IS~古の鋼鉄~   作:閃狼姫

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ドイツ編も佳境。

前回の因子に引き続き今回も謎が入ってますがちゃんと収束できる……筈。

だから石を投げないで!


STAGE09

いつものようにしっかりと食事を取った俺はアリスと共に用意されているハンガーにやってきた。そこには俺の孤狼と今日の模擬戦でアリスが使うラーズアングリフが置いてあった。

 

「なんか孤狼の姿が変わってない?」

 

ハンガーで鎮座している孤狼の姿が少し変わっていた。両肩のクレイモアユニットは一回り大きくなっており、左腕の三連マシンキャノンは五連チェーンガンになっている。脚部も外側にスラスターが追加されている。少なくとも昨日の孤狼とは完全に違う。

 

「それは孤狼の本来の姿なのよ」

 

後ろから声をかけられ振り返るとボード状の端末を小脇に抱えたインド系の特徴を持った女性が居た。

 

「ラーダさん!来ていたんですね!」

「ええ。アリスも変わらないようね」

 

アリスにラーダと呼ばれた女性は微笑を浮かべると俺の方を見て。

 

「初めまして。織斑秋君。私はマオ・インダストリーに所属しているスタッフでラーダ・バイラバンよ。よろしくね」

「どうも。よろしくお願いします」

 

差し出された手を握り挨拶を済ませるとラーダさんは説明を始める。

 

「今までの孤狼はリミッターをかけていた状態で出力も七十パーセントまで落としていたのよ」

「はい?」

 

なんでそんなことを?

 

俺の表情を見てクスクスと笑うラーダさんにアリスが補足説明をしてくれた。

 

「今まで何人も孤狼のテストをしてきたんだけどリミッターをかけない状態での機動実験で一分も持ってないの。それを見てラドム博士…孤狼を開発した人ね?が怒っちゃってね~「私の開発した孤狼に不備はありません。使いこなせないほうが悪いんですのよ!こうなったらその秋という少年には何としてでも使いこなしてもらいます」って……でリミッターを着けて慣らそうってことになったの」

 

マジか。ということはそのラドム博士がこんなバカげたISを作り上げた元凶か!

 

「アハハハ……でも本当にすごい人なんだよ?ゲシュペンストを作り上げた人でもあるし、ただちょっと偏屈なだけで……」

 

偏屈って……それにしても大事な模擬戦当日にリミッター解除って慣らしもできないまま戦闘かい。

 

「大丈夫よ。貴方なら使いこなせるわ。それとこれは新型のISスーツね」

「新型って……これ?」

 

渡されたISスーツは今までの水着のようなものと違い赤を基調とし肩当て、胸当て、背中にも何かの装置がある。さらに専用のグローブにブーツ。そしてヘルメット。いやほんとになんでこんなに重装備?……ん?待てよ?

 

そこまで考えて嫌な答えにたどり着いてしまった。

 

「あ、あのラーダさん?これを着ないでいつものISスーツで今の孤狼に乗ったらどうなるんですか?」

 

俺の質問にラーダさんだけでなくアリスでさえも表情を固まらせ、そろって明後日の方向を向いた。それで分かってしまった。

 

「……命が危ない!?」

 

俺はパイロットの事を考えない性能を持つものを平然と託すラドム博士に恐怖を抱いていた。

 

「と、とにかく着替えてきたら?」

「そうする」

 

用意されている更衣室に向かいスーツに着替える。そこで驚いたのはとにかく着替えやすい。今までのISスーツはぴったりしすぎていて着づらかったが今回のはゆったりしている。新型スーツはつなぎ服のようになっているので足を通し、袖を通す。そして胸部プロテクターを合わせるとカチッと音がした。その後、用意されていたブーツとグローブを履き、首元にあるスイッチを押すとプシュッと空気が抜ける音と共にゆったりだったスーツが体に密着する。最後にヘルメットをかぶると新型のISスーツに着替え終わる。

 

「まんまパイロットスーツじゃん」

 

鏡を見ながらそう思うが……思ったより悪くない。

 

「おお~!似合うね!」

「一応ノックぐらいしようか?!アリスさんや!」

 

更衣室のドアを開き、覗き込んできたアリスに一応突っ込む。どうせ無駄なんだろうけど……

 

「で?アリスのも新型なんだ?」

「うん!どう?似合う?」

 

そういって俺の前でくるっと回って見せるアリスの姿は簡単に言うと俺とそっくりだった。色は赤が基調ではあるがボディアーマーはない。その為、ボディラインは前と同じくしっかりと出ている。あと髪型も変わっていた。ツインテールをほどき後頭部で纏めている。

 

「ん。似合ってる、似合ってる」

「……なんか適当じゃない?」

「気のせいだ」

「本当に?」

「本当だ」

「まあいいや…」

 

どこか面白くなさそうにヘルメットをかぶったアリスと一緒にハンガーへ移動しそれぞれの機体へ乗り込む。

 

《おはようございます。マスター》

「ああ、アルト。今日もよろしく頼む」

《お任せください。今日の模擬戦では共に勝利を掴みましょう》

「もちろんだ……そうだ。アルト?渡された後付装備の中にアレがあったろ?アレをさ……」

 

ふと思いついたことをアルトに相談してみる。これは念のための保険程度の考えだったのだが。

 

《可能…ですね。ただしその場合、距離が開かないほうが良いかと》

「オッケー。くくく。あいつの驚く顔が目に浮かぶぜ」

 

これで手札が一枚増えた。そこへプライベートチャンネルで通信が入った。

 

『さて、秋君。準備はいい?』

「ああ。今、終わったぜ!」

『うん!いい返事!じゃあ行きましょうか!!』

「了解!」

 

アリスに答え、模擬戦が行われる演習場へと出るとそこには腕を組んだラウラと緑色にカラーリングされたもう一つのラーズアングリフが立っていた。

 

「ふん。来たな」

「ああ、来たぜ」

 

威風堂々と立つラウラ。昨日は完膚なきまでに叩き伏せられてしまったようだが、今日はそうはいかない。俺はステークを構える。

 

『いい?秋君。今日の主役はあくまでラーズアングリフだからね?』

「分かってるよ。ラウラとの戦いはそれからだ」

『模擬戦の時間は三十分。最初の十分間でラーズアングリフとの連携を見せるから残り時間はラウラちゃんとぶつかってきなよ』

「了解した」

 

向こうも位置に着き自然と空気がピリピリしていく。そして。

 

『これより新型ISの性能試験を兼ねた模擬戦を行います』

 

アナウンスが流れる。静かに腰を落とし最初の一撃の為に貯めを始める。

 

『試合開始』

 

ブザーがなるのと同時に俺は飛び出した。

 

「まずはお前を潰す!」

 

突撃した先はラーズアングリフ二号機。後方支援のその機体じゃ早くは動けまい!そう読んでの突撃だったが、二号機は足に装備されている無限駆動機構と背後のブースターを用いてなんとこちらに向けて突撃してきた。

 

「確かに恐ろしい速度を持ってはいるが……」

 

孤狼とガシッと組み合うと二号機はリミッターが解除されている孤狼に押されることなくむしろ押し返している。

 

「こっちがパワー負けしている?!」

「パワーではこちらも負けてはいない!」

 

二号機の操縦者…確かハルフォーフさんだったか?がさらに力を込めてくる。

 

「もう!突出されたら連携にならないじゃない!」

「っ!ならば!」

「くっ!」

 

バーストレールガンを撃ちながら向かってくるアリス。ハルフォーフさんはとっさに腕を引き、こちらのバランスを崩すとそのまま肩に接続されているシールドを使って体当たり、所謂シールドバッシュで俺を吹き飛ばす。そしてハルフォーフさんの元へ向かう弾丸は空中で停止していた。

 

「苦労しているな。未熟者がいると」

 

弾丸を止めたのはラウラ。あいつ、俺を見て鼻を鳴らしやがった。

 

「まったく。ラウラちゃんの言うとおりだよ」

 

アリスは一体どっちの味方なのか……。いや、今のは俺が不味かった。

 

「悪い」

「はいはい。反省は後だよ」

 

さて、どうすればいいのか……?

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

管制室で今の攻防を見ているのは基地司令官のグレッグと黒ウサギ部隊の面々。さらにラーダともう一人。

 

「孤狼のリミッターが解除されたのはいいがやはりアレに追いつけない機体だと連携は難しそうだな?」

「そうですね。アリスもファントムだったら合わせられるのですけどね」

 

スーツ姿の女性。マオ・インダストリー社、社長のハウ・マオだった。ラーダの言葉に頷くと。

 

「いや、それだけではない。ボーデヴィッヒも普段とは違い他者と合わせようとしている。相方がハルフォーフだからなんとか隙が生まれずにいるが……」

 

グレッグの言葉通り、モニターの中では一号機と二号機はすでに足を止め互いに撃ち合いを始めていた。その弾丸が飛び交う中を秋とラウラが互いに弾幕をかわしつつラーズアングリフへ一撃を与えようとすれば、それを止めようと動く。そういった攻防が行われていた。まだどちらも決定的な被弾に至ってはいない。二号機への攻撃を諦めたのか秋はラウラに向かう。秋はAICを使わせまいと距離を詰めるべく左腕の五連チェーンガンと右腕のステークをうまく使いながら仕掛ける。対するラウラはそれを腕に内蔵されている近接兵装であるプラズマ手刀を展開し捌きながらAICの発動を狙っている。この二人の攻防はわずかなミスで一気に傾くだろう。

 

そしてそのミスを犯したのは秋だった。勝負を焦ったのかクレイモアを使おうとしたその僅かな隙を突かれてAICを発動される。

 

『しまっ!?』

『貰った!』

 

レールカノンが秋を捉え、黒ウサギ隊の面々はラウラの勝ちを疑わなかった。

 

「これで終わりか?秋」

 

ハウが呟いたときだった。いきなりラウラが爆発した。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

AICに捕まり、レールカノンが俺をロックした警告音が鳴り響く。だが、俺は思わず笑みを浮かべる。仕込みはすでに終わってる。

 

「アルトやれ!」

《了解!》

 

アルトの返事と同時にラウラの足元が爆発した。それも一回ではなく複数回。

 

「な、何が!?」

 

驚き集中を解いてしまうラウラ。その瞬間を待っていた!

 

「ブースト!!」

 

貯めに貯めたエネルギーを爆発させ孤狼はリミッター解除後、初の最大加速を行う。左腕を伸ばしラウラを掴むとそのまま一気に駆ける。こんな状況ではAICを使う暇はないだろうと、俺はステークの撃鉄を上げる。

 

「この距離は俺の距離だ!」

 

容赦なくステークを叩き込みトリガーを引く。六発の轟音が演習場に響き、ラウラは六発分のステークの衝撃で吹き飛ばされ演習場の壁に叩き付けられる。その時には全推力を使って急旋回。体中から軋む音に筋肉の筋が切れるような音が聞こえたが無視。二号機を捉えると両肩のハッチを開く。その意図に気が付いたアリスは範囲外まで一気に離脱しつつFソリッドカノンを展開していた。

 

「クレイモア!もってけ!!」

 

搭載量が増え、さらに新型のチタン製ベアリング弾を積んだアヴァランチ・クレイモアをぶっ放した。広範囲にばら撒かれたベアリング弾をかわせないと判断した二号機は防御態勢で耐え抜く。だがベアリング弾を防ぐだけで手一杯なそこへ撃ちこまれた一号機のFソリッドカノンが直撃。二号機のシールドエネルギーを削りきり機能停止させた。逆噴射で急制動をかけ地面へと着地した俺は素早くステークの弾丸をスピードローダーで交換し終えたとことで軽く息を吐いた。

 

「俺たちの勝ちだ」

 

気づけば口の中いっぱいに血の味がするがそれも今は気にならない。策がうまく行ったことに俺は内心でガッツポーズをしていた。

 

「え、え~と……何をしたの?」

 

不思議そうに尋ねるアリスに俺は種明かしをした。

 

「俺とラウラが接近戦してただろ?あの時に後付装備で貰っていた特殊弾をばら撒いておいたんだよ。で、あいつにAICを発動させる隙をあえて作って見せて引っかかったところを……」

《私が遠隔操作で起爆しました》

 

AICはあくまで動きを停止させるものだからな。既にばら撒かれている物を遠隔操作で起爆するのは可能だと思ったわけだ。まあこれも賭けだったけどさ……。

 

「よくその前に誘爆しなかったね?」

「そこはメッチャ気をつけました!」

 

とにかくこれで俺たちの勝ちが決まったわけだ。個人的な感想でいえば物足りないが良しとしよう。そう思ってISを解除しようとした時だった。

 

「ああああああああっっ!!!!」

 

ラウラの叫び声が聞こえたのは。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

「ふん。やはり欠陥品は欠陥品だったな。まったくあの小娘を作るのにどのくらいの金がかかったと思っているんだ」

 

ドイツ軍側のピットで模擬戦を見ていたハンスは吐き捨てるようにいうと自身の側近の男に命じた。

 

「もうあの欠陥品はいらん。システムを起動させろ」

「はっ」

 

ハンスの命令に男は小型端末を取り出すとシステム起動コードを入力する。

 

「さあ、見せて見ろ。VTシステム!」

 

悪魔のシステムが産声を上げた。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ラウラは壁に寄りかかったまま起き上がれずにいた。既にシールドエネルギーはレッドゾーンに突入しておりこのまま戦闘を再開しても結果は見えている。

 

「(負けるのか……?私は……)」

 

AICを攻略しようと無駄な努力をしているあの男へ現実を分からせるために模擬戦を仕掛けた。結果は確かに自分が上だった。自分の方が強いのに何故今はこうして負けそうになっている?

 

“それはお前が弱いからだ”

 

その声が聞こえた時、ラウラは驚きに目を見開いた。顔を上げればそこには教官がいた。

 

“ラウラ。私がお前を強くしてやろう”

 

あの教官が自分のことを名前で呼んでくれた?そこにわずかな違和感を感じたが彼女はそれをすぐ思考の隅へと追いやった。そんなことはどうでもいい。教官がまた私を導いてくれる。

 

「私は強くなれますか?」

“もちろんだ。さあ、手を取れ”

「私は、貴方になれますか?」

“ああ。もちろんだ。お前は私になれる”

 

それだけ聞ければ十分だ。私は貴方についていきます。教官。

 

ラウラはもう考えるのを止めた。教官についていけば自分は確実に強くなれる。教官さえいれば他はいらない。

 

そして教官の手を取った。その瞬間、教官だったモノは形を崩しラウラ・ボーデヴィッヒを飲み込んでいった。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

ラウラの叫び声が収まるとラウラが居た箇所には黒いISが立っていた。黒い人型。その手足にISが装着されている。

 

「え~とアリスさん?アレ何?」

「あれは……?」

 

突然の出来事に呆然とする俺とアリス。いや、アリスは何かを知っているようだが……?

 

『二人ともハルフォーフ大尉を連れてすぐにピットへ戻れ!』

 

演習場に響く声。あれ?この声何処かで……?

 

「行くよ!秋君!」

「分かった!」

 

アリスの頷き、視線を外した瞬間。

 

《マスター!!》

「!!」

 

アルトの警告と同時に俺はステークをとっさに突き出していた。

 

ガキン!

 

金属同士がぶつかる音が響く。黒いISがいつの間にか近接ブレードを抜いて斬りかかっていたのだ。それをステークで防ぎそらす。

 

「…この刀!?」

 

黒いISが使っている刀。それには見覚えがあった。そうこの刀は……

 

「雪片…だと?」

 

俺の呟きを他所にそらされた刃をすぐに返し切り上げてくる。それをバックステップでかわし相手を観察する。

 

「よく見れば姉貴のISにそっくりじゃねーか」

「秋君?!」

「アリス!ハルフォーフさんを連れて早く行け!こいつの狙いは俺だ!」

「分かった。無理しちゃだめだよ?」

「了解」

 

アリスがそのまま二号機の元に向かいハルフォーフさんを抱えると一気に速度を上げてピットへ向かっていった。その間、目の前の黒いISはそちらに意識を向けなかった。

 

「(やっぱり此奴の狙いは俺か?)」

 

シールドエネルギーは後450、機体エネルギーはまだ半分残っている。普通ならまだ十分に戦える範囲だがアレが持っている雪片モドキ。もし零落白夜が使えたら一気に逆転される。

 

「まあいい。お前が何のつもりで姉貴モドキになっているのかは分からないが……相手が例え姉貴でも貫くだけだ!」

 

俺は覚悟を決めて一気に踏み込んだ。

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

 

秋と黒いISの壮絶な死闘が繰り広げられている中、管制室では大騒ぎになっていた。なぜならば世界条約で禁止されているシステム“VTシステム”が自国のISに詰まれていただけでなく、それが発動、暴走しているのだから。

 

「ハルフォーフ大尉!これはどういうことだ!!」

 

ハンス・ヴィーパーは管制室にやってくるとISスーツに身を包んだクラリッサ・ハルフォーフを怒鳴りつける。マオ社側のピットに戻ってきた彼女はアリスと一緒に待機していた兵に連れられて来られていた。

 

「何故、貴様たちの隊の隊長にVTシステムがつまれている?」

「は。中佐・・・・・・我々としましても隊長のISにアレが積まれているとは知らず・・・・・・」

「知らない?ふざけるな!!まったくこれだから欠陥品は困る」

「!?」

 

ハンスの言い方にクラリッサは怒りを覚える。しかし、軍の人間として上の人間に手を出すわけにはいかない。歯を食いしばり、ぎゅっと握り締める。

 

「グレッグ司令。これは貴方のミスですな!」

「・・・・・・・・・・・・」

 

手を組み、目を瞑るグレッグ・パラストルにハンスは詰め寄り、あからさまに大きな声で責任を追及する。

 

「我がドイツ軍のIS部隊の指揮官は貴方のはず。それなのにラウラ・ボーデヴィッヒ少佐のISに条約違反であるVTシステムが積まれていたことを知らないと言うのですかな?」

 

ハンスは嫌な笑みを浮かべながら管制室の中を見回し。

 

「聞いているか!諸君。グレッグ司令は軍を強化するためだけに貴重なISの操縦士を犠牲にするシステムをISに装備させていたのだ!これは立派な軍法会議ものだ!至急、拘束しろ!!」

 

ハンスの言葉に部屋に突入してきた兵士たちがグレッグに銃を向け、取り押さえようとした時だった。

 

「すまないが、ハンス・ヴィーパー中佐。貴方にVTシステム研究・開発及び使用の容疑でIS管理委員会から出頭命令がかけられている。ついでに強化人間の違法研究についても聞きたいことはたっぷりあるんだが?」

 

そこへ待ったをかけたのはハウだった。

 

「なんだと?!貴様、何の権限があって……!」

「それなら私たちが話そう」

 

新たに入ってきた人物たちに全員がそちらに注意が向いた。一人は紫色の髪を持った男性と緑がかった銀色の長髪に露出が多い緑色のスーツ。左肩に赤いタトゥーのような模様を持つ女性の二人だった。

 

「久し振りだな。ギリアム少佐、ラミア」

「ああ。久しぶりだな。ハウ」

「お久しぶりでございまする。ハウ社長」

 

ハウのあいさつに軽く返しギリアムはグレッグに端末を渡す。

 

「グレッグ司令。遅くなって申し訳ありませんでした。ですが証拠はしっかりそろっています」

「いや、こちらも証拠を掴むのに時間が掛かってしまったよ。入ってきたまえ」

 

ギリアムに苦笑しながらグレッグがそう言うと、若い男性が管制室に入ってくるとグレッグに数枚のデータディスクを手渡す。

 

「司令。ハンス・ヴィーパーの不正記録の数々です」

「ば、ばかな・・・・・・貴様!私を騙していたのか!!」

「貴方のような私利私欲しか考えない人間についていく人なんていませんよ」

 

メガネをひとさし指で直しながら言う男性。

 

「ぐぅぅぅ……やれ!あいつらは反逆者だ!」

 

顔を真っ赤にし叫ぶハンス。彼の子飼いの兵士たちの指が引き金を引こうとした時に動いたのは黒ウサギ隊の面々とギリアムのそばに控えていたラミアだった。一瞬で兵士たちを無力化し終えると。

 

「この手の相手はどの世界でもいるものだな」

「司令に手を出そうとは…それに隊長に対する暴言も許せん」

 

ラミアとクラリッサが銃をハンスに向け、それを見て顔が青くなるハンス。そして力を失い膝をつくハンスにグレッグが呼んだ兵士たちが取り囲み、手錠をかけ、そのまま連行していった。

 

「ふむ・・・・・・すまんな。嫌な役を押し付けてしまったな。ラージ君」

「いえ。ですがVTシステムの発動を止めることを出来ませんでした。僕が事前に外せていれば彼女は……」

「それなら問題はありませんよ」

「そうですね」

 

ハウとアリスの言葉に悔しそうにしていた二人は驚きに目を見開き、二人を見る。

 

「あそこにいるのは最強の剣“ブリュンヒルデ”の自慢の弟の一人。あいつが彼女を必ず救い出しますよ」

「はい。秋君は困っている人を見過ごすことが出来ませんしね」

 

モニターに映る秋を見て笑みを浮かべるハウとアリスだった。そんな二人を見ていたクラリッサもモニターへと視線を移し。

 

「隊長を頼む。織斑秋」

 

そう呟いた。そして後ろで見ていたギリアムとラミアは。

 

「ふ。アルトアイゼンに秋少年やアリスを見た時から思っていたが……」

「ええ。キョウスケ中尉やエクセ姉さまにどこか似ています」

「やはり懐かしいか?」

「はい。ですがこの世界に来たのも何か理由があっての事だと思いますので」

「ならば私たちにできることをしよう」

「はい」

 

そっと管制室を後にしたのだった。

 




はい。OGsからギリアムさんとラミアさんが登場です。この二人も因子によって呼びこまれた存在です。でもラミアさんのあの口調は大変。

さあ、意見、感想を受け入れる準備はできている!

お待ちしています!!
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