IS VS Build   作:シュイム

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という訳で原作突入です。
大変長らくお待たせしました。
あと突然ですが作者の力不足であまりに文章が長くなってしまったので前編、後編と分けさせていただきます。
後編も出来る限り早く投稿するので!
あと今でも活動報告でアンケートは募集してるので気楽にご参加ください。

では原作開始! どうぞ!


第二章 原作開始編
第8話 さあ、ハイスクールライフを始めようか 前編


「全員揃ってますねー。 それじゃあSHRはじめますよー」

山田先生がおっとりとした声で挨拶、自己紹介をしている。

背の低さ、合ってないサイズの服やメガネに幼げな顔立ち。

前世から知っていたが山田先生は本当に子どもっぽい。

こないだ会った時もそれを再確認させられた。

 

...ていうか周りからの視線が凄い、めっちゃ見られてる。

学園で2人しか居ない男子に全員興味津々で先ほどの山田先生の

「1年間よろしく」という挨拶に誰も反応を示さなかった。

涙目になり少しかわいそうだったが俺ももう1人の男子同様反応できる余裕などなかった。

 

右斜めの方向を見るとその男子、織斑一夏が居た。

ここからでは顔は分からないがきっと今頃緊張で顔がエラいことになってるのだろう。俯いて顔を上げな...あ、窓の方向いた。

その視線の先には一夏の幼馴染でありヒロインの一人、束姉さんの実の妹の篠ノ之箒が居た。

助けを求めているのだろう。良い判断だ。だが無意味だ。

 

「....くん。 織斑一夏くんっ」

 

「は、はいっ!?」

 

いきなり大声で呼ばれたことに驚いたのか素っ頓狂な声を上げ、周りからくすくすと笑い声が聞こえてくる。

 

「あっ、 あの、 お、大声出しちゃってごめんなさい。

お、怒ってる? 怒ってるかな? ゴメンね、ゴメンね!

でもね、あのね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。

だからね、 ご、ゴメンね? 自己紹介してくれるかな? だ、ダメかな?」

 

山田先生が頭をペコペコ下げながら一夏に謝っている。

そんな謝らんくてもいいと思うんだが。一夏も同感なのか焦ってやんわり止める。

 

「いや、あの、そんなに謝らなくても... っていうか自己紹介しますから、先生落ち着いてください」

 

「ほ、本当?本当ですか?本当ですね?や、約束ですよ。 絶対ですよ!」

 

その光景にまたもや注目を浴びる2人。

まあ、話聞いてなかった一夏の自業自得だわな。

 

そしてこちらを振り返り、強ばった顔で自己紹介する。

 

「えー...えっと、織斑一夏です。 よろしくお願いします」

 

一言そう言い切り、頭を下げた。

しかし、周りは納得しておらず

 

『もっと喋って!』 『それだけ?』

 

とでも言いたげな雰囲気だった。

一夏は間を置き、深呼吸。 大きく口を開き...!

 

「以上です」

 

その直後椅子からこける音が各所から聞こえてくる。

ほら見ろお前。期待してたのに皆思わずコントみたいなリアクションになっちゃったじゃねーか。山田先生なんかさっきより明らかに涙目になってるし。

 

パァンッ!

 

「いっーーー!」

 

直後にとても気持ちのいい音が響いた。

音の発生源は黒のスーツを着て出席簿を持ち、鋭い目をした女性。

彼女こそ言わずと知れた一夏の実の姉、織斑千冬先生その人だった。

 

「げえっ、関羽!?」

 

パァンッ!

 

二回目だ。バカかあいつは。

何故わざわざ火に油注ぐこと言う?

 

「誰が三国志の英雄か、馬鹿者。」

 

そうだな、関羽は言いすぎだ。

せめて、虎姉さんことタイガーアンデッドと...

やべ、睨まれた。 なんで分かんだこの人。

 

「あ、織斑先生。 もう会議は終わられたんですか?」

 

「はぁ、全くどいつもこいつも...。 あ。ああ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけて済まなかったな。」

 

「い、いえっ。 副担任ですから、これくらいはしないと...」

 

そう言って山田先生ははにかみながら熱っぽい声で織斑先生と話していた。

彼女も偉大な先輩、織斑先生のファンなのだ。

 

「諸君、私が織斑千冬だ。 君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ。 私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。 出来ない者には出来るまで指導してやる。 私の仕事は弱冠十五才を十六才までに鍛え抜くことだ。 逆らってもいいが、私の言うことは聞け。 いいな」

 

とんでもない暴力発言。

とても教師とは思えぬその言葉や風格に水城史朗を思い出した。

 

すると教室からh

 

「キャーーー! 千冬様、本物の千冬様よ!」

 

「ずっとファンでした!」

 

「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです! 沢芽市から!」

 

ビートライダーズ達は元気かい?

 

「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!」

 

「私、お姉様のためなら死ねます!」

 

...とまあこんな感じで黄色い声援が上がったが、織斑先生はかなり鬱陶しそうな表情をする。

 

「...毎年よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。 感心させられる。 それとも何か? 私のクラスにだけ馬鹿者を集中させてるのか?」

 

この言葉に少しは静かになると思いきや

 

「きゃあああああっ! お姉様! もっと叱って! 罵って!」

 

「でも時には優しくして!」

 

「そしてつけあがらないように躾をして〜!」

 

最早ここまで来ると信仰的な何かを感じる。

織斑先生は遂に声援を無視。 一夏に向き直り、

 

「で? 挨拶もまともに出来んのか、お前は」

 

「いや、千冬姉、俺はーー」

 

パァンッ! 本日、SHRだけで三回目。

この調子だと叩かれすぎて卒業する頃には頭が真っ平らになるんじゃないのか?

 

「織斑先生と呼べ」

 

「...はい、織斑先生」

 

さすがにこれ以上頭を叩かれたくないのか理解して従う一夏。

まあそりゃあ実の姉とはいえ反抗出来ないか。

 

「え...? 織斑くんって、あの千冬様の弟...?」

 

「それじゃあ、世界で唯一男で『IS』を使えるって言うのも、それが関係して...」

 

「ああっ、いいなぁっ。 代わってほしいなぁっ。」

 

いや、代わってほしいか? あれ。

 

「静かに、まだ自己紹介は終わってないぞ。 桐生、挨拶をしろ。 そして織斑、お前は席につけ。」

 

そんでいきなり俺かよ!

まだ間すげえ空いてるし一夏はあれでいいのかよ!

さっき一夏にそれだけ? とか言ってたけどいざ俺の番になると何言やいいのか分からん...。 ここは無難に...!

 

「どうした? 早くしろ」

 

ええい、ままよ!

 

「えっと、桐生 建兎です。 好きな食べ物は餃子、趣味は料理と体を動かすこと。 スポーツは中学ではボクシングをやっていて、得意科目は理科です。 これからよろしくお願いします。」

 

ふうっ何とか言い切った。

内容としては普通過ぎるがまあ一夏に比べればマシだろう。

 

「料理得意なんだー! 家庭的〜」

 

「ボクシングですって! ああ見えてハードなスポーツしてたのね!」

 

「私、物理とか苦手なんだよねー、教えてもらおっかな〜」

 

良し! 周りの印象もいい! シンプル・イズ・ベストとはまさにこのこと。

織斑先生もこれで満足したようだ。

 

「分かったか織斑、自己紹介とはああやるのだ。 また後でやり直せ」

 

「...はい。」

 

するとタイミングよくチャイムが鳴る。

 

「さあ、SHRは終わりだ。 諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。 その後実習だが、基本動作は半月で体に染み込ませろ。 いいか、いいなら返事をしろ。 よくなくても返事をしろ、 私の言葉には返事をしろ」

 

鬼か。

これはもう関東の鬼で言えば朱鬼だな。

こんな鬼だったなら戦国時代に村の人々に恐れられても仕方ないだろう。

 

パァンッ!

 

「ウェイ!?」

 

そんなこと考えてたら直後、織斑先生の出席簿が火を吹いた。

鋭い目付きでこちらを睨む。

 

「な、なんで... 」

 

「お前今失礼なことを考えたろう、次はないと思え」

 

だからなんで分かるんだよ!

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

一時間目が終わり、休み時間になったがこれは休めない。

教室内からだった視線に教室外からの視線もプラスされたのだ。

隣のクラスや別の学年の生徒がわざわざこんな所まで来ているのである。

...これはもう動物園の動物状態だ。

 

「なぁ、少しいい?」

 

「ん?」

 

唐突に呼ばれ振り向くと一夏であった。

恐らく男子同士で仲良くしようとか気さくな奴のお約束だろう。

すると手を差し伸べられる。

 

「俺、織斑一夏って言うんだ。 よろしく桐生...だっけ?」

 

「ああ、合ってる。 よろしくな織斑。」

 

「一夏でいいよ、俺も建兎って呼ばせてもらうからさ!」

 

「...そうか、まあ自由に呼んでくれ。」

 

差し伸べられた手を握り返し、周りの女子がきゃあきゃあ喚く中、俺は複雑な心情だった。

原作や二次創作でも知っては居たがこいつやっぱり馴れ馴れしすぎる。

大方2人しか居ない男子、緊張してるのは同じだろうから俺も力になろうとか思ってるんだろうが...

俺は気にしないからまだいいがそういうのを気にする奴だっていくらでも居るぞ?

その辺のこと、いつかちゃんと言っておくべきだな。

 

「...ちょっといいか」

 

「え?」 「ん?」

 

不意に話しかけられて変な声出したけど大体分かる、箒だろう。

 

「...箒?」

 

「........」

 

あの、そんな顔してたら怒ってるか嫌われてると思われて当然ですよ?

箒は一夏を好いてはいるがいささかそういうことに不器用な為、こうなってしまうのだ。

よし、少しほぐしてやろう。

 

「なんだ一夏、お前も隅に置けないな。 こんな可愛い子侍らしてるなんて。」

 

すると途端に箒の顔が赤くなる

 

「な、なななな! 何を言ってるのだお前は!」

 

「そうだぞ、ああ 紹介まだだったな。 こいつは篠ノ之箒。 小学生からの幼馴染なんだ。」

 

すると途端に箒の顔つきが鋭くなる

このバカは...。 本当に気づかないとはな。 箒が不憫すぎる。

 

「...廊下でいいか」

 

「え? で、でも。」

 

無理に連れていこうとする箒に、一夏が俺の方をチラチラと見てくる。

俺に気をつかってるのだろう。 その気遣いを目の前の子にしてあげろ。

 

「俺のことは気にしないでいいよ、久しぶりなんでしょ? 積もる話もあるだろうし。」

 

「...すまないな。 では私達はこれで」

 

「あ、おい! 箒! 悪いな建兎、 また後で!」

 

そう言われて連れ去られていった。

...それにしても数年前助けた奴があんなふうになったとはな。

きっとあいつもあんなんだが千冬さんのいない間1人で頑張ったのだろう。

なんかこう、来るものがあるな。

 

「ねぇねぇ〜」

 

「うん?」

 

今度はゆったりとした、いやのほほんとした声が聞こえてきた。

彼女もまた俺がビルドとなって救った人物の一人、のほほんさんこと、布仏本音である。

 

「えっと、布仏さん。どうしたの?」

 

「おお〜、覚えてくれたんだ〜! 嬉しい〜」

 

「うわっ、ちょっ!」

 

するといきなり抱きついてきた。

周りの女子もまた「ああっ!」と言った声を上げる。

先程から話しかけたいなら話しかければいいのに...。

それにしてもさすがに長い。

抱きついてその上胸に顔をうずめてるからなおのこと恥ずかしいしそろそろ離れてもらおう。

 

「あのー、布仏さん? 離してもらっていいかな?」

 

「...ハッ! ご、ゴメンね!」

 

「いや大丈夫だけど... どうしたの? 長いことそのままだったけど」

 

「うーんとねー、なんか懐かしい〜って感じがしたの。」

 

「...え?」

 

「昔もしてもらったような〜。でもきりりんとは初対面だし〜。」

 

マジでびっくりした。それこそきりりん(なんだそのあだ名は)というニックネームが気にならないほど。

まさかあののほほんとしててのほほんさんとまで呼ばれる本音にまで勘づかれるなんて!

この世界マジ鈍いやつは一夏だけなんじゃないか!?

 

「むー、なんか失礼なこと考えてる?」

 

「イ、イエ。ナニモ!」

 

「そう〜? それならいいけど〜」

 

やっぱり鋭い!! 要注意人物だ!!

俺が内心で汗をかきながら本音と接していると

コツコツと近づく音が聞こえてきた。

 

「ちょっと、よろしくて?」




また長くなってしまった。
色々詰め込もうとする作者の悪い癖です。
こんな調子でビルドの再登場はいつになることやら...
作者のことは嫌いになってもこのssやビルド本編は嫌いにならないでください。
では、また後編まで!

Next→第9話 さあ、ハイスクールライフを始めようか 後編

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