「はい、確かに返却を確認しました。引き続きの貸し出しは……可能ですね。“3年F組・金鯱先生”の方だけで宜しいですか?」
「はい、お願いします」
杜宮高校図書室の司書、コマチさんに借りていた本を2冊とも手渡した。その際、貸出の延長が可能かどうか聞いてみると、両方可能だったらしい。とはいえ“世界のグローバル企業”は読了済みだから再度借りる必要もないが。
となると、まだ他にも本が借りられるな。せっかくだし、見繕って行こうか。
しかし、何を借りようか。お勧めコーナーを利用しようとしたが、あまりピンとくるものはなかった。
そういえば以前、自分のペルソナを調べたことがあったな。良い機会だし、仲間のペルソナについても調べてみようか。
今回調べるのは……比較的有名で出典も知っている、ラーでいいか。
時坂 洸のペルソナで、ハヤブサのような姿をしているラーは、エジプト神話の中に出てくる神の1体だ。探せば解読してくれる本くらい見つかるだろう。
……あった、これだな。“エジプト神話の偉大なる神”。ぱらぱらと目を通せば、ラーに関する章が存在している。
さっそく貸し出し手続きをしよう。
「はい、確かに承りました。返却期日は先程のものも合わせて、“6月19日火曜日”となります」
今度こそ期日までにすべて読了したい。
きちんと計画立てて行こう。
────>【杜宮駅】駅前広場。
帰り道、駅前広場の前を通り過ぎようとした時、ふと、見覚えのある青い扉の前に、これまた見覚えのある銀髪の女性を見つけた。
せっかくだし、挨拶をしていこう。
「こんにちは」
「こんにちは、そしてお待ちしておりました。危うく首が物理的に伸びるところだったとだけ伝えておきます」
「待っていた?」
「ええ、詳しい話は中で致しましょう」
ベルベットルームへと繋がる扉を開く。
どうした、早く入れよ。といった目を向けられた。
……大人しく言う通りにしよう。
────>【ベルベットルーム】。
「ふう、やはり立って待っているというのは疲れますね。次からはなるべく早く来てほしいものです」
待たれているとは知らなかったから、というのは通じ無さそうだった。
これからは通りかかる時に、用事がありそうか小まめに様子を伺うことにしよう。
「さて、本日呼び止めさせていただいたのは、少々お願い事がありまして」
「お願いごと、ですか」
「ええ、一言で表すなら、指定したスキルを持ったペルソナを準備して頂きたいのです」
「ペルソナを?」
どういうことだろうか。
「ええ、成長の一端を見せてもらいたくてね」
「そのくらいなら構わないが」
「では、期待させていただきますね。最初のお題は──」
指定されたペルソナを合成出来たら、確認してもらおう。
課題を通じて、アメーリアとのコミュニケーションが取れるようになる気がする。
────
我は汝……汝は我……
汝、新たなる縁を紡ぎたり……
縁とは即ち、
停滞を許さぬ、前進の意思なり。
我、“塔” のペルソナの誕生に、
更なる力の祝福を得たり……
────
……それにしても、指定のスキルを持ったペルソナというが、どうやったら確実に狙ったスキルを継承できるのか。
まあ、暫くは試行錯誤してみよう。
──夜──
さて、今日はバイトをしようか。
夜のバイトは今のところゲームセンターか杜宮総合病院の2つが候補になる。他にもあるだろうが、探す時間はもったいないな。
前は病院の清掃をしたし、今日はゲームセンターに行こう。
────>ゲームセンター【オアシス】。
今日のアルバイトは筐体間の巡回と清掃、灰皿の回収が主業務。その最中にお客様の都合処理などをこなしていく必要がある。
ゲームセンター特有の喧騒と匂いにはまだ慣れないが、頑張ろう。
「……」
特に何事もなく終わった。
少しだけ度胸が身に着いた気がする。
「……?」
あれ、なんか今、見覚えのある人が居た気がする。
見渡してみるが、分からない。
気のせいだったのだろうか……?
……今日はもう帰ろう。
コミュ・塔“アメーリア”のレベルが上がった。
塔のペルソナを産み出す際、ボーナスがつくようになった。
────
度胸 +2。
>度胸が“ふつう”から“怖い者なし”にランクアップした。
────
めっさ短いですね。
一応、コミュの話は1話に2つ出さないことにしているので、その関係で特にインターバルはこういう文字数の話が多くなるかもです。
あと、ベルベットルームコミュは話の都合上、飛び飛びになりますのでご了承ください。