一日の授業を終えた俺は久しぶりにフリーな放課後を迎えていた。いつもならアリスと訓練なのだがアリスから「今日は用事が出来て行けない」とメールを貰った。なので久しぶりに一夏と早めに寮に帰ろうかと思ったらなんでもセシリアと箒からISの指導を受けるんだそうで第三アリーナに行ってしまった。いやあれは強制連行だろうな・・・・・・だってドナドナが聞こえたし・・・・・・。
そんなワケで珍しく暇になったのでどうしようかと思っていたらスマホにメールが届いた。メールを開けば、そこにはただ一行のみが書かれていた。
「・・・・・・『迎えに来い』こんなメールを送ってくるのはアイツか」
しかし、なんで今更、日本へ来るんだ?それでも久しぶりの再会に笑みが浮かぶ。
「元気にしてたかな?鈴の奴」
スマホを仕舞い、一先ず駅に向かおう。多分そこに来ているはずだ。一夏と俺の三人目の幼馴染。凰鈴音<ファン・リンイン>が。
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IS学園に一番近い駅に来てみると時間が時間なだけに人数は少なかった。
「さて・・・・・・鈴は何処にいるのやら?」
きょろきょろとあたりを見回していると。
「久しぶり!秋!」
「元気そうだな。鈴」
こちらに向かって手を振りながらボストンバッグを肩にかけ走って来る小柄な少女。その特徴的なツインテールは変わっていなくて安心する。彼女が俺たちの幼馴染“凰鈴音”。
「もちろん元気よ!秋こそ怪我とかしてないわけ?」
「してないな。前みたいに喧嘩を売り歩いていないし買ってもないしな」
「そっか。秋も成長したわね~」
「そうか?お前と別れてまだ一年だろ?」
「それだけあれば変わるわよ」
「そんなもんかね?」
「そうよ」
そういって笑う鈴。鈴は小学五年から中学二年まで日本にいた少女で中国の出身。そして俺の一番荒れていた時期を知っている数少ない人物でもある。まああの頃はかなりひどかったし俺にとっての黒歴史だ。
「それよりなんで秋と一夏がISなんか動かしてるのよ?」
さすがに駅で長々と立ち話もなんだからと学園に行くことにした俺たちは移動中に昔話に花を咲かせていた。
「あ?ああ、思い出したくもないんだけどさ。高校受験の時に会場で迷ってな。一夏が「俺に任せろ!」っていうから付いていったらそこがIS学園の試験会場だったってわけ。そこに置いてあったISに触れたら起動して・・・・・・で、あれよあれよという間にIS学園に入学が決まった訳だ」
「なんといっていいか分からないわね。というか普通、迷わな・・・・・・いや、一夏ならありそうか・・・・・・」
「ああ。俺もまさか一夏が迷ってるとは思わなくてな。それよりも鈴だって凄いだろ?いつの間に代表候補生までなったんだ?」
「色々あったのよ」
「そっか」
一瞬、鈴の顔に翳りが差したのに気が付いたが言いたくないこともあるだろうし深くは聞かない。喋りたければ喋るだろう……いや、本音を言えば話して欲しいし頼って欲しい。今の俺があるのは鈴のおかげなのだから。
「あ、秋?」
「ん?」
突然、歩くのをやめた鈴が俺を呼ぶ。振り返ると何かを言おうか迷っている鈴がいた。
「あ、あのさ・・・・・・覚えてる?あの約束?」
あの鈴には珍しく何かに怯えるような表情。俺は鈴の言葉に必死に記憶を探る。
「約束?確か・・・・・・お前が作る酢豚は俺が必ず食べるって奴か?」
「お、覚えてくれてたんだ!」
「おう。で?上達したのか?」
「当たり前じゃない!今度食べさせてあげるんだから!」
「そいつは楽しみだな」
とても嬉しそうな鈴の顔に苦笑する。あと酢豚にパイナップルは入れるなよ?あれは邪道だ。
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「そいつは楽しみだな」
満面の笑みの秋を見てあたしは内心で安堵していた。
よかった。こいつは変われたんだ。
自分が知っている頃の秋はとても冷たい目をしていた。あの三年前の誘拐事件の後からだ。兄の一夏が姉に心酔していたのに対し秋は千冬のことを避けるように過ごしていた。そしてよく問題を起こすようになった。
『力が欲しい。力さえあれば・・・・・・強くなれるんだ。強くなれば・・・・・・』
口癖のようにずっと強さにこだわり足掻いていた。そしてその手段として秋はいろんな場所に行っては喧嘩をしていた。最初は学校でいじめをしていた男子生徒たちだった。相手が意識を失っても殴るのを止めず男性教員たちに取り押さえられながらも暴れようとしていたのを覚えている。その後は街を彷徨いながら各学校の不良などと喧嘩をしていたそうだ。相手を壊すことだけを考え、恐ろしいほど冷たい目で相手を見ながら、自身が傷つくことすら躊躇わず嗤うのだ。一度、秋を探していた時に不良に絡まれてしまった時、秋が現れその場面に遭遇した。その時、秋を羽交い絞めにして止めた事がある。そして平手で思いっきり頬を叩いて秋の目を見ながら。
『今のアンタじゃどんなに頑張っても強くなれないわよ!暴力しか振るえない力じゃ、何も込められてない力なんかじゃ本当の強さは手に入らない!!そんなんで強いなんて思い上がるんじゃないわよ!!』
そういえばあの時からだっけ。秋が毎日のように家の店に来て、ご飯を食べていたのは。
当時を思い出し、思わず笑みを浮かべてしまう。顔を腫らしながらも黙々と定食を食べる秋。気付けば秋に定食を持っていくのがあたしの仕事で秋が食べ終わるまであたしが一方的に喋ってたっけ・・・・・・
中華料理屋をやっていた自分の家にほぼ毎日といっていいほど足繁く通い、頼むものは決まって酢豚定食だった。来るたびに怪我をしていて、あまりにひどい怪我の時には自分の部屋に上げてまで治療をした記憶がある。
今思えばかなり大胆だったな~あたし。でも必ずお礼を言うのよね~秋って。
小さな声で『ありがとう』って。
弾、蘭、メイ、一夏以外の人間が秋を怖がり避けていっても、秋を放っておけなかった。今も自分の隣を歩いている秋を盗み見るように見ている。やっぱり変わった。表情もそうだが纏っている空気も。
それは喜ばしいことだったが自分の心には同時に悲しみもあった。自分がどれだけ頑張っても変えることが出来なかった秋を変えたのは一体なんだったのだろうか?それがもし女性が関わることだったら?そう考えるだけで自分の心は締め付けられるような痛さを感じていた。それでも私が転校する前にした約束は覚えていてくれた。それは素直にうれしい。
「どうした?」
「な、なんでもないわよっ!馬鹿!」
心配してくれた筈の秋についつい喧嘩越しになってしまう自分に頭を抱えたくなる。
「馬鹿とはなんだ?馬鹿とは・・・・・・それより急ぐぞ!」
「ちょっ!?ちょっと!!」
突然、手を握られ走り出した。しっかりと自分を握る秋の手。それを放したくなくて自分も秋の手をしっかりと握り締める。
もう二度と会うことがないと思っていた人を放したくなくて・・・・・・
凰鈴音は織斑秋が好き。守ってあげたい人。だから私はISの適正試験を受けた。私の目指す 大切な人を守る為の“強さ”を手にすればいつかは秋と再会できると信じてたから。
「・・・・・・絶対、秋は私が守るんだから・・・・・・」
誰よりも力を・・・・・・強さを欲する大好きな人は、誰よりも傷つきやすく壊れやすいのだから・・・・・・
「なんか言ったか?」
「別に。秋・・・・・・」
「なんだ?」
「ううん。なんでもないわよ!ほら急ぐんでしょ!!」
「はあ?」
首を捻る秋を今度は逆に引っ張りながら見えてきたIS学園に向かって走っていく。
うん!何処の誰だかわからないけど秋は絶対に渡さないからね!!
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鈴と一緒にIS学園まで戻ってくるとちょうど特訓が終わったらしい一夏たちと合流。軽く自己紹介をしたんだが何故、鈴はセシリアを見た後、俺を睨んだでしょうか?
「・・・・・・よかった。相手は一夏ではないようだな」
何故にそんなに安堵しているんですか?箒さんや?
「本当に分からなそうな顔をするな!はぁ・・・・・・鈴には同情する」
ジト目でこちらを見ながら今度は哀れみの目で鈴を見る箒に首をかしげていると。
「ふん!まあいいわ。じゃ、またね。秋」
「あ、待ちなさい!鈴さん!・・・・・・もう!」
どうやら終わったようだが・・・・・・というか、鈴の奴!俺に荷物持たせたままじゃないか!?
「おい!鈴!!荷物持ってけ~!!!!」
ボストンバッグを掲げながら叫ぶが、聞こえてないのか、振り返ることなく行ってしまった。結局、俺が部屋まで届けました。部屋番号?何とかしたよ!コンチクショー!!
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で、今は夜の自由時間。いつもなら軽いストレッチやらISの復習やらをしているのだが今日は違った。
「というわけでっ!改めて秋くんクラス代表決定おめでとう!」
「「「おめでと~!!」」」
鳴り響くクラッカー。舞い散る紙テープ。
「ほら!秋、飲めって!」
笑顔でジュースを渡してくる一夏に礼を言いながら受け取る。
「お?今日はなんか素直じゃないか?どうした?やっぱり鈴に会ったからか?」
「五月蝿い!」
「いてぇ?!」
ニヤニヤ笑う一夏を一度シバキハリセンで叩いてから俺はジト目で辺りを見回す。ここは寮の食堂で一組のメンバーは全員揃っていた。なかば置いてきぼりの俺を放っておいて飲めや歌えやの大騒ぎである。いや、歌ってるやつはいないが・・・・・・
「・・・・・・・・・・・・」
ちらりと壁を見ればそこにはデカデカと『織斑秋クラス代表就任パーティー』とかいた紙が貼られている。決まったのは三日前だけどな。
「・・・・・・認めたくねぇ。無理だけど」
諦めが肝心というがこればっかりは諦めたらいけない気がする。と言ってもあの姉貴に異議あり!と言える訳ないので結局認めざるを得ないのだが、現実逃避くらいしてもいいじゃないか・・・・・・。
やいのやいのと騒ぐ一員。しかもざっと数えてみたがその数は五十人くらいいる。
「・・・・・・なんでクラス以外の連中までいるんだ?」
「何を気にしてるのよ?」
「明らかに関係ないやつがいる点について考えてた」
へぇー大変ね。と他人事のように人のスナック菓子を口に頬張る鈴。
「ってお前のことだーーー!!!」
「な、何よ?!びっくりしたじゃない!」
「びっくりしてるのは俺のほうだ!なんで居るんだよ?」
「親睦を深める為よ!!」
「お前はそんなキャラじゃなかったろ!!」
「アンタに言われたくないわよ!!元不良!!」
ギャーギャーと騒ぐ俺たちに気がついたのかクラスの連中が集まってくる。
「ねぇー秋くん。その子誰?」
「俺と一夏の幼馴染の一人で凰鈴音だ。ウチのクラスじゃないことだけは確かだ」
「ついでに専用機持ちで二組のクラス代表よ♪」
「そう専用機持ち・・・・・・え?」
さらりと付け加えられた事実にピタッと鈴以外の全員が止まった。
「・・・・・・り、鈴?もう一度頼む。なんだって?」
「だ~か~ら~!専用機持ちで二組のクラス代表って言ったの!!」
再び静まる一同。いや、代表候補の時点で専用機持ちなのはわかっていたが・・・・・・。
「えっとつまり鈴は秋と戦うって事だよな?代表なんだから?」
「当たり前じゃない。秋が代表って聞いたからさっきお願いしたのよ。あたしをクラス代表にしてください。"絶対”勝ちますからって」
尋ねる一夏に頷きながらお菓子を頬張る鈴。
ほ、ほほぅ~?今、絶対を強調しましたな?鈴さんや?
「当たり前よ。アンタがあたしに勝てるわけないじゃない」
何を当たり前なことを言っているんだ?というような顔をする鈴に俺は何度か頷きながらゆっくりと息を吐き出しながら。
「いい度胸だ!テメェ!お前の敗因は俺を怒らせた事だ!」
あっさりとキレた。
「ふん!いいわよ?ならなんか賭ける?あたしは困らないけど?」
「乗った!!負けた奴は勝った奴に何でも言うことを一つ聞かせるでどうだ!」
「「「「「!!!」」」」」」
きっとこの時の俺は怒りというか興奮状態にあり、その場のノリで発言したんだ。後になって、もし時間が戻せるならこの時の自分をぶん殴ってでも止めるべきだったと後悔した。しかし言ってしまったものはしょうがない。男に二言はないのだ。
「い、いいんですの?秋さん、そんな約束して???」
「あちゃー。秋の奴また熱くなってるな」
「あの熱くなると周りが見えなくなるところや賭け事が好きなところは相変わらずだな」
一夏と箒のため息にセシリアが驚く。
「そ、そうなんですの?」
「ああ。熱くなると直ぐに賭け事にするのは昔からの悪い癖だな。たぶんセシリアの時もそうだったと思うぞ?一見冷静なようで沸点が物凄く低いからな~秋の奴」
「そして厄介なことにここ一番って時の奴の運はものすごくいい。それこそ幸運の女神に溺愛されているくらいにな」
「そのかわり、普段はあまりツイてないんだよ」
「い、意外な一面ですわね」
一夏、箒がまた揃ってため息をつくのを見てきっと秋さんに苦労させられたんでしょうねとセシリアは思っていた。
「はいは~い、新聞部でーす。話題の双子新入生、織斑秋くんと一夏くんに特別インタビューをしに来ました~!」
それに盛り上がる一同。しかし、片割れの当人はというと。
「い、いいのね?そんな約束して?」
「当たり前だ。俺はお前に負けない!」
「上等よ!!あたしが勝ったら、恋人としてデートしてもらうからね!」
「いいぜ!デートくらいいつだってやってやるよ!」
「あれ?アイツ今、さらっと重要なこと言わなかったか?」
一夏の呟きに周りが頷いているが気づかない秋。
「その代わり俺が勝った時は・・・・・・」
「いつでも受けてくれるんだ…ちょっと意外な答えでびっくりしたわ。ま、まあいいけどね・・・・・・で?勝った時は?」
ゴクリと誰かが唾を飲むような音が聞こえた気がした。
「俺の食事代持ちだ」
ニヤリと笑みを浮かべる。何故か周りがズザーと転ぶが気にするな。俺は気にしない。
「え~と・・・・・・それって賭けになるの?」
やってきた新聞部の人が戦慄している一夏に尋ねる。すると一夏は顔を青ざめながら首を縦に振る。
「秋の食事量は半端ないからな。前、弾と賭けをして負けた時のことだ。あいつは嬉々としてファミレスのメニューを上から順番に頼んで全メニューを制覇した」
「「「「な、なんだってぇーーーー!?」」」」
食堂にいた全員が驚愕する。それにしても本当にノリがいい我がクラス(一部違うが)に思わず戦慄する。
「ちなみにその時は三周されて・・・・・・俺と弾のバイト代がパーになった」
「秋さんが何処の店を選ぶかで相手を財政的に破綻できますわね」
と横で解説お疲れ。一夏。さて鈴の反応はどうだ?
「い、いいわよ!その条件乗った!!」
その笑みはとても頼もしく俺が女だったら惚れてるねってくらい男らしかった。
「あ、そうそう自己紹介忘れてた。私は二年の黛薫子。よろしくね。新聞部副部長やってまーす。はいこれ名詞」
俺と鈴の間に割り込むように入ってきた薫子さんが取り出した名刺を反射的に受け取る。
「はあ・・・・・・ありがとうございます」
「じゃあ、ちょうどいいから織斑秋くん。クラス代表になった感想をどうぞ!」
持っていたボイスレコーダーを向けられ、思わず鈴を見る。クラス代表の感想だってさ。
「いや、あたし一組の代表じゃないから関係ないわよ!」
じゃあと一夏を見る。
「なんで俺を見るんだよ!俺だって関係ないだろ!」
む・・・・・・この際に代表をなすりつけようと思ったんだが仕方ない。じゃあ箒で。
「早くいえ!クラス代表!!」
怒られてしまった。しょうがないので黛先輩に向き直り、咳払いを一つ。真面目な顔を作り。
「面倒なので代わってくれる方を募集します」
「うん。却下」
ですよね~。仕方がないので適度に頑張りますって答えたら。面白くないから適度にねつ造すると言われた。
おい。それでも報道関係者か。嘘を書くなよ。嘘を。
けど俺の突っ込みは無視されてしまった。黛先輩は隣に居た一夏へとボイスレコーダーを向けて質問している。スルーですか。そうですか。
結局、最後は皆で写真をとってお開きとなった訳だ。なんかとっても疲れた一日だった・・・・・・もう寝たい。
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「ドイツ軍に・・・・・・ですか?」
驚きの声を出したのは、マオ社では珍しくIS学園の制服に身を包んだアリス。
「ああ。そうだ。ドイツ軍からの依頼で製作していた新型IS。アレのトライアルをドイツ軍で行うことになった」
対するはやや青色をした髪をショートにしたカジュアルなスーツを着込む女性。
「ですが、社長。あれはまだ試作段階では?」
「そうだ。だからこそのデータ取りだ。何、試作段階といっても九割方完成している。問題はないさ」
「分かりました。ですが・・・・・・彼も連れて行くのですか?」
「ああ。ドイツ軍には一時期、千冬が指導していた部隊がある。そこにいる人物が非常に興味深くてね。ぜひ彼をぶつけて見たい」
クスリと笑みを浮かべる女性にアリスはため息を吐く。
「もう、後でどうなっても知りませんからね?」
「問題ないさ。では、頼んだぞ?アリス・ブロウニングくん」
「了解しました。ハウ社長」
一礼し退出するアリスを見送るとハウはデスクに取り付けられている電話をとり番号を入れる。暫らくコール音がなり、相手が出る。
『なんのようだ?ハウ』
「そう邪険に扱わないで欲しいな。千冬」
いつものやりとりをしてからハウは千冬に用件を伝える。
『・・・・・・わかった。こちらで手配する』
「すまない・・・・・・」
『気にするな。と言いたいが・・・・・・』
「だが、彼ならきっとやってくれる」
『当たり前だ。私の弟だぞ?』
「そうだったな。ではまた」
『そうだな。近い内にでも飲みに行こう』
「楽しみにしている」
電話が切れると受話器を置き、静かに席を立つ。
「さて・・・・・・賽は投げられたとでも言うべきかな?まあ、いい方向へ転がる様に細工はしておくか」
そう呟くとハウは書類を手にし、出て行く。打てる手を打つために・・・・・・
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「隊長。五月上旬に行われる我が軍とマオ・インダストリー社で共同開発した新型ISのテストの件ですが」
「それがどうした?クラリッサ」
クラリッサと呼ばれた女性が手元にある資料を捲る。
「どうやら新型IS以外にも専属の装着者が二名来るそうです」
「何?」
報告を聞いて、振り返るのは銀髪に左目に眼帯をつけている少女。纏っているのは漆黒のIS。
「新型に専属操縦者がいるとは聞いてないが?」
「いえ。マオ・インダストリー社の専属操縦者のようです」
こちらが資料になります。とクラリッサが手渡してきた書類に目を通していると少女の目が見開かれる。
「この情報は確かなのか?」
「はい。間違いありません」
「・・・・・・そうか」
クラリッサの答えに少女の紙を握る手が自然と強まり、紙束を握り潰す。
「織斑秋・・・・・・教官の双子の弟の片方か・・・・・・」
少女にとってその存在は憎むべき存在だった。
「ちょうどいい。このラウラ・ボーデヴィッヒとシュヴァルツェア・レーゲンが・・・・・・」
必ず潰す。
握りつぶした紙束を放り投げ、レールカノンで撃ちぬいた。
え~と……なんとか形になったかな?
次回からドイツ編始まります。
せ、戦々恐々しながらご意見、ご感想をお待ちしています。