IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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納涼祭が終わったー!!

無事に終わってよかった……

お待たせしていた後篇です。


EX STAGE4-B

ウォーダンが戦場へ介入したのとほぼ同時刻。

 

「ついてないぜ。まさか“あんた”までこの世界にいるとはな!」

 

他の隊員とは別ルートを進んでいたケルベリオンを操るフォリアと相対していたのは、

 

「その口ぶりからすると貴方もあちらの世界の人間のようですね」

 

赤と淡い桜色のカラーリングになったビルトキルシュを操るオウカ・ナギサ。彼女は日本代表という立場から北村との接点があり、亡国企業の襲撃を受けたとの連絡を受けたのと個人宛てに襲撃の情報が来ていた。幸いにも彼女も別件で近くに居たため、出来た事だったのだが……

 

「まあな。っと呑気に話してる場合じゃないな……嫌な任務でも請け負った以上は…!」

 

機体を反転させ、左腕部に搭載されているターネイルの先端を開き、射撃武装であるピーク・シューターを撃つ。その弾丸は通常の射撃武装に比べて貫通性を上げた装備なのだが、オウカは左腕の五連ビームガンにマウントされている鞘からコールドメタルソードを引き抜き、切り払う。

 

「げっ!?」

「その機体はブーステッド・チルドレン用の機体の筈…貴方に乗りこなせる機体ではありません!」

「やっぱり知ってたか…それでもな!」

 

機体に搭載されている高性能テスラドライブで加速したフォリア。それを追いかける様にオウカもビルトキルシュのテスラドライブ・ウイング-ビルトファルケンの物に酷似した-を展開し加速する。それを捉えたフォリアは内心で舌打ちしつつ叫ぶ。

 

「クライ・ウルブズの一員として負けられねぇんだよ!」

 

ターネイルを高速回転させ、オウカへと立ち向かう。

 

「そうですか。ですが私も負けられないのは同じ!」

 

左腕の五連ビームガンがフォリアに向け掃射される。張られる弾幕に回避運動を取ったフォリアに向けられたのは二つの銃口を持つ大型ライフル。上の銃口からはビーム、下の銃口から実弾を撃ちだすパルチザンライフルでフォリアを狙い撃つがそれをギリギリかわしたフォリアがピーク・シューターを放つ。ピーク・シューターから放たれた弾丸はオウカの顔左側面を通り抜ける。

 

「意外とやれるもんだな。オウカ・ナギサ相手に」

「軽口を!」

 

僅かな交差で視線を合わせた二人は反転し武器を向け合うと引き金に指をかけ……

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「無事ですか?千歳?」

「な、なんとか……」

 

岩場に引き上げられた千歳がISを解除し、自分を引き上げてくれたネージュを見る。

 

「ネージュは大丈夫なの?」

「このくらいド問題ないわ!」

 

誇らしげに言うネージュに千歳も苦笑してしまう。

 

「それにしてもここどこ?」

「さほど離れてはいないと思いますけど…」

 

戦闘音が聞こえる事から戦場から大きく離れたわけではないと二人は判断するが、纏っていたラファールはシールドエネルギーが心許ない。下手に使用して敵と遭遇しても戦うことは出来なくないだろうが厳しいだろう。

 

「助けを待つという手もありますが…」

「う~ん…いつになるか分からないし…」

 

頭を悩ましていると上から声がかけられた。

 

「二人とも大丈夫!?」

 

声をかけたのは全身装甲形態を解除した量産型ゲシュペンストMk-Ⅱを纏った清香だった。

 

「えっと…?」

「相川さん…ですよね?」

「うん。向こうに助っ人が来てくれたから…山田先生が損傷率の大きい私に逃げる様にって…」

 

表情を曇らせる清香だったが。

 

「とにかく移動しないと」

「そうだね」

「そうしましょう」

 

清香に掴まる様に千歳とネージュが寄りかかり、清香がしっかりと抱え、その場から離脱した。三人がその場から飛び立ってからしばらくすると滲み出る様にその場に姿を現した者が居た。

 

「……行ったか…」

 

赤いマントを纏った人型-ジンライ-は持っていた物を一度だけ見ると。

 

「これを“あの方”へ」

 

そう呟く。するとジンライに外見が良く似た者が現れるとそれを受け取り姿を消す。

 

「これで任務は完了した。ならば……」

 

そういうと姿を消した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「むん!」

「ふん!」

 

ムラタが放った太刀を斬艦刀で受け止め、そのまま力任せに薙ぎ払う。

 

「クハハハ!!ここに来てまさかゼンガーと同じ太刀筋をするものと出会うとはな!」

「ムラタと言ったか?貴様のような人斬りが何故、この世界に居る?」

「そんなことなど俺が知るかっ!俺はこの刀で人が斬れればそれでよいのよ!」

「そうか、なら全力で貴様を断つ」

「おうよ!それでこそ斬りがいがあるというものよ!!」

 

これ以上語ることなし!と切り結ぶムラタとウォーダンを他所に両手にアサルトライフルを呼び出し構えた真耶が対峙するのはアルベロとペルソナ。

 

「亡国機業の目的はなんですか?」

「小娘。聞きたければ俺たちを倒すんだな」

「っ!」

 

アルベロの答えに反応しそうになる真耶だが、二人と自分の力量差は目に見えている。うかつに仕掛ければ間違いなく撃墜される。

 

「ふん。少しは冷静なようだな」

「アルベロ。ここは私が行く」

「そうか。なら俺は下がっていよう」

 

アルベロを制すように前に出てきたペルソナは愛機たるラフトクランズを戦闘が出来る様に機体出力を上げていく。

 

「私の名はペルソナ。亡国機業で幹部の末席に連なるものだ。さて、我らが目的の為、排除させてもらう」

「これ以上、やらせるわけにはいきません!」

 

真耶が両手に持つアサルトライフルをフルオートで撃ちながら、ペルソナに向かって加速する。だがペルソナへ弾丸は届かず全て周囲に展開されている緑の光の球体に弾かれている。

 

「その程度の攻撃でこのラフトクランズに傷をつけることは出来ん」

「なら、これならどうですか!!」

 

ペルソナの言葉に、真耶は残っているスラスターを使い、急停止から一気に後退すると対物ライフルを取り出し、マガジンを手早く交換。スコープを覗き込み、引き金を引く。

 

「む?」

 

真耶の攻撃にペルソナが左手に持つ盾‐クローシールド-を構えた。そしてそれは正しかった。クローシールドの表面に火花が散る。

 

「ほう!?あのフィールドを抜いたか?やるな…あの操縦者」

 

その光景を見ていたアルベロが称賛の声を上げる。

 

「なるほど…同じ個所に三発の弾丸を当て、貫通させたか…」

 

ペルソナも今の攻撃が通った理由を分析していた。そう真耶は空中とういう不安定な状態且つムラタの攻撃で姿勢制御用スラスターがいくつかダメになっている状態で超精密射撃をして見せた。最初の攻撃でバリアフィールドが固いと判断し、念のためと用意していた対IS用徹甲弾に試合では使用禁止の対エネルギーシールド貫通弾も込められているマガジンを装填し、全く同じ場所へ三発の弾丸を撃ちこんだ。一発目がバリアフィールドに着弾し、薄くなった箇所へ二発目、そして三発目がクローシールドへと着弾した。

 

「素晴らしい技術だが…惜しいな。その機体が中破しているラファール・リヴァイブではなく専用機にでも乗っていれば、結果はまた違っただろうに……」

 

そう呟くペルソナに真耶は唇をかむ。

 

「ならばこちらも返礼しよう。我が剣…見切れると思うなよ?」

「!」

 

ペルソナから明確な殺気が放たれた事に真耶が身構えるのと同時、持っていたライフルの銃身の上下から青い粒子が噴き出るとそれが青い結晶の刃‐オルゴン・ソード-へと変わった。

 

「行くぞ」

 

背後のスラスターが全開にされ、突撃してくる。真耶は接近戦用の大型ナイフを呼び出し構えるが、ペルソナの周囲を緑の光の球体が覆い、その外周を光のリングが囲んだ物が展開される。それは先ほど真耶の攻撃を防いでいたバリアフィールドだったのだが……

 

「消えた!?」

 

フィールドが一瞬、展開された次にはペルソナの姿はなく、ハイパーセンサーからもロストの表示が出る。しかし、真耶も並みの操縦者ではない。己の直感に導かれるまま大型ナイフを背後に振るう。

 

「見事」

「きゃああああああっっっっ!?!?」

 

だが、大型ナイフではペルソナの振るったオルゴン・ソードは防げず、エネルギーシールドも両断された。吹き飛ばされた真耶はなんとか姿勢制御を行うが残っているシールドエネルギーはゼロに近い。

 

「(虎の子の対物ライフルでも大したダメージは与えられなかった…それにあの瞬間移動…残っている教員では太刀打ちできない)」

 

頬を伝う冷や汗を拭う暇もなく、自身に打てる手を挙げては却下し考えている真耶に対し、ペルソナとアルベロは。

 

『そちらはどうだ?』

『…いい知らせではないな。日本代表のオウカ・ナギサが現れた』

 

プライベート・チャンネルで会話をしていた。

 

『予定通りだ』

『…ふん。情報を流したのか?』

『……私の任務は、IS学園の生徒たちへの襲撃及び拉致だ。だが、相手は既にそれを想定して避難させていた』

『貴様…それも知っていたな?』

『…ああ。これでも目と耳は良いものでな』

『なるほど。俺たちに黙っていたのは良しとしよう』

『ふふ。お前ならそういうと思っていた』

『なら、撤退作業に入る』

『ああ……破壊された無人機は放置していい。それと部下が使っている物もだ』

『乗っている部下の回収はどうするつもりだ?』

『既に艦長が回収班を出している。お前の部下たちには回収ポイントも送信してある』

『用意周到なことだ。だが見殺しにしないだけ好感が持てる』

『それはなによりだ』

 

そこで会話を切るとペルソナは真耶へと通信をつなげる。

 

『IS学園の職員。今回、我々の任務は生徒たちの拉致だったが、それは既に達成できないと判断した』

『っ!?……何故、こちらのチャンネルを?』

『何、気にしない事だ。とにかくここで私たちは撤退させてもらう。そちらも追うだけの力はなかろう?』

 

ペルソナの言葉に静かに頷く。それを見るとペルソナとアルベロは踵を返し。

 

『そうだ。我々が撤退した後、ここのポイントを探ってみるといい。そちらにとっても無駄ではない筈だ』

『何を…?』

 

それだけ言うと二人は撤退していった。それを呆然と見送る形になった真耶はペルソナから送られてきたデータを確認するとそこには今回の襲撃理由と疑似ISを破棄したポイントが表示されていた。それを流し読み終えると未だ戦闘中のウォーダンとムラタの方へ視線をやる。そちらのほうも決着がついていた。

 

「ふん!撤退か…無視してもいいが…ウォーダン!貴様との決着は次としよう!」

「む?」

 

アルベロからの指示に舌打ちしつつもムラタは大人しく刀を収めた。それに対しウォーダンは油断なく斬艦刀を構えるが。

 

「ぬるい相手だけならば、このまま好き勝手にさせてもらう約束だったが、実に斬りがいがある者達が居たからな。それにまだこの無明も改良しなければならん」

「去るなら去れ」

「そうさせてもらう」

 

そういうとウォーダンに背を向け、離脱していった。斬艦刀の刃を消し、肩へと戻すと真耶の元へと近づき。

 

「無事なようだな」

「助けて頂いてありがとうございます」

「何、気にするな。それよりもまだ危機は去ったわけではないようだ」

「え?」

 

聞き返す真耶には答えずウォーダンは。

 

「申し訳ないが俺にあったことは内密に頼む。特に織斑千冬には、な」

「わ、わかりました」

 

それだけ言うと背中のドリルスラスターを吹かし、この場から離脱していった。残された真耶はウォーダンの言う危機という言葉に残されている生徒たちのことを思い出し、すぐに旅館の方角へとラファールの残ったエネルギーを使って向かったのだった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

オウカとフォリアが互いに向かい合って引き金を引くと撃ちだされた弾丸は互いの横を通り抜け、その背後に現れた無人機たちを撃ち抜いた。

 

「気づいていましたか?」

「ああ。一応言っておくがこいつらは俺たちの仲間じゃねぇぜ?」

「ええ。それは分かります」

 

撃ち抜かれた無人機。それは嘗てIS学園を襲撃したバルトールと呼ばれた存在だった。

 

「それにしても、このタイミングまで気付かせないとは……ASRSを展開していたという事でしょうか?」

「ASRA…確か高性能ECMだったか?」

「ええ。私の記憶ではアースクレイドルではさらに性能を高めたASRSを使っていた筈です」

「やっぱり、俺たちの世界の技術がかなり持ち込まれているってことか…」

「そうなりますね」

 

第三者の介入があった時点で二人は話をしながらも互いに背中を合わせ周囲を警戒していた。そんな中、フォリアのケルベリオンに撤退の命令が入る。

 

「撤退…?って?機体の破棄だぁ?……つーわけでこっちはこれで引き上げるわ。多分、他の隊員も撤退し始めてるだろうし……」

「……まあいいでしょう。私はIS学園の生徒たちを守れれば問題ありませんので」

「んじゃあ、失礼するぜ」

 

そう言い残し、飛び去ったフォリアを見送ったオウカはハイパーセンサーに表示された量産型ゲシュペンストの方へと向かった。

 

「あれは?…学園の生徒たちのようですね」

 

オウカがそう断定したのは量産型ゲシュペンストの両腕に乗っている二人が事前に報告を受けていた二人だったからだ。オウカは彼女たちに近づくと声をかける。

 

「大丈夫ですか?怪我はしていませんか?」

「あ、はい!わ、私たちは平気です!!」

「清香、落ち着いて?」

「そうよ。っていても日本代表が目の前にいたらそうなるわね」

 

苦笑する千歳とネージュに清香が顔を真っ赤にしているとオウカがビルトキルシュの全身装甲を解除しようとしたその時。

 

「オウカさん!」

「!!」

 

自身に向かって投擲された苦無をオウカは叩き落す。そして苦無が飛んできた方へ五連ビームガンを向け掃射。それを鞘から引き抜いた忍者刀で切り払うとそれを逆手で構え……

 

「これよりオウカ・ナギサのデータを収集する」

 

ジンライはそう告げた。

 

「三人とも、安全な場所へ」

「は、はい!」

 

清香たちが離脱するがジンライはそれを邪魔しない。

 

「(目的は本当に私のようですね)」

 

ジンライの様子に内心で安堵しコールドメタルソードを構える。彼女の記憶にジンライと呼ばれる機体はない。しかし目の前の敵がISなのかと言われると何故か疑問を抱いてしまう。

 

「(考えている暇はなさそうですね)」

 

ジンライの目的が自分のデータ収集なら戦いを長引かせるわけにはいかないし、切り札を切る訳にもいかない。

 

「行きます!」

 

ならばとコールドメタルソードを片手にジンライの元へ瞬時加速で迫る。刃を横へ振るうもそれは逆手で持つ忍者刀に防がれ。

 

「…………」

「ぐ!?」

 

空いた右脇腹にジンライの左の蹴りが叩き込まれる。エネルギーシールドが防いでくれても衝撃までは消えず詰めた距離は開けられてしまう。

 

「今度はこちらの番だ」

 

ジンライの無機質な声と共に右腕から展開された十字手裏剣が放たれ、それを防いだオウカの背後に現れたジンライが手に持った手裏剣で斬りつけ、蹴り飛ばす。

 

「この程度!」

 

腰をひねり、ジンライ目掛け、五連ビームガンを撃つが、ジンライはまるで空中に足場があるかのように宙を蹴って移動していく。そして忍者刀を収めた鞘からアンカーが撃ちだされ、オウカの首に巻きつくと勢いよく引っ張られ。

 

「斬!」

 

一刀の元、切り伏せられる。だが、オウカもただやられていない。

 

「ブレイカーセット!」

 

ビルトキルシュの最大の武装であるスタッグビートルブレイカーが起動する。そしてまだ巻きついているアンカーをしっかりと捕まえ、ジンライに向かってブレイカーを突き出す。そして胴体を挟み込み、後部に備え付けられているステークが叩き込まれた瞬間。

 

バギィィィィィン……

 

「これは…?」

 

そんな音が聞こえたのと同時に自身が捉えていたと思っていたのはジンライが捨てた鞘だった。

 

「ハイパーセンサーを騙した、というのですか??」

「お前に勝ち目はない」

 

驚くオウカを他所にジンライはそう呟き、左腕に装備されている籠手から撃ちだされたミサイルがオウカの周囲で爆発。煙幕で視界を遮られると目の前にいきなりジンライの足が見え、蹴り抜かれる。それを咄嗟に防御していたがジンライはそれを予測していたかのように蹴った後、上空へと飛びあがり一回転。速度を乗せたかかと落としをオウカへと叩き込んだ。その威力はオウカを海面へと叩き付け、シールドエネルギーを大きく削る。

 

「あのISとてつもない速さですね…」

 

スラスターらしいスラスターを使っていないように見えるのにオウカは今まで敵対した中でも最速ではないかと感じていた。

 

「それがなんだというのですか……」

 

目の前に表示される無数のアラートを無視し、愛機たるビルトキルシュに問う。

 

「私たちでは勝てない…そう思いますか?キルシュ?」

 

その問いに答えなどあるはずがない。なのにまるでオウカの問いに答える様にアラートが次々と処理されビルトキルシュは自分の力はこんなものではないと誇示するかのようにISコアの出力が上がっていく。そしてオウカの目の前にディスプレイが表示されそこにこう書かれていた。

 

「Finish・Pattern…?なるほど…貴方も悔しいのですね。なら行きましょう!キルシュ!!」

 

出し惜しみしている場合ではない!

 

そんなオウカの声に応える様に背後のTDウイングが展開する。だが今回のはいつもと違いもう一段展開し、緑色の粒子が噴出され、背中に四枚の翼を作り出す。

 

「ジャケットアーマー、パージ!テスラドライブ最大出力!!」

 

機体の各所に取り付けられている装甲がはじけ飛び、元であるビルトビルガー同様、高機動形態に移行する。だが普段と違うのはパージしたあと、残った装甲から桜色のオーラが噴き出す。それは背後のTDウイングを覆っていくと最終的にはキルシュ全体を覆う。

 

「さあ、受けて見なさい!」

 

オーラを纏ったキルシュがコードメタルソードを構えなおし、突撃する。その速度は先ほどまでとは桁違いの速度を出していたがジンライは自身の持つ機能であるハイパーセンサージャマーを使い回避に徹しようとしたが……

 

「散りぬべき…」

 

横に振るわれたコールドメタルソードがジンライのエネルギーシールドを切り裂く。そのまま流れるような斬撃でシールドエネルギーを削っていく。

 

「時知りてこそ…」

 

スタッグビートルブレイカーを下から抉りこむように打ちこまれ高く打ち上げられる。その状態からもジンライは冷静に脱出を図ろうとするがそれを分かっていたかのように五連ビームガンで邪魔をしながら追いかけてくる。

 

「美しく…」

 

ジンライが気づけば自身の周囲にはオウカが高速移動した後の軌跡によって桜吹雪が舞っていた。その光景はどこか幻想的でもあった。しかしそんな余韻に浸れるわけもなく、その速度を生かした突撃に再び切り裂かれていく。

 

「桜花爛漫…!」

 

桜吹雪に捕らわれているジンライを他所にいつの間にか距離を開けていたオウカはパルチザンライフルをビームと実弾を交互に連射しジンライを撃ち抜き近づいてくる。さらにゼロ距離で突き付けられたパルチザンライフルの銃身は上下に開いておりその上下の間では紫電が奔っている。そして高出力のビームが撃ちだされ一気に更なる上空へと吹き飛ばされる。その背後にはテスラドライブのフルブースト状態で扱う瞬時加速によって先回りしたオウカがスタッグビートルブレイカーを展開し待ち構えており。

 

「花王と共に散りなさい!」

 

大型の鋏で捉え、ステークが叩き込まれる。

 

「シールドエネルギーゼロ……任務失敗」

 

ジンライの目から光が消えるのと同時に爆発した。噴煙の中から飛び出したビルトキルシュは既に桜色のオーラはまるで花が散るように消えていき、TDウイングも閉じる。機体の各所から余熱が吐き出される中、ディスプレイに表示されたものを見て。

 

「今のが“桜花幻影”ですか…いい名です。気に入りました」

 

そう微笑を浮かべると、オウカは清香たちが向かった先へと機体を走らせた。

 

「油断…しました…」

 

オウカが去った後、噴煙から出てきたのは紺色のぴっちりしたスーツに両腕、両足に大型のブレードを装備した女性だった。近くの岩場に降りると暫くあたりを警戒していたが、突如、耳を抑えると。

 

「……データ受信。……了解。撤退します」

 

頷き、立ち上がる。そしてジンライの手足を呼び出し装着し終えると現れた時とは逆に空間に溶けるようにその場から姿を消した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

真耶が旅館のある場所に戻ってくるとそこには一組の生徒たちが清香たちの手当てや半壊している量産型ゲシュペンストの応急処置を行っていた。

 

「皆さん…?」

「いい生徒たちですね」

「オウカさん!?」

 

真耶に声をかけたオウカも生徒たちに治療を受けたようで各所に包帯などがまかれていた。

 

「処置が的確で、ISの整備も手早い」

「どうしてオウカさんが?」

「オウカでかまいません。私も真耶と呼ばせて頂きますから」

「わ。わかりました…」

「私が居る理由ですが、今回の襲撃の件に関してリークがありまして…少々強引に出撃させて頂きました。なので私がここにいた事は内密にお願いします」

「え?ええ??」

「それでは。真耶。また会いましょう。…今度は負けませんよ」

 

そう笑ってオウカは去っていった。

 

「せ、先輩になんて報告しよう……」

 

胃がキリキリとしてきた気がして気分が落ち込む真耶だったが、この後、ペルソナから渡されたポイントで見つけたアーマードモジュールの数々と回収作業中に見つけたリオンを生徒が弄り出すなど騒ぎが起こり、顔を青ざめさせながら報告する内容をまとめる真耶が見られた。




次回は本編に戻ります。半分まで書けてるから早めに出せればいいな…
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