IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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本編じゃなくてすいません。最近、重めな話ばかりだったので軽い話を書きたくなり外伝を書いてしまいました。

時系列は深く考えずにお楽しみいただければと。


EXSTAGE03

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

汗が頬を伝う。ここまで緊張した戦いは久しぶりだ。

 

「来ないのか?」

「!」

 

目の前の人物の声に小さく舌打ちし、右腕を引く。

 

「行くぜ!キョウスケ・ナンブ!!」

「来い!織斑秋!!」

 

全スラスターを全開にし突撃。向こうも同じようにスラスターを全開にし突っ込んでくる。そして、互いに右腕のバンカーを撃ちこんだ。

 

話は数時間前まで遡る。

 

クロガネのIS用ハンガーにて孤狼が再改修を施されているのを見ていた俺はアクセルさんから声をかけられた。

 

「おい。織斑秋。お前はあの機体をどう思う?」

「それは孤狼のことですよね?」

「ああ」

「最初はよくあんな機体を作ったもんだとか思いましたけど今は間違いなく相棒ですね」

「そうか…もし、俺たちの世界の孤狼、いやアルトアイゼンを扱う奴と戦えると言ったら戦ってみたいか?」

「は?え?孤狼と同じコンセプトの機体があるんですか?!」

「ああ。ATXチームの隊長が使っている」

 

ATXチーム…なんかの特殊部隊だろうか?それに気になるのは…

 

「えっと、アクセルさんとその人は敵同士なんですか?」

「奴か?そうだな。敵でもあったが、今は……仲間だ」

 

何故か“仲間”というのにやけに間があった気がするが……

 

「ふふふ。アクセルはテレているだけですの」

「黙れ。アルフィミィ」

「あ、どうもです。アルフィミィさん」

 

突然、現れたアルフィミィさんだったがすっかり慣れてしまったので気にならない。

 

「あれ?アリスと一緒じゃなかったんですか?」

「アリスはシャルロットと一緒にテスラ研へ行ってしまいましたの。なので私はアクセルの方へ来たという訳ですのよ」

「そうですか」

 

あの戦いでアリスもシャルロットも色々あったしな。念のためと言われて二人のISはテスラ研で調査されているし…

 

「それでどうする?」

「そうですね…戦ってみたいです」

 

自分以外に孤狼を扱う人の戦い方をぜひ見て見たいと思ったし、俺がもっと強くなるためにはいい機会だと思ったからだ。

 

《秋。私もお供します》

「ああ、もちろん一緒に戦ってもらうぜ」

 

本体が修理中な為、俺の持っている小型端末にそのデータを写したアルトに応え、アクセルさんに案内されたのはシミュレーター室。

 

「ここは?」

「PTや特機用のシミュレーター室だ。今はIS用の物もあるからな。お前はそこに入れ」

 

アクセルさんが示した場所は小さなドーム状のシミュレーターだった。中に入るとヘッドバイザーや簡易グローブやブーツなどが置いてあった。それらを装着し終え、アルトの入った端末をディスプレイボードに接続する。

 

『よし。では始めるぞ』

「了解」

『頑張ってくださいの。キョウスケはとても強いですのよ』

『使うデータは俺がここにくる直前の物だ。覚悟しておけ』

「分かりました」

『そう気負うな。お前がアイツに勝てるとは思わん。これがな』

 

だから気楽にやれってか?冗談だろ?

 

「やるからには一撃ぶち込んで見せますよ」

『ふん。なら見せて見ろ』

 

その言葉と共に視界に変化が訪れる。周りを見渡せばそこは荒野。今の自分は孤狼・極式だった。

 

《秋。前方に反応あり。来ます》

 

アルトの声に前を見ると孤狼によく似た機体がいた。

 

「さて、やろうか……!」

 

声が聞こえるのと同時に左腕の五連チェーンガンを撃ってくる。

 

「それはこっちにもある!」

 

脚部スラスターを吹かしながらかわし、こちらも五連チェーンガンでけん制する。

 

「その程度でアルトの装甲が抜けるとは思うなよ!」

「いや、思ってないさ!」

 

向こうも手慣れた様子でかわし、地面を蹴ると突っ込んでくる。同時に両肩のウイング、背中のフレキシブルスラスターが展開。そこから来るのは…

 

「伊達や酔狂で…」

「こんな頭はしてないよな!」

 

相手が使うのはプラズマホーン。対しこちらもダレイズホーンを起動させ、真っ向勝負。

 

「「!!」」

 

互いの角がぶつかり合い火花を散らす。スラスターも全開にしているが向こうと出力が同じなのか拮抗したまま互いに動かない。

 

「押せ!アルト!」

「ならば!」

 

繰り出した膝蹴りにアルトアイゼンの体がわずかに離れる。

 

「クレイモア!」

「バンカー!」

 

俺はシールドクレイモアを向こうはバンカーを振りかぶり。

 

「穿て!」

「貫け!」

 

衝撃。

 

「ぐうううううっっっっ!!!!」

 

吹き飛ばされ、スラスターを使い制御。地面に両足をつけブレーキ代わりにして踏ん張る。シミュレーターの割に左腕にかかる負担が尋常ではない。

 

《シールドクレイモアが大破。この戦いでは使えません》

「向こうの損傷は?」

《おそらく少なくはないと思われますが……》

 

アルトの声に半ば同意する。

 

「ああ、分かってる。倒せたとは思わないさ」

 

煙が晴れた先に居たのはダメージは負ったようだがこちらに比べれば軽傷なアルトアイゼンがいた。

 

「シールドクレイモアか…同じアルトだと思っていたがいい手札を持っているようだな」

「そりゃどうも。少し聞きたいんだけどいいか?」

「なんだ?」

「自分的にはいいタイミングで使ったと思ったんだけど、どうやってダメージを少なくしたんだ?」

「簡単だ。シールドクレイモアにバンカーを叩き込んで射角を変え、後方に飛んだ。それだけだ」

 

マジかよ…クレイモアを撃ち出すわずかな時間でやったって言うのか?

 

「今更だけど、名前を聞いていいか?俺は織斑秋。愛機は孤狼・極式」

「…キョウスケ・ナンブ。愛機はアルトアイゼン・リーゼ」

 

なるほど。アクセルさんの言うとおりだ。この人は強い。

 

「左腕一本ですんだのは運がいい」

「ほう?」

「まだ右腕が残っている」

 

バンカーを見せるとキョウスケさんが笑う。

 

「なるほど…お前もアルトを扱ってきただけのことはあるということか…」

 

同じようにバンカーを構えるキョウスケさん。そして互いに、加速からの一撃を何度も繰り返して打ち合った。

 

「アルト!データは取れてるな?」

《問題ありません。思う存分打ち合ってください》

「おうよ!」

 

突き出したバンカーを同じように突き出されたバンカーにそらされるが、俺は武器としては使えなくても動かすことが出来る左腕で相手のバンカーを掴むとそのまま引っ張り、その脇腹に蹴りを叩き込む。

 

「ぐっ?!」

 

体勢を崩したキョウスケさんに俺は切り札を切る。

 

「喰らえ!レイヤードクレイモア!!」

「ちっ!」

 

両肩のハッチが開き、大量のベアリング弾が吐き出される。だがキョウスケさんが取った行動は。

 

「アルトのクレイモアは射角が広い分、下がれば被害がデカい。だがゼロ距離まで詰めてしまえば!」

「なっ!?」

 

先ほどまでとは比べ物にならない加速で一気に距離を詰められ肩から体当たりを食らう。その衝撃で上体が反れ、クレイモアのほとんどが無駄に終わる。といってもクレイモアを少しは受けていたキョウスケさんだってダメージはある。なら、まだ俺の負けじゃない。

 

だが……

 

「今度はこちらの番だ!」

 

その言葉と共に両肩のハッチが開くのが見えた。

 

「一発一発がチタン製の特注品だ」

 

クレイモアを使ってくる?!なら俺だって!

 

「撃たせるか!」

 

瞬時加速で距離を詰めた時だった。

 

「そう来ると読んでいた!」

 

クレイモアを撃たず横へかわし、瞬時加速が終わったその瞬間を狙われた。

 

「受け取れ!」

 

撃ちだされたクレイモアをその身で受けてしまった。ハイパーセンサーに表示されている孤狼のダメージは相当でかい。ほとんどが赤い表示になっており残りのシールドエネルギーもわずかになっていた。

 

「はぁ、はぁ、はぁ……」

 

汗が頬を伝う。ここまで緊張した戦いは久しぶりだ。

 

「来ないのか?」

「!」

 

その問いに小さく舌打ちし、右腕を引く。

 

「行くぜ!キョウスケ・ナンブ!!」

「来い!織斑秋!!」

 

全スラスターを全開にし突撃。向こうも同じようにスラスターを全開にし突っ込んでくる。そして、互いに右腕のバンカーを撃ちこんだ。

 

互いのバンカーはまるで突撃槍のように扱われ、何合も打ち合いを続ける。鳴り響くアラートに神経が削られていく。そんな中、俺はミスを犯してしまった。

 

「いい加減!」

 

大きくバンカーを振りかぶってしまったことで大きな隙が出来てしまった。もちろん、それを見逃すような相手ではない。

 

「そろそろ切り札を切らせてもらおう」

 

跳躍し、俺のバンカーをかわしたキョウスケさんは上空でクレイモアを展開する。

 

「抜けられると思うなよ!」

 

大量に降り注ぐクレイモアの雨。それに耐える様に防御していると。

 

「まだだっ!」

 

クレイモアの雨が終わるのと同時に急降下してきたキョウスケさんのプラズマホーンが俺を切り裂き。

 

「受け取れっ!」

 

右腕で俺の左腕を掴むとそのまま勢いよく上空へ投げ飛ばし、五連チェーンガンで追撃してくる。上空で身動きも出来ずただ撃たれるだけになっていた俺だったが突然、銃撃がやみ体が落下していく。だがハイパーセンサーはその先を捉えていた。

 

「バンカー!撃ち抜くっ!」

 

下から振り抜かれたバンカーが直撃。ガンガンガンと轟音を立てながら全身を衝撃が貫き、最後の一撃が撃ちこまれたときにはシールドエネルギーはゼロになっていた。

 

「俺の……勝ちだ」

 

その言葉と共に俺の意識は落ちて行った。

 

「どうだった?キョウスケ・ナンブは?」

 

シミュレーターから出るとアクセルさんからスポーツドリンクを渡された。

 

「次は勝つ」

「…そうか」

 

それだけ言って俺はシミュレーター室を後にする。

 

「なぁ、アルト。俺たちはもっと強くなれるな」

《はい。キョウスケ・ナンブとの戦闘データは新たなる孤狼の役に立ちます》

「ああ。その為にはもっと学ぶことがある」

 

また時間があるときに使わせてもらおう。

 

俺はそう決めるともっと体を動かすためにシュンヤを探しにいった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「あら?キョウスケ、随分機嫌がよさそうじゃない?」

「そうか?」

 

アルトアイゼン・リーゼのコックピットから降りると恋人であるエクセレン・ブロウニングがそう言ってきた。キョウスケ達は現在、待機中ではあるが訓練としてシミュレーターを起動させていた。

 

「な~に?今日のシミュレーターでいい結果でも出たの?」

「ああ、そんなところだ」

 

そう言うキョウスケにエクセレンはニヤニヤと笑う。

 

「へ~、そんなふうに笑うキョウスケなんて珍しい」

「何、少し面白い事があっただけだ」

「教えてよ。キョウスケ」

「後でな」

 

二人は整備員に挨拶しハンガーを出て行く。だが、話を聞いたエクセレンとブリットが後にアルトアイゼン・リーゼを調べた所、キョウスケがシミュレーターで戦った相手のデータはバグになっており何も分からなかった。




というわけで織斑秋(孤狼・極式)VSキョウスケ・ナンブ(アルトアイゼン・リーゼ)でした。ぶっちゃけ秋君がキョウスケに勝てる確率はかなり低いかと思っていますので最後はこうなりました。

なお作中でのクレイモアのかわし方は私がこれでいけるんじゃなかろうか?と勝手に思っているだけですのでいいご意見あったらお聞かせ下さい。

では次回は本編が投稿できるように頑張ります!
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