおかげで箒たちも秋もなんとか助かったようだ。対し俺は未だに目の前の敵を倒せそうにない。

 

「ふふふ…あれがクロガネの最高戦力と言われるゼンガー・ゾンボルトにレーツェル・ファインシュメッカーね」

「よそ見してんな!!」

 

俺から視線をそらしていたスコールへ雪片を振るうが彼女の周りに展開されている炎の壁に阻まれてしまう。

 

「ダメね。せっかくのチャンスを自分から態々潰すなんて」

「くっ!なら!」

 

胸部装甲の下でチャージしていたビームキャノンを撃つ。炎の壁は突破したが装甲を貫くほどまでは行かなかった。

 

「ふふ、いい攻撃ね。でも足りないわ」

 

背中から伸びる尻尾がこちらに向かって迫ってくる。とっさに雪片で尻尾を払うがそこへ炎弾を叩き込まれた。

 

「ぐっ!」

 

三発の炎弾が直撃、シールドエネルギーが大きく削られた。さらに追撃で炎の鞭が迫ってくる。

 

「(さすがにこれは不味い!?)」

 

これ以上攻撃を受ければ零落白夜を使う余裕がなくなる。そうなれば秋たちも助けられない。

 

「負けるかぁぁぁぁ!!」

 

雪片を構え迎え撃とうとした時だった。

 

「意気込むのはいいがそこで止まっていろ。織斑一夏」

 

今まで聞いたことのない声と共にスコールを囲むように八つの鋏のような物体がいきなり現れ、その鋏状の物体中央から上下に展開。現れた砲口からスコールへとビームが襲い掛った。そのビームは炎の壁をあっさり突き抜け、さらにその装甲へとダメージを与えた。しかし、そのダメージもすぐに癒えてしまったが……

 

「どういうつもりかしら?M」

 

苛立ちを隠そうともせずそう言うスコール。

 

「オータムから聞いているだろう?私は既に亡国機業を抜けた」

 

すると少女の声と共に空間にわずかな歪みが生じるとそこから白とダークブルーのカラーリングを持った全身装甲のISが浮かび上がる様に出てきた。

 

「それにさんざんお前たちには世話になったからな。オータムの次はお前の番…というわけだ」

 

現れたISの操縦者の言葉が終わるのと同時に背中に先ほど攻撃を行っていた八つのBT兵器が背中に戻る。

 

「そう…本当に私たちの元から去るのね?」

「ああ。忌々しい監視用のナノマシンも除去した今、お前たちの元に居る理由がない」

「貴方の目的は織斑千冬に織斑一夏でしょ?復讐の機会が得られなくなるわよ?」

「え?どういう意味だ!」

 

スコールの言葉に思わず聞き返すが俺の視線を受けてMと呼ばれた少女は少しだけ俺へと視線をやると。

 

「お前たちと居た所でこき使われるだけ。ならクロガネと共にいたほうが強くなれるし機会も得られる。現に今、織斑一夏に会えたわけだしな」

 

そう答えるソイツから殺気が溢れる。だがそれも一瞬、スコールへ視線を戻し。

 

「だが、その前にまずはスコール!お前を倒す方が先だ!!ソリッド・ソードブレイカー!!」

 

声に呼応するかのようにツインアイに光が灯り、再び背中のユニットから八つのBT兵器“ソリッド・ソードブレイカー”が切り離され飛翔する。その矛先がスコールを捉える。

 

「そう……なら貴方を捕まえて、二度と私に逆らえないように調教してあげる」

「ふん、黙れ!ババア!私にそんな趣味はない!」

「バッ…!?いいわ。ならこのゴールデン・ドーンの力を思い知るがいいわ!!」

 

スコールの纏う炎がさらに強くなる。同時に周囲の温度も上昇したがこれはスコールの怒りから来るものなのか判断がつかないがいい方向へ転がったとは思えない。

 

「(いや、さすがにソレは不味いだろう…)」

 

そう思いつつMと呼ばれていた少女の暴言に完全に頭に血が上ったスコールが戦闘を始める。炎の鞭が迫るがそれをたやすくかわしたMは大型ライフルを連射。しかしそれは炎の壁に遮られてしまい届かない。だがそれは承知の上だったようだ。いつの間にか背後に回り込んでいたソリッド・ソードブレイカーの三機がビームを撃ち出す。それに気が付いたスコールが軽く舌打ちと共に尻尾を振るうがビームはその尻尾を避ける様に軌道を変え、スコールを襲う。

 

「偏向射撃?!さすがね…M」

「これくらい造作もない」

「なら、これはどうかしら?」

 

そういうとスコールの周囲を覆っていた炎は無数の火球となって全方位へ撃ちだされる。

 

「そのくらい!」

 

左手にレーザーブレードを展開し、かわせる火球はかわし、かわせないと判断するとレーザーブレードで斬り払う。だがそれだけではない。周囲に展開されたソリッド・ソードブレイカーも半分は迎撃を行い、残りは偏向射撃や閉じた状態からの突撃を用いてスコールへ攻撃を仕掛けている。その戦いはある意味BT兵器を扱うものの到達点のように感じる。

 

「(BT兵器ってあんなこともできるのな…セシリアでもあそこまで上手く使えないぞ)」

 

俺、そっちのけで戦い始める二人を見てこのまま離脱しようかと本気で考えていると。

 

「よそ見をするな!」

 

Mの声にとっさに横へと飛ぶと先ほどとは比べ物にならない炎弾が通り抜けて行った。

 

「逃がさないわよ」

「そうか、よ!!」

 

スラスターを吹かしスコールの元へ。雪片を構え突撃する。そんな俺へと炎の鞭が襲い掛ってくるが。

 

「スコール。私を忘れるなよ!」

 

俺の背後から大型のライフルを構えたMの攻撃が鞭を打ち抜き軌道をそらす。

 

「なっ!?」

「礼を言うぜ」

「礼などいるか。行動で示せ!」

「おうよ!」

 

なら応えて見せる!

 

瞬時加速で一気に懐へと潜り込むと雪片を展開。必殺の一撃を放つ。

 

「必殺!零落白夜!」

「く!プロミネンス!」

 

振り抜いた白刃は炎の鞭が全身を覆うように展開した高密度の炎の壁によって遮られる。

 

「(決められなかった?!)」

 

自分では最高のタイミングで放ったつもりだっただけに悔しさが込み上げる。

 

「いや、上出来だ。O.O.ランチャーEモード!」

 

Mの声と共に放たれた高出力のビームが俺の一撃で出来た切れ目を寸分たがわず貫き、その奥にいたスコールの頭部へと直撃した。そして吹き飛ばされたスコールへ回り込むように移動していたソリッド・ソードブレイカーたちが突撃。剣のようにスコールを切り付けていく。

 

「一夏、私に合わせろ!」

 

O.O.ランチャーを構えたMが叫ぶ。

 

「ああ!」

 

そう返し、腹部のビーム砲を展開。

 

「「いっけぇぇぇ!!」」

 

同時に発射し逃げられないようにソリッド・ソードブレイカー全機によって抑え込まれていたスコールへ俺たちの攻撃は直撃した…筈だった。

 

「まったく…調子に乗った子供ほど手に負えない物はないわね…」

 

煙が晴れるとそこに居たのは無傷のゴールデン・ドーンを纏ったスコール。

 

「バカな…」

「嘘だろ?」

 

驚く俺たちを他所にスコールは軽く腕を払い告げた。

 

「本当ならもう少し温存したかったのだけれど……絶望の元に死になさい」

 

そう言った瞬間、ゴールデン・ドーンは炎に包まれる。炎は球体となりその密度が上がっていく。そしてその炎の球体は内側から引き裂かれ、その奥に居るものが現れた。

 

「これがゴールデン・ドーンの二次移行した姿。G・D・バラン=シュナイルよ!」

 

その姿は先ほどまでとは大きく変わっていた。外見は大きく変わり、鋭利な部品がついた非固定式ユニットの両肩から大型の腕が追加されたことにより本体の腕と合わせて四本腕となっている。さらに下半身は複数の大型スラスターで構成されている。そして非固定式ユニットの背後から炎の鞭が四本。腰の方からゴールデン・ドーンと似た先端に三本の爪と砲口が付いた大きな尻尾が現れている。金色の炎を纏い金色の全身装甲となったスコールの新型ISが四本の腕を大きく広げると頭部のラインセンサーが光を灯す。

 

「さあ、始めましょうか…これからが本当の戦いよ」

 

本体の腕から巨大なビーム刃を展開し構える。

 

「面倒になったな。まったくお前がアイツを挑発するからだぞ。一夏」

「いや、挑発したのお前だから!」

「まあいい、後で殺してやるから力を貸せ。一夏」

「そう言われて力貸す奴いねぇから!?つか、なんだこのやり取り!!」

「…緊張感無いわね」

 

俺とMのやり取りにスコールが呆れている。なのに隙がないのはさすがと言える。

 

「ふん。私一人でも十分だが…」

「俺一人でも余裕だけどな」

 

互いに軽口をたたきるる俺の隣に立つM。その手に持っているのはレーザーブレード。俺も雪片をしっかりと握りしめ、自然と言葉が重なった。

 

「「俺(私)たちをなめんなよ!」」

 

互いに目の前にいるスコールに刃を向ける。

 

「いいわね。久しぶりに熱くなれそうよ」

 

そう笑うスコール。

 

「「「いざ勝負!!」」」

 

俺たちとスコールの戦いが始まった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「…アリスはどうなった?」

 

痛む頭を押さえながら俺を支える鈴に尋ねる。鈴は少し躊躇したようだが。

 

「アイツの手下に連れていかれたわ。それとシャルも…」

「…そうか。アルト、孤狼の状態は?」

《孤狼は問題ありません。ですが秋のバイタルが…》

「俺はいい。アリスとシャルを助けないと…」

 

俺がそう呟くと先ほど助けてくれた黒いISが肩に手を置く。

 

「少年。今は自分のことを考える事だ。捕らわれたのなら取り返せばいい。チャンスはある」

「貴方は?」

「私はレーツェル・ファインシュメッカー。この機体はアウセンザイダーだ」

「…レーツェルさん。お願いがあります。俺はまだ戦えます。だから!」

「なら俺と戦え!織斑秋!」

《秋!こちらに急接近するISが!》

 

アルトの声とハイパーセンサーに表示されたのは青いIS。ISネームは“ソウルゲイン”と表示されていた。現れたソウルゲインはものすごいスピードで迫ってくると。

 

「シュンヤ!?」

「悪いな、レーツェルさん!こいつだけは今ここで!!」

 

俺はソウルゲインに組みつかれ、そのまま戦闘領域を離れ、近くの小島へと叩き落された。片膝をつきつつも顔を上げ、相手を見る。

 

「漸く…漸くだ。お前と戦える!」

 

ソウルゲインが拳を打ち付け俺を見る。

 

「お前は何もんだ?」

 

立ち上がりながらそう聞いた俺だがなんとなく分かる。コイツは…平行世界の“俺”と同じ存在だ、と。

 

「俺か?俺はお前と同じ実験体にして失敗作。あの天災がつけた名はシュンヤ。織斑春夜だ」

 

そうシュンヤは名乗ると半身をだし拳を構える。

 

「俺は俺という存在のためにお前を倒す!」

 

地面を蹴って飛び込んでくるシュンヤに俺も負けじと右腕を繰り出す。

 

「ざけんな!俺には関係ない話だろうが!!」

「関係ないだと!?ふざけんな!俺とお前は全てが同じ。だがお前は成功体として織斑千冬が連れて行き、俺は失敗作として処分されそうになった所を天災にマドカと一緒に拾われた!」

 

俺の拳を打ち払い、左拳が俺の脇腹に突き刺さる。だが俺も頭部のダレイズホーンを起動させ斬りつける。

 

「ッ!?俺以外にも失敗作として処分された奴はたくさんいる。俺はそいつらの分も背負ってるんだよ!」

 

斬りつけた直後の頭を掴まれ膝蹴りを叩き込まれる。上体を無理やり起こされた俺の体にシュンヤの拳の連撃が叩き込まれ。

 

「玄武剛弾!」

 

高速回転する拳が鳩尾に入り、そのまま拳の弾丸を射出。わずかに体が浮かんでいたせいで踏ん張る事が出来ず俺は吹き飛ばされた。

 

「くっ…実験体ってなんだよ!」

 

倒れまいと背部バーニアを使い、姿勢を起こし、制御。さらに五連チェーンガンを撃ちながら右腕を引き、撃鉄を起こす。

 

「チッ…それも知らねぇのかよ…」

 

両掌に青白いエネルギーを纏わせ、拳を構えるシュンヤ。さらに強く踏み込み距離を詰める。

 

「もしかしてあのアインストと関係あるのか!?」

 

突き出したバンカーをシュンヤは左腕でそらし、右掌底を叩き込んできた。同時に掌からエネルギーが放射され体の中を衝撃が荒れ狂う。

 

「ガハッ!?」

 

ハイパーセンサーに表示されていたシールドエネルギーが一気に減り、さらに胸部装甲が中破。

 

《秋!気を付けてください!シールドエネルギーが半分を切りました!》

「分か…ってる!」

「織斑千冬は何も話していないんだな…なら俺が教えてやる。俺たちは織斑千冬とアインストの細胞を使って生み出された新たな人類にして生物兵器だ」

「は?」

 

いきなりな話に戦闘中だというのに思わず呆けてしまった。

 

「織斑千冬の遺伝子は普通の人間とはかなり違うものらしくてな。文字通りの規格外な存在だ。そして九年前にハウ・マオが見つけた生命体“アインスト”を暇つぶしをかねて研究していた篠ノ之束が新たな種の可能性があるアインストを素体に織斑千冬の細胞を使って新たなる生命体を作ろうと計画し実行した」

「バカ言うな。どう考えてもまともな人間が生まれる訳ないだろう?」

「ああ。もちろんあの天災も分かっていただろうよ。それでも作られた数は全部で百体。どれも真面な姿を保つこともなく失敗とされ廃棄。その中で後期に生み出された俺とお前が人間の形を保つことに成功したというわけだ。そのポテンシャルは人類を軽く凌駕し、ISと組み合わせることでこれ以上ない兵器となる。そう、俺たちは多くの犠牲の上に完成した生物兵器というわけだ。といっても俺は開発者の御眼鏡にかなう性能はなく失敗作とされたがな」

「じゃあ、なんで束さんはお前を拾った?」

「さあな。あの人はどんな状態であれ生まれた命を処分する気はなかったらしいが…俺を助けた後に言っていたよ。「間に合ってよかった」ってな」

 

シュンヤの話が事実なら、俺は、いや、俺たちは束さんが生み出した生物兵器?じゃあ、俺と一夏は兄弟でもない?いや、ならなんで同じ顔なんだ?

 

「……俺が、姉貴に引き取られたのは?」

「それこそ知るかよ。どうして同じラボに居たのにお前だけ連れて行ったのか…」

「恨んでるのか?」

「ああ。恨んでる…そういったら殺されてくれるのか?」

 

痛む体に鞭を打ち、立ち上がる。立ち上がらないと俺の中の何かが壊れてしまいそうだから。

 

「なわけねぇだろ。俺は死にたくないからな!」

「そうだな。そうやってあがいたお前をやらなきゃ意味がねェ!」

「アルト。何があっても孤狼を解除するなよ」

《秋…?》

「アイツとは徹底的にやり合わないと…ならねぇみたいだからな!」

《分かりました。絶対に解除しません。最後まで貴方と共に》

「ありがとうな……行くぞ。シュンヤ!」

「それでいい。織斑秋!お前は…お前だけは絶対に俺が倒す!!」

「上等だ!!」

 

同時に踏込み、殴り合う。バンカーやシールドクレイモアなどの武装を警戒してか俺にそれらを使わせないようにシュンヤは攻撃を仕掛けてくる。俺はそれに気が付き、拳や蹴りでシュンヤへ仕掛けていく。しかし、完全に俺の動きは読まれているのか、全て致命打に入りそうなものは防がれ、逆にこっちが何度かいい一撃を貰ってしまった。それはソウルゲインと孤狼の違い。相手は徒手空拳を扱えるように特化したIS。対しこちらは突撃殲滅。足を止めての打撃戦は相手に分がある。それでも孤狼の防御力を生かしながら攻める。

 

「しぶといんだよ!」

 

シュンヤの拳が頭部に入り、右半分の頭部装甲が砕ける。

 

「悪かったな。しぶとさは俺の長所でね!」

 

左拳をシュンヤの脇腹に叩き込む。

 

「ぐっ!」

「がっ!」

 

互いに距離を取ろうとせず前に出て殴り合う。シールドエネルギーは既に尽きたが俺の願いどおり解除はされない。だがその損傷率はAを超えている。普通の試合でISの事を考えるなら終わりにしなければならない。だがこれは死合。故に俺たちは止まらない。止められない。止まるのはどちらかが倒れた時。

 

「くそが!」

 

俺の右拳がシュンヤの顎に入り大きくふらついたおかげで俺との距離が空いた。

 

「今だ!」

 

チャンスと思いクレイモアのハッチを開く。ここで勝負を決める。そう思っていた。

 

だが、それは相手の誘いだった……

 

「それを待っていた!青龍鱗!!」

 

ハッチが開いた所を寸分たがわずシュンヤの放った青い光弾が当たり誘爆。両肩が吹き飛んだ。

 

「ぐあああああああああっっっ!?!?!」

 

その衝撃は凄まじく俺の体は激しく揺さぶられ、意識が持って行かれそうになる。破片が頭を傷つけ、流れた血が目に入り右目は見えなくなった。

 

《秋!撤退しましょう!相手は私たちの攻略法を熟知しています!!》

 

アルトの声が薄れゆく意識を刺激する。

 

…それは……できねぇ。

 

アルトへ内心で返しながらも踏ん張る。クレイモアは破壊された。でもバンカーはまだ使える。コイツを叩き込んでやる。叩き込まなきゃ俺の気がすまねぇ!!

 

「隊長の言うとおりだ。お前の動きが手に取る様によく分かる!お前は絶対にあきらめない。そしてお前は賭けに出る。右腕のバンカーで俺を倒すために!!」

 

読まれていた?!それでも…奴よりも速く!!

 

「行くぜ!ソウルゲイン!リミット解除!!」

 

シュンヤの叫びに呼応するかのようにソウルゲインから青白いエネルギーが闘気のようにあふれ出る。

 

「コード・麒麟!」

 

後方へ飛び、上体をそらしたかと思うと両手の中にエネルギーを集束し弾幕にして撃だしてきた。俺の周囲に着弾しあたりを爆炎と煙が覆う。思わずシールドクレイモアで防ごうと構えてしまう。そこへ。

 

「おら!おら!おら!おら!おら!おら!おら!おら!おら!おら!おら!」

 

煙を散らすように飛び込んできたシュンヤの拳の嵐。拳だけでなく時々膝蹴りや裏拳、ひじ打ちも入れ完全にガードを崩された俺はそのラッシュをただ受け続ける。そして回し蹴りで蹴り飛ばされた。

 

「(この流れなら次で決めようとするはずだ!)」

 

既に全身の装甲は大きく破壊されている。それでも…俺はバンカーの撃鉄を上げた。自身の一撃に賭けるために。

 

「コイツで決める!!」

 

肘の突起が大きく伸び鋭い刃を展開したシュンヤが瞬時加速で一気に距離を詰め…

 

「くたばれぇ!」

 

下からその刃を振り抜いた。

 

「!!!」

 

胸部装甲は破壊され俺の体にもその刃は達していた。俺は意識が無くなる前に……

 

「つ、か…まえ、た」

「!?」

 

体の中ほどまで達した刃ごとシュンヤの右腕をつかむ。

 

「こ……きょ…り…」

 

口から血があふれ出る。だがそんなことは構わない。バンカーを奴の腹にあて。

 

「あ…と…」

《了解…撃ち貫きます!!》

 

アルトが思いを組んでくれた。全弾、叩き込む。反動で自分の体が吹き飛びそうになるのを奴の腕をつかむことで耐える。刃がさらにめり込むが気にしない。

 

「ぐあ…やって…くれる!」

 

最後の一発で装甲を打ち抜き、どてっぱらに穴をあけてやった。

 

「ざ……ま……」

 

それを最後に俺の意識は闇に落ちて行った。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

人の腹を撃ち抜いたバンカーを引き抜き、奴の肉体に刺さったブレードを短くし引き抜く。口の中には血の味しかしない。

 

「くそ…痛み分けか…」

 

どう見ても織斑秋の傷は致命傷。でも同じ存在だからこそ分かる。この程度の傷で俺たちは死なない。アインストを素体にして生み出された俺たちの身体能力は控えめに行っても国家代表を上回る、また化け物クラスの再生能力も持っている。一度、任務で片腕を失った時も腕を拾ってくっつけ包帯を巻いておいたのだが一日で完治した。だからこそ。

 

「その首を落とす」

 

左腕のブレードで首を落とそうとした所で無数の殺気を感じた。慌てて、その場から離れるとアインストの僕どもが織斑秋を護る様に現れた。

 

「どけよ。化け物ども。織斑秋は俺の獲物だ!!」

「我が半身を返してもらおう」

 

上空から現れたのは俺たちの素体となったアインスト。今は銀の福音のISコアを取り込み進化した存在。だがこいつはレーツェルさんたちが相手をしていた筈じゃあ?

 

「…俺はいいのか?そいつと同じお前の一部から生まれたんだぞ?」

「否。お前には因子がない。故に完全にはけして至れない」

「因子?」

「そう。因子。お前はそれがないゆえに失敗作。故に用はない。消えろ」

 

唐突に向けられた右腕から放たれた衝撃波に吹き飛ばされ、地面を転がる。ダメージが大きく体を起こすのがやっとだった。

 

「これで漸く…」

 

アインストはそういうと動かない秋に近づき、胸部を開くとコアを露出させ、その周囲から無数の触手が伸びると秋を孤狼ごと包み込むと自身へと取り込んでいく。その時だった。

 

「秋を返しなさい!!」

 

大きな声と共に現れたのは凰鈴音。アインストに連結した二振りの刃で攻撃を仕掛ける。だが、周りの僕どもが凰鈴音を排除するべく攻撃を開始する。

 

「くっ!どきなさいよ!!」

 

最悪な事に鈴音が居る場所は僕どもに包囲されている状況だった。その為、鈴音は追い込まれていく。

 

「させるか!」

 

痛む傷を抑えながら青龍鱗で僕たちを背後から襲う。だが数が多すぎる上に奴らはこちらも攻撃対象と見なして攻撃を仕掛けてくる。

 

ハイパーセンサーで周囲の状況を見ればゼンガーさんたちもこちらに行かせないよう現れたアインスト達を相手にしており、レーツェルさんはいつの間にか現れた隊長とアルフィミィさんと共に目の前にいるアインストと似た姿をした存在と戦闘をしていた。

 

「チッ!」

 

俺の目的はほぼ達成した。これ以上の戦闘は無意味とそう思うが。

 

「そんなわけにはいかないだろうが!!」

 

当たり前だ。俺にとっては織斑秋もそうだがアインストも同じく倒すべき敵だ。コイツが居なければ俺は生まれなかったのかもしれない。だがこいつのせいで死んでいった同胞もたくさんいる。それにこれ以上新たな犠牲を出させるつもりはない!

 

「白虎咬!」

 

シールドエネルギーはからっぽな上に機体エネルギーも残りわずか。血も流しすぎた。それがどうした?その程度で引けるものか。

 

「かかってこい!アインストども!お前たちの好きに出来るほどこの世界は甘かねぇぞ!!」

 

自分でもどこからそんな声が出るのか不思議なほどの大声で啖呵を切り、湧いて出てくるアインストどもへ踏み込む。拳、肘、蹴りとアインスト達を破壊しながら中央へ突き進んでいたその時だった。

 

「いいだろう。お前も我が力の一部になるがいい」

 

ハイパーセンサーに映し出された光景は。

 

「鈴音!!!」

 

全身をボロボロにした凰鈴音が大きく口を開いた右腕の咢によって喰われる所だった。




マドカが一夏を襲撃しなかったのはスコールのほうが脅威と感じているから。もしいなかったらシュンヤ同様仕掛けています。

ついでにマドカのせいでスコールもパワーアップ。基本的に亡国機業側はボスユニット勢になります。味方も強化されますが敵も強化される福音戦です。

さて鈴の未来はいかに!!

ではまた次回。
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