閑話-1 一夜限りのクリスマスの使者
さて、今俺はIS学園の屋上にいる。
深夜11時近く。静かな夜は当然出歩く人も居らず、生徒たちは既に寝てしまっているだろう。
だが俺は違う。危険を冒してでもやらねばならない使命がある。
では...行くか。
シャカシャカシャカシャカ
シャカシャカシャカシャカ
「サンタクロース!!」
「ケーキ!!」
『ベストマッチ!!』
なぜか昨日枕元にあったフルボトル。
これはこの時しか使えないだろう!
『アー ユー、 レディィ!?』
「変っ...おおっと、変身!」
『聖なる使者! メリィー、クリスマス!! イェェイ!』
サンタクロース、ケーキの成分が含まれた赤と白のフルボトルで変身するベストマッチ、メリークリスマスフォーム。
右眼や左肩のケーキや左眼にはサンタの帽子があってとても凝ったデザインである。
しかも身体中に例えばオーブンが付いていたりイチゴをしまうことが出来たりとあらゆる機能が付いてる優れモノだ。
あーっと、こうしちゃいられない!
さっさと行かないと!
俺は抜き足差足で学園を周り、皆の元へメッセージを添えたちっちゃいケーキを送った。
(ちゃんと冷蔵庫に入れたよ!)
時々勘のいい人達がバッと起き上がったのにヒヤヒヤしつつ、なんとか全ての部屋に配り終わった。
明日の皆の反応が楽しみだ。
さて、一仕事終えたしサンタはまた364連休しますかね...「遅かったな、桐生。」
突然聞こえた後ろの声の方へゆっくり首を向けるとそこには...
「貴様には就寝時間を超えての寮の出入りとビルドの無断使用のペナルティがある。覚悟は良いな?」
真っ黒なサンタならぬサタン。もとい織斑先生が。
「いや、違うんですよ。 高校生になってもサンタさんを信じる心を忘れないでほしいなーって言う俺のささやかな気持ちでして」
「...ふむ、確かにそうだ。 今年の生徒は皆良い成績を残し、態度も悪くはなかった。 それは認めよう、」
「じゃ、じゃあ...」
「だが貴様は悪い生徒だ。私直々に
「嫌だァァァァァ...」
織斑先生に引きずられ、俺が作れる最高のケーキをあげても許してもらえず、俺はやむなく寮長室で罰を受けることとなった。
やったね! クリぼっちを免れたよ!(血涙)
翌日生徒達は知らない間に冷蔵庫に入っていたケーキを喜んで味わい、どの生徒も素敵なクリスマスを過ごしましたとさ...。
一方、一夏はカッコつけて切ろうとして見事に失敗していた。
アイツに切れないものは普通にあった。
せっかくのクリスマスだし、またそれに合わせたベストマッチがあるんだから何かやりたいと思って書き上げました。
年内最後の投稿だー、こんなでいいのか。
それでは皆さん。メリークリスマス、そして良いお年を!