突然ですが、俺こと織斑秋は何故か飛行機の中にいます。
「朝、目が覚めたら飛行機の中ってどういうことだろう?」
窓から見える景色は綺麗な青空と白い雲の海だけ。こんな疑問がなければ心が洗われる様な景色だった。
今は五月。さらにゴールデンウィークの初日でIS学園も連休中。特に予定もなかったので前日は普通にベッドに入って寝た筈なんだが……?
「そろそろ説明を求めてもよろしいでしょうか?アリスさん」
ギ、ギ、ギ、とさび付いた機械のように首を動かし隣を見ると音楽でも聴いていたのかイヤホンを外したアリスが笑みを浮かべて。
「今日から五日間、ドイツに短期留学。嬉しいでしょ?」
「んなわけあるかー!なんで俺に了承を得ないんだよ!?おかしいだろ!!」
「千冬さんから許可は貰ってるよ?後、一夏くんも協力してくれました♪」
「姉貴ーーーーーーッ!!!一夏ーーーーーーッ!!!」
絶対ドイツ土産は買って帰らないからな!!と小さな復讐を決意する俺だった。一夏?もちろんISでフルボッコにしてやんよ!!
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結局、それから数時間後にはドイツの地に降り立ちました。というか飛行機からさすがに飛び降りれないって。
そして、そのまま空港に用意されていた車に乗り、移動。一応、空港でアリスから渡されたスーツに着替えている。ちなみに何故かサイズがピッタリでちょっと怖い。
「さて、なんでドイツにいるかを説明しなきゃいけないね」
「出来れば飛行機に乗る前にしてほしかったけどな」
「あははは~まあ、それは置いといて」
「置いとくなっ!」
「置いといて!・・・・・・コホン。実はドイツ軍のIS配備特殊部隊にマオ・インダストリー社が開発した新型のISを持っていってテストを行うの」
真面目な表情で話しだすアリスに俺も姿勢を正して話を聞く。
「で、新型のISは二機、搬入予定なんだけど・・・・・・そのテストに私と秋くんがそれぞれ仮想敵として戦います」
「・・・・・・いや、それならなんでドイツまで来る必要があるんだ?普通にマオ・インダストリー社でやればいいじゃないか?」
実はマオ・インダストリー社の本社は意外にも日本にあるんだそうだ。さらに言えばIS学園の傍らしい。うん。そう思うとますますドイツまで来る理由が見つからないんですが?アリスさんや?
「それはね。さっきも言ったけど新型の開発にドイツ軍も関わってるから。きっと今ドイツが独自開発している第三世代型と比べるつもりじゃないかな?」
アリスの説明に一先ず納得する。まあそう言うことなら実際に性能を比べて確認したくなるわな。しかし、第三世代型の開発・量産には今世界中が躍起になってしているらしいけど・・・・・・そういえば俺の孤狼も第三世代型なのかな?今度聞いてみよう。
「それに君が行くのにも理由があるんだよ?」
「そうなのか?」
「知っていると思うけど三年前の事件。君たちの所在を教えてくれたのはドイツ軍なの」
すこし躊躇いがちにアリスは話を続ける。というかその事件の当事者だから知っている。あまり思い出したくないことでもあるが。
それは三年前のことだ。第二回IS世界大会『モンド・グロッソ』の決勝戦での出来事だった。その決勝戦当日に俺と一夏はそろって誘拐され、どこぞの部屋に監禁された。見張りにはISとマスクで顔を覆った兵士たちがいて、俺も一夏も抵抗できないように痛めつけられていた。そんな中どれくらいたったか分からないがISが兵士たちに命令し部屋から出て行ったあと入り口と思われる場所から轟音が聞こえ、そちらへと顔を向けると扉を切り裂いて姉貴が助けに来てくれた。だが、その誘拐事件が原因で姉貴は決勝戦を棄権。大会二連覇はならなかった。当時の俺は悔しさと情けなさで思いっきり泣いて叫んだ。姉貴が優勝できなかったのは俺たちが弱かったからだと。簡単に誘拐されたからだと。だから俺は力を求めた。力を手に入れ、姉貴の枷にならなければ姉貴がまた世界に羽ばたけると思ったから。しかし、それは叶うことはなかった。俺たちの監禁場所を独自の情報網で掴んでいたドイツ軍が情報を提供し、姉貴はその借りを返すためにドイツ軍に一年間教官としていくことになり、そのまま引退してしまったからだ。それを知って俺はさらに荒れた生活を送るようになったわけで……
「そういうことか・・・・・・」
つまり、俺が行くのは・・・・・・。
「そう、千冬さんが教えていた部隊だよ」
頷くアリス。俺は静かに車内の窓から流れゆく景色を見ていた。姉貴はどんな気持ちでドイツで教鞭を取っていたんだろう?そして何故一時的とはいえ行方を眩ましていたのか。もしかすると今回で少しは分かるかもしれないな。
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空港を出てから一時間ほど車で移動した場所にそれはあった。IS専用のアリーナがあり、それだけでIS関係だと分かる上にやけに軍服姿の人間が増えてきた。そして、厳重な警備の中、俺たちが乗った車はゲートの中へと入っていく。
車から降りると兵士の案内で施設内へと入って行く。そして通された部屋でアリスと揃ってソファーに腰掛ける。
しかし、緊張するな。さっきから女性の軍人には興味津々と言った目で見られるし(でも顔には出さないところが軍人らしい)男性の軍人にはやけに冷めた目だったり、期待に満ちた目で見られた(やっぱりこっちも顔には出さない)。
「あ。そうだ。今のうちに伝えておくね」
ここでも客寄せパンダみたいな目にあって若干気落ちしていた時。突然、手を叩いたアリスは俺の方を向くと右手を取り。
「孤狼に“後付武装”付けといたから」
「は?」
「まだ試作段階なんだけど社長が問題ないって言ってたからつけといた。後で確認しといてね?」
そういうことも事前に言っておこうぜ!!
そう文句を言いたかったが部屋に二人の女性と一人の男性が入ってきたため、俺は姿勢を正した。
「ようこそ。ドイツへ。私たちは君たちを歓迎するよ」
恰幅がよく見た目が怖そうな男性がそう言いながら差し出した手をアリス、俺と順番に握手する。握手を終えると男性は俺を見て頷く。
「ふむ。いい青年に育っているようだな。千冬の弟くんは」
「姉を知っているんですか!?」
驚く俺に男性は顎に手を当てながら。
「どうやら千冬はここでのことを一切君たちに話してないようだな。っとすまんな。自己紹介が遅れた。私はドイツ軍でIS配備特殊部隊の司令官をしているグレッグ・パストラルだ」
グレッグさんは笑みを浮かべながら姉貴がここに居たときの話をしてくれたのだが・・・・・・。
曰く、生徒とは肉体言語で話をしただの。IS相手に生身で勝ってみせただの。部隊内でお姉さまと言われていただの・・・・・・いや、この辺は分かるんだが、生身でISに勝ったってどんだけ人間やめてるんですか?うちの姉は?・・・・・・そういやこの間、ISの近接ブレードで素振りしてるところを見たって一夏が言ってたな。
「パストラル司令」
「む?すまんな・・・・・・二人とも自己紹介をしたまえ」
姉貴の意外な武勇伝(?)に思考を放棄しているとグレッグさんの後ろに立っていた女性のうち、銀髪で背が低い左目に眼帯をしている少女が声を出した。
「彼女たちは我が軍のIS配備特殊部隊『シュヴァルツェ・ハーゼ』の専用機の試験操縦士をしてもらっている」
「シュヴァルツェ・ハーゼ隊隊長。ラウラ・ボーデヴィッヒ少佐であります」
「同じく副隊長。クラリッサ・ハルフォーフ大尉です」
二人の女性が綺麗な敬礼をする。しかし、銀髪の少女の俺を見る目が気になる。あれは憎悪の目だ。
「初めまして。マオ・インダストリー所属、アリス・ブロウニングです」
「え、えっと。マオ・インダストリー所属、織斑秋です」
そして再び俺を見るボーデヴィッヒの目が憎悪に染まる。俺何かしたか?内心で思い返すがドイツに知り合いがいるわけはない。再びソファーに腰掛けるとアリスが鞄を開き書類をグレッグさんに手渡す。
「では、わが社の新型IS“ラーズアングリフ”ですが明日には搬入されます」
「そうか・・・・・・スペックデータを先に見せてもらったが完璧な後方支援機のようだが?」
グレッグさんの目が細まるがアリスは怯む様子もなく話を続ける。
「ラーズアングリフはバックパックの換装によって十分に前線でも活躍できる仕様です。しかし、現在のドイツ軍で開発・運用されている第三世代機との連携を考えた場合、今回の仕様にさせていただきました」
「ふむ・・・・・・なるほどかなり拡張領域があるな」
「はい。現在専用のアームドベースも開発しています」
「そちらは間に合わなかったのかね?」
「残念ながら・・・・・・一応、データを持ってきていますが」
アリスが差し出すディスクを受け取り、端末でデータを表示する。
「・・・・・・テスラドライブ搭載型か。それも新型とは・・・・・・」
グレッグさんが頷く。そういえばマオ・インダストリー社が開発した第三世代機に搭載されているテスラドライブは重力制御系物理理論を大幅に進歩させた物でその機構は未だブラックボックス扱いで技術提供はできないんだとか。まあ、ISは元々重力制御系は開発当初から組み込まれているのだがこのテスラドライブを搭載すれば理論上は単独で大気圏突破も出来るらしい。さらにはこのテスラドライブの応用でエネルギー出力を上げると防御用のフィールドが形成できたりとまだまだ開発を進める価値がある代物だとアリスが教えてくれた。残念なことに孤狼やファントムには使用されていないそうだが・・・・・・。
「はい。その関係で今回のテストを終えてから改めて開発を進めると社長が仰っていました」
それから暫らくアリスとグレッグさんの会話が三時間ほど続き。
「・・・・・・では搬入が終わり次第、起動。動作確認をして最初に日程通りに三日ほどかけてデータを取りたいと思います」
「分かった。それでは三日目には・・・・・・」
「はい。ボーデヴィッヒ少佐とハルフォーフ大尉と私たちとの模擬戦をお願いします」
「「!!!」」
アリスの言葉に俺とボーデヴィッヒが驚いた。
「模擬戦?!」
「うん。秋くんは孤狼で私がラーズアングリフの一号機を使うよ」
いきなりの話に戸惑うがどうやらこれは決定事項らしい。
「少佐。君にはシュヴァルツェア・レーゲンを大尉にはラーズアングリフ二号機を使用してもらう。いいな?」
「「了解!!」」
グレッグさんの言葉に敬礼で返す二人だが・・・・・・。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
俺とボーデヴィッヒの視線がぶつかる。するとボーデヴィッヒがこちらにゆっくりと近づいてきて右手が動くのが見えた。
パーンッ!
「織斑秋。私はお前をけして認めない。あの人の弟などとは。必ず・・・・・・お前を叩きのめす!」
平手打ちの後にそう宣言した。
「少佐!」
グレッグさんがボーデヴィッヒを注意する。アリスも驚きに目を開く。しかし、打たれた俺は静かに席を立ちあがりボーデヴィッヒを見据える。その瞳に宿る昏い光。それに似た物を見たことがあると思った時、カチリと頭の中で何かがはまった気がする。
ああ・・・・・・分かった。この目は過去の俺だ。力を手に入れれば世界は変わると信じていたあの頃の俺。鈴が居なかったら今も俺は間違えていたままこんな目で世界を見ていた筈だ。
「おもしれぇ・・・・・・お前の俺を見る目の訳が大体分かった」
「何?」
目を細めるボーデヴィッヒ。俺は気にせず続ける。こんな目をしている奴を放っておけるか。
「俺と孤狼を舐めるなよ?お前の想い、ぶつけて来い。俺はそれを全て受け入れてお前に勝つ!」
「ふん!勝負になると思っているのか?」
「やってみなきゃわからないさ。だが生憎と分の悪い賭けは嫌いじゃないんでね!」
一旦言葉を切り、顔の前で右拳を握り締めながら不敵に笑う。笑って見せる。
「たとえ誰が相手だろうと・・・・・・必ず撃ち貫く!覚悟しろ!」
「後悔させてやる・・・・・・完膚なきまでに叩き潰してな!」
こうして、ドイツ一日目は何故か啖呵を切るという展開で終わりを告げた。
もちろん、後でアリスから大目玉で怒られ、朝まで正座させられた。
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ドイツに来て二日目の朝。若干寝不足のまま、宿泊している軍関係の宿舎の食堂でアリスと一緒に朝食をとっていた。
「話には聞いていたけど、ホントよく食べるね~」
呆れるように朝食のパンを食べるアリス。
「そうか?これでも控えめにしてるんだけどな?」
そう最近は孤狼の加速で掛かるGのことを考えて食べる量を減らしている。一回、満腹状態で模擬戦をしたら悲惨な目にあった。
「それで控えめ・・・・・・」
引きつった笑みで俺から視線を逸らす。しかし、朝しっかり喰わないと力が出ないし、頭が動かないぞ?
そして十二個目のパンを手にとって食べ始める。ちなみに色々な種類のパンがあってどれも美味い。
「ドイツって肉ってイメージだけどライ麦パンがうめぇ!白パンもうまい!!」
食事を再開する俺を見てアリスは深いため息をついた。
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「けどさ・・・・・・ドイツの第三世代のスペックを見たけど」
ISスーツに着替えた俺はドイツ軍のIS部隊が使用する試験場に出るとストレッチを始める。
「見たんだ?どう?勝ち目ありそう?」
含むような声に俺はジト目で返す。
「ない!あのAICだっけ?あれ思いっきり孤狼と相性悪いじゃないか」
「そうだね~。しかも今の秋君と孤狼は基本直線移動だから簡単に軌道も読まれるだろうしね」
はははと笑いながら他人事のように・・・・・・って他人事だよな。
ちなみにAICとはアクティブ・イナーシャル・キャンセラーと言って慣性停止能力といって動く物体を停止させることが出来るそうだが、そんなもん試合で使われてみろ!動きを止められてからの砲撃なんて一方的じゃないか。
「とにかく一回AICを受けてみないことには何ともいえないんだよな」
対策を立てようにもまだ現物を見ていないので何ともいえない。しかし、孤狼とは相性が悪い。悪すぎて勝てる見込みがあるのかすら怪しい。何しろスクエア・クレイモアやリボルビングステークなんて普通に使えば絶対に止められる。瞬時加速で何とかできるかとも考えたが、あれも発動すると一直線にしか動けない。弱点とかないのか?じゃないと本当に一方的な展開で終わるぞ……
「まあまだ日にちはあるからゆっくり作戦練ってて。私はラーズアングリフの受け取りに行くから!」
満面の笑みで去っていくアリス。
「どうしろってんだ?」
一夏なら零落白夜で切り抜けられるんだろうけど・・・・・・。ひとまず孤狼を展開する。
《マスター。孤狼全システムオールグリーンです》
「ああ。なあアルト。AICに対して有効な攻撃手段は孤狼にあるのか?」
ふとアルトに尋ねてみる。戦闘のときでも助言をくれる便りになる相棒に質問してみたのだが・・・・・・
《AICですか?検索・・・・・・残念ながら孤狼の現武装では勝機は殆どありません》
「ほとんど?」
ということは無敵っぽいAICにも抜け道があるのか?
《はい。AICの発動にはいくつか条件があるようです。一つが発動対象に対して集中しないと使えない事。二つ目が使用者が想定していない事に対しては作用しないことです。例を挙げるならマスターがステークを使おうとしたのに対しAICを発動し動きを止めても追加装備として用意されたスプリットミサイルなどは止められず使うことができます。これは使用者がスプリットミサイルまで考慮に入れていない状態ですのでそこまで考えて使われている場合は別になりますが、もう一つはビーム兵器なども止められないようです》
アルトの発言に俺は驚きを隠せない。
「アルトさんや?なんでそんなに詳しく分かるの?」
《ドイツ軍のデータベースにハッキングしたので。ご安心を痕跡は残さないようにしましたから》
……待て待て!こんな短時間でそんなことしたのかい!?何、このAI?
ま、まあこれで少しは対策を立てられそうだ。
《それとマスター》
アルトの声に一旦思考をやめ、聞き返す。
「なんだ?アルト?」
《AIの私が言うのもおかしいですが・・・・・・相手は人間です。そしてAICを使うのも人間です》
「・・・・・・だから?」
《相手にAICを使われる前に撃破してしまえばOKです》
何か問題でも?と言いたげなアルトに思わず笑いそうになる。
「そういえば孤狼の加速は驚異的だったな」
《はい。試合開始と同時に瞬時加速を行えば視認すら難しいはずです。私たちの最大の武器は二つ》
「《スピードと火力》」
もしアルトに顔があればきっとニヤリと笑ったことだろう。現に俺も笑みを浮かべている。
「問題は・・・」
《相手も私たちのデータを持っているはずですので簡単にさせてくれるかどうかです》
「でもやるしかない」
《イエス。孤狼とマスター、私による》
「人機一体・・・・・・見せてやるか」
さて、そうと決まれば早速、特訓だ!
この間考えた俺と孤狼の必殺コンビネーションを!!
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「隊長。こちらにいましたか」
「クラリッサ。マオ社からのISはどうだ?」
ラウラは淡々と述べる。クラリッサも当たり前のように続ける。二人の会話はいつもこのような感じだった。故にラウラは隊の中ではかなり人間関係に問題がある。が本人は気にも止めない。必要がないとも感じている。
「はい。カタログスペックよりもかなり使いやすさを感じます。今日は軽い動作テストでしたがスラスターも我々のISよりも出力が高く、装甲も厚いようです。もし足を止めての撃ち合いになれば・・・・・・」
「問題ない。こちらにはAICがある。鉛球をいくら撃たれようとも全て止めてやる」
ラウラの答えにクラリッサは見えない位置にいることをいいことにため息をつく。
「(隊長はやはり“あの人”しか見えていないのだな)」
一年間だけだが、この隊を教導してくれた人物。
名を織斑千冬という。IS界では知らないものはいないと言われる無敗の女王。もし今でも現役ならばその記録は破られることはなかったはずだ。しかし現に彼女は現役を引退している。あの“強さ”に憧れないものはいない。それはクラリッサにも分かるのだが・・・・・・
「(隊長は分かっておられない。力と強さは同じではないという事を・・・・・・きっと教官も同じ事をいうだろうに)」
そして彼女は同時に今、この地にいる少年のことを思う。
「(彼が悪い訳ではないのだがな・・・・・・運がないな)」
ラウラは秋のことを憎く思っている。それは彼と双子の兄が彼女の強さに傷をつけたからだ。当時、失意のどん底に落ち廃人寸前まで追い込まれていたところを千冬に救われたラウラは千冬の強さに狂信的に魅かれていた。そのせいか彼女は強者であろうとする。残念なことに彼女を正せるものはいない。何故なら彼女は強くなってしまったから。
「(申し訳ないが・・・・・・再起不能になることも考えておいてくれ。織斑秋)」
ラウラの視線を追えばそこはアリーナのグラウンド。そこでは未だに孤狼を動かしている秋がいた。
同じ人物に憧れ、強さを欲し、力を求めたもの同士。故に二人はぶつかる。
片や自身の信念を貫く為に力を、強さを求めるもの。片や憧れた人物になろうと力を求めるもの。
二人の激突がもたらすものは・・・・・・今はまだ誰にも分からない。
マオ社の専用機だった為、止められることもなく飛行機へ乗せられた秋君でした。設定的に厳しいかと秋とラウラの戦いを考えています。ちょっと時間があいてしまったらすいません。
ドイツ編は色々ぶっこむ予定なのでよろしくお願いします。