IS VS Build   作:シュイム

18 / 33
今回は雑な描写+普段と比べて短めです。
10月に入り、寒くなってきたこの頃。
作者はこの小説の執筆中風邪を引きました...。
皆さんも気をつけて下さい。
それではどうぞ!


第13話 鋼を砕きしムーンサルト

セシリアとの勝負が終わり、今俺はピット内で一夏達と話している。

 

「すみません、負けてしまいました。」

 

「い、いえ! とてもかっこよかったですよ!」

 

「ああ、ISを操縦して数回とは思えないほどの出来だった。それに最後のは反応出来なくても仕方ないだろう。あれは我々でも予想外だった。」

 

「建兎凄かったぜ!剣一本であんなに追い詰めるなんて!」

 

「あんな芸当、とても私には出来ないだろう。素晴らしかった。」

 

皆からは称賛の声が上がるが俺はなんとも言えない感じだった。

楯無さんに修行してもらったこともあるが、こちらは原作知識という反則並のものに加えて神様から貰った恩恵があり対する向こうは全くの初見+今までの努力で勝利したのだ。

いくら訓練機とは言え明らかに俺の方が有利であったのに...。

ま、それもセシリアの努力の賜物ってことか。

 

「そろそろか...。織斑、話はそこまでにして準備を始めろ。」

 

「わ、分かりました。」

 

そう言って俺以外の皆は一夏の専用機、『白式』の元へ行く。

俺? 俺はトイレだぜ。

先程から行きたかったんだ。

 

俺はピットから出る。

その時、ピット内のモニターには不穏な警告が出ていた...。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

トイレから戻ると既に箒や織斑先生、山田先生は戻っていた。

 

「始まりました?」

 

「ああ、ちょうど今な。あと、お前の先程の試合は録画してある。お前の視点からでは何が起こったか分かりにくかっただろう。きちんと確認して、次に活かせ。」

 

「了解です。」

 

モニター画面の前に出て、隣にいる箒をふと見る。

モニターを見る箒の表情からは不安と焦りが見られた。

きっと普段からあんなやり取りしてるが本当は誰よりも一夏の身を案じている。

俺もモニターに目を向けると一夏はとてつもない弾幕から少しずつダメージを受けながら辛くも逃げていた。

 

「一夏....」

 

「大丈夫だよ。」

 

「だ、だが!」

 

「箒さんが信じてあげなきゃ、誰が一夏の味方するの?」

 

「!! ...ああ、そうだな。感謝する。」

 

そうして箒は元の凛とした表情に戻り、再びモニターを見る。

セシリアは原作のように一夏を侮ることなく、確実に倒し切るよう戦っていた。一夏もそれに呼応するかのように持ちうる力を使って全力でぶつかり合う。

 

正に真剣勝負。

あらゆる角度からのビット攻撃に耐えかねてなんと無意識に瞬時加速(イグニッション・ブースト)を使用。セシリアに一撃を与えた。

これには一夏自身も驚いていたようだ。

その隙を見逃さず、セシリアはライフルとビットで一斉射撃。

剣で受けるも吹き飛ばされる一夏。

 

「一夏っ!」

 

「...!」

 

箒と山田先生は目を見開きモニターに釘付けになる。

しかし俺と織斑先生は慌てず口を開く。

 

「ふっ、機体に救われな、馬鹿者め」

 

「さあ、お楽しみはこれからだ。」

 

一次移行(ファーストシフト)!? あなた、今まで初期設定だけの機体でわたくしと...!?』

 

『これでようやく、俺専用になったわけだ。俺はこれからは守られるばかりじゃない。俺の家族を世界で最高の千冬姉を守る!』

 

織斑先生の全盛期の武器、『雪片』のニュータイプこと『雪片弍型』

より近接に特化され、一次移行したことにより先程の初期設定の武器よりも扱いやすくなっただろうその武器はとても美しい。

そして予め知ってたように単一仕様能力(ワンオフ・アビリティ)、『零落白夜』を起動。セシリアに迫る。

 

「うおおおお!」

 

「!!」

 

その武器から発せられる危険な雰囲気を本能的に感じ取ったのか、ライフルやビットを使って距離を取ろうとする。

しかし更なる加速力やセンサーのグレードアップによりビットは全て爆ぜてしまった。

 

『ぐっ、ならばミサイル!』

 

『遅い!!』

 

腰から放たれたミサイルを軽く躱し、セシリアを一閃しようとした直後

 

 

ビー! ビー!

 

「「「「!?」」」」

 

けたたましいサイレンが鳴り響き、モニターを見ると『警告』の文字が

 

『警告 アリーナ内のシールドエネルギー供給がストップしました。 アリーナ内にいる生徒は至急避難してください』

 

「な!?」

 

「不味い、ひとまず生徒を...『ドゥン!!』...!」

 

見ると観客席の屋根に先程セシリアが撃ったミサイルの残りが着弾。

今にも崩れそうになっていた。

 

『『『『キャアアア!!』』』』

 

観客席にいる生徒は一瞬でパニック状態に。

このままでは二次被害が起こる!!

 

「桐生、篠ノ之! 2人は生徒達に避難勧告を!」

 

「「はい!!」」

 

俺達は西と東に別れ、観客席へ向かう。

着くとそこには大勢の生徒が。

 

「助けて!」

 

「ちょっと、押さないでよ!!」

 

「嫌ッ、死にたくないーッ!」

 

「皆、まずは押さないこと! ゆっくりでいいから確実に脱出することを優先に動いて!」

 

っ! これは不味い。皆錯乱して全く避難が出来てない!

楯無さんも必死に声を上げるが誰も耳を貸さない。

くそ、モタモタしてたら屋根が降ってきて大事故になるってのに!

 

パンパンッ!

 

「皆、聞いてくれ!!!」

 

「「「「!!」」」」

 

俺の大声に皆一斉にこちらを見る。

 

「今のままじゃ逃げられる人も逃げられない! けどこんな状況で『落ち着け』『泣くな』なんて無理だろう!? だからこそ、怖がって動けない者は手と手を取り合え! 泣いてたって構わないから前を見ろ!」

 

俺の言葉に手と手を取り合い、手を差し伸べる者もいる。

当然だが誰だって助かりたいのだ。今は藁にもすがる思いなのだろう。

 

「よし! そのまま数人で固まってドアから出て! 早く逃げたいからって押しちゃダメだぞ!」

 

上からはギシギシという嫌な音が聞こえてくる。

もうあと少しで落ちてきてしまう!

 

「きゃっ!」

 

「清香!?」 「大丈夫!?」

 

「う、うん。なんとか... いたた!」

 

「! 足怪我してるじゃん! ほら立って!」

 

なんと相川さんが転んでしまい、友人の2人が駆け寄る。

その瞬間

 

バキッ!

 

「「「え...」」」

 

「クソッ!」 シャカシャカシャカシャカ

 

「どきなさい、桐生くん!!」

 

狙い済ましたかのように屋根が落ちてくる。

後ろから彼女達を助けようとする楯無さんの声が聞こえるが、誘導していてドアの向こうに居た彼女が周りの人に気をつけながらどれだけ加速しても間に合わないし、ISでも3人救うのは不可能だ。

3人は動けず落ちてくる屋根をじっと見ているしか出来ない。

俺は無心でラビットフルボトルを振るが考えてみれば俺も3人を抱えての脱出は無理だ!

こう、なったら...!!

 

「「「あ... あ....」」」

 

シャカシャカシャカシャカ

 

『ラビット!!』

『タァンク!!』

 

『ベストマッチ!!』

 

『アー ユー、レディィ!?』

 

「変身!!」

 

ドゴォォォ!!

 

建兎が3人の元へ行った直後屋根は落ちた。

生徒達はもうダメと諦め言葉を失う。楯無さんは膝から崩れ落ちる。

これにはピットにいた織斑先生、山田先生に箒。

並びにピット内へ戻っていたセシリア達も目の前で起きた信じたくない光景に目を背け、苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

しかし誰もが諦めたその時ーー

 

ドガァッ!! ガラガラ、ドシャァ...

 

一発の爆発したような音がすると瓦礫が崩れ、煙の中から現れたのは目立った怪我もなく、まるで寄り添う様に座り気絶している相川さん達3人。

そして、「赤と青」。

 

『鋼のムゥゥンサルトォォ! ラビット、タァンク!! イェェェイ!』

 

ドリル状の武器を持ちながら3人を覆う様に立ち、ダメージが行かないように庇っていた者が1人。

それは彼女達、いや世界中が知る『ISの発明』や『白騎士事件』に並ぶ大きな話題となった人物。

「正体不明のヒーロー」、『ビルド』であったーーー




というわけで伏線回収及び久しぶりのビルド登場回でした。
導入が無理矢理過ぎる気がしますが作者の力ではこれが限界でした...
建兎がビルドと知った者達はこれからどのように建兎と接していくのか....
あとこれからは週一の投稿になりそうです。まだ詳しい曜日や時間は決まってません。
とりあえずクラス代表決定戦編が終わるまでは頑張りますが。
とは言えそのうち週一投稿すら出来ない様になると思います。
そこのところよろしくお願いします。
ではまた次回!

Next→第14話 明かされるスタークストーリー

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。