IS VS Build   作:シュイム

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私事ですが本日誕生日を迎え、18歳になりました!
たまたまですがタケルと同じ誕生日なんですよねw
少し早い大人の仲間入りです。
「スタークストーリー」はありのままの話というニュアンスで
それではどうぞ!


第14話 明かされるスタークストーリー

やっちまった。

そりゃああんな状況で助けない訳には行かないだろう。

現に周りの生徒は目を丸くしてこちらを見ている。

あれだけ騒がしかった観客席がまるで嘘のようだ

 

よく見れば奥の方に簪や本音が共に驚きの表情、目の前の楯無さんが驚きながらも何か気づいたような顔で見ている。

さて、これからどうすっかな...。

 

『えっと、桐生くん...ですか?』

 

俺の前に山田先生の映るディスプレイが。

画面の奥には一夏、セシリア、山田先生そして織斑先生が信じられないと言ったような顔をしている。

 

「...はい、そうです。」

 

『!!』

 

『...桐生。生徒の避難指示、ご苦労だった。残っている者が居れば周りの様子に気をつけて避難させてくれ。 ...後で話がある。終わり次第こちらまで来い。』

 

「了解です。」

 

織斑先生との低いトーンでの会話。

まさか俺が、というよりかビルドが年下だと思わなかったのだろうな。

...そろそろ皆を避難させるか。

 

もう既に桐生 建兎=ビルドという方程式が出来上がってるだろう。

俺は逃げるでも隠れるでもなくそのまま皆の目の前で変身解除。

再び驚く声が上がる。

 

「...皆、とりあえずまだ何かしら起こるかもしれないから避難しよう?」

 

「あ、うん...。」

 

「分かった...。」

 

「...桐生くん、その子達は私達が預かるわ。この後のことも私に任せて。」

 

皆なんとも言えない雰囲気から逃れるようにアリーナを後にする。

相川さん達は楯無さん達が運んでいってくれた。

これから、大変だなぁ...

俺は思わずため息をし、俯かせていた顔を上げ空を見上げる。

そこには俺の気持ちとは裏腹に雲一つない綺麗な青空があった。

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――

あの事故から数時間後、俺は別室で織斑先生と山田先生から事情聴取を受けていた。

 

「さて、話したいこととは言わずもがな『ビルド』の事だ。お前には聞きたいことがたくさんあるが... まず1つ。今まで人命救助などを行っていたあの『ビルド』もお前か?」

 

荒げないが芯のあるハッキリとした声で聞いてくる。

まるで「嘘は許さん」と言わんばかりに。

そもそもああやってバレた以上俺は嘘なんてつけないしつく気もない。

話せる事は全て話すことにした。

 

「...はい。『ビルド』は俺一人です。 そもそも俺一人しか変身出来ないので」

 

「!! そうか...。では、あの力はどこで手に入れた? 篠ノ之束、奴が関わっているのか?」

 

「いえ、束ね...束博士は関係ないです。ただ、俺は束博士とは面識はあります。彼女は『ビルド』の事も最初から知ってました。」

 

すると、「やっぱりか...」とでも言いたげな顔をしてため息をつく。

 

「はあ...。 その力についてはどうしても答えられないのか?」

 

「はい、『ビルド』の力は俺が生まれた時に持っていたものです。だから俺も知らないし、解析もできませんでした。束博士でも」

 

「「!?」」

 

あの天災、篠ノ之束ですら解析不可能という言葉に2人とも思わず驚く。

小学生の頃から彼女を知る織斑先生にとってはとても信じられないだろう。

 

「...ならば桐生。1つ聞かせてくれ。唯一その力(ビルド)が使えるお前は一体何者なんだ?」

 

「...」

 

またこの質問か...。

悪いがまだ織斑先生や山田先生に話すわけにはいかない。

『IS学園の生徒としての信頼』はある。が、『俺の秘密を明かせるほどの信用』はない。それは一夏達も同じである。

話したのは今でも俺をガキの頃から育てて、見ててくれた父さんや束姉さんの2人。俺のわがままかもしれないけど、本気で俺を想ってくれて情報を無闇に晒したりしない。そう心から信用できる人。明かせるのはそんな人だけだ。

 

「...なんとも言えないです。俺は捨てられた子供なので。更識生徒会長にも聞かれました、『君は私達でも調べられなかった』って。俺が話せるのはそれだけです。」

 

「「....」」

 

2人とも何も言わない。そんな戯れ言と思っているのかもう少し泳がせてみようとか思ってるのかもしれない。

織斑先生が口を開く

 

「...お前から何かしら聞けるかと思ったがより一層分からない事が増えたな。最後に一つ言いたいことがある。」

 

まだあるのか...一体いつま...え?

そう思ってると唐突に織斑先生は頭を下げる。

これには山田先生も「え? え!? 織斑先生!?」と慌てていた。

 

「第2回 モンド・グロッソの時、一夏を救ってくれて本当に助かった。あの時私はお前を疑うばかりで礼の一つも言わず、ずっと後悔していたのだ。あの時は本当にすまない... そして、本当に...ありがとう...!!」

 

「....!!」 「織斑、先生...」

 

そこには世界最強(ブリュンヒルデ)や普段の暴力教師の影など無く、ただ弟を想い、頭を下げる姉の姿があった。

...やっぱりこの人は不器用なだけなのだ。一夏を誰よりも案じているがブリュンヒルデや教師という肩書きによって甘えや弱さも見せられない。

あの出席簿だって一夏を思ってのことなのだ。一夏自身もそれをなんとなく分かってるからか嫌がりはしても千冬さんを嫌ったりなどしていない。

 

「大丈夫ですよ、全く気にしてないです。」

 

「...そうか。すまないな突然。」

 

そう言って顔をあげる。気のせいか目尻に光が見えた。

 

「とりあえずお前の情報は既に世界中に広まりつつある。明日になればあらゆる国からお前に契約の申し込みなどが殺到するだろう。一応、義親さんには伝えておけ。」

 

プライバシーもあったもんじゃねぇな

まあ誰しも気になってた事だし何しろ『2人目』がそうだったなんて知ったらいてもたってもいられず誰だって話すかもな。

 

「分かりました。」

 

「あと、すまないがお前はこれから授業中などにも『ビルド』を使ってもらう事になる」

 

「...は?」

 

「急遽行われた会議で決まったのだ。学園だってISが無尽蔵にある訳では無い。そこで『ビルド』を桐生建兎の『専用機』として扱うという話になったのだ。」

 

嘘だろ!? 俺そんなことに使いたくないからわざわざこの試合ISで受けたってのに!

第一それじゃ単なる見世物じゃねーかよ!

 

「いやいやいや! 『ビルド』は無くはないけど飛行ユニットの標準装備はされてないんですよ!? それにISと違って『ビルド』は戦闘向きの武装です!『打鉄』や『ラファール』とかとは根本的に...」

 

「私だって!!」

 

「「!!」」

 

「...私だって反対だ。賛否両論はあったがビルドは私の唯一の家族を救ってくれた恩人だ。そもそもIS自体こんな事のために使うものではないと分かっている...。だが、私はこの決定を変える力もない。世界最強が聞いて呆れる。ただの無力な女なんだ、私は...。」

 

心底悔しそうに織斑先生は話す。山田先生もそんな千冬さんの姿に悲しそうな表情を浮かべる。

俺は初めてビルドの力を求めた事を後悔することになる。本来人の自由と平和を守り、別のライダー達と時にぶつかり合い、時に協力し敵と戦い続ける。そんな仮面ライダーの力があろうことか人を傷つけるために使われる。悔しくて仕方なかった。

 

その後、何かあればいつでも2人ともサポートすると言ってもらい、事情聴取は終わった。

言葉にできない悔しさを胸に、俺は自室へ戻ることになった。

しかし物陰から俺を見てくる存在に俺は気づけなかった。




山田先生が空気だ...。
ちなみに作者だったら建兎と違ってこういう事に仮面ライダーの力を使うことを躊躇ったりしない気がしますw
次回は中止になったクラス代表決定戦のその後です。

Next→第15話 戦いのフィニッシュのその後で

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