艦これ?ありませんよ   作:apride

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提督

「ムギャ! キャウゥ‥」

 

「はぁはぁ‥ 捕まえたっ!」

 

病室内で走り回る妖怪どもを追い回して約10分! とうとう1匹を捕まえることに成功した!

 

「捕獲大成功! さあ、俺を元の世界へ戻せ!」

 

「ハナシテー! 」

「オチツケー!」

「モチツケー!」

 

「捻り潰されたくなければ…あれっ? 」

 

握っていた手から消えて居なくなった。

 

「……ぐぬぬぅ」

 

何処から途もなく現れるのだ……そりゃ、消えることもできるわな! もう、むきになっても無駄だと悟った。

 

 

「スデニ ホンサクセンハハツドウシタ」

 

「なんだよ…作戦って?」

 

「ジンルイノテキヲタオセ」

 

「敵とはなんだ?」

 

「テキハ シンカイセイカン」

 

「シンカイセイカン‥? どんな字だ?」

 

「深海棲艦」

 

深海に棲む艦て意味か? あれ?あれれ?

 

「おい! それって『艦これ』じゃねーか!詳しく教えろ…」

 

 

深海棲艦とは詠んで字の如く、深海から攻めてくる異形の戦闘艦だと云う。様々な艦種が存在するが、その何れもが人間大程度のサイズらしい。

 

そのような敵なら海軍に任せておけば良いだろう?しかし‥ゲームと同じ敵だぜ?

 

「そんな奴等ならミサイルや艦砲どころか機関砲でバラバラに出来るんじゃないか?」

 

「ソレハムリ」

「ニンゲンノブキジャダメ」

「ソウイウセッテイナノダ」

 

なんだよ…設定て?

 

 

「遊んでたゲームと同じなんだが? そんなら艦娘も存在‥してたりする?」

 

「マダイナイ」

「モウスグウマレル」

「エロイコトカンガエルナヨ」

 

 

深海棲艦も艦娘もまだ存在していないんだとさ。

深海棲艦誕生を察知した軍艦妖精は対抗策として、前大戦で沈んだ軍艦の魂を呼び起こした。軍艦の魂は人の姿となり甦ることで再び戦いの海へ! …ところが、艦娘はそのままでは戦えないことが判明した。

 

その時ドアが開き…

 

屈強な男たちが乱入して拘束された!!

 

「手荒な真似はしたくない。大人しくついてきてもらえるかな?」

 

軍医殿……俺を何処へ?

 

 

 

 

『ガチャン』

ドアの外から施錠された。

 

室内を見渡すと、窓には鉄格子が……

洗面台と蓋の無い洋式便器が据付けられている……

パイプベッドには何やらキズが多数あり、拘束具でも使ってあったのではと…間違いない。手足を四隅から縛った傷跡だよこれ……

 

 

 

 

───────────────────

 

 

 

 

──────────────

 

 

 

 

────────

 

 

 

 

何日経ったか…

 

 

 

「少尉に御面会です! こちらです、どうぞ!」

 

いつもの衛生兵や看護婦ではなく、憲兵がやってきた。面会? 誰が来たのだろうか?

 

 

「思っていたより元気そうだな?」

 

 

「親父!?」

 

 

入ってきたのは…父だった!

 

軍服姿の将官‥襟には金地に金の桜花が1つの少将だろうか? 海自なら米軍と同じく准将なのだが、ここは帝国海軍が存続した世界なので恐らく少将で間違いないだろう。そんなことより、親父は家電メーカー勤務のサラリーマンだ‥いや、リストラされてリフォーム会社で営業マンだよ?

 

「何を驚いている? まさか俺を忘れたわけでもあるまい?」

 

「親父がここにいるってことは…母さんは?」

 

 

父はリストラされた後、自信を失い覇気の無い顔つきになっていった。1年程して家庭不和が重なり離婚…

 

 

「お前‥やはりまだ記憶が…。母さんは…」

 

この世界でも両親は離婚していた…。理由は語らなかったが、どうやら父に原因があるようだ。

 

海軍少将としての父を見る限り、あちらの世界とは違って威厳のある理想的な父親に感じるのだが…。まあ、理想的な父親が理想的な夫であるとは限らないからな?

 

「記憶に関しては‥多少の齟齬はあれど、日常生活に支障はない程度には回復しているよ。原隊復帰は無理としても…ここからは出れないか?」

 

親父が少将なら‥利用しない手はない!

 

「ふぅむ‥こうして話していると記憶が若干混乱してはいるようだが…我が愚息に違いはないな」

 

「愚息なのかよ!」

 

「ほう、確かに俺の息子だ! わかったわかった‥院長に俺から口添えしておく! 」

 

「助かったよ! 頼んだぜ親父殿!」

 

「任せておけ!これでも海軍少将だ!大船に乗ったつもりで寝ておれ!」

 

 

落胆しかけていたところに思いがけない強力な味方が現れた! まさかこっちの世界の親父が海軍少将とはな!

 

「こりゃ、明日にでも退院だな!」

 

寝て待つというのは流石に暇すぎる…な? テレビでも観てみるかと…今頃気づいたが、備付けのテレビがブラウン管だ! しかもチャンネルがダイヤル式のヤツだよ!

 

「建物が古いから備品もなのか? 昭和風味満開じゃん!」

 

電源オンにすると一呼吸おいて画面が映った。カラー映像なのだが…電波状態がよろしくない? ややノイズが‥あっ!アナログ放送だよこれ……

 

「しかも…内容が古くさっ!」

 

ちょうど夕方なので、番組がアニメなど低年齢層向けなのだが……

 

『飛雄太!このJリーグ養成ギプスをつけジュビロの星になれ!』

 

「……スポ根?」

―ガチャ―

 

『夕焼けーワンワン!』

 

「……秋⚫プロデュース?なんだよオワンコクラブって(笑)」

―ガチャ―

 

『緊急速報です! 東シナ海で頻発しております貨物船沈没事故調査中の巡視船が消息を絶ちました。消息を絶ったのは第10管区所属の……』

 

「巡視船が消息不明? 」

 

この世界では海上保安庁は存在せず、海軍の下部組織として沿岸警備隊がある。海難事故等はコーストガードの仕事なのだが…その船が消息を絶つというのはかなり不味い。

 

「まさか!?」

 

「ソノマサカカモ?」

 

「どうすんだよ?」

 

「カンムスマダイナイカラムリダヨ-!」

 

「どうしようもない?」

 

「ナノデス」

 

「あそ‥じゃ、夕焼けワンワンでも観るか! せーえーらー服を~盗まないで~♪ 今はダメよお返しになって~…あれ?なんで唄えるんだろ?」

 

 

 

―――――――――――――――――――――

 

 

 

 

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―――――――――

 

 

 

 

1週間が経ったが音沙汰無しだ‥

 

 

「海軍もお役所仕事だからな…なにかと手続きがあるんだろ? ‥多分」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「1ヶ月過ぎたぞ? 」

 

 

また緊急ニュースがテレビから流れてきた。最近多いから気に止めなくなってきた。それよりもだ! テレビからの情報で感じるのだが…。

 

この世界は技術進歩がかなり遅いのではないか?

 

当初は建物が古いから備品類も古いのだろうと思った。ところが! テレビ番組やコマーシャルを見る限り……目に映る・耳に聞こえるモノが昭和臭い!臭すぎるんだよ!

 

刑事ドラマなんかだと『太陽に萌えろ』や『東部警察』が人気なのだが、劇中に登場する自動車がレトロなんだわ! 東部警察は毎回派手にドンパチやって破壊しちゃうからかなぁ?‥なんて思ったりね…全部クラシックカーなわきゃねーよな?

CM見たらわかったよ‥ 『オッサン自動車』の最新モデルのフェラレディZなんて、まんま東部警察の大間団長のマシンZじゃん!

『比べることの無意味さを教えてほしい!オッサンフェラレディZ登場!今度の土日はお近くのショールームへ!』なぁんてテレビから流れてきた日にゃ、泣けたね… ガキの頃に親父が乗ってたイカした車が新車で手にはいるってさ。

 

長くなるから他は割愛するが、兎に角この世界は進歩が遅れてるようだ。昭和だね、昭和!

多分スマホは無い。それどころか携帯電話も存在していないと思う……

 

【艦これ】やれないなぁ・・・

 

 

 

 

『面会ですよ~』

 

「ふぇ? 面会? 」

 

すっかり呆けているところに突然ドアが開いた。

 

「元気かマイサン! 」

 

 

――久しぶりに親父がやってきた――

 

 

 

 

 

 

 

 

【 次話へ続く 】…予定

 

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

おまけ話

 

 

 

 

 

― 親父 side ―

 

 

 

病室を出た…

 

久しぶりに会った息子は思ったより元気そうでなによりである。が…記憶がかなりアレな状態だな。

だが、捨て置くことはできない!

栄えある海軍提督の息子が隔離病棟に入っていることがご近所に知れたら…

 

「よし、ここはひとつガツンとかまして… 」

 

院長を恫喝してでも息子は救いだしてみせよう。ところで院長室は? ちょうど看護婦がいるな?

 

「キミ! ちょっと尋ねる!」

 

「はい?」

 

声をかけられ振り向く看護婦さん… か‥可憐だ

 

 

 

「あの…今夜、私と食事に行かないか?」

 

「は? はい??」

「おお! ふたつ返事でオッケーとは!」

「いや、違いますから! なんですかいきなり!」

「実は困っておりましてな。最近オープンしたレストランから招待されたのだが、同伴する婦人がおらんのだ‥」

おもわず口から出任せだが…

 

「最近オープン… それもしかして!? 元SMOPの稲本六郎のお店ですかっ?」

 

「そう、そのスナックの稲本くんだよ」

「是非!ご一緒致します!…あ、でも準夜だから行けないし‥」

「準夜だと? 早退しなさい! 私が院長に話をつけてあげよう!ささ、善は急げだ!」

 

 

 

 

「夢みたい!超高級イタリアンなんて! あ、提督!あのテーブルの人って女優の…」

「ハハハハ、あまりキョロキョロしちゃいかんよ。お、ちょうど稲本くんがいるぞ! キミ!稲本くんを呼んでくれたまえ」

『は?‥少々お待ちください』

 

 

「オーナーの稲本です。本日は御越しいただき有難う御座います(‥誰だよ?軍の偉いさんだろうから大人の対応しとくか)」

 

「お知り合いなんですか? 素敵です提督!」

「いやいや‥自慢することではないよ とても良いお店だね稲本くん 」

「お褒めに与り恐縮です提督(なんか知らんが大人の対応‥大人の‥)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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