IS VS Build   作:シュイム

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2017/09/29 00:09:40 現在
そして、ルーキーランキングで21位になりました!
(凄いのかどうかは分からないですがw)
スクショはしたのですがどうやればいいのか分からないので分かり次第画像を貼ろうかと。
これもひとえに応援してくれている皆様のおかげです!
これからもIS VS Buildをお願いします!

それでは第10話どうぞ!



第10話 エンプティな存在

「うう... ややこしすぎて意味が全然分からん...。」

 

「電話帳と間違って捨てたりなんかするからだろ... とりあえず今は俺が取ったノート読みな。 徐々に慣れてくしかないよ。」

 

放課後、俺は一夏の勉強に付き合い教えていたがなんせ専門用語だらけの物なので参考書などがなければ触れた事のない限り全く理解することは出来ない。

一夏は机の上でぐったりと項垂れていた。

 

「ああ、織斑くんに桐生くん。良かったです。まだ教室にいて。」

 

「はい?」 「ん?」

 

名前を呼ばれ、上を向くと山田先生が。

 

「えっとですね、寮の部屋が決まったんです。」

 

「え? 俺、前に聞いた話だと一週間は自宅通学になるって...」

 

「俺もそう聞いたんですが」

 

「そうなんですけど、事情が事情だったので政府特命で部屋割りを無理やり変更したらしいんです。」

 

まあ分かってはいたが。

貴重な男子IS操縦者を各国のやべー奴らから守るためにもこうした措置がとられているのだ。

 

「1ヶ月もあれば、お二人共個室が用意できますのでしばらくはどちらか相部屋で我慢してください。」

 

ん? ()()()()

 

「あの、てことは相部屋なのは1人だけなんですか?」

 

「はい、たまたま倉庫代わりに使ってた部屋があったのでそれを改修して個室にしたんです。 しかしもう一人分は用意出来なくて... すみません。」

 

そう言って山田先生は頭を下げる。

 

「あ、いや、謝らないでください。 仕方の無いことですから。 ...とは言ってもどうする? 俺は個室がいいんだけど」

 

「俺だって個室がいいさ、けど一夏、それよりまず荷物はどうすんだ?」

 

「あ、そうだ! 荷物はー」

 

「私が手配をしておいた。 ありがたく思え。」

 

おおう、いきなり現れたな織斑先生。

一夏はダースベイダーかターミネーターの曲が聞こえるとか言ってたけど俺は魔進チェイサーの変身音だな。

 

「まあ、着替えと携帯電話の充電器など生活必需品だけだがな。ちなみに桐生の荷物はお前の義父が用意したらしいから後で取りに来い。」

 

悲しいな。もう少し娯楽を求めたっていいのでは?

ストイックすぎるでしょう

 

「あと部屋についてだが個室は桐生に使ってもらう」

 

「え!」 「な、何で!?」

 

「同居人の問題でだ。 相部屋の相手は篠ノ之だからな、面識のある者同士の方がいいだろう。」

 

「な、納得いかないけどそういうことなら仕方ないか。」

 

いや、違うな。 俺はまだまだ怪しい面も多いからとかだろう。

山田先生から鍵を受け取る。

ちなみに一夏は1025番、俺は213b...いや、1213番だった。

 

「じゃあ、時間を見て部屋に行ってくださいね。夕食は6時〜7時、寮の一年生用食堂で取ってください。 ちなみに各部屋にシャワー室がありますが、大浴場もあります。 学年ごとに使える時間は決まってますが...織斑くん達は今のところ使えないです。」

 

「え、何でですか?」

 

いや、逆に何故「何で」と聞く?

 

「アホかお前は。 まさか同年代の女子と一緒に風呂に入りたいのか?」

 

「あー...」

 

「おっ、織斑くんっ、女子とお風呂に入りたいんですか!? だ、ダメですよ!」

 

「い、いや、入りたくないです。」

 

「ええっ? 女の子に興味がないんですか!? それはそれで問題のような...」

 

はあ、こいつはいっつも言い方が悪いな。

そんな風に言えば男色家と思われ...

 

「織斑くん、男にしか興味ないのかしら...?」

 

「それはそれで...いいわね」

 

「織斑×桐生! いや、途中で織斑くんが負けて桐生くんの逆転かしら!?」

 

おいお前なんて事してくれた。

また俺も被害受けてるじゃねぇか。

そういうことなら俺にも考えがある。

 

「ち、違う! 俺はノーマルだ!」

 

「そうだ、一夏は『ソッチ』じゃない」

 

「け、建兎...!」

 

「一夏はただのシスコンだ。」

 

「うぉい! お前もか!!」

 

「ああ、その事に関しては私も同意見だ。」

 

「千冬姉まで!?」

 

パァンッ!

 

「織斑先生だ。」

 

「はい...」

 

静かだった教室内が阿鼻叫喚と化す中、俺は前途多難な寮生活に頭を抱えた。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

一夏に「違うからな!」と強く否定されながら俺たちは別れ、各々の部屋へと向かった。

1213番、ここだな。

誰も居ないだろうが一応ノックする。

 

コンコンッ 「は〜い♡」

 

...え?

 

声が聞こえ不思議に思い、ドアを開けるとそこには

 

「おかえりなさい。ご飯にする? お風呂にする? それとも、わ・た・し?」

 

...裸エプロンを着て(中に水着は着てる)待機していた生徒会長こと更識楯無が居た。

 

沈黙する2人。

向こうは恐らくこの突然の訪問に驚いてるのだと思ってるのだろうがそれは違う。

いや、驚いてはいる。違うのはこの早い時期に楯無さんがいることについてだ。

原作だと登場は二学期からだったしな。 けど今更原作改変に驚いてたらついていけないか。

 

「ねぇ〜、もっと反応はないの? おねーさんがわざわざ出迎えてあげたのに。」

 

「そうですね、では。」

 

そうだ、据え膳食わぬは男の恥。

ここは一つ、男として取るべき行動を取るとしよう。

俺は荷物を床に置き、おもむろに服の中に手を突っ込み...

 

「もしもし、織斑先生ですか? 今俺の部屋に変質者g」

 

「ちょちょちょちょ!! 何やってんの!? というか織斑先生にかける気なの!? まだ死にたくないから本当にやめて!!」

 

通報することにした。

いや、当たり前だろ。男とか女とか関係なく自分の部屋に不審者居たら誰だってするだろう。

それにこの手の奴なんていくらでも居たからな。

 

「いやだって不審者がいたんで...」

 

「だから不審者じゃないわよ! 少しからかおうとしただけで!」

 

確信犯じゃないか。

 

「はあ、予想の斜め上を行く人ね...」

 

「あなたに言われたくないです。」

 

「改めて私はこの学園の生徒会長、更識楯無よ。 よろしくね。」

 

するとどこからか扇子を取り出し開く。そこには達筆で『よろしく』と書いてあった。 本当便利だよなそれ。

 

「あーどうも... それで俺になんの用ですか?」

 

「もう、いきなりそういう核心つくこと言う? もっと話しましょうよ〜」

 

「今日はもう疲れたから眠いんですよ... さっさとシャワー浴びて寝たいし」

 

「はぁ、じゃあしょうがないわね。 あなたには聞きたいことが三つあるの。 まず一つ目、桐生建兎くん。あなたは一体何者なの?」

 

「なんですかその質問...」

 

しかし楯無は続ける

 

「ううん、真面目な話。 私は家柄、色々な情報を探ることが出来るのだけど、あなたには前川惣一という義父の元で育ったという記録はあっても()()()()()()()()()()()()()()()()。 そこの情報だけすっぽりとね。 」

 

「...隠し子らしいですよ? 俺」

 

「ううん、それはないわ。 少なくともあなたは1歳の頃に前川惣一の元に居た。 でもそれ以前の情報は全くないの。 私達はそんな事だって調べられる。 あなた、自分の出自について何か知ってるんじゃないの?」

 

マズッたな。そこまで分かるとは。

いつか聞かれると思って用意してた嘘まで見抜かれてるなんて。

かと言って「神様転生しました!」なんて言えるわけもない。

仕方ない。そこまでバレてるなら少しフェイクを入れて本当の事を言おう。

 

「俺は自分の出自については全く知らないです。それに、自分の事捨てた親なんか親として見られません。 俺の父親は前川惣一ただ一人です。」

 

「...」

 

楯無は未だ警戒の目で俺を見る。

当然だがな、こんなの信じる方がどうかしてる。

 

「...まだその言葉の真意は分からないけどとりあえず置いておくわ。 次に二つ目。 あなたはさっきの事から今のままでは信用しかねる。 だからこそ直接聞く。 あなたはこの学園の味方?それとも敵?」

 

再び怪訝な顔でこちらを見てくる。

なんですんごい疲れてる時に限ってこんな目に...

 

「少なくとも敵ではないです。俺の事が信用出来ないのは分かります。でもここには俺の事を認めて仲良くしてくれる人だっているんです。 同じクラスの人や同性の織斑一夏、...あなたの妹にも、ね。」

 

「!!」

 

そういうと目を見開く。

あんなに人付き合いの苦手な簪と俺がそんなにすぐ仲良くなったのが不思議なのだろう。

驚きとも妬ましいとも取れる呆気に取られた顔をしている。

 

「そ、そう。 それなら分かった。あなたに敵意が無いことも話してる雰囲気で分かったし」

 

今日イチ動揺してる楯無さん。

こうして見れば可愛いな。

 

「さて、最後の質問だけど。 ...建兎くんって私と会ったことないかしら?」

 

もう俺は驚かんぞ。

ここまで来たならもうみんなみんな勘づいてると思ったもん。

こういう展開に慣れすぎてすごい冷静だし

 

「いや、ないですね。 初めましてです。」

 

「そう、まあその表情で言うならそうなのでしょうね。」

 

楯無さんがさっきとうって変わり少し控えめな声と顔で言う。

え?どんな顔なの俺今。

 

「じゃあ堅苦しい話はここまでにして、建兎くんに一つ提案があるの!」

 

と、いきなり元気になる。

やっぱりこの人はこういう感じの方が良いな。

 

「建兎くんさ、私の元で修行しない?」

 

「え?」




少し早い楯無さんの登場。
ちなみにですが原作同様楯無さんと簪の間には軋轢があり、簪は専用機を自分で組み立てている設定です。
これから彼女は少々疑っている建兎とどのように接していくのか...
ではまた次回!

Next→第11話 日常に隠れるトラジェディー

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