今回はようやく福音戦という名のアインスト戦が終わります。
なお今回の話はスパロボで言うところのイベント戦みたいな感じ。
アインストレジセイアと呼ばれる存在を全て撃破したことにより、残った敵は秋とシュンヤが戦った小島にいるアインスト・ゴスペルだけとなった。そのアインスト・ゴスペルも秋を取り込んでから動きを見せず静かに佇んだまま。それがまた不気味さを醸し出す。
「今が叩くチャンスじゃないのか?」
「動きがないのが不気味ですがね」
隠れる場所もない小島でアインスト・ゴスペルを見る二人はいつ攻撃を受けてもおかしくない状態なのだが、その肝心のアインスト・ゴスペルにやはり動きがない。
「(アルクオンを纏ってから少々時間が経ちすぎていますね。まだ覇気は出せますが…これ以上、戦闘時間が経過すると“奥の手”も出せなくなりますね)」
「どうする?幸人?」
「シュンヤ君。エネルギーはどのくらい残っていますか?」
「ソウルゲインのシールドエネルギーは2500、機体エネルギーは800残ってる。そっちは?」
「アルクオンはISでも疑似ISでもないので自分の感覚でしかないのですが…あと三十分も動かせれば上出来ですね。奥の手を使うとなると五分がいいとこです」
「なら、仕掛けるか」
シュンヤが構えを取るが幸人は顎に手をやり思考している。少し考えてから……
「……そうですね。仕掛けましょうか」
幸人も構える。その体から覇気を放出し束ねる。その両手両足に覇気を纏わせるとアルクオンの籠手と脚甲が黄金に染まり輝く。
「如月流古武術の神髄…特とご覧に入れましょう」
「ふん。我流で悪いが、貴様にはこの拳を叩き込んでやる!」
シュンヤのソウルゲインの両手にも青い光が宿り輝く。
「行くぜ!」
「参ります!」
二人が同時にアインスト・ゴスペルへ仕掛ける。
「白虎咬!」
「機神剛拳!」
シュンヤが掌底を、幸人が覇気で強化した拳を叩き込もうとした時、今まで沈黙していたアインスト・ゴスペルの瞳に光が宿る。それと同時にアインスト・ゴスペルから放たれたのは強力な念。
「くっ!」
「何っ?!」
その念は物理的な衝撃となって二人に襲い掛り、後退させる。そこで二人が見たものは姿が変わったアインスト・ゴスペルだった。
「まさか…動かなかったのは…」
「進化する為…?」
露出していた赤い宝玉のコアを護る様に赤い装甲が追加され覆われていく。さらに両肩には鉤爪がついた大型の装甲に加え、非固定式のユニットが複数浮かんでいる。足先は鳥のようになっているが脚部は一本角の鬼の面の様な装甲になっておりその奥にも赤い宝玉が覗いて見える。さらに背中から伸びるのは銀の福音の翼。だが機械的だった翼は生物の意匠が盛り込まれ悪魔の翼のように広がる。左腕は蔦がまとまり拳のようになっており、さらに雷撃を纏った五本の爪が外部装甲として装着されている。無くなっていた右腕は再生していた。その腕は大型の杭打機の構造を持っていた。それは孤狼のリボルビングバンカーに似ているがサイズが大きくなっている。また腰から伸びる巨大な尾の先には三本の鋭い爪が生えている。頭部も孤狼のそれに似ている。頭部から伸びる一本の角。さらに後頭部に流れるように山羊の様な角を持ち二人を見据えている。その姿はアインスト・ゴスペルが捕食したISが彼と融合し新たな肉体となったようだった。一部例外なのは孤狼だが、これは秋を取り込んだことによる結果ではないかと幸人は予想した。
「(だとしたら取り込んだISコアも結合したのでは?…これは厄介なことになりましたね)」
フェイス内部で冷や汗が流れるが幸人は目の前の敵に集中する。
「ようやく取り込めた。これで我は一段上へと登ることが出来た」
進化を終えたアインスト・ゴスペルが両腕を広げる。
「我が名は“最後の監督者”エントリヒレジセイア。新たな世界を作りし者。アインストからイェッツト、そしてツークンフトへ…今の我らならそこへ至れる」
アインスト・ゴスペル改めエントリヒレジセイアへと進化したその存在は感覚を確かめるように体を震わす。
「さあ、始めようか。静寂なる宇宙の為、新たな生命の誕生の為、貴様らを排除する」
銀の翼を広げ、エントリヒレジセイアが宙を舞う。
「受けよ。我が雷撃を!」
左腕の外部装甲の五本爪から放たれる赤い雷撃。その雷撃は地面を抉りながらシュンヤと幸人の元に向かう。
「はっ!なら遠慮なく倒させてもらう!青龍鱗!!」
雷撃をかわしながらシュンヤが撃ち出すエネルギー弾。
「そうですね。でも秋君を救助することも忘れてはいけませんよ。シュンヤ君」
同じように雷撃をかわしながら覇龍を連続で撃ち出す幸人。
「無駄だ」
迫る攻撃の数々は全てエントリヒレジセイアの周囲にあるバリアフィールドで無効化する。それを見て舌打ちする二人。遠距離攻撃が無意味と判断し接近戦に切り替えようとした時、その声が届いた。
「無駄かどうか私の剣で試してみるか?」
白い閃光がエントリヒレジセイアを切り裂く。その一刀はエントリヒレジセイアのバリアフィールドを無効化し確実に装甲を斬る。そんな芸当を当然のように行ったのは……
「私の弟たちが世話になったな。今度は私が相手してやる」
白い刀“白雪”を一振りし織斑千冬がフルフェイスの中で獰猛な笑みを浮かべる。
「千冬、一人に任せる訳にはいかんな」
エントリヒレジセイアの背後に降り立つのはハウ。
「お二人だけなんてずるいですね。私も混ぜてくださいな」
「ええ。まだまだ私たちも戦えますから」
グラビトンライフルを構えたセリアとスター・ノヴァを近接モードにしたセシリアがいる。
「その姿…因子を自身に取り込み、この世界での存在を確定させたのですのね」
「アルフィミィ。奴は“女王蜂”と同じになったというのか?」
「いえ、アレとはまた別…とでも思っておいた方がいいですの。ですが…この世界のアインストを滅ぼすなら倒すべき存在に間違いないですの」
「ふむ。ならば…」
「叩くのみ」
アルフィミィ、アクセル、レーツェル、ゼンガーが並び立つ。
「凄い強力な念…」
「かんちゃん、アイツ強いね。なんかビリビリする」
「むぅ…私にはよく分からんが斬ればいいだけだろ?」
「あの姿、あの子の面影はなくなっているわね」
「秋だけでなく、アリス、シャルもアイツが…」
その後ろに簪、本音、箒が現れ、続く様にナターシャ、メイも戦場へ姿を現した。全員がかなり消耗しているがそれでもエントリヒレジセイアを倒すべく戦場へ降り立つ。
「よかろう…」
エントリヒレジセイアは自身を取り囲む敵を見回すと呟くと一気に上昇し。
「喰らうがいい。貴様らが生み出した力をな!」
翼は大きく変異し砲門、それは嘗てのシルバーベルに姿を変え、両肩の鉤爪が開くと中からクレイモアユニットが、両肩の非固定式ユニット、それは甲龍の龍咆に似ていた。そのユニットの中央部に光が集まる。残っているユニットも展開され内部にガトリング砲やミサイルランチャー、バズーカなどが搭載されていた。そして最後は胸部装甲が開き自身の核を露出させるとその前方に高密度のエネルギーが集束していく。
そして。
「まずはこれに耐えて見せろ」
全身から放たれる銀色のエネルギー弾、不可視の砲撃と弾丸の雨、大量のクレイモアが小島全域に降り注ぐ。
「これが…最後の審判だ」
爆炎と煙が晴れない小島にエントリヒレジセイアは胸部前方で圧縮していたエネルギー弾を撃ち出す準備をする。それが着弾すれば小島ごと吹き飛びかねないほどのエネルギーを内風している代物だ。これで全てが終わる。
「我が使命…果たすとき」
エネルギー弾を解き放とうとしたその時、戦場上空に暗雲が立ち込める。同時に雷鳴が鳴り響き、四つの雷がエントリヒレジセイアを囲うように落ちる。
グルルルル……
唸り声と共に姿を現したのは。
「あれは…超機人?」
「龍王機、虎王機…だけではないな」
「ああ。我々と敵対していた雀王機、武王機もいる」
「彼らから強い怒りを感じますの。その意識が向いているのは四機ともエントリヒレジセイアですのね。どうやらこの世界では雀王機も武王機も敵ではないようですの」
「世界を超えれば敵も味方となる…か」
その正体に気が付いたのは自身の世界でもその姿を見たことがあるレーツェルたちだった。
「だが、あの姿…」
「修復はされておりませんのね」
アクセル、アルフィミィの言葉の通り、超機人たちはその姿をほとんど保っていない。しかしその意思は力強い。
「守護者の僕どもよ。肉体が朽ちかけていても我に抗うか?」
エントリヒレジセイアの問いに当然とばかりに虎王機が吼える。
「そうか…ならば、お前たちも我が倒す」
翼を広げ、エントリヒレジセイアが迫ったのは龍王機。右手のバンカーを振り上げ殴りつける。
「!」
殴られた龍王機は口から炎の息吹を掃出し反撃するがエントリヒレジセイアのバリアフィールドに阻まれる。
「グァッ!」
背後から虎王機が襲い掛るがこちらもバリアフィールドに阻まれる。雀王機、武王機も背中から放つビームや生体ミサイルなどで攻撃を仕掛けるがその全てがエントリヒレジセイアには届かない。
「その程度で我に挑むか!」
両肩の鉤爪のハッチが開き、クレイモアが撃ちだされる。雀王機をかばうように武王機が動き、その身にクレイモアを受け、身体を地に沈める。それを見た雀王機が鳴き声を上げ、全身に炎を纏い突撃。
「甘い!」
腰から伸びる尻尾の鉤爪が開き、炎を纏っている雀王機の首を捉えると大きく振り回し龍王機、虎王機へ向かって投げ飛ばす。その三機に向かってエントリヒレジセイアが龍咆とシルバーベルを叩き込み、三機とも大地へと落ちた。大きなダメージを受けたにも関わらず超機人たちはその体を起こそうとするが肉体が崩れてしまい、うまく立ち上がれない。
「やはり、その姿では相手にならんな」
それでもと首を持ち上げ炎の息吹を吐こうとする龍王機と雀王機。そんな二機に対しエントリヒレジセイアは静かに歩み寄る。
「その攻撃は効かん」
左腕に赤い雷撃を纏わせ、二機へその雷撃を撃ち出した。
「行くよ!かんちゃん!!」
「うん!」
そんな二機の前に飛び出したのはあの爆撃を耐えていた本音と簪。だがその装甲は砕け、顔も一部が露出している。
「ドリルブーストナックル!」
「念動フィールド!!」
本音が撃ち出したドリルブーストナックルが赤い雷撃に突っ込み爆発。だが、このおかげで威力が弱まり、簪の念動フィールドでその攻撃を防ぎ切った。
「まだ、終わりじゃありませんわよ!これでも喰らいなさい!」
巨大なビーム刃を死神の鎌のように展開したスター・ノヴァを振りかざし現れたセシリアがその斬撃をエントリヒレジセイアに振り下ろす。
「むぅ?…生意気な」
再びバリアフィールドが破られ、自身にダメージを負ったエントリヒレジセイアが右腕を薙ぎ払うように振るいセシリアを殴り飛ばす。悲鳴を上げることもなく武王機の傍に転がる様に落ちるセシリア。
「先ほどまでの余裕が消えていますよ」
両手に一丁ずつグラビトンライフルを構えたセリアが口元に笑みを浮かべ引き金を引く。
「ダブルGインパクト!」
二線の赤黒い重力砲がエントリヒレジセイアを飲み込む。二線の間に起こる強力なな磁場によってその体が押しつぶされそうになるがエントリヒレジセイアは耐えきった。
「古き者共よ。貴様たちの未熟な精神では来る“外なる神”との戦いには勝てん。我が、我こそが“外なる神”との戦い、運命の刻をも超えて見せる!!」
「なるほど…この世界にも貴方とはまた別のルーツがありますのね」
「外なる神…この世界に干渉しているのは邪神と言うわけか」
既にペルゼイン・リヒカイトが解除されたアルフィミィがオニレンゲを杖のようにし体を支えている。その隣ではアクセルが半壊したアークゲインを纏いながら立っていた。
「俺たちの世界のアインストは大いなる終焉を知らなかった。お前は知っているか?」
大破したゲシュペンストから降りたギリアムが問いかける。
「終焉…因子…太極…我が知っているのは…「ワームスマッシャー」…!」
「与えられた知識だけなくせにおしゃべりな奴だね」
「篠ノ之束博士」
エントリヒレジセイアを襲う光の槍。それを繰り出すのはいつの間にか現れた篠ノ之束だった。
「貴方は知っているのか?」
「さて、どうかな…でも、この世界が因子によって成り立っているのは事実だよ」
「やはり、貴方は太極へ至る可能性を…」
「うるさいな~。今の私には関係ないんだよ……“因果律の番人”に目をつけられてるしね」
最後の方は聞こえなかったのかギリアムは首をかしげるが束は彼を促す。
「ほら、束さんを見ている場合じゃないよ」
「何?」
束が指を指す方向では龍王機の元に簪が、虎王機の元に本音が、雀王機の元にセリアが、武王機の元にセシリアがISを纏ったまま共に並び立ち……
「人界を守るとか…小難しいことはどうでもいい」
「それで虎ちゃん達が私たちの力になって大事な人たちが戻ってくるなら」
「例え相手が神や悪魔であろうとも共に戦いましょう」
「この身、この命…貴方たちに差し上げますわ!!」
「「「「だから、力を貸して!!!四神の超機人たち!!」」」」
四人の宣言に超機人たちは声を上げる。超機人たちは己が認めた主の腕や足に噛みつくとそこから彼女たちは符へと変わり、それぞれの超機人たちの周りを舞うと吸い込まれていく。そして、超機人たちの咆哮と共に四つの光の柱が立ち上る。
「バカな…」
その声は誰のものか。
「五行器、ISコアとの同調を確認」
「各ISパーツ、超機人との融合を確認」
「シールドエネルギー、機体エネルギー共に回復を確認」
「さあ、新たな超機人の姿をごらんなさい!!」
光が収まっていくとそこには先ほどまでとは違う姿を持った四体の人型が佇んでいた。
全身、青を基調とし頭部はグルンガスト系の物であるが何処か龍を模した物になっており、背中には白い翼が生えたISはその翼を大きく広げ、印を切る。
「龍王機改め龍人機!ここに参上!」
更識簪を操縦者と見なした龍王機がグルンガスト弐式を取り込み変化した。
その横に並び立つのは白と黄色を基調とした姿。頭部は龍人機と同じくグルンガスト系ではあるが頭部は虎を模している。翼は持たないが両手両足は虎の様な鋭い爪を持ったものになっている。その場で格闘技の型を行い、吠える。
「えへへ!虎ちゃん改め虎人機!いっくよ~!!」
布仏本音を操縦者と認めた虎王機がグルンガスト弐式・改を取り込み、その力を生かせるように変化した。
全身が赤を基調としており背中には炎のような翼を広げるIS。頭部はヒュッケバイン系に似ているがこちらも鳥を模したような形になっている。脚部も三本爪の鳥の足のように変化しており、手には刀の刃の様な反りを持った大弓が握られている。炎がまるでドレスのように広がり優雅に一礼する。
「雀王機改め…ここは合わせて雀人機としておきましょうか?」
セリア・グリムズを操縦者と認めた雀王機がエクスバインを取り込み、自身の強みを生かせるように変化し、そのおかげが炎を操る能力を得たISへと進化を遂げた。
紫を基調にしたそのISは両肩に鱗が付いた盾を持ち、頭部は雀人機と同じヒュッケバイン系のマスクにブルー・ティアーズのセンサーユニットが合わさったものになっていた。武王機の頭部は胸部装甲へと変化している。右手に持っているのはスター・ノヴァが蛇の意匠を持った大型の武装へと変異したもの。前のような細身の外見から一転し厚みを持ったそのISは大地をしっかりと踏みしめ武器を構える。
「武王機改め武人機ですわ!」
セシリア・オルコットを操縦者と認めた武王機がブルー・ティアーズを取り込み、BT兵器と射撃能力を向上させた新たな姿へと変化した。
嘗ての戦いで肉体と共に戦う者達を無くした超機人たちは今、再び力を取り戻した。それを見てエントリヒレジセイアは僅かに後ずさる。
「行ける!龍人機ならアイツにも負けない!」
エントリヒレジセイアを見据えた簪は意識を集中させる。背の翼を広げ、跳躍した簪は自身の剣を呼び出す。
「龍王瞬獄剣!」
指の間に挟んだ護符が燃え上がると柄が現れ、それを取るのと同時に刃が現れる。
「念動集中!」
簪が振り上げた刃が念動力で二倍近くの大きさになるとその刀身に青い焔が纏わりつく。さらに取り出した符をエントリヒレジセイアに投げつけ。
「縛!」
片手で印を組むと符が張り付きエントリヒレジセイアの動きを封じる。
「一撃必殺!龍破斬!!」
防御に専念するエントリヒレジセイアに振り下ろした刃は斬撃と共に炎が青い龍となってエントリヒレジセイアへ絡み付き、その体を燃やし吹き飛ばす。
「本音!」
「あいあい!」
その速度を表現するならばまさに神速。簪の隣に居た筈の本音はエントリヒレジセイアが吹き飛ばされた先へ回り込むと。
「いっくよ!虎ちゃん!!」
本音に応える様に虎人機が吼える。
「ほい!」
回し蹴りでエントリヒレジセイア打ち上げると下肢を広げ片手を地に添える。
「分身のじゅつ~」
呑気な本音の声とは裏腹に唸り声を上げる虎人機は周囲に百体近い分身が現れると本体が飛び上がる。そして分身たちも同時に宙へ駆け、エントリヒレジセイアを蹴り上げていく。
「とどめいくよ~!虎ちゃんぶれ~いく!」
上空で待っていた本体が両手を組むとそのまま全身を回転させる。その回転速度はどんどん上がっていき、遂には竜巻が発生する。だがこれはただの竜巻ではない。その中に居る分身たちが竜巻の中に居るエントリヒレジセイアが抜けださないように突撃を繰り返しダメージを与えていく。そして本音がその竜巻のど真ん中を瞬時加速で突き抜け、エントリヒレジセイアを貫いた。
「せんぱ~い!」
地面に着地した本音が上を向けばそこには大弓を持ったセリアがいた。
「ええ。お任せください。さあ、雀人機。私たちの力を見せてあげましょう」
翼から炎が噴き出すとそれをはばたかせ辺りには火の粉が舞う。
「弓はあまり経験がないのですが…」
宙を蹴り、エントリヒレジセイアへ飛びかかると高速の蹴りの連打を叩き込み、エントリヒレジセイアの翼の付け根を足で掴むと遠心力を加えて地面へと叩き落す。
「炎の矢…特とご賞味くださいな」
大弓に番えられた炎の矢を一射。さらに二射、三射とつづけ、矢が突き刺さるのと同時に爆発する。
「この一射は特にきついですよ。そう太陽の如く燃え盛れ」
先ほどまでとは比べ物にならない熱量を宿した炎、否、本人の言うとおり太陽神が宿ったような矢を大弓に番え引く。
「名づけて…ファンタズム・ソル!」
其の一射がエントリヒレジセイアに直撃すると炎の柱が立ち上る。それを見つめながら。
「最後は貴方ですよ。セシリア」
セリアには答えずセシリアが構えるのはスター・ノヴァが変化したレプティルガナリー。その姿は口を開いた蛇のようだった。
「スケイルビット!」
彼女の声に応える様に両肩に装備されている非固定式ユニットの盾から片側で十二個搭載されている六角形のスケイルビットが両側、全部で二十四個射出され、炎の柱の元へ十二個のスケイルビットが飛んでいき、残りはレプティルガナリーの前に六個ずつ円を描く様に二つ続けて並ぶ。
「イメージするは強固な結界」
その声に同調するようにビットが動き結界を張る。その結界によって炎の柱に焼かれていたエントリヒレジセイアが姿を現す。
「イメージするは全てを貫く一撃」
レプティルガナリーがまるで唸り声を上げるかのようにその口内にエネルギーを集めていく。その先にあるビットが作った円陣も高速回転を始め、バイザー内に表示されているターゲットマーカーが目標に重なる。
「この一射で終わりですわ!ダイヤモンド・ストライク!!」
撃ちだされたビームは円陣を通過するたびに圧縮されまるで金剛石のように結晶体となってエントリヒレジセイアへと着弾。砕け散るとその破片全てが意思を持ったかのように結界内で反射、ダメージを重ねていく。
「それでは…ご機嫌よう」
セシリアが指を鳴らすと結界内で破片が全て爆発。その爆発を逃がさないように結界は小さくなっていき、最終的には野球のボールサイズまで小さくなってから解除された。ビットが全て戻ってきたことを確認しセシリアはレプティルガバナーを下した。
「うわ~…張り切り過ぎでしょ?」
新生超機人たちの大技を見てハウが呟く。
「ふむ?更識とグリムズは知っていたが…布仏とオルコットは念動力者だったか?」
「興味深いよね。元々素質はあったんだろうけど超機人との融合で引き出されたんだろうね」
千冬の呟きに答えたのはもちろん束だ。
「それよりもあいつはどうなった」
「聞いたのはちーちゃんなのに…でもしぶといね。あれだけの猛攻を受けてもまだ平気みたい」
束の言葉の通りエントリヒレジセイアは生きていた。だがその姿は無事な個所がないほどボロボロになっていた。
「守護者の僕ども……古き者達よ……我はお前たちを許さない。静寂な宇宙を、新たなる生命を生み出す為、我は……」
そう残してエントリヒレジセイアは消えていった。
こうして後にアインスト大戦と呼ばれる戦いの最初は終わりを告げた。アリス・ブロウニング、シャルロット・デュノア、織斑秋という三名を拉致されるという形で……
最後まで読んでいただきありがとうございます。
はい!まえがきで終わったと言いながら事件は未解決。新しい戦力と共に次回から救出戦が始まります。
すいません。その前の準備回です。
色々、あるかと思いますがチラッと出てきたラスボスまで書ければいいな…頑張ります。
感想、ご意見をいただけるともっと頑張れると思います。
次回もまたよろしくお願いします!