IS VS Build   作:シュイム

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今回はクラス代表決定戦の直前の日常回です。
ちなみにトラジェディーとは『悲劇』という意味。
ほら、『スカイウォールの悲劇』って事で...ね?
あとアドバイスをいただき、タグを何個か加えました。
そして気づいた方はいないかと思いますが間違えて違う話を投稿してしまいました。申し訳ありません。
気を取り直してどうぞ!




第11話 日常に隠れるトラジェディー

「修行、ですか?」

 

「ええ、1組内でイギリスの候補生と織斑一夏くんとクラス代表決定戦やるんでしょ?」

 

「ええ、てかよく知ってますね。」

 

「そりゃあそんな話題いやでもすぐに広まるわ。 それに聞いたわよ? 上手いこと機転をきかせてクラス内の雰囲気良くしたんでしょ? やるじゃない。 おねーさんが褒めてあげる」

 

そう言って思い切り抱きしめてくる。

うーん嬉しいんだか恥ずかしいんだか...。

けどまあ褒められるのは嫌な事じゃない。

とは言っても...

 

「あ、あの。 なんと言いますか胸が...」

 

そう、さっきから顔に当たってる。

数年もしたらここまで立派になるのか。しかも格好も格好だからなおのこと照れてしまう。

 

「へー、無反応かと思ってたけど可愛い反応するじゃない。 ほら、どうだ!」

 

「だからやめてくださいよ!」

 

もうこれ以上はやばい! 俺のライダーゲージ(理性)が限界を迎える!

楯無さんの拘束から無理やり離れる。

 

「あっ、もう〜。もう少ししてあげようと思ったのに」

 

「もういいですよ! それに修行の事でしたよね!? それなら是非お願いします!」

 

「そう、ならよろしくね。 こちらで訓練機は用意しておくからこれから放課後になったら生徒会室に来て。 それじゃあね〜」

 

そう言うとさっと着替えて嵐のように去っていった。

...疲れた。さっさとシャワー浴びて寝よ。

奥の方からドカーンとか聞こえてくるけどあれだ。

一夏達が夫婦喧嘩してるだけだ。無視するとしよう

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

翌日、朝起きて俺は荷物を整いていた。

着替えに充電器、本にパソコン... ? 袋?...!これは

袋の中には紫と黄色のフルボトルが入っていた。

恐らく神様から送られてきたのだろう。

俺は期待を胸に食堂へ向かった。

 

 

 

「お。おはよう、建兎。」

 

「...」

 

食堂でちょうど2人と鉢合わせした...が... 箒さんめっさ不機嫌やん

さっきから名前で呼ぶな、名字で呼ぶなとか無茶苦茶言ってるし。

すると、3人の女の子が近づいてきた。

 

「ね、ねえ。 相席してもいい...かな?」

 

「ああ、いいぞ。」 「俺も構わないよ」

 

すると途端に小さくガッツポーズ。 周りは出遅れたと焦る。

いや、それなら話しかけてこいよ

 

「じゃあ失礼して...。あ、織斑くんも桐生くんも凄い量。 朝食べる方なんだね 」

 

「さすが男の子って感じ〜」

 

「俺は夜は少なめだから、朝たくさん取らないと色々きついんだよ。 ていうか三人はそれだけで平気なのか?」

 

いやデリカシーの無さよ

 

「わ、私達は、ねぇ?」

 

「う、うん、お菓子よく食べるし」

 

「平気かなっ?」

 

3人はしどろもどろで答える。

色々と多感な時期なんだ。察してやれ。

すると箒は先に行ってしまう。

 

あ、織斑先生が入ってきた。

早く食べないと!

 

「ああ、まあ幼馴染だし。」

 

「え、それじゃあーー」

 

「いつまで食べている! 食事は迅速に効率よくとれ! 遅刻したらグラウンド十周させるぞ!」

 

「不味い! 建兎、俺達も早く食うぞっていねぇ!?」

 

「遅いぞ。口を動かす暇があるなら手を動かして口に入れろ。」

 

「あんだけあったのに!? ちょっと待ってくれよ!」

 

一夏の悲痛な叫びが上がるが俺だってグラウンド一周 5km ×十周=50kmなんて走りたくない。先に行ってるぞ。

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「というわけで、ISは宇宙での作業を想定して作られているので、操縦者の全身をーー」

 

今は再び山田先生によるISの基本知識の授業である。

一夏は未だ理解出来てないようで教科書と睨み合う

 

 

「これには心拍数、脈拍、呼吸量、発汗量、脳内エンドルフィンなどがーー」

 

「先生、それってなんか体の中をいじられてるみたいで怖いんですけど...」

 

「そんなに難しく考えなくても大丈夫です。例えば皆さんのしているブラジャー、あれと同じでサポートはしても人体に悪影響が出ることはないです。もちろん自分に合ったものでないと違和感はありますが...」

 

そこまで言って俺達の存在に気づき、みるみる赤くなる。

 

「あ、えっと、織斑くんたちは分からないですよね、この例え。 あ、あはは...。」

 

そんな言い方するせいで皆意識し出す。

俺は家で二人きりの時束姉さんが下着姿でいることも多くてそのせいで良くも悪くも慣れてしまった。

 

「んんっ! 山田先生、授業の続きを」

 

「は、はい。 それともう一つ大事なことで『ISとの対話のようなもの』があります。 ISにも意識のようなものがあり、操縦時間に比例して操縦者を理解しようとするのです。 それにより相互的に理解することでより性能を引き出せます。 道具ではなく、パートナーとして接して下さいね。」

 

「先生、それって恋人のようなものなんですか?」

 

10代特有の質問に周りの雰囲気もどんどん緩くなる。

しかし山田先生は顔を赤らめ俯いてしまう

 

「それはその、私には経験がないので分かりかねますが... (スッ)」

 

と、こちらを見てきた。

え、何? なんすか?

 

キーンコーンカーンコーン、キーンコーンカーンコーン。

 

「あっ。えっと、次の時間は空中におけるIS基本制動をやりますからね。」

 

そう言って山田先生達は去っていく。

 

さてと、俺はトイレに行くとするかね。

 

―――――――――――――――――――――――――――――――

ふう〜、間に合ったー。

この学園元々女子校だったこともあって職員用のトイレに行かなきゃいけなくて面倒なんだよな〜。

すると、壁の向こうから声が聞こえてきた

 

「アリーナの観客席側のシールドに異常が? それは本当なんですか?」

 

「はい、今のところ目立ったアクシデントも無く多少エネルギーの量にバラつきがあるだけなので心配はないはずですが。」

 

「そうですか... 数日後には第3アリーナで1-1のクラス代表戦があったはずでしたね... それまでに調整をーー」

 

なんだ? 異常? アクシデント?

何かあったのか?

 

「おい」

 

「!! 」

 

声をかけられ振り向くと織斑先生が。

 

「立ち聞きとは感心せんな。 それにそろそろチャイムが鳴る。 教室に戻れ」

 

「は、はい。 」

 

俺はそう言われすぐに教室に向かう。

焦ったー。 音も気配もなく来てたぞあれ。忍者か

 

教室に入り席に座る。

するとまたもや一夏の周りに人だかりが出来ていて

 

「千冬お姉様って自宅ではどんな感じなの!?」

 

「え。 案外だらしなーー」

 

パァンッ!

 

「休み時間は終わりだ。散れ」

 

織斑先生による一撃。もうこれが1組では見慣れた光景になっている。

 

「ところで織斑、お前のISだが予備機がなく学園で専用機を用意するため準備まで時間がかかる。 」

 

「???」

 

こいつやはり分かってないな。後で教えるか

 

「い、1年のこの時期に専用機!?」

 

「つまりそれって政府からの支援が出てるってことで...」

 

「いいなぁ〜、私も早く専用機欲しいな〜。」

 

女子が一斉に羨ましそうにする中、未だわかってない一夏に織斑先生がため息。俺に専用機についての説明を求めた。

 

現在世界中にあるISは全467機。

ISのコアを作る技術は篠ノ之束博士しか知らず、当人はこれ以上の作成を拒否。

仕方なく各国家などには残っているISコアを割り振り、各々が研究などを重ねている。

また、コアの取引は禁止されている。

以上、教科書より

 

「...という訳だ。と言っても言い方は悪いがお前は実験体として渡されることになる。分かったか?」

 

「な、なんとなく」

 

「桐生の言う通り、お前にはデータ収集を目的として専用機が用意される。 ...しかし、すまないが桐生には専用機は用意されていない。当日は訓練機でやってもらう。」

 

「「「「ええええ!?」」」」

 

周りから驚愕の声が上がるが致し方ない。織斑千冬(ブリュンヒルデ)の弟という肩書きを持つ『1人目』の一夏と違い、俺は何の後ろ盾もないただの『2人目』だ。

それは俺もなんとなく分かっていたので構わなかった。

「それじゃ勝てないんじゃ」という声も聞こえるがまあどうしようもないのだ。

 

「はい、ある程度予想してましたから大丈夫です。」

 

「そうか... すまないな。」

 

「ち、千冬姉! どうにかならないのかよ!」

 

パァンッ!

 

「織斑先生だ。 まあお前の言う事は分からんでもない。 だがこれは政府の命令。 我々ではどうしようもないのだ。」

 

「そんな...。」

 

2人とも自分のことのように悔しがる。

やれやれ、普段はあんなだがやっぱりこいつは良い奴なんだな。

 

「あのー、もしかして篠ノ之さんって、篠ノ之博士の関係者なんですか?」

 

「...ああ、そうだ。 篠ノ之はあいつの妹だ。」

 

いややっぱりバラすんかい。

すると当然の如く皆はまた驚愕しており、どんどん箒に詰め寄る。

ここで俺はふと束姉さんとの会話を思い出した。

 

『束姉さん、箒さんとは話さないの? 大切に思ってるんでしょ? 彼女のこと』

 

『んー、確かに束さんはほーきちゃんを世界一愛してると言っても過言じゃないくらいだよ? でも、きっとほーきちゃんは束さんのこと嫌いだからね...』

 

『で、でも! 話し合ってみないとそれは!』

 

『いいの! けんくん、もういいの。 束さんが悪いことは事実だし、これは束さんが散々悪いことしてきた罰なの。 だから...もういいの。』

 

そう言った束姉さんの顔はとても悲しげでいつものやかましい雰囲気なんてどこにも無かった。

本当なら一緒に居てあげたい。普通の姉妹らしく笑って喧嘩して、ふざけ合って...。

俺は思わず束姉さんの背中をさすった。

束姉さんは何も言わず、声もあげずただただ泣いていた...。

 

 

そんなこと知ってしまってる俺は、例え束姉さんが聞いてなくても俺は、彼女の拒絶を止めたかった

 

「あの人はーー」

 

「ごめん、皆。篠ノ之さんとこないだ話した時に俺も聞いたんだけど何も知らないって言ってたし、色々とあったらしいんだ。 だから、ね?」

 

俺は箒の言葉を遮り、発言する。

一夏、箒と織斑先生は目を見開く。周りの皆は「しまった...。」と言った顔で顔を見合わせる。

 

「あの、ご、ごめんね? 篠ノ之さん。勝手に色々聞いちゃって」

 

「そうだよね、そんな有名人なお姉さんだったら大変だったよね... ごめんなさい。」

 

「い、いや。私もすまなかった。桐生の言う通り、私はあまりあの人の事は知らなくて...」

 

良かった。本当に皆よく分かってくれる。

お互いに謝ったし、これで箒が周りと軋轢が生まれるのを阻止できたかな。

また織斑先生にじっと見られてるが

 

「...。ふぅ。さて、授業をはじめる。 山田先生、号令。」

 

「あ、は、はいっ。」

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

 

「織斑さん、桐生さん。」

 

授業が終わりセシリアが俺たちの元へやってきた。

 

「なんだ?」 「どうしたの?」

 

「以前のわたくしならば、訓練機や専用機などの事で何かしら言っていたでしょうが今はそんな事はありません。 例えあなた方がどんな機体で来ようと! わたくし、セシリア・オルコット、全力でお相手致します!」

 

キリッとした態度で俺たちに宣戦布告する。

そこには俺たちを侮ることなく、心の底から戦おうという強い意志が見られた。

...変わったな。一夏も驚くがすぐに笑みを浮かべ、

 

「ああ、俺たちだって負けないぜ!」

 

「ぶっちゃけ自信はないけど胸を借りるつもりでやらせてもらうよ。」

 

俺たちは各々握手をして互いに勝負に向け気持ちを高め合う。

そんな俺たちにクラスの人たちは拍手を送っていた。

 

 

 

「...桐生、先程のあれはどういう事だ。」

 

昼食を取ろうと廊下に出たら箒に話しかけられた。

 

「先程のってあの篠ノ之さんの家族のこと?」

 

「箒でいい。 そうだ、あの時何故あんなふうに言ったのだ? あ、いや、ああ言った事が嫌だった訳では無い。 むしろ彼女らに八つ当たりせずに済んで助かった。 礼を言う。」

 

そう言って廊下で頭を下げる。

当然周りのギャラリーは騒ぐ。もうちょっと人目につかない所で言って欲しかったかなぁ...

 

「ううん、いいよ気にしないで。 で、あの事だよね? 実は前に一夏から千冬さん関連で昔結構理不尽な事言われたらしくて箒さんもそうなんじゃないかって思ったんだ。」

 

「そうか...。 ならばいい。すまなかったな、時間を取らせて。」

 

「ううん、構わないよ。あと、俺も一夏との事応援するから

 

「は、ハァッ!? な、何を言っている!」

 

「隠さなくても大丈夫。 俺もわかってるからさ。」

 

「そ、そんなにわかり易いのか? 私は。うぅ〜〜」

 

赤くなり、唸ってる箒に思わずキュンとしてしまった。

 

「じ、じゃあまずは食事に誘ってみたら? 一夏は恐らく『恋』ってもの自体意識してないからゆっくり焦らず、でも確実にが大事だと思うよ。」

 

「そ、そうか。分かった、試してみよう。 あと、その、なんだ。私もお前の事は建兎と呼ばせてもらってもいいか?」

 

またもやキュンとさせる事言ってくる箒さん。

これに気づかないとか一夏はマジで『アッチ』なんじゃないのかと思う。

 

「う、うん。いいよ。じゃあ俺はこれで」

 

「ああ。またな」

 

そう言って箒と別れる。

あードキドキした。俺は特に誰が好きってわけでもないがやっぱりやばいな。10代の女の子って

 

向き直り、俺は食堂に向かう。

ちなみに一夏は色々な女の子から昼食に誘われ、悪い気がしなかったのか緩んだ顔をしていたために箒にぶっ飛ばされたらしい。




箒ちゃんが建兎にデレました。
でも好きなのは一夏です。言わずもがな
ヒロイン候補は更識姉妹、本音、シャルとかを考えましたがまたアンケートとります。
次回早いですがクラス代表決定戦に入ります

Next→第12話 戦闘開始、アー ユー レディ?


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