IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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大変遅くなって申し訳ありませんでした。

いつもより短くなってしまいましたが37話を投稿させていただきます。

今回はインターミッション的な話。


STAGE37

箒は医療スタッフに一夏をお願いし、医務室を離れた後、ゼンガーを探していた。目的は彼から預かっていた刀を返す為。

 

「(いつか会えると信じてはいたが……念のため、持ってきておいて正解だったな)」

 

一振りの刀を持ってクロガネの通路を歩く。途中、すれ違ったクルーに教えられ、箒は格納庫に向かう。そこではゼンガーがIS用ハンガーに収められているグルンガスト零式とダイゼンガーを見つめていた。二体とも先ほどのアインスト戦でのダメージが大きく、グルンガスト零式に至っては待機状態に戻せないほどの損傷を受けていた。

 

「師匠。お久しぶりです」

 

箒に声をかけられたゼンガーは微笑を浮かべながら彼女を見る。

 

「うむ。久しいな。箒。どうやらこちらでは随分、時が経っているようだ」

「あの時から三年は立っていますから……」

「そうか…三年もたっていれば当然か」

 

箒の言葉にゼンガーは頷く。ゼンガーと出会った時の彼女に宿っていた陰は、別れる最後まで完全になくなることはなかった。だが、今はその陰は見えない。そしてゼンガーは気が付く。彼女が手に持っている刀。それは嘗てこの世界から元の世界へと帰還する方法を見つけた際に彼女に預けた物。それを彼女が持ってきたということは……。

 

「答えは見つかったようだな」

「はい。師匠…あの時の約束通り、この刀をお返しします」

「そうか……」

 

箒から刀を受け取ったゼンガーは……

 

「ならば、その答えを聞かせてもらうとしよう。お前の一太刀を持って!」

 

それは手合せの誘い。箒は一瞬、驚きに目を見開くが。

 

「はい!」

 

すぐに思考を切り替え、頷く。自身の愛刀“護式・斬冠刀”をその手に持って。

 

「ならば、ついてこい」

 

ゼンガーと箒は歩き出す。三年という時を超えて師弟は再び剣を交えることになる。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「……ほとんどのISが損傷率八割…か」

「はい。私のシュヴァルツェア・レイブンは補給を済ませれば出撃は可能ですが…」

「ラウラのIS一機ではな…やはりテスラ研にスタッフを送っておいたのは正解だったな」

 

クロガネの食堂でラウラとハウがクロガネの整備スタッフから渡されたデータを端末で確認していた。その結果、最後に超機人と融合した四機に補給に戻ったラウラのシュヴァルツェア・レイブン以外のISはそのほとんどが戦闘行為の続行は不可という判断だった。

 

「(千冬のヒュッケバイン・アンファングは間接部が思ったよりもダメージの蓄積が多い。こちらの想定以上の負荷がかかっているか……これは念のため部品交換に回そうか。一番損傷が大きいのは孤狼だが…今は秋がいないからな。こちらも後回しでいいだろう)」

 

端末を弄りつつハウは修理優先度を決め、テスラ研へ送るデータを纏める。それを見ているラウラの表情が険しいことに気が付き。

 

「どうした?」

「……社長にお願いがあります」

「なんだ?」

「シュヴァルツェア・レイブンの強化をお願いしたいのです」

「一応、あれでも十分強化してあるんだがな?」

 

ラウラのISだったシュヴァルツェア・レーゲンのスペックから見ればシュヴァルツェア・レイブンは追加武装や増加ジェネレーターなどを搭載したアームドベースを装備した事で大きく性能が上がっている。しかしラウラはそれでも足りないとハウに告げた。そんなラウラにハウはどう答えるか悩んでいると。

 

「少しいいか?」

 

テーブルにやってきた一人の青年。

 

「お前は?」

「クロガネでパイロットをしているユウキ・ジェグナンだ。ラウラ・ボーデヴィッヒ、お前が使っているシュヴァルツェア・レイブンを見させてもらった」

「ラウラ。彼はこのクロガネにあるラーズアングリフ・レイブンのパイロットでな。IS“ラーズアングリフ”開発の時に色々意見を貰っていたんだ。ユウキ、それでどう思った?」

「…率直な感想を言わせてもらえば、あの機体のポテンシャルはISとして開発されたラーズアングリフ・レイブンを上回っている。追加装備のアームドベースに新型のテスラドライブを搭載した事によって重火器を搭載しながらも元になったレーゲンの機動性も損なわれていない。さらにAIの搭載によってAICの操作も向上されている。だが、今回の戦闘ではほぼ足を止めて打ち合っていたようだが?」

「それは……」

 

ユウキの問いにラウラは返せない。実際に彼の言うとおり、今回の戦闘ではほぼ足を止めた砲撃戦になっていた。AI“ヴォルフ”も照準の補佐や戦況把握のほうへとサポートに回らせていた。

 

「もし強化するならば方向性を絞ったほうが良い。火力面に特化するのか機動性を重視するのか……だが、その前にお前の腕を磨いたほうが良いだろう」

「なんだと?!」

「あれだけの機体を預けられていながら扱いきれていないのはパイロットの腕の問題だと言っている」

 

ユウキの言葉にラウラが席を立ち、ユウキを睨む。だが、ユウキはそんなラウラをしっかりと見据え。

 

「お前のシュヴァルツェア・レイブンの開発に使われたデータは俺のラーズアングリフ・レイブンのデータだ。シミュレーター上とはいえテストで扱ったこともある」

「なるほど…ラウラ。ユウキはお前の訓練相手になってくれるそうだ」

 

ハウがふふっと笑いラウラにユウキの想いを告げる。ユウキは少しバツが悪そうにするが軽く咳払いし告げる。

 

「少しでも体を動かしていた方が気がまぎれるだろう……仲間が捕らわれたのなら、なおさらな……」

「……よろしくお願いします」

 

頭を下げるラウラにユウキは頷き、共に出て行く。それを見送ったハウは。

 

「素直じゃないな。ユウキの奴は」

「でしょ?ユウ、何気に彼女の事、気にしてたからね~」

 

後ろから現れた女性がニシシと笑って言う。

 

「すまないな。彼を取ってしまって」

「気にしないでって。あたしもユウの気持ちは分かるし…それに仲間を取り戻す為の戦いって言うのは経験があるしね。それとあのラウラって子、助けたい子たちの中に好きな子がいるんでしょ?」

「どうしてそう思う?」

「ふっふ~ん。女のカンかな?あたしも手伝ってあげたいけど……」

「流石にクロガネにこれ以上ISもPTも回せないからな」

「いいって。ハウさんにはそれ以上に色々手回しして貰ってるしね。さて、あたしもユウたちの特訓を手伝ってくるよ」

「ありがとう。カーラ」

 

ハウにカーラと呼ばれた女性は軽く手を振り、出て行く。そしてハウもまた自分が出来ることをする為、食堂を後にした。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「そうか…やはりそちらにも襲撃があったか……」

『はい。こちらに現れたのは亡国機業の幹部を名乗る男と彼に雇われたという傭兵部隊でした』

「亡国機業の狙いは?」

『……生徒達です』

「何?」

『彼は生徒たちを誘拐し構成員に仕上げる。そう言っていました。亡国機業はISだけでなくアーマードモジュールと呼ばれる疑似ISを大量生産。そのパイロットの確保が今回の目的だったようです』

 

クロガネの通信室にて千冬は真耶との通信を行っていた。自身たちの現状の報告だったのだが真耶から襲撃があった旨が報告された。

 

「そうか、それで山田君以外に戦闘に参加したのは?」

『残されていた試験用のラファールで私を含めて如月さんにハウゼンさんが搭乗。あと相川さんも残されていた量産型ゲシュペンストを使用しています』

「相川が?」

 

千冬の記憶では相川清香にそこまでIS操縦技術があった覚えはない。それが伝わったのか真耶は苦笑しつつ。

 

『それが、秋君に度々ISでの訓練をお願いしていたようで…』

「……まさか?」

『はい。その……戦闘方法が秋君に、よく、似ていました』

「……あの愚弟は……」

 

思いもよらない影響を他の生徒に及ぼしていたことに思わず頭を抱えたくなった千冬。だが今回はそれが幸いしたわけだが……

 

『それで…先輩。事後承諾になってしまったのですが、残った教員たちと相談した結果、臨海学校は中止とし残っている生徒はIS学園に帰らせました。ここに残っているのは私を含めた教職員が三名。戦闘に参加した如月さんとハウゼンさん。あと一組は、本人たちの強い希望により残っています』

「そうか…確かに襲撃されてはな…一般市民や生徒たちに怪我人はいないのだな?」

『はい。そこは問題ありません。先輩たちが出られた後、念のため避難して頂いたので……』

「すまない。よくやってくれた」

『いえ……後、亡国機業が使用していたアーマードモジュールを複数、鹵獲に成功しています。データは現在まとめていますが……』

「アーマードモジュールか……出来る事ならIS学園に持ち帰りたいが……」

『それなんですが…学園長から鹵獲した機体は我々に扱いを任せるということで一部はIS学園に送ることになっています』

「一部?残りは?」

 

そう尋ねた千冬にモニター越しの真耶は言いよどむ。あー、うーとなんというべきか悩んだ挙句、ため息をつき告げた。

 

『既に一組の生徒が弄っちゃってます……』

「……馬鹿者が……」

 

すいませんと謝る真耶だが千冬は自分がいない中でよくやってくれていると思っているし学園側が任せると言った以上、生徒たちには機密事項として戒厳令を出しておくとして……

 

「(束に連絡してスノードロップを回すか?)…私もテスラ研に着いたらIS学園に戻る。すまないがそれまで頼めるか?」

『…はい。任せてください。先輩』

 

頷く真耶にもう一度礼を言ってから通信を切る。

 

「…で?なんのようだ?」

 

扉の向こうに居る人物に声をかける。

 

「用件は終わったな?なら今度は私に付きあってもらうぞ。……姉さん」

 

開いた扉の向こうに居たのは自分に瓜二つの顔を持つ少女、マドカだった。

 

「……分かった」

 

自分が犯した罪。その一つと向き合う時が来た。そう千冬はマドカを見て思うのだった。




なかなか話が進まない。あらかた先は決まっているのですが文章にならない。

迷いながらも書いていきますので楽しんで読んでいただければ幸いです。

ではまた次回。
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