IS VS Build   作:シュイム

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オリジナルのフルボトル、フォームのご意見について、活動報告でコメントできない方はメッセージで送っていただいても構いません。(しつこい)
そしてようやく原作二人目のヒロインが出てきます!
彼女のキャラは嫌いじゃありません。

それでは後編どうぞ!


第9話 さあ、ハイスクールライフを始めようか 後編

「ちょっと、よろしくて?」

 

俺が本音と話していると、横からメズー... もといイギリスの代表候補生、セシリア・オルコットが声をかけてきた。

すらっとした姿勢、ドリルを巻いた長い金髪に青いカチューシャが良く似合う。

見た目は良かった。 そう、見た目()な。

「はい?」 「なに〜?」

 

「まあ、なんですのそのお返事! わたくしに話しかけられるだけでも光栄だというのに! ノブレスオブリージュ、あなた方はそれ相応の反応をすべきではなくて?」

 

これである...。

この頃のセシリアは女尊男卑に染まっており男を見下し、日本人にも失礼な態度をとっていた。

ノブレスオブリージュの意味を高虎兄さんに聞いてきた方がいいな。

 

「んー、何か用だったかな? セシリア・オルコットさん。」

 

「あら、あなたは男にしては教養があるようですわね。 そう! わたくしはイギリスの代表候補生であり、学年首席のセシリア・オルコットですわ!」

 

ドヤると同時に腰に手を当てポーズをとる。

本音は「おぉ〜」と拍手していた。

 

「で、要件は...」

 

「ええ、 男子のIS操縦者としてはまだ拙いところもあるでしょう。どこか分からない点があればわたくしが教えてさしあげてもよくってよ?」

 

「ん、分かった。 もし何かあったら頼らせてもらうよ」

 

「分かりましたわ。では。 」

 

そう言って颯爽と去っていった。

チャイムが鳴り、本音も自分の席に戻る。

はあ、めんどくさかった。

俺のIS適正値は確かCだったかな?

セシリアの言う通り、俺は束姉さんの時と学校の時の2回しかまだISに触れていない。そのため俺は知識はともかく技能に置いては新米のペーペーである。これから何とかしていくしかないな。

遅れた一夏と箒は織斑先生による出席簿の一撃を喰らっていた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「...ということです。 ここまでで何か質問ある人はいますか?」

今は二時間目、山田先生によるISの簡単な理論についての授業中である。

頭を良くしてもらい、束姉さん(ISの生みの親)から直々に教えて貰った俺としては今更確認するまでもない内容だが山田先生の教え方はとても上手い。

見た目がどうこう言ってしまったが撤回しよう、彼女はとても先生らしい。

 

ふと一夏の方に目がいく。

机の上に教科書を何冊も置き、頭から煙が出てるような錯覚が見える。

 

「織斑君、どこか分からない所があったら遠慮なく聞いてくださいね?

何たって私は先生ですから!」

 

山田先生はそう言ってドン!と胸を張る。

...うん、やっぱり彼女は子どもっぽくはなかった。物凄くそう思う。

すると一夏は渡りに船と勢いよく

 

「ほとんど全部分かりません!」

 

分からない所を遠慮なく聞くが、

その拍子にまた周りの女子は椅子からコケることになる。

そんでまた山田先生涙目になる

 

「えっと、他に織斑君以外で分からないっていう人は...?」

 

シーン...。

まあそりゃそうだ。こんなの初歩の初歩だし狭き門であるIS学園に受かった彼女達からしたら分からない方がおかしい。

すると隅にいた織斑先生が立ち上がった。

 

「織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

「えっとあの分厚いのですか?それなら古い電話帳と間違って捨てました。」

 

パァンッ!

PERFECT! 会心の一発ゥ!

 

「必読と書いてあったろうが馬鹿者。 まったく...。 桐生、お前はどうだ? まさかこいつ同様分からんなどとは言わんだろうな?」

 

うわっ、こっちに飛び火が来た! いや、そいつと一緒にしないでくださいよ! てかそんなに睨まないで!

 

「いや大丈夫ですね。 参考書も読みましたし山田先生の教え方も分かりやすくて助かります。」

 

あー怖かった。俺関係ないのに。

でもまあ山田先生が笑顔になったので良しとするか

一夏は驚愕していたがスルーしよう。

 

「ふん、ならばいい。 織斑、あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ。 いいな」

 

「い、いや、あの量を一週間以内では...」

 

「返事は はい か Yes だ。」

 

「それどっちも肯定じゃ!...はい。やります。」

 

睨みつけて無理やり言うこと聞かせる。

やってる事は不良のそれと変わらないな。

 

「ISはその機動性、攻撃力、制圧力と過去の兵器を遥かに凌ぐ。 そういった『兵器』を深く知らずに扱えば必ず事故が起こる。 そうしないための基礎知識と訓練だ。 理解が出来なくても覚えろ。 そして守れ。 規則とはそういうものだ。」

 

うん、正論だ。 正論...なんだけどな、千冬さんがそれ言っちゃうか...。

束姉さんはISをそんな目的で作ったわけでもなければそんな風に扱われることを良しと思ってるわけでもないんだが

それを聞いて俺はなんとも言えない気持ちになる

 

「....貴様ら、『自分は望んでここにいるわけではない』と思っているな?」

 

一夏はビクッと反応する。図星のようだ

俺はそういう訳では無いが勘違いされたようで

 

「望む望まないに関わらず、人は集団の中で生きなくてはならない。 それすら放棄するなら、まず人であることを辞めることだな。」

 

織斑先生による二重の正論によりクラスの皆は押し黙る。

 

「それと桐生、この馬鹿者に勉強を教えてやれ。 同じ男同士都合がいいだろう。」

 

「分かりました。」

 

織斑先生の一言で再び授業を再開する... かと思いきや山田先生が教壇でコケた。 周りの女子もクスクス笑い出す。

がんばれ、山田先生。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

休み時間になり、俺はトイレへ行こうと廊下に出る。

当然廊下には多くの女子生徒が居たが、俺が通ろうとすると道を開ける。

大富豪の帰宅か。

 

用を足して、曲がり角に差し掛かる所で1人の生徒とぶつかった。

 

「きゃっ!」

 

「うわっ! ご、ごめん。よそ見してた。」

 

「う、ううん。 私も走ってたから... ごめんなさい。」

 

顔を上げるとその生徒には見覚えがあった。

より鮮やかになった水色の髪、少し伸びた背、メガネを掛けてるのは相変わらずだった。 何年ぶりであろう。更識簪であった。

と、手元にあったプリントが零れる。

しかし、何故か彼女はプリントには反応せず、こちらを見ている。

仕方ないので拾ってやるか。

 

「はい、これ。」

 

「え? あ、ごめんなさい! ありがとう...」

 

落としてたことに気づくと顔を少し赤らめる。

あの頃と比べても可愛くなったなぁ...

 

「あなたが、『2人目』の桐生建兎...? 」

 

「うん、君は更識簪さん、だよね?」

 

「私のこと、知ってたんだ...。」

 

「そりゃあ、日本の代表候補生だからね。 これでもチェックはしてるんだ」

 

「...そう。」

 

あ、やべ。嫌なこと思い出させた。

彼女は日本の代表候補生で専用機持ちなのだが()()()()()()

彼女の専用機開発に携わっていた倉持技研が突如現れた男子IS操縦者、織斑一夏の専用機開発に鞍替え。彼女の専用機開発は無期限凍結となってしまったのだ。

他にも優秀な(更識楯無)の存在によって自分はダメな奴だと思い込んでしまっているため、とても控えめになってしまっているのだ。

 

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

 

! チャイムが鳴ってしまった。

早く戻らなければ織斑先生の終焉の一撃(出席簿アタック)を喰らってしまう!

 

「ごめん、話しこんじゃって。 そろそろ戻らないと。」

 

「うん、さっきはありがとう。」

 

「いいよそんなこと。」

 

「ううん...、でもなんか不思議なの...。 あなたとは初めてあった気がしなくて。 私いつもはあまり初対面の人と話せないのに...。」

 

「そ、そうなんだ。 じゃあ俺はここで!」

 

まさかの簪の発言に俺は無理やり話を終わらせ自分の教室に逃げる。

なんでどいつもこいつもこんな鋭いのさー!

 

席につき、一夏の席の方を見ると

 

「えーと、落ち着けよ。な?千冬姉も来たs」

「これが落ち着いていられーー」

 

パァンッ!

 

「席につけ。オルコット、授業の邪魔だ」

 

「〜〜〜! またあとで来ますわ! 逃げないことね! よくって!?」

 

なんてことやってた。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

3時間目。

1、2時間目と同じようにISについての授業かと思いきや、クラス代表を決めることに。

 

「クラス代表者は簡単に言えばクラス長だ。クラス間の対抗戦に生徒会の開く会議や委員会の出席。クラス対抗戦は入学時点での各クラスの実力推移を測るものであくまで向上心を上げるために行われる。ちなみに一度決まれば一年間変更はない。」

 

やっぱり面倒臭い仕事だよな。クラス長って。

クラスに一人か二人やりたがる人はいるが俺は断然やりたくない人だ。

 

「はいっ。織斑くんを推薦します!」

 

「私もそれがいいと思いますー」

 

「私は桐生くん!」

 

「きりりんもおりむーも がんばれ〜」

 

「ふむ、織斑に桐生か。他にはいないか? 自薦他薦は問わんぞ。」

 

「お、俺!?」

 

...でもまあそうなるわな。

2人しか居ないんだ。そらそうしたら目立つし面白いだろうし。

当然の事ながら一夏は嫌がるが織斑先生はそれを認めない。

 

「待ってください! 納得がいきませんわ!」

 

すると先程までわなわなと震えていたセシリアが反論し立ち上がる

 

「そのような選出は認められません! 大体、男が代表など恥さらし以外の何物でもありません! わたくし、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!? 」

 

いや、もう少し落ち着こうぜ。ひとやすミルク食うか?

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然! それを物珍しいからと言って極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているのであって、サーカスをする気は毛頭ございませんわ!」

 

おーおー、どんどん周りの空気が悪くなる。

このシーンは前世でも結構悪い意味で記憶に残ってるから俺は慣れてしまってるが、他の子からしたら気持ちのいいものではないだろう。

 

「いいですか!? クラス代表は実力トップ、つまりわたくしがなるべきです! そもそも、文化としても後進的な国で暮らさなくてはいけないこと自体、わたくしにとっては耐え難い苦痛でーー」

 

「イギリスだって大してお国自慢ないだろ。世界一まずい料理で何年チャンピオンだよ」

 

あーあ、言っちゃった。

そろそろかなとは思ったけど一夏がセシリアに反論していた。

その言葉にセシリアは顔真っ赤。

 

「あ、あなたねぇ! わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「先に侮辱したのはそっちだろ!」

 

「〜〜〜! 決闘ですわ!」

 

「おう、いいぜ。 四の五の言うより分かりやすい。」

 

やっぱりこうなる。

お前ら争うのは勝手だがそれ俺も巻き込んでるからな?

しかし2人は今お互いの事しか見えていない。

頭に血が上って冷静な判断力を失っているのだ。

やれやれ。俺は決闘なんてしたって負ける未来しか見えないし、間違ってもこんな事にビルドの力は使いたくない。

けどま、セシリアの事情を知ってる俺くらいはセシリアのサポートに回ってやるか。

 

「まあまあ、2人とも落ち着け?」

 

「!! 何ですの!? あなたまでわたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

「!! 何でだよ建兎! 元はと言えばこいつが!」

 

「だから落ち着けって。

一夏、代表候補生ってのはな、一朝一夕でなれる物じゃないんだよ。それこそ必死の努力で掴み取ったものなんだ。俺達が想像出来ないくらいの、な。

それにオルコットさんは専用機を持ってて学年首席。それくらいになるまでやってきたのにいきなり現れたお前と俺っていうイレギュラーの方がチヤホヤされる。しかもお前は『代表候補生』の名前すら知らなかったってのにだ。 悔しいに決まってる。

自分のしてきた努力や持っていた誇り、全否定されたようなもんだからな。 どう思う? そんな立場になったとしたら。」

 

「「....!!」」

 

俺の言葉に一夏もセシリアも目を見開く。

恐らく自分の事を純粋に褒めてくるとは思わなかったのだろう、特にセシリアは開いた口が塞がらないようだった。

 

「...でも、さすがに『後進的な国』とか『極東の猿』は言い過ぎだよね? 代表候補生として相手国へのそういう悪口は問題だし。そこん所は謝っておこうか?」

 

するとセシリアは途端に青ざめ、自分の逆上して思わず発してしまった言葉の重要さに気づく。

俺からはなんとも言えないけど、彼女は誰かから褒めてもらいたかったのではないだろうか。 事故で親を失い、ずっと1人で周りの汚い大人から家や誇りを守ってきたのだ。

いくら代表候補生でしっかりしてるとは言え、まだ15歳。

未熟な所もあって当然だろう。

 

「そんな訳だからさ、皆も彼女の事許してあげてほしいんだ。俺からもお願いする。」

 

俺はそう言い、頭を下げる。

顔を見合わせていた皆がざわざわしだす。

 

「...うん、あたしは良いよ。」

 

「私も。」

 

「正直嫌な気持ちになったけど、今の話聞いたらあたしだって理不尽だって思うだろうしね。」

 

良かった。 皆も分かってくれたようだ。

 

「...! す、すみませんでしたわ、皆さん。 わたくしの勝手な言動で不快にさせてしまったこと。お詫びします!」

 

「もういいよー!」

 

「大丈夫、気にしないから!」

 

「ありがとう、ございます...!」

 

良かった。とりあえずこれで一安心だな。

ちらっと織斑先生のいる方を見ると、向こうもこちらを見ていた。

 

「.....」

 

「えっと、織斑先生?」

 

「...まあいい。オルコットはこれからそういう事には気を付け、代表候補生としての自覚をしっかり持て、いいな。」

 

「は、はい!」

 

「だがまだ話は終わってない。 織斑、桐生、オルコット。 この3名でのIS勝負を行う。 一週間後の月曜。 放課後、第三アリーナで行う。 3人はそれぞれ用意をしておくように。 それでは授業を始める。」

 

ちっ、やっぱり勝負は無しにならないか。

避けられない運命に面倒を覚えながら俺は授業の準備をする。

セシリアの戦闘スタイルとかは予め何度か見てたし、原作知識もあるけどとりあえずやれるだけやってやるか。

山田先生の号令で3時間目が始まる。

俺は再び授業を真面目に聞く振りをして来るべき勝負の構想を練ることにした。




あー、くっそ長い。 しかも大してストーリー進んでないし。
毎度の事ながらこんな駄文を読んでくださる皆さんには感謝です。
最近はお気に入り登録、UAの数も増えてニヤニヤしてる毎日ですw
これからも建兎の活躍をお楽しみに!

Next→第10話 エンプティな存在

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